JP2004213381A - Atmの手動式メンテナンス装置 - Google Patents

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JP2004213381A JP2002382629A JP2002382629A JP2004213381A JP 2004213381 A JP2004213381 A JP 2004213381A JP 2002382629 A JP2002382629 A JP 2002382629A JP 2002382629 A JP2002382629 A JP 2002382629A JP 2004213381 A JP2004213381 A JP 2004213381A
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Keiji Matsumoto
圭司 松本
Senji Matsuyama
仙治 松山
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Abstract

【課題】ATM本体の前面側若しくは前側面側からの手動操作によって比較的簡単に且つ安全にATM本体を前後方向に移動させることが可能であり、しかも大幅なコスト低減化を図ることが可能なATMのメンテナンス装置を提供する。
【解決手段】固定ベース体5の上に配した前後方向に移動可能な可動ベース体6にATM本体1を載置固定し、ATM本体の操作パネル部の側方に設置した移動不能なボックス体3に可動ベース体の手動操作部4を設け、手動操作部には可動ベース体を駆動する操作軸7に連係したハンドル連結軸8を設け、可動ベース体の前後移動を規制するストッパー12の解除レバー13を設け、付勢力によって常時ロック状態のストッパーを、解除レバーを操作して付勢力に抗してロックを解除しながら、ハンドル連結軸に連結したハンドルを操作して可動ベース体を前後移動させてなる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現金自動支払機等の現金の自動取扱機(以下、単にATMという)のメンテナンス装置に係わり、更に詳しくは手動にてATM本体を保守、点検等ができる状態に移動させることが可能なATMの手動式メンテナンス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀行等に設置されるATMは、メンテナンスや払出現金の補充等のために、ATMをその前後方向で移動可能にした設置構造が採られており、そのような構造例として、例えば、特許文献1〜4などによる提案がある。
【0003】
これらの中の移動機構の例としては、ATM本体の底部四隅にキャスタ等の支持転輪を配設することにより、当該ATMを移動可能に形成すると共に、該ATM本体に、例えば、油圧シリンダによる進退力を作用させるようにしたものがある。しかしながら、ATM本体に転輪を付けて、この転輪を設置床面上を転動させると、ATM本体の重量が相当大きいため、床面の強度や材質、或は、床の水平度等が所要のものでなければならず、そのような要件を満たさない床面の場所ではATMを設置するために、床の補強工事や可動床板を付設すること等が不可欠であるという問題がある。また、移動駆動源に油圧シリンダを使用すると、当該シリンダの油圧系や油圧源を別途設置することが不可欠であるため、移動機構全体の構造が煩雑化し、設置手間やメンテナンスの手間を煩雑なものとし、これが、結局コスト高の要因の一つになるという難点もある。
【0004】
そこで、前述の不都合を解消すべく、特許文献5にて開示されるように、ATM本体を設置したい床上に、少なくとも2本の軌条部材と該軌条部材に跨装されたスライダ部材とから成る直線スライドガイド機構を設置すると共に、前記軌条部材と平行で前記ATM本体の外側にラック部材を敷設する一方、前記スライドガイド機構におけるスライダ部材の上にATM本体を載架支持させると共に、該ATM本体に、前記ラック部材に噛合し、かつ、モータ等の動力により回転させられるピニオン部材を設けて成る現金自動支払機の移動装置が提案された。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−97088号公報
【特許文献2】実開昭59−70272号公報
【特許文献3】実開平1−151370号公報
【特許文献4】実公平6−3489号公報
【特許文献5】特許第3015688号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、メンテナンス時にATM本体を前方へ移動させて背面部を開放してなるATMのメンテナンス装置において、ATM本体の前面側若しくは前側面側からの手動操作によって比較的簡単に且つ安全にATM本体を前後方向に移動させることが可能であり、しかも大幅なコスト低減化を図ることが可能なATMの手動式メンテナンス装置を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、メンテナンス時にATM本体を前方へ移動させて背面部を開放してなるATMの手動式メンテナンス装置であって、固定ベース体の上に配した前後方向に移動可能な可動ベース体に前記ATM本体を載置固定するとともに、ATM本体の操作パネル部の側方に設置した移動不能なボックス体に前記可動ベース体の手動操作部を設け、該手動操作部には前記可動ベース体を駆動する操作軸に連係したハンドル連結軸を設けるとともに、前記可動ベース体の前後移動を規制するストッパーの解除レバーを設け、付勢力によって常時ロック状態のストッパーを、前記解除レバーを操作して付勢力に抗してロックを解除しながら、ハンドル連結軸に連結したハンドルを操作して前記可動ベース体を前後移動させてなるATMの手動式メンテナンス装置を構成した。
【0008】
ここで、前記ボックス体の上面部に、収容凹部の開放部に施錠可能な開閉蓋を備えた手動操作部を設け、前記ハンドル連結軸と解除レバーとを前記収容凹部内に設けてなることが好ましい。
【0009】
更に具体的には、前記ボックス体内に前記操作軸を垂直で定位置回転可能に配設し、該操作軸の上端部と水平横方向に配した前記ハンドル連結軸とを直交変換機にて連動するとともに、前記操作軸の下端部と前記可動ベース体とを、該操作軸の回転運動を前記可動ベース体の直線運動に変換する駆動変換機を介して連動させてなることがより好ましい。
【0010】
更に、前記駆動変換機は、前記可動ベース体の前部側方位置であって前記固定ベース体に固定した基板に、垂直な回転軸にて回転可能に設けた単又は複数の歯車からなる減速歯車機構と、前記可動ベース体の一側縁に沿って設け前記何れかの歯車に噛合したラックとからなり、前記ストッパーは、前記解除レバーに連結して垂直回転可能な軸杆の下端部にアームの基端を固定するとともに、該アームの遊端に前記減速歯車機構の何れかの歯車に噛合してその回転を規制する噛合部材を設け、該噛合部材が前記歯車に噛合する方向に弾性付勢してなることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき更に詳細に説明する。図1はATMの通常の使用状態を示し、図2はATMのメンテナンス状態を示し、図中符号1はATM本体、2は防護装置、3はボックス体、4は手動操作部をそれぞれ示している。また、図3〜図12は、本発明の要部を示し、図中符号5は固定ベース体、6は可動ベース体、7は操作軸、8はハンドル連結軸、9はハンドル、10は直交変換機、11は駆動変換機、12はストッパー、13は解除レバー、14は軸杆、15はアーム、16は噛合部材、17は弾性付勢手段をそれぞれ示している。
【0012】
前記ATM本体1は、周囲を壁構造の防護装置2で覆われて保護されている。そして、前記ATM本体1の操作パネル部18の側方には、ボックス体3が移動不能に設置され、前記防護装置2と一体となってATM本体1を保護している。ここで、前記ボックス体3には、利用明細書等の紙片を廃棄するためにその前部にダストボックスが内蔵され、前面上部に投入口19が開口されている。
【0013】
そして、メンテナンス時には、前記ATM本体1を前方へ移動させて前記防護装置2の背面壁との間に空間を形成し、該ATM本体1の背面部を開放できるようになっている。ここで、前記防護装置2の側面部には、メンテナンス時に前記ATM本体1の背後に回り込めるように開閉ドア2Aが設けられ、その他の周囲はATM本体1の前方移動を許容する前側部分を除き防護壁で囲まれている。前記ATM本体1は、メンテナンス時に前後方向に移動可能な構造となっており、その操作はATM本体1の前面側若しくは前側面側に立った操作者によって行われ、ATM本体1が前方へ移動した時に利用者や他の関係ない通行人等に衝突しないように目視にて確認しながら行うことができる。
【0014】
次に、図3〜図12の基づき更に本発明を詳しく説明する。本発明に係るATMのメンテナンス装置は、ATM本体1を前後方向へ移動させる駆動機構と、それを操作する手動操作部4を備え、更に通常は周囲を覆って保護するとともに、メンテナンス時にメンテナンス可能な位置に作業者が入り込める構造となっている前記防護装置2を含む全体システムに関するものである。前記防護装置2の内部に床面上に固定ベース体5を設置し、その上に可動ベース体6を前後方向へ移動可能に設けられ、前記ATM本体1を該可動ベース体6に載置固定するとともに、ATM本体1の操作パネル部18の側方に設置した前記ボックス体3に、前記可動ベース体6の手動操作部4を設けたものである。
【0015】
そして、本発明のATMの手動式メンテナンス装置は、前記手動操作部4には前記可動ベース体6を駆動する操作軸7に連係したハンドル連結軸8を設けるとともに、前記可動ベース体6の前後移動を規制するストッパー12の解除レバー13を設け、付勢力によって常時ロック状態のストッパー12を、前記解除レバー13を操作して付勢力に抗してロックを解除しながら、ハンドル連結軸8に連結したハンドル9を操作して前記可動ベース体6を前後移動させることを特徴としている。つまり、一方の手で前記解除レバー13を操作して付勢力に抗してロックを解除し、それを維持しておかないと、もう一方の手でハンドル9を操作して可動ベース体6を前後移動させることができないようにして安全性を高めている。
【0016】
前記可動ベース体の駆動機構として、油圧シリンダやモータ等の電動式のものは、駆動機構やその制御回路が複雑で高価とならざるを得ない。また、停電時にはメンテナンスが全くできないといった不都合も生じる。また、ATMでは、頻繁にメンテナンスをすることがないので、その部分にコストをかけるのは不経済である。そこで、前記可動ベース体の駆動機構を以下の実施形態で示すように手動式とすることで、前述の電動式の問題は解消される。
【0017】
更に、図3〜図5に示すように、前記ボックス体3の上面部に設けた手動操作部4は、該ボックス体3の内部に向けて凹設した収容凹部20の開放部に施錠可能な開閉蓋21を備え、前記可動ベース体6を駆動する操作軸7に連係させた前記ハンドル連結軸8と解除レバー13とを前記収容凹部20内に設けている。ここで、前記ハンドル9としては、正転、反転可能な市販のラチェット式のレンチを用いることができる。また、前記ハンドル9は、前記ハンドル連結軸8に固定し途中部を折り畳み可能となし、収容凹部20内に格納できるものであっても良いが、その場合にはラチェット機構部をハンドル連結軸8又は直交変換機10に組み込んだ構造となる。前記ハンドル9を前記ハンドル連結軸8に対して着脱可能なものであれば、該ハンドル連結軸8から外した後、前記収容凹部20内に収納して保管できる大きさのものを用いることが好ましい。尚、前記開閉蓋21は、図示したヒンジにて回動開閉するもの以外に、スライド開閉するものを採用することができる。ここで、前記解除レバー13は、前記ストッパー12を解除操作するための軸杆14の上端に固定し、前記収容凹部20内に格納するようにできることが好ましい。
【0018】
そして、前記ボックス体3内に前記操作軸7を垂直で定位置回転可能に配設し、該操作軸7の上端部と水平横方向に配した前記ハンドル連結軸8とを直交変換機10にて連動するとともに、前記操作軸7の下端部と前記可動ベース体6とを、該操作軸7の回転運動を前記可動ベース体6の直線運動に変換する駆動変換機11を介して連動させている。前記ハンドル9としてラチェット式のレンチを用いた場合、該ハンドル9を前記ハンドル連結軸8に取付けて前後に往復動させることにより、前記操作軸7を一方向に回転駆動させることができ、もって前記可動ベース体6を手動にて前後方向に移動させることができる。
【0019】
更に詳しくは、前記直交変換機10は、図4及び図5に示すように、直交状態に配した前記操作軸7とハンドル連結軸8とにそれぞれ固定した傘歯歯車22,22を噛合させた構造であり、前記収容凹部20内に固定した四角形のフレーム23に内蔵するとともに、前記ハンドル連結軸8は該フレーム23に回転可能に支持されている。
【0020】
そして、前記駆動変換機11は、図6〜図11に示すように、前記可動ベース体6の前部側方位置であって前記固定ベース体5に固定した基板24に、垂直な回転軸にて回転可能に設けた単又は複数の歯車からなる減速歯車機構25と、前記可動ベース体6の一側縁に沿って設けたラック26とから構成されている。更に詳しくは、前記基板24の上位に平行に支持板27を4本のスペーサー28,…で固定し、前記基板24と支持板27の間に、減速歯車機構25を構成する小歯数の歯車25Aと該歯車25Aに噛合した大歯数の歯車25Bとを回転可能に配置し、前記歯車25Aに前記操作軸7の下端を固定し、前記歯車25Bを前記ラック26に噛合させ、前記操作軸7の回転力を歯車25Aから、歯車25Bを介してラック26の前後動に変換し、もって前記可動ベース体6を前後方向へ移動させるのである。
【0021】
また、前記ストッパー12は、図6〜図11に示すように、前記解除レバー13に連結して垂直回転可能な軸杆14の下端部にアーム15の基端を固定するとともに、該アーム15の遊端に前記減速歯車機構25の何れかの歯車に噛合してその回転を規制する噛合部材16を設け、該噛合部材16が前記歯車に噛合する方向に弾性付勢手段17にて弾性付勢したものである。ここで、前記軸杆14の下端部は、前記支持板27を貫通し前記基板24に回転可能に保持され、前記アーム15は基板24に近接して配置されている。また、前記弾性付勢手段17としてキックばねを採用し、該キックばね17のコイル部17Aを前記アーム15に近い前記スペーサー28に巻回し、一方の弾片17Bを前記基板24に固定するとともに、他方の弾片17Cを前記アーム15の遊端に係着し、前記噛合部材16を前記大歯数の歯車25Bに常時噛合するように弾性付勢している。
【0022】
ここで、前記噛合部材16として、本実施形態では歯車を用いている。この歯車16の軸孔にボルト29を挿通し、前記アーム15の遊端に該ボルト29を螺合することによって、該歯車16を回転不能に固定している。尚、前記可動ベース体6を最も後方に位置させた状態、つまりATMの通常使用状態では、正確な位置に該可動ベース体6の前後移動を規制する必要があるが、製造誤差によって前記ラック26の位置、即ち大歯数の歯車25Bの停止位置での回転角度が常に一定であるとは限らない。その場合にも前記歯車25Bに歯車16(噛合部材)が確実に噛合できるように、該歯車16の固定角度を、前記ボルト29を緩めて調節できるようにしている。
【0023】
また、本実施形態では、前記軸杆14の回転に対して、一つのアーム15が回転変位する構造としたが、該軸杆14の回転に対して互に逆方向に回転変位する二つのアーム15,15を有する構造とし、各アーム15,15をそれぞれ弾性付勢手段17にて前記噛合部材16が歯車25Bの異なる位置に噛合するようにしても良い。それには、例えば、前記軸杆14の下端に第1アーム15の基部を固定するとともに第1歯車を固定し、該第1歯車に噛合する第2歯車の回転軸に第2アーム15の基部を固定し、両アーム15,15をハ字状に配してそれぞれの遊端部に固定した噛合部材16が歯車25Bに噛合するように弾性付勢手段17にて弾性付勢すればよい。更に、各アーム15,15の遊端部の噛合部材16,16をそれぞれ小歯数の歯車25Aと大歯数の歯車25Bに噛合するようにしてもよく、また前記ラック26に噛合部材16を噛合するようにしても同様な効果が得られる。
【0024】
通常は、前記ストッパー12は、弾性付勢手段17にて噛合部材16が歯車25Bに噛合しているので、ロックされた状態となって前記可動ベース体6の前後移動を規制している。そして、メンテナンス時に、前記解除レバー13を回転操作することによって、前記軸杆14はキックばね17の弾性付勢力に抗して回転し、前記噛合部材16が歯車25Bから離れてロックが解除されるので、前記ハンドル9を操作して、ハンドル連結軸8及び操作軸7を回転させて、前記駆動変換機11にて前記可動ベース体6を前後方向に移動させることができる。このように、手動で前記可動ベース体6を前方移動させて、前記ATM本体1を防護装置2に対して前方へ突出させ、その背面部を開放してメンテナンスできるようにする。この場合、ATM本体1の背面部でメンテナンス作業していることに気付かずに、他の者が不意に可動ベース体6を後退させることがないように、図9及び図10に示すように、前記可動ベース体6の後端に設けた第2ストッパー30で強制的に可動ベース体6を移動不能とすることが望ましい。尚、本実施形態では、第2ストッパー30として、前記可動ベース体6の後端に設けた閂杆を前記固定ベース体5に設けた係合孔又は係合凹部に嵌入するものを示したが、前記閂杆の代わりに他の公知の係合手段を用いてもよい。そして、メンテナンス作業が終了すると、前記ハンドル9を操作してATM本体1を所定の位置まで後退させるのである。それから、前記ハンドル9をハンドル連結軸8から外し、収容凹部20内に収納し、前記開閉蓋21を閉じて施錠する。
【0025】
更に、図9〜図12に基づいて、前記可動ベース体6の駆動機構の具体的構造を説明する。前記固定ベース体5には、金属製のベース板31の上面両側部で中央部から後方に前後方向に向いた一対の高硬度鋼からなる走行板32,32を敷設するとともに、その上にレール部材33,33を置き、同時にベース板31に固定している。前記レール部材33は、断面略Z字状に屈曲した長尺部材であり、上縁に前記走行板32と平行な上レール板33Aを有している。更に、前記ベース板31の両側前端部には支持ブロック34,34を突設し、各支持ブロック34の外側面には水平横方向の回転軸にて回転可能な支持ローラ35を設けている。
【0026】
一方、前記可動ベース体6には、金属製のベース板36の下面に前記レール部材33と前記支持ローラ35を受入れる下方開放した断面コ字形のガイド部材37,37を形成するとともに、各ガイド部材37の溝内後端部に支持ブロック38を下設し、該の外側面には水平横方向の回転軸にて回転可能な転動ローラ39を設けている。更に、前記転動ローラ39の内側に間隔を開けて垂直な回転軸にて回転可能な案内ローラ40をそれぞれ下設している。
【0027】
そして、後部においては、前記転動ローラ39を前記レール部材33の上レール板33Aと走行板32との間に配するとともに、前記案内ローラ40を前記レール部材33の垂直板33Bの内側面に当接させて位置させる。更に、前部においては、前記固定ベース体5の前端部に設けた前記支持ローラ35に前記ガイド部材37の溝内前半部に設けた高硬度鋼からなる走行板41を載置する。また、前記可動ベース体6が前後方向に移動中に、大きな横ぶれが発生すると、前記歯車25Bとラック26とが空回りを起こすことが考えられる。そのため、本実施形態では、前記歯車25Bとラック26の噛合位置を頂点とした二等辺三角形の底角に対応する位置に、反対側の前記ガイド部材37の外側面を当止して歯車25Bからラック26が離れないように規制するために、垂直な回転軸にて回転可能な規制ローラ42,42を前記固定ベース体5のベース板31に突設している。
【0028】
前記可動ベース体6にATM本体1を載置した状態で、全体の重心が前記支持ローラ35よりも後方にあるときには、前記転動ローラ39は前記固定ベース体5の走行板32上を転動し、全体の重心が前記支持ローラ35よりも前方にあるときには、前記転動ローラ39は前記レール部材33の上レール板33A下面を転動するが、ATM本体1の重心はかなり後方にあるので、通常は重心が前記支持ローラ35よりも前方になることはない。しかし、メンテナンス時に、前記ATM本体1を前方へ移動させ、停止させた瞬間に慣性力によってあるいは地震等の揺れによって前記可動ベース体6の後部が持ち上がることがあるが、その場合にも前記転動ローラ39がレール部材33の上レール板33Aで当止されるので、ATM本体1が前倒れすることがないのである。
【0029】
また、本実施形態では、前記可動ベース体6の前後方向へ移動させた際に、その移動終端で緩衝作用を持たせるために、前後の緩衝具43,44を設けている。前方の緩衝具43は、前記固定ベース体5のベース板31の前端部にアングル材45を固定し、該アングル材45の前面の左右にゴム体46,46を突設するとともに、その中間に圧縮コイルばね47を突設した構造である。後方の緩衝具44は、前方の緩衝具43を前後反転させた構造で、やや後方位置に固定されている。そして、前記可動ベース体6を最後退させた際に、前記可動ベース体6の前板48に前記前方の緩衝具43が当止し、また最前進させた際に、前記可動ベース体6のベース板36の後部に横設したアングル材からなる規制材49に後方の緩衝具44が当止ようになっている。
【0030】
【発明の効果】
以上にしてなる請求項1に係る発明のATMの手動式メンテナンス装置は、メンテナンス時にATM本体を前方へ移動させて背面部を開放してなるATMの手動式メンテナンス装置であって、固定ベース体の上に配した前後方向に移動可能な可動ベース体に前記ATM本体を載置固定するとともに、ATM本体の操作パネル部の側方に設置した移動不能なボックス体に前記可動ベース体の手動操作部を設け、該手動操作部には前記可動ベース体を駆動する操作軸に連係したハンドル連結軸を設けるとともに、前記可動ベース体の前後移動を規制するストッパーの解除レバーを設け、付勢力によって常時ロック状態のストッパーを、前記解除レバーを操作して付勢力に抗してロックを解除しながら、ハンドル連結軸に連結したハンドルを操作して前記可動ベース体を前後移動させてなるので、ATM本体の前面側若しくは前側面側からの手動操作によって比較的簡単に且つ安全にATM本体を前後方向に移動させることが可能であり、しかも大幅なコスト低減化を図ることができるのである。しかも、ATM本体の移動操作は、ATM本体の前面側若しくは前側面側に立った操作者によって行われ、ATM本体が前方へ移動した時に利用者や他の関係ない通行人等に衝突しないように目視にて確認しながら行うことができる。また、停電時でもメンテナンスすることができ、またATM本体の前進、後退、停止を自由に行うことができる。
【0031】
請求項2によれば、開閉蓋を閉じて施錠した状態では、手動操作部を構成するハンドル連結軸や解除レバーが全く見えないので、外部からの攻撃に対して強く、しかもメンテナンス時には開閉蓋を開けて前記ハンドル連結軸にハンドルを連結して操作させるだけでATM本体を前方移動させ、その背面部を開放することができる。
【0032】
請求項3によれば、手動駆動機構が簡単であるので安価に構成することができ、しかもボックス体の上面部に手動操作部のハンドル連結軸が位置するので、立ったままでハンドル連結軸にハンドルを連結して操作することができ、その操作もハンドルとしてラチェット式レンチを用いれば、前後方向に往復操作するだけで前後一方向にATM本体を移動させることができる。
【0033】
請求項4によれば、通常の使用状態ではストッパーを構成する噛合部材が減速歯車機構の歯車に噛合し、弾性付勢手段によってその状態が維持されているので、不意にATM本体が前後方向へ移動することがないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ATMの通常の使用状態を示す全体斜視図である。
【図2】ATMのメンテナンス状態を示す全体斜視図である。
【図3】本発明の概要を示す省略斜視図である。
【図4】ボックス体の上部に設けた手動操作部を示す省略斜視図である。
【図5】同じくボックス体の上部に設けた手動操作部を示し、(a)は縦断面図、(b)は側面図である。
【図6】ロック状態における駆動変換機とストッパーの構造を示す省略平面図である。
【図7】ロック解除状態における駆動変換機とストッパーの構造を示す省略平面図である。
【図8】駆動変換機とストッパーの構造を示す省略側面図である。
【図9】可動ベース体の駆動機構を示す分解斜視図である。
【図10】同じく平面図である。
【図11】同じく縦断正面図である。
【図12】同じく横断側面図であり、(a)はATMの通常の使用状態における配置、(b)はATMのメンテナンス状態における配置をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 ATM本体 2 防護装置
2A 開閉ドア 3 ボックス体
4 手動操作部 5 固定ベース体
6 可動ベース体 7 操作軸
8 ハンドル連結軸 9 ハンドル
10 直交変換機 11 駆動変換機
12 ストッパー 13 解除レバー
14 軸杆 15 アーム
16 噛合部材(歯車) 17 弾性付勢手段(キックばね)
17A コイル部 17B 弾片
17C 弾片 18 操作パネル部
19 投入口 20 収容凹部
21 開閉蓋 22 傘歯歯車
23 フレーム 24 基板
25 減速歯車機構 25A 歯車
25B 歯車 26 ラック
27 支持板 28 スペーサー
29 ボルト 30 第2ストッパー
31 ベース板 32 走行板
33 レール部材 33A 上レール板
33B 垂直板 34 支持ブロック
35 支持ローラ 36 ベース板
37 ガイド部材 38 支持ブロック
39 転動ローラ 40 案内ローラ
41 走行板 42 規制ローラ
43 緩衝具 44 緩衝具
45 アングル材 46 ゴム体
48 前板 49 規制材

Claims (4)

  1. メンテナンス時にATM本体を前方へ移動させて背面部を開放してなるATMの手動式メンテナンス装置であって、固定ベース体の上に配した前後方向に移動可能な可動ベース体に前記ATM本体を載置固定するとともに、ATM本体の操作パネル部の側方に設置した移動不能なボックス体に前記可動ベース体の手動操作部を設け、該手動操作部には前記可動ベース体を駆動する操作軸に連係したハンドル連結軸を設けるとともに、前記可動ベース体の前後移動を規制するストッパーの解除レバーを設け、付勢力によって常時ロック状態のストッパーを、前記解除レバーを操作して付勢力に抗してロックを解除しながら、ハンドル連結軸に連結したハンドルを操作して前記可動ベース体を前後移動させてなることを特徴とするATMの手動式メンテナンス装置。
  2. 前記ボックス体の上面部に、収容凹部の開放部に施錠可能な開閉蓋を備えた手動操作部を設け、前記ハンドル連結軸と解除レバーとを前記収容凹部内に設けてなる請求項1記載の手動式ATMのメンテナンス装置。
  3. 前記ボックス体内に前記操作軸を垂直で定位置回転可能に配設し、該操作軸の上端部と水平横方向に配した前記ハンドル連結軸とを直交変換機にて連動するとともに、前記操作軸の下端部と前記可動ベース体とを、該操作軸の回転運動を前記可動ベース体の直線運動に変換する駆動変換機を介して連動させてなる請求項1又は2記載の手動式ATMのメンテナンス装置。
  4. 前記駆動変換機は、前記可動ベース体の前部側方位置であって前記固定ベース体に固定した基板に、垂直な回転軸にて回転可能に設けた単又は複数の歯車からなる減速歯車機構と、前記可動ベース体の一側縁に沿って設け前記何れかの歯車に噛合したラックとからなり、前記ストッパーは、前記解除レバーに連結して垂直回転可能な軸杆の下端部にアームの基端を固定するとともに、該アームの遊端に前記減速歯車機構の何れかの歯車に噛合してその回転を規制する噛合部材を設け、該噛合部材が前記歯車に噛合する方向に弾性付勢してなる請求項3記載のATMの手動式メンテナンス装置。
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