JP2004207506A - 電波吸収体 - Google Patents

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Hideyuki Sato
秀之 佐藤
Shingo Hibino
真吾 日比野
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Abstract

【課題】広角度な範囲で入射する電波に対して高い吸収性能を発揮しながらも、簡単に設計できる電波吸収体を提供する。
【解決手段】反射層1と、この反射層1の表面に積層された吸収層2とからなっている。反射層1の表面には、球体の一部からなる凸部1aが分布形成されている。吸収層2は、上記反射層1の表面形状に沿って一定の厚みに形成され、球殻の一部からなる凸部2aが分布形成されている。そして、反射層1の凸部1aとその表面の吸収層2の凸部2aとからなる凸部3でも、平面部分とともに、電波を吸収できるようになっている。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線通信を利用した電子機器やシステムが盛んに普及し始めている。例えば、自動車の分野では、ミリ波を利用した衝突防止レーダシステムや、無線通信を利用した道路通行料の自動料金収受システム(ETC)が普及しつつある。また、オフィス等では、無線LANやブルートゥース等を利用した無線通信機器が普及しつつある。
【0003】
このような電波(電磁波)を利用した電子機器やシステムでは、電磁波の両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)が問題となっている。すなわち、通信に不要な電波が、通信機器の周囲にある様々な物体により乱反射され通信特性を悪化させたり、周囲にある他の電子機器に誤作動を引き起こさせたりすること等が問題となっている。そこで、このような問題に対しては、周囲の物体や室内の壁面や電子機器の筐体等に電波吸収体を取り付ける等の対策を施すことによって、無線通信環境の改善を行なっている。
【0004】
上記電波吸収体においては、電波が電波吸収体の表面に垂直入射した場合には高い吸収性能を得られるが、電波が斜入射した場合には充分な吸収性能を得られないという問題がある。そこで、電波が斜入射するような場合には、電波吸収体を多層構造にして誘電率,透磁率,厚み等を調整することによって斜入射特性を向上させたり、電波吸収体の表面を予め電波到来方向に向けて施工したり、電波吸収体を図11に示すような波形状にしたり(特許文献1参照)する等の工夫を施している。なお、図11において、51は反射層、52は吸収層である。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−216190号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電波が斜入射する場合を考慮して、電波吸収体を多層構造にするには、コストがかかり、しかも設計が煩雑である。特に誘電率や透磁率の設定は、吸収したい電波の入射角度が変更するたびに、電波吸収材料の配合を検討して最適化する必要があり、大変な手間がかかるという問題がある。また、電波吸収体の表面を電波到来方向に向けて施工したものや、電波吸収体を波形状にしたものは、特定の入射角度にしか対応できない(吸収性能を発揮できる電波の到来方向が限られる)という問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、広角度な範囲で入射する電波に対して高い吸収性能を発揮しながらも、簡単に設計できる電波吸収体の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の電波吸収体は、反射層と、この反射層の表面に沿って積層された吸収層とからなる電波吸収体であって、上記反射層の表面に、凸部および凹部の少なくとも一方が分布形成され、その反射層の表面に、表面形状に沿って上記吸収層が一定の厚みに形成されているという構成をとる。
【0009】
本発明の電波吸収体では、凸部や凹部の表面のある部分の法線方向から到来する電波に対しては、その部分では、その電波を垂直入射電波として捕えることができる。すなわち、上記凸部や凹部の分布形成により、垂直入射電波として捕えることができる電波の到来方向を広げることができる。そのため、電波吸収体の設計では、斜入射電波を考慮しなくてもよくなり、垂直入射電波に対応する設計をすればよいため、電波吸収体の設計が簡単になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0011】
図1および図2は、本発明の電波吸収体の第1の実施の形態を示している。この電波吸収体は、反射層1と、この反射層1の表面に積層された吸収層2とからなっているものである。そして、上記反射層1の表面には、球体の一部からなる凸部1aが分布形成されており、隣り合う凸部1aと凸部1aとの間は平面に形成されている。また、上記反射層1の裏面は平面に形成されている。一方、上記吸収層2は、上記反射層1の表面形状に沿って一定の厚みdに形成されており、上記反射層1の凸部1aに対応する部分は、球殻の一部からなる凸部2aに形成され、隣り合う凸部2aと凸部2aとの間は平面に形成されている。そして、上記反射層1の凸部1aとその表面の吸収層2の凸部2aとからなる凸部3でも、上記平面部分とともに、電波を吸収できるようになっている。
【0012】
上記電波吸収体は、吸収層2を電波到来側にして設置される。例えば、オフィスに設置する場合には、反射層1を壁面や天井面や床面に向け、吸収層2を室内の内側に向けて貼着等する。
【0013】
そして、電波が上記電波吸収体に対して斜め方向(電波吸収体の平面部分に対して斜め方向)から到来しても、その電波が上記凸部3における球面のある部分の法線方向から到来する電波であれば、上記凸部3におけるその部分では、その電波を垂直入射電波として捕えることができる。また、上記電波吸収体に対して垂直方向(電波吸収体の平面部分に対して垂直方向)から到来した電波に対しては、電波吸収体の平面部分および凸部3の頂点部分が、垂直入射電波として捕えることができる。このように、上記凸部3を分布形成することにより、垂直入射電波として捕えることができる電波の到来方向を広げることができる。そのため、電波吸収体の設計では、斜入射電波を考慮しなくてもよくなり、垂直入射電波に対応する設計をすればよいため、電波吸収体の設計が簡単になる。
【0014】
また、上記凸部3の大きさ,突出高さ,分布密度(単位面積当りの凸部3の個数)等を調整することにより、吸収する電波の垂直入射成分と斜入射成分とのバランスや到来方向の範囲等を簡単に調整することができる。そのため、電波吸収体の用途に合わせて、上記凸部3の大きさ等を調整すれば、簡単に電波吸収体を最適設計をすることができる。
【0015】
例えば、図3(a),(b)に示すように、上記凸部3の大きさおよび突出高さが同じで、その分布密度が異なる〔図3(a)の方が図3(b)よりも高い〕場合を比較すると、斜入射成分の吸収は、凸部3が担うため、斜入射成分については、凸部3の分布密度が高い方〔図3(a)〕が、低い方〔図3(b)〕よりも、高い吸収性能を発揮する。一方、垂直入射成分の吸収は、凸部3間の平面部分が主に担っており、その平面部分は、凸部3の分布密度が低い方〔図3(b)〕が、高い方〔図3(a)〕よりも、広くなっているため、垂直入射成分については、逆に、凸部3の分布密度が低い方〔図3(b)〕が、高い方〔図3(a)〕よりも、高い吸収性能を発揮することができる。
【0016】
また、図4(a),(b)に示すように、上記凸部3の大きさおよび分布密度が同じで、その突出高さが異なる〔図4(a)の方が図4(b)よりも高い〕場合を比較すると、凸部3の表面が球面の一部であるため、斜入射成分については、突出高さが高い方〔図4(a)〕が、低い方〔図4(b)〕よりも、垂直入射電波として捕えることができる(高い吸収性能を発揮できる)電波の到来方向の範囲が広くなっている。一方、凸部3間の平面部分は、突出高さが低い方〔図4(b)〕が、高い方〔図4(a)〕よりも、広くなっているため、垂直入射成分については、突出高さが低い方〔図4(b)〕が、高い方〔図4(a)〕よりも、高い吸収性能を発揮することができる。
【0017】
つぎに、電波吸収体の材料等についてより詳しく説明すると、上記反射層1の形成材料は、電波を反射するものであれば特に限定されないが、金属(めっき,蒸着膜,箔,板等),炭素繊維布,導電インク,導電プラスチック等が用いられる。なかでも、導電性が高い点で、アルミニウムや銅が好ましい。
【0018】
上記吸収層2としては、誘電損失材料からなるもの、磁性損失材料からなるもの、および抵抗皮膜とスペーサ層との積層体からなるものがあげられる。
【0019】
例えば、上記吸収層2が誘電損失材料や磁性損失材料からなる場合には、下記の式(2)〜(4)により、必要な吸収性能が得られるように、上記吸収層2の厚みd,複素比誘電率,複素比透磁率を調節すればよい。
【0020】
【数2】
Figure 2004207506
【0021】
【数3】
Figure 2004207506
【0022】
【数4】
Figure 2004207506
【0023】
上記誘電損失材料としては、発泡ポリエチレンにカーボン粒子を含有させたもの,ゴムにカーボン粒子を含有させたもの等があげられ、上記磁性損失材料としては、フェライト等があげられるが、特に限定されるものではない。
【0024】
また、上記吸収層2が上記抵抗皮膜とスペーサ層との積層体からなる場合には、スペーサ層の方を反射層側にし、そのスペーサ層の厚みtを、下記の式(5)で表される値に設定することにより、電波吸収体をλ/4型電波吸収体とすることができる。
【0025】
【数5】
Figure 2004207506
【0026】
上記抵抗皮膜は、上記スペーサ層の表面に、所定の金属酸化物や金属窒化物をイオンプレーティング,蒸着,スパッタリング等することによって形成される。上記金属酸化物等としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO),酸化錫(SnO2 ),酸化亜鉛(ZnO),窒化チタン(TiN)等が用いられる。そして、上記抵抗皮膜の表面抵抗は、200〜700Ωの範囲にあることが好ましく、より好ましくは自由空間の特性インピーダンス377Ωに近い値であり、最も好ましくは上記377Ωである。また、上記スペーサ層の形成材料は、特に限定されるものではなく、通常、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリイミド(PI),ポリカーボネート(PC),ポリメタクリル酸メチル(PMMA),ポリエチレンナフタレート(PEN)等があげられるが、上記誘電損失材料や磁性損失材料であってもよい。さらに、上記スペーサ層は、異なる上記形成材料を用いて複数層からなるものであってもよいし、それらの層間に空気層を設けてもよい。
【0027】
つぎに、上記電波吸収体の製造について説明する。この電波吸収体は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、図5に示すように、まず、成形型を用いて上記反射層1を上記形状に成形するとともに、吸収層2またはスペーサ層(λ/4型電波吸収体の場合)を上記形状に成形する。そして、その吸収層2等の裏面形状に反射層1の表面形状を合わせた状態で、吸収層2等の裏面に反射層1を裏打ちする。λ/4型電波吸収体の場合は、さらに、スペーサ層の表面に抵抗皮膜を蒸着する。このようにして、上記電波吸収体を製造することができる。
【0028】
特に、上記吸収層2が誘電損失材料や磁性損失材料からなる場合には、電波吸収体の製造方法の変形例として、図6に示すように、つぎのような連続工程により量産が可能となる。すなわち、まず、ロール状に巻かれた吸収層2の形成シート10から、その形成シート10を繰り出し、平行に対峙する一対の成形用ロール11の間に連続して通し、上記各実施の形態における吸収層2の形状にする。つづいて、必要に応じてオーブン12内を通過させ、架橋・硬化させる。つづいて、めっき処理装置13により、上記吸収層2の裏面にめっき処理を施し、反射層1を形成する。このようにして、上記電波吸収体を連続工程により製造することができる。なお、この製造方法による電波吸収体では、反射層1をめっき処理により形成するため、反射層1の裏面は、上記吸収層2の裏面形状に沿った凹凸状になっており、平面になっていない。
【0029】
このように、本発明の電波吸収体によれば、反射層1の表面に、球体の一部からなる凸部3が分布形成され、その反射層1の表面形状に沿って吸収層2が一定の厚みdに形成されることにより、電波吸収体に対して斜め方向から到来する電波であっても、その電波を垂直入射電波として捕えることができるようになり、広角度な範囲で入射する電波に対して高い吸収性能を発揮することができる。このため、電波吸収体の設計では、斜入射電波を考慮しなくてもよくなり、垂直入射電波に対応する設計をすればよいため、電波吸収体の設計が簡単になる。
【0030】
特に、凸部3の表面が球面の一部である場合には、その表面の曲率が一定であるため、垂直入射電波として捕えることができる範囲の電波であれば、どの到来方向からの電波でも均一に垂直入射電波として捕えることができる。しかも、そのように捕えることができる電波の到来方向は、平面視で360°の範囲となっている。
【0031】
図7および図8は、本発明の電波吸収体の第2の実施の形態を示している。この実施の形態における電波吸収体は、反射層1の表面に、球面の一部からなる凹部1bが分布形成されており、その反射層1の表面形状に沿って吸収層2が一定の厚みdに形成されている。そして、上記反射層1の凹部1bとその表面の吸収層2の凹部(球殻の一部)2bとからなる凹部4でも、平面部分とともに、電波を吸収できるようになっている。それ以外の部分は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0032】
この実施の形態の電波吸収体においても、上記第1の実施の形態と同様に、電波が上記電波吸収体に対して斜め方向から到来しても、上記凹部4における球面により、その電波を垂直入射電波として捕えることができ、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0033】
図9および図10は、本発明の電波吸収体の第3の実施の形態を示している。この実施の形態における電波吸収体は、反射層1の表面に、球体の一部からなる凸部1aおよび球面の一部からなる凹部1bが交互に分布形成されており、その反射層1の表面形状に沿って吸収層2が一定の厚みdに形成されている。すなわち、上記第1の実施の形態(図1参照)における凸部3および第2の実施の形態(図2参照)における凹部4が交互に分布形成され、それら凸部3および凹部4でも、平面部分とともに、電波を吸収できるようになっている。それ以外の部分は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0034】
この実施の形態の電波吸収体においても、上記第1および第2の実施の形態と同様に、電波が上記電波吸収体に対して斜め方向から到来しても、上記凸部3および凹部4における球面により、その電波を垂直入射電波として捕えることができ、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0035】
上記各実施の形態の変形例として、上記凸部3や凹部4の表面形状を偏平した球面(表面の曲率が場所によって異なるようなもの)の一部にしてもよい。このような電波吸収体であっても、垂直入射電波として捕えることができる電波の到来方向を広げることができる。また、上記凸部3や凹部4の形状を円錐状,円錐台状,多角錘状,多角錘台状等にしてもよい。このような電波吸収体は、電波の到来方向が予め分かっている場合に用いられ、特定方向から到来する電波をより効果的に吸収することができる。
【0036】
なお、上記凸部3や凹部4の分布形態は、特に限定するものではなく、整然と分布されたものでもランダムに分布されたものでもよい。また、一つの電波吸収体における凸部3や凹部4の大きさ等も、特に限定するものではなく、全てが同一でもよいし、個々が異なっていてもよい。
【0037】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0038】
【実施例1】
斜入射角度が45°まで対応できる凸部が形成された電波吸収体を製造した。そのために、まず、吸収層を形成した。すなわち、エポキシ変性ウレタンゴム100重量部に対し、酸化チタンを30重量部、カーボン粒子(ライオン社製、ケッチェンブラックEC)を5重量部添加したものを、ニーダーを用いて混合し、その混合された材料をロールにかけ、厚み2mmのシートを作製した。そして、そのシートを金型により、表面に球体の一部からなる凸部が分布形成され、隣り合う凸部と凸部との間が平面になっている、厚みが1.5mmで一定の吸収層に形成した。各凸部の平面視の直径を8mmとし、凸部の分布密度を1000mm2 当り5個とした。つぎに、その吸収層の裏面にめっき処理を施して反射層を形成した。このようにして、上記電波吸収体を製造した。
【0039】
【実施例2】
上記実施例1と異なる金型を用いて、凸部の突出量が同一で、凸部の分布密度が上記実施例1の2倍(1000mm2 当り10個)の電波吸収体を製造した。それ以外は、上記実施例1と同様である。
【0040】
【実施例3】
斜入射角度が30°まで対応できる凸部が形成された電波吸収体を製造した。そのために、上記実施例1と異なる金型を用いて、凸部の分布密度が同一(1000mm2 当り5個)で、凸部の突出量が小さい(凸部の平面視の直径が4mm)電波吸収体を製造した。それ以外は、上記実施例1と同様である。
【0041】
【比較例1】
平面状の電波吸収体を製造した。そのために、上記実施例1において作製したシートをプレス成形して、厚み1.5mmの平面状の吸収層に形成した後、その吸収層の裏面にめっき処理を施して反射層を形成し、上記平面状の電波吸収体を製造した。
【0042】
〔電波吸収性能:垂直入射成分と斜入射成分とのバランス〕
このようにして得られた実施例1〜3および比較例1の各電波吸収体に対して、垂直入射および45°斜入射の各場合における電波吸収性能を、自由空間法により測定した。その測定結果を下記の表1に示した。なお、この測定には、Wバンドアンテナ(75〜110GHz)を使用した。また、使用電波は、ミリ波レーダーに用いられる76.5GHzのものを用いた。
【0043】
【表1】
Figure 2004207506
【0044】
上記表1より、実施例1〜3の各電波吸収体は、比較例1のものよりも、斜入射電波に対して高い吸収性能を発揮することがわかる。また、実施例1〜3の結果より、凸部の分布密度や突出高さを適宜設定することで、垂直入射成分と斜入射成分とのバランスを適宜設定できることがわかる。すなわち、実施例1の結果と実施例2の結果とを比較すればわかるように、凸部の突出量を同一にした状態で、凸部の分布密度を高めると、垂直入射電波に対しては吸収性能が低くなり、斜入射電波に対しては吸収性能が高くなる。また、実施例1の結果と実施例3の結果とを比較すればわかるように、凸部の分布密度を同一にした状態で、凸部のの突出量を小さくすると、垂直入射電波に対しては吸収性能が高くなり、斜入射電波に対しては吸収性能が低くなる。
【0045】
〔電波吸収性能:電波到来方向への依存性〕
さらに、電波到来方向への依存性を評価するために、各電波吸収体を同一面で90°回転させた状態で同様に測定した。その測定結果を下記の表2に示した。
【0046】
【表2】
Figure 2004207506
【0047】
上記表2より、各電波吸収体を同一面で90°回転させても、上記表1と同様の結果が得られることから、実施例1〜3の各電波吸収体においては、平面視で電波の到来方向が変わっても、安定した吸収性能を発揮することができることがわかる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電波吸収体によれば、反射層の表面に、凸部および凹部の少なくとも一方が分布形成され、その反射層の表面に、表面形状に沿って吸収層が一定の厚みに形成されている。このため、上記凸部や凹部の表面のある部分の法線方向から到来する電波に対しては、その部分では、その電波を垂直入射電波として捕えることができる。すなわち、上記凸部や凹部の分布形成により、電波吸収体に対して斜め方向から到来する電波であっても、その電波を垂直入射電波として捕えることができるようになり、広角度な範囲で入射する電波に対して高い吸収性能を発揮することができる。そのため、電波吸収体の設計では、斜入射電波を考慮しなくてもよくなり、垂直入射電波に対応する設計をすればよいため、電波吸収体の設計が簡単になる。
【0049】
特に、本発明の電波吸収体において、上記凸部および凹部の表面が、球面の一部をなすように構成されている場合には、その表面の曲率が一定であるため、垂直入射電波として捕えることができる範囲の電波であれば、どの到来方向からの電波でも均一に垂直入射電波として捕えることができる。しかも、そのように捕えることができる電波の到来方向は、平面視で360°の範囲となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電波吸収体の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】上記電波吸収体を用いた電波吸収体を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、上記電波吸収体における凸部の分布形態を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は、上記電波吸収体における凸部の突出形態を示す説明図である。
【図5】上記電波吸収体の製造方法を示す説明図である。
【図6】上記製造方法の変形例を示す説明図である。
【図7】本発明の電波吸収体の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図8】上記電波吸収体を用いた電波吸収体を示す断面図である。
【図9】本発明の電波吸収体の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】上記電波吸収体を用いた電波吸収体を示す断面図である。
【図11】従来の電波吸収体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 反射層
1a 凸部
2 吸収層
2a 凸部
3 凸部

Claims (5)

  1. 反射層と、この反射層の表面に沿って積層された吸収層とからなる電波吸収体であって、上記反射層の表面に、凸部および凹部の少なくとも一方が分布形成され、その反射層の表面に、表面形状に沿って上記吸収層が一定の厚みに形成されていることを特徴とする電波吸収体。
  2. 上記凸部および凹部の表面が、球面の一部をなすように構成されている請求項1記載の電波吸収体。
  3. 上記吸収層が誘電損失材料からなる請求項1または2記載の電波吸収体。
  4. 上記吸収層が磁性損失材料からなる請求項1または2記載の電波吸収体。
  5. 上記吸収層が抵抗皮膜とスペーサ層との積層体からなり、スペーサ層が抵抗皮膜よりも反射層側に配置され、スペーサ層の厚みが、下記の式(1)で求められる値に設定することによって、λ/4型電波吸収体に形成されている請求項1または2記載の電波吸収体。
    Figure 2004207506
JP2002375136A 2002-12-25 2002-12-25 電波吸収体 Pending JP2004207506A (ja)

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