JP2004206020A - 電子写真装置用円筒体の製造方法、電子写真装置用円筒体、電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】研削加工による電子写真装置用円筒体の加工において、複数回の研削が行われ、かつ、被加工物である円筒体に対する研削を行なう研削砥石の砥面の相対移動方向が、反転する方向の研削が行われることを特徴とする電子写真装置用円筒体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やレーザープリンタ等の電子写真装置に使用される電子写真感光体や現像剤担持体に好ましく使用される円筒基体の製造方法、及び、この製造方法で製造された円筒基体を用いて製造された電子写真感光体及びロール状現像剤担持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は広く利用されており、複写機だけでなく、ファクシミリやパーソナルコンピューターに接続するプリンター等に利用されているが、近年は低コスト化の要求以外に、高解像度化、フルカラー化に対する要求が高くなっている。特に、フルカラー化は写真画質に迫るフルカラーが求められている。これら近年の電子写真装置の技術動向に関しては、例えば、非特許文献1等に紹介されている。
これら近年のフルカラー化、高解像度化した電子写真装置では、使用する感光体は極めて高い寸法精度と高い表面品質が要求されている。
【0003】
従来、電子写真装置用アルミニウム製円筒体を加工する場合、旋盤を使用した切削加工で行なうのが一般的であるが、切削加工には以下に述べる問題がある。
初めの問題は、切削加工では寸法精度の向上に限界がある問題である。
これは以下のことが原因と考えられている。旋盤を使用した切削加工では、基体の両端を旋盤のチャックで把持して加工するので、両端は強固に保持されるものの、中央部の内部は空洞であり、たとえ被加工物である円筒体内部に中子を入れたとしても、バイトの押し付けによる被加工物の変形はまぬがれない問題がある。したがって、切削加工では両端部と中央部では加工寸法に差が生じる問題があり、結果的に加工した円筒体の円筒度の向上に限界がある。これは、でき上がった電子写真装置用基体の円筒度が低かったり、あるいは、全振れが大きくなる結果になる。このような電子写真装置用基体で感光体を作成し、画像出力を行なう場合、従来の600dpi程度の電子写真装置では大きな問題はないが、1200dpiのような高解像度な装置やフルカラー出力可能な装置では、出力画像にムラが発生することになる。このような画像ムラは白黒ハーフトーンで容易に観察することが可能であるが、カラーハーフトーンではより顕著に発生する傾向がある。
【0004】
第二の問題は、切削加工では、基体表面に一定周期の切削溝ができ、この表面凹凸で画像干渉縞を防止しているが、露光光の書き込みピッチと、切削加工時のバイトの送り速度の組み合わせによっては、切削溝ピッチと、露光光のピッチによって、画像に斜めの模様が発生することがある。
【0005】
第三の問題は、切削加工ではバイトを基体に沿って一定の低速度で移動させる必要があるので、加工時間がかかるため、加工コストがかかる問題がある。
【0006】
以上のような問題を解決するために、発明者らは切削加工に代わる加工方法として、センタレス加工の検討を行なってきた。センタレス加工では、被加工物の全幅を同時に加工するので、加工速度が速く、また切削加工のような幅方向での加工条件の差がない利点がある。
しかし、発明者らの検討において、センタレス加工面にいわゆるバリが発生した。このバリは、切削加工面の表面粗さがJIS B0601で定義されるRzが0.3以下の場合は僅かであり、基体に、厚さ0.5μm以上の下引き層を形成すると、問題にはならなくなる。しかし、露光光源に可干渉光を使用した電子写真装置では、Rzは0.5以上が必要であるため、研削加工面の表面粗さRzを0.5以上にすると大きく強固なバリとなり、厚さ2μm程度の下引き層を形成しても、電子写真装置に使用した場合に、点状の画像欠陥を発生させる問題がある。特に、近年多用されるようになった帯電ローラが用いられる場合はこの現象が起こり易い問題がある。
【0007】
従って、発明者らの検討においては、十点平均粗さRzが0.5以上、2.5以下のような粗面であっても、加工面にバリの発生することのないセンタレス加工法を見出すことが課題となった。
【0008】
研削加工におけるバリの発生原因については、僅かであるが認識されており、例えば、非特許文献2に示されている。しかしこの非特許文献2には、対策方法については何ら明示されていない。
また、非特許文献3においてバリが紹介されているが、この非特許文献3にも、対策方法については何ら明示されていない。
【0009】
次に、電子写真以外の分野におけるバリ除去法を紹介する。特許文献1では、リン酸740mlと硝酸60mlに純水200mlを加えて全量を1lとし、これにアルニウム合金の粉末を添加してデーバーリング液を作成して、この液を90〜95℃に加熱して被加工物を浸漬し、バリ取りを行なっている。しかし、この方法は高温の強酸を使用するので危険な問題がある。
【0010】
特許文献2では、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、あるいは銅合金からなる非鉄金属製のワークに対するバリ取り並びに研磨を好適に行なうことのできるブラシ状砥石、およびバリ取り並びに研磨方法を提供する方法として、ブラシ状砥石1では、複数本のアルミナ長繊維からなる集合糸にバインダー樹脂を含浸、硬化させた線状体2が複数本、結束され、これらの複数本の線状体2の自由端5で、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、あるいは銅合金からなる非鉄金属製のワークWに対して、バリ取り並びに研磨加工を行なう方法を提案している。
また、特許文献3では、同じく、無機長繊維を用いたブラシ状砥石、およびこのブラシ状砥石を用いたバリ取り並びに研磨方法として、ブラシ状砥石では、アルミナ長繊維20の単糸、複数本からなる集合糸2′であって、扁平に加工したものに樹脂21を含浸、硬化させた線状体2が複数本、結束され、これらの複数本の線状体2の自由端で、アルミニウム合金などのワークWに対して、バリ取り並びに研磨加工を行なう方法を提案している。 しかし、いずれの方法においても、バリ取りに時間がかかる上、バリ取りを完全に行なおうとすると、バリ部以外の面傷める問題がある。
【0011】
本発明が適用しようとする電子写真の分野においては、特許文献4で、センタレス研磨で生じる傷又は削れ粉を簡便に除去し、研磨後の円筒基体を用いた電子写真感光体及び現像剤担持体において電荷リークを低減する方法として、円筒体の表面をセンタレス研磨加工することで円筒基体4Sを表面処理した後、当該円筒基体4Sの表面を拭き取り部材(布、紙、スポンジ又は研磨テープ等)で拭くことで、研磨で生じる傷5又は削れ粉6を除去する方法を提案している。しかし、発明者らの検討では、研削加工で発生するバリはいわゆる根元が太く、ブラシ洗浄ではこれの完全な除去ができない問題がある。具体的には、センタレス加工後にブラシ洗浄を行なうことにより、かなりのバリは除去できるが、除去しきれないバリが数個〜十数個残り、これが電子写真感光体になった場合、電荷リークを発生させた。特に、表面粗さRzを0.7以上とした場合に、この傾向が著しかった。
そこで、発明者らは誠意センタレス研削加工におけるバリ対策法の検討を行ない、本発明に至った。
【0012】
【特許文献1】
特開平06−158358号公報(第1頁左下欄第6〜第11行目)
【特許文献2】
特開2002−210661号公報(第1頁左下欄第3〜7行目、第3頁第4欄第15〜29行目)
【特許文献3】
特開2002−219656号公報(第1頁左下欄第7〜末行目)
【特許文献4】
特開2002−123024号公報(第1頁左下欄第3〜第10行目)
【非特許文献1】
デジタルハードコピー技術 2000年11月15日 共立出版株式会社刊行
【非特許文献2】
機械加工学 155頁から158頁 津和秀夫著、昭和48年8月、(株)養賢堂刊
【非特許文献3】
精密工学講座11 切削工学の113頁 コロナ社 1973年刊
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金製管の研削加工において、バリの発生がない、あるいはバリの除去が容易な研削加工を可能にし、この方法によって作成した管を基体とした電子写真感光体ドラム、あるいは現像担持体において、電荷リークの問題が生じないようにすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「センタレス研削加工による電子写真装置用円筒体の加工において、複数回の研削を行なわれ、かつ、被加工物である円筒体に対する研削を行なう研削砥石の砥面の相対移動方向が、反転する方向の研削が行なわれることを特徴とする電子写真装置用円筒体の製造方法」、(2)「被加工物が外径20mm以上、80mm以下、研削加工前の被加工物の肉厚が0.7mm以上、3mm以下であり、かつ、研削加工後の研削加工面のJIS B0601で定義する十点平均粗さRzが0.5以上、2.5以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(3)「2回目以降のセンタレス研削加工で使用する研削輪が、ヤング率600MPa以上、2500MPa以下の弾性砥石であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(4)「研削輪の直径が30cm以上、120cm以下、かつ、調整車の直径が20cm以上、80cm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(5)「反転する方向での研削における研削量が、その前の研削における研削量の1/3以下、あるいは研削量0.05mm以下であることを特徴とする前記第(1)乃至第(4)項の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(6)「最初の研削以外の研削における研削量が、その前の研削において使用する研削砥石の砥粒の大きさの1/2以下、あるいは#600より細かな砥粒であることを特徴とする前記第(1)乃至第(5)項の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(7)「最初の研削以外の研削における研削切り込み速度が、その前の研削における研削速度と同等、もしくはそれ以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」、(8)「被加工物がJIS1000系、あるいはJIS3000系、あるいはJIS6000系のアルミニウム合金であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法」により達成される。
【0015】
また、上記課題は、本発明の(9)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の方法によって作成したことを特徴とするJIS B0601で定義する中心線表面粗さRaが0.15以上、1.5以下である電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管」ニッケルより達成される。
【0016】
また、上記課題は、本発明の(10)「前記第(9)項に記載の電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管を基体として有することを特徴とする電子写真感光体」により達成される。
【0017】
また、上記課題は、本発明の(11)「前記第(9)項に記載の電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管を基体として作成したことを特徴とする現像ロール又は定着ロール」により達成される。
【0018】
また、上記課題は、本発明の(12)「前記第(10)項に記載の電子写真感光体及び/又は前記第(11)項に記載の現像ロール又は定着ロールを使用したことを特徴とする電子写真装置(カートリッジを含む)」により達成される。
【0019】
上記問題点を解消するために、本発明に係る研削加工による電子写真装置用円筒体の加工において、複数回の研削を行ない、かつ、この複数回の研削加工が、加工物である円筒体に対する研削を行なう研削砥石の砥面の移動方向が反転する研削加工を行なうことにより、その直前の研削において生成したバリの除去を行なうことを特徴とする。
【0020】
発明者らの検討では、研削加工で生じたバリは一般的に根元が太いバリであり、研削方向に沿って後方側に尾を引くが如く斜め方向に傾いていることを特徴とする。また、みぞの両側に盛り上がり状に残ったバリ状物の大きさは砥粒の大きさと相関関係があることが明らかとなった。
このようなバリは、JIS B0601で定義する十点平均粗さRzが0.3以下では、その大きさは僅かなものであり、このようなバリが発生した基体であっても、厚さ0.5μm以上、好ましくは厚さ1.5μm以上の下引き層を形成することで、問題とはならなくなる。しかし、この場合、基体の表面粗さが小さいので、この基体で電子写真感光体を作成した場合、画像に干渉縞が発生する。
従って、JIS B0601で定義する十点平均粗さRzが0.3以上、好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.75以上であっても、バリがないことが要求される。
【0021】
発明者らは検討した結果、センタレス研削で発生したこのようなバリに対し、バリが生じた時の研削方向とは逆方向(即ちバリの先端が向いている方向と対向する方向から)に、再度研削を行なうと、効果的にバリを除去することが可能になることを見出した。この方法によって、センタレス研削を行なった面のJISB0601で定義する十点平均粗さRzが0.5以上とした場合でも、研削面にバリのない基体を得ることができた。
このようにして製作された電子写真装置用円筒体であるか否かは、斜め方向に傾いて立っていたバリが根元の太い部分からかなり鋭角に除去された痕跡面が顕微鏡等により観察されるか否かにより容易に識別することができる。周囲とかなりの角度差のある0.003〜1.5ミクロン径、逆方向研削が充分行われた場合には0.003〜1.0ミクロン径のやや扁平な痕跡面が観測されるが、順方向研削により除去された場合は研削に沿った細長い痕跡面が観測される。
【0022】
本方法において、最初の研削に対して、その次の研削時の研削量は少ないことが好ましく、請求項5に示すように、その前の研削における研削量の1/3以下、あるいは0.05mm以下が良い。 研削量を1/3以下あるいは0.5mm以下とすることによって、バリに対して逆方向から研削を行ない、バリを効果的に除くことが可能になる。ここで、研削量が同等であると、先の研削で生じたバリは除くことができるが、新たな研削で行なったバリによって、新しいバリが発生するので好ましくない。
【0023】
また、最初の研削に対して、その次の研削時の砥粒の大きさは、小さいことが好ましく、請求項6で示すようにその前の研削において使用する研削砥石の砥粒の大きさの1/2以下が良い。後に行なう研削において、砥粒の大きさを小さくすることにより、研削バリを効果的に除くことができる。通常研削砥石の粒度は例えば#10のように標記するが、これは1インチに10個のある篩を通過し、12個の篩に止まる砥粒の大きさを現すものである。
本発明においては、少なくとも2回の研削加工が良く、始めの研削は#200から#600が適しており、その次に行なう研削は#600から#3000が良い。以上の条件で1回目の研削と2回目の研削を反転して研削方向を逆にして研削することにより、効果的にバリを除くことが可能になる。
【0024】
また、請求項7に示すように、最初の研削以外の研削における研削速度が、その前の研削における研削速度の2/3以下にすることによって、研削で発生したバリをその後の研削で除去することが可能になる。ここで、研削速度の代わりに、調整車が研削輪に向けて軸を平行にして移動可能にしておき、調整車が研削輪に向けて接近する速度で現す場合が多い。そこで、調整車の移動速度で表現すると、始めの研削時の調整車の移動速度は0.001mm/sec〜0.02mm/secであり、2回目の始めの研削時の調整車の移動速度は0.0005mm/sec〜0.01mm/secが良い。
【0025】
本発明において、請求項3乃至7の2つ以上あるいはすべてを同時に複数回の研削を行ない、請求項1、2に示すように複数回の研削で研削方向を逆転させることが最も効果的である。
研削で生じたバリは強固であり、接触洗浄等では完全に除くことはできないが、本発明が示すように、複数回の研削を行ない、且つ、複数回の研削で研削方向を逆にすることにより、バリを除去することが可能になる。
【0026】
また、複数回の研削において、最初の研削以外の研削における研削砥石がヤング率600〜2500MPaの弾性砥石であることを特徴としている。従って、本発明では、研削時に砥粒は弾性体で保持固定されて、被加工物に接触することになる。その結果、例えば、大きく突出した砥粒があったとしても、その砥粒は研削加工時には被加工物と接触したときの圧力によって、砥粒は若干ではあるが、移動し、研削加工を行なっていない場合よりも突出量は少なくなる。その結果、被加工物は砥粒によって大きく削り取られることはなくなり、従ってバリの発生が押さえられる。
ここで、弾性砥石は、砥粒のバインダーとして、弾性質のバインダーを使用した砥石であり、その材質はポリビニルアルコール等の高分子材料が使用されている。
【0027】
本発明では、最初の研削加工以外をヤング率600〜2500MPaの弾性砥石で研削加工しており、最初の研削にはこのような弾性砥石を使用していない。
これは、弾性砥石を使用した場合は、研削効率が低下するので、これを避けるためのものである。従って、最初の研削から弾性砥石を用いても同様の効果が得られる。
ここで、弾性砥石としては、ポリビニール・アルコールのアセタール化物を結合剤とする弾性砥石、あるいはポリビニール・アルコール−エポキシ系を結合剤とする弾性砥石、あるいは、フェノールその他の熱硬化性樹脂を結合剤とし低温で焼成したレジノイド砥石が良い。 また、その弾性率は好ましくは1800〜2400MPaが良い。
ここで、一般的な砥石の弾性率はビトリファイド砥石の場合は、50000〜100000MPa、レジノイド砥石の場合は5000〜20000MPaである。
【0028】
本発明を実施するに当たり、研削回数が2回の場合は、最初の研削と、2回目の研削で研削方向を逆にすることが特徴である。
研削回数が3回、あるいはそれ以上の場合は、3回の研削のどこかで、研削方向を逆にして研削する。例えば、研削の回数が3回であった場合、1回目と2回目の研削を同じ方向で行ない、3回目の研削を逆方向で研削するか、あるいは、1回目の研削と2回目の研削を逆にして行ない、3回目の研削は2回目の研削と同じ方向で行なう。
【0029】
ここで、研削方向を逆にする際、同じ研削機を使う場合は、研削対象の基体を一旦取り出し、左右を逆にして研削機に取り付け、研削を行なうのが効率的である。一般に、研削機の研削輪は重量が30kg以上あり、これが千回転以上の速度で回転するので、この回転を逆転させるのは時間がかかり、効率的ではない。また、一般に研削機の研削輪のモーターは逆転可能に設計されていないので、逆転可能にするにはモーターを交換しなければならず、コストがかかる問題もある。
【0030】
従って、本発明において複数回の研削で、研削方向を逆転する場合は、複数台の研削機を容易して実施することが好ましい。 例えば、2台の研削機を用意し、片方の研削機には#600の研削輪を取り付け、もう片方の研削機には#1200の研削輪を取り付けておき、#600の研削輪を取り付けた研削機で研削を行なった後、研削対象である基体の左右を逆にしてから#1200の研削輪を取り付けた研削機で研削する。
そのため(全てのワーク(被研削材料の円筒体)を1回目の研削装置に入れる方向と2回目の研削装置に入れる方向とを間違いなく反転させるため)には、工程管理も重要であり、例えばワークの左右いずれかの側に、1回目あるいは2回目の研削装置に入れる方向を示す何らかの目印マークを付けることも好ましい。
【0031】
ここで、複数回の研削を行なう場合、その間隔は研削に使用する研削液が乾燥しない間隔とする必要がある。研削の間隔が空くと、被加工物に付着した研削液が乾燥し、後での除去が困難になる問題が発生する。基体表面は研削を行なうので、研削液の乾燥があっても問題ないと考えられがちであるが、実際には研削液が乾燥固化してムラ状の付着が発生し、次の研削時の障害となるので注意が必要である。また、基体内部の両端に研削液の固化物が付着すると、フランジ取り付けの際に取り付け寸法精度低下の原因になる。
【0032】
センタレス研削面のJIS B0601で定義する十点平均粗さRzが2.5以上の場合は、本発明に示すような研削加工を行なってもバリを完全に除去することはできない。しかし、画像干渉縞防止のためには、Rzは2.5以下で良く、Rzを2.5以上にする必要はない。ここで、Rzは請求項2に示すように、0.5以上、2.5以下が良いが、更に好ましくは、0.75以上、1.7以下、より更に好ましくは0.9以上、1.3以下が良い。
【0033】
また、本発明は請求項2に示すように、被加工物である電子写真装置用円筒体の外径が20mm以上、80mm以下、研削加工前の被加工物の肉厚が0.7mm以上、3mm以下であることが必要である。外径が20mmより小さいと、センタレス研削加工時に曲がりが大きくなる傾向がある。また、外径が80mm以上では、基体がおおきくなりすぎ、研削加工時にビビリが発生して安定した研削が行なえない問題がある。また、研削加工前の被加工物の肉厚は0.7mm以上である必要がある。肉厚が0.7mmより薄いと、センタレス研削時に基体の変形が生じ易い問題がある。センタアレス研削において、被加工物の肉厚に上限に技術的理由からの制限はなく、原材料コストの点から肉厚3mm以下が好ましい。
【0034】
また、本発明において、請求項4に示すように、研削輪の直径が30cm以上、120cm以下、かつ、調整車の直径が20cm以上、80cm以下である必要がある。先に述べたように、被加工物の外径は20mm以上、80mm以下であるが、この被加工物の曲率に対して、研削輪の直径が30cm以下であると、研削時の研削綸と被加工物の接する面が狭くなりすぎ、研削加工時にビビリ現象が発生する。また、研削綸の直径が120cm以上であると、均一に砥粒が分布した研削輪が製造できず、研削ムラや研削ビビリが発生する問題がある。
また、調整車の直径も20cm以下では、研削時の被加工物と調整車の接する面が狭くなりすぎ、研削加工時にビビリ現象が発生する。また、研削綸の直径が、80cm以上では、逆に研削時の被加工物と調整車の接する面が広くなり、調整車の押さえが効きすぎて、研削加工時に被加工物が変形しやすい問題が発生する。
【0035】
本発明は、基体の材質として、JIS1000系、JIS3000系、及び、JIS6000系のアルミニウム合金が適している。JIS5000系アルミニウム合金は硬度があり、JIS1000系、JIS3000系、及び、JIS6000系のアルミニウム合金に比べて延展性に乏しいため、センタレス研削を行なった場合のバリの発生量は少ないが、アルミニウム合金中に巣や硬質な析出物が存在し、これが電子写真感光体とした場合に画像欠陥の原因となった。
【0036】
本発明に示す研削方法をセンタレス研削で行なう場合、インフィード研削とスルーフィード研削の両方に適用可能であるが、基体の加工精度の点からは、インフィード研削のほうが適している。
このような本発明による円筒体は、1200dpi以上の画像形成装置や感光体を複数本有するタンデム方式のフルカラー画像形成装置に用いると有効である。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の電子写真装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図2において、ドラム状の感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)、現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)、クリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)が配置されている。帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)と現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)が照射され、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C),(6M),(6Y),(6K)の現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)とクリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)の間で感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアス(電圧)を印加するための転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)が配置されている。各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
【0038】
図2に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)において、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)により帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C),(5M),(5Y),(5K)で回収される。
【0039】
なお、図2の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((6C),(6M),(6Y))が停止するような機構を設けることは、本発明に特に有効に利用できる。更に、図2において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、良好に使用できる。
【0040】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれらの装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
【実施例】
以下に、実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
JIS 3003 アルミニウム合金を押し出し加工し、外径31.3〜31.6mm、内径27.8〜28.2mm、長さ340mmのアルミニウム合金管(以下粗素管と呼ぶ)を10本作製した。次に、この10本の粗素管に対して、下に示す条件で1回目のセンタレス研削を行なった。ここで、研削液は水性の研削液を使用し、その研削液を20±2℃に保ちながら循環した。このとき研削液中の研磨粉はフィルターにより濾過して除去し、研削部分には清浄な研削液が供給されるようにした。
【0041】
以上のようにしてセンタレス研削を行なったのち、センタレス研削盤から基体を取り外し、その左右を逆にして、図1に示すセンタレス研削装置にセットし、2回目のセンタレス研削を行なった。従って、1回目の研削と2回目の研削での被加工物に対する研削砥石の移動方向は逆となり、本発明に示す研削を行なったことになる。ここで、研削液の濾過は1回目の研削時と同様に行なった。
【0042】
【0043】
以上のようにして2回のセンタレス研削終了後、1時間以内に基体を界面活性材を含有させた洗浄槽に浸漬し、超音波を照射して洗浄を行なったのち、純水で充分にすすぎ洗浄を行なった。このようにして作成したアルミニウム合金管を実施例1の基体と呼ぶ。
実施例1の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は1.52であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
次いで、この10本の基体のうち、7本に対し、下記の組成からなる樹脂塗料を浸漬法で塗布を行ない、次いで150℃で15分間加熱し、熱硬化させて、基体面に約5μm厚の下引き層を形成させた。
酸化チタン 20重量部
アルキッド樹脂 10重量部
メラミン樹脂 10重量部
メチルエチルケトン 60重量部
【0044】
次いで、この下引き層上に、電荷発生層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、100℃で10分間乾燥し、下引き層上に電荷発生層を積層形成させた。
ブチラール樹脂(UCC 社製XYHL) 1重量部
チタニルフタロシアニン 9重量部
シクロヘキサノン 30重量部
テトラヒドロフラン(THF) 30重量部
【0045】
更に、この電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成するために下記の組成からなる樹脂塗料(塗工樹脂液)を調製し、上記基体に同じく浸漬法でこの樹脂塗料を塗布し、塗布後120℃で15分間乾燥し、電荷発生層上に電荷輸送層を積層形成させた。
【0046】
ポリカーボネート樹脂 10重量部
電荷移動剤[下記式(2)] 10重量部
ジクロロメタン 80重量部
なお、ポリカーボネート樹脂は帝人社製のパンライトK−1300を使用した。
【0047】
【化1】
【0048】
以上のようにして電子写真感光体層を形成した後、両端にフランジを取り付けた。この7本の電子写真感光体を実施例1の電子写真感光体とする。この電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白べた、ハーフトーン画像を各10枚印字した。その結果、すべての印字に異常画像の発生はなかった。ここで、基体にバリが存在すると、点状の異常画像が発生するが、そのような異常画像はなく、従ってバリのないことが推定できた。
次に、電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したが、バリの存在は確認できなかった。
【0049】
(実施例2)
実施例1と同じようにして作成した粗素管10本を順次下に示す条件で1回目のセンタレス研削を行なった。この研削を終えた管を基体と呼ぶ。
ここで、研削液は実施例1と同様に水性の研削液を使用し、その研削液を20±2℃に保ちながら循環した。このとき研削液中の研磨粉はフィルターにより濾過して除去し、研削部分には清浄な研削液が供給されるようにした。
【0050】
以上のようにしてのセンタレス研削を行なったのち、基体の左右を逆にして、図1に示すセンタレス研削装置にセットし、2回目のセンタレス研削を行なった。ここで、研削輪と調整車の回転方向は前の研削と同じ方向である。従って、1回目の研削と2回目の研削では、被加工物に対する研削砥石の移動方向は逆となり、本発明に示す研削を行なったことになる。
【0051】
このようにして作成したアルミニウム合金管を実施例2の基体と呼ぶ。実施例2の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は1.26であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
次に、実施例2の基体の7本に対して実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。これを実施例2の電子写真感光体とする。この7本の電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白ベタ、ハーフトーン画像を各10枚印字した。その結果、すべての印字に異常画像の発生はなかった。ここで、基体にバリが存在すると、点状の異常画像が発生するが、そのような異常画像はなく、従ってバリのないことが推定できた。
次に、電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したが、バリの存在は確認できなかった。
【0052】
(実施例3)
実施例1と同じようにして作成した粗素管10本を順次下に示す条件で1回目のセンタレス研削を行なった。この研削を終えた管を基体と呼ぶ。
ここで、研削液は実施例1と同様に水性の研削液を使用し、その研削液を20±2℃に保ちながら循環した。このとき研削液中の研磨粉はフィルターにより濾過して除去し、研削部分には清浄な研削液が供給されるようにした。
【0053】
以上のようにしてのセンタレス研削を行なったのち、基体の左右を逆にして、図1に示すセンタレス研削装置にセットし、2回目のセンタレス研削を行なった。ここで、研削輪と調整車の回転方向は前の研削と同じ方向である。従って、1回目の研削と2回目の研削では、被加工物に対する研削砥石の移動方向は逆となり、本発明に示す研削を行なったことになる。
このようにして作成したアルミニウム合金管を実施例3の基体と呼ぶ。実施例3の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は0.97であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
次に、実施例3の基体の7本に対して実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。これを実施例3の電子写真感光体とする。この7本の電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白ベタ、ハーフトーン画像を各10枚印字した。その結果、すべての印字に異常画像の発生はなかった。ここで、基体にバリが存在すると、点状の異常画像が発生するが、そのような異常画像はなく、従ってバリのないことが推定できた。
次に、電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したが、バリの存在は確認できなかった。
【0054】
(実施例4)
研削砥石の粒子径を1/3でかつ弾性とする。
実施例1と同じようにして作成した粗素管10本を順次下に示す条件で1回目のセンタレス研削を行なった。この研削を終えた管を基体と呼ぶ。
ここで、研削液は実施例1と同様に水性の研削液を使用し、その研削液を20±2℃に保ちながら循環した。このとき研削液中の研磨粉はフィルターにより濾過して除去し、研削部分には清浄な研削液が供給されるようにした。
【0055】
以上のようにしてのセンタレス研削を行なったのち、基体の左右を逆にして、図1に示すセンタレス研削装置にセットし、2回目のセンタレス研削を行なった。ここで、研削輪と調整車の回転方向は前の研削と同じ方向である。従って、1回目の研削と2回目の研削では、被加工物に対する研削砥石の移動方向は逆となり、本発明に示す研削を行なったことになる。また、ここで使用した研削輪は、ヤング率2000MPaの弾性砥石である。
研削輪粒度 #1400
研削砥石の種類 弾性砥石(弾性率 2000MPa)
研削車表面速度 1100m/min
研削輪と調整車の接近速度 0.001mm/sec
研削量(厚さの減少として) 0.02mm
調整車表面速度 41m/min
【0056】
このようにして作成したアルミニウム合金管を実施例4の基体と呼ぶ。実施例4の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は0.78であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
次に、実施例4の基体の7本に対して実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。これを実施例4の電子写真感光体とする。この7本の電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白ベタ、ハーフトーン画像を各10枚印字した。その結果、すべての印字に異常画像の発生はなかった。ここで、基体にバリが存在すると、点状の異常画像が発生するが、そのような異常画像はなく、従ってバリのないことが推定できた。
次に電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したが、バリの存在は確認できなかった。
【0057】
(比較例1)
実施例1と同じであるが、2回の研削において、基体の方向を逆にすることなく10本の研削加工を行なった。すなわち、1回目の研削と2回目の研削での被加工物に対する研削砥石の移動方向は同じである。このようにして作成したアルミニウム合金管を比較例1の基体と呼ぶ。
比較例1の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は1.55であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
以下、実施例1と同様にして電子写真感光体を7本作成した。このようにして作成した電子写真感光体を比較例1の電子写真感光体とする。この7本の電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白べた、ハーフトーン画像を各10枚印字した。その結果、7本すべてに点状の異常画像が確認できた。
そこで、画像欠陥の位置の対応する電子写真感光体表面を調べたところ、電荷発生層に微細な孔があり、その孔の底にアルミニウムの極く微細な球状物が存在していた。これは、バリがある基体で感光体を作成し、電子写真装置に使用して帯電を行なった際の帯電リークで生じる特徴的なものである。
次に、電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したところ、太さ3〜20μm、長さ5〜30μmの微細なバリが数十箇所に存在していた。
【0058】
(比較例2)
実施例2と同じであるが、2回の研削において、基体の方向を逆にすることなく研削を行なった。すなわち、1回目の研削と2回目の研削での被加工物に対する研削砥石の移動方向は同じである。
比較例2の基体から3本を取り、その表面粗さを東京精密製サーフコム570Aで測定したところ、JIS B0601に定める十点平均粗さの平均値は1.25であった。なお、表面粗さの測定に使用したこの3本の基体は、後でバリ有無の観察評価に供した。
以下、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。このようにして作成した電子写真感光体を比較例2の電子写真感光体とする。
以下、実施例1と同様にして電子写真感光体を7本作成した。このようにして作成した電子写真感光体を比較例2の電子写真感光体とする。この7本の電子写真感光体を、リコー製 Imagio MF2200 の解像度を1200dpiに改造した画像評価機に取り付けて、白べた、ハーフトーン画像を各10枚印字した。 その結果、7本すべてに点状の異常画像が確認できた。
そこで、画像欠陥の位置の対応する電子写真感光体表面を調べたところ、比較例1と同様に電荷発生層に微細な孔があり、その孔の底にアルミニウムの極く微細な球状物が存在していた。これは、バリがある基体で感光体を作成し、電子写真装置に使用して帯電を行なった際の帯電リークで生じる特徴的なものである。
次に、電子写真感光体層を形成していない、3本の基体の表面を光学顕微鏡で観察したところ、太さ5〜25μm、長さ5〜30μmの微細なバリが数十箇所に存在していた。
従って、実施例1、2、3、4、比較例1、2より本発明の効果が確認できた。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、アルミニウムあるいはアルミニウム合金製管の研削加工において、バリの発生がない、あるいはバリの除去が容易な研削加工を可能にし、この方法によって作成した管を基体とした電子写真感光体ドラム、あるいは現像担持体において、電荷リークの問題が生じないようにできるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いたセンタレス研削装置の構成図の例を示した図である。
【図2】本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1C 感光体
1M 感光体
1Y 感光体
1K 感光体
2C 帯電部材
2M 帯電部材
2Y 帯電部材
2K 帯電部材
3C レーザー光
3M レーザー光
3Y レーザー光
3K レーザー光
4C 現像部材
4M 現像部材
4Y 現像部材
4K 現像部材
5C クリーニング部材
5M クリーニング部材
5Y クリーニング部材
5K クリーニング部材
6C 画像形成要素
6M 画像形成要素
6Y 画像形成要素
6K 画像形成要素
7 転写(記録)紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C 転写ブラシ
11M 転写ブラシ
11Y 転写ブラシ
11K 転写ブラシ
12 定着装置
101 被加工物である円筒体
102 研削輪
103 調整車
103a 調整車3を研削輪2に向けて前進後退させる機構
104 調整車を被加工物に向けて接近後退させる機構
Claims (12)
- センタレス研削加工による電子写真装置用円筒体の加工において、複数回の研削を行なわれ、かつ、被加工物である円筒体に対する研削を行なう研削砥石の砥面の相対移動方向が、反転する方向の研削が行なわれることを特徴とする電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 被加工物が外径20mm以上、80mm以下、研削加工前の被加工物の肉厚が0.7mm以上、3mm以下であり、かつ、研削加工後の研削加工面のJIS B0601で定義する十点平均粗さRzが0.5以上、2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 2回目以降のセンタレス研削加工で使用する研削輪が、ヤング率600MPa以上、2500MPa以下の弾性砥石であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 研削輪の直径が30cm以上、120cm以下、かつ、調整車の直径が20cm以上、80cm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 反転する方向での研削における研削量が、その前の研削における研削量の1/3以下、あるいは研削量0.05mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 最初の研削以外の研削における研削量が、その前の研削において使用する研削砥石の砥粒の大きさの1/2以下、あるいは#600より細かな砥粒であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 最初の研削以外の研削における研削切り込み速度が、その前の研削における研削速度と同等、もしくはそれ以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 被加工物がJIS1000系、あるいはJIS3000系、あるいはJIS6000系のアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子写真装置用円筒体の製造方法。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の方法によって作成したことを特徴とするJIS B0601で定義する中心線表面粗さRaが0.15以上、1.5以下である電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管。
- 請求項9に記載の電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管を基体として有することを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項9に記載の電子写真装置用アルミニウム製管又はアルミニウム合金製管を基体として作成したことを特徴とする現像ロール又は定着ロール。
- 請求項10記載の電子写真感光体及び/又は請求項11に記載の現像ロール又は定着ロールを使用したことを特徴とする電子写真装置。
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