JP2004204121A - クロロプレン系共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2−クロロ−1,3−ブタジエン単位40〜99.9モル%とアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位60〜0.1モル%とからなる数平均分子量5,000〜300,000のクロロプレン系共重合体。このクロロプレン系共重合体は、シリカとの親和性に優れたゴム組成物の原料となるほか、高分子型シランカップリング剤としても有効である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位と、クロロプレン単位とからなるクロロプレン系共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレン系重合体の特性を改良するための手段としては、従来より、重合温度を変えることによる重合体のミクロ構造の組成比を変更すること、コモノマーを用いてポリマーの構造を変更すること、連鎖移動剤を変えることによってポリマー末端構造を変更することなどが知られており、数多くの事例がある(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
「Rubber Chemistry and Technology」、1976年、第49巻、p.670
【0004】
従来のクロロプレン系重合体は、機械的特性を改良するために、シリカを配合して一般工業用ゴム製品、自動車部品、接着剤などの分野において使用されてきたが、シリカとの親和性が不十分であり、シリカを配合しても機械的特性が十分に発現されていない可能性があった。シランカップリング剤と呼ばれるアルコキシシリル基を含有する低分子量化合物(分子量100〜500)を併用することで、機械的特性をある程度向上させることが可能であることが知られている。従来のシランカップリング剤は、シリカ表面と反応する官能基(アルコキシシリル基)を有する低分子量(分子量100〜500)の物質であり、これで処理した場合、シリカは低分子量の有機親和性基で表面改質される(例えば、非特許文献2参照。)。つまり、有機親和性基が低分子量であるために、1つの反応点が改質できる表面積が小さく、十分な効果を得るためには、多量のシランカップリング剤を使用しなければならず、配合処方がコスト高となってしまった。
【0005】
【非特許文献2】
日本ゴム協会編、「ゴム技術の基礎」初版、1983年、p.25−26
【0006】
本発明は、シランカップリング剤の効果を高めるためには、有機親和性基の分子量を高くし、1分子内のアルコキシシリル基を増やす必要があり、理想的には、シリカ表面と反応する官能基(アルコキシシリル基)を有するポリマーを高分子シランカップリング剤として用いることができるならば、1つの反応点で広い表面を改質することができ、従来の低分子シランカップリング剤に比べて効率が良くなることを見出したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子シランカップリング剤としての能力を有し、シリカとの親和性が高く、シリカを配合して機械的特性が十分に発現させることができるクロロプレン系共重合体を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
シランカップリング剤の効果を高めるためには、有機親和性基の分子量を高くし、1分子内のアルコキシシリル基を増やす必要があった。理想的には、シリカ表面と反応する官能基(アルコキシシリル基)を有するポリマーを高分子シランカップリング剤として用いることができるならば、1つの反応点で広い表面を改質することができ、従来の低分子シランカップリング剤に比べて効率が良くなる。本発明者等は、かかる知見に基づき、クロロプレン系重合体に部分的にアルコキシシリル基を導入することによって、高分子シランカップリング剤としての能力を有するクロロプレン系共重合体であって、この共重合体の存在下でアルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応を行えば、共加水分解−縮合によるシリカ表面の修飾も可能であるクロロプレン系共重合体を提供することができかつ上述した課題も解決することができることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、クロロプレンと言う)単位40〜99.9モル%とアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位60〜0.1モル%とからなる数平均分子量5,000〜300,000のクロロプレン系共重合体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。本発明のクロロプレンとは、2−クロロ−1,3−ブタジエンのことである。共重合体中におけるクロロプレンの共重合割合は、40モル%以上99.9モル%以下であり、80モル%以上99モル%以下であるのが好ましい。クロロプレンの共重合割合が40モル%以上99.9モル%以下の範囲であれば、安定に共重合体を製造することができる。
【0011】
本発明においてクロロプレンに共重合させるアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体とは、分子内に共役二重結合及びアルコキシシリル基を含有する構造を有する炭化水素を言い、クロロプレンと二重結合を通して有意に共重合する単量体であればいずれでもよい。
アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の例としては、1−トリメトキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリエトキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリプロポキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリイソプロポキシシリル−1,3−ブタジエンなどの1−アルコキシシリル−1,3−ブタジエン類、2−トリメチルシリル−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリプロポキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリイソプロポキシシリル−1,3−ブタジエンなどの2−アルコキシシリル−1,3−ブタジエン類、あるいは、4−メチレン−5−ヘキセニルトリメトキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリプロポキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリイソプロポキシシランなどの4−メチレン−5−ヘキセニルアルコキシシラン類がある。
共重合反応を効率的に進める上で、上記の中でも4−メチレン−5−ヘキセニルアルコキシシラン類が好ましい。
【0012】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランは、新規な物質であり、下記式によって表される:
【化2】
(式中、R、R’、R”は互いに同一であっても異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基である)。
【0013】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランは、下記の通りにして合成することができる。
溶媒中で、下記の式で示される2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド:
【化3】
と、下記の式で示される3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシラン:
【化4】
(Xはハロゲン原子である。R、R’、R”は、上に定義したのと同じである)とをカップリング反応させることによって4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランが得られる。
【0014】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドとは、2−クロロ−1,3−ブタジエンのグリニャール試薬のことである。
【0015】
2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの合成方法の一例を示す。マグネシウム粉末と、2−クロロ−1,3−ブタジエンと、溶媒と、塩化亜鉛とを混合して加熱することによって、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの溶液を得る。反応温度は40〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。40℃より低いと、反応率が低くなる可能性があり、100℃よりも高いと、原料化合物の揮発や2−クロロ−1,3−ブタジエンの重合が著しく起こり収率が低下する可能性がある。この反応では、系内に水分があると誘導期があったり反応率が低下したりする傾向があるため、使用する原料試薬は全て乾燥または脱水したものを使用することが好ましい。使用する溶媒は、原料試薬を溶解することができるものであれば、特に限定しないが、沸点が40℃以上の有機溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DIMSO)、ジグライム、トリグライム、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、o−キシレン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。このうち、テトラヒドロフラン(THF)が、蒸留分離が容易であるため最も好ましい。2−クロロ−1,3−ブタジエンの量は、溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。この範囲であれば、安全に高い濃度の2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド溶液を得ることが出来る。2−クロロ−1,3−ブタジエンの反応率は100%とすることが好ましい。未反応の2−クロロ−1,3−ブタジエンが残ると、蒸留操作が複雑になる。
【0016】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランは、下記の式で表される化合物である:
【化5】
(Xはハロゲン原子であり、塩素及びヨウ素であるのが一般的であり;R、R’、R”は、上に定義したのと同じである)。
【0017】
3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの具体例として、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリメチルシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3−ヨードプロピルトリプロポキシシランなどを挙げることができる。
【0018】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランは、アルコキシ基の炭素数が小さい方が最終目的物の沸点が低くなり、精製操作が容易となることから、アルコキシ基の炭素数が小さいものを使用するのが好ましい。この関係で、本発明において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランにおけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5であり、好ましくは1〜2である。
【0019】
3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランにおけるハロゲン原子は、塩素及びヨウ素が一般的であるが、塩素化されたものよりもヨウ素化されたものの方がカップリング反応の反応速度が速い。これらの理由から、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシランを使用するのが好ましい。
【0020】
カップリング反応速度を高めるために、3−クロロプロピルトリアルコキシシランにおける塩素を、あらかじめヨウ素に置換して3−ヨードプロピルトリアルコキシシランとして用いてもよい。このような置換反応は、ヨウ化ナトリウムのような金属ヨウ化物と3−クロロプロピルトリアルコキシシランとを、脱水アセトンのような溶媒に溶解させ、温度40〜100℃、好ましくは50〜80℃において、反応させることによって実施することができる。ヨウ素への置換は、ガスクロマトグラフィーによって確認することができる。反応液を冷却した後に、反応液を過剰のヘキサンのような溶媒に入れて塩化ナトリウムを析出させた後に、蒸留を行って3−ヨードプロピルトリアルコキシシランを得ることができる。
【0021】
カップリング反応速度を高めるために、また、触媒を用いても構わない。触媒としては、塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化リチウム、塩化ニッケル(II)などを挙げることができる。触媒を用いる場合、その使用量は、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシラン、及び2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド1molに対して、0.05〜0.20molであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.15molである。この範囲であれば、高い収率で目的とする化合物を得ることが出来る。
【0022】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成におけるカップリング反応は、下記のようにして実施する。まず、反応容器において、必要に応じて触媒を溶媒中に溶解させる。反応温度は40〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。40℃よりも低いと、反応率が低くなる可能性があり、100℃よりも高いと、4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの重合が起こる可能性がある。使用する溶媒は、沸点が40℃以上の有機溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DIMSO)、ジグライム、トリグライム、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、o−キシレン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。このうち、テトラヒドロフラン(THF)が、蒸留分離が容易であるため最も好ましい。次いで、反応容器に、上述した通りにして合成した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの溶液を加えた後に、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの溶液を滴下して加える。3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの添加量は、溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。この範囲であれば、高い収率で4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランを得ることが出来る。また、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの量と、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの量とは等モルにすることが好ましい。後者が過剰であると、ケイ素原子上でも置換反応が起こり、下式に示すような二量体が生成する場合がある。
【化6】
カップリング反応は発熱反応であるため、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの溶液を滴下する速度は、反応液の温度を上昇させ過ぎないように、調節する。カップリング反応の進行は、ガスクロマトグラフィーによって確認することができる。
【0023】
カップリング反応が終了したことを確認した後に、塩化アンモニウムなどの塩の水溶液と、ジエチルエーテルなどの有機溶媒とを用いて、一般的な抽出操作を行って生成物を精製する。精製操作を行った後に蒸留することによって、4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランが高い純度で得られる。
【0024】
本発明のクロロプレン系共重合体中におけるアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の共重合量は、0.1モル%以上60モル%以下であることが好ましい。本発明のクロロプレン系共重合体は、シリカとポリマーの複合材料の原料として有用であるが、この用途に使用する場合、0.1モル%よりも少ないと、アルコキシシリル基の導入効果が得られにくい。また、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体は比較的高価であるため、60モル%よりも多く共重合させようとすると、経済的に不利となるため好ましくない。本発明の共重合体は、0.1質量%テトラヒドロフラン溶液をGPC測定(スチレン換算)することによって得られる数平均分子量が、5,000以上300,000以下であることが好ましく、更に好ましくは5,000以上200,000以下である。この範囲であれば、重合反応中における共重合体のゲル化が起こりにくい。
【0025】
本発明において、アルコキシシリル基含有単量体の合計の1モル%以上50モル%以下の範囲で、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の一部をアルコキシシリル基含有ビニル単量体に代えて用いてもよい。このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体の例としては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシランなどを挙げることができる。
【0026】
本発明のクロロプレン系共重合体は、クロロプレン及びアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体を必須単量体とするが、必要に応じて、これら以外の単量体を共重合させてもよい。
【0027】
クロロプレン及びアルコキシシリル基含有単量体以外の単量体としては、クロロプレンと共重合可能であることが公知の単量体が挙げられ、具体的には、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル類、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、硫黄などがある。クロロプレン及びアルコキシシリル基含有単量体以外の単量体は、クロロプレン系共重合体中10モル%以下にするのが好ましい。
【0028】
本発明において、クロロプレン単位とアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位との共重合反応は、ラジカル重合によって進行する。クロロプレン単位とアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位とを共重合させる方法は、特に限定されず、塊重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれでもよい。特に、安定に共重合反応を進行させることが可能であることや、共重合体をラテックスとして得ることができるために幅広い用途に利用可能であることなどから、乳化重合がより好ましい。なお、乳化重合の場合には、アルコキシシリル基の加水分解が起こらないように、系のpHを中性付近に維持することが好ましい。
【0029】
共重合反応は、重合開始剤、乳化剤及び/または分散剤、連鎖移動剤、重合停止剤、重合温度、最終重合率、脱モノマーなどを適切に選定、制御することで、溶剤可溶部の分子量、溶剤不溶分(ゲル含有量)などを調整することが可能である。
【0030】
重合開始剤は、過酸化物、アゾ系化合物などの従来ラジカル重合において公知の重合開始剤から適宜選択すればよい。
過酸化物の一例を挙げれば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキサイド)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがある。
【0031】
アゾ系化合物の一例を挙げれば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)などがある。
【0032】
乳化重合の場合には、クロロプレン単位、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位、必要に応じてその他のコモノマーを水中で乳化剤及び/または分散剤の存在において共重合させることができる。反応は、温度5〜50℃で行うのが一般的である。必要に応じて、水以外の溶媒を用いてもよい。乳化剤及び/または分散剤は特に限定するものではなく、各種アニオン型、ノニオン型、カチオン型が使用できる。アニオン型としては、カルボン酸型、硫酸エステル型などがあり、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物などが挙げられる。ノニオン型の具体例としては、水溶性高分子、エーテル型、エステル型、ソルビタンエステル型、ソルビタンエステルエーテル型、アルキルフェノール型などがあり、例えば、ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ソルビタンモノオレート等を挙げることができる。カチオン型の具体的としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アミン塩、芳香族4級アンモニウム塩等があり、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0033】
乳化重合の場合、使用する乳化剤及び/又は分散剤の添加量は、初期仕込み単量体の合計100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下が好適である。0.5質量部よりも少ないと、乳化が不十分となり易く、20質量部よりも多いと、撹拌時の発泡が問題となったり、最終的なゴム製品の物性に悪影響を与える可能性がある。
【0034】
溶液重合の場合には、クロロプレン単位、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位、必要に応じてその他のコモノマーを有機溶剤に溶解させて共重合させることができる。反応は、温度5〜50℃で行うのが一般的である。用いる有機溶剤は特に限定されない。具体的には、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられ、二種類以上の有機溶剤を混合してもよい。
【0035】
連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できるが、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0036】
重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものでなく、例えば、2,6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンなどが使用できる。
【0037】
重合時の重合温度は特に限定されるものではないが重合反応を円滑に行うために、重合温度を10〜50℃とすることが好ましい。
【0038】
最終重合率は、特に限定するものではなく、任意に調節することができ、未反応の単量体は減圧加熱等の公知の方法によって除去でき、その方法は特に限定するものではない。
【0039】
本発明のクロロプレン系共重合体には、ポリマーに対して通常用いられる添加剤、助剤などを添加することができる。好適な添加剤、助剤としては酸化防止剤、滑剤、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、充填剤、発泡剤などが挙げられる。
【0040】
本発明のクロロプレン系共重合体は、用途は特に限定されず、従来のクロロプレン系重合体が用いられている一般工業用ゴム製品、自動車部品、接着剤、工業用部品などに利用可能なだけでなく、高分子量型シランカップリング剤として、従来の低分子量型シランカップリング剤と同様の利用が可能である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0042】
[実験例1]
ヨウ化ナトリウム135.0g(0.9mol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン59.6g(0.3mol)とを、脱水アセトン900mlに溶解させた。80℃で4日間還流させた。ガスクロマトグラフィーによって、全量ハロゲン置換したことを確認した後、冷却した。反応液を過剰のヘキサンに入れて塩化ナトリウムを析出させた後、蒸留をおこなった。3−ヨードプロピルトリメトキシシランは、77℃、5mmHgで留出し、主留として80.5g得られた。
【0043】
[実験例2]
ヨウ化ナトリウム135.0g(0.9mol)と3−クロロプロピルトリエトキシシラン72.2g(0.3mol)を、脱水アセトン900mlに溶解させた。80℃で4日間還流させた。ガスクロマトグラフィーによって、全量ハロゲン置換したことを確認した後、冷却した。反応液を過剰のヘキサンに入れて塩化ナトリウムを析出させた後に、蒸留を行った。3−ヨードプロピルトリメトキシシランは、86℃、5mmHgで留出し、主留として80.5g得られた。
【0044】
[実験例3]
2−クロロ−1,3−ブタジエン30.0g(0.34mol)、テトラヒドロフラン(THF)170ml、マグネシウム粉末6.2g、塩化亜鉛5.0gを混合して約80℃で加熱した。2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液を得た。このTHF溶液の一部を、HCl水溶液とNaOH水溶液で滴定した結果、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの濃度は1.0mol/Lであることが分かった。
【0045】
[参考例1]
500ml丸底フラスコに、無水塩化リチウム0.64g(0.015mol)と、無水塩化銅(II)1.01g(0.0075mol)と、脱水テトラヒドロフラン(THF)75mlを入れて溶解させた。続いて、実験例1で作製した3−ヨードプロピルトリメトキシシランを43.5g(0.15mol)添加した。実験例3で作製した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液150mlを、滴下漏斗を用いて、少量ずつ添加した。滴下速度は、反応液が40〜50℃程度になるように調節した。ガスクロマトグラフィーにより、カップリング反応の反応率が100%であることを確認した後、塩化アンモニウムの20質量%水溶液200mlに、反応液を添加して混合した。ジエチルエーテルで5回抽出操作を行い、蒸留した。
【0046】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリメトキシシランを、70℃、5mmHgで留出し、主留として25.5g(0.12mol)得た。ガスクロマトグラフィーにて純度を測定した結果、99.5%以上であった。蒸留による回収率は78.5%であった。
【0047】
[参考例2]
500ml丸底フラスコに、無水塩化リチウム0.64g(0.015mol)と、無水塩化銅(II)1.01g(0.0075mol)と、脱水テトラヒドロフラン(THF)75mlを入れて溶解させた。続いて、実験例1で作製した3−ヨードプロピルトリエトキシシランを49.8g(0.15mol)添加した。実験例3で作製した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液150mlを、滴下漏斗を用いて、少量ずつ添加した。滴下速度は、反応液が40〜50℃程度になるように調節した。ガスクロマトグラフィーにより、カップリング反応の反応率が100%であることを確認した後、塩化アンモニウムの20質量%水溶液200mlに、反応液を添加して混合した。ジエチルエーテルで5回抽出操作を行い、蒸留した。
【0048】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシランを、75℃、5mmHgで留出し、主留として31.3g(0.12mol)得た。ガスクロマトグラフィーにて純度を測定した結果、99.5%以上であった。蒸留による回収率は80.6%であった。
【0049】
[実施例1]
20mlシュレンク管を反応器として用いて、これに、窒素雰囲気中で、クロロプレン0.93g(10.5mmol)、参考例2で得た4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン10.86g(42.0mmol)、V−70(和光純薬工業株式会社製、化合物名:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.162g(0.53mmol)、トルエン0.24g(2.60mmol)を仕込み溶解させ、40℃で60分間反応させた。ガスクロマトグラフィーによって未反応モノマー濃度を測定し、重合率を計算したところ5%であった。反応が終了した後に、反応器を氷冷し、メタノールとベンゼンで2回精製し、ベンゼン溶液を−60℃で凍結後、真空乾燥させた。この精製ポリマーは有機溶剤に可溶であった。分子量及び共重合体中のモノマー組成を表1に示す。
【0050】
精製ポリマーの分子量は、装置:HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)、プレカラム:TSKガードカラムHHR−H、分析カラム:HSKgelGMHHR−H、サンプルポンプ圧:8.0〜9.5MPa、サンプル調整濃度0.1質量%で測定した。
【0051】
共重合体中のモノマー組成は、JNM−GSX−400(日本電子株式会社製)を用いて、1H−NMRによって測定した。
【0052】
[実施例2]
20mlシュレンク管を反応器として用いて、これに、窒素雰囲気中で、クロロプレン3.32g(37.5mmol)、参考例2で得た4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン9.69g(37.5mmol)、V−70(和光純薬工業株式会社製、化合物名:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.231g(0.75mmol)、トルエン0.35g(3.75mmol)を仕込み溶解させ、40℃で50分間反応させた。ガスクロマトグラフィーによって未反応モノマー濃度を測定し、重合率を計算したところ11%であった。反応が終了した後に、反応器を氷冷し、メタノールとベンゼンで2回精製し、ベンゼン溶液を−60℃で凍結後、真空乾燥させた。この精製ポリマーは有機溶剤に可溶であった。分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析結果を表1に示す。
分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析方法は実施例1と同じである。
【0053】
[実施例3]
20mlシュレンク管を反応器として用いて、これに、窒素雰囲気中で、クロロプレン7.97g(90.0mmol)、参考例2で得た4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン5.81g(22.5mmol)、V−70(和光純薬工業株式会社製、化合物名:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.348g(1.13mmol)、トルエン0.53g(5.75mmol)を仕込み溶解させ、40℃で15分間反応させた。ガスクロマトグラフィーによって未反応モノマー濃度を測定し、重合率を計算したところ11%であった。反応が終了した後に、反応器を氷冷し、メタノールとベンゼンで2回精製し、ベンゼン溶液を−60℃で凍結後、真空乾燥させた。この精製ポリマーは有機溶剤に可溶であった。分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析結果を表1に示す。
分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析方法は実施例1と同じである。
【0054】
[実施例4]
3Lガラス製丸底フラスコを反応器として用いて、これに窒素雰囲気中で、クロロプレン943.8g(10.6mol)、参考例2で得た4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン56.2g(0.22mol)、1−ドデカンチオール2.2g、純水1150g、ラウリル硫酸ナトリウム40.0gを仕込み乳化させた。乳化後、過硫酸カリウム1gを開始剤として用い、窒素雰囲気下35℃で重合し、最終重合率が59%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、クロロプレン系重合体ラテックスを得た。
【0055】
メタノールによってポリマーを析出させた後、ベンゼンによる溶解とメタノールによる析出を2回繰り返して精製し、ベンゼン溶液を−60℃で凍結後、真空乾燥させた。この精製ポリマーはテトラヒドロフラン及びクロロホルムに約30質量%可溶であった。可溶部分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析結果を表1に示す。
溶剤可溶部の分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析方法は実施例1と同じである。
【0056】
[実施例5]
3Lガラス製丸底フラスコを反応器として用いて、これに窒素雰囲気中で、クロロプレン853.9g(9.6mol)、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン52.7g(0.43mol)、1−クロロ−1,3−ブタジエン38.0g(0.43mol)、参考例2で得た4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン55.4g(0.15mol)、1−ドデカンチオール2.2g、純水1150g、ラウリル硫酸ナトリウム40.0gを仕込み乳化させた。乳化させた後に、過硫酸カリウム1gを開始剤として用い、窒素雰囲気下35℃で共重合させ、最終重合率が62%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、クロロプレン系重合体ラテックスを得た。
【0057】
メタノールによってポリマーを析出させた後、ベンゼンによる溶解とメタノールによる析出を2回繰り返して精製し、ベンゼン溶液を−60℃で凍結させた後に、真空乾燥させた。この精製ポリマーはテトラヒドロフラン及びクロロホルムに約40質量%可溶であった。可溶部分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析結果を表1に示す。
溶剤可溶部の分子量及び共重合体中のモノマー組成の分析方法は実施例1と同じである。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明のクロロプレン系共重合体は、部分的にアルコキシシリル基を含有している。アルコキシシリル基が導入されたクロロプレン系共重合体は、シリカとの親和性に優れたゴム組成物の原料となるほか、高分子型シランカップリング剤としても有効である。
Claims (4)
- 2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、クロロプレンと言う)単位40〜99.9モル%とアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体単位60〜0.1モル%とからなる数平均分子量5,000〜300,000のクロロプレン系共重合体。
- 更に共役ジエン単量体単位を共重合させてなる請求項1又は2項記載のクロロプレン系共重合体。
- 乳化共重合で製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のクロロプレン系共重合体。
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