JP2004204064A - 有色樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

有色樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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Koichi Shimizu
晃一 清水
Hiroki Daiko
寛己 大胡
Toshio Shimada
年男 島田
Kenichi Tsukamoto
憲一 塚本
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Abstract

【課題】従来、同時に満足することが困難であった耐候性及び耐蓄熱性に優れる有色樹脂組成物及びその成形品、特に積層成形雨樋を提供すること。
【解決手段】(1)ポリブタジエンが2質量%以下のゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体と着色剤としてのカーボンブラックが0.1質量%以下とを含有することを特徴とする耐候性と耐蓄熱性とを有する有色樹脂組成物、(2)ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体のゴム成分がエチレン−αオレフィンゴム又はアクリルゴムであることを特徴とする(1)記載の有色樹脂組成物を構成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有色樹脂組成物成形品が主に屋外で使用される場合、変色を抑制しかつ蓄熱による昇温を抑制することにより成形品の熱変形を抑制することができる有色樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より熱可塑性樹脂成形品は自動車外装または建材用途に広く使用され、建材の軒樋、竪樋、集水器、継手等の雨樋用には塩ビ樹脂が多く使用されてきた。
雨樋は茶色あるいは黒色等の比較的暗色系で使用される場合が多く、その際、暗色用着色剤としてカーボンブラックを使用する場合が殆どであった。
カーボンブラックは太陽光の蓄熱による昇温が大きく、成形品が熱変形しやすい欠点があった。しかし、カーボンブラック以外の着色剤の組み合わせで暗色系に色合わせを行った場合、昇温は抑えることができる(例えば、特許文献1、2参照。)。しかし、太陽光による変色が大きくなり、耐変色性と耐蓄熱性を同時に満足することは困難であった。
【0003】
【特許文献1】
特公昭51−30908号公報
【特許文献2】
特公昭60−30347号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来の欠点を改良し、主に屋外で使用された場合、太陽光による変色及び蓄熱昇温による熱変形を抑制する有色樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を鑑み鋭意研究した結果、ポリブタジエン含有量を規定したゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体を用いることにより暗色用着色剤としてカーボンブラックを殆ど使用しないで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、(1)ポリブタジエンが2質量%以下のゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体と着色剤としてのカーボンブラックが0.1質量%以下とを含有することを特徴とする耐候性と耐蓄熱性とを有する有色樹脂組成物、(2)ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体のゴム成分がエチレン−αオレフィンゴム又はアクリルゴムであることを特徴とする(1)記載の有色樹脂組成物、(3)ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体が下記に示す樹脂組成物(I)60〜95質量%と変性ポリオレフィン系重合体(II)5〜40質量%からなることを特徴とする(1)又は(2)記載の有色樹脂組成物であって、前記樹脂組成物(I)が、芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位及びエポキシ基を有するビニル単量体単位を含有する共重合体(A)、又は該共重合体(A)と芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位を含有する共重合体(B)との組成物であって、共重合体(A)中のエポキシ基を有するビニル単量体の量は、共重合体(B)を含まないときは共重合体(A)の100質量部に対し、また共重合体(B)を含むときは共重合体(A)と共重合体(B)の合計量100質量部に対してそれぞれ0.1〜10質量%含有する樹脂組成物であり、前記変性ポリオレフィン系重合体(II)が、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位及び/又は不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜10質量%で変性された変性ポリオレフィン系重合体であり、
(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載の有色樹脂組成物からなる成形品、(5)(1)〜(3)のいずれか1項記載の有色樹脂組成物を被覆層とすることを特徴とする積層成形品、(6)積層成形品が積層成形雨樋であることを特徴とする(5)記載の積層成形品である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の有色樹脂組成物は、ポリブタジエンが2質量%以下のゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体と着色剤としてのカーボンブラックが0.1質量%以下とを含有する耐候性と耐蓄熱性とを有する有色樹脂組成物である。
ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体としては、AES樹脂(アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)またはACS樹脂(アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体)等が挙げられるが、ACSは焼却時のダイオキシン発生の懸念があり、AES樹脂またはAAS樹脂が好ましい。
【0008】
従来、AES樹脂のゴム成分は第3成分として少量のエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等のジエン系モノマーが導入されたエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)が一般的であり、また従来AAS樹脂のゴム成分はアクリル酸エステル(エチルアクリレート、nブチルアクリレート)を主成分にその他のモノマー(アクリロニトリル、スチレン、メチルメチクリレート等)及び必須成分として架橋点となる活性基を有する成分(ブタジエン、クロロエチルビニルエーテル、クロル酢酸ビニル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、エチリデンノルボルネン等)との共重合体であるアクリルゴムが一般的であり、従来AES樹脂又はAAS樹脂は一般的に二重結合成分を含むゴム成分が使用されている。
【0009】
ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体のAES樹脂または、AAS樹脂の製造法は特に制限はなく、従来公知の溶液または乳化重合法等により製造されたものでもかまわない。より好ましくは、乳化剤等の不純物が少なくまた二重結合成分を含まないゴム成分からなるAES樹脂であり、特開平5−43758号公報、特開平6−9840号公報に示される芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位及びエポキシ基を有するビニル単量体単位を必須の単量体単位とする共重合体と変性ポリオレフィン系重合体とを溶融混合して得られる樹脂組成物を必須成分とするAES樹脂である。
【0010】
本発明のより好ましいゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体、AES樹脂について説明する。該AES樹脂は、樹脂組成物(I)と変性ポリオレフィン系重合体(II)を含有する。
【0011】
まず、樹脂組成物(I)を構成する共重合体について述べる。樹脂組成物(I)は共重合体(A)、または共重合体(A)と共重合体(B)からなる。共重合体(A)及び共重合体(B)に用いられる芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びt−ブチルスチレン等が挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。また、シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。更に、エポキシ基を有するビニル単量体の具体例としては、グリシジルメタクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
【0012】
また、本発明の共重合体(A)及び共重合体(B)は、必要に応じてその他の共重合可能なメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル等の単量体単位を含んでもかまわない。
【0013】
上記の共重合体(A)の各単量体単位の割合は、共重合可能な範囲であれば特に限定するものでないが、好ましくは芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の合計量が99.9〜70質量%、さらに好ましくは99.9〜90質量%であり、エポキシ基を有するビニル単量体単位は、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
【0014】
また芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の100質量%中における、芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは65〜85質量%である。芳香族ビニル単量体単位の割合がこの範囲以外では、当該熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性及び流動性が低下して好ましくない。
【0015】
次に、上記の共重合体(B)の芳香族ビニル単量体単位とシアン化ビニル単量体単位の割合は、特に限定するものでないが、好ましくは両者の合計100質量%中に芳香族ビニル単量体単位の割合が50〜90質量%、更に好ましくは65〜85質量%の範囲が良い。芳香族ビニル単量体単位の割合がこれより少ないと当該熱可塑性樹脂組成物の流動性が低く、これより多いと耐薬品性が低下して好ましくない。
【0016】
本発明における樹脂組成物(I)における共重合体(A)中に共重合したエポキシ基を有するビニル単量体単位の量は、樹脂組成物(I)として共重合体(A)を単独に使用する場合は、エポキシ基を有するビニル単量体単位0.1〜l0質量%を含有する共重合体(A)を用いる。また共重合体(B)を含むときは、エポキシ基を有するビニル単量体単位0.1〜30質量%を含有する共重合体(A)を用いることができるが、共重合体(A)と共重合体(B)の合計量100質量部中にはエポキシ基を有するビニル単量体単位の量は0.1〜l0質量%含有するものである。エポキシ基を有するビニル単量体単位の量が、該割合の範囲であれば共重合体(A)と共重合体(B)の割合を限定するものではない。エポキシ基を有するビニル単量体単位の量が、0.1質量%未満では、当該熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃強度が劣り、10質量%を越えると流動性が極めて低くなり、かつ衝撃強度も落ちる。
【0017】
次に、本発明における変性ポリオレフィン系重合体(II)について説明する。本発明の変性ポリオレフィン系重合体(II)とは、オレフィン単量体の重合体又はその共重合体の変性物を指し、用いられるオレフィン単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、シクロブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
【0018】
好ましい組成範囲を例示するならば、エチレン20〜90モル%、α−オレフィン単量体単位10〜80モル%及びその他の単量体単位0〜10モル%であり、好ましくはエチレン単量体含有率が50〜85モル%であり、特に好ましくは50〜80モル%である。また、これら変性ポリオレフィン系重合体(II)のガラス転移温度は、温度が−10℃以下、特に好ましくは−30℃以下である。
【0019】
ポリオレフィン系重合体又は共重合体を変性する不飽和ジカルボン酸無水物単量体の具体例としては、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、無水1,2−ジメチルマレイン酸、無水エチルマレイン酸、無水フェニルマレイン酸等が挙げられ、無水マレイン酸が特に好ましい。また不飽和カルボン酸単量体の具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0020】
本発明における変性ポリオレフィン系重合体(II)は、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位及び/又は不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜10質量%で変性されたものであり、変性した量が0.1質量%未満では、当該熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃強度が劣り、10質量%を越えると当該組成物の耐衝撃強度が劣りかつ、流動性が低くなる。
【0021】
本発明でいう変性とは、ポリオレフィン系重合体の主鎖あるいは側鎖の変性に用いられた単量体単位、例えば無水マレイン酸単量体単位が存在することを示すものであり、ランダム共重合、グフフト重合等の公知技術で変性を行うことができる。変性方法は特に制限はなく、例えば、特公昭39−6810号公報、同52−43677号公報、同53−5716号公報、同56−9925号公報及び同58−445号公報に開示された方法に従って変性を行うことができる。
【0022】
また変性は、主鎖への導入よりもグラフト体として変性をしてあるものの方が、当該熱可塑性樹脂組成物の低温衝撃値等の点で好ましく、また未反応の単量体残量は0.5質量%以下が物性面で好ましい。
【0023】
変性ポリオレフィン系重合体(II)の質量平均分子量は、特に制限がないが、耐衝撃性や成形性のバランスから5万〜50万、特に好ましくは10万〜30万のものが好ましい。これらの変性ポリオレフィン系重合体(II)としては、例えば、市販のタフマーMP−0620(三井化学工業(株)製、商品名)がある。
【0024】
本発明の有色樹脂組成物は、樹脂組成物(I)60〜95質量%、好ましくは65〜90質量%と、変性ポリオレフィン系重合体(II)5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%からなる樹脂組成物である。変性ポリオレフィン系重合体(II)が5質量%未満では、当該樹脂組成物の耐衝撃強度が劣り、また40質量%を越えては、耐熱性及び剛性が低下するので好ましくない。該樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、JIS K 6874に準拠した、温度220℃、荷重10kgで測定したメルトフローレートが1〜40g/10分の組成物である。
【0025】
本発明の有色樹脂組成物のポリブタジエン含量は2質量%以下である。そして、2質量%以下は0を含むものである。好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。 ポリブタジエン含量が2質量%を超えると、着色剤としてのカーボンブラック含量が少ないと耐候性が著しく悪くなり、変色が顕著に目立つので好ましくない。
【0026】
また、本発明の有色樹脂組成物の着色剤としてのカーボンブラック含量は0.1質量%以下である。そして、0.1質量%以下は0を含むものである。好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下である。着色剤としてのカーボンブラック含量が0.1質量%を超えると、耐蓄熱性が著しく悪くなり、光による樹脂組成物の表面温度の上昇が顕著になるので好ましくない。
【0027】
本発明の有色樹脂組成物は着色剤を配合することにより色付けされたものであり、使用する着色剤としては顕著に赤外領域の波長を有する光の吸収が良く蓄熱性の高いカーボンブラック以外ならば特に制限は無く、アントラキノン系、インジゴイド系、アゾ系等の染料、アゾ系、フタロシアニン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系等の有機顔料、フエロシアン化物、酸化物、硫化物、硫酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩等の無機顔料の中から任意に選択、組み合わせることができるが、耐性変色の面から有機顔料、無機顔料から選択するのが好ましく、また赤外領域の波長を有する光の吸収が少ない耐蓄熱性の良い着色剤が好ましい。
【0028】
本発明の有色樹脂組成物の色調としては、黒色、暗茶色、茶色、緑色、黄色、赤色、青色、紫色、灰色等が挙げられる。
【0029】
着色剤の使用量はゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは1〜8質量部である。0.1質量部より少ないと耐候変色が大きくなり、10質量部を超えるとゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体の強度が低くなる。
【0030】
本発明の有色樹脂組成物は耐候剤を加える事によりさらに耐候性を向上させうる。耐候剤としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせが用いられる。
【0031】
また、本発明の有色樹脂組成物は、用途に応じて他の添加剤あるいは改質剤を加えて組成物とすることが可能であり、具体的には、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、摺動剤またはガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム等の充填剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の有色樹脂組成物を得るための混合は、通常の溶融混練装置を用いて行うことができる。好適に使用できる溶融混練装置としては、スクリュー押出機、バンバリーミキサー、コニーダー、混合ロール等がある。
【0033】
本発明の有色樹脂組成物の成形品を得ようとする場合、成形する方法に特に制限はなく、射出成形機、単軸または二軸押出し成形機、プレス成形機による成形が一般的である。
【0034】
また本発明の有色樹脂組成物を被覆層とする積層成形品を得ようとする場合、芯層材は特に制限はないが、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。屋外で使用される場合は、塩化ビニル系樹脂、AES樹脂及びAAS等のスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が好ましく、経済的に塩化ビニル系樹脂が使用される例が多い。塩化ビニル系樹脂は比較的低温で熱変形しやすくまたチョーキング等による耐候白化が目立ち、塩化ビニル系樹脂の耐候変色、蓄熱による熱変形の改良に本発明は特に効果的な結果が得られる。なお、芯層も着色剤としてカーボンブラックを殆ど使用しないまたは全く使用しない方が耐蓄熱性の面から好ましい。
【0035】
また、芯層となる樹脂に、被覆層として本発明の樹脂組成物を被覆してなる積層成形品を成形する方法は、芯層材を二軸押出機で押出し、被覆材を単軸押出機にて押出しダイ内先端部にて被覆する方法が一般的である。被覆された成形物は押出後冷却装置で冷却され、引取機を通り一定の長さに切断される。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明する。また、これらはいずれも例示的なものであって、本発明の内容を限定するものではない。なお、比は特に断りのない限り質量基準で示した。
【0037】
(1)樹脂組成物
(1)−1:樹脂組成物(I)
(イ)共重合体(A)
スチレンとアクリロニトリルとグリシジルメタクリレートの共重合比が74/25/1である共重合体を用い、これを(a−1)とする。
【0038】
(ロ)共重合体(B)
スチレンとアクリロニトリルの共重合比が75:25である一般に市販されている標準のスチレン−アクリロニトリル共重合体を用い、これを(b−1)とする。
【0039】
(1)−2:変性ポリオレフィン系共重合体(II)
公知の方法で得られるエチレン含量80モル%のエチレン・プロピレン共重合体に無水マレイン酸を付加したもので、無水マレイン酸の付加量が1.3質量%のものを用い、これを(c−1)とした。
【0040】
(2)ABSグラフト共重合体
公知の方法で得られるポリブタジエンとスチレンとアクリロニトリルの比率が50:37.5:12.5であるグラフト共重合体を(d−1)とする。
【0041】
有色樹脂組成物[H−1]は、共重合体(a−1)と変性ポリオレフィン系共重合体(c−1)を35:65の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、東芝機械ニ軸押出機TEM−35Bで樹脂温度270℃で押出しペレット化し(e−1)を得た後、更に(e−1)と(b−1)及び着色剤である酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、アントラキノン系緑色染料(C.I.Solvent Green 3)を35:65:0.1:0.05:3:0.1の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、TEM−35B押出機で樹脂温度230℃で押出しペレット化し得た。なお得られた有色樹脂組成物[H−1]は黒色系である。
【0042】
有色樹脂組成物[H−2]は、前記同様(e−1)を得た後、更に(e−1)、(b−1)、(d−1)及び着色剤である酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、アントラキノン系緑色染料(C.I.Solvent Green 3)を33:65:2:0.1:0.05:3:0.1の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、TEM−35B押出機で樹脂温度230℃で押出しペレット化し得た。
【0043】
有色樹脂組成物[H−3]は、前記同様(e−1)を得た後、更に(e−1)、(b−1)及び着色剤である、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、アントラキノン系緑色染料(C.I.Solvent Green 3)を35:65:0.01:0.1:0.05:3:0.1の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、TEM−35B押出機で樹脂温度230℃で押出しペレット化し得た。
【0044】
有色樹脂組成物[H−4]は、前記同様(e−1)を得た後、更に(e−1)、(b−1)及び着色剤である、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、アントラキノン系緑色染料(C.I.Solvent Green 3)を35:65:0.05:0.1:0.05:3:0.1の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、TEM−35B押出機で樹脂温度230℃で押出しペレット化し得た。
【0045】
有色樹脂組成物[H−5]は、前記同様(e−1)を得た後、更に(e−1)、(b−1)、(d−1)及び着色剤である、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、アントラキノン系緑色染料(C.I.Solvent Green 3)を34:65:1:0.01:0.1:0.05:3:0.1の比率でヘンシェルミキサーで混ぜた後、TEM−35B押出機で樹脂温度230℃で押出しペレット化し得た。
【0046】
有色樹脂組成物[H−6]及び[H−7]も表2に示す配合比で同様に作成した。
【0047】
なお、得られたこれらのペレットのJIS K6874に準拠した、温度220℃、荷重10kgで測定したメルトフローレートはそれぞれH−1が21g/10分、H−2が19g/10分、H−3が21g/10分、H−4が20g/10分、H−5が19g/10分、H−6が17g/10分、H−7が21g/10分であった。
【0048】
実施例1
芯層用樹脂として硬質塩ビ樹脂配合物(重合度1100、鉛安定剤配合)を65mmφ異方向二軸押出機で、被覆層用有色樹脂組成物[H−1]を50mmφ単軸押出機を用いて、表1に示した押出条件で共押出を行い、図1の形状の積層成形雨樋を作成した。図中、1は芯層(厚み約1.4mm)、2は被覆層(厚み約0.2mm)を示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004204064
【0050】
実施例2〜実施例5
実施例1で被覆層用有色樹脂組成物として用いた[H−1]の替わりに実施例2では[H−2]を、また実施例3では[H−3]を、また実施例4では[H−4]を、また実施例5では[H−5]を用いた以外は、実施例1と同様にして共押出を行い、図1の形状の積層成形雨樋を作成した。
【0051】
比較例1及び比較例2
実施例1で被覆層用有色樹脂組成物として用いた[H−1]の替わりに比較例1では[H−6]を、また比較例2では[H−7]を用いた以外は、実施例1と同様にして共押出を行い、図1の形状の積層成形雨樋を作成した。
【0052】
また、上記の各実施例及び各比較例で得られた雨樋の評価結果を表2に示した。なお、各評価方法は次の通りである。
(1)耐候変色促進試験
上記の実施例及び比較例で作成した雨樋(厚さ約1.8mm)からテストピースを切り出し、アイスーパーUVテスターSUV−W131(岩崎電気(株)製 超促進耐候性試験装置)で温度63℃、照射強度100mv/cm、照射時間4時間、結露時間4時間の計8時間を1促進サイクルとして照射試験し、10促進サイクル後(促進80時間、照射時間40時間、結露40時間)の色相変化をミノルタ(株)製色彩色差計CR200で測定した。
(2)成形品表面温度
実施例及び比較例で作成した成形体表面から20cm離れたところに赤外線ランプ(375W)を設置し、赤外線ランプ20分照射前後の成形体表面の温度を、理化工業(株)製ハンディタイプデジタル温度計DP−350で測定した。
【0053】
【表2】
Figure 2004204064
【0054】
表2の実施例と比較例の結果から、ボリブタジエン含量が少ないとアイスーパーUVテスターでの照射後の変色度が小さく、耐候性が非常に良いことがわかる。
【0055】
また、カーボンブラック含量が少ないと赤外線ランプ照射により成形品表面温度の上昇が小さく、耐蓄熱性が非常に良いことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上、説明した様に、本発明の有色樹脂組成物及びその成形品は従来、同時に満足することが困難であった耐候性及び耐蓄熱性に優れ、成形品又は積層成形品、特に積層成形雨樋として有用に使用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成した積層成形雨樋の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 芯層
2 被覆層

Claims (6)

  1. ポリブタジエンが2質量%以下のゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体と着色剤としてのカーボンブラックが0.1質量%以下とを含有することを特徴とする耐候性と耐蓄熱性とを有する有色樹脂組成物。
  2. ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体のゴム成分がエチレン−αオレフィンゴム又はアクリルゴムであることを特徴とする請求項1記載の有色樹脂組成物。
  3. ゴム強化芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体が下記に示す樹脂組成物(I)60〜95質量%と変性ポリオレフィン系重合体(II)5〜40質量%からなることを特徴とする請求項1又は2記載の有色樹脂組成物。
    (I)芳香族ビニル単量体単位、シアン化ビニル単量体単位及びエポキシ基を有するビニル単量体単位を含有する共重合体(A)、又は該共重合体(A)と芳香族ビニル単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位を含有する共重合体(B)との組成物であって、共重合体(A)中のエポキシ基を有するビニル単量体の量は、共重合体(B)を含まないときは共重合体(A)の100質量部に対し、また共重合体(B)を含むときは共重合体(A)と共重合体(B)の合計量100質量部に対してそれぞれ0.1〜10質量%含有する樹脂組成物、
    (II)不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位及び/又は不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜10質量%で変性された変性ポリオレフィン系重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の有色樹脂組成物からなる成形品。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の有色樹脂組成物を被覆層とすることを特徴とする積層成形品。
  6. 積層成形品が積層成形雨樋であることを特徴とする請求項5記載の積層成形品。
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