JP3454072B2 - 樹脂およびその成形体 - Google Patents

樹脂およびその成形体

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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロー成形に適し
たメタクリル酸メチル系樹脂組成物およびそれをブロー
成形してなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ブロー成形は、熱可塑性樹脂を押出成形
または射出成形によってパリソンを予備成形し、これを
金型で挟んで内部に空気を吹き込んでふくらまして冷却
固化する方法であり、ポリオレフィンを中心に展開して
きた方法である。一方、従来のアクリル樹脂を用いてブ
ロー成形した場合には、成形品の肉厚が薄くなってしま
い、ブロー成形にはアクリル樹脂はほとんど使用されて
いない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者はかかる事情
に鑑み、ブロー成形に適したメタクリル酸メチル系樹脂
組成物について鋭意検討した結果、メルトフローレート
(MFR)および伸長粘度が特定の条件を満足するメタ
クリル酸メチル系樹脂組成物が、ブロー成形しても延伸
部の肉厚が薄くならず、表面肌荒れなどもなく、ブロー
成形性に優れたメタクリル酸メチル系樹脂組成物である
ことを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、重量
平均分子量が8万〜40万でZ平均分子量を用いて規定
される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐状メタ
クリル系重合体Aが30〜100重量%およびメタクリ
ル酸メチルを50重量%以上含む単官能単量体の重合体
が0〜70重量%からなる樹脂であって、230℃にお
けるメルトフローレート(MFR、g/10分)が6.
1〜20であり、かつ230℃の伸長粘度(ηE、po
ise)が次式[数2]、
【数2】log(ηE)≧−(2/3)log(MFR)
+6.43 を満たすことを特徴とする樹脂およびそれを用いてブロ
ー成形してなる成形体を提供するものである。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】メルトフローレート(MFR)
は、230℃で3.8kgの荷重でオリフィスの長さが
8.0mm、オリフィスの径が2.09mmのオリフィ
スを使用して10分間にオリフィスより流れ出た重量
(g)で表される。
【0006】230℃の伸長粘度(ηE )は、オリフィ
スの直径(D:1.00mm)に対する長さ(L:4.
99mm)の比(L/D)が4.99の溶融粘度測定器
を用い、温度230℃、ピストン速度10mm/分でス
トランドの張力および速度を測定し、次式[数3]、
【0007】
【数3】ηE ( ε') = F( ε')/( S( ε')・ ε' ) (式中、ηE ( ε')は伸長粘度を、 F( ε')はストラン
ドの張力を、 S( ε')はストランドの断面積を、ε' は
伸長速度を表す)で求められる。なお、ε' は次式[数
4]、
【0008】
【数4】ε' = dε/dt =(v2-v1)/v1 (式中、v1はシリンダー出口でのストランド速度を、v2
はストランドの引き取り速度を表す)で示され、v1は次
式[数5]、
【0009】
【数5】v1(m/min)=(D/d)2・ V(mm/min)/1000 (式中、V はピストン速度を、D はバレル径(9.55mm)
を、d はオリフィス径を表す)で示され、ストランドの
断面積 S( ε')は次式[数6]、
【0010】
【数6】S( ε')= S=π・( d2/4)・(v1/v2) で求めた値を用いて行われる。
【0011】すなわち、ストランドの張力 F( ε')、シ
リンダー出口でのストランド速度v1およびストランドの
引き取り速度v2を測定し、[数3]〜[数6]から伸長
粘度ηE ( ε')を求める。引き取り速度V2(m/ 分) を
2、4、7.1、12、16、…と増加して伸長速度を
増加し、伸長粘度ηEを求め、伸長速度が速い領域で一
定値になるのでその値をその樹脂の伸長粘度とする。
【0012】上記のメルトフローレート(MFR)およ
び伸長粘度(ηE )の条件を満足するメタクリル酸メチ
ル系樹脂組成物を用いることによって、良好なメタクリ
ル酸メチル系樹脂ブロー成形体が得られる。
【0013】この条件を満足するメタクリル酸メチル系
樹脂組成物の例として、重量平均分子量が8万〜40万
でZ平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3
万〜50万である分岐状メタクリル酸メチル系重合体A
が30〜100重量%および直鎖状メタクリル系樹脂B
が0〜70重量%からなるメタクリル酸メチル系樹脂組
成物が挙げられる。
【0014】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aは、
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体および
これと共重合可能な多官能単量体の重合体である。メタ
クリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、メタ
クリル酸メチルの単独、または50重量%以上、好まし
くは70重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合可能
な単官能の不飽和単量体の混合物である。メタクリル酸
メチルが50重量%未満では、いわゆるポリメタクリル
酸メチルの特性である透明性、機械的強度が発現しにく
い。
【0015】共重合可能な単官能不飽和単量体として
は、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル等のメ
タクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等
の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の酸無水物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセ
ロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロー
ル等のヒドロキシル基含有のエステル類;アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の
アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の
ニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸
ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;アリルグリ
シジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸
グリシジル等のエポキシ基含有単量体;スチレン、α−
メチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられる。
【0016】共重合可能な多官能単量体としては、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまた
はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメ
タクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート等の2価のアルコールの水酸基をアクリル酸または
メタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールまた
はこれら多価アルコール誘導体をアクリル酸またはメタ
クリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の
アルケニル基を2個以上有するアリール化合物等が挙げ
られる
【0017】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aの重
量平均分子量(Mw)は8万〜40万である。好ましく
は、15万〜30万である。Mwが8万未満であると該
樹脂の機械的強度が十分でなく、これを成分とするメタ
クリル酸メチル系樹脂組成物をブロー成形した成形体の
強度も悪くなる。また40万を越えると溶融粘度が高く
樹脂が分解しない温度条件では押し出せなくなる。
【0018】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aは、
そのZ平均分子量(Mz)を用いて規定される分岐点間
分子量(Mzb)が3万〜50万のもの、好ましくは5
万〜20万のものである。Mzbが50万を越えると、
得られる樹脂の溶融延伸時の張力が劣りこれよりなる組
成物の押出し性能が劣る。一方、Mzbが3万未満の場
合は、機械的強度が劣ると共に成形品の外観も劣る。
【0019】ここでMw、Mzとは、ゲル・パーミエー
ション・クロマトグラフィー(GPC)と示差屈折率計
により求められた値である。この求め方は、例えば19
84年度版「高分子特性解析」(共立出版)24頁〜5
5頁に記載されている。
【0020】分岐点間分子量とは、分岐構造を有するポ
リマーにおいて分岐点から次の分岐点までの分子量の平
均値を意味し、Z平均分子量(Mz)を用いて規定され
る。この分岐点間分子量(Mzb)は、日本ゴム協会
誌、第45巻、第2号、105〜118頁「キャラクタ
リゼーション」の記載に基づき、下記[数7]、[数
8]式より算出される。
【0021】
【数7】{[η1 ]/[η2 ]}10/6={(1+Bz/
6)0.5 +4Bz/3π}-0.5
【0022】
【数8】Mzb=Mz/Bz
【0023】上記[数7]において、[η1 ]は、直鎖
状メタクリル酸メチル重合体標準試料のGPC溶出時間
に対する極限粘度と絶対分子量との積の関係を示す普遍
較正曲線を用いて得られる測定対象の重合体の絶対分子
量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、分
子量がMz値に対応する極限粘度である。[η2 ]は、
直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料の絶対分子量
に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、測定
対象の重合体と同じ分子量Mz値に対する極限粘度であ
る。Bzは、Z平均分子量Mzにおける分岐点の数であ
る。
【0024】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aは、
その重合体のうち分子量30万以上のものの割合が、そ
の重合体の還元粘度が0.7dl/g以下の時は、{[14
×(還元粘度値)−6.8]〜[14×(還元粘度値)
+11.2]}(重量%)であり、還元粘度が0.7dl
/gを越える時は、{[40×(還元粘度値)−25]〜
[40×(還元粘度値)−7]}(重量%)であること
が好ましい。なお、本発明で表す還元粘度とは、その測
定する重合体のクロロホルム中25℃において溶液濃度
が1g/dlでの値である。
【0025】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aの分
子量30万以上の割合が上記の範囲内の場合には、分岐
状メタクリル酸メチル系重合体の流動性と溶融時の引張
り強度のバランスに優れ、それに伴って、これを用いて
得られる樹脂組成物の流動性と溶融延伸次の強度のバラ
ンスに優れることによる良好な成形体が得られる。また
分岐状メタクリル酸メチル系重合体の架橋度は、ゲル分
率(全重合体重量に対するアセトン不要部分の重量%)
で表して、通常3%以下、好ましくは1%以下、更に好
ましくはほぼ0%である。
【0026】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aは、
前述の構成単位の単量体に、所定量の多官能性の構成単
位となる成分、必要により更に連鎖移動剤および/また
は重合開始剤を加えて重合することによって得られる。
多官能性の構成単位となる成分としては、多官能単量
体、多官能連鎖移動剤、多官能開始剤、及びこれらの2
種以上の混合物を挙げることができる。多官能の構成単
位となる成分の量は、メタクリル酸メチル(および単官
能単量体)に対し、通常は0.02〜1重量%である。
【0027】連鎖移動剤としては、メタクリル酸メチル
の重合に用いられる周知のものでよい。この中には、連
鎖移動官能基を1つ有する単官能の連鎖移動剤および連
鎖移動官能基を2つ以上有する多官能連鎖移動剤とがあ
る。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン
類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられ、多官能
連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリス
リトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチ
オグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエ
ステル化したものが挙げられる。
【0028】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aを得
る際に使用する連鎖移動剤の量は、単官能単量体1モル
当たり、通常は5×10-5モル〜5×10-3モルであ
り、共重合可能な多官能単量体の量は、単官能単量体1
モル当たり、通常はその官能基数が1×10-5〜{連鎖
移動剤(モル)−2.5×10-4}当量となる範囲であ
る。
【0029】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aの重
量平均分子量は、一般に主として用いられる多官能単量
体の濃度、連鎖移動剤の濃度およびラジカル開始剤の濃
度に支配される。重量平均分子量の調整は、多官能単量
体濃度が高い程重量平均分子量は大きくなり、逆に連鎖
移動剤濃度が高い程小さくなることを考慮して、多官能
単量体の上記濃度範囲内および連鎖移動剤の濃度の範囲
内で適宜変更することで行う。分岐点間分子量は、主と
して多官能単量体濃度によって調整できる。多官能単量
体濃度が高い程、分岐点間分子量は小さくなる。また、
連鎖移動剤では、多官能連鎖移動剤の濃度が高い程分岐
点間分子量は小さくなる。分子量30万以上の割合は、
多官能単量体の濃度が高い程多くなる。
【0030】重合開始剤としては、1分子中に1対のラ
ジカルを発生させる単官能重合開始剤および2対以上の
ラジカルを発生させる多官能重合開始剤とがある。単官
能重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブ
チロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチ
レート等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、
クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオ
キシエステル類;ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノ
イルパーオキシド、ジラウロイルパーオキサイド等のジ
アシルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類の
有機過酸化物等が挙げられる。多官能重合開始剤として
は、例えば、2官能の1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t
−ブチルパーオキシトリメチルアジペートを、3官能の
トリス−(t−ブチルパーキシ)トリアジン、4官能
の、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ
シクロヘキシル)プロパン等を挙げることができる。
【0031】塊状重合法のように重合率45〜60重量
%で重合を終了する場合には、3官能以上の多官能重合
開始剤を使用すると多官能単量体のみによる分岐に比
べ、多官能単量体による未反応ビニル基の量を低減する
ことができる。多官能重合開始剤を用いる場合は、前記
した多官能構成単位としての一部または全部と入れ替え
ることができる。重合開始剤の使用量は、重合方法に応
じた周知の適量でよく、単量体または単量体混合物10
0重量部に対して、通常、0.001〜1重量部程度、
好ましくは0.01〜0.7重量部である。なお、重合
開始剤の量が多い程、重量平均分子量が小さくなるの
は、一般的なメタクリル酸メチル系重合体と同様であ
る。
【0032】直鎖状メタクリル系樹脂Bは、重量平均分
子量(Mw)が7〜30万、好ましくは8万〜20万で
ある。Mwが7万未満であると得られる樹脂組成物から
得られる成形体の機械的強度が不十分となる。また30
万を越えると溶融流動性が低くなり押出し特性が悪くな
る。
【0033】直鎖状メタクリル系樹脂Bは、メタクリル
酸メチルを主成分とする単官能単量体の重合体である。
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、
メタクリル酸メチルの単独、または50重量%以上、好
ましくは70重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合
可能な単官能の不飽和単量体の混合物である。メタクリ
ル酸メチルと共重合可能な単官能不飽和単量体として
は、上記に記載のものが挙げられる。メタクリル酸メチ
ルを主成分とする単官能単量体を重合する際に用いる重
合開始剤、および必要により連鎖移動剤は、上記に記載
の単官能の重合開始剤、連鎖移動剤が挙げられる。
【0034】分岐状のメタクリル酸メチル系重合体Aお
よび直鎖状メタクリル系樹脂Bを得る重合方法として
は、一般のメタクリル酸メチル系樹脂を製造する周知の
重合方法、つまり懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法
が適用できる。
【0035】本発明で用いられるメタクリル酸メチル系
樹脂組成物としては、分岐状メタクリル酸メチル系重合
体Aが30〜100重量%、直鎖状メタクリル系樹脂B
が0〜70重量%のものが好ましく用いられる。
【0036】本発明で用いられるメタクリル酸メチル系
樹脂組成物としては、上記の分岐状メタクリル酸メチル
系重合体Aおよび直鎖状メタクリル系樹脂Bからなる樹
脂組成物以外に、次式[数9]、
【0037】
【数9】Mz×(Mz+1)/Mw2 ≧3.5 (式中、Mz、Mwは先に記載のものと同じ、GPCと
示差屈折率計により求められるZ平均分子量、重量平均
分子量を表す)を満足する分子量分布を有するメタクリ
ル酸メチル系樹脂Cも好適である。このメタクリル酸メ
チル系樹脂Cは、分岐構造にこだわらず分岐構造の重合
体でも直鎖構造の重合体でも又はこれらの混合体でもか
まわない。
【0038】本発明の樹脂組成物として、メタクリル酸
メチル系重合体Aおよびメタクリル系樹脂Bからなる樹
脂組成物に、またはメタクリル酸メチル系樹脂Cに、ゴ
ム状重合体Dを配合したものも可能である。ゴム状重合
体Dを配合することにより、成形品の耐衝撃性が著しく
向上し、粘り性および靭性が向上することから品質の良
好なブロー成形体が得られる。
【0039】ゴム状重合体Dとしては、(1)アクリル
系多層構造弾性体または(2)5〜80重量部のゴム状
重合体にエチレン性不飽和単量体を95〜20重量部グ
ラフト重合したグラフト共重合体が好ましく用いられ
る。
【0040】(1)アクリル系多層構造弾性体は、少な
くとも2層構造よりなるゴム弾性の層またはエラストマ
ーの層を20〜60重量部を内在させたアクリル系重合
体であって、軟質層、最外硬質層を基本とするもので、
最内硬質層をさらに含む構造のものでも良い。例えば特
公昭55-27576号公報または特開平6-80739 号公報や特開
昭49-23292号公報に記載のものを用いることができる。
【0041】(2)5〜80重量部のゴム状重合体にエ
チレン性不飽和単量体を95〜20重量部グラフト重合
したグラフト共重合体は、ゴム状重合体として例えばポ
リブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重
合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴムなどのジ
エン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルア
クリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレートな
どのアクリル系ゴム、およびエチレン/プロピレン/非
共役ジエン系ゴムなどを用いることができる。このゴム
状重合体にグラフト共重合するのに用いられるエチレン
性単量体およびそれらの混合物としてはスチレン、アク
リロニトリル、アルキル(メタ)アクリレートなどが挙
げられる。これらのグラフト共重合体としては特開昭55
-147514 号公報や特公昭47-9740 号公報に記載のものを
用いることができる。
【0042】ゴム状重合体Dを含有するメタクリル酸メ
チル系樹脂組成物の組成割合は、分岐状メタクリル酸メ
チル系重合体Aが30〜95重量%、直鎖状メタクリル
系樹脂Bが0〜70重量%およびゴム状重合体Dが5〜
70重量%、好ましくは8〜50重量%、またはメタク
リル酸メチル系樹脂Cが30〜95重量%およびゴム状
重合体Dが5〜70重量%、好ましくは8〜50重量%
である。ゴム状重合体Dの割合が5重量%より少ないと
耐衝撃性の効果が少なくなり、70重量%を越える場合
には耐熱性が低下すると共にメタクリル酸メチル系重合
体Aの効果が低下する。
【0043】本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物
には、必要に応じて離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸
化防止剤、熱安定剤、可塑剤、帯電防止剤等の一般的な
アクリル樹脂に添加できる各種剤を添加することができ
る。
【0044】本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物
をブロー成形する方法として、ダイレクトブロー成形
法、インジェクションブロー成形法が挙げられるが、そ
の成形条件は特に制限されるものではなく、従来公知の
条件に準じて行われる。
【0045】また、本発明のメタクリル酸メチル系樹脂
組成物をそれ以外の熱可塑性樹脂と多層状に複合化した
パリソンをブロー成形することにより、メタクリル樹脂
の特性である良好な耐候性、光沢、硬度を付与した他の
熱可塑性樹脂の成形品を得ることができる。この際用い
られる熱可塑性樹脂としては、いわゆるアクリル樹脂、
カーボネート樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/ス
チレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート等が挙げられる。
【0046】
【発明の効果】本発明により、従来、アクリル樹脂では
難しかったブロー成形において、ドローダウンが低く、
肉厚の厚い成形品を得ることが容易になり、アクリル樹
脂の特徴である耐候性、表面硬度に優れた中空成形品を
容易に提供することができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。な
お、測定法のうち、上記に記載した項目以外の項目につ
いては以下の通り実施した。 (1)MFR: JIS K7210に準拠して行った。なお、温度23
0℃、荷重3.8kgfとした。 (2)伸長粘度(ηE ) 東洋精機製作所製キャピログラフを用い、前記したとお
り、オリフィスの直径(D)が1.00mm、長さ
(L)が4.99mm、(L/D)が4.99、温度2
30℃、ピストン速度10mm/分で測定し、前記の
[数4]〜[数7]を用いて求めた。
【0048】実施例で用いた各種単量体、連鎖移動剤の
略称は、以下の通り。 ・MMA:メタクリル酸メチル ・MA:アクリル酸メチル ・DDSH:n−ドデシルメルカプタン ・HDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
【0049】参考例A1〜A3 「分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)
の製造」 200リットルのSUS製オートクレーブにMMA、M
A、HDAおよびDDSHを[表1]に示す量、ラウロ
イルパーオキサイドを0.3重量部、イオン交換水を2
00重量部、ポリメタクリル酸ナトリウムを1重量部を
入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、
90分経過後、さらに100℃で60分重合させた。重
合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得
た。得られた重合体を評価した。評価結果を[表1]に
示す。
【0050】参考例B1〜B3 「直鎖状メタクリル酸メチル系重合体(B)の製造」 200リットルのSUS製オートクレーブにMMA、M
A、DDSHを[表1]に示す量、ラウロイルパーオキ
サイドを0.3重量部、イオン交換水を200重量部、
ポリメタクリル酸ナトリウムを1重量部を入れて混合
し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、90分経過
後、さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗
浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得た。得られ
た重合体を評価した。評価結果を[表1]に示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例1 分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aとして参考例で製
造した[表1]のA1を押出し機(一軸、スクリュー径
40mm、田辺プラスチックス(株)製)にてペレット化し
たものを日本製鋼所製のダイレクトブロー成形機NB3
B(スクリュー;50mmφ、アキュムレーターなし)
を用いて、シリンダーおよびダイス温度220℃、スク
リュー回転数20rpm(吐出量:約150g/分)で
ブロー成形し、外径70mm、高さ170cmのネジ付
き容器を得た。この容器の肉厚分布は均一で良好なもの
であった。結果を[表2]に示す。
【0053】実施例2 [表1]のA2のビーズ50重量部とB1のビーズ50
重量部をブレンドし、実施例1と同様にペレット化した
ものを実施例1と同様にしてブロー成形した。容器の肉
厚分布は均一で良好なものであった。結果を[表2]に
示す。
【0054】試験例1 [表1]のB2のビーズ80重量部とB3のビーズ20
重量部をブレンドし、日本製鋼所(株)製二軸押出し機
TEX30で造粒を3回繰り返してペレット化したもの
を実施例1と同様にしてブロー成形した。容器の肉厚分
布は均一で良好なものであった。結果を[表2]に示
す。
【0055】比較例1〜2 [表2]に示されている樹脂を一軸押出し機でペレット
化したものを実施例1と同様にしてブロー成形を実施し
たが、良好なブロー成形品が得られなかった。結果を
[表2]に示す。
【0056】実施例、比較例3 [表2]に示す樹脂を一軸押出し機でペレット化したも
のを東芝機械(株)製IS220FA3を使用し、シリ
ンダー温度設定の最大が250℃、マニホールド設定が
230℃、固定側の金型温度設定が135℃、移動側の
金型温度設定が145℃で高さ12cm、直径220m
mΦ、厚み2mmのパリソンを射出成形し、引き続いて
樹脂が溶融した状態で移動側の金型を交換して最大径2
75mmΦに延伸してブロー成形を実施した。最大延伸
部分の厚みを測定した所、B1は最も薄い部分の厚みが
0.66mmであったがA1は0.91mmであった。
結果を[表2]に示す。
【0057】試験例2 A1を50重量部とゴム状重合体としてオログラスDR
101(ローム&ハース社製)を50重量部を押出し機
を用いてブレンド造粒した。選られたブレンド物を実施
例1と同様にしてブロー成形した。容器の肉厚分布は均
一で良好なものであった。結果を[表2]に示す。
【0058】試験例3 ゴム状重合体としてスミペックスHT018E(住友化
学工業(株)製)を用いた以外は、試験例2と同様にし
てブロー成形した。容器の肉厚分布は均一で良好なもの
であった。結果を[表2]に示す。
【0059】試験例4 B2を80重量部とB3を20重量部とを実施例3と同
様に二軸押出し機で予めブレンド造粒していたものを5
0重量部、これにオログラスDR101を50重量部を
押出し機を用いてブレンド造粒した。選られたブレンド
物を実施例1と同様にして同様にしてブロー成形した。
容器の肉厚分布は均一で良好なものであった。結果を
[表2]に示す。
【0060】比較例4 B1を50重量部とゴム状重合体としてオログラスDR
101を50重量部を押出し機を用いてブレンド造粒し
たものを実施例5と同様にしてブロー成形を実施した
が、ドローダウンが大きく、良好なブロー成形品を得る
ことができなかった。結果を[表2]に示す。
【0061】
【表2】 D : ダイレクトブロー法 I : インジェクションブロー法 D-D : ドローダウン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 33:04 B29K 33:04 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/12 - 20/14 C08L 33/10 - 33/14 WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量平均分子量が8万〜40万でZ平均分
    子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万
    である分岐状メタクリル系重合体Aが30〜100重量
    %およびメタクリル酸メチルを50重量%以上含む単官
    能単量体の重合体が0〜70重量%からなる樹脂であっ
    て、230℃におけるメルトフローレート(MFR、g
    /10分)が6.1〜20であり、かつ230℃の伸長
    粘度(ηE、poise)が次式[数1]、 【数1】log(ηE)≧−(2/3)log(MF
    R)+6.43 を満たすことを特徴とする樹脂
  2. 【請求項2】分岐状メタクリル酸メチル系重合体Aの分
    子量30万以上のものの割合が、その重合体の還元粘度
    が0.7dl/g以下の時は、{[14×(還元粘度
    値)−6.8]〜[14×(還元粘度値)+11.
    2]}(重量%)であり、還元粘度が0.7dl/gを
    越える時は、{[40×(還元粘度値)−25]〜[4
    0×(還元粘度値)−7]}(重量%)である請求項1
    記載の樹脂
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の樹脂をブロー成形
    してなる成形体。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の樹脂をそれ以外の
    熱可塑性樹脂と多層状に複合化したパリソンをブロー成
    形してなる成形体。
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