JP3601143B2 - メタクリル酸メチル系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、耐溶剤性及び加熱変形時の耐肉薄性に優れ、射出成形、押出成形、異形(共)押出し、ブロー成形、発泡成形に適したメタクリル酸メチル系樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル酸メチル系重合体は剛性があり、透明性に優れ、かつ耐候性にも優れることから、射出成形して、自動車のランプカバーやメーターカバー、眼鏡レンズ、導光体等の成形品や、さらに押出し成形して看板や銘板等の押出し板として広く使用されている。
射出成形や押出し成形のごとく溶融流動化して成形するには、成形時に高い流動性を有し、かつ出来上がった成形品は、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性などの諸性質に優れていることが望まれる。
一方、アクリル樹脂は、異形(共)押出し、ブロー成形、発泡成形に要求される溶融延伸するときの張力が低いためにこれらの材料に向いていない。
【0003】
かかる要求の流動性を高める方法として、樹脂の分子量を低くする方法が提案されている。
また、重合体の分子量を低下させずに流動性を高める方法として、アクリル酸エステル等の共重合成分を付与する方法がある。
また、重合体の耐溶剤性の高いアクリル樹脂として、特公昭58−455号公報、特公昭58−15490号公報、特公昭62−34046号公報には、分子量分布のより広いアクリル樹脂が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
メタクリル樹脂の分子量を低下させずに流動性を高めるため分子量を低くくしたものは、分子量を小さくする程、耐溶剤性や機械的強度が低くなる。
また、アクリル酸エステルのごとき共重合成分の付与は、該共重合成分が多い程、得られる樹脂のガラス転移温度の低下、即ち耐熱性の低下を招くこととなり、前記諸性質の改良という点においてはおのずと限界がある。
また、分子量分布の広い樹脂は、溶融流動性が低いという欠点を有している。
また、流動性と溶融延伸時の強度が共に高いことが必要なブロー成形や、異形押出し、(押出し)発泡にはアクリル樹脂が適さず、これらの分野に使用されていないのが現状である。
また、アクリル樹脂の押出し板を加熱成形した場合、延伸部の厚みが薄くなる現象が生じやすい問題がある。
本発明は、押出し特性や射出成形特性に影響する高剪断下での溶融流動性が高く、しかも耐溶剤性および溶融延伸時の強度も優れたメタクリル酸メチル系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aが10〜90重量%および直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Bが90〜10重量%とからなるメタクリル酸メチル系樹脂組成物およびその製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるメタクリル酸メチル系重合体とは、その構成単位としてメタクリル酸メチルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有するものであり、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含有する限りその一部がメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能の不飽和単量体で置き換えられたものであっても良い。該共重合可能な単官能不飽和単量体は該重合体中に1重量%以上含まれていることが好ましく、さらに好ましくは3重量%以上であり、3〜20重量%の場合が特に好ましい。
メタクリル酸メチルが50重量部未満では、いわゆるポリメタクリル酸メチルの特性である透明性、機械的強度が発現しにくい。
【0007】
共重合可能な単官能不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物:アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有のエステル:アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドが挙げられる。さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類:メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体:アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体:スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられる。
【0008】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)は8万〜40万である。好ましくは、15万〜30万である。
重量平均分子量(Mw)が8万未満であると該重合体の機械的強度や耐溶剤性が充分でなく、これと直鎖状メタクリル酸メチル系重合体とからなるメタクリル酸メチル系樹脂組成物から得られる成形品の強度や耐溶剤性も悪くなる。また40万を越えて高いと溶融流動性が低くなり過ぎて得られる樹脂組成物の成形性が低下する。
【0009】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aは、そのZ平均分子量(Mz)を用いて規定される分岐点間分子量(Mzb)が3万〜50万のもの、好ましくは5万〜20万のものである。
分岐点間分子量(Mzb)が50万を越えると、得られる分岐構造を有する重合体の流動性に対する耐溶剤性への効果がなくなり、これと直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Aからなるメタクリル酸メチル系樹脂組成物の耐溶剤性の効果もなくなる。一方該分岐点間分子量が3万未満の場合には、樹脂組成物から得られる成形品の機械的強度が劣ると共に成形品の外観も劣る。
【0010】
ここで重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)と示差屈折率計により求められる値である。この求め方は、例えば1984年度版、「高分子特性解析」(共立出版)24頁〜55頁に記載されている。
【0011】
分岐点間分子量とは、分岐構造を有するポリマーにおいて分岐点から次の分岐点までの分子量の平均値を意味し、Z平均分子量(Mz)を用いて規定される。
この分岐点間分子量(Mzb)は、日本ゴム協会誌、第45巻、第2号、105〜118頁「キャラクタリゼーション」の記載に基づき、下記[数1]、[数2]式より算出される。
【0012】
【数1】
{[ η1 ] /[ η2 ] }10/6={(1+Bz/6)0.5 +4Bz/3π}−0.5
【0013】
【数2】
Mzb=Mz/Bz
【0014】
上記[数1]において、〔η1 〕は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料のGPC溶出時間に対する極限粘度と絶対分子量との積の関係を示す普遍較正曲線を用いて得られる測定対象の重合体の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、分子量がMz値に対応する極限粘度である。
[ η2 ] は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、測定対象の重合体と同じ分子量Mz値に対応する極限粘度である。
Bzは、Z平均分子量Mzにおける分岐点の数である。
【0015】
本発明における分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aは、その重合体のうち分子量30万以上のものの割合が、その重合体の還元粘度が0.7dl/g以下の時は、{〔14×該還元粘度値−6.8〕〜〔14×該還元粘度値+11.2〕}(重量%)であり、還元粘度が0.7dl/g以上の時は、{〔40×該還元粘度値−25〕〜〔40×該還元粘度値−7〕}(重量%)であることが好ましい。
なお、本発明で表す還元粘度とは、その測定する重合体の溶液濃度が1g/dlでの値である。
分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの分子量30万以上の割合が上記の範囲内の場合には、分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの流動性と耐溶剤性及び機械的強度のバランスに優れ、それに伴って、これを用いて得られる樹脂組成物の流動性と耐溶剤性及び機械的強度のバランスに優れている。
【0016】
また本発明における分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの架橋度は、ゲル分率(全重合体重量に対するアセトン不要部分の重量%)で表して、通常3%以下、好ましくは1%以下、更に好ましくはほぼ0%である。
【0017】
一般に、熱可塑性樹脂の溶融延伸する際の張力は、その指標として、ダイスウェル比で表すことができる。
該ダイスウェル比は、メルトインデクサを用いて230℃、3.8kg荷重の条件で、オリフィスの長さが8.0mm、オリフィスの径が2.09mmのオリフィスを使用してメルトフローレートを測定した時のストランド径をオリフィスの径で割った値で表すことができる。
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aのダイスウェル比は、1.2〜2.5の値となる。
なお、分岐構造を有さないメタクリル酸メチル系樹脂は、ジャーナル オブ
アプライド ポリマー サイエンス(J.Appl.Polym.Sci.) 29(1984),3479−3490 のFig.9に記載されており、約1程度である。
つまり、分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aのダイスウェル比が大きく、溶融延伸する際の張力が大きいことが示される。
【0018】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aは、前述の構成単位の単量体に、所定量の多官能性の構成単位となる成分、必要により更に連鎖移動剤及び/または重合開始剤を加えて重合することによって得られる。
多官能性の構成単位となる成分としては、多官能単量体、多官能連鎖移動剤、多官能開始剤、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
多官能性の構成単位となる成分の量は、メタクリル酸メチル(および単官能性単量体)に対し、通常は0.02〜1重量%である。
【0019】
共重合可能な多官能単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価のアルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールまたはこれら多価アルコール誘導体をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等のアルケニル基を2個以上有するアリール化合物等が挙げられる。
【0020】
連鎖移動剤としては、メタクリル酸メチルの重合に用いられる周知のものを用いることができる。連鎖移動剤には、連鎖移動官能基を1つ有する単官能の連鎖移動剤および連鎖移動官能基を2つ以上有する多官能連鎖移動剤とがある。
単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられ、多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0021】
分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの重合に使用する連鎖移動剤の量は、該単官能単量体1モル当たり、通常は5×10−5モル〜5×10−3モルであり、共重合可能な多官能単量体の量は該単官能単量体1モル当たり、通常はその官能基数が1×10−5〜{該連鎖移動剤(モル)−2.5×10−4}当量となる範囲である。
【0022】
分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの重量平均分子量は、一般に主として用いられる該多官能単量体の濃度、連鎖移動剤の濃度及びラジカル開始剤の濃度に支配される。
重量平均分子量の調整は、該多官能単量体濃度が高い程重量平均分子量は大きくなり、逆に連鎖移動剤濃度が高い程小さくなることを考慮して、該多官能単量体の上記濃度範囲内及び連鎖移動剤の濃度の範囲内で適宜変更することで行う。
【0023】
分岐点間分子量は、主として、該多官能単量体濃度によって調整できる。該多官能単量体濃度が高い程、分岐点間分子量は小さくなる。
また、連鎖移動剤については、多官能連鎖移動剤を用いた場合の方が同量の単官能連鎖移動剤を使用した場合に比べ分岐点間分子量は小さくなる傾向にある。
分子量30万以上の割合は、多官能単量体の濃度が高い程多くなる。
【0024】
重合開始剤には1分子中に1対のラジカルを発生させる単官能重合開始剤および2対以上のラジカルを発生させる多官能重合開始剤とがある。
塊状重合法のように重合率45〜60重量%で重合を終了する場合には、3官能以上の多官能重合開始剤を使用すると多官能単量体のみによる分岐に比べ、多官能単量体による未反応ビニル基の量を低減することができる。
例えば3官能開始剤としてはトリス−(t−ブチルパーキシ)トリアジン、4官能重合開始剤としては、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを挙げることができる。
多官能重合開始剤を用いる場合は、前記した多官能構成単位としての一部または全部と入れ替えることができる。
【0025】
重合開始剤の使用量は、重合方法に応じた周知の適量でよく、単量体または単量体混合物100重量部に対して通常、0.001〜1重量部程度、好ましくは0.01〜0.7重量部である。
なお、重合開始剤の量が多い程、重量平均分子量が小さくなるのは、周知の一般的なメタクリル酸メチル系重合体と同様である。
【0026】
本発明における分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aおよび直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Bを得る方法としては、工業的にアクリル樹脂を製造する周知の重合方法、例えば懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法が適応できる。 懸濁重合法における分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの反応条件としては、例えば、反応温度は通常、60〜90℃程度、反応時間は反応温度にもよるが、例えば、反応温度70〜85℃程度であれば1〜1.5時間でピークとなる。ピーク後さらに100〜110℃程度に昇温し10〜30分程度この範囲の温度を維持して反応を完結させる。また反応は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性気体雰囲気下に行うことがゲル分率を低くする上で好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物における直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Bは、重量平均分子量Mwが7万〜20万、好ましくは8万〜18万である。
重量平均分子量Mwが7万未満であると得られる樹脂組成物から得られる成形品の機械的強度が不十分となる。また20万を越えると溶融流動性が低くなり溶融成形性が低下する。
【0028】
本発明のメタクリル酸メチル系重合体組成物を得る方法は、周知の熱可塑性樹脂の混合方法を用いることができる。例えば、各成分を一旦溶融混練する方法があり、該溶融混練は一般的に使用される一軸または二軸の押出し機、各種のニーダー等の混練装置を用い、ペレット状にする方法がある。また最終製品を溶融加工する際に、各成分を混合する方法がある。
また、まず直鎖状重合体を重合し残りの単量体中に多官能構成単位となる成分を添加して分岐状の重合体を得る方法がある。
また、直鎖状重合体を分岐状の重合体を重合するための単量体混合物に溶解したのち重合する方法がある。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、充填剤、染料、顔料、光拡散材等の一般的なアクリル樹脂に添加できる各種添加剤を混在させても何ら問題はなく、その混練の際、あるいは各重合体の重合中に添加することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aの伸びが低い点を改良し、耐溶剤性に優れ、高い溶融張力と優れた流動性を有し、加熱変形時の耐ネッキング性に優れた成形品が得られる。この樹脂組成物を射出成形する際、大型成形品や末端部で肉厚となっている成形品等の成形性が優れ、また押出し機でシーティングする際のメルトダウンが軽減され、押出し加工特性が良好である。できたシート等を加熱成形する場合には偏肉の少ない良好な製品を得ることができる。また、インジェクションブロー成形やダイレクトブロー成形の成形条件範囲が広くなり、できた成形品の偏肉が軽減される。さらに従来のメタクリル樹脂では満足できる発泡体が得られていないのに対し、発泡成形時のガス抜けが少ない高発泡倍率の発泡体を得ることができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、実施例中の評価は次のような方法を用いて行った。
(1)MFR:JIS K7210に準拠し、230℃、3.8kg荷重、10分で測定した(g/10分)。
(2)ダイスウェル比:上記MFRを測定した際のストランド径をオリフィスの径2.09mmで割った値。
(3)耐溶剤性:射出成形機(名機製作所(株)製M140−SJ)とフィルムゲート付き平板用金型を用い150×150×3mmの平板を成形し、25℃でエタノールに1日浸漬した後、目視によりクラックの有無を確認した。
(4)還元粘度:JIS Z8803に準拠し、還元粘度は1g/dlの濃度での値であり、クロロホルム溶液、25℃で測定し求めた(dl/g)。
(5)重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz):示差屈折率計及び粘度計付きゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Waters社製GPC150−CV )を用い、標準メタクリル酸メチル重合体の{分子量−溶出時間}較正曲線から求めた。
(6)分岐点間分子量(Mzb):上記較正曲線および標準メタクリル酸メチル重合体のGPC溶出時間に対する極限粘度の関係を示す較正曲線とから絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線を求め、この較正曲線を用いて分子量Mz値に対応する極限粘度[η2 ] を求めた。次に標準メタクリル酸メチル重合体の溶出時間に対する絶対分子量と極限粘度との積の関係を示す普遍較正曲線を用いて、測定対象の重合体の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線を求め、この較正曲線を用いて分子量Mz値に対応する極限粘度[η1 ] を求めた。
[η1 ] および[η2 ] を用いて前述の[数1]からBzを求め、次いで前述の[数2]からMzbを算出した。
(7)ゲル分率:アセトン100重量部に対し、メタクリル酸メチル系重合体を3重量部溶解させた後、400メッシュの金網により濾過し、乾燥させた不溶分の重量を溶解させる前の重合体重量で割り、ゲル分率を求めた(%)。
(8)曲げ強度:ASTM−D790に準拠して測定した(kgf/cm2 )。
(9)表面光沢度:JIS Z8741の光沢度測定法に準拠して光沢度計(スガ試験機(株)製 UGV−4D)により60度反射にて測定した。
(10)突上げ成形:30cmx20cmの押出し板をオーブンで150℃に加熱し、突上げ成形機(大阪板機製作所TF−300型、突上げ面積10cm×5cm、突上げ高さ10cm)を用いて、図1に示すような成形品を得た。
(11)板厚測定:突上げ成形品の図1に示すポイントAおよびBにおける板厚を超音波厚み計(PANAMETRICS 社製 ULTRASONIC GAGE MODEL5222 )により測定した。A及びB点はそれぞれ頂部における長辺部及び短辺部の中央部より4.5cm下の部分である。
(12)耐溶剤性:射出成形機(名機製作所 製M140−SJ)を使用し12.7×127×3mmの試験片を成形した。該試験片を、80℃、6時間減圧下でアニールした。片持ち梁法を適用し、試料片の一端を固定し、そこから6cm離れた所を支点とし、試料片の他端に荷重を加え、該支点上の試料片表面にエチルアルコールを塗布し、塗布後クレイズが発生する時間が100秒となる荷重を応力で表した(kgf/cm2 )。
(13)引張り強度:ASTM−D638に準拠して測定した(kgf/cm2 )。
(14)伸び:ASTM−D638に準拠して測定した(%)。
【0032】
実施例で用いた各種単量体、連鎖移動剤の略称は、以下の通り。
・MMA:メタクリル酸メチル
・MA:アクリル酸メチル
・DDSH:n−ドデシルメルカプタン
・HDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
【0033】
参考例1〜4
「分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)の製造」
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル96重量部、アクリル酸メチル4重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、1,6ヘキサンジオールジアクリレートおよびn−ドデシルメルカプタンを[表1]に示す量、イオン交換水200重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、90分経過後さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得た。得られた重合体を評価した。評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
「直鎖状メタクリル酸メチル重合体(B1)の製造」
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル94重量部、アクリル酸メチル6重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、n−ドデシルメルカプタン0.22重量部、イオン交換水200重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、90分経過後さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは15万でありMFRは1.3であった。
【0036】
「直鎖状メタクリル酸メチル重合体(B2)の製造」
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル94.5重量部、アクリル酸メチル5.5重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、n−ドデシルメルカプタン0.31重量部、イオン交換水200重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、90分経過後さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは11万でありMFRは2.1であった。
【0037】
実施例1〜3、比較例1〜5
分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)として参考例で製造した[表1]の重合体と、直鎖状メタクリル酸メチル系重合体B1を[表2]に示す量をヘンシェルミキサーで混合した後、押出し機(一軸、スクリュウ径40mm、田辺プラスチック(株)製)で樹脂温度265℃で溶融混練後、Tダイ、ポリシングロール3本を介し、3mm厚、幅20cmのシートを得た。得られたシートの評価結果を[表2]に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
実施例4〜5、比較例6〜7
分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)として参考例で製造した[表1]の重合体と、直鎖状メタクリル酸メチル系重合体B2を[表2]に示す量をヘンシェルミキサーで混合した後、押出し機(一軸、スクリュウ径40mm、田辺プラスチック(株)製)で設定温度265℃で溶融混練してペレットを得た。このペレットを物性評価用の金型を用いて射出成形し、物性および耐溶剤クラックを評価した。得られた成形体の評価結果を[表3]に示す。
【0040】
実施例6
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル86重量部、アクリル酸メチル4重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、およびn−ドデシルメルカプタンを0.38重量部と、イオン交換水200重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、70℃より70分後、系内重合率が70%であった。この系内にメタクリル酸メチル10重量部と1,6ヘキサンジオールジアクリレート0.113重量部を添加し100分経過後さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状重合体を得た。得られた重合体のηsp/cは0.84dl/g、MFR1.5、ダイスウェル比2.26、分子量30万以上の割合20.4%であった。得られた重合体を、押出し機(一軸、スクリュウ径40mm、田辺プラスチック(株)製)で設定温度265℃で溶融混練してペレットを得た。このペレットを物性評価用の金型を用いて射出成形し、物性および耐溶剤クラックを評価した。得られた成形体の評価結果を[表3]に示す。
【0041】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における突上げ成形品の形状を示す図である。
【符号の説明】
A 成形品の板厚の測定ポイント
B 成形品の板厚の測定ポイント
Claims (2)
- 重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aが10〜90重量%および直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Bが90〜10重量%とからなるメタクリル酸メチル系樹脂組成物。
- 分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体Aと直鎖状メタクリル酸メチル系重合体Bを押出し機または成形機で溶融混合することを特徴とする請求項1記載のメタクリル酸メチル系樹脂組成物の製造方法。
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