JP2004203959A - スチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体を提供する。
【解決手段】特定のブロック共重合体(イ)、炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)、オレフィン系樹脂(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部に対する成分(ハ)の割合が1〜300重量部であり、架橋剤の存在下で動的に熱処理されたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
【選択図】 なし
【解決手段】特定のブロック共重合体(イ)、炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)、オレフィン系樹脂(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部に対する成分(ハ)の割合が1〜300重量部であり、架橋剤の存在下で動的に熱処理されたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用又は食品用の軟質チューブやパイプ等の管状体には、耐キンク性に優れる軟質塩化ビニル樹脂が広く用いられている。しかしながら、塩化ビニル樹脂を用いた製品には、環境に十分配慮して廃棄しなければならないという制約があるため、非塩化ビニル樹脂を用いることが望まれている。
【0003】
非塩化ビニル樹脂として、エチレン−ビニルアセテート樹脂が使用されている。また、低密度ポリエチレン、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン及び流動パラフィンの組成物からなる医療用チューブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの組成物からなる管状体は、耐キンク性が劣る上に耐熱性にも劣り、耐熱滅菌処理を施すことが出来ないことが問題となっていた。
【0004】
他方、スチレン系熱可塑性エラストマーは柔軟性及び成形加工性に優れ、自動車用途、工業用途、建材用途、土木用途、医療用途、食品用途等の様々な用途に利用されているものの、耐キンク性が劣る上に、耐油性、耐熱性にも劣るため、管状体としての用途には限界があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−104473号公報(請求項、段落(0004))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成の混合物を架橋剤の存在下で動的熱処理して得られるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を用いた管状体が、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しうることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、下記の成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部あたりの成分(ハ)の含有量が1〜300重量部の混合物を架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体に存している。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
【0009】
【発明の実施の形態】
[1]スチレン系熱可塑性エラストマー
1)成分(イ)
本発明で使用する成分(イ)は、下記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0010】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0011】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0012】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(ロ)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0013】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、管状体の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0014】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、ゴム弾性、機械的強度が低下し、成形加工性も劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、成形加工が困難となることが多い。
【0015】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0016】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
2)成分(ロ)
本発明で使用する成分(ロ)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量が通常300〜2,000、好ましくは500〜1,500の炭化水素が使用され、鉱物油系炭化水素または合成樹脂系炭化水素が好適である。
【0017】
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0018】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与すると共に得られる管状体の柔軟性向上にも寄与する。
3)成分(ハ)
本発明で使用する成分(ハ)は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0019】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、上記範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強度が低下する傾向となる。
4)配合割合
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(イ)と成分(ロ)の配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(イ)/(ロ)=25/75〜70/30である。(イ)/(ロ)の比率で成分(イ)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣ると共に、軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(イ)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。
一方成分(ハ)の割合は、成分(イ)及び(ロ)の合計量100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であり、特に好ましくは10〜100重量部である。成分(ハ)の量が1重量部未満の場合は得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
5)その他の配合成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、フェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(イ)〜(ハ)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増大に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になるか、着色などの影響が出る場合がある。
【0020】
また、本発明における組成物には、本発明の目的、効果を損わない範囲内において、必要に応じて、各種熱可塑性樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記成分(イ)〜(ハ)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは後述の動的熱処理時に配合される。
【0021】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。
【0022】
また、任意のゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、ポリブタジエン等、また必須成分以外のスチレン系共重合体ゴム等を挙げることができる。
6)動的熱処理
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(イ)〜(ハ)を含有する混合物を架橋剤の存在下に動的に熱処理された組成物である。動的熱処理を行うことにより、得られる管状体の耐熱性、耐油性を向上させるのみならず、キンク性についても改良することが可能となる。
【0023】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を均一に混合した後、架橋剤の存在下、必要に応じて架橋助剤を添加して溶融混練することによって行なわれる。
混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で成分(イ)〜(ハ)の一部を、動的熱処理終了後に添加しても構わない。
【0024】
この動的熱処理の際に用いる架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0025】
前記の架橋助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0026】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、成分(イ)と(ロ)の合計量に対し、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
[2]管状体の製造
1)成形
本発明のエラストマー管状体は、通常の押し出し成型法で成形できる。成形温度は組成によって異なるが、130〜220℃、好ましくは150〜200℃である。また、管状体は多層構造を有していてもよく、この場合、多層押し出し成形によって成形することができる。更に、管状体に発泡体、織布、不織布、綿布、紙等を積層することもでき、また、管状体の少なくとも一面にコート層を設けることもできる。
(2)用途
本発明の管状体は、各種の自動車用部品、工業用部品、医療用部品、雑貨用部品等として使用することができる。具体的な、医療用部品としては、カテーテル類、輸液用チューブ、腹膜透析用チューブ、輸血用チューブ、人工心肺用の血液回路や血液透析用の血液回路などに用いられる回路用チューブ類、その他医療分野において物質を移送するのに用いられるチューブ類などがある。自動車用部品としては、例えば、ウオッシャーチューブがある。また工業用部品としては、散水用ホース、温冷水混合水栓用ホース、ドリンク用自動販売機に使われているチューブ等が挙げられる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示すとおりである。
<原材料>
(イ)成分
成分(イ−1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(イ−2):スチレンブロック−ブタジエン/イソプレンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量30重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量243,000)。
成分(イ−3):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の部分水素添加物(スチレン含有量31重量%、水素添加率56%、重量平均分子量100,000)。
成分(イ−4)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(ロ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産社(株)製「PW380」)。
成分(ハ):プロピレン系樹脂(日本ポリケム(株)製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成(株)製、55%品)
<評価方法>
(1)JIS A硬度
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を用いて、JIS K6253に準拠して測定した。
【0028】
以下の(2)〜(5)の測定には後述する管状体を用いた。
(2)成形加工性
押出成形時の作業性及び成形品外観について、以下の基準で評価した。
良好:材料に起因する問題がなく、さらに得られた管状体の著しい外観不良が無い
不良:材料に起因する問題が生じる、或いは著しい外観不良が発生した
(3)耐キンク性
エラストマー管状体をリング状の穴(直径24mm)に緩やかに曲げて通す。その後、リング状の穴に入った管状体の端と端を引っ張って、該管状体の輪を縮めていき、キンクしたときの管状体の輪の直径を測定した。
(4)耐油性
エラストマー管状体を軽質流動パラフィンに浸し、80℃で24時間放置した。浸せき後サンプルを取り出し、表面に付着したオイルをふき取り重量を測定した。そして下記式にて重量変化率を求めた。
【0029】
△W=(W2−W1)*100/W1
△W:重量変化率(%)
W1:浸せき前の空気中の質量
W2:浸せき後の空気中の質量
(5)耐熱性
エラストマー管状体を120℃で720時間ギヤオーブン中に静置した後、サンプルの状態を観察し、以下の基準で評価した。
良好:オーブンに入れる前と比べて外観の変化が無く、表面のブリード及びべた付きが無い
不良:オーブンに入れる前と比べて外観の変化、または表面へのブリードまたはベタ付が生じた
不良(ブリード):表面へブリードが生じた
<実施例1〜3、及び比較例1〜4>
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の(イ)〜(ハ)成分の合計量に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.1重量%を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて110〜200℃の温度に設定して溶融混練して動的熱処理を行ない、これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。このペレットを用い、上記の評価(1)JIS A硬度の測定を行った。
【0030】
続いて、同じく得られたペレットを用い、アイ・ケー・ジー株式会社製の40mmφパイプ成形機(フルフライトタイプスクリュウ、L/D=28)のパイプダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度190℃、スクリュウ回転数20rpmの条件下、外径8mm、内径5mmのエラストマー管状体を得た。この管状体を用い、上記の評価(2)〜(5)を実施した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
<結果の評価>
1)比較例1は、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−4)を用いているため、対応する実施例1、2、3に比較して成形加工性、耐キンク性、耐油性、耐熱性が劣っている。
2)比較例2,3は、架橋剤、架橋助剤を用いていないため、それぞれ対応する実施例1,2に比較して耐キンク性、耐油性が劣っている。
3)比較例4は、架橋剤、架橋助剤を用いていないため、対応する実施例3に比較して、成形加工性、耐キンク性、耐油性、耐熱性が劣っている。
【0033】
【発明の効果】
本発明により柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れた管状体を提供することが可能となる。特に軟質塩化ビニル樹脂に代えて使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用又は食品用の軟質チューブやパイプ等の管状体には、耐キンク性に優れる軟質塩化ビニル樹脂が広く用いられている。しかしながら、塩化ビニル樹脂を用いた製品には、環境に十分配慮して廃棄しなければならないという制約があるため、非塩化ビニル樹脂を用いることが望まれている。
【0003】
非塩化ビニル樹脂として、エチレン−ビニルアセテート樹脂が使用されている。また、低密度ポリエチレン、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン及び流動パラフィンの組成物からなる医療用チューブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの組成物からなる管状体は、耐キンク性が劣る上に耐熱性にも劣り、耐熱滅菌処理を施すことが出来ないことが問題となっていた。
【0004】
他方、スチレン系熱可塑性エラストマーは柔軟性及び成形加工性に優れ、自動車用途、工業用途、建材用途、土木用途、医療用途、食品用途等の様々な用途に利用されているものの、耐キンク性が劣る上に、耐油性、耐熱性にも劣るため、管状体としての用途には限界があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−104473号公報(請求項、段落(0004))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成の混合物を架橋剤の存在下で動的熱処理して得られるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物を用いた管状体が、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しうることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、下記の成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部あたりの成分(ハ)の含有量が1〜300重量部の混合物を架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体に存している。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
【0009】
【発明の実施の形態】
[1]スチレン系熱可塑性エラストマー
1)成分(イ)
本発明で使用する成分(イ)は、下記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0010】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0011】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0012】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する(ロ)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0013】
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、管状体の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0014】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、ゴム弾性、機械的強度が低下し、成形加工性も劣る傾向となる。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、成形加工が困難となることが多い。
【0015】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0016】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
2)成分(ロ)
本発明で使用する成分(ロ)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量が通常300〜2,000、好ましくは500〜1,500の炭化水素が使用され、鉱物油系炭化水素または合成樹脂系炭化水素が好適である。
【0017】
一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0018】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与すると共に得られる管状体の柔軟性向上にも寄与する。
3)成分(ハ)
本発明で使用する成分(ハ)は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0019】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、上記範囲を超えるものを用いた場合は、得られる組成物の機械的特性、特に引張破壊強度が低下する傾向となる。
4)配合割合
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(イ)と成分(ロ)の配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(イ)/(ロ)=25/75〜70/30である。(イ)/(ロ)の比率で成分(イ)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣ると共に、軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(イ)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。
一方成分(ハ)の割合は、成分(イ)及び(ロ)の合計量100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であり、特に好ましくは10〜100重量部である。成分(ハ)の量が1重量部未満の場合は得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
5)その他の配合成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、フェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(イ)〜(ハ)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増大に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になるか、着色などの影響が出る場合がある。
【0020】
また、本発明における組成物には、本発明の目的、効果を損わない範囲内において、必要に応じて、各種熱可塑性樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記成分(イ)〜(ハ)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時或いは後述の動的熱処理時に配合される。
【0021】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。
【0022】
また、任意のゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、ポリブタジエン等、また必須成分以外のスチレン系共重合体ゴム等を挙げることができる。
6)動的熱処理
本発明に用いるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(イ)〜(ハ)を含有する混合物を架橋剤の存在下に動的に熱処理された組成物である。動的熱処理を行うことにより、得られる管状体の耐熱性、耐油性を向上させるのみならず、キンク性についても改良することが可能となる。
【0023】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を均一に混合した後、架橋剤の存在下、必要に応じて架橋助剤を添加して溶融混練することによって行なわれる。
混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で成分(イ)〜(ハ)の一部を、動的熱処理終了後に添加しても構わない。
【0024】
この動的熱処理の際に用いる架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0025】
前記の架橋助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0026】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、成分(イ)と(ロ)の合計量に対し、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
[2]管状体の製造
1)成形
本発明のエラストマー管状体は、通常の押し出し成型法で成形できる。成形温度は組成によって異なるが、130〜220℃、好ましくは150〜200℃である。また、管状体は多層構造を有していてもよく、この場合、多層押し出し成形によって成形することができる。更に、管状体に発泡体、織布、不織布、綿布、紙等を積層することもでき、また、管状体の少なくとも一面にコート層を設けることもできる。
(2)用途
本発明の管状体は、各種の自動車用部品、工業用部品、医療用部品、雑貨用部品等として使用することができる。具体的な、医療用部品としては、カテーテル類、輸液用チューブ、腹膜透析用チューブ、輸血用チューブ、人工心肺用の血液回路や血液透析用の血液回路などに用いられる回路用チューブ類、その他医療分野において物質を移送するのに用いられるチューブ類などがある。自動車用部品としては、例えば、ウオッシャーチューブがある。また工業用部品としては、散水用ホース、温冷水混合水栓用ホース、ドリンク用自動販売機に使われているチューブ等が挙げられる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。以下の諸例で使用した材料および評価方法は以下に示すとおりである。
<原材料>
(イ)成分
成分(イ−1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(イ−2):スチレンブロック−ブタジエン/イソプレンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量30重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量243,000)。
成分(イ−3):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の部分水素添加物(スチレン含有量31重量%、水素添加率56%、重量平均分子量100,000)。
成分(イ−4)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(ロ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産社(株)製「PW380」)。
成分(ハ):プロピレン系樹脂(日本ポリケム(株)製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成(株)製、55%品)
<評価方法>
(1)JIS A硬度
インラインスクリュウタイプ射出成形機(東芝機械社製「IS130」)にて、射出圧力50MPa、シリンダ温度220℃、金型温度40℃の条件で射出成形して得られたシート(横120mm、縦80mm、肉厚2mm)を用いて、JIS K6253に準拠して測定した。
【0028】
以下の(2)〜(5)の測定には後述する管状体を用いた。
(2)成形加工性
押出成形時の作業性及び成形品外観について、以下の基準で評価した。
良好:材料に起因する問題がなく、さらに得られた管状体の著しい外観不良が無い
不良:材料に起因する問題が生じる、或いは著しい外観不良が発生した
(3)耐キンク性
エラストマー管状体をリング状の穴(直径24mm)に緩やかに曲げて通す。その後、リング状の穴に入った管状体の端と端を引っ張って、該管状体の輪を縮めていき、キンクしたときの管状体の輪の直径を測定した。
(4)耐油性
エラストマー管状体を軽質流動パラフィンに浸し、80℃で24時間放置した。浸せき後サンプルを取り出し、表面に付着したオイルをふき取り重量を測定した。そして下記式にて重量変化率を求めた。
【0029】
△W=(W2−W1)*100/W1
△W:重量変化率(%)
W1:浸せき前の空気中の質量
W2:浸せき後の空気中の質量
(5)耐熱性
エラストマー管状体を120℃で720時間ギヤオーブン中に静置した後、サンプルの状態を観察し、以下の基準で評価した。
良好:オーブンに入れる前と比べて外観の変化が無く、表面のブリード及びべた付きが無い
不良:オーブンに入れる前と比べて外観の変化、または表面へのブリードまたはベタ付が生じた
不良(ブリード):表面へブリードが生じた
<実施例1〜3、及び比較例1〜4>
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の(イ)〜(ハ)成分の合計量に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.1重量%を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて110〜200℃の温度に設定して溶融混練して動的熱処理を行ない、これをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。このペレットを用い、上記の評価(1)JIS A硬度の測定を行った。
【0030】
続いて、同じく得られたペレットを用い、アイ・ケー・ジー株式会社製の40mmφパイプ成形機(フルフライトタイプスクリュウ、L/D=28)のパイプダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度190℃、スクリュウ回転数20rpmの条件下、外径8mm、内径5mmのエラストマー管状体を得た。この管状体を用い、上記の評価(2)〜(5)を実施した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
<結果の評価>
1)比較例1は、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−4)を用いているため、対応する実施例1、2、3に比較して成形加工性、耐キンク性、耐油性、耐熱性が劣っている。
2)比較例2,3は、架橋剤、架橋助剤を用いていないため、それぞれ対応する実施例1,2に比較して耐キンク性、耐油性が劣っている。
3)比較例4は、架橋剤、架橋助剤を用いていないため、対応する実施例3に比較して、成形加工性、耐キンク性、耐油性、耐熱性が劣っている。
【0033】
【発明の効果】
本発明により柔軟性、成形加工性、耐油性、耐熱性及び耐キンク性に優れた管状体を提供することが可能となる。特に軟質塩化ビニル樹脂に代えて使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (4)
- 下記の成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部あたりの成分(ハ)の含有量が1〜300重量部の混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理さして得られるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、
一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂 - 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項1に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
- 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロックであり、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン共重合体ブロックであり、かつ成分(イ)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項1又は2に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
- 成分(ハ)が、プロピレン系樹脂である請求項1乃至3の何れか1項に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物からなる管状体。
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Legal Events
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