JP2004203833A - ビタミンaの中間体の製造方法 - Google Patents

ビタミンaの中間体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ビタミンA中間体の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(1)
Figure 2004203833

(式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、Qは以下に示す置換基を示す。
Figure 2004203833

で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
Figure 2004203833

(式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示す。)で示されるアリルハライドとを、相間移動触媒およびアルカリ金属水酸化物存在下、アルキル化反応させ、一般式(3)
Figure 2004203833

(R'は水素、水酸基の保護基を、Q'は以下に示す置換基を示す。
Figure 2004203833

で示されるスルホン化合物を得る製造方法であって、アルカリ金属水酸化物が、疎水性有機溶媒中、分散剤存在下、加熱溶融させた後、冷却して得られるアルカリ金属水酸化物である製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、飼料添加物、食品添加物の分野などで重要なビタミンAの中間体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、すでに、前記一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物と前記一般式(2)で示されるアリルハライドとのカップリング反応によるビタミンAの重要中間体である前記一般式(3)で示されるスルホン化合物の製造方法(特許文献1参照。)を見出している。上記カップリング反応に用いる塩基類として、アルキルリチウム、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物などが挙げられるが、最も安価で工業的に取り扱いが容易であるアルカリ金属水酸化物を使用した場合、回収再使用が困難な水溶性の溶媒(例えばDMF、THF, DMEなど)が必要であることや、アリルブロマイドではある程度反応するがアリルクロライドでは低収率になるなどいくつかの問題点を有していた。
【0003】
【特許文献1】
EP1199303 A1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式(1)
Figure 2004203833
(式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、Qは以下に示す置換基を示す。
Figure 2004203833
ここでArは前記と同じ意味を表わし、波線はE/Z幾何異性体のいずれか一方もしくはそれらの混合物であることを示す。●は結合位置を示す。)
で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
Figure 2004203833
(式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示し、波線は前記と同じ意味を表わす。)
で示されるアリルハライドとを、相間移動触媒およびアルカリ金属水酸化物存在下、アルキル化反応させ、一般式(3)
Figure 2004203833
(式中、Arおよび波線は前記と同じ意味を表わし、R'は水素原子または水酸基の保護基を、Q'は以下に示す置換基を示す。
Figure 2004203833
ここでArおよび波線は前記と同じ意味を表わし、●は結合位置を示す。)
で示されるスルホン化合物を得る製造方法であって、用いるアルカリ金属水酸化物が、疎水性有機溶媒中、分散剤存在下、加熱溶融させた後、冷却して得られるアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一般式(1)および(3)で示される化合物におけるArは、置換基を有していてもよいアリール基を示し、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換基としては、C1からC5のアルキル基、C1からC5のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基等が挙げられる。具体的には、フェニル、ナフチル、o−トリル,m−トリル,p−トリル、o−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、o−ブロモフェニル、m−ブロモフェニル、p−ブロモフェニル、o−ヨードフェニル、m−ヨードフェニル、p−ヨードフェニル、o−フルオロフェニル、m−フルオロフェニル、p−フルオロフェニル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニトロフェニル等が挙げられる。
【0007】
また、一般式(2)で示されるアリルハライドにおけるRは水酸基の保護基を示し、一般式(3)で示されるスルホン化合物における、R'は水素原子もしくは水酸基の保護基を示す。かかる水酸基の保護基としては、例えばホルミル、アセチル、エトキシアセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ブロモアセチル、ジブロモアセチル、トリブロモアセチル、プロピオニル、2−クロロプロピオニル、3−クロロプロピオニル、ブチリル、2−クロロブチリル、3−クロロブチリル、4−クロロブチリル、2−メチルブチリル、2−エチルブチリル、バレリル、2−メチルバレリル、4−メチルバレリル、ヘキサノイル、イソブチリル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、o−クロロベンゾイル、m−クロロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、 o−ヒドロキシベンゾイル、m−ヒドロキシベンゾイル、p−ヒドロキシベンゾイル、 o−アセトキシベンゾイル、 o−メトキシベンゾイル、m−メトキシベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−ニトロベンゾイル等のアシル基、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルなどのシリル基、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、1−エトキシエチルなどのアルコキシメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、t−ブチル基、トリチル基、メチル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられ、通常、アシル基が好ましく用いられる。
【0008】
一般式(2)で示されるアリルハライドにおけるXはハロゲン原子を示し、具体的には塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0009】
本発明におけるスルホン化合物(3)は、アリルスルホン化合物(1)とアリルハライド(2)とを、相間移動触媒およびアルカリ金属水酸化物存在下、反応させることによって得ることができるが、ここで用いるアルカリ金属水酸化物は、疎水性有機溶媒中、分散剤存在下、加熱溶融させた後、冷却して得られたゲル状アルカリ金属水酸化物である。
上記アルカリ金属水酸化物の調製に用いられるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられるが、中でも水酸化カリウムが好ましい。用いる水酸化カリウムとしては、10−15%程度水分を含有する純度85%程度のペレットよりも、純度90%以上のフレークが好ましい。
【0010】
上記アルカリ金属水酸化物の調製に用いられる分散剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール モノエーテル、ポリアルキレングリコール ジエーテル、ポリアルキレングリコール モノエステル、ポリアルキレングリコール ジエステル、ポリアルキレングリコール モノエーテル モノエステル、シリコーンから選ばれる化合物を主成分とする非イオン性界面活性剤が好ましい。具体的にはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシメチレンジアセテート、ポリエチレングリコール モノメチルエーテル、ポリエチレングリコール モノエチルエーテル、ポリエチレングリコール モノプロピルエーテル、ポリエチレングリコール モノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコール モノステアリルエーテル、ポリエチレングリコール モノラウリルエーテル、ポリエチレングリコール モノオレイルエーテル、ポリオキシエチレン イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン イソオクチルシクロヘキシルエーテル、ポリエチレングリコール モノアクリレート、ポリエチレングリコール モノメタクリレート、ポリエチレングリコール モノステアレート、ポリエチレングリコール モノラウレート、ポリエチレングリコール モノオレエート、ポリエチレングリコール ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール ジプロピルエーテル、ポリエチレングリコール ジブチルエーテル、ポリエチレングリコール ジビニルエーテル、ポリエチレングリコール ジアクリレート、ポリエチレングリコール ジベンゾエート、ポリエチレングリコール ジメタクリレート、ポリエチレングリコール ジステアレート、ポリエチレングリコール ジラウレート、ポリエチレングリコール ジオレエート、ポリエチレングリコール メチルエーテル アクリレート、ポリエチレングリコール メチルエーテル メタクリレート、ポリプロピレングリコール モノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール モノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ポリプロピレングリコール モノブチルエーテル、ポリプロピレングリコール モノセチルエーテル、ポリプロピレングリコール モノステアリルエーテル、ポリプロピレングリコール モノラウリルエーテル、ポリプロピレングリコール モノオレイルエーテル、ポリプロピレングリコール モノアクリレート、ポリプロピレングリコール モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール モノステアレート、ポリプロピレングリコール モノラウレート、ポリプロピレングリコール モノオレエート、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール ジエチルエーテル、ポリプロピレングリコール ジプロピルエーテル、ポリプロピレングリコール ジブチルエーテル、ポリプロピレングリコール ジビニルエーテル、ポリプロピレングリコール ジアクリレート、ポリプロピレングリコール ジベンゾエート、ポリプロピレングリコール ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール ジステアレート、ポリプロピレングリコール ジラウレート、ポリプロピレングリコールジオレエート、ポリプロピレングリコール メチルエーテル アクリレート、ポリプロピレングリコール メチルエーテル メタクリレート、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。特に好ましくは、ポリエチレングリコールが挙げられる。
かかる分散剤の使用量はアルカリ金属水酸化物に対して通常、0.001〜5重量%程度である。
上記アルカリ金属水酸化物の調製に用いられる疎水性有機溶媒としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0011】
上記アルカリ金属水酸化物の調製は、例えば、アルカリ金属水酸化物および分散剤を疎水性有機溶媒中に懸濁し、100℃以上に加熱し、アルカリ金属水酸化物を溶融させた後、室温程度まで冷却することによって行なわれる。室温程度まで冷却すると、アルカリ金属水酸化物がゲル状となって析出してくるが、析出した後、10時間以上撹拌熟成させた方が好ましい。得られたゲル状アルカリ金属水酸化物は、疎水性有機溶媒に分散させたスラリーとして反応に供する。
上記調製によって得られたアルカリ金属水酸化物および相間移動触媒存在下、アリルスルホン化合物(1)とアリルハライド(2)とを反応させることによってスルホン化合物(3)得ることができるが、用いるアルカリ金属水酸化物の使用量はアリルスルホン化合物(1)に対して通常、1〜40モル倍程度である。より好ましくは1〜25モル倍程度である。
【0012】
上記反応で用いる相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラペンチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラヘプチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化テトラデシルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化テトラドデシルアンモニウム、塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリエチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラヘキサデシルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化テトラオクタデシルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化1−メチルピリジニウム、塩化1−ヘキサデシルピリジニウム、塩化1,4―ジメチルピリジニウム、塩化トリメチルシクロプロピルアンモニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸水素塩となった化合物が挙げられる。
【0013】
第4級ホスホニウム塩としては、例えば、塩化トリブチルメチルホスホニウム、塩化トリエチルメチルホスホニウム、塩化メチルトリフェノキシホスホニウム、塩化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、塩化テトラオクチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルジメチルエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩となった化合物が挙げられる。
【0014】
スルホニウム塩としては、例えば、塩化ベンジルメチルエチルスルホニウム、塩化ベンジルジメチルスルホニウム、塩化ベンジルジエチルスルホニウム、塩化ジブチルメチルスルホニウム、塩化トリメチルスルホニウム、塩化トリエチルスルホニウム、塩化トリブチルスルホニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩となった化合物が挙げられる。
【0015】
かかる相間移動触媒の使用量は、アリルスルホン化合物(1)に対して通常0.005〜0.5モル倍程度であり、好ましくは0.01〜0.2モル倍程度である。
上記反応では、微量の水分の添加で反応が促進されることがある。水分の添加量は、アリルスルホン化合物(I)に対して通常0.01から1モル倍程度であり、好ましくは0.05から0.5モル倍程度である。
【0016】
上記反応は、通常、炭化水素系溶媒中で実施される。かかる溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0017】
反応温度は、通常、−78℃から使用する溶媒の沸点の範囲で任意に選択できるが、使用する原料化合物によって最適な反応温度を選択することが望ましい。また、反応時間は、使用する原料化合物、アルカリ金属水酸化物の量、温度など諸条件によって異なるが、通常5分から24時間程度の範囲である。
反応後、通常の後処理、例えば抽出、洗浄、晶析、各種クロマトグラフィーなどの操作を行なうことによりスルホン化合物(3)を得ることができる。
【0018】
【発明の効果】
かくして本発明の方法によれば、医薬、飼料添加物、食品添加物で重要なビタミンAの中間体を工業的有利に製造することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
Figure 2004203833
水酸化カリウム1180mg(20mmol)にトルエン(ポリエチレングリコール(600) 3.0mg/mL含有)3mLを添加し、加熱還流下1時間攪拌した。その後3〜4時間かけて室温までゆっくり冷却した後、室温で12時間攪拌することでゲル状の水酸化カリウム/トルエンスラリーを調製した。
アリルスルホン(I)292.43mg(1.0mmol)、アリルクロライド(II)408.6mg(2.4mmol)、テトラn-ブチルアンモニウムブロマイド16.6mg(0.07mmol)、水3.4mg(0.18mmol)にトルエン(1.0ml)を添加したスラリーを、先に調製した水酸化カリウム/トルエンスラリーに、0.5mLのトルエンで洗いこみながら仕込んだ。室温で0.5時間攪拌後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、トルエンで抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、スルホン(III)、(IV)およびトリエン(V)、(VI)の収率はそれぞれ88.7%、0.3%、2.0%、0%(合計91.0%)であった(原料であるアリルスルホン(I)が5.9%残存していたことから、選択率は94.1%であった。)。
【0021】
(実施例2)
分散剤としてポリエチレングリコール(600)の代わりにシリコーン系界面活性剤(消泡剤 KM−98 信越化学社製)を用いた以外は実施例1と同様に反応、後処理を行ったところ、スルホン(III)、(IV)およびトリエン(V)、(VI)の収率はそれぞれ78.0%、0.3%、0.4%、0%(合計78.7%)であった(原料であるアリルスルホン(I)が14.6%残存していたことから、選択率は85.4%であった。)。
【0022】
(実施例3)
水3.4mg(0.18mmol)を添加しないこと以外は実施例1と同様に反応、後処理を行ったところ、スルホン(III)、(IV)およびトリエン(V)、(VI)の収率はそれぞれ80.8%、0.9%、0.3%、1.3%(合計83.1%)であった(原料であるアリルスルホン(I)が11.9%残存していたことから、選択率は88.1%であった。)。
【0023】
(実施例4)
テトラn-ブチルアンモニウムブロマイドの代わりに、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いて50℃で2時間反応させた以外は実施例1と同様に反応、後処理を行ったところ、スルホン(III)、(IV)およびトリエン(V)、(VI)の収率はそれぞれ0.2%、0.2%、4.6%、31.1%(合計44.9%)であった(原料であるアリルスルホン(I)が36.1%残存していたことから、選択率は63.9%であった。)。
【0024】
(実施例5)
水酸化カリウム885mg(15mmol)にトルエン(ポリエチレングリコール(600) 3.0mg/mL含有)6mLを添加し、加熱還流下1時間攪拌した。その後3〜4時間かけて室温までゆっくり冷却した後、室温で12時間攪拌することでゲル状の水酸化カリウム/トルエンスラリーを調製した。
アリルスルホン(I)292.43mg(1.0mmol)、アリルクロライド(II)408.6mg(2.4mmol)、テトラn−ブチルアンモニウムクブロマイド16.6mg(0.07mmol)、水3.4mg(0.18mmol)にトルエン(1.5ml)を添加したスラリーを、先に調製した水酸化カリウム/トルエンスラリーに、0.5mLのトルエンで洗いこみながら仕込んだ。室温で4時間攪拌後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、トルエンで抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、スルホン(III)、(IV)およびトリエン(V)、(VI)の収率はそれぞれ75.1%、0.1%、0.9%、0.1%(合計76.2%)であった。
【0025】
(実施例6)
Figure 2004203833
水酸化カリウム210.6mg(3.75mmol)にトルエン(ポリエチレングリコール(600) 2.1mg/mL含有)1mLを添加し、加熱還流下1時間攪拌した。その後3〜4時間かけて室温までゆっくり冷却した後、室温で12時間攪拌することでゲル状の水酸化カリウム/トルエンスラリーを調製した。
アリルスルホン(VII)796.3mg(1.5mmol)、アリルクロライド(II)302.5mg(1.8mmol)、テトラn-ブチルアンモニウムブロマイド48.0mg(0.15mmol)、水4mg(0.22mmol)にトルエン(1.4ml)を添加したスラリーを、先に調製した水酸化カリウム/トルエンスラリーに、2mLのトルエンで洗いこみながら仕込んだ。室温で3時間攪拌後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(VIII)、(IX)、ジエニルスルホン(X)、(XI)の収率はそれぞれ42.6%、36.0%、4.1%、4.9%(合計87.5%)であった。
【0026】
(実施例7)
水酸化カリウム422.7mg(7.5mmol)にトルエン(ポリエチレングリコール(600) 2.1mg/mL含有)2mLを添加し、加熱還流下1時間攪拌した。その後3〜4時間かけて室温までゆっくり冷却した後、室温で12時間攪拌することでゲル状の水酸化カリウム/トルエンスラリーを調製した。
アリルスルホン(VII)396.8mg(0.75mmol)、アリルクロライド(II)154.7mg(0.91mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド17.0mg(0.07mmol)、水4mg(0.22mmol)にトルエン(1.4ml)を添加したスラリーを、先に調製した水酸化カリウム/トルエンスラリーに、1mLのトルエンで洗いこみながら仕込んだ。室温で3時間攪拌後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(VIII)、(IX)、ジエニルスルホン(X)、(XI)の収率はそれぞれ54.8%、3.8%、1.1%、1.3%(合計61.0%)であった(原料であるアリルスルホン(VII)が22.8%残存していたことから、選択率は79.0%であった。)。
なお、上記一般式において、Tsは、p−トリルスルホニル基を示し、Acはアセチル基を示す。

Claims (11)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004203833
    (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、Qは以下に示す置換基を示す。
    Figure 2004203833
    ここでArは前記と同じ意味を表わし、波線はE/Z幾何異性体のいずれか一方もしくはそれらの混合物であることを示す。●は結合位置を示す。)
    で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
    Figure 2004203833
    (式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示し、波線は前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるアリルハライドとを、相間移動触媒およびアルカリ金属水酸化物存在下、アルキル化反応させ、一般式(3)
    Figure 2004203833
    (式中、Arおよび波線は前記と同じ意味を表わし、R'は水素原子または水酸基の保護基を、Q'は以下に示す置換基を示す。
    Figure 2004203833
    ここでArおよび波線は前記と同じ意味を表わし、●は結合位置を示す。)
    で示されるスルホン化合物を得る製造方法であって、用いるアルカリ金属水酸化物が、疎水性有機溶媒中、分散剤存在下、加熱溶融させた後、冷却して得られるアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする製造方法。
  2. 分散剤が非イオン性界面活性剤である請求項1に記載の製造方法。
  3. 非イオン性界面活性剤がポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノエーテル、ポリアルキレングリコール ジエーテル、ポリアルキレングリコール モノエステル、ポリアルキレングリコール ジエステル、ポリアルキレングリコール モノエーテル モノエステル、シリコーンから選ばれる化合物を主成分とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールである請求項2に記載の製造方法。
  5. アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 水酸化カリウムの純度が90%以上である請求項5に記載の製造方法。
  7. 疎水性有機溶媒が芳香族炭化水素である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 相間移動触媒が第4級アンモニウム塩である請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 相間移動触媒の使用量が一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物に対し、0.01から0.5モル倍である請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物に対し、0.05から0.5モル倍の水の存在下に実施することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 一般式で示される化合物において、Rがアシル基である請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
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