JP2004203755A - ビタミンa中間体の製造方法 - Google Patents

ビタミンa中間体の製造方法 Download PDF

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正生 柳川
Toshiya Takahashi
寿也 高橋
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Abstract

【課題】ビタミンA中間体の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(1)
Figure 2004203755

(式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示す。)で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
Figure 2004203755

(式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示す。)で示されるアリルハライドとを、粒径が3mm以下のアルカリ金属水酸化物、および相間移動触媒の存在下、芳香族系溶媒中で反応させる一般式(3)
Figure 2004203755

(式中、Rは水素原子もしくは水酸基の保護基を示し、Arおよび波線は前記と同じ意味を表す。)で示されるジスルホン化合物、および/または一般式(4)
Figure 2004203755

で示されるジエニルスルホン化合物、および/または一般式(5)
Figure 2004203755

で示されるスルホン化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、飼料添加物、食品添加物であるビタミンAの中間体として有用なジスルホン化合物、ジエニルスルホン化合物、スルホン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、すでに、一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)で示されるアリルハライドとのカップリング反応によるビタミンAの重要中間体である一般式(3)で示されるジスルホン化合物の製造方法(特許文献1参照。)を見出している。上記カップリング反応に用いる塩基類として、アルキルリチウム、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物が挙げられるが、最も安価で工業的に取り扱いが容易であるアルカリ金属水酸化物を使用した場合には、収率的に必ずしも充分なものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
EP1199303 A1
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、一般式(1)
Figure 2004203755
(式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、波線は、その結合する二重結合の立体がE体、Z体もしくはE/Zの混合物を表す。)
で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
Figure 2004203755
(式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示し、波線は前記と同じ意味を表す。)
で示されるアリルハライドとを、粒径が3mm以下のアルカリ金属水酸化物、および相間移動触媒の存在下、芳香族系溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(3)
Figure 2004203755
(式中、Rは水素原子もしくは水酸基の保護基を示し、Arおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
で示されるジスルホン化合物、および/または一般式(4)
Figure 2004203755
(式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
で示されるジエニルスルホン化合物、および/または一般式(5)
Figure 2004203755
(式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
で示されるスルホン化合物の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。一般式(1)、(3)、(4)および(5)で示される化合物におけるArは置換基を有していてもよいアリール基を示し、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換基としては、C1からC5の直鎖または分枝状のアルキル基、C1からC5の直鎖または分枝状のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
置換基Arの具体例としては、フェニル、ナフチル、o−トリル,m−トリル,p−トリル、o−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、o−ブロモフェニル、m−ブロモフェニル、p−ブロモフェニル、o−ヨードフェニル、m−ヨードフェニル、p−ヨードフェニル、o−フルオロフェニル、m−フルオロフェニル、p−フルオロフェニル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニトロフェニル等が挙げられる。
【0006】
一般式(2)で示されるアリルハライドにおけるRは水酸基の保護基を示し、一般式(3)、(4)、(5)で示される化合物におけるRは水素原子もしくは水酸基の保護基を示す。かかる水酸基の保護基としては、例えばホルミル、アセチル、エトキシアセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ブロモアセチル、ジブロモアセチル、トリブロモアセチル、プロピオニル、2−クロロプロピオニル、3−クロロプロピオニル、ブチリル、2−クロロブチリル、3−クロロブチリル、4−クロロブチリル、2−メチルブチリル、2−エチルブチリル、バレリル、2−メチルバレリル、4−メチルバレリル、ヘキサノイル、イソブチリル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、o−クロロベンゾイル、m−クロロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、 o−ヒドロキシベンゾイル、m−ヒドロキシベンゾイル、p−ヒドロキシベンゾイル、 o−アセトキシベンゾイル、 o−メトキシベンゾイル、m−メトキシベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−ニトロベンゾイル等のアシル基、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルなどのシリル基、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、1−エトキシエチルなどのアルコキシアルキル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、t−ブチル基、トリチル基、メチル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられ、通常、アシル基が好ましく用いられる。
【0007】
一般式(2)で示されるアリルハライドにおけるXはハロゲン原子を示し、具体的には塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0008】
一般式(3)で示されるジスルホン化合物、および/または一般式(4)で示されるジエニルスルホン化合物、および/または一般式(5)で示されるスルホン化合物は一般式(1)
Figure 2004203755
(式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、波線は、その結合する二重結合の立体がE体もしくはZ体もしくはE/Zの混合物を表す。)
で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
Figure 2004203755
(式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示し、波線は前記と同じ意味を表す。)で示されるアリルハライドとを粒径が3mm以下のアルカリ金属水酸化物および相間移動触媒の存在下、芳香族系溶媒中で反応させることにより得ることができる。
【0009】
上記反応に用いられるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。好ましくは水酸化カリウムが挙げられる。かかるアルカリ金属水酸化物の使用量は、アリルスルホン(1)に対して、通常0.5〜50モル倍、好ましくは1〜25モル倍、特に好ましくは1〜10モル倍程度である。かかるアルカリ金属水酸化物は、純度90%以上のものが好ましい。特に好ましくは95%以上である。
【0010】
かかるアルカリ金属水酸化物の調製方法は、アルカリ金属水酸化物を粉砕することにより達成され、その方法は特に限定されず、乾式粉砕、湿式粉砕などの方法により粉砕したものを使用することができる。粉砕したアルカリ金属水酸化物の粒径としては、好ましくは3mm以下である。ここで粒径3mm以下とは、3mmの篩を通過したものである。
より好ましくは1mm以下であり、下限は特に限定されないが通常、1μm程度である。
【0011】
上記反応では、相間移動触媒の添加により反応が促進される。かかる相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられ、好ましくは、第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0012】
第4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラペンチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラヘプチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化テトラデシルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化テトラドデシルアンモニウム、塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリエチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラヘキサデシルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化テトラオクタデシルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化1−メチルピリジニウム、塩化1−ヘキサデシルピリジニウム、塩化1,4―ジメチルピリジニウム、塩化トリメチルシクロプロピルアンモニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸水素塩となった化合物が挙げられる。
【0013】
第4級ホスホニウム塩としては、例えば、塩化トリブチルメチルホスホニウム、塩化トリエチルメチルホスホニウム、塩化メチルトリフェノキシホスホニウム、塩化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、塩化テトラオクチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、塩化ヘキサデシルジメチルエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩となった化合物が挙げられる。
【0014】
スルホニウム塩としては、例えば、塩化ベンジルメチルエチルスルホニウム、塩化ベンジルジメチルスルホニウム、塩化ベンジルジエチルスルホニウム、塩化ジブチルメチルスルホニウム、塩化トリメチルスルホニウム、塩化トリエチルスルホニウム、塩化トリブチルスルホニウム、あるいはこれらの塩化物塩が、それぞれ対応する臭化物塩、ヨウ化物塩となった化合物が挙げられる。
【0015】
かかる相間移動触媒の使用量は、アリルスルホン化合物(1)に対して通常0.005〜2モル倍程度であり、好ましくは0.01〜0.5モル倍程度である。
【0016】
上記反応では、水分の添加で反応が促進されることがある。水分の添加量は、アリルスルホン化合物(1)に対して通常0.01から1モル倍程度であり、好ましくは0.05から0.5モル倍である。
【0017】
上記反応は、芳香族系溶媒中で実施される。芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらは単一であっても2種以上の混合溶媒で使用してもよい。
【0018】
反応温度は通常、−78℃から溶媒の沸点までの範囲内で任意に選択できるが、使用する原料化合物、アルカリ金属水酸化物、相間移動触媒および溶媒の種類や量によって最適な反応温度を選択することが望ましい。
反応時間は、使用する原料化合物、アルカリ金属水酸化物、相間移動触媒、水分添加量、溶媒ならびに反応温度など諸条件によって異なるが、通常5分間から24時間程度の範囲である。
反応は、無酸素下条件が好ましく、不活性ガス(窒素、アルゴン)雰囲気下に行い、使用する溶媒も十分に脱気しておくことが望ましい。また、安定剤として3,5―ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2−&3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)、ビタミンE、エトキシキン等の酸化防止剤を加えておくとさらに好ましい。
反応後は、通常の後処理、例えば抽出、洗浄、晶析、各種クロマトグラフィーなどの操作をすることによりジスルホン化合物(3)、および/またはジエニルスルホン化合物(4)、および/またはスルホン化合物(5)を製造することができる。
【0019】
上記反応において、ジスルホン化合物(3)、ジエニルスルホン化合物(4)、スルホン化合物(5)の生成比は、アルカリ金属水酸化物や相間移動触媒の種類や量、水分添加量、溶媒種、反応温度ならびに反応時間など諸条件によって異なるが、一般的にアルカリ金属水酸化物および/または相間移動触媒の使用量が少なく、反応時間を短くすると、ジスルホン化合物(3)の生成比が高くなり、アルカリ金属水酸化物および/または相間移動触媒の使用量が多く、反応時間を長くすると、ジエニルスルホン化合物(4)の生成比が高くなる。
また、反応条件によっては上記化合物の他にビタミンAが数%程度生成することもある。
【0020】
上記反応により得られたジスルホン化合物(3)、および/またはジエニルスルホン化合物(4)、および/またはスルホン化合物(5)の混合物は、塩基と反応させることによって容易にビタミンAに導くことができる。
【0021】
本発明の原料化合物である一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物はEP1199303 A1に記載の方法で製造することができる。アリルハライド(2)は、米国特許4175204号明細書に記載された方法によりイソプレンから2工程で簡便に製造することができる。
【0022】
【発明の効果】
かくして、本発明の方法によれば、医薬、飼料添加物、食品添加物であるビタミンAの中間体として有用なジスルホン化合物、ジエニルスルホン化合物、スルホン化合物を工業的に有利な方法で製造することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
Figure 2004203755
アリルスルホン(I)5.14g(10.0mmol)、アリルクロライド(II)2.02g(11.7mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.22g(1.0mmol)、水60mg(3.3mmol)にトルエン(BHT 300ppm含有)20mlを添加し、40℃に昇温した。これに、湿式粉砕法により別途調製した、粒径1.5〜15μmの水酸化カリウム/トルエンスラリー(5mmol/mL)5mLを添加し40℃で1時間攪拌した。反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、トルエンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去することで粗生成物を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ41.6%、38.9%、2.2%、1.6%、0.1%(合計84.3%)であった。
【0025】
(実施例2)
アリルスルホン(I)521.5mg(1.0mmol)、アリルクロライド(II)209.2mg(1.2mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド33.9mg(0.1mmol)、水3mg(0.17mmol)にトルエン(BHT 300ppm含有)2mlを添加し、40℃に昇温した。これに、乾式粉砕法により別途調製した、粒径90μm以下の水酸化カリウム147.1mg(2.5mmol)を添加し40℃で3時間攪拌した。反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、トルエンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ25.2%、46.0%、2.3%、4.8%、0.1%(合計78.4%)であった。
【0026】
(実施例3〜6)
実施例2において、粒径90μm以下の水酸化カリウムの代わりに、以下の表に示す粒径の水酸化カリウム(乾式粉砕法にて別途調整)を使用した以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液を高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率は以下の表に示す通りであった。
【表1】
Figure 2004203755
【0027】
(実施例7)
実施例2において、水酸化カリウムの使用量が86.7mg(1.5mmol)である以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液を高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ66.6%、3.0%、0.1%、1.6%、0%(合計71.3%)であった。
【0028】
(実施例8)
実施例2において、水酸化カリウムの使用量が291.0mg(5.0mmol)である以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液を高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、スルホン(VII)、およびビタミンA(IX)の収率はそれぞれ0%、11.7%、0.1%、76.3%、0.3%、1.3%(合計89.8%)であった。
【0029】
(実施例9)
実施例2において、水の使用量が6mg(0.33mmol)である以外は実施例2と同様に操作した。得られた溶液を高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ23.2%、49.9%、1.7%、4.2%、0%(合計79.1%)であった。
【0030】
(実施例10)
アリルスルホン(I)548.7mg(1.0mmol)、アリルクロライド(II)198.0mg(1.1mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド23.0mg(0.1mmol)、水4mg (0.22mmol)にトルエン4mlを添加し、50℃に昇温した。これに、乾式粉砕法にて別途調整した、粒径250〜500μmの水酸化カリウム140.0mg(2.5mmol)を添加し50℃で2時間攪拌した。反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ40.4%、34.1%、1.6%、3.7%、0%(合計79.8%)であった。
【0031】
(実施例11)
アリルスルホン(I)386.3mg(0.75mmol)、アリルクロライド(II)162.3mg(0.9mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド17.5mg(0.08mmol)、水3mg (0.17mmol)にトルエン3mlを添加した。これに、乾式粉砕法にて別途調整した、粒径250〜500μmの水酸化カリウム429.4mg(7.7mmol)を添加し室温で3.5時間攪拌した。
反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ71.3%、0.8%、0.7%、1.3%、0%(合計75.3%)であった。
【0032】
(実施例12)
アリルスルホン(I)388.5mg(0.75mmol)、アリルクロライド(II)158.8mg(0.9mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド18.3mg(0.08mmol)、水3mg (0.17mmol)にトルエン3mlを添加し50℃に昇温した。これに、乾式粉砕法にて別途調整した、粒径250〜500μmの水酸化カリウム213.5mg(3.8mmol)を添加し50℃で3時間攪拌した。反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、スルホン(VII)、およびビタミンA(IX)の収率はそれぞれ3.3%、27.9%、0.5%、53.8%、0%、3.4%(合計88.8%)であった。
【0033】
(実施例13)
アリルスルホン(I)392.4mg(0.75mmol)、アリルクロライド(II)150.4mg(0.9mmol)、硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム32.9mg(0.07mmol)、水3mg(0.17mmol)にトルエン3mlを添加し50℃に昇温した。これに、乾式粉砕法にて別途調整した、粒径250〜500μmの水酸化カリウム110.2mg(2.0mmol)を添加し50℃で3時間攪拌した。反応後、飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、メチルイソブチルケトンにて抽出した。得られた有機層は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過により硫酸マグネシウムを除去することで、生成物を含む溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)、およびスルホン(VII)の収率はそれぞれ34.2%、39.0%、3.9%、7.5%、0%(合計84.6%)であった。
【0034】
(参考例1)
ジスルホン(III)、(IV)、ジエニルスルホン(V)、(VI)をそれぞれ29.1%、27.9%、2.4%、8.6%含む混合物436.0mg、テトラブチルアンモニウム8.2mg、メタノール5μLをトルエン(BHT300ppm含有)2mlに溶解し、40℃に昇温した。この溶液に、乾式粉砕法にて別途調整した、粒径0.5〜1mmの水酸化カリウム431.7mgを添加し、40℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水を添加し、トルエンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去することにより赤色オイルの粗ビタミンAを得た。得られた粗ビタミンAを常法によりアセチル化し、高速液体クロマトグラフィーにて定量したところ、ビタミンAアセテートの収率は73.0%であった。

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004203755
    (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を示し、波線は、その結合する二重結合の立体がE体、Z体もしくはE/Zの混合物を表す。)
    で示されるアリルスルホン化合物と一般式(2)
    Figure 2004203755
    (式中、Xはハロゲン原子、Rは水酸基の保護基を示し、波線は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるアリルハライドとを、粒径が3mm以下のアルカリ金属水酸化物、および相間移動触媒の存在下、芳香族系溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(3)
    Figure 2004203755
    (式中、Rは水素原子もしくは水酸基の保護基を示し、Arおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるジスルホン化合物、および/または一般式(4)
    Figure 2004203755
    (式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるジエニルスルホン化合物、および/または一般式(5)
    Figure 2004203755
    (式中、Ar、Rおよび波線は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるスルホン化合物の製造方法。
  2. アルカリ金属水酸化物が純度90%以上の水酸化カリウムである請求項1に記載の製造方法。
  3. アルカリ金属水酸化物の使用量が一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物に対し、1から25モル倍である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 相間移動触媒が第4級アンモニウム塩である請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 相間移動触媒の使用量が一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物に対し、0.01から0.5モル倍である請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 一般式(1)で示されるアリルスルホン化合物に対し、0.05から0.5モル倍の水分の存在下に実施することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 一般式で示される化合物において、Rがアシル基である請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
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