JP2004203132A - 車体のパネル接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、パネル部材の合わせ面を通じての水漏れを確実に防げる車体のパネル接合構造を提供する。
【解決手段】本発明のパネル接合構造は、フランジ部を重ね合わせてスポット溶接で接合される第1パネル部材21および第2パネル部材22のうち、スポットの打点を避けた一方のフランジ部23の基部内面に、該フランジ部23に沿って連続して延びる段差部25を形成し、この段差部25内にフランジ部間をシールするスポットシーラ19を塗布する構造にすることによって、スポット溶接の打点をかわした地点でシールを行うようにし、スポット溶接の熱でスポットシーラ19が溶けないようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のパネル接合構造は、フランジ部を重ね合わせてスポット溶接で接合される第1パネル部材21および第2パネル部材22のうち、スポットの打点を避けた一方のフランジ部23の基部内面に、該フランジ部23に沿って連続して延びる段差部25を形成し、この段差部25内にフランジ部間をシールするスポットシーラ19を塗布する構造にすることによって、スポット溶接の打点をかわした地点でシールを行うようにし、スポット溶接の熱でスポットシーラ19が溶けないようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車体の外板を構成するパネル部材の合わせ面のシール性を改善した車体のパネル接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックの車体であるキャビンには、金属製のパネル部材をスポット溶接で接合した構造物が用いられる。具体的には、パネル部材を閉断面状に接合した各種ピラー、ルーフレール、サイドパネルなどで骨格を組み、この骨格部にルーフパネル、フロントパネル、バックパネルなど各種壁部材を組込むことが行われている。
【0003】
ところで、キャビンの外板部は、顧客の要望などにより、バックミラーを支えるステー、グリップを形成するルーフグリップ、荷物を載せるルーフデッキ、導風のためのドラッグフォイラー等を取付けることが行われる。
【0004】
ところが、その部品の取付けの不具合から、キャビン内へ雨漏れを生じることがある。例えば工場出荷の後、販売店側で、顧客の求めに応じて架装が行われるルーフデッキやドラッグフォイラー等は、架装時の作業により水密が不十分になることがあり、同部品を取付ける外板部から、雨水が浸入して、車室内へ雨漏れすることがある。
【0005】
またパネル部材の合わせ面は、ボディシーラを塗布してシールしているが、同ボディシーラにパネル部材の合わせ面に続くような亀裂が生じたりすると、車両の走行時に生じる吸込作用の影響(キャブの車室内と外気との気圧差による)を受けて、車室内へ水が浸入することもある。
【0006】
こうした水漏れの対策として、キャビンの外板部を構成しているパネル部材の接合部、例えばルーフパネルとルーフサイドパネルの合わせ部分間、ルーフパネルとウィンドシールドインナアッパパネルとの合わせ面間、フロントピラーアウタパネルとフロントピラーインナパネルとの合わせ面間に、スポットシーラを塗布して、外部と遮断することが行われている(例えば特許文献1を参照)。
【0007】
【特許文献1】
実開平1−149063号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スポット溶接の打点付近のスポットシーラは、スポット溶接の熱で溶けてシール機能が低下しやすく、パネル部材の合わせ面から外部の水がキャビン内へ漏れるおそれがある。
【0009】
そのため、本発明の目的は、パネル部材の合わせ面を通じての水漏れを確実に防げる車体のパネル接合構造を提供することがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、フランジ部を重ね合わせてスポット溶接で接合される第1パネル部材および第2パネル部材のうち、スポットの打点を避けた一方のフランジ部の基部内面に、該フランジ部に沿って連続して延びるシーラ塗布用の窪み部を形成し、この窪み部内に該窪み部にならい連続して、フランジ部間をシールするスポットシーラを塗布する構造とした。
【0011】
これにより、スポットシーラは、窪み部をガイドとして一様に塗布される。しかも、スポットシーラは、スポット溶接の打点をかわした地点でシールを行うので、スポット溶接の熱でスポットシーラが溶けるのが避けられ、パネル部材の合わせ面のシール性が十分に確保される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、さらに簡単な作業でシールが行えるよう、フランジ部同士を重ね合わせる前に窪み部内に該窪み部の深さ以上の高さでスポットシーラを塗布して、フランジ部同士を重ね合わせたときに相手側のフランジ部の基部内面と密着してフランジ部間をシールする構造とした。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加え、同じく、窪み部には、フランジ部に沿って延びる溝部を採用した。
【0014】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加え、さらにスポットシーラで浸入が止められる水が速やかに外部へ排水されるよう、第1パネル部材および第2パネル部材が、フランジ部が水平方向で重なり合う車体の外板をなし、両パネル部材の合わせ面をシールするスポットシーラが、フランジ部の板端を通じて浸入する漏水をフランジ部両側へ導くガイドをなすように構成され、フランジ部の両側には漏水を車体外へ導くための排水部を有して、スポットシーラに至る水が、スポットシーラを伝わり、排水部から車体外へ至るようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図9に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0016】
図1は、自動車の車体である例えばキャブオーバ型トラックのキャビン1のほぼ全体を示す。キャビン1は、例えばフロントピラー2、フロントルーフレール3、ルーフサイドレール4、カウルトップ10などの骨格部材を用いて骨格を組み、この骨格部にサイドパネル6、ルーフパネル7、フロントパネル8、バックパネル9(図8のみに図示)など各種パネル部をスポット溶接による接合で組込んであり、同構造にて外板を構成している。そして、その後で、フロントウインド11、フロントドア(図示しない)、サイドウインド13、バッグウインド(図示しない)やフロントシート14などを取付けている。なお、16は、例えばフロントルーフレール3の外表面に設けてあるルーフグリップ取付け用取付部、17は例えばルーフサイドレール4の外表面に設けてあるルーフデッキ取付け用取付部である。
【0017】
キャビン1の骨格部やパネル部には、いずれもスポット溶接を用いてパネル部材を閉断面状に接合した構造が用いてある。そして、このキャビン1(車体)の外板のうち、例えばフロントウインド11の廻り(ウインド全周)の部分、フロントドア12で開閉される乗降口18廻りとなるフロントピラー2〜ルーフサイドレール4付近のドア当たり部分における合わせ部には、スポットシーラ19を用いたシール構造が用いてある。これら各外板の各シール構造に本発明が適用してある。
【0018】
図2および図3には、これらシール構造のうち、フロントピラー2の両側(片側だけ図示)の合わせ部、すなわちフロントウインド11の側縁部および乗降口18側の側縁部の各合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図4には同じくフロントウインド11の上縁部を支持するフロントルーフレール3の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図5には同じくルーフサイドレール4の下端部の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図6には同じくフロントウインド11の下縁部を支持するカウルトップ10の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図7〜図9には同じくルーフパネル9の車幅方向側部(片側だけ図示)の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示されている。
【0019】
図2および図3を説明すると、フロントピラー2は、凹状断面で上下方向に延びる細長のフロントピラーインナパネル部材21(第1パネル部材に相当)と凹状断面で上下方向に延びる細長のフロントピラーアウタパネル部材22(第2パネル部材に相当)との両側部をそれぞれスポット溶接で接合して構成される部品である。すなわち、フロントピラーインナパネル部材21とフロントピラーアウタパネル部材22との双方は、それぞれ幅方向両側部に上下方向に渡り所定幅でフランジ部23が形成されていて、フロントピラー2は、両パネル部材21,22同士を、各フランジ部同士が垂直方向に対して重なり合うよう内向きに突き合わせ、重なるフランジ部23の各部をスポット溶接の複数の打点で接合することにより構成される。なお、図2中のX部はスポット溶接されたスポット溶接部を示し、図3中の円形なY部分はスポット溶接がなされる打点個所を示す。
【0020】
両パネル部材21、22のうち、一方の内面、すなわちフロントピラーインナパネル部材21の内面で、かつスポット溶接の打点から最も遠くに避けた地点となる部位、例えば各フランジ部23の基部には、それぞれフランジ部23に沿って連続して延びる窪み部、例えば段差部25が形成されている。各段差部25は、いずれもフランジ部23に沿ってL字状の段差から形成される。そして、この段差部25内にスポットシーラ19が塗布され、フランジ部23,23の接合部間をシールさせている。具体的には、スポットシーラ19は、図3に示されるように両パネル部材21,22を集成する前に、段差部25の段差面25aに、段差部25の深さ以上の高さで、段差部25にならい連続して塗布しておき、これが、集成のフランジ部23,23同士を重ね合わせたとき、相手側のパネル部材の内面(ここでは、フロントピラーアウタパネル部材22のフランジ部23の内面)と密着して、フランジ部23,23の板端間がシールされる。なお、フランジ部23の接合は、当該フランジ部23,23を重ね合わせた後、フランジ部23の各打点個所Yにスポット溶接を施すことにより行われる。そして、その後の艤装工程などで、図2に示されるように接合した各フランジ部23,23に対して、ウェーザストリップ11aを介してフロントウインド11が組付いたり、フロントドアに対するオープニングトリム11bが組付いたりする。
【0021】
こうした段差部25を用いたシール構造は、フランジ部23,23の接合面間が、スポット溶接の打点をかわした地点で、スポットシーラ19によりシールされるので、フランジ部23,23を接合するスポット溶接の熱でスポットシーラ19が溶けるのが避けられる。
【0022】
それ故、パネル部材の合わせ面、すなわちキャブ1の外板をなすフロントピラーインナパネル部材21とフロントピラーアウタパネル部材22との接合面間を確実にシールすることができる。しかも、スポットシーラ19は、凹んだ部分をガイドとして塗布されるので、接合面間に一様に塗布でき、常に十分なるシール性を確保できる。特に段差部25にスポットシーラ19を塗布する構造は、溶接組立又は塗装完成後(但し、艤装組立前)にスポットシーラ19が一様に塗布されたか否かの状態が、パネル軽減穴、作業穴等から鏡を利用して目視により判別されやすい。
【0023】
したがって、たとえルーフデッキやドラッグフォイラー等の架装の際、部品の締結の仕方などで水密が不十分となって、フロントルーフレール3の外表面に有るルーフグリップ取付け用取付部16やルーフサイドレール4の外表面に有るルーフデッキ取付け用取付部17から水漏れがあっても、雨水がキャビン1内へ浸入するのを防ぐことができる。また車両の走行時の気圧差が影響しても、雨水がキャビン1内に浸入することはない。特にスポットシーラ19に発泡タイプのシーラを用いると、こうした高いシール性が容易に維持できる。
【0024】
図4に示すフロントルーフレール3は、凹状断面で車幅方向に延びる細長のフロントルーフレールインナパネル部材28(第1パネル部材に相当)と、ルーフパネル7の前部側の端部(第2パネル部材に相当)とをスポット溶接で接合して構成される部品である。この部品の下縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材7,28の端に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントウインド11の下縁部を支持する合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示される段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用されており、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図4において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0025】
図5に示すルーフサイドレール4は、凹状断面で車体前後方向に延びるの細長のルーフサイドインナパネル部材30(第1パネル部材に相当)の下縁部と凹状断面で車体前後幅方向に延びる細長のルーフサイドアウタパネル部材31(第2パネル部材に相当)の下縁部とその両者間を横切るように配置されるリンフォースパネル部材32(第1パネル部材に相当)の下縁部をスポット溶接で接合して構成される部品である。この部品の下縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材30〜32に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントドアとの当たり面(乗降口18の上縁部)をなすルーフサイドレール4の合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示されるような構造が採用してある。具体的には、リンフォースパネル部材32のフランジ部23とルーフサイドアウタパネル部材31のフランジ部23との合わせ面のシールには、図2および図3で示した段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用してある。またルーフサイドアウタパネル部材31のフランジ部23とリンフォースパネル部材32のフランジ部23の合わせ面のシールには、段差部25の代わりに断面が円弧形の溝部26を用いて、スポットシーラ19をその合わせ部に充填させる構造が採用してあり、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図5において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0026】
図6に示すカウルトップ10は、凹状断面で車幅方向に延びる細長のカウルトップインナパネル部材35(第1パネル部材に相当)の上縁部と、凹状断面で車幅方向に延びる細長のカウルトップアウタパネル部材36(第2パネル部材に相当)の上縁部とをスポット溶接で接合して構成される部品である。なお、37はリンフォースパネル部材である。この部品の上縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材35,36の上縁部に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントウインド11の下縁部を支持する合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示される段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用してあり、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図6において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0027】
図7〜図9に示すルーフパネル7(水平方向に沿って配置される部材)の車幅方向端の接合は、ルーフパネル7の車幅方向側部に形成されたフランジ部23と、フロントピラーアウタパネル部材22の上縁部〜ルーフサイドアウタパネル部材31の上縁部〜サイドパネル部材6のサイドパネルアウタパネル部材38の上縁部に形成されたフランジ部23とを水平方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。さらに述べれば、ルーフパネル7のフランジ部23は、下方へL字状に段差して形成され、相手側のフランジ部23も下方へL字状に段差して形成され、これら重なり合うフランジ部23,23がスポット溶接で接合してある。そして、このとき前後方向に延びる樋形状の接合部を利用して、車体前後方向の全体に渡りドリップレールを形成している。図7は、同接合構造のうち、キャブ中央における構造を示し、図8はキャブ後端における構造を示し、図9はキャブ前端における構造を示している。
【0028】
このキャビン1の前後方向全体に渡るルーフパネル7の合わせ面(接合部)のシールには、先の図2および図3のときと同様なシール構造が採用してある。すなわち、フランジ部23,23のうちの一方、例えばフロントピラーアウタパネル部材22、ルーフサイドアウタパネル部材31、サイドパネルアウタパネル部材38の各フランジ部23の基部(スポット溶接の打点から最も遠くに避けた地点)には、互い直列に連なる窪み、例えば断面がほぼ円弧状の溝部40が形成してある。溝部40は、いずれも各パネル部材22,31,38のフランジ部23に沿いに連続して形成してある。この溝部40内にスポットシーラ19を塗布して、ルーフパネル7のフランジ部23と、各パネル部材22,31,38のフランジ部23との接合部間をシールさせている。このときのスポットシーラ19の塗布は、図2および図3のときと同様、各部材7,22,31,38を集成する前に行う。このスポットシーラ19の充填により、図2および図3に示される段差部25を用いたときと同様、雨水のキャビン2内への浸入を確実に防ぐという効果を奏している。なお、図7中、41は、ドリップレールを形成する板端部からの水の浸入を防ぐために当該板端部の隙間を覆うように塗布されたボディシーラである(図7のみに図示)。
【0029】
またルーフパネル7は、勾配、すなわち中央が高く、前・後部に向かうにしたがって低くなるよう若干、傾斜していて、ボディシーラ41に亀裂を生じた場合、その亀裂から浸入する雨水の進行をスポットシーラ19で止め、図7中の矢印に示されるようにスポットシーラ19に沿ってフランジ部23の両端側へ導けるようにしている。すなわち、充填されたスポットシーラ19がなす閉塞部をガイドとして、浸入した雨水をキャビン1の前部端や後部端へ導けるようにしてある。またサイドパネルアウタパネル部材38のフランジ部23の後端は、図8に示されるようにキャビン1の後端となる、ルーフパネル7の後端をなす縦壁部7aのフランジ部23、さらには縦壁部7aの先端に形成されているフランジ部7bと重なり合いながら、該フランジ部7bとフランジ接合されるバックパネルアウタ部材9a(バックパネル9の外板を構成する部材)の上端部まで延びている。そして、溝部40およびスポットシーラ19は、例えばバックパネルアウタパネル部材9aの上端部付近でL字状に曲成して、フランジ部7bとこれと重なるバックパネルアウタ部材9aの上端部の接合面間に形成された排水部、例えばバックパネルアウタ部材9aの上端面に形成され接合面間と外気とを連通する溝部42へ導くようにしている。これにより、キャビン1のルーフの後方へ向かう雨水が、図8中の矢印に示されるようにキャビン1外へ排水される構造にしてある。またフロントピラーアウタパネル部材22のフランジ部23とルーフパネル7のフランジ部23の接合部は、図9に示されるようにキャビン1の前端まで延びている。また溝部40およびスポットシーラ19は、各パネル部材7,22の前端部に形成されている例えばフロントウインド11を支持する階段状の段差部44まで延びている。そして、段差部44の途中でL字状に曲成してある。またその先端部の近くのフランジ部分には、例えばピラーアウタパネル部材22のフランジ部23とルーフパネル7のフランジ部23との接合部からフロントピラー2の内腔へ雨水を排水するための排水部、例えば排水孔43が形成されていて、キャビン1のルーフの前方へ向かう雨水が、図9中の矢印に示されるように排水孔43からフロントピラー2の内部を通して、キャビン1外へ排水される構造にしてある。
【0030】
こうした構造により、図2および図3に示されたのと同様、スポットシーラ19で確実に合わせ面をシールする効果を奏する。しかも、これだけでなくスポットシーラ19は、雨水を所望の場所へ導くガイドとして用いて、フランジ合わせ面に止まらずに速やかにキャビン1の前・後端からキャビン外へ排水することができ、雨水が止まることによる影響を防ぐことができるという効果を奏する。但し、図7〜9において、図1〜図3と同じ構造には同一の符号を付してその説明を省略した。
【0031】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば一実施形態では、標準ルーフをもつキャビンに本発明を適用したが、これに限らず、標準よりルーフ高さが高いハイルーフのキャブに本発明を適用してもよい。むろん、トラックのキャビンに限らず、他の車両のキャビンでも、また他の車体外板をなすパネル部材をスポット溶接で接合する構造に本発明を適用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、スポットシーラは、窪み部をガイドとしてフランジ部の合わせ面に一様に塗布される。しかも、スポット溶接の打点をかわした地点でスポットシーラによるシールが行われるので、スポットシーラがスポット溶接の熱で溶けるのを避けることができ、パネル部材の合わせ面のシール性を十分に確保できる。
【0033】
したがって、パネル部材の合わせ面を通じての水漏れを確実に防ぐことができる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、簡単な作業でシールを行うことができるといった効果を奏する。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、外側からスポットシーラの塗布した状態が、パネル軽減穴、作業穴等から鏡を利用して目視されやすくなり、高いシール性が確保しやすくなるといった効果を奏する。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、浸入した雨水がフランジ部の合わせ面に止まらずに速やかに外部へ排水させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャビンの一部外観を示す斜視図。
【図2】図1中のA〜A線に沿うフロントピラーの断面図。
【図3】同フロントピラーの接合部におけるシール構造を説明するための分解斜視図。
【図4】図1中のB〜B線に沿うフロントルーフレールの断面図。
【図5】図1中のC〜C線に沿うルーフサイドレールの断面図。
【図6】図1中のD〜D線に沿うカウルトップの断面図。
【図7】図1中のE〜E線に沿うルーフパネルの車幅方向側部の接合部の構造を示す断面図。
【図8】図1中のF矢視から見た同接合部の後端構造を示す斜視図。
【図9】図1中のG矢視から見た同接合部の前端構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1…キャビン、2…フロントピラー、3…フロントルーフレール、4…ルーフサイドレール、6…サイドパネル、7…ルーフパネル、19…スポットシーラ、21…フロントピラーインナパネル部材、22…フロントピラーアウタパネル部材、23…フランジ部、25…段差部(窪み部)、26,40…溝部(窪み部)、30…ルーフサイドインナパネル部材、31…ルーフサイドアウタパネル部材、32…リンフォースパネル部材、35…カウルトップインナパネル部材、36…カウルトップアウタパネル部材、42,43…溝部,排水孔(排水部)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車体の外板を構成するパネル部材の合わせ面のシール性を改善した車体のパネル接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックの車体であるキャビンには、金属製のパネル部材をスポット溶接で接合した構造物が用いられる。具体的には、パネル部材を閉断面状に接合した各種ピラー、ルーフレール、サイドパネルなどで骨格を組み、この骨格部にルーフパネル、フロントパネル、バックパネルなど各種壁部材を組込むことが行われている。
【0003】
ところで、キャビンの外板部は、顧客の要望などにより、バックミラーを支えるステー、グリップを形成するルーフグリップ、荷物を載せるルーフデッキ、導風のためのドラッグフォイラー等を取付けることが行われる。
【0004】
ところが、その部品の取付けの不具合から、キャビン内へ雨漏れを生じることがある。例えば工場出荷の後、販売店側で、顧客の求めに応じて架装が行われるルーフデッキやドラッグフォイラー等は、架装時の作業により水密が不十分になることがあり、同部品を取付ける外板部から、雨水が浸入して、車室内へ雨漏れすることがある。
【0005】
またパネル部材の合わせ面は、ボディシーラを塗布してシールしているが、同ボディシーラにパネル部材の合わせ面に続くような亀裂が生じたりすると、車両の走行時に生じる吸込作用の影響(キャブの車室内と外気との気圧差による)を受けて、車室内へ水が浸入することもある。
【0006】
こうした水漏れの対策として、キャビンの外板部を構成しているパネル部材の接合部、例えばルーフパネルとルーフサイドパネルの合わせ部分間、ルーフパネルとウィンドシールドインナアッパパネルとの合わせ面間、フロントピラーアウタパネルとフロントピラーインナパネルとの合わせ面間に、スポットシーラを塗布して、外部と遮断することが行われている(例えば特許文献1を参照)。
【0007】
【特許文献1】
実開平1−149063号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スポット溶接の打点付近のスポットシーラは、スポット溶接の熱で溶けてシール機能が低下しやすく、パネル部材の合わせ面から外部の水がキャビン内へ漏れるおそれがある。
【0009】
そのため、本発明の目的は、パネル部材の合わせ面を通じての水漏れを確実に防げる車体のパネル接合構造を提供することがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、フランジ部を重ね合わせてスポット溶接で接合される第1パネル部材および第2パネル部材のうち、スポットの打点を避けた一方のフランジ部の基部内面に、該フランジ部に沿って連続して延びるシーラ塗布用の窪み部を形成し、この窪み部内に該窪み部にならい連続して、フランジ部間をシールするスポットシーラを塗布する構造とした。
【0011】
これにより、スポットシーラは、窪み部をガイドとして一様に塗布される。しかも、スポットシーラは、スポット溶接の打点をかわした地点でシールを行うので、スポット溶接の熱でスポットシーラが溶けるのが避けられ、パネル部材の合わせ面のシール性が十分に確保される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、さらに簡単な作業でシールが行えるよう、フランジ部同士を重ね合わせる前に窪み部内に該窪み部の深さ以上の高さでスポットシーラを塗布して、フランジ部同士を重ね合わせたときに相手側のフランジ部の基部内面と密着してフランジ部間をシールする構造とした。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記目的に加え、同じく、窪み部には、フランジ部に沿って延びる溝部を採用した。
【0014】
請求項4に記載の発明は、上記目的に加え、さらにスポットシーラで浸入が止められる水が速やかに外部へ排水されるよう、第1パネル部材および第2パネル部材が、フランジ部が水平方向で重なり合う車体の外板をなし、両パネル部材の合わせ面をシールするスポットシーラが、フランジ部の板端を通じて浸入する漏水をフランジ部両側へ導くガイドをなすように構成され、フランジ部の両側には漏水を車体外へ導くための排水部を有して、スポットシーラに至る水が、スポットシーラを伝わり、排水部から車体外へ至るようにした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図9に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0016】
図1は、自動車の車体である例えばキャブオーバ型トラックのキャビン1のほぼ全体を示す。キャビン1は、例えばフロントピラー2、フロントルーフレール3、ルーフサイドレール4、カウルトップ10などの骨格部材を用いて骨格を組み、この骨格部にサイドパネル6、ルーフパネル7、フロントパネル8、バックパネル9(図8のみに図示)など各種パネル部をスポット溶接による接合で組込んであり、同構造にて外板を構成している。そして、その後で、フロントウインド11、フロントドア(図示しない)、サイドウインド13、バッグウインド(図示しない)やフロントシート14などを取付けている。なお、16は、例えばフロントルーフレール3の外表面に設けてあるルーフグリップ取付け用取付部、17は例えばルーフサイドレール4の外表面に設けてあるルーフデッキ取付け用取付部である。
【0017】
キャビン1の骨格部やパネル部には、いずれもスポット溶接を用いてパネル部材を閉断面状に接合した構造が用いてある。そして、このキャビン1(車体)の外板のうち、例えばフロントウインド11の廻り(ウインド全周)の部分、フロントドア12で開閉される乗降口18廻りとなるフロントピラー2〜ルーフサイドレール4付近のドア当たり部分における合わせ部には、スポットシーラ19を用いたシール構造が用いてある。これら各外板の各シール構造に本発明が適用してある。
【0018】
図2および図3には、これらシール構造のうち、フロントピラー2の両側(片側だけ図示)の合わせ部、すなわちフロントウインド11の側縁部および乗降口18側の側縁部の各合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図4には同じくフロントウインド11の上縁部を支持するフロントルーフレール3の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図5には同じくルーフサイドレール4の下端部の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図6には同じくフロントウインド11の下縁部を支持するカウルトップ10の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示され、図7〜図9には同じくルーフパネル9の車幅方向側部(片側だけ図示)の合わせ部をスポットシーラ19でシールした構造が示されている。
【0019】
図2および図3を説明すると、フロントピラー2は、凹状断面で上下方向に延びる細長のフロントピラーインナパネル部材21(第1パネル部材に相当)と凹状断面で上下方向に延びる細長のフロントピラーアウタパネル部材22(第2パネル部材に相当)との両側部をそれぞれスポット溶接で接合して構成される部品である。すなわち、フロントピラーインナパネル部材21とフロントピラーアウタパネル部材22との双方は、それぞれ幅方向両側部に上下方向に渡り所定幅でフランジ部23が形成されていて、フロントピラー2は、両パネル部材21,22同士を、各フランジ部同士が垂直方向に対して重なり合うよう内向きに突き合わせ、重なるフランジ部23の各部をスポット溶接の複数の打点で接合することにより構成される。なお、図2中のX部はスポット溶接されたスポット溶接部を示し、図3中の円形なY部分はスポット溶接がなされる打点個所を示す。
【0020】
両パネル部材21、22のうち、一方の内面、すなわちフロントピラーインナパネル部材21の内面で、かつスポット溶接の打点から最も遠くに避けた地点となる部位、例えば各フランジ部23の基部には、それぞれフランジ部23に沿って連続して延びる窪み部、例えば段差部25が形成されている。各段差部25は、いずれもフランジ部23に沿ってL字状の段差から形成される。そして、この段差部25内にスポットシーラ19が塗布され、フランジ部23,23の接合部間をシールさせている。具体的には、スポットシーラ19は、図3に示されるように両パネル部材21,22を集成する前に、段差部25の段差面25aに、段差部25の深さ以上の高さで、段差部25にならい連続して塗布しておき、これが、集成のフランジ部23,23同士を重ね合わせたとき、相手側のパネル部材の内面(ここでは、フロントピラーアウタパネル部材22のフランジ部23の内面)と密着して、フランジ部23,23の板端間がシールされる。なお、フランジ部23の接合は、当該フランジ部23,23を重ね合わせた後、フランジ部23の各打点個所Yにスポット溶接を施すことにより行われる。そして、その後の艤装工程などで、図2に示されるように接合した各フランジ部23,23に対して、ウェーザストリップ11aを介してフロントウインド11が組付いたり、フロントドアに対するオープニングトリム11bが組付いたりする。
【0021】
こうした段差部25を用いたシール構造は、フランジ部23,23の接合面間が、スポット溶接の打点をかわした地点で、スポットシーラ19によりシールされるので、フランジ部23,23を接合するスポット溶接の熱でスポットシーラ19が溶けるのが避けられる。
【0022】
それ故、パネル部材の合わせ面、すなわちキャブ1の外板をなすフロントピラーインナパネル部材21とフロントピラーアウタパネル部材22との接合面間を確実にシールすることができる。しかも、スポットシーラ19は、凹んだ部分をガイドとして塗布されるので、接合面間に一様に塗布でき、常に十分なるシール性を確保できる。特に段差部25にスポットシーラ19を塗布する構造は、溶接組立又は塗装完成後(但し、艤装組立前)にスポットシーラ19が一様に塗布されたか否かの状態が、パネル軽減穴、作業穴等から鏡を利用して目視により判別されやすい。
【0023】
したがって、たとえルーフデッキやドラッグフォイラー等の架装の際、部品の締結の仕方などで水密が不十分となって、フロントルーフレール3の外表面に有るルーフグリップ取付け用取付部16やルーフサイドレール4の外表面に有るルーフデッキ取付け用取付部17から水漏れがあっても、雨水がキャビン1内へ浸入するのを防ぐことができる。また車両の走行時の気圧差が影響しても、雨水がキャビン1内に浸入することはない。特にスポットシーラ19に発泡タイプのシーラを用いると、こうした高いシール性が容易に維持できる。
【0024】
図4に示すフロントルーフレール3は、凹状断面で車幅方向に延びる細長のフロントルーフレールインナパネル部材28(第1パネル部材に相当)と、ルーフパネル7の前部側の端部(第2パネル部材に相当)とをスポット溶接で接合して構成される部品である。この部品の下縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材7,28の端に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントウインド11の下縁部を支持する合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示される段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用されており、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図4において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0025】
図5に示すルーフサイドレール4は、凹状断面で車体前後方向に延びるの細長のルーフサイドインナパネル部材30(第1パネル部材に相当)の下縁部と凹状断面で車体前後幅方向に延びる細長のルーフサイドアウタパネル部材31(第2パネル部材に相当)の下縁部とその両者間を横切るように配置されるリンフォースパネル部材32(第1パネル部材に相当)の下縁部をスポット溶接で接合して構成される部品である。この部品の下縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材30〜32に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントドアとの当たり面(乗降口18の上縁部)をなすルーフサイドレール4の合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示されるような構造が採用してある。具体的には、リンフォースパネル部材32のフランジ部23とルーフサイドアウタパネル部材31のフランジ部23との合わせ面のシールには、図2および図3で示した段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用してある。またルーフサイドアウタパネル部材31のフランジ部23とリンフォースパネル部材32のフランジ部23の合わせ面のシールには、段差部25の代わりに断面が円弧形の溝部26を用いて、スポットシーラ19をその合わせ部に充填させる構造が採用してあり、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図5において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0026】
図6に示すカウルトップ10は、凹状断面で車幅方向に延びる細長のカウルトップインナパネル部材35(第1パネル部材に相当)の上縁部と、凹状断面で車幅方向に延びる細長のカウルトップアウタパネル部材36(第2パネル部材に相当)の上縁部とをスポット溶接で接合して構成される部品である。なお、37はリンフォースパネル部材である。この部品の上縁部には、先のフロントピラー2のときと同様、各パネル部材35,36の上縁部に形成されたフランジ部23を垂直方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。このフロントウインド11の下縁部を支持する合わせ部をスポットシーラ19でシールするシール構造にも、図2および図3に示される段差部25を用いて、スポットシーラ19を合わせ部に充填させる構造が採用してあり、先のフロントピラー2で述べたときと同様の効果を奏している。なお、図6において、図2および図3と同じシール構造は同一の符号を付してその説明を省略した。
【0027】
図7〜図9に示すルーフパネル7(水平方向に沿って配置される部材)の車幅方向端の接合は、ルーフパネル7の車幅方向側部に形成されたフランジ部23と、フロントピラーアウタパネル部材22の上縁部〜ルーフサイドアウタパネル部材31の上縁部〜サイドパネル部材6のサイドパネルアウタパネル部材38の上縁部に形成されたフランジ部23とを水平方向に対して重ね合わせ、該重ね合わせたフランジ部23の各部をスポット溶接で接合する構造が用いてある。さらに述べれば、ルーフパネル7のフランジ部23は、下方へL字状に段差して形成され、相手側のフランジ部23も下方へL字状に段差して形成され、これら重なり合うフランジ部23,23がスポット溶接で接合してある。そして、このとき前後方向に延びる樋形状の接合部を利用して、車体前後方向の全体に渡りドリップレールを形成している。図7は、同接合構造のうち、キャブ中央における構造を示し、図8はキャブ後端における構造を示し、図9はキャブ前端における構造を示している。
【0028】
このキャビン1の前後方向全体に渡るルーフパネル7の合わせ面(接合部)のシールには、先の図2および図3のときと同様なシール構造が採用してある。すなわち、フランジ部23,23のうちの一方、例えばフロントピラーアウタパネル部材22、ルーフサイドアウタパネル部材31、サイドパネルアウタパネル部材38の各フランジ部23の基部(スポット溶接の打点から最も遠くに避けた地点)には、互い直列に連なる窪み、例えば断面がほぼ円弧状の溝部40が形成してある。溝部40は、いずれも各パネル部材22,31,38のフランジ部23に沿いに連続して形成してある。この溝部40内にスポットシーラ19を塗布して、ルーフパネル7のフランジ部23と、各パネル部材22,31,38のフランジ部23との接合部間をシールさせている。このときのスポットシーラ19の塗布は、図2および図3のときと同様、各部材7,22,31,38を集成する前に行う。このスポットシーラ19の充填により、図2および図3に示される段差部25を用いたときと同様、雨水のキャビン2内への浸入を確実に防ぐという効果を奏している。なお、図7中、41は、ドリップレールを形成する板端部からの水の浸入を防ぐために当該板端部の隙間を覆うように塗布されたボディシーラである(図7のみに図示)。
【0029】
またルーフパネル7は、勾配、すなわち中央が高く、前・後部に向かうにしたがって低くなるよう若干、傾斜していて、ボディシーラ41に亀裂を生じた場合、その亀裂から浸入する雨水の進行をスポットシーラ19で止め、図7中の矢印に示されるようにスポットシーラ19に沿ってフランジ部23の両端側へ導けるようにしている。すなわち、充填されたスポットシーラ19がなす閉塞部をガイドとして、浸入した雨水をキャビン1の前部端や後部端へ導けるようにしてある。またサイドパネルアウタパネル部材38のフランジ部23の後端は、図8に示されるようにキャビン1の後端となる、ルーフパネル7の後端をなす縦壁部7aのフランジ部23、さらには縦壁部7aの先端に形成されているフランジ部7bと重なり合いながら、該フランジ部7bとフランジ接合されるバックパネルアウタ部材9a(バックパネル9の外板を構成する部材)の上端部まで延びている。そして、溝部40およびスポットシーラ19は、例えばバックパネルアウタパネル部材9aの上端部付近でL字状に曲成して、フランジ部7bとこれと重なるバックパネルアウタ部材9aの上端部の接合面間に形成された排水部、例えばバックパネルアウタ部材9aの上端面に形成され接合面間と外気とを連通する溝部42へ導くようにしている。これにより、キャビン1のルーフの後方へ向かう雨水が、図8中の矢印に示されるようにキャビン1外へ排水される構造にしてある。またフロントピラーアウタパネル部材22のフランジ部23とルーフパネル7のフランジ部23の接合部は、図9に示されるようにキャビン1の前端まで延びている。また溝部40およびスポットシーラ19は、各パネル部材7,22の前端部に形成されている例えばフロントウインド11を支持する階段状の段差部44まで延びている。そして、段差部44の途中でL字状に曲成してある。またその先端部の近くのフランジ部分には、例えばピラーアウタパネル部材22のフランジ部23とルーフパネル7のフランジ部23との接合部からフロントピラー2の内腔へ雨水を排水するための排水部、例えば排水孔43が形成されていて、キャビン1のルーフの前方へ向かう雨水が、図9中の矢印に示されるように排水孔43からフロントピラー2の内部を通して、キャビン1外へ排水される構造にしてある。
【0030】
こうした構造により、図2および図3に示されたのと同様、スポットシーラ19で確実に合わせ面をシールする効果を奏する。しかも、これだけでなくスポットシーラ19は、雨水を所望の場所へ導くガイドとして用いて、フランジ合わせ面に止まらずに速やかにキャビン1の前・後端からキャビン外へ排水することができ、雨水が止まることによる影響を防ぐことができるという効果を奏する。但し、図7〜9において、図1〜図3と同じ構造には同一の符号を付してその説明を省略した。
【0031】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば一実施形態では、標準ルーフをもつキャビンに本発明を適用したが、これに限らず、標準よりルーフ高さが高いハイルーフのキャブに本発明を適用してもよい。むろん、トラックのキャビンに限らず、他の車両のキャビンでも、また他の車体外板をなすパネル部材をスポット溶接で接合する構造に本発明を適用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、スポットシーラは、窪み部をガイドとしてフランジ部の合わせ面に一様に塗布される。しかも、スポット溶接の打点をかわした地点でスポットシーラによるシールが行われるので、スポットシーラがスポット溶接の熱で溶けるのを避けることができ、パネル部材の合わせ面のシール性を十分に確保できる。
【0033】
したがって、パネル部材の合わせ面を通じての水漏れを確実に防ぐことができる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、簡単な作業でシールを行うことができるといった効果を奏する。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、外側からスポットシーラの塗布した状態が、パネル軽減穴、作業穴等から鏡を利用して目視されやすくなり、高いシール性が確保しやすくなるといった効果を奏する。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、浸入した雨水がフランジ部の合わせ面に止まらずに速やかに外部へ排水させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャビンの一部外観を示す斜視図。
【図2】図1中のA〜A線に沿うフロントピラーの断面図。
【図3】同フロントピラーの接合部におけるシール構造を説明するための分解斜視図。
【図4】図1中のB〜B線に沿うフロントルーフレールの断面図。
【図5】図1中のC〜C線に沿うルーフサイドレールの断面図。
【図6】図1中のD〜D線に沿うカウルトップの断面図。
【図7】図1中のE〜E線に沿うルーフパネルの車幅方向側部の接合部の構造を示す断面図。
【図8】図1中のF矢視から見た同接合部の後端構造を示す斜視図。
【図9】図1中のG矢視から見た同接合部の前端構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1…キャビン、2…フロントピラー、3…フロントルーフレール、4…ルーフサイドレール、6…サイドパネル、7…ルーフパネル、19…スポットシーラ、21…フロントピラーインナパネル部材、22…フロントピラーアウタパネル部材、23…フランジ部、25…段差部(窪み部)、26,40…溝部(窪み部)、30…ルーフサイドインナパネル部材、31…ルーフサイドアウタパネル部材、32…リンフォースパネル部材、35…カウルトップインナパネル部材、36…カウルトップアウタパネル部材、42,43…溝部,排水孔(排水部)。
Claims (4)
- それぞれ一側部にフランジ部を有し、かつ前記各フランジ部同士が重ね合わされて、当該重なるフランジ部の各部が複数打点のスポット溶接で接合され、車体の外板を構成する第1パネル部材および第2パネル部材と、
前記第1パネル部材および前記第2パネル部材のうち、前記スポットの打点を避け一方の前記フランジ部の基部内面に形成され、当該フランジ部に沿って連続して延びるシーラ塗布用の窪み部と、
前記窪み部内に該窪み部にならい連続して塗布され、前記フランジ部間をシールするスポットシーラと
を具備することを特徴とする車体のパネル接合構造。 - 前記スポットシーラは、前記フランジ部同士を重ね合わせる前に窪み部内に該窪み部の深さ以上の高さで塗布され、フランジ部同士を重ね合わせたときに相手側のフランジ部の基部内面と密着して前記フランジ部間をシールするものであることを特徴とする請求項1に記載の車体のパネル接合構造。
- 前記窪み部は、前記フランジ部に沿って延びる溝部で形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体のパネル接合構造。
- 前記第1パネル部材および前記第2パネル部材は、前記フランジ部が水平方向で重なり合う車体の外板を構成するパネル部材から構成され、
前記スポットシーラは、前記フランジ部の板端を通じて浸入する漏水をフランジ部両側へ導くガイドをなすように構成され、
さらに前記フランジ部は、その両側に前記漏水を車体外へ導くための排水部が形成してある
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の車体のパネル接合構造。
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-
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- 2002-12-24 JP JP2002372605A patent/JP2004203132A/ja active Pending
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