JP2004196009A - 車体のフロントピラー構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、作業工数を増加させずに簡単な構造で、電着液の垂れ跡を処置できる車体のフロントピラー構造を提供することにある。
【解決手段】本発明のフロントピラー構造は、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部が重なるフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部に形成される段差部11を、ウェーザストリップ5が嵌まるフランジ部9が有る側とは反対側の端から該フランジ部9まで連続して形成するとともに、該段差部11のフロントピラーアウタロアパネル10bの下端面と向き合う壁面11aの全体をフランジ部9へ向かい下る方向に傾斜させて、ウェーザストリップ5が嵌め込まれる部分に電着液を意図的に垂れさせて、フランジ部9に組付くウェザーストリップ5で垂れ跡が隠れるようにした。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明のフロントピラー構造は、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部が重なるフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部に形成される段差部11を、ウェーザストリップ5が嵌まるフランジ部9が有る側とは反対側の端から該フランジ部9まで連続して形成するとともに、該段差部11のフロントピラーアウタロアパネル10bの下端面と向き合う壁面11aの全体をフランジ部9へ向かい下る方向に傾斜させて、ウェーザストリップ5が嵌め込まれる部分に電着液を意図的に垂れさせて、フランジ部9に組付くウェザーストリップ5で垂れ跡が隠れるようにした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アッパ側とロア側とに分割されたパネルを接合して構成される車体のフロントピラー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のキャビン、例えばトラックのキャビンの骨格をなすフロントピラーは、その下部外側が、艤装部材、例えばコーナパネルで外部から覆われる構造のために、アウタパネルには、各部の成形性を考慮して、上下に分割した構造、すなわちアッパパネル側とロアパネル側とにニ分割した分割式構造が用いられている。
【0003】
従来、こうした分割式のフロントピラーアウタパネルには、フロントピラーアウタロアパネルの上端部に外側面から退避する段差部を有し、当該段差部の段差した面に前記フロントピラーアウタアッパパネルの下端部を重ね合せてスポット溶接で接合した構造が用いられる。このフロントピラーアウタパネルがフロントピラーインナパネルと組合ってフロントピラーを構成している。そして、このフロントピラーとバックパネルやルーフパネルなど各種部材とが組合ってトラックのキャビンを構成する。
【0004】
ところで、各部材の組付けを終えたキャビンは、電着塗装などの防錆の前処理を経てから、上塗り塗装に至るが、電着塗装はホワイトボディとなったキャビン全体を電着液に浸漬して行われるために、電着塗装を終えた後、しばらくはキャビンの各部に溜まっている電着液が流れ出す。フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアッパとの合わせ面の隙間からも、徐々に電着液が流れ出す。
【0005】
通常、段差部は、水平に連続して延びる構造が用いられている。このため、合わせ面からの電着液は、段差部の各部からフロントピラーアウタロアパネルの外側面の各部へ垂れ出す。
【0006】
ところで、フロントピラーアウタロアパネルは、コーナパネルなどの艤装部材で側方は覆われ、艤装部材とフロントピラーアウタロアパネルとの間は、閉じたフロントドアの端面で遮られるようにしているが、フロントドアが開けられると、先の垂れた跡が外部から見えてしまう。特に電着液の垂れた跡は、泡状になり(電着液が乾燥工程で気化するため)、上塗りをしても凹凸の跡は隠せないので、体裁が悪い。
【0007】
そこで、従来、電着塗装を終えた後、工具を用いて、フロントピラーアウタロアパネルの外側面に垂れた電着膜を削り落してから、上塗りを行って体裁を整えるようにしている。
【0008】
これでは、防錆力が損なわれるだけでなく、削り落とす作業が強いられるのでキャビンの生産性が損なわれる。
【0009】
そこで、従来、電着液の垂れに対する対策として、ガラス取付孔を有するクォータピラーでは、アウターパネルにインナパネルのガラス取付孔を迂回するようクォータウインド開口へ開放する切欠部を形成して、下方のクォータパネルの一般部へは流れないようにする技術が提案されている(例えば引用文献1を参照)。
【0010】
【特許文献1】
実開平6−29978号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この技術は、ガラス取付孔が有ることを前提にした技術なので、同ガラス取付孔の無いフロントピラーには適用できない。しかも、別途、切欠きを設ける構造なので、作業工数が増えることは避けられない。
【0012】
そのため、本発明の目的は、作業工数を増加させずに簡単な構造で、電着液の垂れ跡を処置できる車体のフロントピラー構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、フロントピラーアウタアッパパネルの下端部が重なるフロントピラーアウタロアパネルの上端部に形成される段差部を、ウェーザストリップが嵌まるフランジ部が有る側とは反対側の端から該フランジ部まで連続して形成するとともに、該段差部のフロントピラーアウタロアパネルの下端面と向き合う壁面の全体をフランジ部へ向かい下る方向に傾斜させるようにした。
【0014】
これにより、フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアウタロアパネルとの合わせ面から流れ出る電着液は、車体後側へ傾く段差部の壁面で受け、段差を伝わってフランジ部まで導かれる。そして、電着液が、車体を組み上げた状態のとき、外部から目視される側面部分を避けた地点となるフランジ部の端側から垂れる。
【0015】
ここで、フランジ部には垂れ跡が残るが、このフランジ部は、塗装工程後の艤装工程のときにウェーザストリップが嵌め込まれる部分であるから、嵌まるウェーザストリップにより、垂れた跡を含めフランジ部の全体が覆われる。つまり、車体を組み上げた後は、電着液の垂れた跡は目に触れずにすむ。
【0016】
それ故、既存の段差部やウェーザストリップを活用して、作業工数の増加をきたすことなく、能率よく垂れ跡の処置が行える。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、さらに良好に電着液をフランジ部へ伝わらせつつ、合わせ部の見栄えが良好になるよう、フロントピラーアウタアッパパネルの下端部を、段差部の壁面の傾きにならい傾斜させたことにある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0019】
図1は、自動車の車体、例えばキャブオーバトラックのキャビン1のフロント側の一部を示す。キャビン1は、上下方向に延びる一対のフロントピラー2(片側しか図示せず)、上下方向に延びる一対のリヤピラー、車幅方向に延びるルーフレール2a(片側しか図示せず)、前後方向に延びる一対のルーフサイドレール2b(片側しか図示せず)等を接合して骨格部を形成し、この骨格部の開口を塞ぐよう、ダッシュパネル2c、バックパネル(図示しない)、ルーフパネル2d、フロアパネル(図示しない)、サイドパネル2e(片側しか図示せず)など各種のパネル部材を接合して構成される。なお、フロントピラー2間に形成されたキャビン1のフロントの開口部にはフロントウインド(図示しない)が組付く。またキャビン1の左右両側のフロントピラー2、ルーフサイドレール2b、サイドパネル2eで囲まれた空間が乗降口3(片側しか図示せず)となる。なお、各乗降口3は、例えばフロントピラー2で回動自在に支持される横開き式のフロントドア4(片側の一部しか図示せず)で開閉される。また各乗降口3の開口縁部の全周、すなわちフロントピラー2の側部、ルーフサイドレールの下部、サイドパネルの側部などには、ドアオープニングトリムとしてウェーザストリップ5が設けられ、閉じるフロントドア4をシールするようにしてある。
【0020】
各フロントピラー2は、例えば図2に示されるように乗降口3側(幅方向片側)の側部にフランジ部7が形成されたフロントピラーインナパネル8と、同様に乗降口3側(幅方向片側)の側部にフランジ部9が形成された略断面ハット形のフロントピラーアウタパネル10とを、互いにフランジ部7,9同士が重なり合うよう、例えばスポット溶接で接合して閉断面としてある。またフロントピラーアウタパネル10には、図3に示されるように上下に二分割した構造が用いてある。すなわち、二分割式のフロントピラーアウタパネル10は、上下方向に延び幅方向片側にフランジ部9を有したフロントピラーアウタアッパパネル10aと、同じく上下方向に延び幅方向片側にフランジ部9を有したフロントピラーアウタロアパネル10bとに分割してある。そして、これらフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部と、フロントピラーアウタロアパネル10bの上端部とを接合して、一部材としてある。この接合には、図4に示されるようにフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部の全域に、該上端部を外側面から略フロントピラーアッパパネル10aの厚さ分、外側面から退避させたL字状の段差部11を形成しておき、この段差部11の段差した壁面11a(外側面と同方向に向く面))にフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部を重ね合せて、重なり合う部分を接合、例えばスポット溶接で接続する構造が用いられる。そして、向き合う、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端面と、段差した壁面11aにL字状に連なる壁面11b(外側面と異なる方向に向く面)とは、接近していて、フロントピラーアウタアッパパネル10aとフロントピラーアウタロアパネル10bとを略面一に連ねている。なお、図1および図2に示されるよう接合部分は、艤装工程時にキャビン1の側部に組付く艤装部材、例えばコーナパネル12で、その周囲が外側から覆われる。
【0021】
このフロントピラーアウタパネル10には、電着液の垂れ跡による見栄えの低下を防ぐ工夫が施してある。これには、図3に示されるようにフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部の全体、フランジ部9が有る側とは反対側の端からフランジ部9が有る端までの全体を、フランジ部9へ向かうにしたがって下る方向に傾斜させた分割面とする。またフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部の段差部11は、フランジ部9が有る側とは反対側の端からフランジ部9が有る端まで連続して形成し、フロントピラーアウタロアパネル10bの外側面との境界をなすフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端面と向き合う壁面11bを、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端の傾斜した形状にならい、フランジ部9へ向かうにしたがって下る方向に傾かせてある。図3(b)中のθは、その傾斜した段差部11の壁面1bの傾斜角を示している。この傾斜により、壁面11aと壁面11bとがなすL字部分に、フランジ部9の端へ電着液を伝わらせる機能をもたせている。これにより、フロントピラーアウタアッパパネル10aとフロントピラーアウタロアパネル10bとの合わせ部から流れ出す電着液を、塗装工程後の艤装工程で組付くウェーザストリップ5で覆われるフランジ部9から意図的に垂れさせる構造にしている。そして、フランジ部9に組付くウェーザストリップ5を利用して、電着液の垂れた跡が隠せるようにしている。
【0022】
すなわち、ホワイトボディとなるキャビン1(コーナパネル12、フロントドア4、ウェーザストリップ5、内装部材などが装着されていない状態)は、防錆などの前処理となる電着塗装を終えると、ホワイトボディの各部に溜まっている電着液が徐々に流れ出す。フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部とフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部とを接合した合わせ面の隙間からも、電着液が徐々に流れ出す。この電着液は、段差部11のL字部分で受ける。
【0023】
このとき、段差部11の壁面11bは、乗降口3へ向かうにしたがって下るように傾いているから、合わせ面から流れ出た電着液は、図1および図3(a)中の矢印に示されるように段差に沿ってフランジ部9の先端部へ伝わり、フランジ部9の先端側から下方へ垂れ出す。つまり、電着工程を終えた後は、フランジ部9の側面や端面などには電着液の垂れ跡が残る。続いて、乾燥、上塗り工程を経た後、残りの部品、例えばコーナパネル12、フロントドア4、ウェーザストリップ5、内装部材をキャビン各部に組付ける艤装工程へ至る。
【0024】
ここで、フロントピラー2のフランジ部9は、艤装工程のとき、ウェーザストリップ5がその周囲に嵌め込まれる部分である。
【0025】
つまり、艤装工程のときウェーザストリップ5が組付けられると、フランジ部9に嵌まるウェーザストリップ5により、垂れた跡を含むフランジ部9の全体が外側から覆われる。
【0026】
それ故、キャビン1(車体)の各部の組み付けを終えた後、図2中の二点鎖線に示されるようにフロントドア4を開いても、垂れた跡は目に触れずにすみ、良好な見栄えが確保される。
【0027】
したがって、既存の段差部11の壁面11bを斜めに傾けるという簡単な構造で、作業工数を増やさずに、電着液の垂れ跡の処置を行うことができる。しかも、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部は、段差部11の壁面11bの傾きにならって傾斜させてあるので、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部と段差部11の壁面11bとの間の隙間が一様となり、良好に電着液を伝わせることができるうえ、合わせ部における良好な見栄えが確保できる。
【0028】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば一実施形態では、本発明をトラックのキャビンに適用した例を挙げたが、これに限らず、乗用車の車体のフロントピラーにも適用してもよく、要は上下が分割され、片側にウェーザストリップが組付くフロントピラーであればよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、アウタロアパネルに形成された段差部の壁面を斜めに傾けるという簡単な構造で、フランジ部に組付くウェーザストリップを活用して、作業工数を増やさずに、効率よく電着液の垂れ跡の処置を行うことができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、さらに向き合う段差部の壁面とアウタアッパパネルの下端面との間の隙間が一様になるので、良好に電着液をフランジ部9へ伝わらせることができるうえ、良好な見栄えが確保できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラックのキャビンのフロントピラー周辺の構造を示す斜視図。
【図2】図1中のA−A線に沿う、各部品の組付けを終えた完成キャビンのときの断面図。
【図3】(a)は、フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアウタロアパネルとが接合した合わせ部を示す斜視図。
(b)は、その合せ部を分解した斜視図。
【図4】図3(a)中のB−B線に沿う断面図。
【符号の説明】
5…ウェーザストリップ、9…フランジ部、10a…フロントピラーアウタアッパパネル、10b…フロントピラーアウタロアパネル、11…段差部、11a…壁面。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アッパ側とロア側とに分割されたパネルを接合して構成される車体のフロントピラー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のキャビン、例えばトラックのキャビンの骨格をなすフロントピラーは、その下部外側が、艤装部材、例えばコーナパネルで外部から覆われる構造のために、アウタパネルには、各部の成形性を考慮して、上下に分割した構造、すなわちアッパパネル側とロアパネル側とにニ分割した分割式構造が用いられている。
【0003】
従来、こうした分割式のフロントピラーアウタパネルには、フロントピラーアウタロアパネルの上端部に外側面から退避する段差部を有し、当該段差部の段差した面に前記フロントピラーアウタアッパパネルの下端部を重ね合せてスポット溶接で接合した構造が用いられる。このフロントピラーアウタパネルがフロントピラーインナパネルと組合ってフロントピラーを構成している。そして、このフロントピラーとバックパネルやルーフパネルなど各種部材とが組合ってトラックのキャビンを構成する。
【0004】
ところで、各部材の組付けを終えたキャビンは、電着塗装などの防錆の前処理を経てから、上塗り塗装に至るが、電着塗装はホワイトボディとなったキャビン全体を電着液に浸漬して行われるために、電着塗装を終えた後、しばらくはキャビンの各部に溜まっている電着液が流れ出す。フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアッパとの合わせ面の隙間からも、徐々に電着液が流れ出す。
【0005】
通常、段差部は、水平に連続して延びる構造が用いられている。このため、合わせ面からの電着液は、段差部の各部からフロントピラーアウタロアパネルの外側面の各部へ垂れ出す。
【0006】
ところで、フロントピラーアウタロアパネルは、コーナパネルなどの艤装部材で側方は覆われ、艤装部材とフロントピラーアウタロアパネルとの間は、閉じたフロントドアの端面で遮られるようにしているが、フロントドアが開けられると、先の垂れた跡が外部から見えてしまう。特に電着液の垂れた跡は、泡状になり(電着液が乾燥工程で気化するため)、上塗りをしても凹凸の跡は隠せないので、体裁が悪い。
【0007】
そこで、従来、電着塗装を終えた後、工具を用いて、フロントピラーアウタロアパネルの外側面に垂れた電着膜を削り落してから、上塗りを行って体裁を整えるようにしている。
【0008】
これでは、防錆力が損なわれるだけでなく、削り落とす作業が強いられるのでキャビンの生産性が損なわれる。
【0009】
そこで、従来、電着液の垂れに対する対策として、ガラス取付孔を有するクォータピラーでは、アウターパネルにインナパネルのガラス取付孔を迂回するようクォータウインド開口へ開放する切欠部を形成して、下方のクォータパネルの一般部へは流れないようにする技術が提案されている(例えば引用文献1を参照)。
【0010】
【特許文献1】
実開平6−29978号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この技術は、ガラス取付孔が有ることを前提にした技術なので、同ガラス取付孔の無いフロントピラーには適用できない。しかも、別途、切欠きを設ける構造なので、作業工数が増えることは避けられない。
【0012】
そのため、本発明の目的は、作業工数を増加させずに簡単な構造で、電着液の垂れ跡を処置できる車体のフロントピラー構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、フロントピラーアウタアッパパネルの下端部が重なるフロントピラーアウタロアパネルの上端部に形成される段差部を、ウェーザストリップが嵌まるフランジ部が有る側とは反対側の端から該フランジ部まで連続して形成するとともに、該段差部のフロントピラーアウタロアパネルの下端面と向き合う壁面の全体をフランジ部へ向かい下る方向に傾斜させるようにした。
【0014】
これにより、フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアウタロアパネルとの合わせ面から流れ出る電着液は、車体後側へ傾く段差部の壁面で受け、段差を伝わってフランジ部まで導かれる。そして、電着液が、車体を組み上げた状態のとき、外部から目視される側面部分を避けた地点となるフランジ部の端側から垂れる。
【0015】
ここで、フランジ部には垂れ跡が残るが、このフランジ部は、塗装工程後の艤装工程のときにウェーザストリップが嵌め込まれる部分であるから、嵌まるウェーザストリップにより、垂れた跡を含めフランジ部の全体が覆われる。つまり、車体を組み上げた後は、電着液の垂れた跡は目に触れずにすむ。
【0016】
それ故、既存の段差部やウェーザストリップを活用して、作業工数の増加をきたすことなく、能率よく垂れ跡の処置が行える。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、さらに良好に電着液をフランジ部へ伝わらせつつ、合わせ部の見栄えが良好になるよう、フロントピラーアウタアッパパネルの下端部を、段差部の壁面の傾きにならい傾斜させたことにある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0019】
図1は、自動車の車体、例えばキャブオーバトラックのキャビン1のフロント側の一部を示す。キャビン1は、上下方向に延びる一対のフロントピラー2(片側しか図示せず)、上下方向に延びる一対のリヤピラー、車幅方向に延びるルーフレール2a(片側しか図示せず)、前後方向に延びる一対のルーフサイドレール2b(片側しか図示せず)等を接合して骨格部を形成し、この骨格部の開口を塞ぐよう、ダッシュパネル2c、バックパネル(図示しない)、ルーフパネル2d、フロアパネル(図示しない)、サイドパネル2e(片側しか図示せず)など各種のパネル部材を接合して構成される。なお、フロントピラー2間に形成されたキャビン1のフロントの開口部にはフロントウインド(図示しない)が組付く。またキャビン1の左右両側のフロントピラー2、ルーフサイドレール2b、サイドパネル2eで囲まれた空間が乗降口3(片側しか図示せず)となる。なお、各乗降口3は、例えばフロントピラー2で回動自在に支持される横開き式のフロントドア4(片側の一部しか図示せず)で開閉される。また各乗降口3の開口縁部の全周、すなわちフロントピラー2の側部、ルーフサイドレールの下部、サイドパネルの側部などには、ドアオープニングトリムとしてウェーザストリップ5が設けられ、閉じるフロントドア4をシールするようにしてある。
【0020】
各フロントピラー2は、例えば図2に示されるように乗降口3側(幅方向片側)の側部にフランジ部7が形成されたフロントピラーインナパネル8と、同様に乗降口3側(幅方向片側)の側部にフランジ部9が形成された略断面ハット形のフロントピラーアウタパネル10とを、互いにフランジ部7,9同士が重なり合うよう、例えばスポット溶接で接合して閉断面としてある。またフロントピラーアウタパネル10には、図3に示されるように上下に二分割した構造が用いてある。すなわち、二分割式のフロントピラーアウタパネル10は、上下方向に延び幅方向片側にフランジ部9を有したフロントピラーアウタアッパパネル10aと、同じく上下方向に延び幅方向片側にフランジ部9を有したフロントピラーアウタロアパネル10bとに分割してある。そして、これらフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部と、フロントピラーアウタロアパネル10bの上端部とを接合して、一部材としてある。この接合には、図4に示されるようにフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部の全域に、該上端部を外側面から略フロントピラーアッパパネル10aの厚さ分、外側面から退避させたL字状の段差部11を形成しておき、この段差部11の段差した壁面11a(外側面と同方向に向く面))にフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部を重ね合せて、重なり合う部分を接合、例えばスポット溶接で接続する構造が用いられる。そして、向き合う、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端面と、段差した壁面11aにL字状に連なる壁面11b(外側面と異なる方向に向く面)とは、接近していて、フロントピラーアウタアッパパネル10aとフロントピラーアウタロアパネル10bとを略面一に連ねている。なお、図1および図2に示されるよう接合部分は、艤装工程時にキャビン1の側部に組付く艤装部材、例えばコーナパネル12で、その周囲が外側から覆われる。
【0021】
このフロントピラーアウタパネル10には、電着液の垂れ跡による見栄えの低下を防ぐ工夫が施してある。これには、図3に示されるようにフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部の全体、フランジ部9が有る側とは反対側の端からフランジ部9が有る端までの全体を、フランジ部9へ向かうにしたがって下る方向に傾斜させた分割面とする。またフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部の段差部11は、フランジ部9が有る側とは反対側の端からフランジ部9が有る端まで連続して形成し、フロントピラーアウタロアパネル10bの外側面との境界をなすフロントピラーアウタアッパパネル10aの下端面と向き合う壁面11bを、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端の傾斜した形状にならい、フランジ部9へ向かうにしたがって下る方向に傾かせてある。図3(b)中のθは、その傾斜した段差部11の壁面1bの傾斜角を示している。この傾斜により、壁面11aと壁面11bとがなすL字部分に、フランジ部9の端へ電着液を伝わらせる機能をもたせている。これにより、フロントピラーアウタアッパパネル10aとフロントピラーアウタロアパネル10bとの合わせ部から流れ出す電着液を、塗装工程後の艤装工程で組付くウェーザストリップ5で覆われるフランジ部9から意図的に垂れさせる構造にしている。そして、フランジ部9に組付くウェーザストリップ5を利用して、電着液の垂れた跡が隠せるようにしている。
【0022】
すなわち、ホワイトボディとなるキャビン1(コーナパネル12、フロントドア4、ウェーザストリップ5、内装部材などが装着されていない状態)は、防錆などの前処理となる電着塗装を終えると、ホワイトボディの各部に溜まっている電着液が徐々に流れ出す。フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部とフロントピラーアウタロアパネル10bの上端部とを接合した合わせ面の隙間からも、電着液が徐々に流れ出す。この電着液は、段差部11のL字部分で受ける。
【0023】
このとき、段差部11の壁面11bは、乗降口3へ向かうにしたがって下るように傾いているから、合わせ面から流れ出た電着液は、図1および図3(a)中の矢印に示されるように段差に沿ってフランジ部9の先端部へ伝わり、フランジ部9の先端側から下方へ垂れ出す。つまり、電着工程を終えた後は、フランジ部9の側面や端面などには電着液の垂れ跡が残る。続いて、乾燥、上塗り工程を経た後、残りの部品、例えばコーナパネル12、フロントドア4、ウェーザストリップ5、内装部材をキャビン各部に組付ける艤装工程へ至る。
【0024】
ここで、フロントピラー2のフランジ部9は、艤装工程のとき、ウェーザストリップ5がその周囲に嵌め込まれる部分である。
【0025】
つまり、艤装工程のときウェーザストリップ5が組付けられると、フランジ部9に嵌まるウェーザストリップ5により、垂れた跡を含むフランジ部9の全体が外側から覆われる。
【0026】
それ故、キャビン1(車体)の各部の組み付けを終えた後、図2中の二点鎖線に示されるようにフロントドア4を開いても、垂れた跡は目に触れずにすみ、良好な見栄えが確保される。
【0027】
したがって、既存の段差部11の壁面11bを斜めに傾けるという簡単な構造で、作業工数を増やさずに、電着液の垂れ跡の処置を行うことができる。しかも、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部は、段差部11の壁面11bの傾きにならって傾斜させてあるので、フロントピラーアウタアッパパネル10aの下端部と段差部11の壁面11bとの間の隙間が一様となり、良好に電着液を伝わせることができるうえ、合わせ部における良好な見栄えが確保できる。
【0028】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば一実施形態では、本発明をトラックのキャビンに適用した例を挙げたが、これに限らず、乗用車の車体のフロントピラーにも適用してもよく、要は上下が分割され、片側にウェーザストリップが組付くフロントピラーであればよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、アウタロアパネルに形成された段差部の壁面を斜めに傾けるという簡単な構造で、フランジ部に組付くウェーザストリップを活用して、作業工数を増やさずに、効率よく電着液の垂れ跡の処置を行うことができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、さらに向き合う段差部の壁面とアウタアッパパネルの下端面との間の隙間が一様になるので、良好に電着液をフランジ部9へ伝わらせることができるうえ、良好な見栄えが確保できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラックのキャビンのフロントピラー周辺の構造を示す斜視図。
【図2】図1中のA−A線に沿う、各部品の組付けを終えた完成キャビンのときの断面図。
【図3】(a)は、フロントピラーアウタアッパパネルとフロントピラーアウタロアパネルとが接合した合わせ部を示す斜視図。
(b)は、その合せ部を分解した斜視図。
【図4】図3(a)中のB−B線に沿う断面図。
【符号の説明】
5…ウェーザストリップ、9…フランジ部、10a…フロントピラーアウタアッパパネル、10b…フロントピラーアウタロアパネル、11…段差部、11a…壁面。
Claims (2)
- 上下方向に延びるとともに幅方向一側部にはウェーザストリップが嵌まるフランジ部を有するフロントピラーアウタアッパパネルと、同じくフロントピラーアウタロアパネルとを有し、前記フロントピラーアウタロアパネルの上端部には該パネルの外側面から退避する段差部を有し、当該段差部の段差した面に前記フロントピラーアウタアッパパネルの下端部を重ね合せて接合してなる車体のフロントピラー構造において、
前記段差部は、前記フランジ部と反対側の端から前記フランジ部まで連続して形成されるとともに、該段差部の前記フロントピラーアウタロアパネルの下端面と向き合う壁面の全体が前記フランジ部へ向かい下る方向に傾斜させてある
ことを特徴とする車体のフロントピラー構造。 - 請求項1に記載の車体のフロントピラー構造において、前記フロントピラーアウタアッパパネルの下端部は、前記段差部の壁面の傾きにならって傾斜させてあることを特徴とする車体のフロントピラー構造。
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---|---|---|---|
JP2002363765A JP2004196009A (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 車体のフロントピラー構造 |
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JP2002363765A JP2004196009A (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 車体のフロントピラー構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012051496A (ja) * | 2010-09-02 | 2012-03-15 | Suzuki Motor Corp | 車両の前部構造 |
CN113443017A (zh) * | 2020-03-26 | 2021-09-28 | 苏州六者科技有限公司 | 一种新型a柱内部腔体截面形式 |
-
2002
- 2002-12-16 JP JP2002363765A patent/JP2004196009A/ja active Pending
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