JP2004203100A - 鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】荷棚がなくても、車室内の温度の均一化を可能にした鉄道車両を提供する。
【解決手段】鉄道車両1は、側窓4がわにおける座席3の空調改善を図るために、第2の吹出し口12からは、側窓4に沿うような下向きの風を吹き出し、これによって、側窓4の表面にエアーカーテンを作り出している。また、車室S内の温度分布の均一化や乗客に対するドラフト感や淀み感の低減を図るために、車室S内で空気のミキシング領域Mを積極的に作り出すよう工夫されている。すなわち、車室Sの高さ方向において、天井10に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口9よりも上段に、側窓4に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口12を配置する一方で、車室Sの長さ方向において、隣合う上下二段の吹出し口9,12aの位置を側方にずらすように配置させる。これにより、第1の吹出し口9から吹き出す上向きの風と、第2の吹出し口12aから吹き出す下向きの風とが互いにぶつかり合う領域すなわちミキシング領域Mが発生する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内に冷気、暖気、調和空気を吹き出すための吹出し口を有する鉄道車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような分野の技術として、特開平11−348781号公報がある。この公報に記載された鉄道車両用の空調装置は、左右両側の吹出口から吹き出された調和空気が、荷棚の下面に沿うような流れを作り出している。これにより、車室中央付近で下方に向かう流れが発生し、通路や天井付近にも調和空気が供給されるので、車室内に、よどみ空間が発生し難く、車室内の温度の均一化を可能にしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−348781号公報
【特許文献2】
特開平6−344905号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような空調装置は、車室内に満遍なく調和空気が行き渡るようにするため、荷棚を有効活用したものであるが、特殊な二階建て車両では荷棚がなく、利用し難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、荷棚がなくても、車室内の温度の均一化を可能にした鉄道車両を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鉄道車両は、複数の側窓を車体の左右両側に有する鉄道車両において、車体における車室の天井に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口と、第1の吹出し口に対し隣合うように配置されると共に、側窓に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口とを備え、車室の高さ方向において、第1の吹出し口より上方の位置に第2の吹出し口を配置し、車室の長さ方向において、第1の吹出し口と第2の吹出し口との位置を側方にずらせて配置したことを特徴とする。
【0007】
この鉄道車両においては、隣合う上下2段の吹出し口によって、車室内の温度分布の均一化と、乗客に対するドラフト感や淀み感の低減と、熱負荷が大きい側窓がわにおける座席の空調改善とを一挙に解決しようと試みられた発明である。すなわち、側窓がわにおける座席の空調改善を図るために、第2の吹出し口からは、側窓に沿うような下向きの風を吹き出し、これによって、側窓の表面にエアーカーテンを作り出している。また、車室内の温度分布の均一化や乗客に対するドラフト感や淀み感の低減を図るために、車室内で空気のミキシング領域を積極的に作り出すよう工夫されている。すなわち、車室の高さ方向において、天井に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口よりも上段に、側窓に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口を配置する一方で、車室の長さ方向において、隣合う上下二段の吹出し口の位置を側方にずらすように配置させる。これにより、第1の吹出し口から吹き出す上向きの風と、第2の吹出し口から吹き出す下向きの風とが互いにぶつかり合う領域すなわちミキシング領域が発生することになる。このようなミキシング領域では、乱流や拡散といった現象が発生し、これにより、車室内の温度分布の均一化や乗客に対するドラフト感や淀み感の低減を図って、快適な車室空間を作り出している。
【0008】
また、第1及び第2の吹出し口に配風用の複数のフィンを並設すると好適である。このような構成を採用した場合、各吹出し口から吹き出す空気の均一化を図ることができると同時に、フィンの向きを変更することで、ミキシング領域の大きさを容易に調整することができ、車室の大きさ、側窓の大きさ、天井の高さなど様々な要因を考慮した微調整が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る鉄道車両の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1〜図3に示すように、鉄道車両1は、床構体、屋根構体及び側構体からなる車体2を有し、この車体2内には多数の座席3が並べられている。また、側構体には側窓4が設置されている。このような車体2によって、一定容積の車室Sが作り出されており、この車室S内では、空調による快適な室内空間が必要とされている。
【0011】
車室S内に調和空気を供給するために、車体2の両側壁には、側窓4の下方に位置する腰ダクト6が設けられ、この腰ダクト6は、車室Sの全長に渡ってその長さ方向に延在する。また、腰ダクト6には、側窓4,4間に位置する吹寄部7内に設けられた立ち上がりダクト8の下端が接続されており、この立ち上がりダクト8の上端には、吹き上げ用の第1の吹出し口9(図4参照)が設けられている。この第1の吹出し口9からは、車室Sの天井10に沿うような上向きの風が吹き出している。
【0012】
これに対し、天井10には、車室Sの全長に渡ってその長さ方向に延在する縦通ダクト11が設けられている。この縦通ダクト11には、側窓4の表面に沿うような下向きの風を吹き出す吹き下ろし用の第2の吹出し口12(図4参照)が複数個形成されている。各第2の吹出し口12は、配風が側窓4の上端側から窓面に沿って当たるように、側窓4の上方に設置されている。そして、側窓4の長さに対応するように、各第2の吹出し部12は一列に並べられている。よって、側窓4に沿うような下向きの風を第2の吹出し口12から吹き出すことで、側窓4の表面にエアーカーテンを作り出し、熱負荷が大きい側窓4がわにおける座席3の空調改善を図っている。特に、二階建て車両などの荷棚が無い車両では、荷棚の影響を受けることなく、効率良く側窓4に風を吹き付けることができる。
【0013】
また、この車両1では、車室S内の温度分布の均一化や、乗客に対するドラフト感及び淀み感の低減を図るために、車室S内で空気のミキシング領域を積極的に作り出すように工夫がなされている。
【0014】
例えば、車室Sの高さ方向において、天井10に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口9よりも上段(上方)位置に、側窓4に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口12を配置する(図4参照)。更に、車室Sの長さ方向において、隣合う第1の吹出し口9と第2の吹出し口12aとの位置を側方にずらすように配置させている(図1参照)。これにより、第1の吹出し口9から吹き出す上向きの風と、第2の吹出し口12aから吹き出す下向きの風とが互いにぶつかり合う領域すなわちミキシング領域M(一点鎖線で囲った領域)が発生することになる。
【0015】
このような空気のミキシング領域Mでは、乱流による拡散現象が発生し、これにより、車室S内の温度分布の均一化や乗客に対するドラフト感や淀み感の低減を図って、快適な車室空間が作り出される。このような方策は、バス、船、飛行機などにも適用できる。
【0016】
さらに、第1の吹出し口9及び第2の吹出し口12には、配風用の複数のフィン15,16(図4参照)が並設されている。このような構成を採用すると、各吹出し口9,12から吹き出す空気の均一化を可能にすると同時に、フィン15,16の向きを変更することで、ミキシング領域Mの大きさを容易に調整することができ、車室Sの大きさ、側窓4の大きさ、天井10の高さなど様々な要因を考慮した微調整が可能となる。なお、フィン15,16は、車室Sの長さ方向に延びるものであっても、高さ方向に延びるものであってもよく、可動式のものでも固定式のものであってもよい。
【0017】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、荷棚が有る車両においては、荷棚の下に第2の吹出し口12を設置してもよい。また、一本のダクトを共有して第1の吹出し口9と第2の吹出し口12とを設置してもよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明による鉄道車両は、以上のように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、複数の側窓を車体の左右両側に有する鉄道車両において、車体における車室の天井に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口と、第1の吹出し口に対し隣合うように配置されると共に、側窓に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口とを備え、車室の高さ方向において、第1の吹出し口より上方の位置に第2の吹出し口を配置し、車室の長さ方向において、第1の吹出し口と第2の吹出し口との位置を側方にずらせて配置したことにより、荷棚がなくても、車室内の温度の均一化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示した鉄道車両を第1の吹出し口の位置で切断した横断面図である。
【図3】図1に示した鉄道車両を第2の吹出し口の位置で切断した横断面図である。
【図4】第1の吹出し口と第2の吹出し口とを示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1…鉄道車両、2…車体、4…側窓、9…第1の吹出し口、10…天井、12a…第2の吹出し口、15,16…フィン、S…車室。

Claims (2)

  1. 複数の側窓を車体の左右両側に有する鉄道車両において、
    前記車体における車室の天井に沿うような上向きの風を吹き出す第1の吹出し口と、
    前記第1の吹出し口に対し隣合うように配置されると共に、前記側窓に沿うような下向きの風を吹き出す第2の吹出し口とを備え、
    前記車室の高さ方向において、前記第1の吹出し口より上方の位置に前記第2の吹出し口を配置し、
    前記車室の長さ方向において、前記第1の吹出し口と前記第2の吹出し口との位置を側方にずらせて配置したことを特徴とする鉄道車両。
  2. 前記第1及び前記第2の吹出し口に配風用の複数のフィンを並設したことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
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