JP2004197616A - 内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スロットル弁下流の吸気管と排気管とをEGR供給管を介し互いに接続し、EGR供給管内にEGR制御弁を配置する。定常運転時でかつEGRガスが供給されていないときの機関負荷率KLoff、及び定常運転時でかつEGRガスが供給されているときの機関負荷率KLonをそれぞれ、吸気管圧力Pmの一次関数式により表し、記憶しておく。吸気管圧力Pmを検出し、検出された吸気管圧力Pmから前記一次関数式を用いてKLoff,KLonを算出し、これらの差ΔKL(=KLoff−KLon)を算出する。差ΔKLに基づき、EGR制御弁を通過するEGRガスの量であるEGR制御弁通過ガス量を算出する。
【選択図】 図13
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スロットル弁下流の吸気管と排気管とを互いに接続する排気ガス再循環通路を介し互いに接続すると共に、排気ガス再循環通路内を流通する排気ガス再循環ガスの量を制御する排気ガス再循環制御弁を排気ガス再循環通路内に配置した内燃機関が知られている。
【0003】
このような内燃機関において、空燃比を目標空燃比に正確に一致させるためには、筒内に充填される新気の量即ち筒内充填新気量を正確に求める必要がある。
【0004】
そこで、スロットル弁を通過して吸気管内に流入する新気の量即ちスロットル弁通過新気量と、排気ガス再循環制御弁を通過して吸気管内に流入する排気ガス再循環ガスの量即ち排気ガス再循環制御弁通過ガス量との両方を考慮したモデルを構築し、このモデルを用いて筒内充填新気量を算出するようにした内燃機関が公知である(特許文献1、特に[0047]及び[0048]参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−147279号公報
【特許文献2】
特開2002−130039号公報
【特許文献3】
特開平8−128359号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1には、排気ガス再循環制御弁を通過する排気ガス再循環ガス量をどのように求めるかについて具体的に記載されていない。
【0007】
そこで本発明の目的は、排気ガス再循環制御弁通過ガス量を簡単にかつ正確に求めることができる内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために1番目の発明によれば、スロットル弁下流の吸気管と排気管とを排気ガス再循環通路を介し互いに接続すると共に、該排気ガス再循環通路内を流通する排気ガス再循環ガスの量を制御する排気ガス再循環制御弁を該排気ガス再循環通路内に配置した内燃機関において、筒内に充填された新気の量である筒内充填新気量であって、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されていないときの筒内充填新気量と、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されているときの筒内充填新気量との差を、スロットル弁下流の吸気管内の圧力である吸気管圧力の関数式により表すと共に、該関数式を予め求めて記憶しておく手段と、吸気管圧力を求める手段と、該求められた吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出すると共に、排気ガス再循環制御弁が開弁しているときに該排気ガス再循環制御弁を通過する排気ガス再循環ガスの量である排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該差に基づいて算出する手段と、を具備している。
【0009】
また、2番目の発明によれば1番目の発明において、定常運転時における吸気管圧力を求めると共に、該求められた定常運転時における吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出すると共に、定常運転時に筒内に充填された排気ガス再循環ガスの量を該差に基づいて算出するようにしている。
【0010】
また、3番目の発明によれば1番目の発明において、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されていないときの筒内充填新気量を吸気管圧力の関数式である第1の関数式により表すと共に該第1の関数式を予め求めて記憶しておき、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されているときの筒内充填新気量を吸気管圧力の関数式である第2の関数式により表すと共に該第2の関数式を予め求めて記憶しておき、前記求められた吸気管圧力から前記第1及び第2の関数式を用いてそれぞれ筒内充填新気量を算出すると共にこれら算出された筒内充填新気量の差を算出し、前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該差に基づいて算出するようにしている。
【0011】
また、4番目の発明によれば1番目の発明において、互いに異なる複数の排気ガス再循環制御弁開度に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、排気ガス再循環制御弁開度を求め、該求められた排気ガス再循環制御弁開度に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0012】
また、5番目の発明によれば1番目の発明において、互いに異なる複数の機関回転数に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、機関回転数を求め、該求められた機関回転数に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0013】
また、6番目の発明によれば1番目の発明において、前記関数式が、勾配が互いに異なりかつ接続点において連続している二つの一次関数式からなっている。
【0014】
また、7番目の発明によれば3番目の発明において、前記第1及び第2の関数式がそれぞれ、勾配が互いに異なりかつ接続点において連続している二つの一次関数式からなっている。
【0015】
また、8番目の発明によれば4番目の発明において、スロットル弁下流の吸気管内における空気流れを制御するための吸気制御弁が設けられており、互いに異なる複数の吸気制御弁開度に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、吸気制御弁開度を求め、該求められた吸気制御弁開度に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0016】
また、9番目の発明によれば1番目の発明において、前記関数式が、機関周囲環境状態が予め定められた基準環境状態であるときの前記差を表しており、機関周囲環境状態を代表する代表値を求め、前記関数式により算出された前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該代表値に基づいて補正するようにしている。
【0017】
また、10番目の発明によれば1番目の発明において、機関冷却水温を求め、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該機関冷却水温に基づいて補正するようにしている。
【0018】
また、11番目の発明によれば1番目の発明において、前記内燃機関が点火栓を備えており、点火時期の遅角補正が行われているときには、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を点火時期の遅角補正量に基づいて補正するようにしている。
【0019】
また、12番目の発明によれば1番目の発明において、燃料供給量の増量補正が行われているときには、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を燃料供給量の増量補正分に基づいて補正するようにしている。
【0020】
また、13番目の発明によれば1番目の発明において、スロットル弁下流の吸気管内に配置された圧力センサにより吸気管圧力を検出し、該検出された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0021】
また、14番目の発明によれば1番目の発明において、スロットル開度を求め、該求められたスロットル開度に基づいて吸気管圧力を推定し、該推定された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0022】
また、15番目の発明によれば1番目の発明において、吸気管内を流通する新気の量をエアフローメータにより検出し、該検出された新気の量に基づいて吸気管圧力を推定し、該推定された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにしている。
【0023】
また、16番目の発明によれば15番目の発明において、前記推定された吸気管圧力が最高圧を越えたときには、前記差を予め定められた一定に保持するようにしている。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を火花点火式内燃機関に適用した場合を示している。しかしながら、本発明を圧縮着火式内燃機関に適用することもできる。
【0025】
図1を参照すると、1は例えば四つの気筒を備えた機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポート、10は点火栓、11は燃料噴射弁をそれぞれ示す。吸気ポート7は対応する吸気枝管12を介してサージタンク13に連結され、サージタンク13は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結される。吸気ダクト14内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置される。なお、本明細書では、スロットル弁17下流の吸気ダクト、サージタンク13、吸気枝管12、及び吸気ポート7を吸気管と称する場合がある。
【0026】
一方、排気ポート11は排気マニホルド18及び排気管19を介して触媒コンバータ20に連結され、この触媒コンバータ20は図示しないマフラを介して大気に連通される。
【0027】
排気マニホルド18と各吸気枝管12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)供給管21を介して互いに連結され、EGR供給管21内には電気制御式EGR制御弁22が配置される。図1に示される内燃機関では、EGR制御弁22下流のEGR供給管21が分岐され、各吸気枝管12に接続されている。なお、EGR制御弁22はステップモータを備えており、このステップモータのステップ数STPが大きくなるとEGR制御弁22の開度が大きくなる。即ち、ステップ数STPはEGR制御弁22の開度を表している。
【0028】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。サージタンク13内には吸気管内の圧力である吸気管圧力Pmを検出するための圧力センサ39が取り付けられる。また、スロットル弁17にはスロットル開度θtを検出するためのスロットル開度センサ40が取り付けられる。更に、アクセルペダル41にはアクセルペダル41の踏み込み量を検出するための負荷センサ42が接続される。アクセルペダル41の踏み込み量は要求負荷を表している。更に、吸気ダクト14内には大気温を検出するための大気温センサ44と、大気圧を検出するための大気圧センサ45とがそれぞれ取り付けられ、シリンダブロック2には機関冷却水温THWを検出するための水温センサ46が取り付けられる。これらセンサ39,40,42,44,45,46の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ43が接続される。CPU34ではクランク角センサ43の出力パルスに基づいて機関回転数NEが算出される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓10、燃料噴射弁11、ステップモータ16、及びEGR制御弁22にそれぞれ接続され、これらは電子制御ユニット30からの出力信号に基づいて制御される。
【0029】
図1に示される内燃機関では、燃料噴射量QFは例えば次式に基づいて算出される。
【0030】
QF=kAF・KL
ここで、kAFは空燃比設定係数を、KLは機関負荷率(%)をそれぞれ示している。
【0031】
空燃比設定係数kAFは目標空燃比を表す係数であり、目標空燃比が大きくなると即ちリーンになると小さくなり、目標空燃比が小さくなると即ちリッチになると大きくなる。この空燃比設定係数kAFは機関運転状態例えば要求負荷及び機関回転数の関数として予めROM32内に記憶されている。
【0032】
一方、機関負荷率KLは各気筒の筒内に充填された新気の量を表すものであり、例えば次式により定義される。
【0033】
【数1】
【0034】
ここで、Mcairは吸気弁7が開弁し次いで閉弁したときに各気筒の筒内に充填されている新気の量である筒内充填新気量(g)を、DSPは機関の排気量(リットル)を、NCYLは気筒数を、ρastdは標準状態(1気圧、25℃)における空気の密度(約1.2g/リットル)を、それぞれ示している。また、kkは各定数をひとまとめにして表したものを表しており、筒内充填新気量McairはKL/kkで表される。
【0035】
従って、実際の空燃比を目標空燃比に正確に一致させるためには、機関負荷率KLを正確に求ればよいことになる。
【0036】
なお、EGR制御弁22が開弁され従ってEGRガスが供給されているときには、各気筒の筒内に新気とEGRガスとの混合ガスが吸入される。従って、吸気弁7が開弁し次いで閉弁したときに各気筒の筒内に充填されている混合ガス及びEGRガスの量をそれぞれ筒内充填ガス量Mc及び筒内充填EGRガス量Mcegrと称すると、筒内充填ガス量Mcは筒内充填新気量Mcairと筒内充填EGRガス量Mcegrとの和で表されることになる(Mc=Mcair+Mcegr)。
【0037】
ところで、筒内充填ガス量Mcは吸気弁7が閉弁したときの吸気管圧力Pmの一次関数式で表されることが知られている。即ち、理論及び経験則によれば、筒内充填ガス量Mcは吸気弁7が閉弁したときの筒内圧力に比例し、この筒内圧力は吸気弁7上流の混合ガス圧力、即ち吸気管圧力Pmにほぼ一致する。
【0038】
EGRガスが供給されていないときには筒内に新気のみが充填されるので、このときの筒内充填新気量Mcair従って機関負荷率KLを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができる。即ち、機関負荷率KLを簡単にかつ正確に求めることができる。
【0039】
ところが、EGRガスが供給されているときには状況が全く異なり、筒内には新気だけでなくEGRガスも充填される。このため、従来では、筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことは到底できないと考えられていたのである。
【0040】
筒内充填EGRガス量Mcegrを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができるならば、筒内充填ガス量Mcを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができること、筒内充填ガス量Mcが筒内充填新気量Mcairと筒内充填EGRガス量Mcegrとの和であることを考えれば、EGRガスが供給されているときの筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができる。
【0041】
しかしながら、従来では、筒内充填EGRガス量Mcegrも吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができないと考えられていたのである。このことを図2を参照しながら説明する。
【0042】
まず、図2(A)に示されるように、EGR制御弁22上流のEGRガス圧力が排気マニホルド18内の排気圧Pe(kPa)であり、EGR制御弁上流のEGRガス温度が排気マニホルド18内の排気温Te(K)であり、EGR制御弁22を通過するEGRガスの圧力が吸気管圧力Pm(kPa)であると考えると、EGR制御弁22を通過するEGRガスの流量であるEGR制御弁通過ガス流量megr(g/sec)は次式(1)により表すことができる。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、μはEGR制御弁22における流量係数を、AeはEGR制御弁22の開口断面積(m2)を、Reは気体定数Rに関する定数を、Φ(Pm/Pe)はPm/Peの関数を、それぞれ表している。なお、流量係数μおよび開口断面積AeはEGR制御弁22の開度θeによって定まる値であり、定数Reは気体定数Rを1mol当たりの排気ガスないしEGRガスの質量Meで除算した値である(Re=R/Me)。
【0045】
また、関数Φ(Pm/Pe)はEGRガスの流速が音速を越えないように、比熱比κ(一定とする)を用いて次式により表される。
【0046】
【数3】
【0047】
上述した式(1)は簡単に説明すると、EGR制御弁22の上流及び下流におけるEGRガスについての質量、エネルギ、及び運動量の各保存則、並びにEGR制御弁22の上流及び下流におけるEGRガスの状態方程式を用いて導出される。
【0048】
ここで、計算を簡単にするために排気圧Peが大気圧Paであるとすると、式(1)により表されるEGR制御弁通過ガス流量megrは図2(B)のようになる。即ち、EGR制御弁通過ガス流量megrは吸気管圧力Pmが小さいときにはほぼ一定に維持され、吸気管圧力Pmが高くなると図2(B)においてNRで示されるように吸気管圧力Pmに対し非線形性を示しながら大気圧Paに向けて減少する。なお、この非線形性部分NRは式(1)のうちPe/√Teの部分及び関数Φ(Pm/Pe)によるものである。
【0049】
従って、EGR制御弁通過ガス流量megrとりわけ非線形性部分NRを吸気管圧力Pmの一次関数式により表すことはできないものと考えられていたのである。もっとも、かなり多くの数の一次関数式を用いれば、EGR制御弁通過ガス流量megrを吸気管圧力Pmの一次関数式により表すことができると考えられる。しかしながら、この場合には、もはや機関負荷率KLを簡単に求めているとは言えない。
【0050】
ところが、本願発明者らによれば、EGR制御弁通過ガス流量megrを吸気管圧力Pmの二つの一次関数式で表すことができ、従って筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLを吸気管圧力Pmの二つの一次関数式で表すことができることが判明したのである。
【0051】
即ち、まず、図3に示されるように、排気温Teは吸気管圧力Pmの増大に対し、排気圧Peが増大するよりも大幅に増大し、その結果Pe/√Teを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができるのである。
【0052】
また、関数Φ(Pm/Pe)も吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができるのである。これを図4を参照して説明する。排気圧Peが一定の大気圧Paに維持されるのではなく、吸気管圧力Pmに応じて変動することを考慮すると、図4(A)に示されるように、吸気管圧力PmがPm1のときの関数Φ(Pm/Pe)は大気圧Paに収束する曲線Ca上にあるのではなく、排気圧Pe1に収束する曲線C1上にあり、これがプロット(○)で表されている。同様に、Pm=Pm2(>Pm1)のときのΦ(Pm/Pe)は排気圧Pe2(>Pe1)に収束する曲線C2上にあり、Pm=Pm3(>Pm2)のときのΦ(Pm/Pe)は排気圧Pe3(>Pe2)に収束する曲線C3上にある。
【0053】
このようにして得られるプロットは図4(B)に示されるように、直線L2で結ぶことができる。従って、関数Φ(Pm/Pe)は吸気管圧力Pmが小さいときには直線L1に相当する吸気管圧力Pmの一次関数式により、吸気管圧力Pmが大きいときには直線L2に相当する吸気管圧力Pmの一次関数式により表すことができ、斯くして吸気管圧力Pmの二つの一次関数式で表すことができることになる。即ち、EGR制御弁通過ガス流量megrを吸気管圧力Pmの二つの一次関数式で表すことができるのである。
【0054】
ここで、定常運転時には、単位時間当たりに吸気管内に流入するEGRガス量であるEGR制御弁通過ガス流量megrと、単位時間当たりに吸気管から流出して気筒内に流入するEGRガスの量である筒内吸入EGRガス量mcegr(g/sec)とが互いに等しい。また、筒内充填EGRガス量Mcegrは筒内吸入EGRガス量mcegrに、各気筒の吸気行程1回に要する時間ΔT(sec)を乗算することにより得られるものである(Mcegr=mcegr・ΔT)。
【0055】
そうすると、定常運転時の筒内充填EGRガス量Mcegrを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができるということになる。
【0056】
従って、定常運転時でかつEGRガスが供給されているときの筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLを吸気管圧力Pmの二つの一次関数式で表すことができるということになる。
【0057】
EGRガスが供給されているときの機関負荷率KLをKLonとすると、図5には、機関回転数NE及びEGR制御弁開度STPがそれぞれ一定であるときの、定常運転時の機関負荷率KLonを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式の一例が示されている。図5に示されるように、機関負荷率KLonは、勾配が互いに異なりかつ接続点CPにおいて連続している、吸気管圧力Pmの二つの一次関数式により表される。即ち、吸気管圧力Pmが小さいときには勾配e1の一次関数式により、吸気管圧力Pmが高いときには勾配e2の一次関数式により、機関負荷率KLonが表される。
【0058】
ここで、二つの一次関数式の勾配をそれぞれe1,e2とし、接続点CPにおける吸気管圧力及び機関負荷率をそれぞれb,rとすると、これら二つの一次関数式は次式により表すことができる。
【0059】
KLon=e1・(Pm−b)+r …Pm≦b
KLon=e2・(Pm−b)+r …Pm>b
これらをひとまとめにして表すと次式(2)のようになる。
【0060】
本発明による実施例では、定常運転時の機関負荷率KLonを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が式(2)に示す形で予めROM32内に記憶されている。このようにすると、二つの一次関数式をe,b,rの三つのパラメータで表すことができる。即ち、二つの一次関数式を表すために必要なパラメータの数を少なくすることができる。
【0061】
この式(2)の各パラメータe,b,rは次式に基づいて算出される。
【0062】
e1=e1*・ktha
e2=e2*・ktha
b=b*・ktha・kpa
r=r*・ktha・kpa
ここで、e1*,e2*,b*,r*はそれぞれ、機関周囲環境状態が予め定められた基準環境状態であるときの、勾配並びに接続点における吸気管圧力及び機関負荷率である。基準環境状態にはどのような状態を用いてもよいが、本発明による実施例では基準環境状態として標準状態(1気圧、25℃)が用いられている。
【0063】
一方、kthaは大気温補正係数を、kpaは大気圧補正係数をそれぞれ表している。大気温補正係数kthaは大気温センサ44により検出される実際の大気温に応じ、基準環境状態における各パラメータe1*,e2*,b*,r*をそれぞれ補正するためのものであり、補正する必要がないときには1.0とされる。また、大気圧補正係数kpaは大気圧センサ45により検出される実際の大気圧に応じ、基準環境状態における各パラメータb*,r*をそれぞれ補正するためのものであり、補正する必要がないときには1.0とされる。
【0064】
従って、大気温補正係数ktha又は大気圧補正係数kpaが実際の機関周囲環境状態を代表する代表値であるということを考えると、実際の機関周囲環境状態を代表する代表値に基づき、基準環境状態における各パラメータe1*,e2*,b*,r*を補正しているということになる。或いは、実際の機関周囲環境状態を代表する代表値に基づき、基準環境状態における機関負荷率KLonを補正しているという見方もできる。
【0065】
一方、上述の式(1)におけるEGR制御弁22の開口断面積AeがEGR制御弁開度STPに依存し、機関充填効率が機関回転数NEに依存することを考慮して、本発明による実施例ではパラメータe*(e1*,e2*),b*,r*をEGR制御弁開度STP又は機関回転数NEに応じて設定している。
【0066】
具体的に説明すると、勾配e1*は図6(A)に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなり、更に、EGR制御弁開度STPが大きくなるにつれて大きくなる。また、勾配e2*は図6(B)に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなり、更に、EGR制御弁開度STPが大きくなるにつれて大きくなる。これら勾配e1*,e2*は予め実験により求められており、それぞれ機関回転数NE及びEGR制御弁開度STPの関数として図6(C)及び(D)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0067】
一方、接続点CPにおける吸気管圧力b*は図7に示されるように、機関回転数NEが高くなるつれて小さくなる。接続点CPにおける吸気管圧力b*も予め実験により求められており、機関回転数NEの関数として図7に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0068】
更に、接続点CPにおける機関負荷率r*は図8(A)に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなり、更に、EGR制御弁開度STPが大きくなるにつれて小さくなる。接続点CPにおける機関負荷率r*も予め実験により求められており、機関回転数NE及びEGR制御弁開度STPの関数として図8(B)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0069】
従って、一般的に言うと、互いに異なる複数のEGR制御弁開度STPに対し、定常運転時における筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLonを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式がそれぞれ予め求められて記憶されているということになる。また、互いに異なる複数の機関回転数NEに対し、定常運転時における筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLonを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が予め求められて記憶されているということにもなる。
【0070】
図9は一定の機関回転数NEでかつ様々なEGR制御弁開度STPにおける、定常運転時の機関負荷率KLonを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式の一例を示している。なお、図9における破線はEGRガスが供給されていないとき、即ちEGR制御弁開度STPがゼロのときの機関負荷率KLoffを示している。
【0071】
一方、上述したように、EGRガスが供給されていないときの機関負荷率KLoffを吸気管圧力Pmの一次関数式で表すことができる。図10には、機関回転数NEが一定であるときの、定常運転時の機関負荷率KLoffを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式の一例が示されている。本発明による実施例では、図10に示されるように、機関負荷率KLoffは、勾配が互いに異なりかつ接続点CPにおいて連続している、吸気管圧力Pmの二つの一次関数式により表される。即ち、吸気管圧力Pmが小さいときには勾配a1の一次関数式により、吸気管圧力Pmが高いときには勾配a2の一次関数式により、機関負荷率KLoffが表される。
【0072】
ここで、二つの一次関数式の勾配をそれぞれa1,a2とし、接続点CPにおける吸気管圧力及び機関負荷率をそれぞれb,cとすると、これら二つの一次関数式は次式により表すことができる。
【0073】
KLoff=a1・(Pm−b)+c …Pm≦b
KLoff=a2・(Pm−b)+c …Pm>b
これらをひとまとめにして表すと次式(3)のようになる。
【0074】
本発明による実施例では、定常運転時の機関負荷率KLoffを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が式(3)に示す形で予めROM32内に記憶されている。なお、この場合の接続点CPにおける吸気管圧力bは、上述した機関負荷率KLonについての接続点CPにおける吸気管圧力bと同一である。従って、パラメータの数を更に少なくすることができる。もちろん、これら接続点CPにおける吸気管圧力を互いに異ならせることもできる。
【0075】
この式(3)の各パラメータa,rは次式に基づいて算出される。
【0076】
a1=a1*・ktha
a2=a2*・ktha
c=c*・ktha・kpa
ここで、a1*,a2*,r*はそれぞれ、機関周囲環境状態が上述した基準環境状態即ち標準状態であるときの、勾配及び接続点における機関負荷率である。
【0077】
従って、大気温補正係数ktha又は大気圧補正係数kpaが実際の機関周囲環境状態を代表する代表値であるということを考えると、実際の機関周囲環境状態を代表する代表値に基づき、基準環境状態における各パラメータa1*,a2*,c*を補正しているということになる。或いは、実際の機関周囲環境状態を代表する代表値に基づき、基準環境状態における機関負荷率KLoffを補正しているという見方もできる。
【0078】
一方、機関充填効率が機関回転数NEに依存することを考慮して、本発明による実施例ではパラメータa*(a1*,a2*),c*を機関回転数NEに応じて設定している。
【0079】
具体的に説明すると、勾配a1*は図11(A)に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなる。また、勾配a2*は図11(B)に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなる。これら勾配a1*,a2*は予め実験により求められており、それぞれ機関回転数NEの関数として図11(A)及び(B)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0080】
更に、接続点CPにおける機関負荷率c*は図12に示されるように、機関回転数NEが低いときには機関回転数NEが高くなるにつれて大きくなり、機関回転数NEが高いときには機関回転数NEが高くなるにつれて小さくなる。接続点CPにおける機関負荷率c*も予め実験により求められており、機関回転数NEの関数として図12に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0081】
従って、一般的に言うと、互いに異なる複数の機関回転数NEに対し、定常運転時における筒内充填新気量Mcairないし機関負荷率KLoffを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が予め求められて記憶されているということになる。
【0082】
そうすると、吸気管圧力Pmを例えば圧力センサ39により検出すれば、この検出された吸気管圧力Pmから上述の式(2)又は(3)を用いて機関負荷率KLon又はKLoffを正確にかつ簡単に求めることができ、斯くして空燃比を目標空燃比に正確にかつ簡単に一致させることができることになる。
【0083】
このように機関負荷率KLon,KLoffを吸気管圧力Pmの一次関数式で表せるということは、機関負荷率KLon,KLoffと吸気管圧力Pmとの関係を表すマップを作成する必要がないことを意味しており、従ってまずマップの作成労力がなくされる。また、複雑な例えば微分方程式などを解く必要がないということも意味しており、従ってCPU34の計算負荷が軽減されることにもなる。
【0084】
ところで、機関負荷率KLは上述したように、筒内充填新気量Mcairを表している(Mcair=KL/kk)。ここで、EGRガスが供給されていないときには、筒内に新気のみが充填されることを考えると、EGRガスが供給されていないときの機関負荷率KLoffはこのとき筒内に充填されるガスの総量、即ち筒内充填ガス量Mcを表していると考えることができる。
【0085】
ここで、EGRガスが供給されているときと供給されていないときとで筒内充填ガス量Mcが変わらないと考えると、EGRガスが供給されていないときの機関負荷率KLoffは、EGRガスが供給されているときの筒内充填ガス量Mcだけでなく、EGRガスが供給されているときの筒内充填ガス量Mcをも表しているということになる。
【0086】
一方、定常運転時でかつEGRガスが供給されているときの筒内充填新気量Mcairが機関負荷率KLonによって表されることは上述したとおりである。
【0087】
従って、EGRガスが供給されていないときの機関負荷率KLから、EGRガスが供給されているときの機関負荷率KLonを差し引いた結果ΔKL(=KLoff−KLon)は、定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrを表しているということになる。
【0088】
具体的に説明すると、例えば図13に示されるようにPm=Pm1のときにKLoff=KLoff1でありKLon=KLon1である場合には、定常運転時における筒内充填EGRガス量McegrはΔKL(=KLoff1−KLon1)で表される。
【0089】
従って、定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrは次式(4)に基づいて算出できることになる。
【0090】
Mcegr=kegr1・ΔKL (4)
ここで、kegr1は機関負荷率KLから筒内充填EGRガス量Mcegrへの変換係数を、KLoff,KLonは上述した式(3),(2)からそれぞれ算出される機関負荷率を、それぞれ表している。
【0091】
従って、吸気管圧力Pmを例えば圧力センサ39により検出すれば、この検出された吸気管圧力Pmから上述の式(4)を用いて定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrを正確にかつ簡単に求めることができることになる。
【0092】
ところで、上述したように、定常運転時にはEGR制御弁通過ガス流量megrと筒内吸入EGRガス量mcegrとが互いに等しく、筒内充填EGRガス量Mcegrは筒内吸入EGRガス量mcegrとΔT(sec)との積で表される(Mcegr=mcegr・ΔT)。
【0093】
従って、上述した差ΔKLは定常運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrも表しているということになる。
【0094】
本発明による実施例では、次式(5)に基づいて定常運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrが算出される。
【0095】
megr=kegr2・ΔKL (5)
ここで、kegr2は機関負荷率KLからEGR制御弁通過ガス流量megrへの変換係数を、KLoff,KLonは上述した式(3),(2)からそれぞれ算出される機関負荷率を、それぞれ表している。
【0096】
これまで説明してきたように、上述の式(5)を用いて定常運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrが算出される。しかしながら、この式(5)を用いて過渡運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrを算出することもできる。
【0097】
即ち、EGR制御弁通過ガス流量megrはEGR制御弁22前後の圧力差、即ち排気圧Peと吸気管圧力Pmとの差に大きく依存し、過渡運転時におけるEGR制御弁22上流の排気圧Pe及び排気温Teが定常運転時におけるPe及びTeとそれほど変わらないと考えれば、定常運転時であろうと過渡運転時であろうと、吸気管圧力Pmが決まればEGR制御弁通過ガス流量megrが決まるのである。
【0098】
従って、吸気管圧力Pmを例えば圧力センサ39により検出すれば、この検出された吸気管圧力Pmから上述の式(5)を用いて定常運転時及び過渡運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrを正確にかつ簡単に求めることができることになる。この場合、定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrは定常運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrから算出することもできるし、上述の式(4)を用いて差ΔKLから算出することもできる。
【0099】
図14は上述した本発明による実施例におけるEGR制御弁通過ガス流量megrの算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0100】
図14を参照すると、まずステップ100では吸気管圧力Pm、機関回転数NE、及びEGR制御弁開度STPが読み込まれる。続くステップ101では、大気温補正係数ktha及び大気圧補正係数kpaが算出される。続くステップ102では、図7、図8(B)、及び図12のマップから、基準環境状態のもとでの接続点CPにおける吸気管圧力b*及び機関負荷率c*,r*が算出される。続くステップ103では、ktha,kpaによりb*,c*,r*を補正することにより、パラメータb,c,rが算出される。続くステップ104では、検出された吸気管圧力Pmが接続点における吸気管圧力b以下か否かが判別される。Pm≦bのときには次いでステップ105に進み、図6(C)及び図11(A)のマップからa1*,e1*が算出される。続くステップ106では、勾配a*,e*がそれぞれa1*,e1*とされる。次いでステップ109に進む。これに対し、Pm>bのときには次いでステップ107に進み、図6(D)及び図11(B)のマップからa2*,e2*が算出される。続くステップ108では、勾配a*,e*がそれぞれa2*,e2*とされる。次いでステップ109に進む。
【0101】
ステップ109では、ktha,kpaによりa*,e*を補正することにより、パラメータa,eが算出される。続くステップ110では、式(3)に基づいて機関負荷率KLoffが算出される(KLoff=a・(Pm−b)+c)。続くステップ111では、式(2)に基づいて機関負荷率KLonが算出される(KLon=e・(Pm−b)+r)。続くステップ112では差ΔKLが算出される(ΔKL=KLoff−KLon)。続くステップ113では、式(5)に基づいてEGR制御弁通過ガス流量megrが算出される(megr=kegr2・ΔKL)。
【0102】
上述の実施例では、機関負荷率KLoff,KLonをそれぞれ、二つの一次関数式により表している。しかしながら、機関負荷率KLoff,KLonをそれぞれ、n個のm次関数式により表すこともできる(n,m=1,2…)。
【0103】
従って、上述の実施例では、定常運転時でかつEGRガスが供給されていないときの筒内充填新気量又は機関負荷率KLoffを吸気管圧力Pmの関数式である第1の関数式により表すと共に第1の関数式を予め求めて記憶しておき、定常運転時でかつEGRガスが供給されているときの筒内充填新気量又は機関負荷率KLonを吸気管圧力Pmの関数式である第2の関数式により表すと共に第2の関数式を予め求めて記憶しておき、前記求められた吸気管圧力Pmから前記第1及び第2の関数式を用いてそれぞれ筒内充填新気量又は機関負荷率KLoff,KLonを算出し、これら算出された筒内充填新気量又は機関負荷率KLoff,KLonの差ΔKLを算出し、EGR制御弁通過ガス量megrを差ΔKLに基づいて算出しているということになる。
【0104】
更に一般的に言うと、定常運転時でかつEGRガスが供給されていないときの筒内充填新気量又は機関負荷率KLoffと、定常運転時でかつEGRガスが供給されているときの筒内充填新気量又は機関負荷率KLonとの差ΔKLを吸気管圧力Pmの関数式により表すと共に、関数式を予め求めて記憶しておき、吸気管圧力Pmを求め、求められた吸気管圧力Pmから前記関数式を用いて前記差ΔKLを算出し、定常運転時及び過渡運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megr並びに定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrを、この差ΔKLに基づいて算出しているということになる。
【0105】
次に、本発明による別の実施例を説明する。
【0106】
上述した差ΔKLはKLoff及びKLonをそれぞれ表す式(3),(2)を用いて次式のように表すことができる。
【0107】
ここで、(a−e)=h,(c−r)=iと置き換えると、式(6)は次のようになる。
【0108】
従って、差ΔKLは図15に示されるように、勾配が互いに異なりかつ接続点CPにおいて連続している、吸気管圧力Pmの二つの一次関数式により表されることになる。即ち、吸気管圧力Pmが小さいときには勾配h1の一次関数式により、吸気管圧力Pmが高いときには勾配h2の一次関数式により、差ΔKLが表される。
【0109】
本発明による実施例では、差ΔKLを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が式(7)に示す形で予めROM32内に記憶されている。このようにすると、パラメータの数を更に少なくすることができる。
【0110】
この式(7)の各パラメータh,b,iは次式に基づいて算出される。
【0111】
h1=h1*・ktha
h2=h2*・ktha
i=i*・ktha・kpa
ここで、h1*,h2*,i*はそれぞれ、機関周囲環境状態が基準環境状態であるときの、勾配及び接続点CPにおける差である。これらh1*,h2*,i*は予め実験により求められており、それぞれ機関回転数NE及びEGR制御弁開度STPの関数として図16(A),(B),(C)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。なお、パラメータbは上述の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0112】
従って、一般的に言うと、互いに異なる複数のEGR制御弁開度STPに対し、差ΔKLを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式がそれぞれ予め求められて記憶されているということになる。また、互いに異なる複数の機関回転数NEに対し、差ΔKLを表す吸気管圧力Pmの二つの一次関数式が予め求められて記憶されているということにもなる。
【0113】
図17は上述した本発明による別の実施例におけるEGR制御弁通過ガス流量megrの算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0114】
図17を参照すると、まずステップ120では吸気管圧力Pm、機関回転数NE、及びEGR制御弁開度STPが読み込まれる。続くステップ121では、大気温補正係数ktha及び大気圧補正係数kpaが算出される。続くステップ122では、図7及び図16(C)のマップから、基準環境状態のもとでの接続点CPにおける吸気管圧力b*及び差i*が算出される。続くステップ123では、ktha,kpaによりb*,i*を補正することにより、パラメータb,iが算出される。続くステップ124では、検出された吸気管圧力Pmが接続点における吸気管圧力b以下か否かが判別される。Pm≦bのときには次いでステップ125に進み、図16(A)のマップからh1*が算出される。続くステップ126では、勾配h*がh1*とされる。次いでステップ129に進む。これに対し、Pm>bのときには次いでステップ127に進み、図16(B)のマップからh2*が算出される。続くステップ128では、勾配h*がh2*とされる。次いでステップ129に進む。
【0115】
ステップ129では、ktha,kpaによりh*を補正することにより、パラメータhが算出される。続くステップ130では、式(7)に基づいて差ΔKLが算出される(ΔKL=h・(Pm−b)+i)。続くステップ131では、式(5)に基づいてEGR制御弁通過ガス流量megrが算出される(megr=kegr2・ΔKL)。
【0116】
ここで、EGR制御弁開度STPについて簡単に説明する。上述したように、EGR制御弁開度はEGR制御弁22のステップモータのステップ数STPで表され、即ちステップ数STPがゼロになるとEGR制御弁22は閉弁し、ステップ数STPが大きくなるとEGR制御弁開度も大きくなる。
【0117】
ところが実際には、図18に示されるようにステップ数STPがゼロから大きくなっても、EGR制御弁22は直ちに開弁せず、ステップ数STPがSTP1を越えるとようやくEGR制御弁22が開弁する。このため、ステップ数STPからSTP1だけ減算した結果(STP−STP1)でもって、EGR制御弁開度を表す必要がある。
【0118】
また、EGR制御弁22には通常、製造誤差が含まれているので、ステップ数STPに対する実際のEGR制御弁開度が正規の開度からずれている恐れがある。そこで図1に示される内燃機関では、実際のEGR制御弁開度を正規の開度に一致させるための補正係数kgを求め、この補正係数kgをステップ数STPに加算するようにしている。
【0119】
従って、EGR制御弁開度STPは次式に基づいて表されることになる。
【0120】
STP=STP−STP0+kg
ここで、STP0は図面公差中央品においてEGR制御弁22が開弁し始めるステップ数である。本発明による実施例では、このようにして算出されるEGR制御弁開度STPをマップの引数として用いている。
【0121】
ところで、上述のように算出されるEGR制御弁通過ガス流量megr又は定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrを、排気温度Teを考慮して更に補正することもできる。
【0122】
EGR制御弁通過ガス流量megrを補正する場合について説明すると、この場合のEGR制御弁通過ガス流量megrは例えば次式で表される。
【0123】
megr=megr・kwu・krtd・kinc
ここで、kwuは暖機時補正係数を、krtdは遅角時補正係数を、kincは増量時補正係数を、それぞれ表している。
【0124】
暖機時補正係数kwuは機関暖機運転時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrを補正するためのものである。即ち、暖機運転時には暖機運転完了後に比べて排気温度Teが低くなっており、その分だけEGR制御弁通過ガス流量megr(g/sec)が多くなる。上述した式(2),(3)又は式(7)を用いて算出されるEGR制御弁通過ガス流量megrは暖機運転完了後におけるEGR制御弁通過ガス流量であるので、これを補正する必要があるのである。
【0125】
暖機時補正係数kwuは図19(A)に示されるように、暖機の程度を表す機関冷却水温THWが高くなるにつれて小さくなり、暖機完了を表す温度TWU以上になると1.0に保持される。この暖機時補正係数kwuは図19(A)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0126】
一方、遅角時補正係数krtdは点火時期の遅角補正時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrを補正するためのものである。即ち、遅角補正時には遅角補正が行われないときに比べて排気温度Teが高くなっており、その分だけEGR制御弁通過ガス流量megrが少なくなる。
【0127】
遅角時補正係数krtdは図19(B)に示されるように、遅角量RTDがゼロのときに1.0であり、遅角量RTDが大きくなるにつれて小さくなる。この遅角時補正係数krtdは図19(B)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0128】
更に、増量時補正係数kincは燃料噴射量の増量補正時におけるEGR制御弁通過ガス流量megrを補正するためのものである。即ち、増量補正時には増量補正が行われないときに比べて排気温度Teが低くなっており、その分だけEGR制御弁通過ガス流量megrが多くなる。
【0129】
増量時補正係数kincは図19(C)に示されるように、増量補正分Fincがゼロのときに1.0であり、増量補正分Fincが大きくなるにつれて小さくなる。この増量時補正係数kincは図19(C)に示されるマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0130】
このようにすると、EGR制御弁通過ガス流量megrを更に高精度で求めることができる。
【0131】
なお、点火時期遅角補正又は燃料増量補正が行われないときの排気温度Teを機関運転状態例えば機関回転数NE及び要求負荷Lの関数として予め求めておき、実際の排気温度Teを検出又は推定し、遅角補正又は燃料増量補正が行われないときの排気温度Teと実際の排気温度Teとの差に基づいてEGR制御弁通過ガス流量megrを補正するようにしてもよい。定常運転時における筒内充填EGRガス量Mcegrも同様であるので、説明を省略する。
【0132】
図1に示される内燃機関では上述したように、EGR制御弁22下流のEGR供給管21が分岐されて各気筒の吸気枝管12にそれぞれ接続されている。この構成において、各気筒に供給されるEGRガスの量にばらつきが生ずるのを抑制するために、図20に示されるようにEGR制御弁22下流の各EGR供給管21内に絞り23を設けることができる。
【0133】
この場合、まず、定常運転時であれば、絞り23を通過するEGRガスの流量である絞り通過ガス流量mchk(g/sec)はEGR制御弁通過ガス流量megrに一致する。従って、これまでの説明からわかるように、定常運転時における絞り通過ガス流量mchkを差ΔKLに基づいて算出することができるということになる。なお、絞り通過ガス流量mchkは吸気管内に流入するEGRガスの流量を表している。
【0134】
一方、過渡運転時には、絞り通過ガス流量mchkはEGR制御弁通過ガス流量megrに必ずしも一致しない。しかしながら、EGR制御弁22から絞り23までのEGR供給管21内の容積が比較的小さい場合には、mchkはmegrに概ね一致する。従って、EGR制御弁22から絞り23までのEGR供給管21内の容積が比較的小さい場合には、定常運転時であろうと過渡運転時であろうと、絞り通過ガス流量mchkを差ΔKLに基づいて算出できるということになる。
【0135】
図21(A),(B),(C)は本発明を適用可能な別の内燃機関を示している。
【0136】
図21(A)に示される内燃機関では、各気筒の吸気枝管12に、吸気管長制御弁24aを介して追加のサージタンク25が接続されている。
【0137】
この吸気管長制御弁24aは例えば機関低回転運転時に閉弁され、機関高回転運転時に開弁される。吸気管長制御弁24aが閉弁されると、吸気枝管12と追加のサージタンク25との間の連通が遮断され、吸気管長が実質的に延長される。これに対し、吸気管長制御弁24aが開弁されると、吸気枝管12と追加のサージタンク25とが互いに連通され、吸気管長が実質的に短縮される。その結果、機関回転数NEに関わらず、吸気脈動効果を効果的に作用させることができる。
【0138】
一方、図21(B)に示される内燃機関では、各気筒の吸気枝管12内に、隔壁26によって互いに分離された一対の吸気通路12a,12bが設けられ、各吸気通路12a,12bは対応する吸気ポート7に接続される。これら一対の吸気通路12a,12bのうち一方の吸気通路12a内にスワール制御弁24bが配置されている。
【0139】
このスワール制御弁24bは例えば機関低負荷運転時に閉弁され、機関高負荷運転時に開弁される。スワール制御弁24bが閉弁されると、他方の吸気通路12bのみから混合ガスが筒内に流入し、斯くして筒内にシリンダ軸線回りの旋回流が形成される。これに対し、スワール制御弁24bが開弁されると、両方の吸気通路12a,12bから混合ガスが筒内に流入し、従って筒内に十分な量の新気が供給される。
【0140】
図21(C)に示される内燃機関では、各気筒の吸気枝管12の内部空間の底部に、タンブル制御弁24cが配置されている。
【0141】
タンブル制御弁24cは例えば機関低負荷運転時に閉弁され、機関高負荷運転時に開弁される。タンブル制御弁24cが閉弁されると、混合ガスが吸気枝管12の頂部内壁面に沿いつつ進行し、吸気弁7周りに形成される開口のうち排気弁8側の部分を介して筒内に流入し、排気弁8下方のシリンダボア内壁面に沿いつつ下降した後にピストン頂面を進行し、次いで吸気弁7下方のシリンダボア内壁面に沿いつつ上昇し、斯くして筒内に旋回流ないしタンブル流が筒内に形成される。これに対し、タンブル制御弁24cが開弁されると、吸気枝管12全体を介して混合ガスが筒内に流入し、従って筒内に十分な量の新気が供給される。
【0142】
吸気管長制御弁24a、スワール制御弁24b、及びタンブル制御弁24cのように吸気管内の吸気流れを制御するものを吸気制御弁と称すると、吸気制御弁が閉弁しているか開弁しているかによって機関負荷率KLが変動しうる。
【0143】
そこで図21に示される各内燃機関では、吸気制御弁が閉弁しているときのパラメータa*,b*,c*,e*,r*,h*,i*を表すマップと、吸気制御弁が開弁しているときのこれらパラメータを表すマップとを予め求めて記憶しておき、吸気制御弁の状態に応じていずれかのマップからパラメータを算出するようにしている。
【0144】
吸気制御弁の開度が多段階に制御される場合には、各パラメータを吸気制御弁開度の関数とすることができる。即ち、例えばa*について説明すると、a*は機関回転数NE、EGR制御弁開度STP、及び吸気制御弁開度の関数として三次元マップの形で記憶される。他のパラメータも同様である。
【0145】
従って、一般的に言うと、互いに異なる複数の吸気制御弁開度に対し、機関負荷率KLon,KLoff又は差ΔKLを表す吸気管圧力Pmの一次関数式が予め求められて記憶されているということになる。
【0146】
このように図21に示される各内燃機関では、吸気制御弁が閉弁しているときには吸気制御弁が閉弁しているときのマップを用いて、吸気制御弁が開弁しているときには吸気制御弁が開弁しているときのマップを用いて、各パラメータが算出されるので、機関負荷率KLon,KLoff又は差ΔKLを正確に算出することができる。
【0147】
ところが、例えば図21(B)の内燃機関についてみると、スワール制御弁24bが閉弁されたからといって直ちに旋回流が形成されるわけではなく、時間の経過と共に徐々に形成されるのである。このことは、スワール制御弁24bが閉弁から開弁に切り替えられたということで、パラメータを算出するためのマップを切り替えても、必ずしも機関負荷率KLon,KLoff又は差ΔKLを正確に算出できないということを意味している。スワール制御弁が開弁されるときにも同じことが言える。
【0148】
そこで、切り替えられる前の吸気制御弁の状態におけるマップを用いて算出された値から、切り替えられた後の吸気制御弁の状態におけるマップを用いて算出された値まで、予め定められた変化割合でもって、各パラメータを徐々に変化させるのが好ましい。このようにすれば、吸気制御弁の切替過渡時にも、機関負荷率KLon,KLoff又は差ΔKLを正確に算出できることになる。なお、吸気制御弁が閉弁から開弁に切り替えられるときの変化割合と、吸気制御弁が開弁から閉弁に切り替えられるときの変化割合とを互いに異ならせてもよい。
【0149】
これまで述べてきた本発明による実施例では、圧力センサ39により検出された吸気管圧力Pmから機関負荷率KLon,KLoff又は差ΔKLを算出するようにしている。しかしながら、例えばスロットル開度、又はスロットル弁17上流の吸気ダクト14内に配置されたエアフローメータの出力に基づき吸気管圧力Pmを推定し、この推定された吸気管圧力Pmから機関負荷率KLを算出することもできる。或いは、例えば計算モデルを用いて吸気管圧力Pmを推定し、この推定された吸気管圧力Pmから機関負荷率KLを算出するようにしてもよい。
【0150】
ここで、スロットル開度に基づいて吸気管圧力Pmを推定する場合には、吸気管圧力Pmを、スロットル開度TAと、機関回転数NEと、EGR制御弁開度STPとの関数として予め求められ、これがマップの形で記憶される。
【0151】
一方、エアフローメータの出力に基づいて吸気管圧力Pmを推定する場合、エアフローメータの検出精度などのために、推定された吸気管圧力Pmが、吸気管圧力Pmがとりうる最高圧Pmmaxを越える恐れがある。ところが、Pm>Pmmaxの領域では、図22(B)に示されるように、上述の式(2)で表される機関負荷率KLonが式(3)で表される機関負荷率KLoffよりも大きくなっている場合があり、この場合には差ΔKLが負値になる。即ち、推定された吸気管圧力Pmが最高圧Pmmaxを越えると、差ΔKLを正確に算出できなくなる恐れがある。
【0152】
そこで、図22(A)に示されるように、Pm>Pmmaxの領域では、差ΔKLを一定値ΔKLCに保持すれば、このような不具合をなくすことができる。即ち、推定された吸気管圧力Pmが最高圧Pmmaxを越えたときに、差ΔKLを正確に算出し続けることができるのである。
【0153】
【発明の効果】
EGR制御弁通過ガス量を簡単にかつ正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】EGR制御弁通過ガス量megrを説明するための図である。
【図3】排気圧Pe、排気温Te、及びPe/√Teを示す線図である。
【図4】関数Φ(Pm/Pe)を示す線図である。
【図5】機関負荷率KLonと吸気管圧力Pmとの関係の一例を示す線図である。
【図6】勾配e1,e2を示す線図である。
【図7】接続点における吸気管圧力bを示す線図である。
【図8】接続点における機関負荷率rを示す線図である。
【図9】機関負荷率KLonと吸気管圧力Pmとの関係の一例を示す線図である。
【図10】機関負荷率KLoffと吸気管圧力Pmとの関係の一例を示す線図である。
【図11】勾配a1,a2を示す線図である。
【図12】接続点における機関負荷率cを示す線図である。
【図13】差ΔKLを説明するための線図である。
【図14】EGR制御弁通過ガス流量megrの算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】差ΔKLと吸気管圧力Pmとの関係の一例を示す線図である。
【図16】勾配h1,h2及び接続点における差iを示す線図である。
【図17】本発明の別の実施例による、EGR制御弁通過ガス流量megrの算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】EGR制御弁開度とステップ数STPとの関係を示す線図である。
【図19】各種補正係数を示す線図である。
【図20】本発明による更に別の実施例を示す内燃機関の部分図である。
【図21】本発明を適用可能な別の内燃機関の部分図である。
【図22】吸気管圧力Pmが最高圧Pmmaxを越えたときの機関負荷率KLを示す線図である。
【符号の説明】
1…機関本体
12…吸気枝管
17…スロットル弁
18…排気マニホルド
21…EGR供給管
22…EGR制御弁
Claims (16)
- スロットル弁下流の吸気管と排気管とを排気ガス再循環通路を介し互いに接続すると共に、該排気ガス再循環通路内を流通する排気ガス再循環ガスの量を制御する排気ガス再循環制御弁を該排気ガス再循環通路内に配置した内燃機関において、筒内に充填された新気の量である筒内充填新気量であって、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されていないときの筒内充填新気量と、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されているときの筒内充填新気量との差を、スロットル弁下流の吸気管内の圧力である吸気管圧力の関数式により表すと共に、該関数式を予め求めて記憶しておく手段と、吸気管圧力を求める手段と、該求められた吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出すると共に、排気ガス再循環制御弁が開弁しているときに該排気ガス再循環制御弁を通過する排気ガス再循環ガスの量である排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該差に基づいて算出する手段と、を具備した排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 定常運転時における吸気管圧力を求めると共に、該求められた定常運転時における吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出すると共に、定常運転時に筒内に充填された排気ガス再循環ガスの量を該差に基づいて算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されていないときの筒内充填新気量を吸気管圧力の関数式である第1の関数式により表すと共に該第1の関数式を予め求めて記憶しておき、定常運転時でかつ排気ガス再循環ガスが供給されているときの筒内充填新気量を吸気管圧力の関数式である第2の関数式により表すと共に該第2の関数式を予め求めて記憶しておき、前記求められた吸気管圧力から前記第1及び第2の関数式を用いてそれぞれ筒内充填新気量を算出すると共にこれら算出された筒内充填新気量の差を算出し、前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該差に基づいて算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 互いに異なる複数の排気ガス再循環制御弁開度に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、排気ガス再循環制御弁開度を求め、該求められた排気ガス再循環制御弁開度に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 互いに異なる複数の機関回転数に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、機関回転数を求め、該求められた機関回転数に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 前記関数式が、勾配が互いに異なりかつ接続点において連続している二つの一次関数式からなる請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 前記第1及び第2の関数式がそれぞれ、勾配が互いに異なりかつ接続点において連続している二つの一次関数式からなる請求項3に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- スロットル弁下流の吸気管内における空気流れを制御するための吸気制御弁が設けられており、互いに異なる複数の吸気制御弁開度に対し、それぞれ前記関数式が予め求められて記憶されており、吸気制御弁開度を求め、該求められた吸気制御弁開度に応じて定まる関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 前記関数式が、機関周囲環境状態が予め定められた基準環境状態であるときの前記差を表しており、機関周囲環境状態を代表する代表値を求め、前記関数式により算出された前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該代表値に基づいて補正するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 機関冷却水温を求め、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を該機関冷却水温に基づいて補正するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 前記内燃機関が点火栓を備えており、点火時期の遅角補正が行われているときには、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を点火時期の遅角補正量に基づいて補正するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 燃料供給量の増量補正が行われているときには、前記差又は前記排気ガス再循環制御弁通過ガス量を燃料供給量の増量補正分に基づいて補正するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- スロットル弁下流の吸気管内に配置された圧力センサにより吸気管圧力を検出し、該検出された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- スロットル開度を求め、該求められたスロットル開度に基づいて吸気管圧力を推定し、該推定された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 吸気管内を流通する新気の量をエアフローメータにより検出し、該検出された新気の量に基づいて吸気管圧力を推定し、該推定された吸気管圧力から前記関数式を用いて前記差を算出するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
- 前記推定された吸気管圧力が最高圧を越えたときには、前記差を予め定められた一定値に保持するようにした請求項15に記載の内燃機関の排気ガス再循環ガス量算出装置。
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