JP4075233B2 - 内燃機関の吸入空気量予測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、機関燃焼室内に導入される吸入空気の量を予測する内燃機関の吸入空気量予測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸気通路を通じて内燃機関の燃焼室に導入される空気の量(吸入空気量)は、機関回転数とともに機関運転状態を最も反映するものとして、燃料噴射制御や点火時期制御といった内燃機関の制御量を決定する際に用いられており、通常、これは吸気通路に設けられたエアフローメータや吸気圧センサからの検出信号に基づいて求められる。
【0003】
ところで、吸入空気量に基づいて内燃機関の制御量を算出するに際し、エアフローメータ等の検出信号から求められる現時点での吸入空気量をそのまま用いるようにすると、過渡運転時にあってはその制御量が機関制御に実際に反映される時点とは異なる吸入空気量に基づいて同制御量が決定されるようになる。このように制御量の決定に用いた吸入空気量と、その制御量が機関制御に反映されるときの吸入空気量とが異なっていると、実際の機関運転状態に即した制御を行うことができず、その制御精度を高めるにしても自ずと限界が生じるようになる。
【0004】
そこで、特開平2−42160号公報に記載されるように、現時点から所定期間後の吸入空気量を予測し、その予測値に基づいて制御量を決定するようにした装置が従来より提案されている。こうした予測を行うことで、制御量が機関制御に反映される際の吸入空気量を予め見越して同制御量を決定することができるようになり、制御精度の向上が図られるようになる。
【0005】
また、吸入空気量は、機関回転数やスロットル弁の開度の他、吸気温によっても変化する。例えば、吸気温が低くなるほど吸入空気の密度が大きくなるため、吸入空気量も増大するようになる。従って、上記のように吸入空気量を予測する際には、こうした吸気温の影響を考慮することも精度良い予測結果を得る上で重要になる。
【0006】
この点、上記装置では、吸気通路のスロットル弁よりも上流側の位置での吸気温を検出し、その吸気温(以下、吸気通路の他の位置での吸気温と特に区別する必要がある場合には、これを「上流側吸気温」という)を吸入空気量の予測に反映させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置は、吸入空気量の予測に吸気温を反映させているとはいえ、あくまでもそれは、吸気通路内において吸気温の位置的な変化及びその時間的な変化が予測期間中に生じないことを前提条件としてその予測を行うものでしかない。
【0008】
確かに、スロットル弁の開度が一定に保持される定常運転時にあっては、こうした吸気通路内における吸気温の位置的な変化は殆ど無く、また時間的な吸気温の変化も無視できる範囲にあるため、上記前提条件のもとで吸入空気量の予測をしたとしても、即ち前述した上流側吸気温のみに基づき吸入空気量の予測をしたとしても、その予測結果に大きな誤差が生じることはない。
【0009】
ところが、過渡運転時においてスロットル弁の開度が急激に変化する場合にあっては、吸気温が吸気通路内の位置に応じて異なるようになり、またその時間的な変化も大きく無視できないものとなる。従って、上記前提条件はこうした吸気通路内における吸入空気の実際の温度状態に沿わないものとなる。
【0010】
例えば、スロットル弁の開度が増大することにより、同弁の下流側部分に流入する吸入空気の量が急激に増大した場合、同下流側部分の吸入空気が圧縮された状態になり、その温度(以下、「下流側吸気温」という)は前述した上流側吸気温よりも一時的に上昇するようになる。一方、スロットル弁の開度が減少することにより、前記下流側部分に流入する吸入空気の量が急激に減少した場合には逆に、同下流側部分の吸入空気が膨張した状態になるため、下流側吸気温が上流側吸気温よりも一時的に低下するようになる。
【0011】
このようにスロットル弁の開度が変化する過渡運転時にあっては、一時的にせよ、下流側吸気温が時間的に大きく変動して上流側吸気温と異なる温度になり得る。その結果、吸気通路内において吸気温の位置的及び時間的な変化が生じないことを前提条件として予測を行う従来の装置にあっては、こうした過渡運転時における吸気温のいわば動的な挙動による影響が吸入空気量の予測に反映されることはなく、従ってその予測結果の誤差も無視できないものとなる。
【0012】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は吸気通路を通じて燃焼室内に導入される吸入空気の量を、過渡運転時であっても精度良く予測することのできる内燃機関の吸入空気量予測装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載した発明は、燃焼室内に導入される吸入空気の量を吸気通路のスロットル弁により調節する内燃機関の吸入空気量予測装置において、前記吸気通路内の吸入空気に関する流体モデルと同吸入空気の現時点での温度情報とに基づいて前記吸気通路の前記スロットル弁よりも下流側の部分に存在する吸入空気の現時点から所定期間後の温度を推定し該推定結果を反映しつつ現時点から所定期間後に前記下流側部分から前記燃焼室内に導入される吸入空気の量を予測する予測手段を備えるようにしている。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、前記予測手段は、前記吸気通路内の吸入空気に関する流体モデルと同吸入空気の現時点での温度情報とに基づいて、前記吸気通路の前記スロットル弁よりも下流側の部分に存在する吸入空気の現時点から所定期間後の温度に加えさらに同吸入空気の現時点から所定期間後の圧力を推定し、この温度及び圧力の推定結果を反映しつつ現時点から所定期間後に前記下流側部分から前記燃焼室内に導入される吸入空気の量を予測するようにしている。
【0014】
上記請求項1または2に記載した発明において、予測手段は、吸気通路内の吸入空気に関する流体モデルと同吸入空気の現時点での温度情報(温度や温度変化の態様等、或いはこれらと相関を有する物理量)とに基づいて前記下流側部分の吸入空気の温度を推定し、その推定結果を吸入空気量の予測に反映させる。従って、この下流側部分の温度が現時点から過渡的に変化する場合であっても、その過渡的な変化を把握した上で吸入空気量を予測することができ、極めて精度の良い予測結果を得ることができるようになる。
【0015】
また、吸気通路を通じて燃焼室に導入される吸入空気の量は、上記下流側部分の吸入空気の圧力が高くなるほど、またその温度が低くなるほど多くなる傾向があるため、これを上記圧力及び温度に基づいて求めることができる。従って、下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間後の圧力及び温度を推定することにより、それら推定される圧力及び温度に基づいて現時点から所定期間後に燃焼室に導入される吸入空気の量を予測することができるようになる。
【0016】
更に、この下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間後の圧力及び温度は、これらを、下流側部分の吸入空気についての熱エネルギ保存則並びに質量保存則に基づいて、下流側部分に流入する吸入空気の現時点での量及び温度、並びにその下流側部分の現時点での吸入空気の圧力及び温度といった物理量と関連付けることにより推定することができる。
【0017】
従って、請求項1または2に記載した発明をより具体化した構成として、請求項3に記載した発明のように、上記吸入空気量予測装置において、
・前記予測手段は、前記下流側部分の吸入空気に関する熱エネルギ保存則並びに質量保存則に基づき構築される流体モデルと、前記下流側部分に流入する吸入空気の現時点での量及び温度、並びに前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力及び温度とに基づいて前記下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間後の圧力及び温度を推定し、該推定される圧力及び温度に基づいて前記吸入空気量を予測するものである、
といった構成を採用することができる。
【0018】
また、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、前記予測手段は、前記下流側部分に流入する吸入空気の現時点での量をmt(0)及び温度をTha、前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力をPm(0)及び温度をTm(0)、前記下流側部分から燃焼室に導入される吸入空気の量をmc(i)、空気の比熱比をκ、気体定数をR、前記下流側部分の容積をVとしたとき、前記各保存則から得られる離散式(1),(2)、並びに前記吸入空気量mc(i)と前記下流側部分の吸入空気の圧力Pm(i)及び温度Tm(i)との関係式(3)
【0019】
【数2】
に基づく演算を所定回数nだけ繰り返す処理を実行することにより、前記下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間tfwd後の圧力Pm(n)及び温度Tm(n)を推定するものであるとしている。
【0020】
上記構成によれば、前記流体モデルが上記各式(1),(2)に示されるように離散化されて表現されているため、前記下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間後の圧力Pm(n)及び温度Tm(n)を比較的簡単なアルゴリズムに基づいて推定することができるようになる。
【0021】
また、こうした演算処理を行うにあたり、請求項5に記載した発明のように、請求項4に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、
・前記予測手段は、前記一連の繰返処理を所定の割込周期毎に実行するものであって、今回の割込タイミングにおいて、次回の割込タイミングでの繰返処理に用いられる前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力Pm(0)及び温度Tm(0)の少なくとも一方を算出するものである、
といった構成を採用すれば、上記吸入空気の圧力Pm(0)、或いはその温度Tm(0)をセンサ等を用いずとも上記繰返処理を通じて逐次求めることができ、吸入空気量予測装置の構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0022】
また、一般に、汎用の温度センサはその応答性が低いため、同センサを用いて吸入空気の温度Tm(0)を検出するようにした場合、同温度Tm(0)の変化を精度良く検出するのは難しく、その検出結果に誤差が生じるのは避けきれない。
【0023】
この点、上記構成において、特に吸入空気量の温度Tm(0)を算出するようにすれば、構成の簡略化を図ることができるとともに、こうしたセンサの検出誤差に起因する予測精度の低下を回避することができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0025】
本実施形態では、吸入空気量を検出するセンサとしてエアフローメータを備える内燃機関に本発明に係る吸入空気量予測装置を適用するようにしている。はじめに、図1を参照して、この内燃機関10の概要と同予測装置の構成について説明する。
【0026】
内燃機関10の吸気通路20は、スロットル弁24が設けられたスロットルボディ21の内部通路、このスロットルボディ21の下流側に接続されたサージタンク22、及び同サージタンク22と燃焼室29とを接続する吸気ポート23等により構成されている。吸気通路20を流れる吸入空気は、スロットル弁24によって調量された後、吸気弁26の開弁時に燃焼室29内に導入される。
【0027】
吸入空気量予測装置は、現時点から所定期間後に燃焼室29内に導入される吸入空気の量を予測するものであり、大きくは、演算装置30とエアフローメータ41をはじめとする各種センサ41〜45とによって構成されている。
【0028】
演算装置30は、演算処理を実行する演算部31と、こうした演算処理に係るプログラムやその実行に際して用いられる各種関数データが記憶されたメモリ32とを備えている。この演算装置30は、例えば、内燃機関10の各種制御を実行する電子制御装置によって構成される。
【0029】
センサ41〜45には、上記エアフローメータ41の他、吸気温センサ42、スロットルセンサ43、カム角センサ44、及びクランク角センサ45等が含まれる。エアフローメータ41、吸気温センサ42はいずれも、吸気通路20においてスロットル弁24より上流側の部分に設けられており、同弁24を介してサージタンク22内に流入する吸入空気の量とその温度(以下、「上流側吸気温Tha」という)をそれぞれ検出する。
【0030】
また、本実施形態では、上記エアフローメータ41として、熱線からなる検出部410を備えた熱線式のものが用いられている。図2は、この検出部410の断面構造を示している。同図に示すように、この検出部410は、例えば白金等からなる熱線412と、同熱線412の周囲を被覆するガラス層414とによって構成されている。
【0031】
スロットルセンサ43は、スロットル弁24の近傍に設けられており、同弁24の開度(スロットル開度TA)を検出する。カム角センサ44は、吸気弁26を開閉駆動するカムシャフト(図示略)の近傍に、クランク角センサ45は、このカムシャフトを回転駆動するクランクシャフト(図示略)の近傍にそれぞれ設けられている。演算装置30は、これらカム角センサ44及びクランク角センサ45の出力信号を取り込み、クランクシャフトの回転速度(機関回転数NE)及びその回転位相(クランク角CA)並びに吸気弁26の開閉時期(バルブタイミングVT)をそれぞれ検出する。尚、本実施形態の内燃機関10には、上記吸気弁26の開閉時期を機関回転数NEや機関負荷等の機関運転状態に基づいて変更する機構(図示略)が設けられている。従って、上記バルブタイミングVTも機関運転状態に応じて適宜変更されることとなる。
【0032】
次に、こうした本実施形態の装置による吸入空気量の予測処理について説明する。
はじめにこの予測処理の前提となる原理について説明する。
【0033】
まず、吸気通路20から燃焼室29までの空間を、スロットル弁24より上流側の部分(以下、「上流側部分」という)27、同スロットル弁24より下流側で吸気弁26よりも上流側の部分(以下、「下流側部分」という)28、及び燃焼室29といった3つの部分に分け、これら各部分27〜29のうち下流側部分28に存在する吸入空気についての流体モデルを構築する。
【0034】
即ち、この下流側部分28に存在する吸入空気の質量を「M」、同下流側部分28から燃焼室29内に時間当たりに流出する吸入空気の量(以下、「筒内吸入空気量」という)を「mc」、上流側部分27から下流側部分28に流入する吸入空気の量(以下、「スロットル弁通過量」という)を「mt」とすると、上記質量Mの時間当たりの変化量d(M)/dtは質量保存則に基づいて次式(5)のように表すことができる。
【0035】
【数3】
一方、下流側部分28に存在する吸入空気の温度(以下、「下流側吸気温」という)を「Tm」、その等容比熱及び等圧比熱をそれぞれ「Cv」、「Cp」とすると、同吸入空気の有する熱エネルギは「Cv・M・Tm」となる。また、上流側部分27から下流側部分28に流入する吸入空気の有する熱エネルギが「Cp・mt・Tha」、下流側部分28から燃焼室29に流出する吸入空気の有する熱エネルギが「Cp・mc・Tm」であることから、上記熱エネルギCv・M・Tmの時間当たりの変化量d(Cv・M・Tm)/dtは熱エネルギ保存則に基づいて次式(6)のように表すことができる。
【0036】
【数4】
また、下流側部分28に存在する吸入空気についての状態方程式は、下流側部分28の容積を「V」、同部分28での吸入空気の圧力(以下、「下流側吸気圧」という)を「Pm」、気体定数を「R」とすると、次の式(7)のようになる。
【0037】
【数5】
ここで、空気の比熱比を「κ」(=Cp/Cv)とおくと、上記式(7)を用いて式(5)は以下の式(9)、式(6)は以下の式(8)のように表すことができる。
【0038】
【数6】
更に、これら各式(8),(9)の左辺は、離散間隔を「Δt」とすると次式(10),(11)のように表すことができる。
【0039】
【数7】
従って、これら各式(8)〜(11)から以下の離散式(12),(13)が導き出される。尚、この式(12),(13)において、括弧内の「i」は今回値、「i−1」は前回値をそれぞれ示す。
【0040】
【数8】
一方、筒内吸入空気量mcは、次の実験式(14)を用いて求めることができる。
【0041】
【数9】
上式(14)において、「a」、「b」はいずれも定数であり、下流側部分28から燃焼室29までの部分における吸入空気の流れに影響を与える機関制御パラメータ、即ちここでは、機関回転数NE及びバルブタイミングVTに基づいて設定される。これら定数a或いは定数bと機関回転数NE及びバルブタイミングVTとの関係は予め実験により定められ、演算装置30のメモリ32に関数マップとして記憶されている。また、「To」は、こうした実験により各定数a,bを設定したときの吸入空気の基準温度(定数)である。
【0042】
この実験式(14)を用いると、上記各式(12),(13)は、次の各式(15),(16)のように変形することができる。
【0043】
【数10】
また、下流側吸気温Tmは、これら各式(15),(16)から得られる以下の式(17)を用いて求めることができる。
【0044】
【数11】
これら各式(15)〜(17)から明らかなように、現時点でのスロットル弁通過量mt、下流側吸気圧Pm、下流側吸気温Tm、及び上流側吸気温Thaに基づいて、現時点から所定期間後、即ちここでは上記離散間隔Δt後の下流側吸気圧Pm及び下流側吸気温Tmを推定することができ、更にこうして推定される下流側吸気圧Pm及び下流側吸気温Tmを式(14)に代入することにより、現時点から離散間隔Δt後の筒内吸入空気量mcを推定することができる。
【0045】
また、本実施形態の予測処理では、上記スロットル弁通過量mtを以下の異なる二つの方法に従って求めるようにしている。以下、このスロットル弁通過量mtを求める際の方法について説明する。
【0046】
まず、エアフローメータ41の検出信号に基づいてスロットル弁通過量mtを求める際の手順について説明する。
エアフローメータ41は、周知のように、熱線412の周囲を吸入空気が通過する際に同熱線412から奪われる熱量が吸入空気量に応じて変化するのを利用して同量を検出するものである。このエアフローメータ41の検出信号と吸入空気量との関係は予め実験によって求められ、演算装置30のメモリ32に関数マップとして記憶されている。従って、エアフローメータ41の検出信号とこの関数マップとに基づいて吸入空気量を求めることができる。
【0047】
しかしながら、上記ガラス層414は、熱線412と比較して一般に熱容量が大きいため、その温度Tgsは検出部410の近傍を通過する吸入空気の量の変化に対して遅れて変化する傾向がある。このため、吸入空気量が変化しない定常運転時にあっては、上記関数マップから求められる吸入空気量は真の吸入空気量と一致するものの、同吸入空気量が変化する過渡運転時にあっては、関数マップから求められる吸入空気量が真の吸入空気量からずれるようになる。
【0048】
そこで、本実施形態では、こうしたガラス層414の温度変化についての応答遅れを予め見越して真の吸入空気量を求めるために、同層414に関する熱平衡モデルを構築し、その逆モデルに基づいて吸入空気量を算出するようにしている。尚、以下の説明では、真の吸入空気量をスロットル弁通過量mtとし、エアフローメータ41の検出信号と上記関数マップとに基づいて得られる吸入空気量をマップ演算値GAとして区別する。
【0049】
まず、熱線412の温度を「Tht」とすると(図2参照)、熱線412からガラス層414に伝達される熱量と、同層414から吸入空気に伝達される熱量との釣り合いから、ガラス層414の温度Tgsの変化量d(Tgs)/dtは、以下の式(18)のように表すことができる。
【0050】
【数12】
ここで、「A」,「B」,「C」,「D」は、熱線412の断面積、長さ、及びその抵抗率や、ガラス層414と熱線412との間の熱伝達率、ガラス層414と吸入空気との間の熱伝達率等々に応じて決定される定数である。
【0051】
また、定常運転時には、ガラス層414と、熱線412及び吸入空気との間の熱の授受が無くなるため、次式(19),(20)に示すように、式(18)の左辺、即ちガラス層414の温度変化量d(Tgs)/dtは「0」になり、また、マップ演算値GAとスロットル弁通過量mtとは等しくなる。
【0052】
【数13】
従って、上記各式(19),(20)から次の式(21)が得られる。
【0053】
【数14】
更に、この式(21)を用いて式(18)を変形すると、ガラス層414の温度Tgsが消去された次式(22)が得られる。
【0054】
【数15】
また、この式(22)の左辺は、離散間隔を「Δt」とすると次式(23)のように表すことができる。
【0055】
【数16】
従って、上記各式(22),(23)から以下の離散式(24)が導き出される。尚、この式(24)において、「α」、「β」は上記定数A〜Dによって定まる定数であり、また、括弧内の「j」は今回値、「j−1」は前回値をそれぞれ示している。
【0056】
【数17】
この式(24)から明らかなように、現時点でのスロットル弁通過量mt(j)は、現時点でのマップ演算値GA(j)と、離散間隔Δt前のマップ演算値GA(j-1)とに基づいて推定することができる。
【0057】
次に、スロットル開度TA等の機関運転状態に基づいてスロットル弁通過量mtを求める際の手順について説明する。
スロットル弁24の開口部分を一種のオリフィスと仮定すると、同オリフィスを通過する流体の量(スロットル弁通過量mt)は、周知のように次の各式(25),(26)によって表される。
【0058】
【数18】
ここで、「μ」はオリフィス(スロットル弁24の開口部分)の流量係数、「Pa」は大気圧(一定値)である。また、「At」は、スロットル弁24の開口面積であり、これはスロットル開度TAから一義的に求めることができる。
【0059】
ここで、スロットル開度TAが一定に保持される定常運転時を想定すると、式(25)は次式(27)のようになる。
【0060】
【数19】
ここで、「mtTA」、「PmTA」は、定常運転時におけるスロットル弁通過量mt、下流側吸気圧Pmをそれぞれ示している。これら定常運転時におけるスロットル弁通過量mtTA及び下流側吸気圧PmTAは、上流側部分27から燃焼室29までの部分における吸入空気の流れに影響を与える機関制御パラメータ、即ちここでは、スロットル開度TA、機関回転数NE、及びバルブタイミングVTに基づいて決定することができる。これら定常運転時のスロットル弁通過量mtTA或いは下流側吸気圧PmTAと、スロットル開度TA、機関回転数NE、及びバルブタイミングVTとの関係は、予め実験によって求められ、演算装置30のメモリ32に関数マップとして記憶されている。
【0061】
この式(27)を用いると、式(25)は次式(28)のように表すことができる。
【0062】
【数20】
更に、定常運転時にあっては、スロットル弁通過量mtTAと筒内吸入空気量mcとが等しくなり(mtTA=mc)、また、下流側吸気温Tmと上流側吸気温Thaとが等しくなるため(Tm=Tha)、上記式(14)は次式(29)のように表すことができる。
【0063】
【数21】
そして、この式(29)を用いると、上記式(28)は更に次式(30)のように表すことができる。
【0064】
【数22】
この式(30)から明らかなように、スロットル弁通過量mtは、現時点での上流側吸気温Tha及び下流側吸気圧Pm、大気圧Pa、並びに定常運転時であると仮定したときの下流側吸気圧Pmの値PmTA(TA,NE,VT)に基づいて推定することができる。
【0065】
本実施形態では、このように各別の方法に基づいて求められるスロットル弁通過量mtと、前述した各式(14)〜(17)とに基づいて現時点から所定期間後の筒内吸入空気量mcを予測するようにしている。尚、以下の説明では、スロットル開度TA等の機関運転状態に基づいて求められるスロットル弁通過量mtをスロットル弁通過量推定値mt1、エアフローメータ41の検出信号に基づいて求められるスロットル弁通過量mtをスロットル弁通過量測定値mt2として区別する。
【0066】
次に、本実施形態の装置による予測処理の詳細について図3及び図4を併せ参照して説明する。
図3及び図4は、筒内吸入空気量mcを予測する際の手順の一例を示すフローチャートである。この一連の処理は、演算装置30により所定時間毎の割込周期(例えば「8msec.」毎)で実行される。
【0067】
この処理に際しては、まず、吸入空気量を予測する際の予測期間tfwdが設定される(ステップ100)。
この予測期間tfwdは、前回の燃料噴射での燃料噴射量、換言すれば燃料噴射時間に応じて設定されるものである。従って、ここでは、現時点から前回の燃料噴射に要した時間が経過した後の筒内吸入空気量mcが予測されることとなる。因みに、この燃料噴射時間は、この処理とは別の燃料噴射に係る処理を通じて算出されるものである。また、この燃料噴射に係る処理では、本処理を通じて算出される最新の筒内吸入空気量mcに基づいて燃料噴射量が算出される。
【0068】
次に、現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pm、下流側吸気温Tm、及びそれらの比Pm/Tmが前記スロットル弁通過量推定値mt1に基づいて算出される(ステップ200)。尚、以下では、スロットル弁通過量推定値mt1に基づいて算出される予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pm、下流側吸気温Tm、及びそれらの比Pm/Tmをそれぞれ、「Pm1tfwd」、「Tm1tfwd」、「Pm1tfwd/Tm1tfwd」と、また、その算出途中での下流側吸気圧Pm、下流側吸気温Tm、及びそれらの比Pm/Tmを、「Pm1(i)」、「Tm1(i)」、「Pm1/Tm1(i)」とそれぞれ表記する。
【0069】
この下流側吸気圧Pm1tfwd及び下流側吸気温Tm1tfwdの算出に際しては、上記各式(15)〜(17)及び式(30)に基づく演算を所定回数だけ繰り返す処理が行われる。
【0070】
即ち、図4に示すように、まず、この処理の繰返回数を表すカウンタ値i(初期値:「0」)がインクリメントされ(ステップ202)、次に予測期間tfwdが所定時間Δt1以上であるか否かが判断される(ステップ204)。ここで、上記所定時間Δt1は、本ルーチンの割込周期と等しく(例えば「8msec.」)設定されている。そして、予測期間tfwdがこの所定時間Δt1以上であると判断された場合(ステップ204:YES)、上記各式(15),(16)の離散間隔Δtが所定時間Δt1と等しく設定される(ステップ206)。
【0071】
次に、式(30)に基づいてスロットル弁通過量推定値mt1(i)が算出され、更にその後、各式(15)〜(17)に基づいて、下流側吸気圧Pm1(i)、下流側吸気温Tm1(i)、及びそれらの比Pm1(i)/Tm1(i)がそれぞれ算出される(ステップ208)。そして、現在の予測期間tfwdから所定時間Δt1が減算され、その減算値(tfwd−Δt1)が新たな予測期間tfwdとして設定される(ステップ210)。
【0072】
次に、この新たな予測期間tfwdが「0」以下であるか否かが判断され(ステップ212)、同予測期間tfwdが「0」より長いと判断された場合(ステップ212:NO)には、ステップ202以降の処理が再度実行される。この際、ステップ204において予測期間tfwdが所定時間Δt1未満であると判断されると(ステップ204:NO)、離散間隔Δtが予測期間tfwdと等しく設定されて(ステップ207)、ステップ208以降の処理が実行される。
【0073】
そして、ステップ202〜212の処理が繰り返されることにより、予測期間tfwdが「0」以下になると(ステップ212:YES)、下流側吸気圧Pm1(i)、下流側吸気温Tm1(i)、及び比それらのPm1/Tm1(i)が、予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pm1tfwd、下流側吸気温Tm1tfwd、及び比Pm1tfwd/Tm1tfwdとしてそれぞれ設定される(ステップ214)。
【0074】
例えば、本ルーチンの割込周期が「8msec.」であり、先のステップ100の処理を通じて予測期間tfwdが「30msec.」に設定された場合、離散間隔Δtは上記ステップ204,206,207の処理を通じて、「8msec.」→「8msec.」→「8msec.」→「6msec.」といった態様で順に設定され、ステップ202〜ステップ212までの処理が「4回」繰り返されることとなる。そして、カウンタ値iが「4」であるときの下流側吸気圧Pm1(4)、下流側吸気温Tm1(4)、及びそれらの比Pm1/Tm1(4)が、現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pm1tfwd、下流側吸気温Tm1tfwd、及び比Pm1tfwd/Tm1tfwdとしてそれぞれ設定されることとなる。
【0075】
その後、カウンタ値iが「0」にリセットされるとともに、離散間隔Δtが上記所定時間Δt1と等しく設定された後(ステップ216)、処理は図3に示すステップ300に戻される。
【0076】
ステップ300では、エアフローメータ41の検出信号に基づいて現時点でのマップ演算値GA(j)(以下、「GA(0)」と表記する)が算出される。次に、この現時点でのマップ演算値GA(0)と前回の割込タイミングにおいて算出されたマップ演算値GA(j-1)(以下、「GA(-1)」と表記する)とに基づき、先の式(24)を用いて現時点でのスロットル弁通過量測定値mt2(0)が算出される(ステップ400)。
【0077】
そして、このスロットル弁通過量測定値mt2(0)に基づき、先の各式(15)〜(17)を用いて離散間隔Δt後の下流側吸気圧Pm(i)、下流側吸気温Tm(i)、及びそれらの比Pm/Tm(i)がそれぞれ算出される(ステップ500)。尚、このステップ500において算出される下流側吸気圧Pm(i)、下流側吸気温Tm(i)、及びそれらの比Pm/Tm(i)のうち、今回の割込タイミングで算出される値をそれぞれ「Pm2(1)」、「Tm2(1)」、「Pm2/Tm2(1)」と、前回の割込タイミングで算出された値をそれぞれ「Pm2(0)」、「Tm2(0)」、「Pm2/Tm2(0)」と表記する。
【0078】
次に、以下の各式(31),(32),(33)に基づいて現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd、下流側吸気温Tmtfwd、及びそれらの比Pmtfwd/Tmtfwdが算出されるとともに、上記式(14)から得られる式(34)に基づいて予測期間tfwd後における筒内吸入空気量mctfwdが算出される(ステップ600)。
【0079】
【数23】
こうして筒内吸入空気量mctfwdが算出された後、次回の割込タイミングにおける演算処理の初期値がそれぞれ設定される(ステップ700)。
【0080】
図5は、こうした初期値の設定態様を示すタイミングチャートである。同図では、時刻t1において機関運転が開始されるとともに、本ルーチンが開始されるものとする。
【0081】
同図に示すように、2回目以降の割込タイミング(時刻t2,t3)における初期値、即ち下流側吸気圧Pm1(0),Pm2(0)、下流側吸気温Tm1(0),Tm2(0)、これらの比Pm1/Tm1(0),Pm2/Tm2(0)、並びにマップ演算値GA(-1)は、前回の割込タイミングにおいて離散間隔Δt後の値(Pm1(1)等)或いは現時点での値(GA(0))として算出された値を用いてそれぞれ以下のように設定される。
【0082】
【数24】
一方、最初の割込タイミング(時刻t1)における初期値については、前回の割込タイミングでの算出値が存在しないことから、以下のように設定される。
【0083】
【数25】
このようにして次回の割込タイミングにおける各初期値を設定した後、本ルーチンの処理は一旦終了される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態では、下流側部分28の吸入空気に関する熱エネルギ保存則並びに質量保存則に基づいて流体モデルを構築し、その流体モデルと、スロットル弁通過量mt及び上流側吸気温Tha、並びに下流側吸気圧Pm及び下流側吸気温Tmとに基づいて現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdを推定し、更にそれらに基づいて現時点から予測期間tfwd後の筒内吸入空気量mctfwdを予測するようにしている。
【0085】
(1)従って、下流側吸気温Tmが現時点から過渡的に変化する場合であっても、その過渡的な変化を把握した上で筒内吸入空気量mcを予測することができ、極めて精度の良い予測結果を得ることができるようになる。
【0086】
(2)また、こうした吸入空気の流体モデルを構築する際に、下流側部分28の吸入空気に関する質量保存則及び熱エネルギ保存則を先の式(12),(13)に示されるような離散式によって表現し、これら離散式(12),(13)に基づく演算を所定回数繰り返す処理を実行することにより、現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdを推定するようにしている。従って、これら筒内吸入空気量mctfwdの予測に必要な下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdを比較的簡単なアルゴリズムに基づいて推定することができるようになる。
【0087】
(3)更に、上記繰返処理を所定の割込周期で実行する際に、次回の割込タイミングで用いられる現時点での下流側吸気圧Pm(0)及び下流側吸気温Tm(0)を今回の割込タイミングにおいて算出するようにしている。このため、下流側部分28内の圧力や温度を検出するためのセンサ等を用いずとも、これら下流側吸気圧Pm(0)及び下流側吸気温Tm(0)を上記繰返処理を通じて逐次求めることができ、吸入空気量予測装置の構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0088】
(4)特に、現時点での下流側吸気温Tm(0)を推定することにより、一般に応答性の低い汎用の温度センサを用いる必要が無くなり、こうしたセンサの検出誤差に起因する予測精度の低下を回避することができるようになる。
【0089】
また、本実施形態では、スロットル弁通過量mtとして、スロットル開度TA等の機関運転状態から推定されるスロットル弁通過量推定値mt1と、エアフローメータ41の検出信号に基づいて算出されるスロットル弁通過量測定値mt2とをそれぞれ求めるようにしている。
【0090】
ここで、これらスロットル弁通過量推定値mt1及びスロットル弁通過量測定値mt2を用いて求められる下流側吸気圧Pm1(i),Pm2(0),Pm2(1)及び下流側吸気温Tm1(i),Tm2(0),Tm2(1)は、実際の吸気圧や吸気温と比較した場合、以下のような傾向があることが本発明者らの実験によって確認されている。
【0091】
即ち、スロットル弁通過量推定値mt1を用いて求められる下流側吸気圧Pm1(i)、下流側吸気温Tm1(i)、及びそれらの比Pm1/Tm1(i)に関しては、特に、その時間的変化が吸気圧や吸気温の実際の時間的変化を正確に反映する傾向がある。一方、スロットル弁通過量測定値mt2を用いて求められる下流側吸気圧Pm2(0),Pm2(1)、下流側吸気温Tm2(0),Tm2(1)、及びそれらの比Pm2/Tm2(0),Pm2/Tm2(1)に関しては、定常運転時において吸気圧や吸気温、或いはそれらの比の実際の値とよく一致する傾向がある。
【0092】
このため、先の各式(31)〜(33)を用いて最終的な予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdを算出することにより、過渡運転時にあっては、実際の吸気圧及び吸気温の時間的変化を正確にその算出に反映させることができるとともに、定常運転時、即ち、
【0093】
【数26】
が満たされるときには、
【0094】
【数27】
となることから、下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdがスロットル弁通過量測定値mt2のみに基づいて求められるようになる。
【0095】
(5)従って、本実施形態によれば、定常運転時であれ過渡運転時であれ、現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd及び下流側吸気温Tmtfwdを正確に推定することができ、ひいては筒内吸入空気量mctfwdをより正確に予測することができるようになる。
【0096】
(6)更に、本実施形態では、エアフローメータ41のガラス層414に関する熱平衡モデルを構築し、その逆モデルに基づいて上記スロットル弁通過量測定値mt2を求めるようにしているため、同層414の温度変化についての応答遅れを予め見越してこれを求めることができるようになる。従って、より正確なスロットル弁通過量測定値mt2を求めることができ、これに基づいて下流側吸気圧Pmtfwdや下流側吸気温Tmtfwdの推定を更に正確に行うことができるようになる。
【0097】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0098】
本実施形態では、吸入空気量を検出するセンサとして吸気圧センサを備える内燃機関に本発明に係る吸入空気量予測装置を適用するようにしている点が第1の実施形態と相違している。この吸気圧センサ46は、図6に示すように、サージタンク22に取り付けられており、その内部の吸入空気の圧力、即ち下流側吸気圧Pmを検出する。
【0099】
次に、本実施形態の装置による予測処理の詳細について説明する。
図7は、筒内吸入空気量mcを予測する際の手順の一例を示すフローチャートである。この一連の処理は、演算装置30により所定時間毎の割込周期(例えば「8msec.」毎)で実行される。尚、同図7に示すステップ100及びステップ200では、先の図3及び図4に示すステップ100及びステップ200〜216と同様の処理が実行されるため、その処理内容の説明は省略する。
【0100】
これらステップ100,200の各処理が実行された後、ステップ350では、吸気圧センサ46の検出信号に基づいて現時点での下流側吸気圧Pm(i)(以下、「Pm3(0)」と表記する)が算出される。次に、この今回の割込タイミングにおいて検出された下流側吸気圧Pm3(0)及び前回の割込タイミングにおいて検出された下流側吸気圧Pm(i-1)(以下、「Pm3(-1)」と表記する)と、先の式(15)から得られる次式(35)とに基づいて、現時点から離散間隔Δt前での(即ち前回の割込タイミングでの)スロットル弁通過量mt(i-1)(以下、「スロットル弁通過量測定値mt3(-1)」という)が算出される(ステップ450)。
【0101】
【数28】
そして、更にこのスロットル弁通過量測定値mt3(-1)と、先の式(16),(17)から得られる次の式(36),(37)とに基づいて、現時点での下流側吸気温Tm(0)(以下、「Tm3(0)」と表記する)、並びに下流側吸気圧Pm3(0)と下流側吸気温Tm3(0)との比Pm3/Tm3(0)がそれぞれ算出される(ステップ550)。
【0102】
【数29】
尚、上記ステップ450及びステップ550において、式(35)及び(36)に基づいて下流側吸気温Tm3(0)等を算出する場合、上流側吸気温Thaは前回の割込タイミングで読み込まれた値が用いられ、また、各定数a,bについては前回の割込タイミングでの機関回転数NE及びバルブタイミングVTに基づいて設定された値が用いられる。また、今回が最初の割込タイミングである場合には、上流側吸気温Thaは現時点での値、各定数a,bは機関停止時の機関回転数NE(=「0」)及びバルブタイミングVTに基づいて設定される値が用いられる。
【0103】
次に、先の各式(31),(32)において、「Pm2(0)」、「Pm2/Tm2(0)」をそれぞれ「Pm3(0)」、「Pm3/Tm3(0)」に置換した式と、各式(33),(34)とを用いて、現時点から予測期間tfwd後の下流側吸気圧Pmtfwd、下流側吸気温Tmtfwd、及びそれらの比Pmtfwd/Tmtfwdが算出されるとともに、予測期間tfwd後における筒内吸入空気量mctfwdが算出される(ステップ650)。
【0104】
こうして筒内吸入空気量mctfwdが算出された後、次回の割込タイミングにおける演算処理の初期値がそれぞれ設定される(ステップ750)。
図8は、こうした初期値の設定態様を示すタイミングチャートである。同図では、時刻t1において機関運転が開始されるとともに、本ルーチンが開始されるものとする。
【0105】
同図に示すように、2回目以降の割込タイミング(時刻t2,t3)における初期値、即ち下流側吸気圧Pm1(0),Pm3(-1)、下流側吸気温Tm1(0),Tm3(-1)、並びにこれらの比Pm1/Tm1(0),Pm3/Tm3(-1)は、前回の割込タイミングにおいて離散間隔Δt後の値(Pm1(1)等)或いは現時点での値として求められた値(Pm3(0),Tm3(0)等)を用いてそれぞれ以下のように設定される。
【0106】
【数30】
一方、最初の割込タイミング(時刻t1)における初期値については、前回の割込タイミングでの算出値或いは検出値が存在しないことから、以下のように設定される。
【0107】
【数31】
このようにして次回の割込タイミングにおける各初期値を設定した後、本ルーチンの処理は一旦終了される。
【0108】
以上説明した第2の実施形態においても、第1の実施形態に記載した(1)、(2)、及び(4)に関しては略同等の作用効果を得ることができる。
また第1の実施形態に記載した(3)の作用効果については、下流側吸気圧Pmを検出するための吸気圧センサ46が別途必要になるものの、逆にエアフローメータ41は不要になり、また、少なくとも下流側吸気温Tmを検出するセンサを必要としないため、この点では吸入空気量予測装置の構成の簡略化を図ることができるようになる。
【0109】
更に、吸気圧センサ46の検出信号に基づいて求められる下流側吸気圧Pm3(0),Pm3(1)、下流側吸気温Tm3(0),Tm3(1)、及びそれらの比Pm3/Tm3(0),Pm3/Tm3(1)は、定常運転時において吸気圧や吸気温、或いはそれらの比の実際の値とよく一致する傾向がある。従って、本実施形態によっても第1の実施形態において記載した(5)と同等の作用効果を奏することができる。
【0110】
以上説明した各実施形態は、以下のように構成を変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、スロットル弁24を通過する吸入空気の量として、スロットル開度TA等の機関運転状態に基づく推定値と、エアフローメータ41や吸気圧センサ46等のセンサの検出信号に基づく実測値とをそれぞれ求め、これら各値を用いて筒内吸入空気量mcを予測するようにしたが、これら推定値及び実測値の一方に基づいて同予測を行うようにしてもよい。
【0111】
・上記各実施形態では、吸気弁26のバルブタイミングを変更する機構を備えた内燃機関10を想定して筒内吸入空気量mcの予測を行うようにしたが、同機構を備えていない内燃機関においても同様の手順に従って筒内吸入空気量mcの予測を行うことができる。
【0112】
・また、例えば吸気通路20の吸入空気の流れを制御する機構、例えば燃焼室29に発生するスワールの強度を制御するスワール弁等が同吸気通路20内に設けられる内燃機関において上記予測を行う場合には、上記定数a,b及び定常運転時における下流側吸気圧PmTA及びスロットル弁通過量mtTAを上記機構の制御量(例えばスワール弁の開度等)の関数として設定するようにする。
【0113】
・上記各実施形態の予測処理においては、筒内吸入空気量mcを求める際に、同空気量mcを下流側吸気温Tm及び下流側吸気圧Pmの関数とする実験式(14)を用いるようにしたが、同空気量mcを求める方法はこれに限定されるものではない。
【0114】
・上記各実施形態では、吸入空気の流体モデルとして得られる上記各式(8),(9)を離散化し、繰返演算を実行することにより、下流側吸気圧Pm及び下流側吸気温Tmを算出するようにしたが、これら各式(8),(9)を解析的に解いた演算式に基づいて、これら下流側吸気圧Pm及び下流側吸気温Tmを算出するようにしてもよい。
【0115】
・上記各実施形態では、燃料噴射量の算出に用いられる筒内吸入空気量mcを予測すべく、上記予測期間tfwdを同燃料噴射量の算出に適した値に設定するようにしたが、この予測処理は予測期間tfwdを適宜設定することにより、点火時期制御等、その他の機関制御にも適用することができる。
【0116】
・上記各実施形態では、図3や図7に示す予測処理ルーチンの割込周期と、離散間隔Δtとを等しく設定するようにしたが、例えば、この離散間隔Δtを次回の割込タイミングでの初期値を決定できる範囲、即ち割込周期の「1/2」倍等、1/n倍(n:整数)となるように変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における吸入空気量予測装置の概略構成図。
【図2】エアフローメータの検出部の断面図。
【図3】第1の実施形態の装置による吸入空気量の予測手順を示すフローチャート。
【図4】同じく吸入空気量を予測する際の手順を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態の装置による各割込タイミングでの初期値の設定手順を示すタイミングチャート。
【図6】第2の実施形態における吸入空気量予測装置の概略構成図。
【図7】第2の実施形態の装置による吸入空気量の予測手順を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態の装置による各割込タイミングでの初期値の設定手順を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、20…吸気通路、21…スロットルボディ、22…サージタンク、23…吸気ポート、24…スロットル弁、27…上流側部分、28…下流側部分、29…燃焼室、26…吸気弁、30…演算装置、31…演算部、32…メモリ、41…エアフローメータ、42…吸気温センサ、43…スロットルセンサ、44…カム角センサ、45…クランク角センサ、46…吸気圧センサ、410…検出部、412…熱線。
Claims (5)
- 燃焼室内に導入される吸入空気の量を吸気通路のスロットル弁により調節する内燃機関の吸入空気量予測装置において、
前記吸気通路内の吸入空気に関する流体モデルと同吸入空気の現時点での温度情報とに基づいて前記吸気通路の前記スロットル弁よりも下流側の部分に存在する吸入空気の現時点から所定期間後の温度を推定し該推定結果を反映しつつ現時点から所定期間後に前記下流側部分から前記燃焼室内に導入される吸入空気の量を予測する予測手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の吸入空気量予測装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、
前記予測手段は、前記吸気通路内の吸入空気に関する流体モデルと同吸入空気の現時点での温度情報とに基づいて、前記吸気通路の前記スロットル弁よりも下流側の部分に存在する吸入空気の現時点から所定期間後の温度に加えさらに同吸入空気の現時点から所定期間後の圧力を推定し、この温度及び圧力の推定結果を反映しつつ現時点から所定期間後に前記下流側部分から前記燃焼室内に導入される吸入空気の量を予測する
ことを特徴とする内燃機関の吸入空気量予測装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、
前記予測手段は、前記下流側部分の吸入空気に関する熱エネルギ保存則並びに質量保存則に基づき構築される流体モデルと、前記下流側部分に流入する吸入空気の現時点での量及び温度、並びに前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力及び温度とに基づいて前記下流側部分の吸入空気の現時点から所定期間後の圧力及び温度を推定し、該推定される圧力及び温度に基づいて前記吸入空気量を予測するものである
ことを特徴とする内燃機関の吸入空気量予測装置。 - 請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、
前記予測手段は、前記下流側部分に流入する吸入空気の現時点での量をm t(0) 及び温度をT ha 、前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力をP m(0) 及び温度をT m(0) 、前記下流側部分から燃焼室に導入される吸入空気の量をm c(i) 、空気の比熱比をκ、気体定数をR、前記下流側部分の容積をVとしたとき、前記各保存則から得られる離散式(1),(2)、並びに前記吸入空気量m c(i) と前記下流側部分の吸入空気の圧力P m(i) 及び温度T m(i) との関係式(3)
ことを特徴とする内燃機関の吸入空気量予測装置。 - 請求項4に記載の内燃機関の吸入空気量予測装置において、
前記予測手段は、前記一連の繰返処理を所定の割込周期毎に実行するものであって、今回の割込タイミングにおいて、次回の割込タイミングでの繰返処理に用いられる前記下流側部分の吸入空気の現時点での圧力P m(0) 及び温度T m(0) の少なくとも一方を算出するものである
ことを特徴とする内燃機関の吸入空気量予測装置。
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