JP2004196027A - 車両のスロープ駆動機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る車両のスロープ駆動機構は、車両の開口部の下端縁に基端部が回動可能な状態で連結されているスロープ部材を起立した状態となる上限位置と、スロープとして使用可能なように倒伏した状態となる下限位置との間で回動させる車両のスロープ駆動機構であって、駆動源として電動機M11,M12を備えており、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の電動機M11,M12の印加電圧が、スロープ部材を起立方向に回動させる際の電動機M11,M12の印加電圧よりも小さく設定されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子で車両への乗降を可能にするスロープ部材を起立位置である上限位置と倒伏位置である下限位置との間で回動させるスロープ駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のスロープ駆動機構の一例が特開平2002−154368号公報に記載されており、そのスロープ駆動機構の駆動用電動機を動作させるための電気回路の模式図が図9に示されている。
図9に示すように、スロープ駆動機構は二台の直流電動機M1,M2によって駆動される構成であり、それらの直流電動機M1,M2が電気的に並列に接続されている。
図示されていないスロープ部材を起立位置(上限位置)から倒伏位置(下限位置)の方向に回動させる場合にはスイッチSWを倒伏側に操作する。これによって、リレーR2がオン、リレーR1がオフし、直流電動機M1,M2のT2端子に+12V、T1端子に0Vが加わり、直流電動機M1,M2が逆転駆動されて、スロープ部材は倒伏方向に回動する。
また、スロープ部材を倒伏位置(下限位置)から起立位置(上限位置)の方向に回動させる場合にはスイッチSWを起立側に操作する。これによって、リレーR1がオン、リレーR2がオフし、直流電動機M1,M2のT1端子に+12V、T2端子に0Vが加わり、直流電動機M1,M2が正転駆動されて、スロープ部材は起立方向に回動する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−154368号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、スロープ部材を起立方向に回動(上回動)させるときには、スロープ部材の自重がスロープ駆動機構の動作と逆方向に加わる。また、スロープ部材を倒伏方向に回動(下回動)させるときには、スロープ部材の重量がスロープ駆動機構の動作方向に加わる。このため、スロープ部材を起立方向あるいは倒伏方向に回動させる際に、直流電動機M1,M2を等しい電圧で駆動させると、スロープ部材の倒伏方向の回動速度が起立方向の回動速度よりも速くなる。
このため、スロープ部材の起立方向の回動速度を適正速度に設定すると、スロープ部材の倒伏方向の回動速度が速くなりすぎる。また、スロープ部材の倒伏方向の回動速度を適正速度に設定すると、スロープ部材の起立方向の回動速度が遅くなる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、スロープ部材の起立方向の回動速度が適正速度である場合に、そのスロープ部材の倒伏方向の回動速度が適性速度よりも速くなりすぎないようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車両の開口部の下端縁に基端部が回動可能な状態で連結されているスロープ部材を起立した状態となる上限位置と、スロープとして使用可能なように倒伏した状態となる下限位置との間で回動させる車両のスロープ駆動機構であって、駆動源として電動機を備えており、前記スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、前記スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の前記電動機の印加電圧が、前記スロープ部材を起立方向に回動させる際の前記電動機の印加電圧よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の電動機の印加電圧が、スロープ部材を起立方向に回動させる際の電動機の印加電圧よりも小さく設定されている。このため、スロープ部材の起立方向の回動速度が適正速度である場合に、そのスロープ部材の倒伏方向の回動速度が適性速度よりも速くなることがない。
【0008】
請求項2の発明は、電動機を複数台備えており、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際には、それらの電動機が電気的に直列に接続された状態で電源に接続され、前記スロープ部材を起立方向に回動させる際には、それらの電動機が電気的に並列に接続された状態で電源に接続される構成であることを特徴とする。即ち、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の電動機の印加電圧は、電源電圧を電動機台数で除した値にほぼ等しくなる。また、スロープ部材を起立方向に回動させる際の電動機の印加電圧は電源電圧にほぼ等しくなる。
このように、電動機を並列あるいは直列に接続替えしてそれらの電動機の印加電圧を設定替えする方式のため、例えば、コンピュータ等を使用して電圧制御する場合と比較してコスト低減を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、図1〜図4に基づいて、本発明の実施形態1に係る車両のスロープ駆動機構の説明を行う。車両のスロープ駆動機構は、車両のスロープ装置を駆動させるための機構であり、図1にそのスロープ駆動機構の動作を表すフローチャートが示されている。また、図2、図3はスロープ駆動機構の電気回路図であり、図4は車両のスロープ装置の全体斜視図等である。
スロープ装置10は、例えば、車椅子での車両への乗降を可能にするための装置であり、図4(A)に示すように、バン型車両2の後部に装着されている。なお、図4(A)は、スロープ装置をスロープとして使用可能なように倒伏させた状態を表している。
【0010】
バン型車両2の後部には、図示されていない跳ね上げ式のバックドアによって開閉される主開口3と、リヤバンパー4の中央部に形成されており、その主開口3の下側に配置された下部開口5とが設けられている。
下部開口5は、リヤバンパー4の高さ寸法にほぼ等しい高さ寸法で、幅広角形に形成されている。そして、その下部開口5の下端縁にスロープ装置10を構成するテールゲート12の基端部が上下回動可能な状態で連結されている。
【0011】
テールゲート12は、後記する第一スロープ駆動機構の働きにより、下部開口5を閉鎖する起立位置(上限位置)と、スロープとして使用可能なように倒伏した状態となる倒伏位置(下限位置)との間を上下回動できるように構成されている。
第一スロープ駆動機構は、車室の左右の側壁に設置されたテールゲート用モータM11,M12及び減速機(図示されていない)と、回動アーム14と、リンクアーム13とから構成されている。左右の前記減速機の回転軸には、回動アーム14が相対回転不能な状態でほぼ直角に連結されており、その回動アーム14の先端部にリンクアーム13の基端部が回転可能に連結されている。そして、そのリンクアーム13の先端部が回転可能な状態でテールゲート12の幅方向端部に連結されている。
【0012】
これにより、左右のテールゲート用モータM11,M12が正転駆動されて回動アーム14が上方に回動すると、テールゲート12は左右の回動アーム14、リンクアーム13に引っ張られ、倒伏位置から起立方向に回動する。また、左右のテールゲート用モータM11,12が逆転駆動されて回動アーム14が下方に回動すると、テールゲート12はほぼ自重で起立位置から倒伏方向に回動する。即ち、テールゲート12が本発明のスロープ部材に相当する。また、バン型車両2の下部開口5が本発明の開口部に相当する。
【0013】
テールゲート12の先端部には第一スロープ板16の基端部が上下回動可能な状態で連結されており、その第一スロープ板16の先端部に第二スロープ板17の基端部が上下回動可能な状態で連結されている。そして、第一スロープ板16及び第二スロープ板17が後記する第二スロープ駆動機構の働きにより、テールゲート12に重ねられる重複位置と、テールゲート12の延長線上に配置される倒伏位置との間で、略屏風状に展開されたり、あるいは折り畳まれる(図4(C)、(D)参照)。
【0014】
第二スロープ駆動機構は、テールゲート12の先端部に設置されたスロープ板用モータM2及び減速機(図示されていない)を備えており、その減速機の回転軸に主プーリ18が固定されている。さらに、主プーリ18にはワイヤ19が掛けられており、その主プーリ18の回転によってワイヤ19の巻き取り及び繰出しを行えるようになっている。
【0015】
スロープ板用モータM2が正転駆動されて主プーリ18が正方向に回転すると、ワイヤ19が一定方向に巻き取られ、さらに繰出される。これによって、第一スロープ板16及び第二スロープ板17はワイヤ19に引っ張られ、倒伏位置から重複位置の方向に折り畳まれる。
また、スロープ板用モータM2が逆転駆動されて主プーリ18が逆方向に回転すると、ワイヤ19が逆方向に巻き取られ、さらに繰出される。これによって、第一スロープ板16及び第二スロープ板17はワイヤ19に引っ張られるとともに自重で重複位置から倒伏位置の方向に展開される。
【0016】
次に、図2、図3に基づいて、第一スロープ駆動機構の左右のテールゲート用モータM11,M12を起動する電気回路の説明を行う。以下、テールゲート用モータM11,M12をモータM11、M12と呼ぶことにする。
前記電気回路は直流12V回路であり、切替えスイッチSWと、四個のリレーR1,R2,R3,R4とから構成されている。なお、モータM11及びモータM12には直流電動機が使用される。
【0017】
切替えスイッチSWは、起立、中立C及び倒伏の3位置に切替え可能に構成されており、手を離した状態で中立位置Cに保持される。切替えスイッチSWが起立側に操作されると(図2参照)、リレーR1のコイルが励磁され、リレーR1の接点がON側に切替えられる。このとき、リレーR2,R3,R4のコイルは非励磁となるため、リレーR2,R3,R4の接点はOFF側に切替えられる。
【0018】
また、切替えスイッチSWが倒伏側に操作されると(図3参照)、リレーR2,R3,R4のコイルが励磁され、リレーR2,R3,R4の接点がON側に切替えられる。このとき、リレーR1のコイルが非励磁となるため、リレーR1の接点はOFF側に切替えられる。
切替えスイッチSWが中立位置Cでは、リレーR1,R2,R3,R4のコイルは非励磁となるため、リレーR1,R2,R3,R4の接点はOFF側に切替えられる。
【0019】
図2に示すように、リレーR1の接点のON端子は電源の12Vラインに接続されており、OFF端子は電源の0Vラインに接続されている。また、リレーR1の接点のC端子(コモン端子)は、モータM12のT1端子及びリレーR3の接点のOFF端子に接続されている。リレーR3の接点のON端子はリレーR4の接点のON端子に接続されており、リレーR3の接点のC端子がモータM11のT1端子に接続されている。また、モータM12のT2端子はリレーR4の接点のC端子に接続されており、リレーR4の接点のOFF端子がリレーR2の接点のC端子に接続されている。さらに、モータM11のT2端子はリレーR2の接点のC端子に接続されており、リレーR2の接点のON端子が電源の12Vラインに、またOFF端子が電源の0Vラインに接続されている。
【0020】
上記構成により、図2に示すように、切替えスイッチSWが起立側に操作されると、リレーR1のコイルが励磁され、リレーR1の接点がON側、リレーR2,R3,R4の接点がOFF側に切替えられる。これによって、モータM11,M12は並列に接続され、各々のモータM11,M12には電源電圧と等しい電圧(ほぼ12V)が加わるようになる。そして、各々のモータM11,M12には端子T1側から端子T2側に電流が流れ(矢印参照)、それらのモータM11,M12が正転駆動される。
【0021】
また、図3に示すように、切替えスイッチSWが倒伏側に操作されると、リレーR2,R3,R4のコイルが励磁され、リレーR2,R3,R4の接点がON側、リレーR1の接点がOFF側に切替えられる。これによって、モータM11,M12は直列に接続され、各々のモータM11,M12には電源電圧(約12V)÷モータ台数(2台)にほぼ等しい電圧(約6V)が加わるようになる。そして、各々のモータM11,M12には端子T2側から端子T1側に電流が流れ(矢印参照)、それらのモータM11,M12が逆転駆動される。
【0022】
なお、切替えスイッチSWが中立位置Cに保持されると、リレーR1,R2,R3,R4の接点はOFF側に保持されるため、モータM11,M12の端子T1及び端子T2が電源の0Vラインに接続され、モータM11,M12は停止する。
【0023】
次に、図1(A)(B)等に基づいて、上記した車両のスロープ装置10の動作を説明する。
先ず、スロープ装置10を車椅子等のスロープとして使用する場合には、切替えスイッチSWを倒伏側に操作する(ステップ101参照)。これによって、図3に示すように、モータM11,M12は直列に接続され、各々のモータM11,M12には電源電圧÷モータ台数にほぼ等しい電圧(約6V)が加わるようになる。そして、各々のモータM11,M12には端子T2側から端子T1側に電流が流れ(矢印参照)、それらのモータM11,M12が逆転駆動される(ステップ102参照)。
【0024】
モータM11,M12が逆転駆動されることにより、図4に示す回動アーム14が下方に回動し、テールゲート12がほぼ自重で起立位置から倒伏方向に回動する。このとき、モータM11,M12の印加電圧は約6Vであるため、定格電圧(12V)で駆動する場合と比較してモータM11,M12の機械的出力が低下する。このため、モータM11,M12の印加電圧をほぼ12Vで駆動する場合と比較して、テールゲート12の回動速度が大幅に低下する。したがって、テールゲート12等の重量が倒伏方向に加わっても、テールゲート12の回動速度が適正速度よりも速くなることがない。
【0025】
このようにして、テールゲート12が、図4(D)に示すように、スロープとして使用可能な倒伏位置(下限位置)まで回動した状態で(ステップ104参照)、例えば、図示されていないリミットスイッチが動作し、モータM11,M12が停止させられる。
次に、図示されていない電気回路の働きで、スロープ板用モータM2が逆転駆動されることにより、主プーリ18、ワイヤ19の働きで、第一スロープ板16及び第二スロープ板17がテールゲート12と重複する重複位置から倒伏方向に展開される(図4(C)参照)。そして、第一スロープ板16及び第二スロープ板17がテールゲート12の延長線上に配置された状態で、スロープ板用モータM2が停止する。この状態で、スロープ装置10は車椅子等のスロープとして使用できるようになる。
【0026】
次に、第一スロープ板16、第二スロープ板17を畳んでテールゲート12を起立させる場合には、切替えスイッチSWを起立側に操作する(ステップ201参照)。これによって、図示されていない電気回路の働きにより、スロープ板用モータM2が正転駆動され、主プーリ18、ワイヤ19の働きで、第一スロープ板16及び第二スロープ板17が倒伏位置からテールゲート12と重複する重複位置の方向に折り畳まれる。なお、スロープ板用モータM2が正転駆動されている間は、モータM11,M12の駆動は禁止される。
前述のように、切替えスイッチSWが起立側に操作されることで、図2に示すように、モータM11,M12が並列に接続される。
【0027】
スロープ板用モータM2が停止すると、各々のモータM11,M12には電源電圧にほぼ等しい電圧(約12V)が加わり、端子T1側から端子T2側に電流が流れて(矢印参照)、それらのモータM11,M12は正転駆動される(ステップ202参照)。
モータM11,M12が正転駆動されることにより、回動アーム14が上方に回動し、テールゲート12が回動アーム14、リンクアーム13に引っ張られて倒伏位置から起立方向に回動する。このとき、モータM11,M12の印加電圧は約12V(定格電圧)であるため、約6Vで駆動する場合と比較してモータM11,M12の機械的出力が増加する。このため、テールゲート12や第一スロープ板16等の重量が倒伏方向に加わっていても、テールゲート12の回動速度を適正速度に維持できるようになる。
【0028】
このようにして、テールゲート12及び第一スロープ板16、第二スロープ板17が下部開口5を閉鎖する起立位置(上限位置)まで回動した状態で(ステップ204参照)、例えば、図示されていないリミットスイッチが動作し、モータM11,M12が停止させられる。この状態で、スロープ装置10はバン型車両2の後部に格納される。
【0029】
このように、本実施形態に係る第一スロープ駆動機構によると、スロープ部材(テールゲート12)を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧が、スロープ部材を起立方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧よりも小さく設定されている。このため、スロープ部材の起立方向の回動速度が適正速度である場合に、そのスロープ部材の倒伏方向の回動速度が適性速度よりも速くなることがない。
【0030】
また、第一スロープ駆動機構は、モータM11,M12を二台備えており、スロープ部材(テールゲート12)を倒伏方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧は、電源電圧をモータの台数で除した値にほぼ等しくなる。また、前記スロープ部材を起立方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧は電源電圧にほぼ等しくなる。このように、モータM11,M12を並列あるいは直列に接続替えしてそれらのモータM11,M12の印加電圧を設定替えする方式のため、例えば、コンピュータ等を使用して電圧制御する場合と比較してコスト低減を図ることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、モータM11,M12を並列あるいは直列に接続替えして各々のモータM11,M12に印加される電圧を変化させる例を示したが、例えは、電源ラインとモータM11,M12との間に抵抗を挿入したり、あるいは前記抵抗を取り除くことにより、各々のモータM11,M12に印加される電圧を変化させることも可能である。
また、本実施形態ではテールゲート12、第一スロープ板16及び第二スロープ板17を備えるスロープ装置10を例に説明を行ったが、テールゲートのみを備えるスロープ装置に本発明を適用することも可能である。
【0032】
(実施形態2)
以下、図5〜図8に基づいて、本発明の実施形態2に係る車両のスロープ駆動機構の説明を行う。図5は本実施の形態に係るスロープ装置110を備えた車両の後部の概略を示す斜視図である。また、図6および図7はスロープ装置110を備えた車両の後部の詳細を示す側断面図であり、図6にはスロープ板111の格納状態が示され、図7にはスロープ板111の使用状態が示されている。図5に示すように、車体101の後部には開口102が形成されている。この開口102は、上部が上部ドア103により開閉可能とされ、下部が下部ドア104により開閉可能とされている。上部ドア103は開口102の上縁にドアヒンジ(図示省略)を介して上下方向に回動可能に取り付けられ、下部ドア104は開口102の下縁に左右のドアヒンジ105(図6および図7参照)を介して上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0033】
図6に示すように、上部ドア103は下部ドア104を閉じた状態で下方へ回動することにより閉じられる。そのとき、上部ドア103の下縁部前面が下部ドア104の上縁部後面に重なるように閉じられるとともに、ドア同士がドアロック107によってロックされる。上部ドア103の下方には図示省略のブラケットを介してリヤバンパー106が取り付けられており、ドア閉止状態では、リヤバンパー106が下部ドア104の後面に位置する。
下部ドア104の回動中心を構成するドアヒンジ105のヒンジピン105aは、車両フロアFの後端下部に設けられている。したがって、下部ドア104は上方へ回動したときは、図6に示すように、車両フロアFの後端上面の上方に起立して開口102の下部を閉止し、下方へ回動して(後方へ倒して)開口102の下部を開いたときには、図7に示すように、ドア内面(上面)が車両フロアF上面の高さよりも低い位置へ移動される。
【0034】
本実施の形態に係るスロープ装置110は、上下のドア103,104によって開閉される開口102の下部に備え付けられている。このスロープ装置110の詳細が図6、図7および図8に示されている。図8はスロープ装置110の斜視図であり、駆動装置120についてはその大部分が省略されている。スロープ装置110は、図6に示された車室内で起立する格納位置と、図7に示された開口102の下縁と路面G間に傾斜状に掛け渡される使用位置(倒伏位置)との間で回動される1枚のスロープ板111を有する。
【0035】
スロープ板111は下部ドア104が開口102を閉じる位置にあるとき、下部ドア104の前方、すなわち車両フロアFの後端部上方に起立状態で格納される。スロープ板111は、起立状態において左右の側板111aの基端部側(下端部側)が下部ドア104の前面下部側に左右のスロープヒンジ112を介して回動可能に取り付けられている。スロープヒンジ112は、下部ドア104の側板104aとスロープ板111の側板111aとに跨って取り付けられ、ヒンジピン112aが下部ドア104のやや前方に設定されている。このため、下部ドア104がドアヒンジ105のヒンジピン105aを回動中心にして開口102を閉じる位置から開く位置へ回動されると、下部ドア104に取り付けられたスロープ板111は格納位置から倒伏位置へ回動される。そして、倒伏位置へ回動されたとき、スロープ板111の基端部が車両フロアFの後端縁の後方へ移動するとともに、その上面が車両フロアFの上面と面一となるように構成されている。
【0036】
スロープ板111および下部ドア104の回動動作は、左右の駆動装置120によって行われる。左右の駆動装置120は、同様の構成を有するものであり、それぞれ車室内に設置される駆動源としての減速機付き電動モータ121と、駆動ギヤ122と、駆動アーム123と、連結アーム124とを備えている。電動モータ121(減速機)の出力軸には小径のピニオンギヤ125が取り付けられており、このピニオンギヤ125に駆動ギヤ122が噛み合っている。即ち、両駆動装置120の電動モータ121が実施形態1に係るモータM11,M12に相当し、図2、図3に示す電気回路と同じ電気回路によって駆動される。
【0037】
駆動ギヤ122は、図示のようにその外周の約190度の範囲にわたって歯が形成されている。したがって、駆動ギヤ122は約190度の範囲で回転する。この駆動ギヤ122には外周側に放射状に張り出す駆動アーム123が形成されており、その駆動アーム123の先端に連結アーム124の一端が支軸124aを介して回動可能に連結されている。連結アーム124は車両前後方向に延在されており、他端が下部ドア104の側板104aに支軸124bを介して回動可能に連結され、中間部が係合ピン124cと該係合ピン124cが移動可能な長孔111bとを介してスロープ板111に連結されている。なお、係合ピン124cは連結アーム124側に固着され、長孔111bはスロープ板111の左右の側板111aに形成されている。
【0038】
長孔111bは側板111aの長手方向に沿って延びており、スロープ板111が格納位置にある状態では連結アーム124の延在方向に対して所定の角度で交差している。これにより、下部ドア104が閉じ位置と開き位置との間で回動され、それに伴いスロープ板111が格納位置と使用位置との間で回動されるとき、長孔111b内を係合ピン124cが移動することによって、長孔111bと係合ピン124cの距離の変化が吸収され、また長孔111bの形状によって下部ドア104の回動角度とスロープ板111の回動角度に差が生じる。すなわち、下部ドア104とスロープ板111との位置関係を開放時と閉止時とで異なる位置とすることができるのであり、本実施の形態では、下部ドア104に対してスロープ板111が格納位置では離れ、倒伏位置では接近する構成としている。
【0039】
なお、上記駆動装置120のうち、電動モータ121、駆動ギヤ122および駆動アーム123は、車両の側部であって、インナパネルとアウタパネルとの間の空間部に収納されており、一方、連結アーム124が車室内に配置されている。このため、駆動アーム123と連結アーム124とを連結するための支軸124aは、インナパネルおよび内張りトリムに形成された開口部108を貫通して延びている。また、スロープ板111の回動中心を構成するスロープヒンジ112のヒンジピン112aは、下部ドア104を回動可能に支持するドアヒンジ105のヒンジピン105aと、スロープ板111に対する連結アーム124の連結部との中間位置に設定されている。
【0040】
本実施形態に係るスロープ装置110は上記のように構成されている。したがって、上部ドア103を上方へ回動して開口102の上部を開放した状態において、電動モータ121が逆転駆動されたときは、駆動ギヤ122の図示時計回り方向の回転による連結アーム124の車両後方への移動により、下部ドア104が閉じ位置から開き位置へ回動されるとともに、スロープ板111が格納位置から倒伏位置へ回動される。倒伏位置へ回動されたスロープ板111は、図7に示すように、開口102の下縁と路面Gとの間に傾斜状に掛け渡される。これにより、例えば車椅子に座った乗員が、路面Gからスロープ板111を経て車室内に乗りこむことができる。
【0041】
なお、図6では車両フロアFが水平であるのに対し、図7では車両フロアFが傾斜している。これは、本実施の形態に係るスロープ装置110を、車体後部側の車高を降下することが可能な機能を備えた車両に適用した場合として示したものである。車体後部の降下機能により車体後部の車高を降下して車両フロアFを傾斜したときは、車体後部の降下機能を有しない車両(車両フロアFが水平)に適用した比べてスロープ板111の路面Gに対する傾斜角、すなわちスロープ角θをより小さくすることができるため、乗降性がより向上する。
一方、電動モータ121が正転駆動されたときは、駆動ギヤ122の図示反時計回り方向の回転による連結アーム124の車両前方への移動により、下部ドア104が開き位置から閉じ位置へ回動されるとともに、スロープ板111が使用位置から車室内の格納位置へと回動される。
【0042】
本実施形態においても、スロープ部材(スロープ板111)を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、スロープ部材を倒伏方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧が、スロープ部材を起立方向に回動させる際のモータM11,M12の印加電圧よりも小さく設定されている。このため、スロープ部材の起立方向の回動速度が適正速度である場合に、そのスロープ部材の倒伏方向の回動速度が適性速度よりも速くなることがない。
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、スロープ部材の起立方向の回動速度が適正速度である場合に、そのスロープ部材の倒伏方向の回動速度が適性速度よりも速くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両のスロープ駆動機構の動作を表すフローチャートである。
【図2】スロープ駆動機構の電気回路図である。
【図3】スロープ駆動機構の電気回路図である。
【図4】車両のスロープ装置の全体斜視図(A図)、スロープ装置の動作を表す側面図(B図、C図、D図)である。
【図5】本発明の実施形態2に係る車両のスロープ装置を備えた車両の後部の概略を示す斜視図である。
【図6】スロープ装置を備えた車両の後部の詳細を示す側断面図であり、スロープ板の格納状態が示されている。
【図7】スロープ装置を備えた車両の後部の詳細を示す側断面図であり、スロープ板の使用状態が示されている。
【図8】スロープ装置の斜視図である。
【図9】従来のスロープ駆動機構の電気回路図である。
【符号の説明】
M11 テールゲート用モータ(電動機)
M12 テールゲート用モータ(電動機)
M2 スロープ板用モータ
5 下部開口(開口部)
12 テールゲート(スロープ部材)
16 第一スロープ板
17 第二スロープ板
111 スロープ板(スロープ部材)
121 減速機付き電動モータ(電動機)
Claims (2)
- 車両の開口部の下端縁に基端部が回動可能な状態で連結されているスロープ部材を起立した状態となる上限位置と、スロープとして使用可能なように倒伏した状態となる下限位置との間で回動させる車両のスロープ駆動機構であって、
駆動源として電動機を備えており、
前記スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の回動速度がそのスロープ部材を起立方向に回動させる際の回動速度より大きくならないように、前記スロープ部材を倒伏方向に回動させる際の前記電動機の印加電圧が、前記スロープ部材を起立方向に回動させる際の前記電動機の印加電圧よりも小さく設定されていることを特徴とする車両のスロープ駆動機構。 - 請求項1に記載の車両のスロープ駆動機構であって、
電動機を複数台備えており、
スロープ部材を倒伏方向に回動させる際には、それらの電動機が電気的に直列に接続された状態で電源に接続され、
前記スロープ部材を起立方向に回動させる際には、それらの電動機が電気的に並列に接続された状態で電源に接続される構成であることを特徴とする車両のスロープ駆動機構。
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2002
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