JP2004203146A - 車両のスロープ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドア開口部から側方へ張り出して、車いす等により乗降する場合の便宜を図るためのスロープ装置において、従来スロープ本体をドア開口部に沿って起立させた状態で格納する構成となっていたため、格納状態ではドア開口部を経て乗降することができなかた。本発明では、スロープ本体を格納した状態であっても、ドア開口部を経て乗降できるようにする。
【解決手段】ドア開口部Kの下端部に上下に回動可能に支持されたスロープ本体10,20を備え、上方へ回動してドア開口部Kを閉塞する開口部閉塞位置からドア開口部Kの面方向にスライドさせてドア開口部Kを開放する格納位置に格納する構成とする。これにより格納した状態であってもドア開口部が開放されるので、このドア開口部を経て乗降することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】ドア開口部Kの下端部に上下に回動可能に支持されたスロープ本体10,20を備え、上方へ回動してドア開口部Kを閉塞する開口部閉塞位置からドア開口部Kの面方向にスライドさせてドア開口部Kを開放する格納位置に格納する構成とする。これにより格納した状態であってもドア開口部が開放されるので、このドア開口部を経て乗降することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車いすに着座したまま車両への乗降を行う際に便利なスロープ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ワンボックスカーのサイドドアを経て車いすに着座したまま乗降する際の便宜を図るために、従来よりドア開口部にスロープ装置を備えた車両が提供されている。
一般的にこの種のスロープ装置は、車いすを搭載可能な面積を有する一つのスロープ本体を備え、このスロープ本体をドア開口部の下部に電動モータを駆動源として上下に回動可能に支持した構成となっていた。
このスロープ装置によれば、スロープ本体を下方へ回動してその先端側を路面に接地させた状態(使用位置)とすることにより車室内と車室外との間における車いすの移動を楽に行うことができ、これにより着座者(車いす利用者)の車両への乗降の便宜を図ることができる。
一方、当該スロープ装置を使用しない場合には、スロープ本体を上方へ回動してドア開口部にほぼ沿った位置に格納しておくことによりドアを閉止することができた。
【0003】
【特許文献1】
実公平6−41881号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のスロープ装置は、スロープ本体をドア開口部に沿った位置に格納する構成となっていたので、格納状態ではスロープ本体がドア開口部を塞ぐように起立する状態となり、その結果当該ドア開口部を経て車両への乗降を行うためには必ずスロープ本体を使用位置に取り出す必要があり、車いすを利用しない乗員にとってはかえって不便であった。
本発明は、この問題に鑑みなされたもので、スロープ本体を格納した状態であっても開口部を経て車両への乗降を行うことができるスロープ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は前記各請求項に記載した構成のスロープ装置とした。
請求項1記載のスロープ装置によれば、スロープ本体は、その先端部を路面に接地させた使用位置から上方へ回動して、車室内で開口部に対面した状態で起立する中間位置に移動した後、開口部の下端部に沿ってスライドして当該開口部を開放する格納位置に格納される。このことから、スロープ本体を格納した状態では開口部は開放されている。このため、スロープ本体を格納して当該スロープ装置を使用しない場合であっても、乗員は当該開口部を経て車両への乗降を行うことができる。
請求項2および3記載のスロープ装置によれば、上記作用効果に加えてスロープ本体の格納スペースが開口部の左側と右側に分散されるので格納スペースを確保しやすくなる。
また、当該スロープ装置を車いす乗降用として設置する場合には、スロープ本体を構成する左右二つのスロープ板の幅を当該車いすの車輪が通過するために必要かつ充分な幅に設定することができ、これにより左右のスロープ板の幅を大幅に小さくすることができ、この点でさらにその格納スペースを小さくすることができる。また、幅の小さなスロープ板とすることにより、車いす全体を搭載可能な面積を有する大型のスロープ本体を上下動させる従来構成に比してその駆動機構(駆動モータ等)を小型化することができる。
請求項3記載のスロープ装置によれば、スライドレールを開口部の下端部に平行な軸回りに回転させることにより左右のスロープ板が上下に回動されて使用位置に取り出され、また中間位置に移動される。中間位置に移動した左右のスロープ板は、スライド機構により格納位置に格納される。左右スロープ板の上下動作すなわちスライドレールの回転動作および/または左右スロープ板のスライド動作すなわちスライド機構の動作は、手動式若しくは電動式または油空圧式とすることができる。電動式とする場合は、スライドレールの回転動作を電動モータを駆動源として行い、スライド機構を電動式とする場合は、電動モータを駆動源として回転するねじ軸およびこれに噛み合うナットから構成されるねじ軸機構を用いることができる。スライドレールには、いわゆるスプライン軸を用いることができる。
【0006】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は、本実施形態のスロープ装置1を備えた車両Mのドア開口部Kおよびその周辺を示している。このドア開口部Kは、車両側部に設けたスライドドアDを車両前側へスライドさせることにより閉止され、車両後ろ側へスライドさせることにより開放される。図1は、スライドドアDを後ろ側へスライドしてドア開口部Kを開放した状態を示している。本実施形態のスロープ装置1は、ドア開口部Kに設けられている。
本実施形態のスロープ装置1の詳細が図2に示されている。このスロープ装置1は、左右二つのスロープ板(以下、左スロープ板10、右スロープ板20ともいう)を備えている。なお、ここでいう左右とは、ドア開口部Kに向かった状態での左右をいう。両スロープ板10,20は、図6に示すように車いす50の車輪51〜51を通過させるために必要かつ十分な幅と、ドア開口部Kの下端部から路面までの間に掛け渡し可能な長さを有する平板形状を有している。また、両スロープ板10,20の表面側(使用時に上面となる側、図2では裏面側が見えている)の幅方向両側部には、車いす50の車輪51の脱輪を防止するための壁部10a,20aが一定の高さで長手方向全長にわたって形成されている。この二つのスロープ板10,20が、特許請求の範囲に記載したスロープ本体の一実施形態に相当する。
両スロープ板10,20は、車室内でドア開口部Kと対面した状態で起立した中間位置(図2および図7において実線で示す位置)と、ドア開口部Kの下端部から車両室外へ向けて斜め下方に張り出してその先端部を路面に接地させた使用位置(図6および図7において二点鎖線で示す位置)との間で上下に回動可能に設けられている。また、両スロープ板10,20は、上記中間位置からドア開口部Kの下端部に沿ってスライド可能に設けられており、左スロープ板10はドア開口部Kの左側、右スロープ板20はドア開口部Kの右側に格納されるようになっている。
【0007】
図2〜図4には、両スロープ板10,20の支持構造および駆動機構が示されている。図2に示すように、ドア開口部Kの下端部には1本のスライドレール30が車両前後方向に沿って配置されている。このスライドレール30の左端側はドア開口部Kの左側部よりもさらに車両前方(図2において左方)へ延びている。また、スライドレール30の右端側はドア開口部Kの右側部よりもさらに車両後方(図2において右方)へ延びている。スライドレール30の両端部は、それぞれブラケット31,32により車両フロアF上に回転可能に支持されている。スライドレール30は、その軸回りに回転可能に支持されている。
このスライドレール30は、いわゆるスプライン軸であって、両スロープ板10,20は、このスライドレール30に対してその軸方向にスライド可能に支持されている一方、回転については一体化された状態で支持されている。すなわち、図4に示すように左スロープ板10の裏面側下部には支持台部10bが設けられており、この支持台部10bには二つのスプライン軸受け11,11が相互に同軸に取り付けられている。この両スプライン軸受け11,11を介して当該左スロープ板10がスライドレール30に支持されている。このスライドレール30と両スプライン軸受け11,11により構成されるスプライン機構により、左スロープ板10は、スライドレール30に対してその軸方向にスライド可能かつその軸回りに回転不能に支持されている。
右スロープ板20の裏面側下部に支持台部20bが設けられており、この支持台部20bに二つのスプライン軸受け21,21が相互に同軸に取り付けられている。この両スプライン軸受け21,21を介して右スロープ板20がスライドレール30に支持されている。このスライドレール30と両スプライン軸受け21,21により右スロープ板20がスライドレール30に対してその軸方向にスライド可能かつその軸回りに回転不能に支持されている。
なお、両スロープ板10,20は、相互に面一となる位置でスライドレール30に回転不能に支持されている。
【0008】
スライドレール30がその軸回りに回転することにより、両スロープ板10,20が車室内においてその裏面全体をドア開口部Kに対面させる中間位置と車室外の使用位置との間で回動される。スライドレール30は、上下動モータ33により回転する。スライドレール30の左端部には、上下動ギヤ34が取り付けられている。この上下動ギヤ34は、上下動モータ33の出力軸に取り付けた駆動ギヤ35に噛み合わされている。上下動モータ33が起動すると、駆動ギヤ35と上下動ギヤ34の噛み合いを経てスライドレール30がその軸回りに回転し、これにより両スロープ板10,20が上下に回動する。
上下動モータ33は、制御装置Cによりその起動、停止、回転方向および回転速度について制御される。上下動モータ33の回転方向および回転速度が制御装置Cにより制御されることにより、両スロープ板10,20の中間位置から使用位置に向けた下方への回動動作、逆に使用位置から中間位置に向けた上方への回動動作、および中間位置と使用位置での位置決めが適切になされる。スライドレール30および上下動モータ33等が、両スロープ板10,20を中間位置と使用位置との間で上下動させる上下動機構Jを構成している。
【0009】
次に、本例のスロープ装置1は、両スロープ板10,20をドア開口部Kと対面する中間位置に位置させた状態において、左スロープ板10をドア開口部Kの左側(車両前方)へスライドして格納位置に移動する左スライド機構SLと、右スロープ板20をドア開口部Kの右側(車両後方)へスライドして格納位置に移動する右スライド機構SRを備えている。両スロープ板10,20が格納されると、ドア開口部Kは乗員が楽に通過できる状態に開放される。なお、格納位置に移動した両スロープ板10,20は、車室内において車両側壁の内面側に対面した状態で格納される。
図3に示すようにスライドレール30の左端部側には、ベース40が取り付けられている。このベース40は、ブラケット41を介してスライドレール30を挟み込んだ状態に固定されている。このため、ベース40はスライドレール30と一体で回転し、かつその軸方向へも移動しないように固定されている。このベース40には、左ねじ軸42の一端側が軸受け43を介して回転可能に支持されている。この左ねじ軸42の一端には、左スライドギヤ44が取り付けられている。この左スライドギヤ44には、左スライドモータ45の出力軸に取り付けた駆動ギヤ46に噛み合わされている。このため、左スライドモータ45が起動すると、駆動ギヤ46と左スライドギヤ44との噛み合いを経て左ねじ軸42がその軸回りに回転する。左スライドモータ45の起動、停止、回転方向および回転速度は前記制御装置Cにより制御される。
【0010】
図4に示すように、左ねじ軸42の他端側は、左スロープ板10の支持台部10bに取り付けたナット12に噛み合わされている。左スライドモータ45が起動して左ねじ軸42が回転すると、この左ねじ軸42とナット12との噛み合い作用により左スロープ板10が左右方向(車両前後方向)にスライドする。左スライドモータ45が取り出し側に起動すると、左ねじ軸42が正転して左スロープ板10が図2中二点鎖線で示した格納位置から車両後方へスライドして図2中実線で示した中間位置に取り出される。逆に、左スライドモータ45が格納側に起動すると、左ねじ軸42が逆転して左スロープ板10が中間位置から車両前方へスライドして格納位置に移動される。上記左ねじ軸42および左スライドモータ45等が左スライド機構SLを構成している。
スライドレール30の右端側(車両の後方側)には、右スライド機構SRが設けられている。この右スライド機構SRにより、右スロープ板20が中間位置と格納位置との間でスライドする。この右スライド機構SRは、上記左スライド機構SLと左右対称に構成されており、同じ構成部材を有している。すなわち、スライドレール30の右端部には右ベース48が固定されている。この右ベース48にはねじ軸50の右端部側が回転可能に支持されている。右ベース48に取り付けた右スライドモータ47が起動すると、駆動ギヤ49と右スライドギヤ51との噛み合いを経て右ねじ軸50がその軸回りに回転する。右ねじ軸50の他端側は、右スロープ板20の支持台部20bに取り付けたナット52(図5参照)に噛み合わされている。このため、右ねじ軸50が回転すると、ナット52との噛み合い作用により右スロープ板20が中間位置と格納位置との間でスライドする。右スライドモータ47の起動、停止、回転方向および回転速度が前記制御装置Cにより適切に制御される。
左スライドモータ45と右スライドモータ47は同期して動作するよう制御装置Cにより制御される。すなわち、両スライドモータ45,47は、同時に起動、停止し、かつ相互に反対方向へ同じ回転速度で回転する。従って、両スロープ板10,20は、左右スライド機構SL,SRによるスライド方向が異なる他は、同時に相互に離間する方向にスライドして格納され、かつ同時に相互に接近する方向にスライドして中間位置に取り出される。
【0011】
図8に示すようにドア開口部Kの後部付近には、当該スロープ装置1を操作するためのリモコンRが備え付けられている。このリモコンRは、二つのスイッチS1,S2を備えている。図示上側がスライド機構S1,S2用のスイッチ(スライドスイッチS1)であり、図示下側が上下動機構J用のスイッチ(上下動スイッチS2)となっている。
スライドスイッチS1のノブS1aを上側の「格納」側に操作すると、左右のスライド機構SL,SRのスライドモータ45,47が相互に反対方向に同じ回転速度で起動し、これにより両スロープ板10,20が中間位置から同時に格納位置までスライドする。両スロープ板10,20が中間位置に至ると、これが図示省略したセンサにより検知され、その検知信号が制御装置Cに入力され、これに基づいて出力される信号により両スライドモータ45,47が停止する。ノブS1aの操作を解除すると、ノブS1aは自動的に中央の「切」位置に復帰する。
ノブS1aを下側の「取り出し」側に操作すると、左右のスライド機構SL,SRのスライドモータ45,47が上記とは逆方向に相互に同じ回転速度で起動し、これにより両スロープ板10,20が格納位置から中間位置までスライドする。両スロープ板10,20が中間位置までスライドすると、これが図示省略したセンサにより検知され、その検知信号が制御装置Cに入力され、これに基づいて出力される信号により両スライドモータ45,47が停止する。
両スロープ板10,20は、中間位置に移動すると、その裏面全体がドア開口部Kと対面した状態となり、従ってドア開口部Kをほぼ閉塞した状態となる。この状態では、ドア開口部Kに充分な隙間がないため、乗員が通過することができず、従って当該ドア開口部Kを乗降用開口部として利用できない状態となっている。
【0012】
両スロープ板10,20が中間位置に位置する状態において、リモコンRの上下動スイッチS2のノブS2aを下側の「下降」側に操作すると、上下動モータ33が起動してスライドレール30がその軸回りに回転し、これにより両スロープ板10,20が下方へ回動する。両スロープ板10,20が下方へ回動してその先端部が路面Lに接地した状態となると、両スロープ10,20が使用位置に取り出された状態となる。この状態が、図6において実線で、また図7において二点鎖線で示されている。こうして両スロープ板10,20が使用位置に取り出されて、下方へ回動不能となった時点で、上下動モータ33に付加される過負荷が検知され、これに基づいて上下動モータ33が即時に停止される。
両スロープ板10,20が使用位置に取り出された状態において、リモコンRの上下動スイッチS2のノブS2aを上側の「上昇」側に操作すると、上下動モータ33が逆転側に起動してスライドレール30がその軸回りに上記とは逆方向に回転し、これにより両スロープ板10,20が上方へ回動し始める。両スロープ板10,20が上方へ回動して、前記中間位置に至ると、これが図示省略したセンサにより検知され、これにより出力される検知信号が制御装置Cに入力され、制御装置Cから出力される停止信号により上下動モータ33が停止される。然る後、前記したようにスライドスイッチS1のノブS1aを「格納」側に操作することにより両スロープ板10,20を格納することができる。両スロープ板10,20を格納すると、ドア開口部Kには乗員が通過するに充分な隙間が発生し、従って当該スロープ装置1を使用しない場合であっても、このドア開口部Kを経て乗員が乗降することができる。
【0013】
以上のように構成した本実施形態のスロープ装置1によれば、二つのスロープ板10,20(スロープ本体)が格納された状態では、左スロープ板10がドア開口部Kの左側(車両前側)に位置し、右スロープ板20がドア開口部Kの右側(車両後ろ側)に位置していることから、両スロープ板10,20間には乗員が通過するに十分な隙間(スペース)が発生する。このことから、当該スロープ装置1を使用しない場合であっても、乗員はドア開口部Kを経て車両への乗降を行うことができるようになる。
従来は、スロープ装置を使用しない場合には、スロープ本体がドア開口部Kと対面した状態で起立した位置(中間位置)に格納されていたので、このドア開口部Kに乗員が通過するために必要な隙間が確保されず、その結果このドア開口部Kを利用するにはいちいちスロープ装置を使用位置に取り出す手間を掛けなければならず、この点で使い勝手がよくなかった。この点、例示したスロープ装置1によれば、二つのスロープ板10,20がそれぞれドア開口部Kを開放する方向にスライドして格納されるので、この格納状態のままであってもドア開口部Kを経て乗降することができ、この点で当該スロープ装置1の使い勝手がよくなる。
【0014】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、スロープ本体が二つのスロープ板10,20から構成される形態を例示したが、例えば図9に示すように一つのスロープ板60をスロープ本体としてもよい。この場合であっても、格納スペースを充分に確保することにより、格納状態においてドア開口部Kに乗員が通過するのに充分なスペースを確保することができ、従って、前記例示したスロープ装置1と同等の作用効果を得ることができる。また、スロープ本体を一つのスロープ板60により構成する場合には、スライドモータは一つで足りるのでスライド機構を簡略化することができる。さらに、この場合には、図9に示すようにスロープ板60の格納位置をドア開口部Kの前側とする他、ドア開口部Kの後ろ側に格納する構成としてもよい。
また、スロープ本体(スロープ板10,20)を上下動モータ33を駆動源として上下動させ、左右スライドモータ45,47を駆動源としてスライドさせる構成(電動式スロープ装置)を例示したが、これらの駆動源としては電動モータに限らず例えば油空圧モータを用いることもでき、またモータに限らずシリンダを用いることもできる。
また、スロープ本体の上下動およびスライド動作をすべて手動により行う構成としてもよい。この手動式スロープ装置の場合には、二つのスロープ板10,20を、軸回りに回転可能に支持したスライドレール30にスライド可能に支持する構成とすれば足りるので、左右のスライド機構SL,SRをすべて省略し、かつ上下動モータ33を省略することができ、これにより大幅にコスト低減を図ることができる。
【0015】
また、スロープ板10,20(スロープ本体)の上下動のみを電動式とし、スライド動作を手動式とする構成、あるいは逆に上下動を手動式とし、スライド動作を電動式とする構成としてもよい。
また、例示した実施形態では、スロープ板10,20の上下動とスライド動作を独立した操作により行う構成を例示したが、一つの操作によりスロープ本体が格納位置から中間位置を経て使用位置まで連続して移動し、また一つの操作により使用位置から中間位置を経て格納位置まで連続して移動する構成としてもよい。
また、図示は省略したが、スロープ本体(スロープ板10,20,60)を長手方向に伸縮式、あるいは折り畳み式とすることによりその格納状態をさらにコンパクトにすることができ、これにより格納スペースを確保しやすくなる。
さらに、車両Mの側部のドア開口部Kに設置したスロープ装置1を例示したが、本願発明に係るスロープ装置は、車両の後部のドア開口部あるいはドアを備えない常時開放形の開口部に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るスロープ装置を備えた車両の側面図である。
【図2】本実施形態のスロープ装置およびドア開口部の正面図である。
【図3】上下動機構およびスライド機構の正面図である。
【図4】左スロープ板の裏面下部を示す図であって、支持台部を正面から見た縦断面図である。
【図5】図4の(5)-(5)線矢視図であって、左スロープ板の下部左側面図である。
【図6】スロープ板の使用位置、中間位置および格納位置を示す図であって、ドア開口部を正面から見た図である。
【図7】スロープ板の中間位置と使用位置を車両前側から見た図である。本図では、中間位置のスロープ板が実線で示され、使用位置のスロープ板が二点鎖線で示されている。
【図8】リモコンを示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図であり、スロープ装置およびドア開口部の正面図である。
【符号の説明】
M…車両
K…ドア開口部
1…スロープ装置
10…左スロープ板(スロープ本体)
20…右スロープ板(スロープ本体)
30…スライドレール
33…上下動モータ
42…左ねじ軸
45…左スライドモータ
47…右スライドモータ
60…スロープ板(スロープ本体)
C…制御装置
J…上下動機構
SL…左スライド機構
SR…右スライド機構
R…リモコン
L…路面
【発明の属する技術分野】
この発明は、車いすに着座したまま車両への乗降を行う際に便利なスロープ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ワンボックスカーのサイドドアを経て車いすに着座したまま乗降する際の便宜を図るために、従来よりドア開口部にスロープ装置を備えた車両が提供されている。
一般的にこの種のスロープ装置は、車いすを搭載可能な面積を有する一つのスロープ本体を備え、このスロープ本体をドア開口部の下部に電動モータを駆動源として上下に回動可能に支持した構成となっていた。
このスロープ装置によれば、スロープ本体を下方へ回動してその先端側を路面に接地させた状態(使用位置)とすることにより車室内と車室外との間における車いすの移動を楽に行うことができ、これにより着座者(車いす利用者)の車両への乗降の便宜を図ることができる。
一方、当該スロープ装置を使用しない場合には、スロープ本体を上方へ回動してドア開口部にほぼ沿った位置に格納しておくことによりドアを閉止することができた。
【0003】
【特許文献1】
実公平6−41881号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のスロープ装置は、スロープ本体をドア開口部に沿った位置に格納する構成となっていたので、格納状態ではスロープ本体がドア開口部を塞ぐように起立する状態となり、その結果当該ドア開口部を経て車両への乗降を行うためには必ずスロープ本体を使用位置に取り出す必要があり、車いすを利用しない乗員にとってはかえって不便であった。
本発明は、この問題に鑑みなされたもので、スロープ本体を格納した状態であっても開口部を経て車両への乗降を行うことができるスロープ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は前記各請求項に記載した構成のスロープ装置とした。
請求項1記載のスロープ装置によれば、スロープ本体は、その先端部を路面に接地させた使用位置から上方へ回動して、車室内で開口部に対面した状態で起立する中間位置に移動した後、開口部の下端部に沿ってスライドして当該開口部を開放する格納位置に格納される。このことから、スロープ本体を格納した状態では開口部は開放されている。このため、スロープ本体を格納して当該スロープ装置を使用しない場合であっても、乗員は当該開口部を経て車両への乗降を行うことができる。
請求項2および3記載のスロープ装置によれば、上記作用効果に加えてスロープ本体の格納スペースが開口部の左側と右側に分散されるので格納スペースを確保しやすくなる。
また、当該スロープ装置を車いす乗降用として設置する場合には、スロープ本体を構成する左右二つのスロープ板の幅を当該車いすの車輪が通過するために必要かつ充分な幅に設定することができ、これにより左右のスロープ板の幅を大幅に小さくすることができ、この点でさらにその格納スペースを小さくすることができる。また、幅の小さなスロープ板とすることにより、車いす全体を搭載可能な面積を有する大型のスロープ本体を上下動させる従来構成に比してその駆動機構(駆動モータ等)を小型化することができる。
請求項3記載のスロープ装置によれば、スライドレールを開口部の下端部に平行な軸回りに回転させることにより左右のスロープ板が上下に回動されて使用位置に取り出され、また中間位置に移動される。中間位置に移動した左右のスロープ板は、スライド機構により格納位置に格納される。左右スロープ板の上下動作すなわちスライドレールの回転動作および/または左右スロープ板のスライド動作すなわちスライド機構の動作は、手動式若しくは電動式または油空圧式とすることができる。電動式とする場合は、スライドレールの回転動作を電動モータを駆動源として行い、スライド機構を電動式とする場合は、電動モータを駆動源として回転するねじ軸およびこれに噛み合うナットから構成されるねじ軸機構を用いることができる。スライドレールには、いわゆるスプライン軸を用いることができる。
【0006】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は、本実施形態のスロープ装置1を備えた車両Mのドア開口部Kおよびその周辺を示している。このドア開口部Kは、車両側部に設けたスライドドアDを車両前側へスライドさせることにより閉止され、車両後ろ側へスライドさせることにより開放される。図1は、スライドドアDを後ろ側へスライドしてドア開口部Kを開放した状態を示している。本実施形態のスロープ装置1は、ドア開口部Kに設けられている。
本実施形態のスロープ装置1の詳細が図2に示されている。このスロープ装置1は、左右二つのスロープ板(以下、左スロープ板10、右スロープ板20ともいう)を備えている。なお、ここでいう左右とは、ドア開口部Kに向かった状態での左右をいう。両スロープ板10,20は、図6に示すように車いす50の車輪51〜51を通過させるために必要かつ十分な幅と、ドア開口部Kの下端部から路面までの間に掛け渡し可能な長さを有する平板形状を有している。また、両スロープ板10,20の表面側(使用時に上面となる側、図2では裏面側が見えている)の幅方向両側部には、車いす50の車輪51の脱輪を防止するための壁部10a,20aが一定の高さで長手方向全長にわたって形成されている。この二つのスロープ板10,20が、特許請求の範囲に記載したスロープ本体の一実施形態に相当する。
両スロープ板10,20は、車室内でドア開口部Kと対面した状態で起立した中間位置(図2および図7において実線で示す位置)と、ドア開口部Kの下端部から車両室外へ向けて斜め下方に張り出してその先端部を路面に接地させた使用位置(図6および図7において二点鎖線で示す位置)との間で上下に回動可能に設けられている。また、両スロープ板10,20は、上記中間位置からドア開口部Kの下端部に沿ってスライド可能に設けられており、左スロープ板10はドア開口部Kの左側、右スロープ板20はドア開口部Kの右側に格納されるようになっている。
【0007】
図2〜図4には、両スロープ板10,20の支持構造および駆動機構が示されている。図2に示すように、ドア開口部Kの下端部には1本のスライドレール30が車両前後方向に沿って配置されている。このスライドレール30の左端側はドア開口部Kの左側部よりもさらに車両前方(図2において左方)へ延びている。また、スライドレール30の右端側はドア開口部Kの右側部よりもさらに車両後方(図2において右方)へ延びている。スライドレール30の両端部は、それぞれブラケット31,32により車両フロアF上に回転可能に支持されている。スライドレール30は、その軸回りに回転可能に支持されている。
このスライドレール30は、いわゆるスプライン軸であって、両スロープ板10,20は、このスライドレール30に対してその軸方向にスライド可能に支持されている一方、回転については一体化された状態で支持されている。すなわち、図4に示すように左スロープ板10の裏面側下部には支持台部10bが設けられており、この支持台部10bには二つのスプライン軸受け11,11が相互に同軸に取り付けられている。この両スプライン軸受け11,11を介して当該左スロープ板10がスライドレール30に支持されている。このスライドレール30と両スプライン軸受け11,11により構成されるスプライン機構により、左スロープ板10は、スライドレール30に対してその軸方向にスライド可能かつその軸回りに回転不能に支持されている。
右スロープ板20の裏面側下部に支持台部20bが設けられており、この支持台部20bに二つのスプライン軸受け21,21が相互に同軸に取り付けられている。この両スプライン軸受け21,21を介して右スロープ板20がスライドレール30に支持されている。このスライドレール30と両スプライン軸受け21,21により右スロープ板20がスライドレール30に対してその軸方向にスライド可能かつその軸回りに回転不能に支持されている。
なお、両スロープ板10,20は、相互に面一となる位置でスライドレール30に回転不能に支持されている。
【0008】
スライドレール30がその軸回りに回転することにより、両スロープ板10,20が車室内においてその裏面全体をドア開口部Kに対面させる中間位置と車室外の使用位置との間で回動される。スライドレール30は、上下動モータ33により回転する。スライドレール30の左端部には、上下動ギヤ34が取り付けられている。この上下動ギヤ34は、上下動モータ33の出力軸に取り付けた駆動ギヤ35に噛み合わされている。上下動モータ33が起動すると、駆動ギヤ35と上下動ギヤ34の噛み合いを経てスライドレール30がその軸回りに回転し、これにより両スロープ板10,20が上下に回動する。
上下動モータ33は、制御装置Cによりその起動、停止、回転方向および回転速度について制御される。上下動モータ33の回転方向および回転速度が制御装置Cにより制御されることにより、両スロープ板10,20の中間位置から使用位置に向けた下方への回動動作、逆に使用位置から中間位置に向けた上方への回動動作、および中間位置と使用位置での位置決めが適切になされる。スライドレール30および上下動モータ33等が、両スロープ板10,20を中間位置と使用位置との間で上下動させる上下動機構Jを構成している。
【0009】
次に、本例のスロープ装置1は、両スロープ板10,20をドア開口部Kと対面する中間位置に位置させた状態において、左スロープ板10をドア開口部Kの左側(車両前方)へスライドして格納位置に移動する左スライド機構SLと、右スロープ板20をドア開口部Kの右側(車両後方)へスライドして格納位置に移動する右スライド機構SRを備えている。両スロープ板10,20が格納されると、ドア開口部Kは乗員が楽に通過できる状態に開放される。なお、格納位置に移動した両スロープ板10,20は、車室内において車両側壁の内面側に対面した状態で格納される。
図3に示すようにスライドレール30の左端部側には、ベース40が取り付けられている。このベース40は、ブラケット41を介してスライドレール30を挟み込んだ状態に固定されている。このため、ベース40はスライドレール30と一体で回転し、かつその軸方向へも移動しないように固定されている。このベース40には、左ねじ軸42の一端側が軸受け43を介して回転可能に支持されている。この左ねじ軸42の一端には、左スライドギヤ44が取り付けられている。この左スライドギヤ44には、左スライドモータ45の出力軸に取り付けた駆動ギヤ46に噛み合わされている。このため、左スライドモータ45が起動すると、駆動ギヤ46と左スライドギヤ44との噛み合いを経て左ねじ軸42がその軸回りに回転する。左スライドモータ45の起動、停止、回転方向および回転速度は前記制御装置Cにより制御される。
【0010】
図4に示すように、左ねじ軸42の他端側は、左スロープ板10の支持台部10bに取り付けたナット12に噛み合わされている。左スライドモータ45が起動して左ねじ軸42が回転すると、この左ねじ軸42とナット12との噛み合い作用により左スロープ板10が左右方向(車両前後方向)にスライドする。左スライドモータ45が取り出し側に起動すると、左ねじ軸42が正転して左スロープ板10が図2中二点鎖線で示した格納位置から車両後方へスライドして図2中実線で示した中間位置に取り出される。逆に、左スライドモータ45が格納側に起動すると、左ねじ軸42が逆転して左スロープ板10が中間位置から車両前方へスライドして格納位置に移動される。上記左ねじ軸42および左スライドモータ45等が左スライド機構SLを構成している。
スライドレール30の右端側(車両の後方側)には、右スライド機構SRが設けられている。この右スライド機構SRにより、右スロープ板20が中間位置と格納位置との間でスライドする。この右スライド機構SRは、上記左スライド機構SLと左右対称に構成されており、同じ構成部材を有している。すなわち、スライドレール30の右端部には右ベース48が固定されている。この右ベース48にはねじ軸50の右端部側が回転可能に支持されている。右ベース48に取り付けた右スライドモータ47が起動すると、駆動ギヤ49と右スライドギヤ51との噛み合いを経て右ねじ軸50がその軸回りに回転する。右ねじ軸50の他端側は、右スロープ板20の支持台部20bに取り付けたナット52(図5参照)に噛み合わされている。このため、右ねじ軸50が回転すると、ナット52との噛み合い作用により右スロープ板20が中間位置と格納位置との間でスライドする。右スライドモータ47の起動、停止、回転方向および回転速度が前記制御装置Cにより適切に制御される。
左スライドモータ45と右スライドモータ47は同期して動作するよう制御装置Cにより制御される。すなわち、両スライドモータ45,47は、同時に起動、停止し、かつ相互に反対方向へ同じ回転速度で回転する。従って、両スロープ板10,20は、左右スライド機構SL,SRによるスライド方向が異なる他は、同時に相互に離間する方向にスライドして格納され、かつ同時に相互に接近する方向にスライドして中間位置に取り出される。
【0011】
図8に示すようにドア開口部Kの後部付近には、当該スロープ装置1を操作するためのリモコンRが備え付けられている。このリモコンRは、二つのスイッチS1,S2を備えている。図示上側がスライド機構S1,S2用のスイッチ(スライドスイッチS1)であり、図示下側が上下動機構J用のスイッチ(上下動スイッチS2)となっている。
スライドスイッチS1のノブS1aを上側の「格納」側に操作すると、左右のスライド機構SL,SRのスライドモータ45,47が相互に反対方向に同じ回転速度で起動し、これにより両スロープ板10,20が中間位置から同時に格納位置までスライドする。両スロープ板10,20が中間位置に至ると、これが図示省略したセンサにより検知され、その検知信号が制御装置Cに入力され、これに基づいて出力される信号により両スライドモータ45,47が停止する。ノブS1aの操作を解除すると、ノブS1aは自動的に中央の「切」位置に復帰する。
ノブS1aを下側の「取り出し」側に操作すると、左右のスライド機構SL,SRのスライドモータ45,47が上記とは逆方向に相互に同じ回転速度で起動し、これにより両スロープ板10,20が格納位置から中間位置までスライドする。両スロープ板10,20が中間位置までスライドすると、これが図示省略したセンサにより検知され、その検知信号が制御装置Cに入力され、これに基づいて出力される信号により両スライドモータ45,47が停止する。
両スロープ板10,20は、中間位置に移動すると、その裏面全体がドア開口部Kと対面した状態となり、従ってドア開口部Kをほぼ閉塞した状態となる。この状態では、ドア開口部Kに充分な隙間がないため、乗員が通過することができず、従って当該ドア開口部Kを乗降用開口部として利用できない状態となっている。
【0012】
両スロープ板10,20が中間位置に位置する状態において、リモコンRの上下動スイッチS2のノブS2aを下側の「下降」側に操作すると、上下動モータ33が起動してスライドレール30がその軸回りに回転し、これにより両スロープ板10,20が下方へ回動する。両スロープ板10,20が下方へ回動してその先端部が路面Lに接地した状態となると、両スロープ10,20が使用位置に取り出された状態となる。この状態が、図6において実線で、また図7において二点鎖線で示されている。こうして両スロープ板10,20が使用位置に取り出されて、下方へ回動不能となった時点で、上下動モータ33に付加される過負荷が検知され、これに基づいて上下動モータ33が即時に停止される。
両スロープ板10,20が使用位置に取り出された状態において、リモコンRの上下動スイッチS2のノブS2aを上側の「上昇」側に操作すると、上下動モータ33が逆転側に起動してスライドレール30がその軸回りに上記とは逆方向に回転し、これにより両スロープ板10,20が上方へ回動し始める。両スロープ板10,20が上方へ回動して、前記中間位置に至ると、これが図示省略したセンサにより検知され、これにより出力される検知信号が制御装置Cに入力され、制御装置Cから出力される停止信号により上下動モータ33が停止される。然る後、前記したようにスライドスイッチS1のノブS1aを「格納」側に操作することにより両スロープ板10,20を格納することができる。両スロープ板10,20を格納すると、ドア開口部Kには乗員が通過するに充分な隙間が発生し、従って当該スロープ装置1を使用しない場合であっても、このドア開口部Kを経て乗員が乗降することができる。
【0013】
以上のように構成した本実施形態のスロープ装置1によれば、二つのスロープ板10,20(スロープ本体)が格納された状態では、左スロープ板10がドア開口部Kの左側(車両前側)に位置し、右スロープ板20がドア開口部Kの右側(車両後ろ側)に位置していることから、両スロープ板10,20間には乗員が通過するに十分な隙間(スペース)が発生する。このことから、当該スロープ装置1を使用しない場合であっても、乗員はドア開口部Kを経て車両への乗降を行うことができるようになる。
従来は、スロープ装置を使用しない場合には、スロープ本体がドア開口部Kと対面した状態で起立した位置(中間位置)に格納されていたので、このドア開口部Kに乗員が通過するために必要な隙間が確保されず、その結果このドア開口部Kを利用するにはいちいちスロープ装置を使用位置に取り出す手間を掛けなければならず、この点で使い勝手がよくなかった。この点、例示したスロープ装置1によれば、二つのスロープ板10,20がそれぞれドア開口部Kを開放する方向にスライドして格納されるので、この格納状態のままであってもドア開口部Kを経て乗降することができ、この点で当該スロープ装置1の使い勝手がよくなる。
【0014】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、スロープ本体が二つのスロープ板10,20から構成される形態を例示したが、例えば図9に示すように一つのスロープ板60をスロープ本体としてもよい。この場合であっても、格納スペースを充分に確保することにより、格納状態においてドア開口部Kに乗員が通過するのに充分なスペースを確保することができ、従って、前記例示したスロープ装置1と同等の作用効果を得ることができる。また、スロープ本体を一つのスロープ板60により構成する場合には、スライドモータは一つで足りるのでスライド機構を簡略化することができる。さらに、この場合には、図9に示すようにスロープ板60の格納位置をドア開口部Kの前側とする他、ドア開口部Kの後ろ側に格納する構成としてもよい。
また、スロープ本体(スロープ板10,20)を上下動モータ33を駆動源として上下動させ、左右スライドモータ45,47を駆動源としてスライドさせる構成(電動式スロープ装置)を例示したが、これらの駆動源としては電動モータに限らず例えば油空圧モータを用いることもでき、またモータに限らずシリンダを用いることもできる。
また、スロープ本体の上下動およびスライド動作をすべて手動により行う構成としてもよい。この手動式スロープ装置の場合には、二つのスロープ板10,20を、軸回りに回転可能に支持したスライドレール30にスライド可能に支持する構成とすれば足りるので、左右のスライド機構SL,SRをすべて省略し、かつ上下動モータ33を省略することができ、これにより大幅にコスト低減を図ることができる。
【0015】
また、スロープ板10,20(スロープ本体)の上下動のみを電動式とし、スライド動作を手動式とする構成、あるいは逆に上下動を手動式とし、スライド動作を電動式とする構成としてもよい。
また、例示した実施形態では、スロープ板10,20の上下動とスライド動作を独立した操作により行う構成を例示したが、一つの操作によりスロープ本体が格納位置から中間位置を経て使用位置まで連続して移動し、また一つの操作により使用位置から中間位置を経て格納位置まで連続して移動する構成としてもよい。
また、図示は省略したが、スロープ本体(スロープ板10,20,60)を長手方向に伸縮式、あるいは折り畳み式とすることによりその格納状態をさらにコンパクトにすることができ、これにより格納スペースを確保しやすくなる。
さらに、車両Mの側部のドア開口部Kに設置したスロープ装置1を例示したが、本願発明に係るスロープ装置は、車両の後部のドア開口部あるいはドアを備えない常時開放形の開口部に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るスロープ装置を備えた車両の側面図である。
【図2】本実施形態のスロープ装置およびドア開口部の正面図である。
【図3】上下動機構およびスライド機構の正面図である。
【図4】左スロープ板の裏面下部を示す図であって、支持台部を正面から見た縦断面図である。
【図5】図4の(5)-(5)線矢視図であって、左スロープ板の下部左側面図である。
【図6】スロープ板の使用位置、中間位置および格納位置を示す図であって、ドア開口部を正面から見た図である。
【図7】スロープ板の中間位置と使用位置を車両前側から見た図である。本図では、中間位置のスロープ板が実線で示され、使用位置のスロープ板が二点鎖線で示されている。
【図8】リモコンを示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図であり、スロープ装置およびドア開口部の正面図である。
【符号の説明】
M…車両
K…ドア開口部
1…スロープ装置
10…左スロープ板(スロープ本体)
20…右スロープ板(スロープ本体)
30…スライドレール
33…上下動モータ
42…左ねじ軸
45…左スライドモータ
47…右スライドモータ
60…スロープ板(スロープ本体)
C…制御装置
J…上下動機構
SL…左スライド機構
SR…右スライド機構
R…リモコン
L…路面
Claims (4)
- 車両の開口部の下端部に上下に回動可能かつ前記開口部の下端部に沿って左右にスライド可能に支持されたスロープ本体を備え、前記回動により、前記スロープ本体を前記開口部の下端部と路面間に掛け渡された使用位置から車室内で前記開口部に対面した状態で起立する中間位置に移動させることができ、前記スライドにより前記スロープ本体を前記中間位置から車室内に位置し、かつ開口部を開放する格納位置に移動させることができる車両のスロープ装置。
- 請求項1記載のスロープ装置であって、スロープ本体は左右二つのスロープ板を備え、左スロープ板は前記中間位置から前記開口部の左側にスライドさせることにより格納位置に移動させることができ、右スロープ板は前記中間位置から前記開口部の右側にスライドさせることにより格納位置に移動させることができる車両のスロープ装置。
- 請求項2記載のスロープ装置であって、開口部の下端部に沿って、該開口部の下端部に平行な軸回りに回転可能なスライドレールを設け、該スライドレールに左右のスライド板をスライド可能かつ回転不能に支持したスロープ装置。
- 請求項3記載のスロープ装置であって、スライドレールを前記軸回りに回転させてスロープ板を中間位置と使用位置との間で上下動させる上下動機構と、該スライドレールに対して左右のスロープ板を中間位置と格納位置との間でスライドさせるスライド機構を備えたスロープ装置。
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-
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