JP2595337Y2 - 車両用シートのヘッドレスト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ヘッドレストが起立状
態と倒伏状態との間で変位可能に構成されている車両用
ヘッドレスト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用シートの上部に設けられているヘ
ッドレストが後部座席の着座者の前方視界を遮り邪魔に
なるような場合がある。そこで、実開昭第６１−１５８
２４７号公報に開示されているようにヘッドレストを起
立状態と倒伏状態との間で変位可能に設けてなる車両用
シートのヘッドレスト装置が従来考案されている。その
概略的構成は図７に示すように、車両用シートのシート
バック１の上部にヘッドレスト本体２が設けられてい
て、その下面から支持スティ３が２本平行に下方に延出
し、その支持スティ３がシートバック１内で上下動可能
に取り付けられる構造となっている。また、ヘッドレス
ト本体２は、前後に第１のヘッドレストブロック４と第
２のヘッドレストブロック５とに分割されている。

【０００３】一方、ヘッドレスト本体２の下面には、左
右の端が上方に屈曲している支持プレート６が支持ステ
ィ３の上端に支持されている。その支持プレート６の後
端には分割されたヘッドレスト本体２の後側に位置する
第１のヘッドレストブロック４がシートバック１に対し
て前後に回動可能となるようにその下端部が支持されて
いる。さらに、第１のヘッドレストブロック４の上端部
には、分割されたヘッドレスト本体２の前側に位置する
第２のヘッドレストブロック５がシートバック１に対し
て前後に回動可能となるようにアーム７を介してその上
端部に連結されている。

【０００４】また、上記各ヘッドレストブロック４、５
を重ね合わせて起立状態に保持するため、支持プレート
６の上面にロック機構８が構成されている。ロック機構
８は、係合凹部９ａを有するロックプレート９と第２の
ヘッドレストブロック５に設けたフック１０を備えてお
り、図７の二点鎖線で示すように起立状態で係合凹部９
ａとフック１０が係合されてロック状態となって起立状
態が保持される構成になっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記構成で
は倒伏状態にある前後２つのヘッドレストブロック４、
５をシートバック１の上部で一体化させるためには、第
２のヘッドレストブロック５を第１のヘッドレストブロ
ック４に重ね合わせてロック機構８によってロックされ
るまで強く押しつけなければならない。このため、時に
は両手を使って強い力を出さねばならない等、その操作
が相当に面倒であった。

【０００６】本考案は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、二分割形のヘッドレスト装置におい
て、両ヘッドレストブロックの一体化操作を簡単に行な
うことができる車両用シートのヘッドレスト装置を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の車両用シートの
ヘッドレスト装置は、車両用シートのシートバックの上
部に位置して前後に２分割された第１及び第２のヘッド
レストブロックから構成され、第１のヘッドレストブロ
ックの下端部はシートバックに対して前後方向に回動可
能に支持されると共に、その第１のヘッドレストブロッ
クの上端部に第２のヘッドレストブロックの上端部が前
後方向に回動可能に連結されている。また、第２のヘッ
ドレストブロックの下端部が第１のヘッドレストブロッ
クの下端部に重ね合わされて両ヘッドレストブロックが
シートバックの上方にて一体化される起立状態と、第２
のヘッドレストブロックの下端部が第１のヘッドレスト
ブロックの下端部から離れて両ヘッドレストブロックが
分離してシートバックの表面に沿って展開する倒伏状態
との間で変位可能に構成されている。さらに、両ヘッド
レストブロックの一方に他方のヘッドレストブロックに
向かって伸びる係合部材を設けると共に、他方のヘッド
レストブロックに前記係合部材の進入時にこれを引き込
むことにより両ヘッドレストブロックを一体化して起立
状態とするヘッドレストブロック駆動機構を設けてなる
ことを特徴とする。

【０００８】

【作用】車両用シートの表面に沿って展開された倒伏状
態にある第１のヘッドレストブロックと第２のヘッドレ
ストブロックを上方に持ち上げてシートバックの上部で
重ね合わせるようにすれば、一方のヘッドレストブロッ
クに設けられている係合部材が他方のヘッドレストブロ
ックに設けられているヘッドレスト駆動機構によって引
き込まれ、第１のヘッドレストブロックと第２のヘッド
レストブロックが一体化されてシートバックの上部で起
立状態が保持される。

【０００９】

【考案の効果】上述したように、本考案の車両用シート
のヘッドレスト装置によれば倒伏状態から起立状態に変
位させる場合に、第２のヘッドレストブロックを第１の
ヘッドレストブロックに押しつけなくても、各ヘッドレ
ストブロックがシートバックの上部で一体化され起立状
態を保持することができる効果を奏する。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の車両用シートの一実施例につ
いて図１乃至図６を参照しながら説明する。

【００１１】全体の概略的構成は図１に示すように車両
用シートのシートバック２０の上部に設けられているヘ
ッドレスト本体２１の下面から２本の支持スティ２２が
延出していて、その支持スティ２２はシートバック２０
内に上下動可能に取り付けられる構造となっている。ヘ
ッドレスト本体２１は、第１のヘッドレストブロック２
３と第２のヘッドレストブロック２４に前後に分割さ
れ、これらを前後に重ね合わせて一体化された状態でヘ
ッドレストとして機能する。

【００１２】ヘッドレスト本体２１の下面には、左右両
端が上方に屈曲している支持プレート２５が設けられ、
これが支持スティ２２の先端に支持されている。その支
持プレート２５の屈曲した側面の後端部には第１のヘッ
ドレストブロック２３がシートバック２０に対して前後
に回動可能となるようにその下端部が支持されている。
さらに、第１のヘッドレストブロック２３の上端部に
は、第２のヘッドレストブロック２４がシートバック２
０に対して前後に回動可能となるようアーム２６を介し
てその上端部が連結されている。

【００１３】第１のヘッドレストブロック２３は、弾性
部材２７を外皮にて被覆したクッション体２８とこの内
部に取り付けられクッション体２８を支持する支持体２
９によって構成されている。支持体２９は前方側面が開
口していて、底板の内側面には制御装置３０が設置され
ている。また、一方の側板の外側面にはスイッチレバー
の長さの異なるプッシュスイッチ３１、３２が２つ並ん
で取り付けられていて、もう一方の側板の外側面には、
スライドスイッチ３３が取り付けられクッション体２８
に形成されている開口部２８ａを通してヘッドレスト本
体２１の外側から操作できるようになっている。

【００１４】第２のヘッドレストブロック２４も、第１
のヘッドレストブロック２３と同じように弾性部材３４
を外皮にて被覆したクッション体３５とこの内部に取り
付けられクッション体３５を支持する支持体３６によっ
て構成されている。支持体３６は後方側面が開口してい
て、その開口部から底板の内側面に取り付けられている
ラックギヤ３７の先端が飛び出している。

【００１５】さて、支持プレート２５の上面にはヘッド
レストブロック駆動機構３８が設けられている。このヘ
ッドレストブロック駆動機構３８は駆動モータ３９とウ
オームギヤボックス４０及びギヤ４１によって構成され
ていて、ギヤ４１はウオームギヤボックス４０を介して
駆動モータ３９と連動している。このギヤ４１は、第２
のヘッドレストブロック２４の支持体３６に取り付けら
れているラックギヤ３７と噛合可能な位置にある。

【００１６】さらに、第１ヘッドレストブロック２３の
支持体２９に取り付けられている制御装置３０とプッシ
ュスイッチ３１、３２及びスライドスイッチ３３と支持
プレート２５に取り付けられている駆動モータ３９とは
図５に示すように配線されていて、車両本体のバッテリ
ー４２から電力の供給を受けて、ヘッドレストブロック
駆動機構３８の制御が行なわれる。

【００１７】このヘッドレストブロック駆動機構３８の
制御態様に関しては図６のフローチャートで示すように
なっていて、進出と収納の２状態を有するスライドスイ
ッチ３３が進出側に切り換えられている場合には、プッ
シュスイッチ３１が押されてＯＮ状態になれば駆動モー
タ３９は正方向に回転し、プッシュスイッチ３１がＯＦ
Ｆ状態となれば駆動モータ３９は停止する。また、スラ
イドスイッチ３３が収納側に切り換えられている場合に
は、プッシュスイッチ３１が押されてＯＮ状態で、しか
もプッシュスイッチ３２が押されずＯＦＦ状態であれば
駆動モータ３９は逆方向に回転し、プッシュスイッチ３
２が押されてＯＮ状態になれば停止する。なお、スライ
ドスイッチ３３が収納側に切り換えられている場合で、
プッシュスイッチ３１がＯＦＦ状態であればプッシュス
イッチ３２の状態に関係なく駆動モータ３９は停止した
状態にある。

【００１８】次に本実施例の作用を説明する。例えば、
車両用シートのシートバック２０の上部に設けられてい
るヘッドレスト本体２１が後部座席の着座者の前方視界
を遮り邪魔になるような場合に、ヘッドレスト本体２１
を倒伏して前方視界を広げたいことがある。その場合に
は、スライドスイッチ３３を進出側に切り換えればよ
い。すると、第１のヘッドレストブロック２３と第２の
ヘッドレストブロック２４は一体化された起立状態にあ
ってプッシュスイッチ３１が押されてＯＮ状態となって
いるため、図６のフローチャートから明らかなように、
駆動モータ３９は正方向に回転し、ウオームギヤボック
ス４０を介してギヤ４１を連動してラックギヤ３７を押
し出す方向に移動させる。この時、第２のヘッドレスト
ブロック２４は第１のヘッドレストブロック２３の上端
部で回動可能となるようにアーム２６の先端に支持され
ているため、第２のヘッドレストブロック２４は図２の
紙面に対して垂直に貫通している軸Ａ点を中心に矢印ａ
方向に回動する。そして、ラックギヤ３７の先端がギヤ
４１との噛合状態から外れると、第１のヘッドレストブ
ロック２３は起立状態を保つことができなくなり、その
下端部が支持プレート２５の後端部に回動可能となるよ
うに支持されているため、図２の紙面に対して垂直に貫
通している軸Ｂ点を中心に矢印ｂ方向に回動する。その
結果、第１のヘッドレストブロック２３と第２のヘッド
レストブロック２４は、図３に示すようにシートバック
２０の表面に展開された状態である倒伏状態となる。

【００１９】次いで、後部座席の着座者が前方視界を広
げる必要がなくなり、ヘッドレスト本体２１が本来の機
能を果たすようにシートバック２０の上部で一体化して
起立状態を保持するようにしたい場合には、スライドス
イッチ３３を収納側に切り換える。この段階では、プッ
シュスイッチ３１、３２はＯＦＦ状態なので図６のフロ
ーチャートから明らかなように、駆動モータ３９は停止
した状態となっているが、図４に示すように第１のヘッ
ドレストブロック２３と第２のヘッドレストブロック２
４を上方に持ち上げシートバック２０の上部で重ね合わ
せるようにすると、プッシュスイッチ３１だけがまずＯ
Ｎ状態となる。これによって、図６のフローチャートか
ら明らかなように、駆動モータ３９は逆方向に回転し、
ラックギヤ３７の先端部がギヤ４１に噛み込まれてラッ
クギヤ３７は進入方向に移動し始める。従って、第２の
ヘッドレストブロック２４を持ち上げている手を放して
も、第２のヘッドレストブロック２４は図４に示した軸
Ｃ点を中心に矢印ｃ方向に回動し続ける。そして、第２
のヘッドレストブロック２４が矢印ｃ方向にさらに回動
して第１のヘッドレストブロックと一体化されて起立状
態となるとプッシュスイッチ３２が押されるから、図６
のフローチャートに示すように駆動モータ３９は停止し
てその状態が保持される。

【００２０】上述したように本実施例の車両用シートの
ヘッドレスト装置によれば、倒伏した状態にある第１の
ヘッドレストブロック２３と第２のヘッドレストブロッ
ク２４を一体化させて起立状態に保持させたい場合に
は、第２のヘッドレストブロック２４を上方に持ち上げ
第１のヘッドレストブロック２３と重ね合わせるように
するだけで第２のヘッドレストブロック２４は第１のヘ
ッドレストブロック２３に引き込まれ一体化されて起立
状態を保持することができる。従って、第２のヘッドレ
ストブロック２４を第１のヘッドレストブロック２３に
押しつける必要はなく、軽い力で操作することができ
る。また、起立状態を保持している第１のヘッドレスト
ブロック２３と第２のヘッドレストブロック２４を倒伏
したい場合には、スライドスイッチ３３を操作するだけ
で第１のヘッドレストブロック２３と第２のヘッドレス
トブロック２４をシートバック２０の表面に展開して倒
伏状態にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す一部切欠斜視図

【図２】起立状態を示す縦断面図

【図３】倒伏状態を示す縦断面図

【図４】起立状態になる始まりの状態を示す縦断面図

【図５】ヘッドレストブロック駆動機構を制御するため
の配線図

【図６】ヘッドレストブロック駆動機構の制御方法を示
すフローチャート

【図７】従来の車両用シートのヘッドレスト装置を示す
縦断面図

【符号の説明】

２１…ヘッドレスト本体 ２２…支持スティ ２３…第１のヘッドレストブロック ２４…第２のヘッドレストブロック ３８…ヘッドレストブロック駆動機構

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両用シートのシートバックの上部に位
   置して前後に２分割された第１及び第２のヘッドレスト
   ブロックから構成され、第１のヘッドレストブロックの
   下端部は前記シートバックに対して前後方向に回動可能
   に支持されると共に、その第１のヘッドレストブロック
   の上端部に前記第２のヘッドレストブロックの上端部が
   前後方向に回動可能に連結され、第２のヘッドレストブ
   ロックの下端部が第１のヘッドレストブロックの下端部
   に重ね合わされて両ヘッドレストブロックがシートバッ
   クの上方にて一体化される起立状態と、第２のヘッドレ
   ストブロックの下端部が第１のヘッドレストブロックの
   下端部から離れて両ヘッドレストブロックが分離してシ
   ートバックの表面に沿って展開した倒伏状態との間で変
   位可能に構成したものにおいて、 前記両ヘッドレストブロックの一方に他方のヘッドレス
   トブロックに向かって伸びる係合部材を設けると共に、
   他方のヘッドレストブロックに前記係合部材の進入時に
   これを引き込むことにより両ヘッドレストブロックを一
   体化して起立状態とするヘッドレストブロック駆動機構
   を設けたことを特徴とする車両用シートのヘッドレスト
   装置。