JP2004195904A - 液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置 - Google Patents
液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】液滴吐出ヘッドのSi基板の製造時の結晶欠陥の発生を抑え、吐出バラツキを小さくすることのできる信頼性の高い液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置を提供する。
【解決手段】Si基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、Si基板の製造工程を低温で処理する方法であって、液滴吐出ヘッドはこの製造方法を用いて製造され、記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置およびマイクロアレイ製造装置はその液滴吐出ヘッドが搭載されている。
【選択図】 図4
【解決手段】Si基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、Si基板の製造工程を低温で処理する方法であって、液滴吐出ヘッドはこの製造方法を用いて製造され、記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置およびマイクロアレイ製造装置はその液滴吐出ヘッドが搭載されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッド、特に静電駆動方式のインクジェットヘッドの製造方法およびその製造方法により製造された液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液滴吐出ヘッドである静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいて、その振動板、吐出室、リザーバ等が形成されるシリコン基板(以下、「Si基板」という)の製造工程は、(a)Si基板の準備、(b)Si基板の熱酸化、(c)シリコン酸化膜(以下、「Si酸化膜」という)の片面剥離、(d)ボロンドープ層形成、(e)六ホウ化ケイ素(SiB6 )酸化、(f)三酸化二ホウ素(B2 O3 )剥離、(g)吐出室およびリザーバのパターニング、(h)ボロンドープ層面上にSi酸化膜成膜、(i)高濃度水酸化カリウム溶液によるSi基板エッチング、(j)低濃度水酸化カリウム溶液によるSi基板エッチング、(k)Si酸化膜全面剥離、および、(l)絶縁膜であるTEOS(Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysillane:テトラエトキシシラン、ケイ酸エチル)膜成膜の12工程を備えている(例えば、特許公報1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−323450号公報(第2〜3頁、図3〜6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液滴吐出ヘッド、特に静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいては、液滴(ここではインク)の吐出バラツキの小さいものが求められており、その吐出バラツキを大きくさせてしまう原因の1つに結晶欠陥の発生がある。この結晶欠陥を引き起こす主な原因は酸素欠陥であり、その発生率はSi基板の作製時に微量ながらも基板中に含まれてしまう酸素の濃度と、Si基板の上記のような製造工程とに影響を受ける。そして、製造工程における酸素欠陥は、工程における温度領域、特に600℃〜800℃の領域で発生しやすいことがわかっており、この領域を通過する工程を行った場合に結晶欠陥(酸素欠陥)が発生する可能性がある。
【0005】
上記のような従来の静電駆動方式のインクジェットヘッドの(a)〜(l)の製造工程においては、その(b)のSi基板の熱酸化工程で、Si基板の表面にSi酸化膜を形成するために1075℃の温度で熱酸化処理を行い、(d)のボロンドープ層形成工程で、ボロンをSi基板中に拡散させてボロンドープ層を形成するために1050℃の温度で熱拡散処理を行っており、高温工程が含まれていた。よって、上記製造工程によって製造された静電駆動方式のインクジェットヘッドは、製造中にSi基板中に結晶欠陥が発生し、その結晶欠陥によって吐出室等の隔壁にうねりが生じたり微小な穴が開いたりしてしまって、吐出室の体積にバラツキが生じ、最終的にインクの吐出バラツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、液滴吐出ヘッドのSi基板の製造時の結晶欠陥の発生を抑え、吐出バラツキを小さくすることのできる信頼性の高い液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、Si基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、Si基板の製造工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時に発生するSi基板中の結晶欠陥を抑えることができる。
また、上記方法において、Si基板に部材を形成する工程の前の工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時のSi基板中に発生する結晶欠陥を抑えて、形成される部材の精度を向上させることができ、信頼性の高い液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0008】
さらに、上記方法において、Si基板は吐出室を構成することとなる凹部を有することを特徴とする。これにより、形成される吐出室の隔壁の精度を向上させることができ、吐出室の体積のバラツキを抑えて吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
また、上記方法において、Si基板に部材を形成する工程の前の工程に、エッチングストップ層を形成する工程と、振動板となる膜を形成する工程と、部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程とを含む方法である。これによれば、上記各工程を低温で処理することにより、製造中にSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができため、形成される部材の精度を向上させることができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0009】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、Si基板の一方の面にエッチングストップ層を形成する工程と、エッチングストップ層上に振動板となる膜を形成する工程と、振動板となる膜上およびSi基板の他方の面に部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程と、Si基板の他方の面の膜を形成する部材に対応させてパターニングする工程と、パターニングされたSi基板をエッチングする工程と、エッチングされたSi基板のエッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜を除去する工程と、エッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜が除去されたSi基板の全面に絶縁膜を形成する工程とを含み、少なくともエッチングストップ層、振動板となる膜および部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時にSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができため、形成される部材の精度を向上させることができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0010】
また、上記方法において、低温を600℃以下とする方法である。これにより、最も結晶欠陥が発生しやすい600℃〜800℃の温度領域を通すことなくSi基板の製造を行うことができ、結晶欠陥による部材の精度の低下を抑えて、吐出特性を安定化させることができる液滴吐出ヘッドが得られる。
さらに、上記方法において、Si基板を酸素濃度の低いシリコン単結晶基板とする方法である。これによれば、結晶欠陥を発生させる酸素等の不純物を抑えることができるため、結晶欠陥の発生を極力低くすることができる。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、エッチングストップ層をSi酸化膜またはシリコン窒化膜(以下、「Si窒化膜」という)により構成する方法である。これによれば、Si酸化膜またはSi窒化膜は、Si基板をエッチングするアルカリ溶液に対するエッチングレートが非常に小さく、Si基板との密着性が高いため、Si基板に部材を形成する際のエッチングストップ層の役目を大いに果たすことができるとともに、確実に部材に対応する部分だけをエッチングすることができ、形成される部材の精度を向上させることができる。
また、上記方法において、部材を形成する際のマスクとなる膜をSi酸化膜またはSi窒化膜により構成する方法である。これにより、上記と同様な効果が得られ、Si基板に部材を形成する際のマスクの役目を大いに果たすことができ、形成される部材の精度を向上させることができる。
さらに、上記方法において、Si酸化膜またはSi窒化膜を、スパッタリング法またはプラズマCVD法により成膜する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で成膜することができるため、製造時におけるSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができる。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、振動板となる膜を多結晶シリコン薄膜(以下、「多結晶Si薄膜」という)または単結晶シリコン薄膜(以下、「単結晶Si薄膜」という)により構成する方法である。これによれば、多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜は剛性が強いため信頼性の高い振動板を得ることができる。
また、上記方法において、多結晶Si薄膜を、ECRスパッタリング法または熱CVD法およびレーザーアニール法により成膜する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で、かつ膜厚のバラツキを少なくして成膜することができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
さらに、上記方法において、単結晶Si薄膜は、多結晶Si薄膜を成膜した後レーザーアニール法により形成する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で成膜することができるため、製造時におけるSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができる。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて製造したものである。これによれば、吐出バラツキが小さく信頼性の高い液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る記録装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定したインク吐出が行われる記録装置を得ることができる。
本発明に係るカラーフィルター製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定したカラーフィルターを液性する溶液の吐出が行われるカラーフィルター製造装置を得ることができる。
本発明に係る電界発光基板製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定した発光材を含む溶液の吐出が行われる電界発光基板製造装置を得ることができる。
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定した生体分子を含む溶液の吐出が行われるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの一部断面で示した分解斜視図、図2はインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のX−X線矢視図である。なお、この実施の形態ではフェイス型のインクジェットヘッドの例を示す。
【0015】
図において、インクジェットヘッド30は、次に詳記する構造を持つ3枚の基板1,2,3を重ねて接合した積層構造となっており、その中間の第1の基板1は、例えば厚さ約140μmの(110)面方位のシリコン単結晶基板(Si基板)であって、底壁が振動板4となる吐出室5を構成することとなる凹部6と、それぞれの吐出室5にインクを供給するために共通のリザーバ9を構成することとなる凹部10とがエッチングにより形成されている。ここで、第1の基板1の全面には、絶縁膜となるTEOS膜0.1μmがプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されている。これは、インクジェットヘッドを駆動させた時の絶縁破壊および短絡を防止するためである。
【0016】
第2の基板2は、ホウケイ酸系の耐熱硬質ガラス(SiO2 、B2 O3 )からなる例えば厚さ約1mmのガラス基板であり、第1の基板(Si基板)1の下面に接合される。そして、第1の基板1の吐出室5部分に合わせて、深さ約0.3μmの凹部13がエッチングにより形成されており、凹部13の内部には振動板4に対向する電極12、リード部14および端子部15が設けられていて、隣り合う凹部13の間の所定箇所にはリザーバ9用の凹部10に連通するインク供給口17が設けられている。また、電極12と第1の基板1は、配線18aによって発振回路18に接続されており、電極12は発振回路18によって電荷の供給および停止が制御される。
なお、この実施の形態では、電極12として酸化錫を不純物としてドープした酸化インジウム膜であるITO(Indium Tin Oxide:インジウム酸化第一錫)膜を用いており、透明電極のITO電極を0.1μmスパッタして形成されている。ただし、これに限定されるものではない。また、第1の基板1と第2の基板2を接合した際に形成される振動板4と電極12とのギャップGは、凹部13、電極12および振動板4により決まることになり、この実施の形態では、ギャップGは0.2μmとなっている。さらに、発振回路18と第1の基板1との接続は、ドライエッチングにより第1の基板1の一部に開けた酸化膜(図示せず)において行われている。
【0017】
第3の基板3は、例えば厚さ約100μmのSi基板であり、その上面には、吐出室5用の凹部6と連通するノズル孔16が設けられ、下面には、吐出室5用の凹部6とリザーバ9用の凹部10とを連通するオリフィス7を構成する細溝8が設けられている。なお、ここではノズル孔16を有する第3の基板3を上側とし第2の基板2を下側として説明したが、実際に用いられる場合は、第3の基板3が下側となることが多い。
【0018】
このように構成されたインクジェットヘッド30は、発振回路18より電極12に0Vから35Vのパルス電圧を印加して電荷供給を行うと、電極12の表面がプラスに帯電して、対向する振動板4の下面はマイナスに帯電し、振動板4は静電気の吸引作用によって電極12に引きつけられて下方に撓む。これにより吐出室5の容積は広がる。ついで、電極12への電荷供給を停止すると、振動板4は元に戻る。このとき、吐出室5の容積も元に戻るため、吐出室5の内圧が急激に上昇してノズル孔16よりインク液滴19が吐出し、記録紙20に着弾することによって記録が行われる。そして、次に振動板4が再び下方に撓むことにより、リザーバ9内のインクがオリフィス7を通って吐出室5内に補給される。
【0019】
このようなインクジェットヘッド30は、上述したようにインクの吐出バラツキを小さくすることが求められており、この実施の形態では、第1の基板1の製造時において結晶欠陥(酸素欠陥)の発生が抑えられるようにしたものである。この第1の基板1の製造工程について、図4の工程図を用いて説明する。なお、ここでは厚さが0.8μmの振動板4を有する第1の基板1を形成する場合を示し、実際にはシリコンウェハにより複数個分のインクジェットヘッド30の部材を形成することとなるため、図4ではその一部だけを表して説明する。
【0020】
(A)まず、第1の基板1となる(110)を面方位とする酸素濃度の低い(例えば15×1017atoms/cm3 以下)のSi基板41の両面を鏡面研磨し、厚さ140μmの基板を作製する。
(B)ついで、Si基板41の一方の面(ここでは下面)に、エッチングストップ層となるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )42を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が700W、チャンバー圧力が33.3Pa(250mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、膜厚均一性が±50nm以下の条件で、500nm成膜する。
なお、Si基板41上に成膜される膜はTEOS膜のみに限らず、600℃以下で成膜可能なSi酸化膜またはSi窒化膜であればよい。そして、Si酸化膜またはSi窒化膜42を用いる理由としては、Si基板41のエッチング時に用いられる水酸化カリウム溶液(またはSiエッチング可能なアルカリ溶液)に対するエッチングレートが非常に小さいこと(例えば35w%水酸化カリウム溶液に対するSi(基板)、Si酸化膜およびSi窒化膜のエッチングレートは、約2100nm/min、5.6nm/minおよび0.041nm/minであること)と、Si基板41との密着性が高いことが挙げられる。また、成膜方法もプラズマCVD法のみに限らず、スパッタリング法やその他のCVD法を用いてもよい。これらの成膜方法は、低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0021】
(C)Si基板41のエッチングストップ層となるSi酸化膜またはSi窒化膜42が成膜された面上に、振動板となる膜、多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43をECRスパッタリング法により0.8μm成膜する。多結晶Si薄膜の成膜方法には、一般的に熱CVD法が用いられるが、600℃以下で成膜するとアモルファスSiが形成されやすい。一方、ECRスパッタリング法は、成膜温度が500℃程度で多結晶Si薄膜を成膜することが可能であり、かつ膜厚均一性も熱CVD法での均一性が±10%程度であるのに対して±5%程度とよい。熱CVD法により成膜する場合は、約550℃でシラン(SiH4 )を熱分解して得られたアモルファスSiをレーザーアニールすることにより多結晶Si薄膜を形成する。また、単結晶Si薄膜を成膜する場合は、一旦多結晶Si薄膜を成膜した後、レーザーアニールを施して単結晶Si薄膜(疑似単結晶Si薄膜)を形成する。いずれの成膜方法も低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0022】
(D)次に、Si基板41の多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43が成膜された面(一方の面)上に、SiエッチングマスクとなるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )44を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が700W、チャンバー圧力が33.3Pa(250mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、膜厚均一性が±10%以下の条件で、3μm成膜する。その後、一方の面と対向する他方の面上に、SiエッチングマスクとなるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )45を、Si酸化膜またはSi窒化膜44の場合と同様の条件で1μm成膜する。なお、Si基板41上および多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43上に成膜される膜はTEOS膜のみに限らず、600℃以下で成膜可能なSi酸化膜またはSi窒化膜であればよい。この成膜方法も低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0023】
(E)ついで、Si基板41のSi酸化膜またはSi窒化膜45側に、レジストコートをして吐出室5、リザーバ9を形成するためのレジストパターニングを施し、Si基板41に成膜した膜がSi酸化膜の場合はフッ素水溶液、Si窒化膜の場合はドライエッチング法により、Si酸化膜またはSi窒化膜45をエッチングする。その後レジストを剥離してパターニングされたSi酸化膜またはSi窒化膜45を形成する。
(F)パターニングされたSi基板41を、高濃度例えば35w%濃度水酸化カリウム水溶液に浸し、エッチングストップ層42であるSi酸化膜またはSi窒化膜42に達するまでSiエッチングを行う。Siエッチングがエッチングストップ層に達すると、エッチング面から発生する気泡の量が極端に少なくなり、この少なくなった状態を見てエッチングストップと判断する。
Siエッチングでの吐出室5等の隔壁幅wの精度は、Si基板41中の結晶欠陥数によって変化するが、この製造工程では結晶欠陥の発生率を高くする温度領域、600℃〜800℃の領域で製造が行われていないため、結晶欠陥発生率は非常に低くなり、隔壁幅wの精度が非常に高くなって、吐出室5の体積のバラツキが抑えられる。これは、図5に示す従来の高温工程を含む製造方法で形成された吐出室5の隔壁幅と本発明に係る高温工程を含まない製造方法で形成された吐出室5の隔壁幅とを測定して比較したグラフからもわかるように、従来のものと比較して本発明のものは隔壁幅のバラツキが小さくなっている。これにより、インクの吐出バラツキが小さくなり、インクジェットヘッド30の吐出性能が安定化される。
【0024】
(G)次に、Si基板41のSiエッチングマスクとして用いたSi酸化膜またはSi窒化膜44,45と、エッチングストップ層42であるSi酸化膜またはSi窒化膜42を、Si酸化膜の場合はフッ素水溶液、Si窒化膜の場合は熱リン酸によりウェットエッチングし、取り除く。これにより、厚み精度0.8±0.08μm以下の振動板4が形成される。
(H)振動板形成後のSi基板41の全面に、絶縁膜となるTEOS膜46を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が250W、チャンバー圧力が66.7Pa(500mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)の条件で、0.1μm成膜し、第1の基板1を作製する。
なお、TEOS膜46を成膜する前に、Si基板41を、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が250W、チャンバー圧力が66.7Pa(500mTorr)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、処理時間が1分間の条件で、O2 プラズマ処理を施す。これにより、Si基板41の表面がクリーニングされTEOS膜46の絶縁耐圧の均一性が向上する。また、TEOS膜46を成膜した後に、TEOS膜46上に、窒素雰囲気中で、処理温度が1000℃、処理時間が1時間の条件で、アニール処理を施す。このアニール処理を施すことでTEOS膜46の緻密性が向上し、絶縁耐圧がさらに向上する。この場合、Si基板41を1000℃の高温に通すことになるが、Si基板41は吐出室5などが形成されるSiエッチングが済んでいるため、Si基板41中に結晶欠陥数が増加しても問題はない。
【0025】
このように、インクジェットヘッド30の第1の基板1の製造工程において、結晶欠陥の発生率を高くする600℃以上の高温領域(特に600℃〜800℃の温度領域)を通さずに第1の基板1を作製するようにしたので、Si基板41中の結晶欠陥発生率を低下させることができ、吐出室5等の隔壁幅wの精度を高くすることができ、吐出室5の体積のバラツキを抑えることができる。これにより、インクの吐出バラツキを小さくすることができて、インクジェットヘッド30の吐出性能を安定化させることができ、信頼性の高いインクジェットヘッド30を得ることができる。
また、上述した従来の高温プロセスを含む製造工程はプロセス総工数が12工程を有したが、本発明の実施の形態に係る製造工程はプロセス総工数が8工程であり、従来の(c)〜(f)の工程が不要となった。これによりプロセス総工数を短縮することができ、インクジェットヘッド30の低コスト化が可能となる。
【0026】
なお、上述の実施の形態では、(A)〜(H)の製造工程で製造されたインクジェットヘッド30を記録装置に搭載した場合を示したが、吐出性能の安定化が図れたインクジェットヘッド30は、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置およびマイクロアレイ製造装置など、吐出した液滴のバラツキが小さいことが望まれる様々な装置に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図。
【図2】実施の形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図3】図2のX−X線矢視図。
【図4】実施の形態に係る第1の基板の製造工程図。
【図5】実施の形態に係る第1の基板の隔壁幅の精度を示すグラフ。
【符号の説明】
1 第1の基板、4 振動板、5 吐出室、6 吐出室用の凹部、9 リザーバ、10 リザーバ用の凹部、30 インクジェットヘッド、41 Si基板、42 Si酸化膜またはSi窒化膜(エッチングストップ層)、43 多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜(振動板用膜)、44,45 Si酸化膜またはSi窒化膜(エッチングマスク膜)、46 TEOS膜(絶縁膜)、w 隔壁幅
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッド、特に静電駆動方式のインクジェットヘッドの製造方法およびその製造方法により製造された液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液滴吐出ヘッドである静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいて、その振動板、吐出室、リザーバ等が形成されるシリコン基板(以下、「Si基板」という)の製造工程は、(a)Si基板の準備、(b)Si基板の熱酸化、(c)シリコン酸化膜(以下、「Si酸化膜」という)の片面剥離、(d)ボロンドープ層形成、(e)六ホウ化ケイ素(SiB6 )酸化、(f)三酸化二ホウ素(B2 O3 )剥離、(g)吐出室およびリザーバのパターニング、(h)ボロンドープ層面上にSi酸化膜成膜、(i)高濃度水酸化カリウム溶液によるSi基板エッチング、(j)低濃度水酸化カリウム溶液によるSi基板エッチング、(k)Si酸化膜全面剥離、および、(l)絶縁膜であるTEOS(Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysillane:テトラエトキシシラン、ケイ酸エチル)膜成膜の12工程を備えている(例えば、特許公報1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−323450号公報(第2〜3頁、図3〜6)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
液滴吐出ヘッド、特に静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいては、液滴(ここではインク)の吐出バラツキの小さいものが求められており、その吐出バラツキを大きくさせてしまう原因の1つに結晶欠陥の発生がある。この結晶欠陥を引き起こす主な原因は酸素欠陥であり、その発生率はSi基板の作製時に微量ながらも基板中に含まれてしまう酸素の濃度と、Si基板の上記のような製造工程とに影響を受ける。そして、製造工程における酸素欠陥は、工程における温度領域、特に600℃〜800℃の領域で発生しやすいことがわかっており、この領域を通過する工程を行った場合に結晶欠陥(酸素欠陥)が発生する可能性がある。
【0005】
上記のような従来の静電駆動方式のインクジェットヘッドの(a)〜(l)の製造工程においては、その(b)のSi基板の熱酸化工程で、Si基板の表面にSi酸化膜を形成するために1075℃の温度で熱酸化処理を行い、(d)のボロンドープ層形成工程で、ボロンをSi基板中に拡散させてボロンドープ層を形成するために1050℃の温度で熱拡散処理を行っており、高温工程が含まれていた。よって、上記製造工程によって製造された静電駆動方式のインクジェットヘッドは、製造中にSi基板中に結晶欠陥が発生し、その結晶欠陥によって吐出室等の隔壁にうねりが生じたり微小な穴が開いたりしてしまって、吐出室の体積にバラツキが生じ、最終的にインクの吐出バラツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、液滴吐出ヘッドのSi基板の製造時の結晶欠陥の発生を抑え、吐出バラツキを小さくすることのできる信頼性の高い液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出ヘッド、並びに記録装置、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置、マイクロアレイ製造装置を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、Si基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、Si基板の製造工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時に発生するSi基板中の結晶欠陥を抑えることができる。
また、上記方法において、Si基板に部材を形成する工程の前の工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時のSi基板中に発生する結晶欠陥を抑えて、形成される部材の精度を向上させることができ、信頼性の高い液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0008】
さらに、上記方法において、Si基板は吐出室を構成することとなる凹部を有することを特徴とする。これにより、形成される吐出室の隔壁の精度を向上させることができ、吐出室の体積のバラツキを抑えて吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
また、上記方法において、Si基板に部材を形成する工程の前の工程に、エッチングストップ層を形成する工程と、振動板となる膜を形成する工程と、部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程とを含む方法である。これによれば、上記各工程を低温で処理することにより、製造中にSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができため、形成される部材の精度を向上させることができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0009】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、Si基板の一方の面にエッチングストップ層を形成する工程と、エッチングストップ層上に振動板となる膜を形成する工程と、振動板となる膜上およびSi基板の他方の面に部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程と、Si基板の他方の面の膜を形成する部材に対応させてパターニングする工程と、パターニングされたSi基板をエッチングする工程と、エッチングされたSi基板のエッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜を除去する工程と、エッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜が除去されたSi基板の全面に絶縁膜を形成する工程とを含み、少なくともエッチングストップ層、振動板となる膜および部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程を低温で処理する方法である。これによれば、製造時にSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができため、形成される部材の精度を向上させることができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
【0010】
また、上記方法において、低温を600℃以下とする方法である。これにより、最も結晶欠陥が発生しやすい600℃〜800℃の温度領域を通すことなくSi基板の製造を行うことができ、結晶欠陥による部材の精度の低下を抑えて、吐出特性を安定化させることができる液滴吐出ヘッドが得られる。
さらに、上記方法において、Si基板を酸素濃度の低いシリコン単結晶基板とする方法である。これによれば、結晶欠陥を発生させる酸素等の不純物を抑えることができるため、結晶欠陥の発生を極力低くすることができる。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、エッチングストップ層をSi酸化膜またはシリコン窒化膜(以下、「Si窒化膜」という)により構成する方法である。これによれば、Si酸化膜またはSi窒化膜は、Si基板をエッチングするアルカリ溶液に対するエッチングレートが非常に小さく、Si基板との密着性が高いため、Si基板に部材を形成する際のエッチングストップ層の役目を大いに果たすことができるとともに、確実に部材に対応する部分だけをエッチングすることができ、形成される部材の精度を向上させることができる。
また、上記方法において、部材を形成する際のマスクとなる膜をSi酸化膜またはSi窒化膜により構成する方法である。これにより、上記と同様な効果が得られ、Si基板に部材を形成する際のマスクの役目を大いに果たすことができ、形成される部材の精度を向上させることができる。
さらに、上記方法において、Si酸化膜またはSi窒化膜を、スパッタリング法またはプラズマCVD法により成膜する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で成膜することができるため、製造時におけるSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができる。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、振動板となる膜を多結晶シリコン薄膜(以下、「多結晶Si薄膜」という)または単結晶シリコン薄膜(以下、「単結晶Si薄膜」という)により構成する方法である。これによれば、多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜は剛性が強いため信頼性の高い振動板を得ることができる。
また、上記方法において、多結晶Si薄膜を、ECRスパッタリング法または熱CVD法およびレーザーアニール法により成膜する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で、かつ膜厚のバラツキを少なくして成膜することができ、吐出バラツキの小さい液滴吐出ヘッドの製造が可能となる。
さらに、上記方法において、単結晶Si薄膜は、多結晶Si薄膜を成膜した後レーザーアニール法により形成する方法である。これにより、Si基板を高温領域に通すことなく低温で成膜することができるため、製造時におけるSi基板中の結晶欠陥の発生を抑えることができる。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて製造したものである。これによれば、吐出バラツキが小さく信頼性の高い液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る記録装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定したインク吐出が行われる記録装置を得ることができる。
本発明に係るカラーフィルター製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定したカラーフィルターを液性する溶液の吐出が行われるカラーフィルター製造装置を得ることができる。
本発明に係る電界発光基板製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定した発光材を含む溶液の吐出が行われる電界発光基板製造装置を得ることができる。
本発明に係るマイクロアレイ製造装置は、上記液滴吐出ヘッドを搭載したものである。これにより、安定した生体分子を含む溶液の吐出が行われるマイクロアレイ製造装置を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの一部断面で示した分解斜視図、図2はインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のX−X線矢視図である。なお、この実施の形態ではフェイス型のインクジェットヘッドの例を示す。
【0015】
図において、インクジェットヘッド30は、次に詳記する構造を持つ3枚の基板1,2,3を重ねて接合した積層構造となっており、その中間の第1の基板1は、例えば厚さ約140μmの(110)面方位のシリコン単結晶基板(Si基板)であって、底壁が振動板4となる吐出室5を構成することとなる凹部6と、それぞれの吐出室5にインクを供給するために共通のリザーバ9を構成することとなる凹部10とがエッチングにより形成されている。ここで、第1の基板1の全面には、絶縁膜となるTEOS膜0.1μmがプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜されている。これは、インクジェットヘッドを駆動させた時の絶縁破壊および短絡を防止するためである。
【0016】
第2の基板2は、ホウケイ酸系の耐熱硬質ガラス(SiO2 、B2 O3 )からなる例えば厚さ約1mmのガラス基板であり、第1の基板(Si基板)1の下面に接合される。そして、第1の基板1の吐出室5部分に合わせて、深さ約0.3μmの凹部13がエッチングにより形成されており、凹部13の内部には振動板4に対向する電極12、リード部14および端子部15が設けられていて、隣り合う凹部13の間の所定箇所にはリザーバ9用の凹部10に連通するインク供給口17が設けられている。また、電極12と第1の基板1は、配線18aによって発振回路18に接続されており、電極12は発振回路18によって電荷の供給および停止が制御される。
なお、この実施の形態では、電極12として酸化錫を不純物としてドープした酸化インジウム膜であるITO(Indium Tin Oxide:インジウム酸化第一錫)膜を用いており、透明電極のITO電極を0.1μmスパッタして形成されている。ただし、これに限定されるものではない。また、第1の基板1と第2の基板2を接合した際に形成される振動板4と電極12とのギャップGは、凹部13、電極12および振動板4により決まることになり、この実施の形態では、ギャップGは0.2μmとなっている。さらに、発振回路18と第1の基板1との接続は、ドライエッチングにより第1の基板1の一部に開けた酸化膜(図示せず)において行われている。
【0017】
第3の基板3は、例えば厚さ約100μmのSi基板であり、その上面には、吐出室5用の凹部6と連通するノズル孔16が設けられ、下面には、吐出室5用の凹部6とリザーバ9用の凹部10とを連通するオリフィス7を構成する細溝8が設けられている。なお、ここではノズル孔16を有する第3の基板3を上側とし第2の基板2を下側として説明したが、実際に用いられる場合は、第3の基板3が下側となることが多い。
【0018】
このように構成されたインクジェットヘッド30は、発振回路18より電極12に0Vから35Vのパルス電圧を印加して電荷供給を行うと、電極12の表面がプラスに帯電して、対向する振動板4の下面はマイナスに帯電し、振動板4は静電気の吸引作用によって電極12に引きつけられて下方に撓む。これにより吐出室5の容積は広がる。ついで、電極12への電荷供給を停止すると、振動板4は元に戻る。このとき、吐出室5の容積も元に戻るため、吐出室5の内圧が急激に上昇してノズル孔16よりインク液滴19が吐出し、記録紙20に着弾することによって記録が行われる。そして、次に振動板4が再び下方に撓むことにより、リザーバ9内のインクがオリフィス7を通って吐出室5内に補給される。
【0019】
このようなインクジェットヘッド30は、上述したようにインクの吐出バラツキを小さくすることが求められており、この実施の形態では、第1の基板1の製造時において結晶欠陥(酸素欠陥)の発生が抑えられるようにしたものである。この第1の基板1の製造工程について、図4の工程図を用いて説明する。なお、ここでは厚さが0.8μmの振動板4を有する第1の基板1を形成する場合を示し、実際にはシリコンウェハにより複数個分のインクジェットヘッド30の部材を形成することとなるため、図4ではその一部だけを表して説明する。
【0020】
(A)まず、第1の基板1となる(110)を面方位とする酸素濃度の低い(例えば15×1017atoms/cm3 以下)のSi基板41の両面を鏡面研磨し、厚さ140μmの基板を作製する。
(B)ついで、Si基板41の一方の面(ここでは下面)に、エッチングストップ層となるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )42を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が700W、チャンバー圧力が33.3Pa(250mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、膜厚均一性が±50nm以下の条件で、500nm成膜する。
なお、Si基板41上に成膜される膜はTEOS膜のみに限らず、600℃以下で成膜可能なSi酸化膜またはSi窒化膜であればよい。そして、Si酸化膜またはSi窒化膜42を用いる理由としては、Si基板41のエッチング時に用いられる水酸化カリウム溶液(またはSiエッチング可能なアルカリ溶液)に対するエッチングレートが非常に小さいこと(例えば35w%水酸化カリウム溶液に対するSi(基板)、Si酸化膜およびSi窒化膜のエッチングレートは、約2100nm/min、5.6nm/minおよび0.041nm/minであること)と、Si基板41との密着性が高いことが挙げられる。また、成膜方法もプラズマCVD法のみに限らず、スパッタリング法やその他のCVD法を用いてもよい。これらの成膜方法は、低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0021】
(C)Si基板41のエッチングストップ層となるSi酸化膜またはSi窒化膜42が成膜された面上に、振動板となる膜、多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43をECRスパッタリング法により0.8μm成膜する。多結晶Si薄膜の成膜方法には、一般的に熱CVD法が用いられるが、600℃以下で成膜するとアモルファスSiが形成されやすい。一方、ECRスパッタリング法は、成膜温度が500℃程度で多結晶Si薄膜を成膜することが可能であり、かつ膜厚均一性も熱CVD法での均一性が±10%程度であるのに対して±5%程度とよい。熱CVD法により成膜する場合は、約550℃でシラン(SiH4 )を熱分解して得られたアモルファスSiをレーザーアニールすることにより多結晶Si薄膜を形成する。また、単結晶Si薄膜を成膜する場合は、一旦多結晶Si薄膜を成膜した後、レーザーアニールを施して単結晶Si薄膜(疑似単結晶Si薄膜)を形成する。いずれの成膜方法も低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0022】
(D)次に、Si基板41の多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43が成膜された面(一方の面)上に、SiエッチングマスクとなるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )44を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が700W、チャンバー圧力が33.3Pa(250mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、膜厚均一性が±10%以下の条件で、3μm成膜する。その後、一方の面と対向する他方の面上に、SiエッチングマスクとなるSi酸化膜またはSi窒化膜(ここではTEOS−SiO2 )45を、Si酸化膜またはSi窒化膜44の場合と同様の条件で1μm成膜する。なお、Si基板41上および多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜43上に成膜される膜はTEOS膜のみに限らず、600℃以下で成膜可能なSi酸化膜またはSi窒化膜であればよい。この成膜方法も低温(600℃以下)で処理できるため、製造時のSi基板41中の結晶欠陥の発生が抑えられる。
【0023】
(E)ついで、Si基板41のSi酸化膜またはSi窒化膜45側に、レジストコートをして吐出室5、リザーバ9を形成するためのレジストパターニングを施し、Si基板41に成膜した膜がSi酸化膜の場合はフッ素水溶液、Si窒化膜の場合はドライエッチング法により、Si酸化膜またはSi窒化膜45をエッチングする。その後レジストを剥離してパターニングされたSi酸化膜またはSi窒化膜45を形成する。
(F)パターニングされたSi基板41を、高濃度例えば35w%濃度水酸化カリウム水溶液に浸し、エッチングストップ層42であるSi酸化膜またはSi窒化膜42に達するまでSiエッチングを行う。Siエッチングがエッチングストップ層に達すると、エッチング面から発生する気泡の量が極端に少なくなり、この少なくなった状態を見てエッチングストップと判断する。
Siエッチングでの吐出室5等の隔壁幅wの精度は、Si基板41中の結晶欠陥数によって変化するが、この製造工程では結晶欠陥の発生率を高くする温度領域、600℃〜800℃の領域で製造が行われていないため、結晶欠陥発生率は非常に低くなり、隔壁幅wの精度が非常に高くなって、吐出室5の体積のバラツキが抑えられる。これは、図5に示す従来の高温工程を含む製造方法で形成された吐出室5の隔壁幅と本発明に係る高温工程を含まない製造方法で形成された吐出室5の隔壁幅とを測定して比較したグラフからもわかるように、従来のものと比較して本発明のものは隔壁幅のバラツキが小さくなっている。これにより、インクの吐出バラツキが小さくなり、インクジェットヘッド30の吐出性能が安定化される。
【0024】
(G)次に、Si基板41のSiエッチングマスクとして用いたSi酸化膜またはSi窒化膜44,45と、エッチングストップ層42であるSi酸化膜またはSi窒化膜42を、Si酸化膜の場合はフッ素水溶液、Si窒化膜の場合は熱リン酸によりウェットエッチングし、取り除く。これにより、厚み精度0.8±0.08μm以下の振動板4が形成される。
(H)振動板形成後のSi基板41の全面に、絶縁膜となるTEOS膜46を、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が250W、チャンバー圧力が66.7Pa(500mTorr)、ガス流量がTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)の条件で、0.1μm成膜し、第1の基板1を作製する。
なお、TEOS膜46を成膜する前に、Si基板41を、成膜時の処理温度が360℃、高周波出力(RFパワー)が250W、チャンバー圧力が66.7Pa(500mTorr)、酸素(O2 )流量が1000cm3 /min(1000sccm)、処理時間が1分間の条件で、O2 プラズマ処理を施す。これにより、Si基板41の表面がクリーニングされTEOS膜46の絶縁耐圧の均一性が向上する。また、TEOS膜46を成膜した後に、TEOS膜46上に、窒素雰囲気中で、処理温度が1000℃、処理時間が1時間の条件で、アニール処理を施す。このアニール処理を施すことでTEOS膜46の緻密性が向上し、絶縁耐圧がさらに向上する。この場合、Si基板41を1000℃の高温に通すことになるが、Si基板41は吐出室5などが形成されるSiエッチングが済んでいるため、Si基板41中に結晶欠陥数が増加しても問題はない。
【0025】
このように、インクジェットヘッド30の第1の基板1の製造工程において、結晶欠陥の発生率を高くする600℃以上の高温領域(特に600℃〜800℃の温度領域)を通さずに第1の基板1を作製するようにしたので、Si基板41中の結晶欠陥発生率を低下させることができ、吐出室5等の隔壁幅wの精度を高くすることができ、吐出室5の体積のバラツキを抑えることができる。これにより、インクの吐出バラツキを小さくすることができて、インクジェットヘッド30の吐出性能を安定化させることができ、信頼性の高いインクジェットヘッド30を得ることができる。
また、上述した従来の高温プロセスを含む製造工程はプロセス総工数が12工程を有したが、本発明の実施の形態に係る製造工程はプロセス総工数が8工程であり、従来の(c)〜(f)の工程が不要となった。これによりプロセス総工数を短縮することができ、インクジェットヘッド30の低コスト化が可能となる。
【0026】
なお、上述の実施の形態では、(A)〜(H)の製造工程で製造されたインクジェットヘッド30を記録装置に搭載した場合を示したが、吐出性能の安定化が図れたインクジェットヘッド30は、カラーフィルター製造装置、電界発光基板製造装置およびマイクロアレイ製造装置など、吐出した液滴のバラツキが小さいことが望まれる様々な装置に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図。
【図2】実施の形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図3】図2のX−X線矢視図。
【図4】実施の形態に係る第1の基板の製造工程図。
【図5】実施の形態に係る第1の基板の隔壁幅の精度を示すグラフ。
【符号の説明】
1 第1の基板、4 振動板、5 吐出室、6 吐出室用の凹部、9 リザーバ、10 リザーバ用の凹部、30 インクジェットヘッド、41 Si基板、42 Si酸化膜またはSi窒化膜(エッチングストップ層)、43 多結晶Si薄膜または単結晶Si薄膜(振動板用膜)、44,45 Si酸化膜またはSi窒化膜(エッチングマスク膜)、46 TEOS膜(絶縁膜)、w 隔壁幅
Claims (18)
- シリコン基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、
前記シリコン基板の製造工程を低温で処理することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - シリコン基板を有する液滴吐出ヘッドの製造方法において、
前記シリコン基板に部材を形成する工程の前の工程を低温で処理することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - 前記シリコン基板は、吐出室を構成することとなる凹部を有することを特徴とする請求項1または2記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記シリコン基板に部材を形成する工程の前の工程に、エッチングストップ層を形成する工程と、振動板となる膜を形成する工程と、部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項2または3記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- シリコン基板の一方の面にエッチングストップ層を形成する工程と、
前記エッチングストップ層上に振動板となる膜を形成する工程と、
前記振動板となる膜上およびシリコン基板の他方の面に部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程と、
前記シリコン基板の他方の面の膜を形成する部材に対応させてパターニングする工程と、
前記パターニングされたシリコン基板をエッチングする工程と、
前記エッチングされたシリコン基板の前記エッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜を除去する工程と、
前記エッチングストップ層および部材を形成する際のマスクとなる膜が除去されたシリコン基板の全面に絶縁膜を形成する工程と
を含み、少なくとも前記エッチングストップ層、振動板となる膜および部材を形成する際のマスクとなる膜を形成する工程を低温で処理することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - 低温を600℃以下とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記シリコン基板を酸素濃度の低いシリコン単結晶基板とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記エッチングストップ層をシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜により構成することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記部材を形成する際のマスクとなる膜をシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜により構成することを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を、スパッタリング法またはプラズマCVD法により成膜することを特徴する請求項8または9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記振動板となる膜を多結晶シリコン薄膜または単結晶シリコン薄膜により構成することを特徴とする請求項4乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記多結晶シリコン薄膜を、ECRスパッタリング法または熱CVD法およびレーザーアニール法により成膜することを特徴する請求項11に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記単結晶シリコン薄膜は、前記多結晶シリコン薄膜を成膜した後レーザーアニール法により形成することを特徴とする請求項11に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて製造したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする記録装置。
- 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とするカラーフィルター製造装置。
- 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする電界発光基板製造装置。
- 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とするマイクロアレイ製造装置。
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