JP2002144589A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2002144589A
JP2002144589A JP2000347777A JP2000347777A JP2002144589A JP 2002144589 A JP2002144589 A JP 2002144589A JP 2000347777 A JP2000347777 A JP 2000347777A JP 2000347777 A JP2000347777 A JP 2000347777A JP 2002144589 A JP2002144589 A JP 2002144589A
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concentration
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jet head
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板の割れ、基板同志の接合不良が
発生する。 【解決手段】振動板10を形成しない面の高濃度p型不
純物層21bの不純物のドース量が振動板10を形成す
る面の高濃度p型不純物層21aの不純物のドース量よ
りも小さくなるように、シリコン基板21の両面に高濃
度p型不純物層を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットヘッドに
関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用するインクジェットヘッド
としては、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが
連通する吐出室(インク流路、インク室、圧力室、液
室、加圧室、加圧液室等とも称される。)と、この圧力
発生室の壁面を形成する振動板と、この振動板を変形変
位させる駆動手段(圧電素子或いは振動板に対向する電
極)とを備え、駆動手段で振動板を変形させて、吐出室
内の圧力/体積を変化させることによりノズルからイン
ク滴を吐出させるインクジェットヘッドが知られてい
る。
【0003】このような振動板を用いるインクジェット
ヘッドのうち、特に振動板とこれに対向する電極を用い
る静電型インクジェットヘッドにおいては、振動板の機
械的変位特性はインク摘吐出特性に大きく影響し、振動
板の薄膜化、高精度化が必要になる。
【0004】ところで、従前、振動板をシリコン(S
i)基板にエッチングすることにより形成する場合、エ
ッチング時間を管理して振動板の厚みを管理する方法が
取られている。しかし、インクジェットヘッドが小型高
性能化するにしたがって、振動板は薄膜化し、更に厚み
精度が要求されるようになると、エッチング時間の管理
だけでは困難となっている。
【0005】そこで、特開平6−71882号公報など
に記載されているように、エッチストップ技術を用い、
p型不純物層ではエッチング速度が遅いことを利用し、
p型不純物層のみをシリコン基板にエッチングすること
により残留せしめて、振動板となる薄膜を形成する方法
などが取られている。
【0006】このように、シリコン基板にp型不純物層
を形成する方法としては、液体、固体等をソースとする
気相拡散法、イオン注入法、拡散源をシリコン基板に直
接コーティングする塗布法等がある。
【0007】しかしながら、上記p型不純物層を形成す
る方法のうち、イオン注入法は、高価な注入装置を必要
としたり、或いは、ドープできる濃度や深さに限界があ
る。また、気相拡散法は、基板に接するのが気体である
ため、基板表面での拡散源の濃度が低く、高濃度に深く
拡散させることが難しい。
【0008】これに対し、塗布法による不純物拡散では
シリコン基板上に固体である高濃度拡散源が接している
ため、ガスが接する気相拡散方法と比較して、高濃度の
拡散や短時間の拡散が可能である。
【0009】しかし、シリコン基板の片側のみに高濃度
不純物層を形成すると、シリコン基板の厚みが薄い場
合、高濃度不純物層の引っ張り応力により高濃度不純物
層を形成する側に向かって凹形に反りが発生するという
問題がある。シリコン基板に反りが発生すると、シリコ
ン基板が割れてしまったり、或いはその後の電極を形成
した基板やノズルを形成した基板との接合において接合
不良が発生したり、或いはまた、ウェハカセット、ウェ
ハホルダー、ウェハチャック等の治具、搬送装置等にセ
ットできなくなるといった問題が生じる。
【0010】そこで、従来のインクジェットヘッドにあ
っては、特開平9−216357号公報に記載されてい
るように、振動板を形成する基板の両面に、拡散剤をス
ピンコーティングし、その後クリーンオーブンでベーク
乾燥して高濃度不純物拡散層を形成することによって、
高濃度不純物拡散層の応力によるシリコン基板の反りを
緩和するものが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のインクジェットヘッドのように、拡散剤を基板
の両面にスピンコーティングし、その後クリーンオーブ
ンでベーク乾燥することで基板の両面に高濃度不純物拡
散層を形成する場合、拡散剤をシリコン基板の両面にコ
ーティングするためには、表面(振動板を形成しない
面)に拡散剤をコーティングした後、裏面(振動板を形
成する面)に拡散剤をコーティングするときに、その表
面側の拡散剤の乾燥が不完全な状態でチャッキングしな
ければならないので、そのとき、乾燥の不完全な状態の
拡散剤に異物が付着したり、或いは拡散剤が剥げ落ちた
り、むらが生じたりするという課題がある。
【0012】ここで、裏面をコーティングする前にベー
クを入れて、その表面側の拡散剤を乾燥させるという方
法も取ることができるが、表面と裏面についてそれぞれ
コーティング後にベークを入れなければならないので、
製造工程が多くなり、製造コストが高くなるといった問
題が生じる。また、両面にコーティングするので、拡散
剤の材料コスト、コーティングのための工程コストが、
片面の場合に比べて2倍となるといった問題がある。
【0013】また、上述したように、塗布拡散以外の方
法で不純物層を形成するには、固体拡散法、イオン注入
法、気相拡散法等がある。ここで、固体拡散法で基板の
両面に拡散層を形成しようとする場合には、シリコン基
板の両面側に固体拡散源をおくことによって可能である
が、材料コスト、工程コストが高くなる。また、イオン
注入法においても基板の両面に拡散層を形成することが
可能であるが、イオン注入を2回行う必要があり、これ
もコスト高である。さらに、気相拡散法においては、両
面に拡散層を形成する場合でも片面と同等のコストで可
能であるが、前述したように高濃度に深く拡散層を形成
することが困難であり、エッチングストップにより振動
板を形成するには不向きである。
【0014】さらに、シリコン基板の両面に拡散剤を塗
布して高濃度不純物層を両面に形成した場合、振動板や
吐出室を形成するための水酸化カリウム水溶液などによ
る異方性エッチングにおいては、シリコン基板の表面に
形成した高濃度不純物層のためにエッチングが進まず、
エッチング時間がかかり、コストが高くなるという課題
もある。
【0015】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、シリコン基板の反りを緩和したイ
ンクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るインクジェットヘッドは、振動板を形
成する基板は両面に高濃度p型不純物層を形成したシリ
コン基板であり、振動板を形成しない面の高濃度p型不
純物層の不純物のドース量が振動板を形成する面の高濃
度p型不純物層の不純物のドース量よりも小さい構成と
したものである。
【0017】ここで、振動板を形成しない面の高濃度p
型不純物層の不純物のドース量が振動板を形成する面の
高濃度p型不純物層の不純物のドース量の20〜95%
の範囲内にあることが好ましい。また、高濃度p型不純
物層が塗布拡散法で形成されることが好ましい。さら
に、シリコン基板の型がp型であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した静電
型インクジェットヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘ
ッドのノズル板を除いた上面説明図、図3は同ヘッドの
吐出室長辺方向に沿う模式的断面説明図、図4は同ヘッ
ドの吐出室短辺方向に沿う模式的断面説明図である。
【0019】このインクジェットヘッドは、第一基板で
ある流路基板1と、流路基板1の下側に設けた第二基板
である電極基板3と流路基板1の上側に設けた第三基板
であるノズル板4とを積層した構造を有し、これらによ
り、複数のノズル5、各ノズル5が連通するインク流路
である吐出室6、吐出室6に流体抵抗部7を介して連通
する共通インク室8などを形成している。
【0020】流路基板1には、吐出室6及びこの吐出室
6の底部となる壁面を形成する振動板10を形成する凹
部、共通インク室8を形成する凹部などを形成してい
る。
【0021】この振動板10を形成する基板である流路
基板1は、両面に高濃度p型不純物層である高濃度ボロ
ン拡散層21a、21bを形成したp型のシリコン基板
21であり、振動板10を形成しない面の高濃度ボロン
拡散層21bのボロンのドース量は振動板を形成する面
の高濃度ボロン拡散層21のボロンのドース量よりも小
さくしている。ここで、高濃度p型不純物としては、ボ
ロンを用いているが、ボロン(B)の他、ガリウム(G
a)、アルミニウム(Al)等も用いることができる。
【0022】そして、ここでは、流路基板1は振動板と
なる厚み(深さ)に高濃度p型不純物であるボロンを拡
散して高濃度ボロン拡散層21a及びこれよりドーズ料
の小さい高濃度ボロン拡散層21bを形成し、高濃度ボ
ロン拡散層21aをエッチングストップ層として高濃度
ボロン拡散層21b側から異方性エッチングすることに
より、吐出室6となる凹部等を形成するときに所望の厚
さの振動板10を形成したものである。
【0023】なお、流路基板1の全面には、インクジェ
ットヘッド駆動時に絶縁破壊やショートが起こるのを防
止するため熱酸化により0.1μmのSIO2などの絶縁
膜11を成膜している。
【0024】電極基板3には、凹部14を形成して、こ
の凹部14の底面に振動板10に所定のギャップ16を
置いて対向する電極15を形成し、この電極15と振動
板10によって、振動板15を変位させて吐出室6の内
容積を変化させるアクチュエータ部を構成している。こ
の電極基板3の電極15上には振動板10との接触によ
って電極15が破損するのを防止するため、SIO2の絶
縁層17を成膜している。なお、電極15を電極基板3
の端部付近まで延設して外部駆動回路と接続手段を介し
て接続するための電極パッド部15aを形成している。
【0025】この電極基板3は、ガラス基板又はシリコ
ン基板の表面に厚さ2μmの熱酸化膜3aを形成した厚
さ0.6μmのシリコン基板上に、HF水溶液などでエ
ッチングにより凹部14を形成し、この凹部14に窒化
チタンなどの高耐熱性を有する電極材料をスパッタ、C
VD、蒸着などの成膜技術で所望の厚さに成膜し、その
後、フォトレジストを形成してエッチングすることによ
り、凹部14にのみ電極15を形成したものである。ま
た、シリコン基板には、インク供給口(インク取入口)
18となる貫通穴が設けられている。
【0026】このインク供給口18となる貫通穴は、流
路基板1と電極基板3を接合したときに、共通インク室
8の下側に配置されるように設けられ、吐出室6の並び
に沿って平行に長方形形状を形成している。このときイ
ンク供給口18(貫通穴)の流路基板1側での幅は共通
インク室8の幅よりも小さい方が好ましい。
【0027】すなわち、結晶面方位(110)のシリコ
ン基板で共通インク室8を形成すると、共通インク室8
の隔壁は鋸状になるが、このとき、インク供給口18
(貫通穴)の流路基板1側での幅が共通インク室8の幅
よりも大きいと、鋸歯がインク供給口18からのインク
の流れの中に存在することになり、インクが効率よく流
れなくなり、インク供給が不十分となるおそれがある。
そこで、インク供給口18(貫通穴)の流路基板1側で
の幅を共通インク室8の幅よりも小さくすることで、イ
ンクの効率的な流れを確保することができる。
【0028】上述した流路基板1と電極基板3とを陽極
接合、直接接合等のプロセスで接合した後、ギャップ1
6の開口部をエポキシ樹脂などの封止材19で外気から
気密封止する。なお、流路基板1と電極基板3とを接合
した後のギャップ16の長さ(振動板10と電極15と
の間隔)は、0.2μmとなっている。
【0029】ノズル板4は、例えばガラス又はプラスチ
ック、ステンレス等の金属、シリコン等の薄板からな
り、吐出室6に対応する位置に吐出室6の個数分のノズ
ル5が形成されている。また、流路基板1の吐出室6と
共通インク室8を連通するように流体抵抗部7を形成し
ている。このノズル板4と振動板10を形成するシリコ
ン基板21との接合によって、ノズル5に連通する吐出
室6、流体抵抗部7及び共通インク室8が区画形成され
る。
【0030】また、流路基板1には共通電極12を設け
ている。この共通電極12は、Al等の金属をスパッタ
してシンタリング(熱拡散)することにより付設してお
り、流路基板1との導通を確保して、半導体基板よりな
る流路基板1とオーミックコンタクトを取っている。そ
して、共通電極12と各個別の電極15に通じる電極パ
ッド部15aに、例えばリード線をボンディングしてド
ライバ20を接続する。
【0031】さらに、インク供給口18にはインク供給
管を接着して接続することにより、共通インク室8、吐
出室6等には、インクタンク(図示省略)からインク供
給口18を通して供給されたインクを充填する。なお、
使用するインクとしては、水、アルコール、トルエン等
の主溶媒にエチレングリコールなどの界面活性剤と、染
料又は顔料とを溶解又は分散させることにより調製した
ものを用いているが、インクジェットヘッドにヒーター
などを付設すれば、ホットメルトインクも使用できる。
【0032】このように構成したインクジェットヘッド
においては、個別の電極15に対して、ドライバ20に
より、例えば、正の電圧パルスを印加することで、電極
15の表面が正の電位に帯電し、この電極15に対向す
る振動板10の下面は負の電位に帯電するので、振動板
10は静電気力によって吸引されて個別の電極15との
間隔が狭まる方向へ撓む。このとき、振動板10が撓む
ことにより、インクがリザーバ(共通インク室)8から
オリフィス(流体抵抗部)7を経由して吐出室6に供給
される。
【0033】そこで、個別の電極15へ印加している電
圧パルスをオフにし、蓄えられている電荷を放電するこ
とによって、上述のように撓んだ振動板10は元の位置
に復元し、この復元動作によって、吐出室6の内圧が急
激に上昇して、ノズル5からインク滴が記録紙(図示省
略)に向けて吐出される。
【0034】この実施形態の流路基板1を形成するシリ
コン基板21としては、p型シリコン基板を用いてい
る。すなわち、流路基板1を形成するシリコン基板21
としてn型シリコン基板を用いると、高濃度ボロン拡散
層21a、21bはp型であるので、共通電極12から
振動板10の間はpnp接合が形成され、整流作用によ
り電流が流れなくなり、駆動できなくなる。そこで、こ
の実施形態ではシリコン基板21としてp型を用いてい
るので、電流が流れなくなることはない。しかも、共通
電極12の接続部には高濃度ボロン拡散層21bを形成
しているので、コンタクト抵抗が小さく、高効率の駆動
が可能になる。
【0035】次に、このインクジェットヘッドの製造工
程について図5以降をも参照して説明する。まず、図5
(a)に示すように、流路基板1となる高濃度ボロン拡
散層21a、21bを形成したシリコン基板21を製造
する。ここでは、結晶面方位(110)の厚さ200μ
mのp型シリコン基板21を用いて塗布拡散法によりボ
ロンを拡散することにより、高濃度ボロン拡散層21
a、21bを形成した。この高濃度ボロン拡散層21a
は後に振動板10を形成するものであり、また、高濃度
ボロン拡散層21bは応力によるシリコン基板21の反
りを緩和するためのものである。
【0036】具体的には、シリコン基板21をアンモニ
ア過水(液温80℃)にて5分、塩酸過水(温度80
℃)にて5分で洗浄した後、その10%のフッ酸にて3
0秒間表面の酸化膜を除去し、図8に示すように、シリ
コン基板21の一面に塗布拡散源31をスピンコートに
よって塗布する。
【0037】このようにシリコン基板21に塗布拡散源
31をスピンコートで塗布する場合、放射状に厚さむら
(ストライエーション)が発生することがある。そのよ
うな場合には、スピンコート時の風切り及び塗布拡散源
31のスピンコート中の乾燥を防ぐため、シリコン基板
21全体を覆う蓋をかぶせると良い。
【0038】また、ストライエーションによって、ドラ
イブ後に、B23層を除去した後の高濃度ボロン拡散層
21a、21bの表面に数十μmのピッチで凹凸が発生
し、後の電極基板3との接合で不良が発生することがあ
るので、スピンコート時に均一に塗布することが重要で
ある。
【0039】なお、塗布拡散源31としては例えば東京
応化工業製のFMK−58、MMK−40、6MK−3
7、3M−23等(いずれも商品名)を用いることがで
きるが、その他のものを用いることもできる。ここでは
塗布拡散源31に上記3M−23(商品名)を用いた。
これは比較的ボロン濃度の低い塗布拡散源であり、スピ
ンコート後に常温で乾燥するので、塗布後のベークを特
に入れなくてもよいが、ボロン濃度の高い塗布拡散源を
用いる場合にはスピンコート後にベークを入れたほうが
よい。
【0040】塗布拡散源31の塗布後、図8に示すよう
に、複数枚のシリコン基板21を石英或いはSiCなど
でできたボート32に4mmの間隔を隔てて並べ、窒素
を流した温度800℃の炉の中にロードする。その後、
10分間は窒素に濃度2〜3%の酸素を混入する。この
酸素は拡散源に含まれる有機物を酸化して飛ばすために
用いられる。その後、炉の温度を6℃/分のレートで1
125℃まで上昇させ、その状態で40分保持した後、
3℃/分のレートで800℃まで下げシリコン基板21
を取り出す。
【0041】これにより、両面に高濃度ボロン拡散層2
1a、21bが形成されたシリコン基板21が得られ
た。このとき、シリコン基板21の塗布拡散源31を塗
布した面には、図9に線aで示すように、ピーク濃度1
E20atoms/cm3、表面からの深さ2μmでの
濃度5E19atoms/cm3となる高濃度ボロン拡
散層が形成されたので、これを振動板10を形成する高
濃度ボロン拡散層21aとする。
【0042】また、シリコン基板21の塗布拡散源31
を塗布していない面には、図9に線bで示すように、ピ
ーク濃度7E19atoms/cm3、表面からの深さ
2μmでの濃度3E19atoms/cm3となる高濃
度ボロン拡散層が形成されたので、これを振動板10を
形成しない面の高濃度ボロン拡散層21bとする。
【0043】すなわち、通常はシリコン基板の高濃度ボ
ロン拡散層を形成しない面には酸化膜などの膜を付けて
おくが、ここではシリコン基板の塗布拡散源を形成しな
い面には何も膜を形成しておらず、ボート32上で向か
い合った隣接するシリコン基板21、21の一方に形成
した塗布拡散源31によって他方の塗布拡散源を形成し
ない面にもボロンが拡散され、この結果、一枚のシリコ
ン基板には塗布拡散源を形成した面にドーズ量が大きい
高濃度ボロン拡散層が形成され、塗布拡散源を形成して
いない面に相対的にドーズ量が小さい高濃度ボロン拡散
層が形成される。したがって、塗布拡散源を形成してい
ない面のドーズ量はシリコン基板21、21の間隔によ
って調整することができる。
【0044】ここでは、各シリコン基板21を4mmの
間隔を隔てて並べた結果、振動板を形成しない面(塗布
拡散源31を形成しない面)には、振動板を形成する面
(塗布拡散源31を形成した面)のドーズ量と比較して
68%のドーズ量で高濃度ボロン拡散層21bが形成さ
れた。この場合、各シリコン基板21の間隔が狭すぎる
と拡散ドライブで基板21同士が接触し、貼り付いてし
まうことがあるので、各シリコン基板21の間隔は1m
m以上とすることが好ましく、また、この間隔が広すぎ
ると拡散炉内のガスの流れが安定しなくなるので、各シ
リコン基板21の間隔は12mm以下にすることが好ま
しい。
【0045】このようなシリコン基板21、21の間隔
で拡散を行った場合、塗布拡散源31を形成しない面に
も、塗布拡散源31を形成した面のドーズ量の20%〜
95%のドーズ量で高濃度ボロン拡散層を形成できる。
このように、振動板を形成しない面の高濃度ボロン拡散
層21bのボロンのドーズ量を振動板を形成する面の高
濃度ボロン拡散層21aのボロンのドーズ量の20%〜
95%にすることで、振動板を形成する高濃度ボロン拡
散層21aの応力によるシリコン基板21の反りを緩和
することができる。
【0046】また、厚さ200μm以下の薄いシリコン
基板を用いる場合には、特に振動板を形成しない面の高
濃度不純物拡散層のドーズ量を振動板を形成する面の高
濃度不純物拡散層のドーズ量の40%以上にすること
で、シリコン基板の反りを確実に緩和することできる。
【0047】さらに、高濃度不純物拡散層を塗布拡散法
で形成することにより、両面に高濃度不純物拡散層を形
成する場合にも、材料コスト、工程コストともに片面に
高濃度不純物層を形成する場合と同等にすることがで
き、低コスト化を図れる。
【0048】すなわち、通常、塗布拡散でシリコン基板
21の両面に不純物拡散層を形成するためには、シリコ
ン基板の両面に塗布拡散源を塗布するので、材料コス
ト、工程コストが高くなる。また、固体拡散法で通常の
片面だけの拡散を行う場合には、図10(a)に示すよ
うに、固体拡散源33が1枚に対してシリコン基板21
は2枚拡散できるが、両面に不純物拡散層を形成する場
合には、同図(b)に示すように、シリコン基板21の
両側に固体拡散源33を配置しなければならず、固体拡
散源33のコスト或いはシリコン基板21の処理数が少
なくなるために、工程コストが高くなる。
【0049】これに対して、上述したように、シリコン
基板21の片面に塗布拡散源を塗布して、複数枚のシリ
コン基板21を所定の間隔で配置することにより、材料
コスト、工程コストとともに片面だけに拡散を行う場合
と同等でありながら、両面にも不純物拡散層を形成する
ことできる。
【0050】次いで、上述したようにシリコン基板21
の両面に高濃度ボロン拡散層21a、21bを形成した
後、高濃度ボロン拡散層21a、21bの表面に形成さ
れたB23層をフッ酸により除去する。B23層の下に
シリコンとボロンの化合物層が形成されており、これを
除去する場合は、酸化することによってフッ酸で除去で
きるようになる。このように酸化してフッ酸でシリコン
とボロンの化合物層を除去しても、ボロンの拡散された
シリコン基板21の表面にはマイクロラフネスが生じて
いるので、後に行う直接接合で接合することができな
い。
【0051】そこで、更にCMP(Chemical-Mechanica
l-Polishing)研磨を行って、シリコンとボロンの化合
物層ごと除去し、シリコン基板21の表面として直接接
合可能な表面性(表面粗さRa=5nm以下)を得る。
CMP研磨では、最表面を1000Å以下の研磨量で面
内均一に研磨することができるので、高濃度ボロン拡散
層21aの変化は微量である。この場合、その研磨量を
見込んでボロンを拡散させる拡散条件を決定すればよ
い。また、酸化してフッ酸処理してシリコンとボロンの
化合物層を除去してからCMP研磨を行ってもよい。
【0052】図5に戻って、上述したようにしてシリコ
ン基板21を製造する一方、同図(b)に示すように、
別の工程で電極基板3となるシリコン基板27を製造す
る。ここでは、両面研磨の厚さ600μmの結晶面方位
(100)の両面研磨したシリコン基板27に熱酸化膜
3aを形成し、この熱酸化膜3aにエッチングにより凹
部14を形成し、凹部14内に個別の電極15、絶縁層
17等を形成した。なお、凹部14や個別の電極15の
吐出室長手方向はシリコン基板27(電極基板3)の結
晶軸<110>方向に平行に形成する。
【0053】そして、これらの流路基板1となるシリコ
ン基板21を電極基板3となるシリコン基板27上に直
接接合で接合する。ここでは、減圧下においてプリボン
ドしたものを1000℃、2時間の熱処理をすることに
より接合した。このとき結晶面方位(110)のシリコ
ン基板21の結晶軸<1−12>方向と結晶面方位(1
00)のシリコン基板27の結晶軸<110>方向とが
平行となるように貼り合わる。
【0054】続いて、同図(c)に示すように、接合し
たシリコン基板21、27の各外面にLP−CVDによ
りシリコン窒化膜28a,28bを形成する。なお、L
P−CVD窒化膜以外にも、プラズマ窒化膜、プラズマ
酸化膜、熱酸化膜又はNi、Zr、Au等の耐アルカリ
の金属膜等も用いることができる。
【0055】次に、シリコン基板27上のシリコン窒化
膜28b上にレジストをコートし、露光、現像によりイ
ンク供給口18の形状のレジストパターンを形成する。
このパターンはシリコン基板27の結晶軸<110>方
向に平行な一辺を持つ長方形形状とする。このとき、流
路基板1となるシリコン基板21に形成する共通インク
室8とインク供給口18のパターンの位置が一致するよ
うにIR光によりアライメントする。
【0056】この場合、シリコンは長波長の光で透過率
が高くなるので、IR光によって内部の段差や金属膜の
パターンを見ることができる。ただし、シリコン表面が
鏡面でない場合、鮮明なIR像が得られなく精密なアラ
イメントが困難となるが、ここではシリコン基板27に
は両面研磨のシリコン基板を用いているのでIRアライ
メントでIR像をはっきり見ることができ、正確なアラ
イメントが可能となる。なお、シリコン基板27に片面
研磨の基板を用い、シリコン基板21との接合後にシリ
コン基板27を研磨しても良く、IRアライメント時に
シリコン基板27の表面が鏡面となっていればよい。
【0057】また、水酸化カリウム水溶液などのアルカ
リ液で異方性エッチングすることにより、後にシリコン
基板27にインク供給口18となる貫通穴を形成すると
き、この結晶面方位(100)の面を異方性エッチング
することで54.7゜の角度でテーパーが形成されるの
で貫通穴の大きさはシリコン基板27の厚さによって変
化する。したがって、シリコン基板27の厚さを制御す
ることを考えれば、シリコン基板21との接合の後に研
磨するよりも、予めシリコン基板27を両面研磨し、厚
さを制御したほうがよい。
【0058】次に、同図(d)に示すように、レジスト
の開口部のシリコン窒化膜28bをドライエッチにより
エッチング除去し、レジストをレジスト剥離液、硫酸等
のウェットプロセス或いは酸素プラズマアッシャーなど
のドライプロセスなどによって除去する。
【0059】続いて、同図(e)に示すように、濃度2
5wt%、温度90℃の水酸化カリウム水溶液によりシ
リコン基板27を異方性エッチングすることによって、
インク供給口18となる貫通穴29の一部を形成する。
このエッチング液では結晶面方位(100)の面のエッ
チングは2.5μm/分の速さで進行する。エッチング
が進行し熱酸化膜3aに達すると、熱酸化膜3aのエッ
チレートが非常に小さいためエッチングは停止する。
【0060】上述したように、シリコン窒化膜28bの
長方形開口パターンの一辺はシリコン基板27の結晶軸
<110>方向に平行となっているので、結晶面方位
(100)の面の異方性エッチングでは54.7゜の角
度で結晶面方位(111)の面よりなるテーパ面が形成
される。ここでは、1.35mmの幅の開口をエッチン
グした結果、熱酸化膜3aに到達したところのインク供
給口18となる貫通穴29の幅は0.5mmとなる。
【0061】次に、図6(a)に示すように、フッ酸系
エッチング液により貫通穴29によって露出している熱
酸化膜3aを除去する。
【0062】続いて、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板21上のシリコン窒化膜28a上にレジストをコ
ートし、露光、現像により吐出室6や共通インク室8な
どのレジストパターンを形成する。この場合、上述した
ように電極基板3の個別の電極15と吐出室6のパター
ンの位置が一致するようにIR光によりアライメントす
る。また、凹部14や個別の電極15の吐出室長手方向
はシリコン基板27の結晶軸<110>方向に平行であ
り、シリコン基板27の結晶軸<110>方向とシリコ
ン基板21との結晶軸<1−12>方向とを平行に接合
しているので、吐出室長手方向は必然的にシリコン基板
21の結晶軸<1−12>方向となる。
【0063】そして、レジストの開口部のシリコン窒化
膜28aをドライエッチによりエッチング除去し、レジ
ストを除去する。続いて、同図(c)に示すように、3
0wt%の水酸化カリウム水溶液によって温度80℃に
て、シリコン基板21の露出部分を高濃度ボロン拡散層
21aの手前まで異方性エッチングする。
【0064】この場合、シリコン基板21の上側及び下
側は高濃度ボロン拡散層21a、21bが形成されてい
るので周知のごとく高濃度ボロン拡散層21a、21b
のエッチレートは低くなるが、高濃度ボロン拡散層21
bは高濃度ボロン拡散層21aよりもボロンの濃度が低
くなっているので、エッチレートの低下が小さい。しか
も、高濃度ボロン拡散層21a、21bでは低濃度の水
酸化カリウム水溶液ではエッチレートが非常に小さくな
るが、上述したように高濃度の水酸化カリウム水溶液を
用いた場合には、エッチレートの低下は小さく、高濃度
ボロン拡散層21bをエッチングすることが可能であ
る。
【0065】また、シリコン基板21は結晶面方位(1
10)の基板を用いているので、貫通穴29の吐出室長
手方向(紙面垂直方向)はシリコン基板21の結晶軸が
一致せず、若干横方向にエッチングが進行する。
【0066】次に、同図(d)に示すように、エッチン
グ液をIPA(イソプロピルアルコール)を過飽和状態
に添加した30wt%の水酸化カリウム水溶液に変え
て、温度80℃にてシリコン基板21を異方性エッチン
グし、吐出室6、共通インク室8、高濃度ボロン拡散層
21aからなる振動板10を形成した流路基板1を形成
する。
【0067】このエッチング液ではシリコン基板21の
結晶面方位(110)の面のエッチングは1.5μm/
分の速さで進行する。また、このエッチング液では高濃
度ボロン拡散層21aに達すると、エッチレートは急激
に低下する。エッチング終了時にはエッチレート比(高
濃度ボロン拡散層21aのエッチレート/結晶面方位
(110)の面のエッチレート)は1/150に低下
し、厚さ2μmの振動板10が得られた。また、このと
き、貫通口29部分のシリコン基板21は両面からエッ
チングが進み高濃度ボロン拡散層21aが貫通する。
【0068】上述したように、ここでは、シリコン基板
21のエッチング液を途中で変えている。すなわち、最
初のエッチング液には高濃度ボロン拡散層21bであっ
てもエッチングが進行するものを選ぶ。例えば、エッチ
ング液には30wt%以上の高濃度の水酸化カリウム水
溶液を用いる。高濃度の水酸化カリウム水溶液であって
もエッチレートは低下するが、2μm程度の高濃度ボロ
ン拡散層21bをエッチングすることは可能である。
【0069】2番目のエッチング液にはIPAを添加し
た水酸化カリウム水溶液或いは低濃度の水酸化カリウム
水溶液、EDP等を用いて高濃度ボロン拡散層21aで
のエッチレートが小さくなるものを選ぶことにより、高
濃度ボロン拡散層21aに到達するとエッチレートが急
激に減少して、高濃度ボロン拡散層21aのみがシリコ
ン基板21に残留する。
【0070】以上の条件により振動板10の厚さは3σ
で2±0.08μm、エッチング表面性は光学干渉式表
面形状測定装置(ZYGO MAXIM3D)で測定し
た結果、表面粗さRa:0.01μmのものが得られ
た。
【0071】なお、水酸化カリウム水溶液はEDP(エ
チレンジアミンピロカテコール)に比べ、ボロン濃度に
対するエッチレートの低下が小さいが、水酸化カリウム
水溶液にIPAを添加した場合、IPAを添加しない水
酸化カリウム水溶液よりもボロン濃度の低い結晶面方位
(110)の面のエッチレートに対する高濃度ボロン拡
散層21aのエッチレート比が小さくなる。IPAは沸
点が低く熱を加えると蒸発が激しいので、蒸気を冷却し
て液化しエッチング槽に戻すための環流装置を付けるの
が好ましい。
【0072】また、高濃度ボロン拡散層21bを水酸化
カリウムなどのエッチング液以外に、ドライエッチング
によってエッチングすることも可能である。高濃度ボロ
ン拡散層21bが貫通した後に、上述したように高濃度
ボロン拡散層21aをエッチング液でエッチングする。
次に、シリコン窒化膜28b,28aを熱リン酸などに
よるウェットエッチによりエッチング除去する。なお、
このシリコン窒化膜28b,28aは除去せずにそのま
ま残しておいても良い。
【0073】続いて、同図(d)の線A−Aで示す位置
をダイシングすることによって、ウェハからチップサイ
ズに切り出す。その後、図7(a)に示すように、吐出
室6及び共通インク室8を保護するようにメタルマスク
30をかぶせて、電極パッド部15a上にある高濃度ボ
ロン拡散層21aをドライエッチによりエッチング除去
し、電極パッド部15a上の絶縁層17もドライエッチ
によりエッチング除去する。
【0074】最後に、シリコン基板21の高濃度ボロン
拡散層21b側にノズル板4を接合することによりイン
クジェットヘッドが完成する。このインクジェットヘッ
ドの共通電極12と電極パッド部15aをドライバ20
に接続することによりインクジェットヘッドの駆動が可
能となる。
【0075】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の他の実施形態について図11を参照して説明する。こ
のインクジェットヘッドは、電極基板43にパイレック
スガラス(ホウ珪酸ガラス)43を用いたものであり、
インク供給口18の断面形状を除いてその他の構成は前
記実施形態のインクジェットヘッドと同様である。
【0076】そこで、このインクジェットヘッドの製造
工程について図12及び図13を参照して説明する。ま
ず、同図(a)に示すように、結晶面方位(110)の
p型のシリコン基板21の両面に前述した方法により高
濃度ボロン拡散層21a、21bを形成し、同図(b)
に示すように、このシリコン基板21の両面に水酸化カ
リウム水溶液でエッチングするときのマスクとなるシリ
コン窒化膜28b、28aを形成する。
【0077】そして、同図(c)に示すように、シリコ
ン基板21上のシリコン窒化膜28a上にレジストをコ
ートし、露光、現像により吐出室6や共通インク室8な
どの形状のレジストパターンを形成する。次に、レジス
トの開口部のシリコン窒化膜28bをドライエッチによ
りエッチング除去し、レジストを除去する。
【0078】次に、同図(d)に示すように、前述した
と同様に、30wt%の水酸化カリウム水溶液によって
温度80℃にてシリコン基板21の露出部分を高濃度ボ
ロン拡散層21aの手前まで異方性エッチングし、続い
て、同図(e)に示すように、エッチング液をIPAを
過飽和状態に添加した25wt%の水酸化カリウム水溶
液に変えて、温度80℃にてシリコン基板21を異方性
エッチングして、高濃度ボロン拡散層21aをエッチン
グストップ層としてエッチングストップし、振動板10
を形成する。そして、破線で示す位置で切断して1つの
チップを形成する。
【0079】一方、同図(f)に示すように、別工程
で、電極基板43となるパイレックス(登録商標)ガラ
ス基板50に凹部14を0.5μmの深さまでエッチン
グして形成し、この凹部14に電極材料である金を0.
1μmスパッタして形成し、これをパターニングして個
別の電極15を形成し、更に絶縁層17を形成する。な
お、電極パッド部15aもボンディングのための金をス
パッタする。
【0080】そこで、図B(a)に示すようにシリコン
基板21をパイレックスガラス基板50上に重ね合わ
せ、シリコン基板21上に電極板52を、パイレックス
ガラス基板50の下面に電極板53を配設して、温度3
50℃にて、電極板52、53間に電源54から例えば
500Vの直流電圧を印加することで、シリコン基板2
1とパイレックスガラス基板50とを陽極接合によって
接合する。
【0081】なお、シリコン基板21はp型を用いてい
るので、陽極接合時にシリコン基板21に接続する電極
を任意の場所から取ることができるが、ここでは、電極
板52をシリコン基板21の上面全面に接触させてコン
タクトを取っている。電極板52との接触部分は高濃度
ボロン拡散層21bが形成されているのでコンタクト抵
抗を小さくできるという効果もある。
【0082】最後に、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板21の高濃度ボロン拡散層21b側にノズル板4
を接合することによりインクジェットヘッドが完成す
る。
【0083】なお、上記各実施形態においては、主とし
て本発明を振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じに
なるサイドシュータ方式のインクジェットヘッドに適用
したが、前述したように振動板変位方向とインク滴吐出
方向と直交するエッジシュータ方式のインクジェットヘ
ッドにも同様に適用することができる。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
クジェットヘッドによれば、振動板を形成する基板は両
面に高濃度p型不純物層を形成したシリコン基板であ
り、振動板を形成しない面の高濃度p型不純物層の不純
物のドース量が振動板を形成する面の高濃度p型不純物
層の不純物のドース量よりも小さくしたので、低コスト
で、高濃度p型不純物層の応力によるシリコン基板の反
りを低減することができ、安価で安定したインクジェッ
トヘッドを得ることができる。
【0085】ここで、振動板を形成しない面の高濃度p
型不純物層の不純物のドース量が振動板を形成する面の
高濃度p型不純物層の不純物のドース量の20〜95%
の範囲内にすることで、確実に高濃度p型不純物層の応
力によるシリコン基板の反りを低減することができる。
【0086】また、高濃度p型不純物層を塗布拡散法で
形成することで、両面同時に高濃度p型不純物層を形成
することが可能になり、片面に高濃度p型不純物層を形
成するのと同等のコストでシリコン基板の反りを低減す
ることができる。
【0087】さらに、シリコン基板の型がp型であるの
で、駆動回路を接続する共通電極もシリコン基板の任意
の場所に設けることができ、設計の自由度が大きくな
り、コンタクト抵抗が小さく、高効率の駆動が可能なイ
ンクジェットヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した静電型インクジェットヘッド
の分解斜視説明図
【図2】同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図
【図3】同ヘッドの吐出室長辺方向に沿う模式的断面説
明図
【図4】同ヘッドの吐出室短辺方向に沿う模式的断面説
明図
【図5】同ヘッドの製造工程の説明に供する模式的断面
説明図
【図6】同ヘッドの製造工程の説明に供する模式的断面
説明図
【図7】同ヘッドの製造工程の説明に供する模式的断面
説明図
【図8】図5(a)のシリコン基板の高濃度ボロン拡散
層の形成工程を説明する説明図
【図9】図8の製造工程で得られたシリコン基板のボロ
ン濃度分布図を説明する説明図
【図10】シリコン基板の高濃度ボロン拡散層の形成工
程の比較例の説明に供する説明図
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
ヘッドの吐出室長辺方向に沿う模式的断面説明図
【図12】同ヘッドの製造工程の説明に供する模式的断
面説明図
【図13】同ヘッドの製造工程の説明に供する模式的断
面説明図
【符号の説明】
1…流路基板、3…電極基板、3a…熱酸化膜、4…ノ
ズル板、5…ノズル、6…吐出室、10…振動板、15
…電極、21…シリコン基板、21a,21b…高濃度
ボロン拡散層。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するノズルと、前記ノズ
    ルが連通する吐出室と、この吐出室の壁面で形成する振
    動板と、この振動板を変形変位させる駆動手段とを備え
    たインクジェットヘッドにおいて、前記振動板を形成す
    る基板は両面に高濃度p型不純物層を形成したシリコン
    基板であり、前記振動板を形成しない面の高濃度p型不
    純物層の不純物のドース量が前記振動板を形成する面の
    高濃度p型不純物層の不純物のドース量よりも小さいこ
    とを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板を形成しない面の高濃度p型不純
    物層の不純物のドース量が前記振動板を形成する面の高
    濃度p型不純物層の不純物のドース量の20〜95%の
    範囲内にあることを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
    ヘッドにおいて、前記高濃度p型不純物層が塗布拡散法
    で形成されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記シリコン基板の型がp
    型であることを特徴とするインクジェットヘッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006295009A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Dainippon Printing Co Ltd 荷電粒子線用転写マスクの作製方法及び荷電粒子線用転写マスク
US7370940B2 (en) 2004-02-09 2008-05-13 Ricoh Company, Ltd. Liquid ejection head having improved durability against liquid, liquid cartridge having such a liquid ejection head, liquid ejection apparatus having such a liquid cartridge, image forming apparatus having such a liquid ejection apparatus, and manufacturing method of liquid ejecting head

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7370940B2 (en) 2004-02-09 2008-05-13 Ricoh Company, Ltd. Liquid ejection head having improved durability against liquid, liquid cartridge having such a liquid ejection head, liquid ejection apparatus having such a liquid cartridge, image forming apparatus having such a liquid ejection apparatus, and manufacturing method of liquid ejecting head
JP2006295009A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Dainippon Printing Co Ltd 荷電粒子線用転写マスクの作製方法及び荷電粒子線用転写マスク

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