JP3963341B2 - 液滴吐出ヘッド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとしては、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(加圧液室、圧力室、吐出室、インク流路等とも称される。)と、液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、振動板を静電力で変形変位させて液室インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドがある。
【0003】
このような静電型インクジェットヘッドにおいては、振動板の機械的変位特性はインク摘吐出特性に大きく影響し、振動板の薄膜化、高精度化が必要になるとともに、振動板と電極との間の微小ギャップを高精度に確保しなければならない。
【0004】
そこで、従来の静電型インクジェットヘッドにあっては、特開平6−23986号公報、特開平6−71882号公報などに記載されているように、振動板を形成するシリコン基板にボロンを拡散した高濃度ボロン拡散層を形成し、このシリコン基板を異方性エッチングすることにより、高濃度ボロン拡散層でエッチングストップすることから、高濃度ボロン拡散層による振動板を形成するようにしている。
【0005】
そして、振動板と電極との間の距離、即ちギャップ寸法を高精度に保つために、上記特開平6−23986号公報や特開平9−267479号公報に記載されているように、振動板を設けたシリコン基板と電極を設けたシリコン基板とを1100℃で直接接合するようにしている。この直接接合法は、SOI(Silicon-On-Insulator)ウエハの製造などに用いられ、信頼性の高い強固な接合力が得られる接合法として一般に知られているものであり、1100〜1200℃の高温で行うことでシリコン酸化膜の溶融の効果によって高い接合信頼性を得る接合法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の静電型インクジェットヘッドにあっては、1100〜1200℃という高温で直接接合を行わなければならないため、その温度管理を含めて接合装置が大型、複雑になって、ヘッドの製造コストが高くなる。また、電極やその保護膜を設けた電極基板に振動板を設ける振動板基板となるシリコン基板を直接接合した後エッチングにより振動板を形成するような場合には、電極基板側の構成要素にも高温接合に耐えるだけの耐熱性が要求されることになり、電極基板側の構成要素の材料が制限される。
【0007】
さらに、上述したように振動板などに高濃度ボロン層を用いた場合などは、直接接合時の加熱によってボロンの再分布が生じ、振動板の厚さにばらつきが生じて、インク滴吐出特性がばらついたり、或いはボロン濃度の低下によってエッチングストップ不能になって振動板を形成できないことがある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、低温で信頼性の高い直接接合を可能にし、高精度、高密度及び高信頼性の液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設ける第1基板及び電極を設ける第2基板がいずれもシリコン基板からなり、第1基板の振動板は高濃度P型不純物を含む第1の不純物層で形成され、振動板が形成される層と第2基板との接合面の少なくともいずれか一方にボロンを含有するシリコン酸化膜からなる第2の不純物層を有している構成とした。
【0010】
ここで、第2基板には電極を設けるための凹部を形成するシリコン酸化膜が形成され、このシリコン酸化膜の少なくとも第1基板との接合面側にボロンを含有している構成とできる。
【0011】
また、第1基板と第2基板とは第2の不純物層を介して直接接合されていることが好ましい。さらに、シリコン酸化膜にはイオン注入法によりボロンが含有されていることが好ましい。
【0012】
また、第2の不純物層には第1の不純物層の形成温度を越えない温度での直接接合を可能にする低融点化処理が施されていることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明に係る静電型インクジェットヘッドの一例について図1乃至図4を参照して説明する。なお、図1は分解斜視説明図、図2は同ヘッドの透過状態で示す上面説明図、図3は同ヘッドの振動板長手方向に沿う模式的断面説明図、図4は同ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説明図である。
【0014】
このインクジェットヘッドは、第一シリコン基板(第1基板)である流路基板1と、流路基板1の下側に設けた第二シリコン基板(第2基板)である電極基板3と、流路基板1の上側に設けた第三基板であるノズル板4とを重ねて接合した積層構造体であり、これらにより、複数のノズル5、各ノズル5が連通するインク流路である液室6、液室6に流体抵抗部7を介して連通する共通インク室8などを形成している。
【0015】
流路基板1には、シリコン基板(第一シリコン基板)を用いて、液室6及びこの液室6の底部となる壁面を形成する振動板10、各液室6を隔てる隔壁11を形成する凹部、共通インク室8を形成する凹部などを形成している。
【0016】
この流路基板1は、シリコン基板に振動板となる厚み(深さ)に高濃度P型不純物であるボロンを拡散し、この高濃度ボロン拡散層をエッチングストップ層として異方性エッチングを行うことにより液室6となる凹部等を形成するときに高濃度ボロン拡散層を残して所定の処理を施すことにより高濃度P型不純物を含む第1の不純物層で形成される所望厚さの振動板5を得たものである。
【0017】
なお、高濃度P型不純物としては、ボロンの他、ガリウム、アルミニウム等も用いることができる。また、アルカリ異方性エッチングストップ層としてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を用いて、振動板主材料に単結晶シリコン(この構造の基板は一般にSOI構造と呼ばれる。)や多結晶シリコンを用いることもできる。
【0018】
電極基板3には、シリコン基板(第二シリコン基板)を用いて、熱酸化法などで厚さ1μmのシリコン酸化膜11を形成し、このシリコン酸化膜11に深さ0.3μmの凹部14を形成して、この凹部14の底面に振動板10に所定のギャップ16を置いて対向する電極15を形成し、この電極15と振動板10によって、振動板15を変位させて液室6の内容積を変化させるアクチュエータ部を構成している。
【0019】
ここでは、電極15は、凹部14内にチタンナイトライドを0.1μmの厚さにスパッタし、このチタンナイトライドを電極形状にパターン化して形成している。したがって、このヘッドにおいては、電極基板3と流路基板1とを接合した後のギャップ16の長さ(振動板10と電極15との間隔)は、0.2μmとなっている。なお、電極15は、チタンナイトライドに代えて、ドープドポリシリコンやタングステンなどの高融点金属を用いることもできる。
【0020】
また、電極15の表面はCVD法により形成した0.1μm厚さのシリコン酸化膜などの絶縁層17により被膜して、インクジェットヘッド駆動時の絶縁破壊やショートが起こるのを防止するようにしている。この絶縁層17は製造プロセス中のチタンナイトライドからなる電極15の酸化を防止する機能も有している。さらに、電極15は電極基板3の端部付近まで延設して外部駆動回路と接続手段を介して接続するためのリード部15a及び電極パッド部15bを形成している。
【0021】
そして、これらの流路基板1と電極基板3とは1000℃を越えない温度、例えば800℃でシリコン酸化膜11を介して直接接合している。なお、本明細書においては、「1000℃を越えない温度による直接接合」を「低温直接接合」としている。この低温直接接合を行うため、流路基板1の接合面は、研磨加工面、もしくは研磨加工面を酸化した面として、極めて表面粗さの小さい良好な表面性を持つ面とすることで、電極基板3との直接接合を容易にしている。
【0022】
また、電極基板3のシリコン酸化膜11の接合部(接合面を含む部分)11aには、イオン注入などにより、ボロンもしくはB2O3を含有させて、1000℃を越えない温度での直接接合を可能にする低融点化処理を施すことで、電極基板3の接合部11aの低融点化を図っている。なお、本実施形態では電極15を設ける凹部14を形成するための電極基板3のシリコン酸化膜11に低融点化処理を施した接合部11aを形成しているが、流路基板1の振動板10の接合面側に低融点化処理を施したシリコン酸化膜を形成することもできる。つまり、振動板が形成される層と第2基板との接合面の少なくともいずれか一方にボロンを含有するシリコン酸化膜からなる第2の不純物層を有する構成とすればよい。
【0023】
また、ノズル板4は、厚さ50μmのステンレス材(SUS)を用いて、ノズル5、液体抵抗部7及び共通インク液室へ外部からインクを供給するためのインク供給口19を形成している。
【0024】
このインクジェットヘッドにおいては、電極15に駆動回路(ドライバIC)によって0Vから35Vのパルス電位を印加し、電極15の表面がプラスに帯電すると、対応する振動板10の下面はマイナス電位に帯電する。したがって、振動板10は静電気の吸引作用により下方へ撓む。次いで、電極15の電位をOFFにすると、振動板10は復元する。これにより、加圧室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル5よりインク滴が吐出される。次に、振動板10が再び電極15側へ撓むことにより、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて加圧室6内に補給される。
【0025】
この場合、振動板10が電極側絶縁膜17に当接するまで変位させる当接駆動方式で駆動したとき、振動板10の電極15と対向する面、すなわち絶縁膜17と接する面が極めて表面粗さの小さい良好な表面性を持つ研磨加工面であるため、絶縁膜17の絶縁破壊に対して高い信頼性を保証することができる。
【0026】
次に、このインクジェットヘッドの電極基板3の製造工程について図5を参照して説明する。
まず、同図(a)に示すように、厚さ625μmの結晶面方位(100)の第二シリコン基板である電極基板3の片側に厚さ1μmの熱酸化膜(シリコン酸化膜)11を形成する。そして、この熱酸化膜11表面からボロンを30keV、1E16(/cm3)で注入し、熱処理(酸素雰囲気中で900℃、10min)を施して、熱酸化膜11の接合面側にボロンを注入することで低融点化した接合部11aを形成する。ここで、ボロンを含む低融点化された接合部11aは、帯電しやすく絶縁耐圧も低くなるため、振動駆動部に影響を与えない接合面側のみにあることが好ましい。
【0027】
次いで、同図(b)に示すように、熱酸化膜11にフォトリソグラフィー技術、ウエットエッチング(フッ酸水溶液を使用)によって、深さ0.3μmの凹部14を形成する。なお、ウエットエッチングに代えてドライエッチングを用いてもよい。
【0028】
そして、同図(c)に示すように、凹部14が形成された電極基板3にチタンナイトライドをリアクティブスパッタにより厚み0.1μmに成膜し、リソグラフィー及びドライエッチングによりパターンニングして電極15を形成する。さらに、CVD法によりシリコン酸化膜を成膜し、リソグラフィー及びドライエッチングにより電極15を被覆するようにパターニングして絶縁膜17を形成する。
【0029】
次に、流路基板1の製造方法について図6乃至図8を参照して説明する。
まず、図6(a)に示すように、厚さ500μm、結晶面方位(110)の第一シリコン基板41の片側に、例えば固体拡散法によりボロン(B)を拡散する。なお、拡散方法は、この他にBBr3を用いた気相拡散法、イオン注入法、B2O3を有機溶媒に分散させウエハ上にスピンコートする塗布拡散法などを用いることもできる。
【0030】
この固体拡散として、1150℃(O2:N2=0.25:1)で1時間の拡散を行った結果、ピーク値が1.5E20/cm3、深さ2.0μmで1E20/cm3である高濃度Bドープシリコン層51が得られ、高濃度Bドープシリコン層51の形成の際、第一シリコン基板41の最表面に厚さが約150nmのガラス層53が形成され、ガラス層53と高濃度Bドープシリコン層51との間には厚さが約30nmのシリコン−ボロン合金(SiB4 〜 6)層52(合金層)が形成される。
【0031】
そこで、同図(b)に示すように、ガラス層53をフッ酸(フッ化水素酸(HF)の濃度10%)水溶液に15分浸すことによりエッチング除去する。これにより、第一シリコン基板41の表面にはシリコン−ボロン合金層52が現出する。この合金層52の表面は、原子間力顕微鏡(AFM)により測定した結果、表面粗さが大きく(Ra=1.8nm:測定エリアは10μm□)、このままでは直接接合することができない。
【0032】
そこで、同図(c)に示すように、第一シリコン基板41のシリコン−ボロン合金層52表面側から、CMP(Chemical-MechaNical-POlishiNg)を行って、合金層52を完全に除去する。
【0033】
このCMPでは、図7に示すように、所定のテーブル速度で回転する研磨プレート55に設けた研磨パッド56に対して、所定のキャリア速度で回転する研磨ヘッド57に取り付けたウエハW(ここでは第一シリコン基板41)の研磨する面を所定の加圧力で押し付け、スラリー液58を滴下しながら研磨する。
【0034】
ここでは、スラリー液57としてヒュームドシリカを含有するKOHベースのスラリー(SEMI-SPRESE25:商品名)を脱イオン水にて1:1に希釈したものを用いた。希釈後のスラリー液のpH値は10.8であった。ここで、スラリー液57は被研磨材料によって研磨レートが異なってくるため、被研磨材料により最適なスラリー液を選定することが好ましい。また、研磨パッド56も研磨する基板によって使用するパッドを選定することが好ましい。
【0035】
例えば、酸化膜研磨用などによく使用されるパッドでIC1000・SUBAでもよいが、より表面粗さを小さくするにはシリコンウエハの鏡面研磨加工や仕上げ研磨用に用いられるソフト型の研磨パッド (サーフィンなど)を用いることが好ましいので、これを用いて研磨した。
【0036】
この場合、
テーブル速度/キャリア速度=38rpm/25rpm
研磨加圧=100g/cm2
研磨時間=2分(なお、研磨レートは45nm/minであった。)
として、研磨を行った後、ウェハの洗浄ではスクラブ洗浄(1%HFディップ)1分間、純水リンスを20分間施した。
【0037】
更にクリーン度を求めるときには、汚染物(contamination)除去として硫酸過水(H2SO4:H2O2:H2O=1:1:5)洗浄やアンモニア過水洗浄(NH4OH:H2O:H2O=1:1:5)などをこれに加えることが好ましい。
【0038】
この研磨加工により、合金層52を研磨除去すると共に、信頼性の高い直接接合が可能な表面粗さ(原子間力顕微鏡により測定した結果、表面粗さ(Ra=0.2nm:測定エリアは10μm□))をもつ高濃度Bドープシリコン層51が得られる。
【0039】
この研磨加工では、合金層52とその下の高濃度Bドープシリコン層51の一部を研磨除去することになるが、高濃度Bドープシリコン層51の研磨除去量(厚さ)の変動はそのまま振動板厚さの変動となるため、高い精度で研磨除去量を管理する必要がある。そのためには、研磨量を小さく(好ましくは2000Å以下に)抑える。ここでは、高濃度Bドープシリコン層51の研磨量(とり代)は900Åで研磨量のばらつきは±150Å以下であった。
【0040】
次に、図8(a)に示すように、凹部14、電極15などを形成した電極基板3と第一シリコン基板41とを硫酸過水(硫酸と過酸化水素水を体積比2:1で混合したもの、温度100℃)にて洗浄し、乾燥後、電極基板3に第一シリコン基板41を減圧下(室温)で重ね合わせ、窒素雰囲気中にて800℃、2時間の加熱処理を行って、電極基板3と第一シリコン基板41とを直接接合した。
【0041】
このとき、電極基板3の酸化膜11の接合部11aはボロンの注入によって低融点化しているので、800℃程度の加熱処理でも溶融し、強固な結合が得られる。また、第一シリコン基板41の接合面は前述したように研磨加工によって表面ラフネスが極めて小さな面となっているので、高い信頼性での接合が可能となる。この結果、ボイドが無く、ギャップ寸法を高精度に保つ、強固な接合状態が得られた。
【0042】
次いで、同図(b)に示すように、厚さ500μmの第一シリコン基板41を厚さ100μmまで研磨によって薄くする。その後、同図(c)に示すように、接合した基板63全体にLP−CVDによりシリコン窒化膜64を形成し、シリコン窒化膜64上にレジストをコートし、露光、現像により吐出室6や共通インク室8などの液室形状のレジストパターンを形成する。このとき、電極基板3の電極15と吐出室6のパターンの位置が一致するようにIR光によりアライメントする。そして、同図(d)に示すように、レジストの開口部のシリコン窒化膜64をドライエッチによりエッチング除去し、レジストを除去して、シリコン窒化膜64のマスクパターンを形成する。
【0043】
そして、基板63をKOH(10wt%)水溶液に浸し、第一シリコン基板41をエッチングする。パターニングしたシリコン窒化膜64側の開口部からエッチングが進み、ボロン濃度が1E20/cm3である深さに達した時エッチングがストップし(エッチレートが極端に下がり)、同図(e)に示すように、高濃度ボロンドープシリコン層51から成る振動板10及び吐出室6等を形成した流路基板1が形成される。
【0044】
このようにして形成された振動板10の厚さはウエハ面内において2μm±0.1μmのバラツキに抑えることができた。なお、このバラツキにはCMP工程時に起因したバラツキ(±0.015μm)が含まれている。
【0045】
なお、上記実施形態においては、振動板の変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイドシュータタイプのインクジェットヘッドを例として説明したが、振動板の変位方向とインク滴吐出方向が直交する方向になる(この場合、第三基板は単なる蓋部材となる。)エッジシュータタイプのインクジェットヘッドにおいても適用することができ、クロストークの低減、接合面積を大きくすることができる。
【0046】
また、上記各実施形態においては本発明を静電型インクジェットヘッドに適用した例で説明したが、インク滴を吐出するインクジェットヘッド以外にも、例えば液体レジストを吐出するための液滴吐出ヘッドなどにも同様に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板を設ける第1基板及び電極を設ける第2基板がいずれもシリコン基板からなり、第1基板の振動板は高濃度P型不純物を含む第1の不純物層で形成され、振動板が形成される層と第2基板との接合面の少なくともいずれか一方にボロンを含有するシリコン酸化膜からなる第2の不純物層を有している構成としたので、低温直接接合が可能になり、高精度、高密度、高信頼性のヘッドを得ることができる。
【0048】
ここで、第2基板には電極を設けるための凹部を形成するシリコン酸化膜が形成され、このシリコン酸化膜の少なくとも第1基板との接合面側にボロンを含有している構成とすることで、低温直接接合が可能になり、高精度、高密度、高信頼性のヘッドを得ることができる。
【0049】
また、第1基板と第2基板とは第2の不純物層を介して直接接合されていることにより、低温直接接合を行うことができて、低コストで、高精度、高密度、高信頼性のヘッドを得ることができる
さらに、シリコン酸化膜にはイオン注入法によりボロンを含有することで、比較的容易に注入深さなどを高精度に制御することができる。
【0050】
また、第2の不純物層には第1の不純物層の形成温度を越えない温度での直接接合を可能にする低融点化処理が施されていることで、低温直接接合が可能になって高精度、高密度、高信頼性のヘッドを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電型インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの透過状態で示す上面説明図
【図3】同ヘッドの振動板長手方向に沿う模式的断面説明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向に沿う模式的断面説明図
【図5】同ヘッドの電極基板の製造工程の説明に供する説明図
【図6】同ヘッドの流路基板の製造工程の説明に供する説明図
【図7】図6の研磨工程の説明に供する説明図
【図8】同ヘッドの製造工程の説明に供する説明図
【符号の説明】
1…流路基板、3…電極基板、4…ノズル板、5…ノズル、6…液室、10…振動板、11…熱酸化膜、11a…ボロンを含有する接合部、15…電極、41…第一シリコン基板。
Claims (5)
- 液滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、前記振動板を静電気力で変位変形させて、前記ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
前記振動板を設ける第1基板及び前記電極を設ける第2基板がいずれもシリコン基板からなり、
前記第1基板の振動板は高濃度P型不純物を含む第1の不純物層で形成され、
前記振動板が形成される層と第2基板との接合面の少なくともいずれか一方にボロンを含有するシリコン酸化膜からなる第2の不純物層を有している
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記第2基板には前記電極を設けるための凹部を形成するシリコン酸化膜が形成され、このシリコン酸化膜の少なくとも前記第1基板との接合面側にボロンを含有していることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記第1基板と前記第2基板とは前記第2の不純物層を介して直接接合されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜にはイオン注入法によりボロンが含有されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記第2の不純物層には前記第1の不純物層の形成温度を越えない温度での直接接合を可能にする低融点化処理が施されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
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