JP2002029048A - 液滴吐出ヘッド - Google Patents

液滴吐出ヘッド

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JP2002029048A
JP2002029048A JP2000213063A JP2000213063A JP2002029048A JP 2002029048 A JP2002029048 A JP 2002029048A JP 2000213063 A JP2000213063 A JP 2000213063A JP 2000213063 A JP2000213063 A JP 2000213063A JP 2002029048 A JP2002029048 A JP 2002029048A
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diaphragm
concentration
silicon substrate
droplet discharge
discharge head
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Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連
通する吐出室と、この吐出室内のインクを加圧する圧力
発生手段を備えて、圧力発生手段で発生した圧力で吐出
室の壁面を形成している振動板を変形させインクを加圧
してノズルからインク滴を吐出させる液滴吐出ヘッドに
おいて、吐出特性に影響の大きい振動板の厚さのバラツ
キを小さくして、吐出特性のバラツキが少ない液滴吐出
ヘッドの提供。 【解決手段】振動板10がP型シリコン基板に形成され
た高濃度P型不純物層を含み、P型シリコン基板のボロ
ン濃度が1E19(atoms/cm3)を越えないも
のとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッドに関す
る。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置或いは画像形成装置として用い
るインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘ
ッドであるインクジェットヘッドとしては、インク滴を
吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出室(液
室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される。)
と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発
生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した圧力で吐出
室内のインクを加圧することによってノズルからインク
滴を吐出させる。
【0003】従来のインクジェットヘッドとしては、圧
電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を
形成している振動板を変形変位させることでインク滴を
吐出させるピエゾ型のもの、吐出室内に配設した発熱抵
抗体を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてイン
ク滴を吐出させるバブル型のもの、吐出室の壁面を形成
する振動板(又はこれと一体の電極)と電極を用いて静
電力で振動板を変形変位させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0004】ここで、特に静電力で振動板を変形させる
静電型インクジェットヘッドにおいては、振動板の機械
的変形特性はインク吐出特性に大きく影響するので、振
動板の厚みを高精度に制御する必要がある。そこで、従
前は、シリコン(Si)基板のエッチング時間を管理し
てエッチングすることで、所要厚みの振動板を形成する
方法が用いられていたが、インクジェットヘッドの小型
高性能化が進むにつれて、振動板の更なる薄膜化による
高精度の厚み精度が要求されるようになり、エッチング
時間を管理するだけでは高精度の振動板を形成すること
が困難になった。
【0005】そのため、従来、特開平6−71882号
公報や特開昭53−63880号公報に掲載されている
ように、P型高濃度不純物層のエッチング速度が遅いこ
とを利用して、シリコン基板にP型高濃度不純物層を形
成して、このP型高濃度不純物層でエッチングをストッ
プさせることで、P型高濃度不純物層からなる振動板を
形成することが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような高濃度不純物層によるエッチングストップと言
っても、完全にエッチングが停止するのではなく、エッ
チレートが極端に低下するだけである。そのため、エッ
チングが高濃度不純物層に達してからのエッチング時間
の差によって振動板の厚さにバラツキが生じる。
【0007】また、ノズルが高密度に配列された高密度
ヘッドが要求されてくると、振動板もより高密度に配置
しなければならないが、振動板を高密度に並べるために
は、振動板幅を狭くしなければならず、幅の狭い振動板
で所要のインク滴吐出特性を確保するために振動板の厚
さを薄くしなければならない。この場合、振動板の振動
変位量は、振動板の厚さの3乗に反比例するので、振動
板の厚さが薄くなると振動板の厚さのバラツキの絶対値
を小さくしなければならなくなる。
【0008】さらに、インクジェットヘッドの低コスト
化のための量産工程では、複数枚のシリコン基板を同時
にエッチング液に浸漬し、エッチング時間をシリコン基
板の厚さによって決定するが、この場合、各シリコン基
板のエッチレートにバラツキがあると、高濃度不純物層
に至るまでの時間に差が生じて振動板の厚さにバラツキ
が生じることになる。
【0009】このように、振動板の厚さにバラツキが生
じると、各ノズルから吐出するインク滴の吐出特性(滴
体積Mj、滴速度Vj)にバラツキが生じ、また、各ヘ
ッド間でのインク滴の吐出特性(滴体積Mj、滴速度V
j)にもバラツキが生じることになる。
【0010】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、滴吐出特性のバラツキが少ない液滴吐出ヘッド
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板がP型シリ
コン基板に形成した高濃度P型不純物層を含み、P型シ
リコン基板のボロン濃度が1E19(atoms/cm
3)を越えない構成としたものである。
【0012】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板が
N型シリコン基板に形成した高濃度P型不純物層を含
み、このN型シリコン基板のヒ素濃度が5E18(at
oms/cm3)を越えない構成としたものである。
【0013】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板が
N型シリコン基板に形成した高濃度P型不純物層を含
み、このN型シリコン基板のリン又はアンチモン濃度が
1E18(atoms/cm3)を越えない構成とした
ものである。
【0014】これらの本発明に係る液滴吐出ヘッドにお
いて、高濃度P型不純物としてはボロンを用いることが
好ましい。また、本発明に係る液滴吐出ヘッドとして
は、振動板に対向する電極を有し、振動板を静電力で変
形変位させるもの、或いは振動板に対応する電気機械変
換素子を有し、電気機械変換素子の変形で振動板を変形
させるものが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した静電
型インクジェットヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘ
ッドの透過状態で示す上面説明図、図3は同ヘッドの吐
出室長辺方向に沿う模式的断面説明図、図4は同ヘッド
の吐出室短辺方向に沿う模式的断面説明図である。
【0016】このインクジェットヘッドは、第一基板で
ある流路基板1と、流路基板1の下側に設けた第二基板
である電極基板3と流路基板1の上側に設けた第三基板
であるノズル板4との3つの基板を重ねて接合した積層
構造からなり、複数のノズル5、各ノズル5が連通する
インク流路である吐出室6、吐出室6に流体抵抗部7を
介して連通する共通インク室8などを形成している。
【0017】流路基板1には、吐出室6及びこの吐出室
6の底部となる壁面を形成する振動板10、各吐出室6
を隔てる隔壁11を形成する凹部、共通インク室8を形
成する凹部などを形成している。
【0018】この流路基板1は、P型シリコン基板を用
いて、これに高濃度P型不純物としてボロン(B)を拡
散した高濃度ボロン拡散層を形成し、このボロン拡散層
をエッチングストップとして、高濃度ボロン拡散層を含
む振動板10を形成している。なお、高濃度P型不純物
としては、ボロン(B)以外にも、ガリウム(Ga)、
アルミニウム(Al)等が用いられるが、半導体分野に
おいて一般的なボロンを用いることが好ましい。
【0019】すなわち、シリコン基板のドーパントをボ
ロンとしてアルカリ液によるシリコン基板のエッチング
を行った場合、エッチングレートは高濃度の領域で非常
に小さくなる。そこで、振動板10の形成領域を高濃度
ボロンドープ層とし、シリコン基板をアリカリ異方性エ
ッチングして、吐出室6、共通インク室8を形成すると
きに、ボロンドープ層が露出してエッチングレートが極
端に小さくなった時点でエッチストップとすることによ
り、所要の厚みの振動板10を形成する。
【0020】電極基板3には、シリコン基板を用いて熱
酸化等で酸化膜3aを形成し、この酸化膜3aに凹部1
4を形成して、この凹部14の底面に振動板10に所定
のギャップ16を置いて対向する電極15を形成し、こ
の電極15と振動板10によって、振動板10を変位さ
せて吐出室6の内容積を変化させるアクチュエータ部を
構成している。
【0021】なお、電極15は電極リード部15aを介
して外部に延設して、外部駆動回路(ドライバIC)と
接続するための端子部15bを一体に形成している。ま
た、端子部15bを除いてシリコン酸化膜を全面に0.
1μm厚みで被覆して絶縁層17とし、駆動時の絶縁破
壊、ショートを防止するようにしている。
【0022】なお、具体的には、シリコン基板に2μm
厚みの酸化膜3aを形成し、この酸化膜3aに深さ0.
3μm、電極15よりやや大きめの電極形状に類似した
形状の凹部14をエッチングで形成して、この凹部14
の底面に電極15となる窒化チタンを0.1μmスパッ
タし、窒化チタンをパターン化することで電極15を形
成している。したがって、流路基板1と電極基板3を接
合した後のギャップ16(振動板10と電極15との間
隔)は0.2μmとなる。また、電極基板3はシリコン
基板の変わりにバイレックスガラス基板を用いてもよ
い。バイレックスガラス基板を用いた場合、流路基板1
とは陽極接合によって接合できる。
【0023】ノズル板4は、厚さ50μmのステンレス
材(SUS)を用いて、ノズル5、液体抵抗部7及び共
通インク吐出室8へ外部からインクを供給するためのイ
ンク供給口19を形成している。
【0024】上記のように構成したインクジェットヘッ
ドにおいては、電極15に駆動回路20によって0V〜
35Vのパルス電位を印加すると、電極15の表面がプ
ラスに帯電し、対応する振動板10の下面がマイナス電
位に帯電するので、振動板10は静電気の吸引作用によ
り電極15側に撓む。次に、電極15へのパルス電位の
印加をオフにすると、振動板10が復元し、これによ
り、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル5からイ
ンク滴が吐出される。さらに、振動板10が再び電極1
5側へ撓むことにより、インクが共通インク室8から流
体抵抗部7を介して吐出室6内に補給される。
【0025】次に、このインクジェットヘッドの製造工
程について図5及び図6をも参照して説明する。図5
(a)に示すように、結晶面方位(110)、厚さ50
0μm、ドーパントがボロン、抵抗率10Ωcmである
シリコン基板21を用いて、同図(b)に示すように、
固体拡散法によりボロン拡散し、高濃度ボロン拡散層2
2aを形成する。
【0026】具体的には、シリコン基板21(シリコン
ウエハ)と固体拡散源を向かい合わせに並べて750℃
の炉の中にセットし、この炉の中には0.25%の酸素
を混入した窒素を流しておく。そして、炉の温度を7℃
/minのレートで1150℃まで上昇し、その状態で
120min保持した後、7℃/minのレートで75
0℃まで下げて、シリコン基板21を取り出す。これに
より、シリコン基板21に高濃度ボロン拡散層22aが
形成される。
【0027】なお、この他、臭化ホウ素(BBr3)を
用いた気相拡散法、ボロンを高エネルギーで注入するイ
オン注入法又は酸化ホウ素(B23)を有機溶媒に分散
させウエハ上にスピンコートする塗布拡散法、エピタキ
シャル法などでも、高濃度ボロン拡散層22aを形成で
きる。
【0028】この段階で得られた高濃度ボロン拡散層2
2aは、図7の線aで示すように表面(吐出室側と逆の
面)が濃度の最も高くなる濃度分布を有している。
【0029】その後、図5(c)に示すように、Si基
板21表面に形成されたB23層をフッ酸により除去
し、次いで、ボロン拡散により荒れが生じ、またB23
層の下に形成されているシリコンとボロンの化合物層を
除去して、Si基板21表面を直接接合できるようにす
るため、CMP(chemical-mechanical-polishing)研
磨を行って表面粗さRa=0.5nm以下の表面性を有
する高濃度ボロン拡散層22を得た。
【0030】このCMP研磨は、最表面を深さ1000
Å以下で面内均一に研磨することができるので、高濃度
ボロン拡散層22aの変化が微量であり、且つ、予め研
磨量を見込んで拡散条件を決めればよい。また、CMP
研磨を行う前に、ボロンとシリコンの化合物層を酸化し
てフッ酸で除去するようにしてもよい。
【0031】そして、上述したようにして得られたシリ
コン基板21を図6(a)に示すように別途製作した電
極基板3上に直接接合する。ここでは、減圧下でプリボ
ンドしたものを、900℃、2時間の熱処理をすること
により接合した。そして、同図(b)に示すように、厚
さ500μmのシリコン基板21を厚さ100μmまで
研磨して薄くする。続いて、同図(c)に示すように、
接合された電極基板3とシリコン基板21にLP−CV
Dによりシリコン窒化膜24を形成する。
【0032】次に、シリコン基板21上に形成されたシ
リコン窒化膜24上にレジストをコーティングし、露
光、現像を行って吐出室6及び共通インク室8などに対
応するレジストパターンを形成する。このとき、電極基
板3の電極15と吐出室のレジストパターンの位置が一
致するようにIR光によりアライメントする。そして、
レジストの開口部のシリコン窒化膜24をドライエッチ
によりエッチング除去し、レジストを除去することによ
り、同図(d)に示すように、シリコン窒化膜24のパ
ターン25を形成する。
【0033】そして、10wt%の水酸化カリウム水溶
液によって温度80℃にてシリコン基板21の異方性エ
ッチングを行う。このエッチング液では(110)面の
エッチングは2.5μm/分の速さで進行した。このよ
うにエッチングが進行して高濃度ボロン層22に達する
と、エッチレートは低下する。図7に示したようにエッ
チングが進むにつれてボロン濃度が高くなっていくの
で、ボロン濃度に対応してエッチレートが低下する。こ
の場合、エッチングは完全に停止しないのでエッチング
停止を見極めるのが困難である。
【0034】そこで、エッチング時間を100μmの低
濃度ボロンドープの(110)シリコン基板が貫通する
エッチング時間より30分長い時間に設定した。ここ
で、10wt%の水酸化カリウム水溶液を80℃では、
厚さ100μmの(110)シリコン基板は40分で貫
通したので、エッチング時間を70分に設定した。エッ
チング終了時にはボロン濃度が1.3E20(atom
s/cm3)のところでエッチレート比は1/100に
低下し、厚さ3μmの振動板10が得られた。さらに、
以上の条件により振動板10として、厚さはバラツキ3
σで3±0.15μmであり、エッチング表面性は表面
粗さRa=0.02μmのものが得られた。
【0035】以上のようにして振動板10を形成するの
であるが、この振動板10の精度がシリコン基板のドー
パント濃度によって影響されるという知見を得た。そこ
で、先ず、ドーパントがボロンである結晶面方位(11
0)のP型シリコン基板について、表1に示すように、
種々の抵抗率の仕様のシリコンウェハを用意し、同一仕
様の基板から無作為に20枚を選び、上述したようにし
て高濃度ボロン拡散層を形成し、エッチングを行って振
動板10を形成した。
【0036】なお、エッチング液としては、水酸化カリ
ウム(KOH)10wt%、KOH5wt%、アルカリ
現像液(TMAH)22%、KOH30wt%にイソプ
ロピルアルコール(IPA)を添加したもの、エチレン
ジアミンピロカテコール液(EDP)を用いた。
【0037】そして、各振動板10の厚みを測定し、そ
のバラツキを評価した。この評価結果を表1に示してい
る。なお、同表中、評価結果の「○」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.2μm以下、「△」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.3μm以下、「×」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.3μmを越えることを示している。
【0038】
【表1】
【0039】この表1から分かるように、P型シリコン
基板のボロン濃度は1E19(atoms/cm3)を
越えない、好ましくは、5E18(atoms/c
3)を越えないことで、振動板10の厚さバラツキが
小さくなる。
【0040】すなわち、P型シリコン基板の抵抗率が小
さくなるとドーパントであるボロン濃度が高くなり、エ
ッチレートはドーパント濃度に依存して小さくなる。一
方、ドーパント濃度が低い場合には、エッチレートはド
ーパント濃度に依存しなくなる。また、P型シリコン基
板間のドーパント濃度が均一であれば、ドーパント濃度
が高くてもエッチレートは均一に小さくなるので、エッ
チング時間を調節することによって振動板10を得るこ
とができるが、より高精度の振動板10を得るためには
P型シリコン基板のエッチレートと高濃度ボロン拡散層
のエッチレートの比はできるだけ大きい方がエッチング
ストップの観点から好ましく、又、P型シリコン基板の
ドーパント濃度はエッチレートに影響を与えない濃度で
ある方が好ましい。
【0041】また、異なるインゴットから切り出したP
型シリコン基板や、或いは同じインゴットから切り出し
たP型シリコン基板であっても、P型シリコン基板間で
抵抗率(ドーパント濃度)にバラツキがある。このP型
シリコン基板の生産工程では更に多数のP型シリコン基
板を同時にエッチングを行うが、P型シリコン基板間で
ドーパント濃度にバラツキがあると、P型シリコン基板
間でエッチレートに差が生じて振動板10の厚さにバラ
ツキが生じてしまうことになる。
【0042】したがって、P型シリコン基板のドーパン
ト濃度を低くすることで、エッチレートがドーパント濃
度に依存しなくなり、ドーパント濃度にバラツキがあっ
てもエッチレートが均一であり、均一な振動板10を形
成することができるようになる。
【0043】次に、ドーパントがヒ素(As)である結
晶面方位(110)のN型シリコン基板について、表2
に示すような種々の抵抗率の仕様のシリコンウェハを用
意し、上述と同様に、同一仕様の基板から無作為に20
枚を選び、上述したと同様にして高濃度ボロン拡散層を
形成し、エッチングを行って振動板10を形成した。
【0044】なお、エッチング液としては、KOH10
wt%、KOH5wt%、TMAH22%、KOH30
wt%にイソプロピルアルコール(IPA)を添加した
もの、エチレンジアミンピロカテコール液(EDP)を
用いた。
【0045】そして、各振動板10の厚みを測定し、そ
のバラツキを評価した。この評価結果を表1に示してい
る。なお、同表中、評価結果の「○」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.2μm以下、「△」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.3μm以下、「×」は振動板厚さバラ
ツキ3σが±0.3μmを越えることを示している。
【0046】
【表2】
【0047】この表2から分かるように、N型シリコン
基板中のヒ素濃度は5E18(atoms/cm3)を
越えないこと、好ましくは2E18(atoms/cm
3)を越えないことで、振動板10の厚さのバラツキを
小さくすることができ、高精度の振動板10が得られ
る。
【0048】高濃度ヒ素は一般的にエッチングストップ
にはあまり使われないが、ヒ素濃度がE18乗台から高
濃度側に行くに従ってエッチレートが徐々に低下する。
ただし、エッチングストップに使えるほどのエッチレー
トの低下はない。しかし、ヒ素濃度によってエッチレー
トが変化するので、ヒ素濃度の高いN型シリコン基板で
はエッチレートにバラツキが生じ、振動板10の厚さの
バラツキも大きくなる。ヒ素の場合、上述したボロンに
比べドーパント濃度に対するエッチレートの変化が緩や
かなため、エッチング液による差はあまり見られなかっ
た。
【0049】また、N型シリコン基板のドーパントとし
てヒ素以外にリン(P)やアンチモン(Sb)などがあ
るが、これらのドーパントも高濃度になるとエッチレー
トに影響を与える。これらのドーパントにおいてはドー
パント濃度が1E18(atoms/cm3 )以下では
エッチレートはドーパント濃度に依存しなくなり、均一
な振動板10を形成することができる。
【0050】なお、ここでは、結晶面方位(110)の
シリコン基板のエッチングを例として説明したが、結晶
面方位(100)のシリコン基板において、同様にドー
パント濃度が高くなるとエッチレートが低下するので、
上述した説明が当てはまる。(100)シリコン基板で
も同じことが言える。また、エッチング液として、TM
AH、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化リ
チウム(LiOH)水溶液、EDPなども用いることが
できる。
【0051】また、上記実施形態では振動板を静電力で
変位させてインクを吐出させる静電型インクジェットヘ
ッドに適用した例としたが、振動板を圧電素子などの電
気機械変換素子で変形させてインク滴を吐出させるピエ
ゾ型インクジェットヘッド等にも適用することができ
る。また、液滴吐出ヘッドとしてはインクジェットヘッ
ドに限らず、液体レジスト等を吐出するヘッドにも適用
することができる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、P型シリコン基板のボロン濃度が
1E19(atoms/cm3)を越えないので、エッ
チレートはボロン濃度に依存せず、高精度な厚みの振動
板を形成することができて、滴吐出特性のバラツキが少
なくなる。
【0053】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、N
型シリコン基板のヒ素濃度が5E18(atoms/c
3)を越えないので、エッチレートはヒ素濃度に依存
せず、高精度な厚みの振動板を形成することができて、
滴吐出特性のバラツキが少なくなる。
【0054】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、N
型シリコン基板のリン又はアンチモン素濃度が1E18
(atoms/cm3)を越えないので、エッチレート
はヒ素濃度に依存せず、高精度な厚みの振動板を形成す
ることができて、滴吐出特性のバラツキが少なくなる。
【0055】これらの本発明に係る液滴吐出ヘッドにお
いて、高濃度P型不純物としてボロンを用いることで、
低コスト化を図れる。また、本発明に係る液滴吐出ヘッ
ドとしては、振動板に対向する電極を有し、振動板を静
電力で変形変位させるものとすることで、低電圧駆動が
可能な液滴吐出ヘッドを得られ、また、振動板に対応す
る電気機械変換素子を有し、電気機械変換素子の変形で
振動板を変形させるものとすることで、低コスト化を図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した静電型インクジェットヘッド
の分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの透過状態で示す上面説明図
【図3】同ヘッドの吐出室長辺方向に沿う模式的断面説
明図
【図4】同ヘッドの吐出室短辺方向に沿う模式的断面説
明図
【図5】同ヘッドの製造方法における高濃度ボロン拡散
層の形成工程の説明に供する説明図
【図6】同ヘッドの製造工程の説明に供する説明図
【図7】図5の高濃度ボロン拡散層のボロン濃度分布図
【符号の説明】
1…流路基板、3…電極基板、3a…酸化膜、4…ノズ
ル板、5…ノズル、6…吐出室、10…振動板、15…
電極、21…シリコン基板、21a…高濃度ボロン拡散
層。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板
    とを有し、この振動板を変位変形をさせることで前記ノ
    ズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板がP型シリコン基板に形成された高濃度P型不
    純物層を含み、前記P型シリコン基板のボロン濃度が1
    E19(atoms/cm3)を越えないことを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板
    とを有し、この振動板を変位変形をさせることで前記ノ
    ズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板がN型シリコン基板に形成された高濃度P型不
    純物層を含み、前記N型シリコン基板のヒ素濃度が5E
    18(atoms/cm3)を越えないことを特徴とす
    る液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板
    とを有し、この振動板を変位変形をさせることで前記ノ
    ズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板がN型シリコン基板に形成された高濃度P型不
    純物層を含み、前記N型シリコン基板のリン又はアンチ
    モン素濃度が1E18(atoms/cm3)を越えな
    いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記高濃度P型不純物が高濃度ボ
    ロンであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記振動板に対向する電極を有
    し、前記振動板を静電力で変形変位させることを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記振動板を対応する電気機械変
    換素子を有し、前記振動板を前記電気機械変換素子の変
    形で変位させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019161213A (ja) * 2018-03-09 2019-09-19 株式会社リコー アクチュエータ、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置

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