JP2002127415A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法

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JP2002127415A
JP2002127415A JP2000323837A JP2000323837A JP2002127415A JP 2002127415 A JP2002127415 A JP 2002127415A JP 2000323837 A JP2000323837 A JP 2000323837A JP 2000323837 A JP2000323837 A JP 2000323837A JP 2002127415 A JP2002127415 A JP 2002127415A
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射特性にバラツキが生じる。 【解決手段】 振動板10と電極15との間のギャップ
16を含む空間の短辺長Cを圧力発生室6の短辺長Aよ
りも短く形成し、ギャップ16を含む空間を形成する凹
部13の短辺長を規定する部位14と振動板10と電極
15との間のギャップ長を規定する部位18とを異なる
工程で形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含
む。)に用いられるインクジェット記録装置における液
滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとして、イン
ク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する圧力発
生室(吐出室、インク流路、インク室、圧力室、加圧
室、加圧液室などとも称される。)と、この圧力発生室
の壁面の一部を形成する振動板と、この振動板に対向す
る電極とを備えて、振動板を静電力で変形変位させるこ
とで圧力発生室内インクを加圧してノズルから液滴を吐
出させる静電型インクジェットヘッドがあり、例えば、
特開平7−132598号公報、特開平2−28935
1号公報などに開示されている。
【0003】このような静電型インクジェットヘッドに
おいては、簡単なプロセスで高密度に圧力発生室を形成
する方法として、マイクロマシニングの分野において技
術が確立されている単結晶Siの異方性ウェットエッチ
ング、特に垂直壁が形成可能な結晶面方位(110)の
Si基板を圧力発生室などの流路を形成する流路基板に
用いるようにしている。
【0004】この結晶面方位(110)のシリコン基板
を流路基板に用いた従来の静電型インクジェットヘッド
は、図10に示すように、第一基板101に深さDの圧
力発生室102及びこの圧力発生室102の壁面となる
第一電極を兼ねる振動板103を形成する凹部をエッチ
ングで形成し、この第一基板101の下側に第二基板1
04を接合し、この電極基板104には深さEの凹部1
05を形成して、この凹部105底面に振動板103に
ギャップ106を介して対向する幅Bの第二電極107
を設けている。なお、第二電極107は絶縁膜108に
て被覆している。
【0005】同図から分かるように、従来のインクジェ
ットヘッドにおいては、圧力発生室102の振動板短手
方向の幅(以下単に「幅」という。)Aよりも第二電極
107の幅Bが大きく、したがってまた、圧力発生室1
02の幅Aよりも第二基板104に形成した凹部(溝)
105の幅(ギャップ106を含む空間の幅)Cが大き
い。これにより、圧力発生室102の壁面を形成する振
動板103は全体が変位可能領域となってその短辺長は
圧力発生室102の幅Aと同じになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、静電型イン
クジェットヘッドにおいて、振動板の変位量δは、構造
的には振動板厚さ、振動板短辺長、ギャップの関数とな
っている。したがって、チャンネル間の噴射特性のばら
つきを抑えて安定的した液滴噴射特性を得るためには、
これらの振動板のパラメータのばらつきを小さくするこ
とが重要になってくる。
【0007】ところで、上述した従来のインクジェット
ヘッドにあっては、振動板の両端は圧力発生室を形成す
る第一基板に固定されており、振動板の短辺長は圧力発
生室の幅Aと一致する。この圧力発生室はインク流路の
一部分でもあるため、高さ(深さ)Dをあまり小さく
(低く)すると、流体抵抗値が増加して吐出効率が低下
するので、高さ(深さ)Dをあまり低くすることができ
ず、100μm以上の高さを必要とし、圧力発生室の形
成には、例えば第二電極を設ける第二基板の凹部を形成
する場合と比較して、深堀(100μm以上)のエッチ
ングを行わなければならない。
【0008】ここで、一般的には、エッチング幅のばら
つきは、エッチング深さに対してほぼ単調増加の関係を
示す。そのため、第一基板に形成する高さDが高い(1
00μm以上の)圧力発生室の幅(液室幅)Aのばらつ
きを抑えることは困難である。
【0009】また、圧力発生室は、シリコン基板の異方
性エッチングで形成しているが、このエッチングで垂直
な隔壁を形成するためには、結晶面方位(110)のシ
リコン基板を用いて、更にパターンを結晶軸に対して、
正確に位置あわせする必要があり、この位置あわせがず
れると、マスクパターンに対する仕上がり寸法のズレが
大きくなる。ところが、フォトリソの段階で結晶軸を正
確に特定することはきわめて難しく、圧力発生室の幅A
のばらつきを抑制することには限界があり、特に量産工
程でばらつきを±1μm以内に抑えることは難しい。
【0010】この圧力発生室の幅Aのばらつきは振動板
の短辺長のばらつきになるため、噴射特性のばらつきが
大きくなり、安定した噴射特性を得られなくなるという
課題がある。
【0011】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、噴射特性のバラツキが少ない液滴吐出ヘッド及
びその液滴吐出ヘッドを低コストで製造するための製造
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板と電極との
間のギャップを含む空間の短辺長が圧力発生室の短辺長
より短く、ギャップを含む空間を形成する部分は、空間
の短辺長を規定する部位と振動板と電極との間のギャッ
プ長を規定する部位とが異なる工程で形成されている構
成としたものである。
【0013】ここで、ギャップ長を規定する部位の周囲
に空間の短辺長を規定する部位を形成する溝部を設ける
ことが好ましい。また、ギャップ長を規定する部位はウ
エットエッチングで形成されていることが好ましい。さ
らに、空間の短辺長を規定する部位は異方性エッチング
で形成されていることが好ましい。また、空間の短辺長
を規定する部位はドライエッチングで形成されているこ
とが好ましい。
【0014】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、空間の短辺長を規定する部位をエッチングで形成す
るときのマスクと電極を形成するときのマスクとを同一
としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係る液滴吐出
ヘッドであるインクジェットヘッドの分解斜視説明図、
図2は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図3は
同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面図、図4は同
ヘッドの要部断面説明図である。
【0016】このインクジェットヘッドは、シリコン基
板を用いた第一基板である流路基板1と、この流路基板
1の下側に設けたシリコン基板を用いた第二基板である
電極基板2と、流路基板1の上側に設けた第三基板であ
るノズル板3とを備え、インク滴を吐出する複数のノズ
ル4、各ノズル4が連通するインク流路である圧力発生
室6、各圧力発生室6にインク供給路を兼ねた流体抵抗
部7を介して連通する共通液室8などを形成している。
【0017】流路基板1にはノズル4が連通する複数の
圧力発生室6及びこの圧力発生室6の底面を形成する振
動板10、圧力発生室6の側壁面6aを形成する側壁部
11を形成する凹部を形成し、ノズル板3にはノズル4
となる孔及び流体抵抗部7を形成する溝を形成し、また
流路基板1と電極基板2には共通液室8を形成する貫通
部を形成している。
【0018】ここで、流路基板1には、結晶面方位(1
10)のp型又はn型にドーズされたシリコン基板(所
謂ベース基板)21にシリコン酸化膜(SiO2膜)2
2を介してp型又はn型にドースされた振動板10の厚
みを有するシリコン基板(所謂活性層基板)23を接合
してなるシリコン基板を用いて、シリコン酸化膜(Si
O2膜)22をエッチングストップ層としてシリコン基
板21をエッチングして圧力発生室6となる凹部を形成
し、その後、その凹部底面のシリコン酸化膜23を除去
してシリコン基板からなる振動板10を形成している。
【0019】なお、振動板10は、上述したようにp型
又はn型にドーズされたSOI基板のシリコン基板を用
いて形成しているが、Si基板やセラミック基板上にC
VDやスパッタリングなどの薄膜形成プロセスによって
形成されたSiエピタキシャル層/多結晶膜、または金
属薄膜などであってもよい。流路基板もシリコンやセラ
ミックだけでなく、微細加工が可能で液室としての剛性
が得られるのであれば、樹脂やSUSなど金属を流路形
成部材の一部として用いることもできる。
【0020】電極基板2には、p型又はn型の導電性を
有するシリコン基板を用いて、このシリコン基板の主平
面上に熱酸化等によって酸化膜層12を形成し、この酸
化膜層12に凹部13を形成し、この凹部13間の隔壁
14上端面を流路基板1との接合面とし、この凹部13
の底面に振動板10にギャップ16を置いて対向する電
極15を配置し、これらの振動板10と電極15とによ
り振動板10を静電力で変形変位させるマイクロアクチ
ュエータを構成している。
【0021】電極15表面にはSiO2膜などの酸化膜
系絶縁膜、Si34膜などの窒化膜系絶膜からなる誘電
絶縁膜(電極保護層)17を成膜している。なお、電極
15表面に絶縁膜17を形成しないで、振動板10側に
絶縁膜を形成することもできる。また、電極基板2には
パイレックス(登録商標)ガラス(硼珪酸ガラス)を用
いることができ、この場合には絶縁性を有しているの
で、そのまま凹部13を形成する。同様に、電極基板2
にはセラミック基板を用いることもできる。
【0022】また、電極基板2の電極15としては、金
又は通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられ
るAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W
等の高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結
晶シリコン材料などを用いることができる。この電極1
5は外部に延設して接続部(電極パッド部)15aと
し、これにヘッド駆動回路であるドライバICをワイヤ
ボンドによって搭載したFPCケーブルを異方性導電膜
などを介して接続している。
【0023】ここで、流路基板1で形成する圧力発生室
6の短辺長(幅)Aは側壁6aの間隔で規定される。ま
た、振動板10は電極基板2に接合しているので、振動
板10の変位可能領域の短辺長は第二電極15を設ける
ギャップ16を含む空間である凹部13の側壁面13b
で規定される振動板短手方向の長さ(幅)Cで規定され
る。そこで、電極基板2の凹部13の幅Cを圧力発生室
6の幅Aよりも短くする(C<A)ことにより、振動板
10の変形可能領域の短辺長が圧力発生室6の振動板短
手方向の幅Aよりも短くなるようにしている。
【0024】そして、電極基板2のギャップ16を含む
空間を形成する凹部13は、振動板10と電極15との
間のギャップ長を規定する部位(凹部13の底面)13
aと、凹部13の短辺長(幅)Cを規定する部位(凹部
13の側壁面)13aとを異なる工程で形成している。
すなわち、電極基板2の酸化膜層12にギャップ長を規
定する部位13aを底面とする凹部13を形成する工程
(第1工程)を行い、このギャップ長を規定する部位1
3aの周囲に垂直壁を有する溝部19を形成することで
凹部13の側壁面13bを形成する工程(第2工程)と
を行ったものである。
【0025】これらの流路基板1と電極基板2との接合
は、流路基板1及び電極基板2をいずれもシリコン基板
で形成したときには直接接合で接合することができる。
この直接接合は1000℃程度の高温化で実施すること
もできる。また、電極基板2をシリコンで形成して、陽
極接合を行うこともでき、この場合には、電極基板2と
流路基板1との間にパイレックスガラスを成膜し、この
膜を介して陽極接合を行うこともできる。さらに、流路
基板1と電極基板2にシリコン基板を使用して金等のバ
インダーを接合面に介在させた共晶接合で接合すること
もできる。
【0026】ノズル板3には、多数のノズル4を形成す
るとともに、共通液室8と圧力発生室6を連通するため
の流体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここで
は、インク吐出面(ノズル4表面側)には撥水性皮膜を
成膜している。このノズル板3にはステンレス基板(S
US)を用いているが、この他、エレクトロフォーミン
グ(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜、ポリイミド等
の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、金属プレー
トにプレス加工で穴加工をしたもの等でも用いることが
できる。
【0027】また、撥水性皮膜は、フッ素系樹脂微粒子
であるポリテトラフルオロエチレン微粒子を分散させた
電解又は無電解ニッケル共析メッキ(PTFE−Ni共
析メッキ)によるメッキ皮膜で形成することもできる。
【0028】このインクジェットヘッドは、ノズル4を
二列配置し、この各ノズル4に対応して圧力発生室6、
振動板10、電極15なども二列配置し、各ノズル列の
中央部(ヘッド中央部)に共通液室8を配置して、共通
液室8から左右の圧力発生室6にインクを振り分けて供
給する構成を採用している。これにより、各圧力発生室
6へのインク供給を均等に配分することができ、各吐出
室の駆動状態の緩衝をほとんど受けることなく、均一な
インク滴吐出特性を確保することができて、簡単なヘッ
ド構成で多数のノズル4を有するマルチノズルヘッドを
構成することができる。このノズル4の配列密度で規定
されるこのヘッドの吐出密度は300dpiとしてい
る。
【0029】このように構成したインクジェットヘッド
においては、振動板10を共通電極とし電極15を個別
電極として、振動板10と電極15との間に駆動波形を
印加することにより、振動板10と電極15との間に静
電力(静電吸引力)が発生して、振動板10が電極15
側に変形変位する。これにより、圧力発生室6の内容積
が拡張されて内圧が下がるため、流体抵抗部7を介して
共通液室8から圧力発生室6にインクが充填される。
【0030】次いで、電極15への電圧印加を断つと、
静電力が作用しなくなり、振動板10はそれ自身のもつ
弾性によって復元する。この動作に伴い圧力発生室6の
内圧が上昇し、ノズル4からインク滴が吐出される。再
び電極に電圧を印加すると、再び静電吸引力によって振
動板は電極側に引き込まれる。なお、振動板10を第二
電極15(実際には絶縁保護膜17表面)に当接するま
で変位させる方式を当接駆動方式、振動板10を第二電
極15に当接させない位置まで変位させる方式を非当接
駆動方式と称し、いずれの方式でも駆動することができ
る。
【0031】ここで、固体振動板を面屈曲振動させてイ
ンク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッドにおい
て、振動板の厚さをt、振動板の固定端の短辺長をa、
静電実効ギャップをh、ギャップ(振動板−電極間)へ
の印加電圧をVとしたとき、振動板の変位(振動変位)
δは、短辺長aの4乗、印加電圧Vの2乗に比例し、実
効ギャップhの2乗、振動板厚さtの3乗に反比例する
ことが知られている。したがって、振動板10の短辺長
のばらつきを低減することが滴吐出特性のばらつきの低
減につながる。
【0032】ところで、圧力発生室6の高さDを低くす
ると、流体抵抗値が増加し、吐出効率が低下することか
ら、圧力発生室6の高さDは100μm以上にすること
が好ましく、そのため、液室基板1に異方性エッチング
で圧力発生室6を形成する場合には、深さ100μm以
上のエッチングが必要となる。ところが、前述したよう
に、一般的にエッチング幅のばらつきは、エッチング深
さに対してほぼ単調増加の関係を示し、特に100μm
を越えるような深堀のエッチングでは圧力発生室6の幅
Aのばらつきを抑えることが困難になる。
【0033】圧力発生室6をシリコン基板の異方性エッ
チングで形成するときに、垂直な隔壁(壁面)を形成す
るためには、パターンを結晶軸に対して、正確に位置あ
わせする必要があり、この位置あわせがずれると、マス
クパターンに対する仕上がり寸法のズレが大きくなる。
しかし、フォトリソの段階で結晶軸を正確に特定するこ
とはきわめて難しく、この点からも圧力発生室6の幅A
のばらつきを抑制することには困難である。そのため、
量産工程で圧力発生室6の幅Aのばらつきを±1μm以
内に抑えることは難しかった。
【0034】そこで、このインクジェットヘッドでは、
電極基板2のギャップ16を含む空間を形成する凹部1
3の側壁面13bで規定される短辺長(幅)Cを流路基
板1で形成する圧力発生室6の幅Aよりも短く(C<
A)することで、振動板10の実質的な変形可能領域の
短辺長を電極基板2の凹部13の幅Cで規定している。
【0035】この場合、振動板10と電極15との間の
ギャップ長は1μm程度であるので、電極基板2に形成
する電極15を設けるための凹部13の深さEは1μm
程度と極めて浅いので、サイドエッチング量をほぼ一定
に管理することができる。したがって、凹部13の幅C
のばらつきは、±0.1μmを越えないレベルまで低減
することができる。これにより、振動板10の変位可能
領域の短辺長のばらつきが極めて小さくなり、吐出特性
のばらつきの少ないヘッドを得ることができる。
【0036】ただし、この電極基板2に形成する電極形
成用溝(凹部)を図5に示すような単純な凹み形状の凹
部23として、一工程で、凹部23の幅Cのばらつきが
±0.1μmを越えないレベルまで低減して形成するこ
とは、製造工程上の管理が難しくなる。
【0037】すなわち、図7に示すように、電極基板2
の酸化膜層12上にフォトレジストで形成したエッチン
グマスク24を用いてエッチングを行うことで凹部23
を形成する場合、通常は、ウェットエッチングなどのよ
うな深さ制御の良いエッチング方法でエッチングを行
う。このとき、エッチングマスク24となるフォトレジ
ストと酸化膜層12との間の密着が十分であれば、同図
に破線で示すように、マスク24の端面からの凹部23
の側壁面23bの最大後退量Fは、エッチング深さGと
ほぼ同量となる。
【0038】しかしながら、マスク24となるフォトレ
ジストと酸化膜層12との密着性が十分でない場合に
は、同図に実線で示すように、マスク24の端面からの
凹部23の側壁面23bの最大後退量Fが大幅に増加す
る。この凹部23の側壁面23bは振動板10の変動可
能領域の短辺長Cを規定するものであるので、後退量F
のバラツキは振動板10の変動可能領域の短辺長Cのば
らつきにつながる。
【0039】したがって、一工程で短辺長Cのバラツキ
の少ない凹部を形成するためにはエッチングマスクと酸
化膜層との密着性の管理を行わなければならないが、こ
のような管理は困難であり、実質的に後退量Fのプロセ
ス的なマージンは狭く、制御が難しく、低コスト化を図
れない。なお、パターンズレを制御する方法として、ド
ライエッチングのような異方性エッチングを用いる方法
があるが、異方性エッチングでは深さの管理(ギャップ
長の管理となる。)が難しくなる。
【0040】そこで、このインクジェットヘッドにおい
ては、振動板10と電極15との間のギャップ長を規定
する部位13aと、凹部13の短辺長(幅)Cを規定す
る部位13bとを異なる工程で形成する。
【0041】これにより、ギャップ長を規定する部位1
3a(凹部13の底面)を形成する工程にはウエットエ
ッチングなどの深さ制御性の良い形成工程を用い、凹部
13の短辺長(幅)Cを規定する部位13b(側壁面)
を形成する工程はドライエッチング、異方性エッチング
などの幅の制御性の良い形成工程を用いることができ、
ギャップ深さと振動板幅(変位可能領域の幅)という、
静電アクチュエータにとって最も重要な2つのパラメー
タを制御性良く得ることができ、滴吐出特性のバラツキ
を低コストで大幅に低減することができる。
【0042】そこで、このインクジェットヘッドにおけ
る電極基板2の製造工程の一例について図8及び図9を
参照して説明する。なお、図8は同基板の振動板短手方
向に沿う断面説明図、図9は同基板の平面説明図であ
る。図8(a)及び図9(a)に示すように、n型導電
性を有する電極基板2となるシリコン基板上には酸化膜
層(シリコン酸化膜)12を形成し、この酸化膜層12
にHF(フッ化水素)系のエッチャントを用いてギャッ
プ長に対応する深さを有する凹部31を形成し、この凹
部31を含めて全面に個別電極層となるTiN層32を
成膜する。このとき、図示しないマスク層には通常のフ
ォトリソグラフィーによるレジストマスクを用いる。
【0043】ここで、この凹部31の底部面が振動板1
0と電極15との間のギャップ長を規定する部位13a
となる。そして、HF系エッチャントを用いて酸化膜層
12をウエットエッチングする場合、温度や濃度を管理
することにより、エッチング深さ及びその均一性をばら
つき1%以下に制御することができるので、高精度なギ
ャップ長を得ることができる。
【0044】その後、通常のフォトリソグラフィーによ
って電極15となる部分及び流路基板1との接合面とな
る部分を覆い、上述したウェットエッチングでできた凹
部31の側壁面である傾斜面33を含んで開口するパタ
ーンを有するレジストマスク34を形成する。
【0045】そして、各図(b)に示すように、このレ
ジストマスク34でTiN層32のエッチングを行って
電極15を形成し、更にこの同一のマスク34を用い
て、酸化膜層12をRIEドライエッチング法を用いて
異方性のエッチングを行って、電極15の周囲に溝部1
9を形成する。これにより、凹部31と溝部19とで形
成される凹部13が得られ、この溝部19の形成工程で
凹部13の側壁面13bが形成されることになる。な
お、このように電極15を形成するマスクと溝部19を
形成するマスクとを同じマスク34とすることにより、
凹部13の形成工程を二工程に分けてもマスク形成のた
めのフォトリソ工程の増加を招くことがなく、コストの
上昇を抑えることができる。
【0046】このようにドライエッチングを用いた異方
性のエッチングではレジストマスクに対してパターンの
後退なくエッチングすることができるので、凹部13の
側壁面13bを高精度に形成することができる。したが
って、振動板10の変形可能領域の短辺長Cのばらつき
が極めて低減する。さらに、ドライエッチングでは、ウ
ェットエッチングに比べて、マスク34を形成するレジ
ストと被着面の密着性の影響を受けにくく、高い均一性
を安定して得ることができる。
【0047】次に、各図(c)に示すように、プラズマ
CVD法を用いてシリコン残存しているTiN膜32、
電極15、異方性エッチングで露出した溝部19をなす
酸化膜層12の全面にシリコン酸化膜層35を成膜した
後、各図(d)に示すように、シリコン酸化膜層35を
エッチングでパターニングして絶縁保護膜17を形成
し、更にその後アルカリ系溶液を用いて、残存している
TiN膜32を除去する。なお、このとき、電極15は
シリコン酸化膜層35に覆われているためエッチングさ
れずに、その他の部分のTiN膜32のみが除去され
る。
【0048】なお、上記実施形態においては、本発明を
振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイド
シュータ方式のインクジェットヘッドに適用したが、振
動板変位方向とインク滴吐出方向と直交するエッジシュ
ータ方式のインクジェットヘッドにも同様に適用するこ
とができる。さらに、インクジェットヘッドだけでなく
液体レジスト等を吐出させる液滴吐出ヘッドなどにも適
用できる。また、振動板と流路基板とを同一基板から形
成したが、振動板と流路基板とを別体にして接合するこ
ともできる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、振動板と電極との間のギャップを
含む空間の短辺長が圧力発生室の短辺長よりも短く、空
間を形成する部分は、空間の短辺長を規定する部位と振
動板と電極との間のギャップ長を規定する部位とが異な
る工程で形成されている構成としたので、ギャップの深
さと振動板の変位可能領域の幅を高精度に形成すること
ができ、噴射特性のバラツキの低減することができ、し
かも低コストで安定して製造することが可能になる。
【0050】ここで、ギャップ長を規定する部位をウエ
ットエッチングで形成することにより高精度のギャップ
を規定することができる。また、ギャップ長を規定する
部位の周囲に空間の短辺長を規定する部位を形成する溝
部を設けることにより、容易に、噴射特性のバラツキの
少ないヘッドを低コストで安定して製造することができ
る。また、空間の短辺長を規定する部位は異方性エッチ
ングで形成することにより、振動板の変位可能領域の幅
を高精度に形成することができる。さらに、空間の短辺
長を規定する部位はドライエッチングで形成することに
より、振動板の変位可能領域の幅を高精度に安定して形
成することができる。
【0051】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、ギャップを含む空間の短辺長を規定する部位を
エッチングで形成するときのマスクと電極を形成すると
きのマスクとが同一であるので、低コストで噴射特性の
バラツキの少ないヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの分解斜視
説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面図
【図5】同ヘッドの流路部分の拡大平面説明図
【図6】同ヘッドの作用説明に供する他の構造を説明す
る振動板短手方向の断面説明図
【図7】図6の構造を形成するときの工程の説明に供す
る説明図
【図8】同ヘッドのアクチュエータの製造工程の説明に
供する振動板短手方向の断面説明図
【図9】同ヘッドのアクチュエータの製造工程の説明に
供する平面説明図
【図10】従来の静電型インクジェットヘッドの断面説
明図
【符号の説明】
1…流路基板、2…電極基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル、6…圧力発生室、7…流体抵抗部(インク供給
路)、8…共通液室、10…振動板、12…酸化膜層、
13…凹部、14…隔壁(凹部の短辺長を規定する部
位)、15…電極、16…ギャップ、18…ギャップ長
を規定する部位。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルが連通する圧力発
    生室と、この圧力発生室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを備え、前記振動板を静電気
    力で変形変位させて前記ノズルから液滴を吐出させる液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板と電極との間のギャ
    ップを含む空間の短辺長が前記圧力発生室の短辺長より
    も短く、前記空間を形成する部分は、前記空間の短辺長
    を規定する部位と前記振動板と電極との間のギャップ長
    を規定する部位とが異なる工程で形成されていることを
    特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記ギャップ長を規定する部位の周囲に前記空間の
    短辺長を規定する部位を形成する溝部を設けたことを特
    徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記空間のギャップ長を規程する部位はウエ
    ットエッチングで形成されていることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記空間の短辺長を規定する部位
    は異方性エッチングで形成されていることを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記空間の短辺長を規定する部位
    はドライエッチングで形成されていることを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であっ
    て、前記空間の短辺長を規定する部位をエッチングで形
    成するときのマスクと前記電極を形成するときのマスク
    とが同一であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造
    方法。
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