JP2002248756A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

Info

Publication number
JP2002248756A
JP2002248756A JP2001052272A JP2001052272A JP2002248756A JP 2002248756 A JP2002248756 A JP 2002248756A JP 2001052272 A JP2001052272 A JP 2001052272A JP 2001052272 A JP2001052272 A JP 2001052272A JP 2002248756 A JP2002248756 A JP 2002248756A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
electrode
space
pressure
jet head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001052272A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Yamaguchi
清 山口
Shuzo Matsumoto
修三 松本
Hiromichi Komai
博道 駒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2001052272A priority Critical patent/JP2002248756A/ja
Publication of JP2002248756A publication Critical patent/JP2002248756A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動板初期位置のバラツキによって噴射特性
がばらつく。 【解決手段】 振動板10と電極15との間の空間16
の圧力を大気圧に対して低く保持し、空間16の圧力と
大気圧との差圧により振動板10を変形させ、電極15
に電圧を印加しない状態で、振動板10の少なくとも一
部分を電極15側表面に接触させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットヘッドに
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含
む。)に用いられるインクジェットヘッドは、インク滴
を吐出するノズルを有するノズル板と、ノズルが連通す
る圧力発生室(吐出室、インク流路、インク室、圧力
室、加圧室、加圧液室などとも称される。)と、圧力発
生室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する
電極とを備え、振動板を静電気力で変形変位させること
で圧力発生室内インクを加圧してノズルからインク滴を
吐出させる静電型インクジェットヘッドがある。
【0003】このような静電型のインクジェットヘッド
においては、静電アクチュエータを構成する振動板と電
極との間に作用する静電力は、振動板と電極との間の距
離の二乗に反比例して小さくなるので、インク滴を吐出
するため振動板の変位量を確保するためには、この振動
板と電極との間のギャップを非常に狭く形成する必要が
ある。また、この振動板の変位量は振動板の厚さの3乗
に反比例するので、この所望の変位量を確保するには、
振動板の厚さも薄くする必要がある。
【0004】ところが、このような微小なギャップ空間
は、環境温度などの外乱による影響を受けやすく、外乱
によって振動板の変位量が変化すると、インク滴噴射特
性、即ちインク滴吐出量やインク滴吐出速度が増加又は
減少する等の変化が起こり、画像品質が劣化することが
ある。
【0005】また、振動板は薄く成形されており、振動
板はギャップ内の圧力の影響を受けやすい。さらに、微
小なギャップ内に水分や塵埃などの異物が侵入すると、
アクチュエータの動作に影響を与え、動作が不安定にな
る。
【0006】そこで、従来の静電型インクジェットヘッ
ドにおいては、特開平7−299908号公報に記載さ
れているように、ギャップ空間(振動室とも称され
る。)を封止し、その容積変化量を規定したり、一定値
に保ったりするようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ギャッ
プ空間を封止した場合、ギャップ空間が負圧になると、
振動板の初期位置が電極側に変位してしまうので、振動
板の変位量(ストローク)が短くなり、十分な加圧特性
を得ることができず、インク滴吐出特性が乱れたり、吐
出不能になる。また、ギャップ空間が正圧になると、振
動板の初期位置が電極と反対側(圧力発生室側)に変位
してしまうので、振動板と電極との距離が長くなり、振
動板を駆動するために必要な電圧が高くなり、又、この
ギャップ空間の圧力がこの振動板を押し戻すため、さら
に、高い電圧が必要になるなど、低電圧駆動が困難にな
る。
【0008】このように、ギャップ空間を大気圧にして
封止すると、環境温度の変化に応じて、ギャップ内圧力
が正圧になったり負圧になったりすることで、低電圧駆
動化を図れず、また安定した振動板変位を得ることがで
きなくなる。一方、ギャップ空間を封止せずに大気と連
通しておくと、前述したように滴吐出特性が不安定にな
って画像品質が劣化したり、アクチュエータが動作不能
になったりする。
【0009】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、噴射特性のばらつきを低減し、安定したインク滴
噴射特性が得られるインクジェットヘッドを提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るインクジェットヘッドは、振動板と電
極との間のギャップを含む空間の圧力が大気圧に対して
低く保持され、空間の圧力と大気圧との差圧により振動
板が変形し、電極に電圧を印加しない状態で、振動板の
少なくとも一部分が電極側表面に接している構成とした
ものである。
【0011】ここで、電極側表面は断面形状で凹みを有
する形状に形成されていることが好ましい。また、振動
板と電極との間のギャップを含む空間が完全な密閉空間
であることが好ましい。さらに、振動板と電極との間隔
を一定に保持するための支持部材が振動板を取り囲むよ
うに配置されて空間を完全な密閉空間としていることが
好ましい。また、空間の開口が封止部材で封止されてい
ることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係るインクジ
ェットヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの振動
板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板短手
方向の要部拡大断面図である。
【0013】このインクジェットヘッドは、シリコン基
板を用いた第一基板である流路基板1と、この流路基板
1の下側に設けたシリコン基板を用いた第二基板である
電極基板2と、流路基板1の上側に設けた第三基板であ
るノズル板3とを備え、インク滴を吐出する複数のノズ
ル4、各ノズル4が連通するインク流路である圧力発生
室6、各圧力発生室6にインク供給路を兼ねた流体抵抗
部7を介して連通する共通液室8などを形成している。
【0014】ここでは、流路基板1として結晶面方位
(110)の単結晶シリコン基板を用いて、ノズル4が
連通する複数の圧力発生室6及びこの圧力発生室6の壁
面である底部をなす振動板10(電極を兼ねている)を
形成する凹部を形成している。ノズル板3にはノズル4
となる孔及び流体抵抗部7を形成する溝を形成し、また
流路基板1と電極基板2には共通液室8を形成する貫通
部を形成している。
【0015】この場合、流路基板1には予め振動板厚さ
にボロン(B)を注入してエッチングストップ層となる
高濃度ボロン層を形成し、電極基板2と接合した後、圧
力発生室6となる凹部をKOH水溶液などのエッチング
液を用いて異方性エッチングすることにより、このとき
高濃度ボロン層がエッチングストップ層となって振動板
10が高精度に形成される。
【0016】電極基板2は、結晶面方位(100)のシ
リコン基板を用いて、熱酸化法などで酸化膜層12を形
成し、この酸化膜層12にエッチングで凹部14を形成
して、この凹部14底面に振動板10にギャップ空間1
6を置いて対向する電極15を形成して、これらの振動
板10と電極15とによってアクチュエータ部(圧力発
生手段)を構成している。この電極15の表面にはシリ
コン酸化膜(SiO膜)などの酸化系絶縁膜或いはS
i3膜などの窒化膜系絶縁膜からなる保護膜17を成
膜している。
【0017】また、電極基板2の電極15としては、金
又は通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられ
るAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W
等の高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結
晶シリコン材料などを用いることができる。さらに、電
極基板2にはパイレックス(登録商標)ガラス(硼珪酸
ガラス)やセラミック基板などを用いることができ、こ
の場合には絶縁性を有しているので、そのまま凹部14
を形成することができる。
【0018】そして、電極15は外部に延設して接続部
(電極パッド部)15aとし、これにヘッド駆動回路で
あるドライバICをワイヤボンドによって搭載したFP
Cケーブルを異方性導電膜などを介して接続している。
【0019】そして、これらの流路基板1と電極基板2
とはシリコン−シリコンの直接接合で接合している。こ
れらの流路基板1と電極基板2には共通液室8に通じる
インク供給口9となる貫通穴を形成している。
【0020】ノズル板3には、多数のノズル4を形成す
るとともに、共通液室8と圧力発生室6を連通するため
の流体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここで
は、インク吐出面(ノズル4表面側)には撥水性皮膜を
成膜している。このノズル板3にはステンレス基板(S
US)を用いているが、この他、エレクトロフォーミン
グ(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜、ポリイミド等
の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、金属プレー
トにプレス加工で穴加工をしたもの等でも用いることが
できる。
【0021】このインクジェットヘッドは、ノズル4を
二列配置し、この各ノズル4に対応して圧力発生室6、
振動板10、電極15なども二列配置し、各ノズル列の
中央部(ヘッド中央部)に共通液室8を配置して、共通
液室8から左右の圧力発生室6にインクを振り分けて供
給する構成を採用している。これにより、各圧力発生室
6へのインク供給を均等に配分することができ、各吐出
室の駆動状態の緩衝をほとんど受けることなく、均一な
インク滴噴射特性を確保することができて、簡単なヘッ
ド構成で多数のノズル4を有するマルチノズルヘッドを
構成することができる。
【0022】また、振動板10と電極15との間のギャ
ップを含む空間16の電極パッド部15側の開口部はエ
ポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤18にて
気密封止している。ここで、空間16の圧力は、空間1
6の圧力と大気圧との差圧により振動板10が変形し、
電極15に電圧を印加しない状態で、振動板10の少な
くとも一部分が電極側表面である保護膜17表面に接触
する程度に減圧して保持している。
【0023】なお、空間16の圧力を大気圧に対して振
動板10の少なくとも一部分が保護膜17表面に接触す
る程度に減圧して保持するには、大気開放された状態で
空間16を形成した後、減圧下でギャップ封止剤18に
て空間16の開口部を気密封止する。この封止剤18に
よる減圧下での封止を行うこと空間16の圧力の制御性
が容易になる。
【0024】このように構成したインクジェットヘッド
においては、振動板10と電極15との間に電圧を印加
したときには、図4に実線で示すように振動板10は空
間16の圧力と大気圧との差圧によって保護膜17表面
に接触している。この状態から、振動板10を共通電極
とし、電極15を個別電極として、振動板10と電極1
5との間にパルス電圧を印加することにより、振動板1
0と電極15との間に静電力(静電吸引力)が発生し
て、同図に破線で示すように、振動板10が電極15に
向って矢示a方向に変形変位する。これにより、圧力発
生室6の内容積が拡張されて内圧が下がるため、流体抵
抗部7を介して共通液室8から圧力発生室6にインクが
充填される。
【0025】続いて、電極15への電圧の印加を断つ
と、静電力が作用しなくなり、振動板10はそれ自身の
もつ弾性によって復元する。この動作に伴い圧力発生室
6の内圧が上昇し、ノズル4からインク滴が吐出され
る。
【0026】このように、空間16を密閉空間としたと
きにも、空間16と大気圧との差圧で振動板10を電極
側表面に接触させた状態にすることで、振動板10の初
期変位位置のバラツキが低減して、インク滴吐出特性が
向上する。
【0027】すなわち、空間16が封止された密閉空間
である場合、振動板10の変形によって空間が圧縮され
ると内部の圧力が増加し、振動板10の変位を阻害す
る。また、更に振動板10と電極15との間の距離を1
μm以下というような微小ギャップにする場合、空間1
6内の空気の流れは非常に大きな抵抗を持つことにな
り、高速な内部変化には追従できないし、たとえ空間が
大気開放されていたとしても、パルス駆動などでは内部
圧力の上昇が起こるため、振動板10の変位を阻害す
る。
【0028】例えば、振動板10と電極15との間隔を
0.2μm、振動板15の厚さを2μmとする静電アク
チュエータに対してパルス電圧を印加した場合に、振動
板10が電極15表面に接触する閾電圧を振動板10の
幅を変化させて測定すると、その測定結果は図5に示す
ようになった。同図から分かるように、振動板10の幅
を広くすると閾電圧が低下するが、所定の振動板幅から
閾電圧が低下しなくなる。これは、振動板10が変形す
ることによって排除されるギャップ内(空間16内)の
空気が、ギャップ内の空気抵抗のために、局所的な圧力
上昇を起こし、このため振動板10の変位を阻害するた
めである。
【0029】そこで、ギャップ内(空間16内)を大気
圧に対して減圧して保持することが考えられる。このよ
うにすれば、ギャップ内の空気が希薄な状態となるた
め、振動板10の動作を阻害するものがなくなり、低電
圧での動作が可能となる。
【0030】ここで、電極15に電圧を印加しないとき
に、ギャップ内(空間16)の負圧によって振動板10
が変形している状態について、図6に示すように、振動
板10の初期変形量をδ0、初期変形量δ0で変形してい
る状態の振動板10から個別電極保護層17までの間の
距離をδ、振動板10が振動板10に対向する個別電極
保護層17に当接するに要する電圧をVoとする。
【0031】このとき、初期変形量δ0はギャップ内の
差圧、振動板厚さ及び振動板幅の関数となるので、振動
板厚さのばらつきによって初期変形量δ0のばらつきが
生じ、さらにそれによって距離δ及び電圧Voのばらつ
きが生じることになる。そのため、ギャップ内を減圧状
態にすると、通常の大気圧のギャップに比べて、電圧V
oのばらつきが大きくなる。
【0032】これに対して、この実施形態のように、空
間16の圧力を、空間16の圧力と大気圧との差圧によ
り振動板10が変形し、電極15に電圧を印加しない状
態で、振動板10の少なくとも一部分が電極15側表面
(ここでは、保護膜17)に接する程度に大気圧に対し
て低く保持することで、振動板幅と閾電圧との関係では
振動板厚さのばらつきによる初期撓み量のばらつきが低
減し、その電圧に対する噴射エネルギーのばらつきが低
減され、噴射特性(滴吐出特性)のばらつきが低減す
る。
【0033】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明す
る。なお、図7は同ヘッドの振動板長手方向に沿う断面
説明図、図8は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説
明図である。
【0034】このインクジェットヘッドは、電極基板2
2としてベース基板23に酸化層24を介して活性層基
板25を接合してなるSOI(Silicon on Insulator)
基板を用いて、活性層基板25上に熱酸化によるシリコ
ン酸化層26を形成し、活性層基板25によって振動板
10に対向する電極15を形成するとともに、シリコン
酸化層26によって電極15の保護膜17を兼ねるとと
もに振動板10と電極15との間隔を一定に保持するギ
ャップスペーサとなる支持部材28を形成している。
【0035】この支持部材28には振動板10に対向す
る部分にのみギャップ空間16を形成するための凹部2
9を形成することで、凹部29以外のギャップスペーサ
となる部分で振動板10の周囲を取り囲み、空間16を
完全な密閉空間として形成している。
【0036】そして、この場合には電極基板22と流路
基板1となるシリコン基板とを減圧下で接合することに
より、空間16の圧力を、空間16の圧力と大気圧との
差圧により振動板10が変形し、電極15に電圧を印加
しない状態で、振動板10の少なくとも一部分が電極1
5側表面(ここでは、支持部材28の凹部29底面)に
接する程度に大気圧に対して低く保持している。
【0037】このように構成することにより、支持部材
28が空間16を密閉する封止部材を兼ねることになる
ので、封止材などによる別途の封止工程が不要になり、
工程の簡略化による低コスト化を図ることができる。
【0038】そこで、この第2実施形態に係るインクジ
ェットヘッドの製造工程について図9及び図10を参照
して説明する。図9(a)に示すように、電極基板22
となる結晶面方位(100)のp型シリコン基板である
ベース基板23上に厚さ0.5μmの酸化膜層24を介
して結晶面方位(100)のp型シリコン基板である厚
さ5μmの活性層基板25を接合したSOI基板を用い
て、活性層基板25上に熱酸化によって厚さ0.5μm
シリコン酸化膜26を形成する。
【0039】そして、同図(b)に示すように、通常の
フォトリソグラフィー法とフッ酸系のエッチャントを用
いたウェットエッチング法によってシリコン酸化膜26
に空間16を形成するための深さ0.3μmの凹部29
を形成する。
【0040】次いで、同図(c)に示すように、通常の
フォトリソグラフィー法とRIEを用いたドライエッチ
ング法によって、シリコン酸化膜26の凹部29、29
間の部分に酸化膜層24に達するまで電極分離用の溝3
0を形成することによって、活性層基板25をチャンネ
ル毎に分離して活性層基板25からなる電極15を形成
するとともに、シリコン酸化膜26からなる支持部材2
8を形成した電極基板22を得る。
【0041】続いて、図10(a)に示すように、振動
板厚さに高濃度ボロン層32を形成し結晶面方位(11
0)の流路基板1となるp型シリコン基板31を形成
し、このシリコン基板31と電極基板22とを、圧力1
×10-6Torr程度の真空中で直接接合法で接合す
る。これにより、電極基板22の凹部29で形成される
空間16は減圧状態に保持される。
【0042】その後、同図(b)に示すように、p型シ
リコン基板31を所要の液室高さ(厚さが100μm以
下とする。)まで研磨し、図示しないが、接合した基板
31及び電極基板22の表面全体にマスク層となるシリ
コン窒化膜をLP―CVDを用いて成膜し、通常のフォ
トリソグラフィー法とRIEを用いたドライエッチング
法によってシリコン窒化膜をパターニングして圧力発生
室6及び共通液室8に対応するマスクパターンを形成す
る。
【0043】そして、このシリコン窒化膜のマスクパタ
ーンをマスク層として、KOH系のエッチャントを用い
て、p型シリコン基板31を異方性エッチングする。こ
のとき、KOH濃度を制御することによって高濃度ボロ
ン層32とp型シリコン基板31とのエッチング速度差
を設けることができ、これによって、高濃度ボロン層3
2に達した時点でエッチングをストップすることがで
き、同図(c)に示すように、圧力発生室6及び高濃度
ボロン層32からなる振動板10などが形成される。
【0044】このように支持部材28がギャップ空間1
6の周りを完全に取り囲んでおり、ギャップ空間16は
完全な閉空間となり、このとき、真空中で流路基板1と
なるシリコン基板31と電極基板22とを接合したの
で、ギャップ空間16内は真空に保持され、振動板10
は支持部材28の凹部29底面に接した状態になる。
【0045】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の第3実施形態について図11を参照して説明する。こ
のインクジェットヘッドは、電極基板2に形成する電極
形成用凹部34を断面形状で底面中央部が凹むように両
側に傾斜面34a、34aを有し、中央部が振動板10
と略平行な平行面34bを有する形状に形成し、この凹
部34の底面にTiNなどからなる電極15を形成して
酸化膜などの保護膜17で被覆することにより、電極側
表面が断面形状で凹みを有する形状に形成している。す
なわち、振動板10に対して非平行な電極15を設ける
ことによってギャップ空間16を所謂非平行ギャップと
している。
【0046】このような断面形状を有する凹部34は、
酸化膜層12をエッチングするとき、酸化膜層12上に
レジストを形成して、このレジストに対する光強度を空
間的に変化させて凹みを有するレジストパターンを作製
し、このレジストパターンをドライエッチングによって
酸化膜層12に転写する方法で形成することができる。
【0047】このように、断面形状で電極側表面に凹み
を形成することにより、振動板10の変位量を同等に保
ったままで、振動板10と電極15との距離を近づける
ことができるので、振動板10に作用する静電力を大き
くすることができ、動作電圧の低電圧化が可能となる。
【0048】また、非平行ギャップを形成した場合には
空間16の体積が減少するため、空間16を大気圧にす
ると、振動板10によって排除された空気によって生じ
る圧力上昇がより大きくなって、低電圧駆動の効果が減
殺されるが、この実施形態のように、ギャップ空間16
内を減圧状態にすることにより、圧力上昇はほとんど無
視でき、非平行ギャップによる低電圧駆動化の効果を十
分に発揮させることができる。
【0049】なお、上記各実施形態においては、本発明
を振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じになるサイ
ドシュータ方式のインクジェットヘッドに適用したが、
振動板変位方向とインク滴吐出方向と直交するエッジシ
ュータ方式のインクジェットヘッドにも同様に適用する
ことができる。また、インクジェットヘッドだけでなく
液体レジスト等を吐出させるヘッドなどにも適用でき
る。さらに、振動板と流路基板とを同一基板から形成し
たが、振動板と流路基板とを別体にして接合することも
できる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
クジェットヘッドによれば、振動板と電極との間のギャ
ップを含む空間の圧力が大気圧に対して低く保持され、
空間の圧力と大気圧との差圧により振動板が変形し、電
極に電圧を印加しない状態で、振動板の少なくとも一部
分が電極側表面に接している構成としたので、噴射特性
のばらつきが低減し、安定したインク滴噴射特性が得ら
れる。
【0051】ここで、電極側表面は断面形状で凹みを有
する形状に形成することにより、低電圧駆動化を図れ
る。また、振動板と電極との間のギャップを含む空間を
完全な密閉空間とすることにより、空間を減圧状態で保
持することができる。この場合、振動板と電極との間隔
を一定に保持するための支持部材が振動板を取り囲むよ
うに配置して空間を完全な密閉空間とすることにより、
封止工程を必要とせず、工程の簡略化による低コスト化
が可能となる。また、空間の開口を封止部材で封止する
ことにより、空間内圧力の制御性が良く、安定した製造
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド
の分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の模式的断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の模式的断面説明図
【図4】同実施形態の作用説明に供する模式的断面説明
【図5】同実施形態の作用説明に供する振動板幅と閾電
圧との関係を説明する説明図
【図6】振動板初期位置のバラツキの説明に供する模式
的断面説明図
【図7】本発明の第2実施形態に係るインクジェットヘ
ッドの振動板長手方向の模式的断面説明図
【図8】同ヘッドの振動板短手方向の模式的断面説明図
【図9】同ヘッドのアクチュエータの製造工程の説明に
供する振動板短手方向の断面説明図
【図10】同ヘッドのアクチュエータの製造工程の説明
に供する振動板短手方向の断面説明図
【図11】本発明の第3実施形態に係るインクジェット
ヘッドの振動板短手方向の模式的断面説明図
【符号の説明】
1…流路基板、2…電極基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル、6…圧力発生室、7…流体抵抗部(インク供給
路)、8…共通液室、10…振動板、12…酸化膜層、
14…凹部、15…電極、16…空間、17…保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 駒井 博道 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF55 AF93 AG14 AG54 AG55 AP02 AP26 AP34 AP53 AP56 AQ02 AQ06 BA03 BA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するノズルが連通する圧
    力発生室と、この圧力発生室の壁面を形成する振動板
    と、この振動板に対向する電極とを備え、前記振動板を
    静電気力で変形変位させて前記ノズルからインク滴を吐
    出させるインクジェットヘッドにおいて、前記振動板と
    前記電極との間のギャップを含む空間の圧力が大気圧に
    対して低く保持され、前記空間の圧力と前記大気圧との
    差圧により前記振動板が変形し、前記電極に電圧を印加
    しない状態で、前記振動板の少なくとも一部分が前記電
    極側表面に接していることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記電極側表面は断面形状で凹みを有する形
    状に形成されていることを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
    ヘッドにおいて、前記振動板と前記電極との間のギャッ
    プを含む空間が完全な密閉空間であることを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板と前記電極との間隔を一定に保持
    するための支持部材が前記振動板を取り囲むように配置
    されて前記空間を完全な密閉空間としていることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のインクジェットヘッド
    において、前記空間の開口が封止部材で封止されている
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
JP2001052272A 2001-02-27 2001-02-27 インクジェットヘッド Pending JP2002248756A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052272A JP2002248756A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 インクジェットヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052272A JP2002248756A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 インクジェットヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002248756A true JP2002248756A (ja) 2002-09-03

Family

ID=18912928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001052272A Pending JP2002248756A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 インクジェットヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002248756A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007001087A (ja) * 2005-06-22 2007-01-11 Seiko Instruments Inc 発熱抵抗素子部品、プリンタおよび発熱抵抗素子部品の製造方法
JP2007508163A (ja) * 2003-10-10 2007-04-05 ディマティクス インコーポレーテッド 薄膜を有するプリントヘッド
US7661794B2 (en) 2005-08-01 2010-02-16 Seiko Epson Corporation Electrostatic actuator, droplet discharge head, method for driving droplet discharge head, and method for manufacturing electrostatic actuator
JP2014176986A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007508163A (ja) * 2003-10-10 2007-04-05 ディマティクス インコーポレーテッド 薄膜を有するプリントヘッド
JP2007001087A (ja) * 2005-06-22 2007-01-11 Seiko Instruments Inc 発熱抵抗素子部品、プリンタおよび発熱抵抗素子部品の製造方法
JP4619876B2 (ja) * 2005-06-22 2011-01-26 セイコーインスツル株式会社 発熱抵抗素子部品、及びプリンタ
US7661794B2 (en) 2005-08-01 2010-02-16 Seiko Epson Corporation Electrostatic actuator, droplet discharge head, method for driving droplet discharge head, and method for manufacturing electrostatic actuator
US8087754B2 (en) 2005-08-01 2012-01-03 Seiko Epson Corporation Electrostatic actuator, droplet discharge head, method for driving droplet discharge head, and method for manufacturing electrostatic actuator
JP2014176986A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5992978A (en) Ink jet recording apparatus, and an ink jet head manufacturing method
US6371598B1 (en) Ink jet recording apparatus, and an ink jet head
US6168263B1 (en) Ink jet recording apparatus
JP3166268B2 (ja) インクジェット式印字ヘッド及びその製造方法
JP2002248756A (ja) インクジェットヘッド
JPH11300971A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3760981B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3883096B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法
JP2000127382A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP4243341B2 (ja) インクジェットヘッド
JPH11309858A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置
JP4120954B2 (ja) 静電型アクチュエータ及びインクジェットヘッド、画像形成装置
JP2001010036A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置
JP2000006395A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH09300630A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2002127415A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法
JP2000052551A (ja) インクジェットヘッド構造
JP2002160374A (ja) インクジェットヘッド並びに静電アクチュエータ及びその製造方法
JP2000006399A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11993A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置
JP2011005774A (ja) 圧電型アクチュエータ、圧電型アクチュエータの製造方法、ヘッドカートリッジ、液滴吐出装置およびマイクロポンプ
JP2001010047A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2000289205A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2002052707A (ja) 静電型インクジェットヘッド、静電型インクジェットヘッドの製造方法および静電型インクジェットヘッドを用いた画像形成装置
JPH09277525A (ja) インクジェット式記録ヘッド