JP2004193458A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層法、アディティブ法にて銅接着力、耐熱性、弾性率、信頼性等に優れたビルドアッププリント配線板の製造方法を得る。
【解決手段】層間絶縁層を形成する際に、内層板hの両側に、耐熱フィルムeの少なくとも片面に積層用Bステージ樹脂組成物層cを形成した接着シートを配置し、その外側に金属箔a、金属箔付きBステージ樹脂組成物層c或いは離型フィルムに積層用又はアディティブ用Bステージ樹脂組成物層を付着したシートを置き、積層して多層板とする。更にアディティブ用樹脂組成物として、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用する。
【選択図】図1
【解決手段】層間絶縁層を形成する際に、内層板hの両側に、耐熱フィルムeの少なくとも片面に積層用Bステージ樹脂組成物層cを形成した接着シートを配置し、その外側に金属箔a、金属箔付きBステージ樹脂組成物層c或いは離型フィルムに積層用又はアディティブ用Bステージ樹脂組成物層を付着したシートを置き、積層して多層板とする。更にアディティブ用樹脂組成物として、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、積層法或いはアディティブ法による多層プリント配線板の製造方法であり、特に耐熱性、銅接着力、信頼性等に優れた高密度多層プリント配線板に関し、得られた多層プリント配線板は、高密度の小型プリント配線板として、半導体チップを搭載し、小型、軽量の新規な半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、ますます小型、薄型、軽量化する電子機器において、更に高密度の多層プリント配線板が使用されるようになってきている。この多層プリント配線板は、細密回路が形成されており、従来のエポキシ樹脂内に多量にゴムを添加した接着剤を用いたアディティブ法多層プリント配線板(例えば特許文献1、2参照)は、信頼性、電気的特性、耐熱性等が劣り、高密度プリント配線板として使用するのに限度があった。又、内層板が薄い場合、この両側に基材補強の無い積層用或いはアディティブ用接着フィルム(例えば特許文献3、4参照)を使用すると、ビルドアップして多層にしたプリント配線板は曲げ強度、引張り強度等の機械的強度、剛性率が劣り、反りも発生し易く、アッセンブリ等の工程で不良の原因となっていた。積層後の絶縁層間が薄い場合、Z方向の耐マイグレーション性が劣るため、プリント配線板全体厚みを薄くするのに限度があった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−231940号公報
【特許文献2】特開2000−17148号公報
【特許文献3】特開平5−267840号公報
【特許文献4】特開平5−86204号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、多層プリント配線板の剛性率が高く、銅接着力、耐熱性等に優れ、信頼性にも優れた薄型の高密度多層プリント配線板をサブトラクティブ法或いはアディティブ法にて製造する方法を提供するものである。
【0005】
【発明が解決するための手段】
本発明は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、サブトラクティブ法或いはアディティブ法によって薄型の多層プリント配線板を製造する方法であり、該層間絶縁層を形成する際に、耐熱フィルムの少なくとも片面にBステージ樹脂組成物が付着した積層用シートを内層板の上に配置し、その外側に金属箔、金属箔付きBステージ樹脂組成物シート或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを配置して積層して得られる基板を用いて多層プリント配線板を作製し、これを繰り返してビルドアップし、多層プリント配線板を製造する。特に全体の厚さを薄くする場合は、耐熱フィルムとして厚さが4〜20μmのものを使用し、金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートのBステージ樹脂組成物層の厚みが金属箔或いは離型フィルム凸部先端から5〜10μmのものを使用する。
【0006】
又、金属箔或いは離型フィルムに付着させたBステージ樹脂組成物がアディティブ用樹脂組成物を使用する場合、Bステージ樹脂組成物中には硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分と難溶性の成分が含有されており、この中の難溶性の成分が、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用することにより、得られた高密度プリント配線板は、耐熱性等に優れ、耐マイグレーション性、耐クラック性等の信頼性にも優れたものが得られた。更に硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分として、ブタジエン含有樹脂、有機粉体、無機粉体の3成分のうち2成分以上を必須成分として使用することにより、銅メッキとの接着力に優れたものが得られた。又、単にBステージ樹脂組成物シートを使用するのに比べて、反り・捻れが小さく、板厚精度に優れ、弾性率(剛性率)が高いものが得られた。
【0007】
本発明の製造方法において使用する、金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートの樹脂組成物層は、特に限定はなく、積層用としては一般に公知の硬化性樹脂組成物が使用できる。又、アディティブ用樹脂組成物としても一般に公知のものが使用できる。
【0008】
アディティブ用樹脂組成物中には、硬化処理後に粗化溶液に可溶性の樹脂組成物及び難溶性の樹脂組成物が均一に分散したものである。ここで、本発明で使用するアディティブ用樹脂組成物の「可溶性」「難溶性」の意味は、同一の粗化溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の速いものを「可溶性」、遅いものを「難溶性」と表現している。
【0009】
本発明の可溶性樹脂は、一般に公知のものが挙げられる。この樹脂は溶剤に可溶性のもの、液状のものであり、難溶性樹脂中に配合される。これらは特に限定はないが、具体的にはポリブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、これらのエポキシ化物、マレイン化物、イミド化物、カルボキシル基含有物、(メタ)アクリル化物等、公知のものが挙げられる。特に分子内にブタジエン骨格が入ったものが、粗化液への溶解性、電気的特性等の点から好適に使用される。又、無官能のものより官能基を含むものが、後硬化処理で他の未反応の樹脂の官能基と反応して架橋し、特性が向上するので好ましい。
【0010】
本発明の可溶性有機粉体としては特に限定はないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の粉体が挙げられ、粗化溶液に浸漬した場合、硬化処理した難溶性樹脂よりも溶解性が速いものであれば特に限定はない。形状は、球状、破砕された無定形状のもの、針状等があり、組み合わせて使用可能である。球状、破砕したものが好適に使用され、粒径は特に限定はないが、好ましくは平均粒径0.1〜10μm、更に好ましくは平均粒径0.2〜5μmである。粒子径は大きいもの、小さいものを組み合わせて使用するのが好ましい。この場合、表面凹凸を有する離型フィルムを使用した場合、有機粉体は樹脂層厚みより最大径が小さいものを使用する。例えば塗布樹脂層を離型フィルムの凸部先端から7μmの厚みにする場合、粒子の最大径は7μm以下、好ましくは6μm以下として、塗布後に粒子が樹脂表面より出ないようにする。この場合は平均粒径は6μm未満である。具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アクリルゴム、ポリスチレン、MBSゴム、ABS等の粉体、これらの多重構造(コアーシェル)ゴム粉体等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が適宜選択して配合される。
【0011】
本発明の可溶性無機粉体としては、特に限定はないが、例えばアルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物;炭酸カルシウム等のカルシウム化合物類;マグネシア等のマグネシウム化合物類;シリカ、ゼオライト等のシリカ化合物類等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0012】
本発明の難溶性樹脂としては、熱硬化性樹脂、アルカリ水溶液に可溶性の感光性樹脂等公知のものが1種或いは2種以上組み合わせて使用され、特に限定はないが、具体的には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、2重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ化或いはシアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシアクリレート、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。更にこれらの公知の臭素化物、リン含有化合物も使用される。この中で、耐マイグレーション性、耐熱性等、吸湿後の耐熱性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂が好ましい。特に、好適には(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー 100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂を15〜500重量部配合し、(c)熱硬化触媒をこの(a+b)成分100重量部に対し0.005〜10重量部配合した樹脂組成物を必須成分とした熱硬化性樹脂組成物を用いる。積層用樹脂組成物も、以上の樹脂組成物を使用する。
【0013】
本発明で好適に使用される多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類等である。
【0014】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。これらの臭素付加化合物、液状の樹脂等も使用できる。
【0015】
室温で液状のエポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用可能である。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリエーテルポリオールのジグリシジル化物、酸無水物のエポキシ化物等が単独或いは2種以上組み合わせて使用される。使用量は、多官能性シアン酸エステル化合物、該シアン酸エステルプレポリマー 100重量部に対し、15〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。室温で液状とは、室温(25℃)で破砕できないものを言う。これらの液状エポキシ化合物以外に、公知の室温で破砕できる固形の上記エポキシ樹脂、更にはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂等が難溶性樹脂として単独或いは2種以上組み合わせて使用される。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて上記以外の種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、各種樹脂類、この樹脂類の公知の臭素、燐化合物、上記以外の公知の無機や有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は公知の硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0018】
本発明の樹脂組成物中に均一分散している可溶性樹脂、有機粉体、無機粉体の配合量は、特に限定はないが、好適には全体の3〜50重量%、更に好適には5〜35重量%を使用する.。これらの成分は3成分のうち2成分以上を使用する。又、同一粒径よりは異なる粒径のものを用いることにより、凹凸の形状がより複雑となってアンカー効果が増し、銅メッキ接着力に優れたものが得られる。
【0019】
本発明の各成分を均一に混練する方法は、一般に公知の方法が使用され得る。例えば、各成分を配合後、三本ロールにて、室温或いは加熱下に混練するか、ボールミル、ライカイ機等、一般に公知のものが使用される。また、溶剤を添加して加工法に合う粘度として使用する。
【0020】
本発明で使用する耐熱フィルム基材は、種類、厚さには特に制限はなく公知のものが使用できる。具体的には、ポリイミド(カプトン)フィルム、ポリパラバン酸フィルム、液晶ポリエステルフィルム、全芳香族ポリアミドフィルム等が使用される。厚さは目的により適宜選択する。ラミネート成形後の絶縁層間の厚みを20〜40μm位に薄くするためには、好適には厚さ4〜20μm、更に好適には4.5〜12μmの耐熱フィルムを使用する。耐熱フィルムの表面に接着剤樹脂層を形成する場合、無処理でも良いが、コロナ処理、プラズマ処理、薬液処理、サンドブラスト処理等の処理を行い、接着力を上げるための公知の処理を行う。好適には高圧プラズマ処理を、フィルム表面の微細な凹凸ができる程度に行う。
【0021】
本発明の耐熱フィルム基材の少なくとも片面にBステージ樹脂組成物層を付着させる方法は特に限定はないが、耐熱フィルム基材の少なくとも片面に公知の耐熱フィルム用接着剤を塗布、乾燥してBステージとする方法、耐熱フィルムの少なくとも片面に離型フィルムに付着させたBステージ樹脂組成物シートをラミネートして接着させる方法等で作製される。耐熱フィルム基材両面に樹脂層が同じ厚みでも良く、又金属箔或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物を積層する側の樹脂組成物層を薄く、内層板への積層に使用する樹脂層は厚くしても良い。更には、片面だけ積層用のBステージ樹脂組成物層を付着させ、耐熱フィルム付き積層用Bステージ樹脂組成物シートとする。製造方法は必ずしもこの方法に限定されるものではない。
【0022】
本発明で使用する表面に凹凸のある金属箔は特に限定はなく、具体的にはアルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。樹脂を付着させる面の凹凸は特に限定はないが、好適には平均粗度Rzが1〜10μm、更に好ましくは2〜9μmである。これは粗化前に凹凸が大きいと、粗化時間が短く、且つ水分の浸透も少ないために、メッキした銅層の加熱による膨れ軽減等が図れる。金属箔の厚みは特に限定はないが、その後にエッチング等して除去するために薄い方が良く、好ましくは9〜20μmを使用する。もちろん表面平滑な金属箔も使用可能である。表面平滑な金属箔もアディティブ用では使用可能である。
【0023】
本発明で使用する離型フィルムは特に限定はなく、硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥した場合にシワ、伸び等がないものを選択して用いる。具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ-4-メチルペンテン-1フィルム、ポリプロピレンフィルム等、公知のものが使用可能である。更にこのフィルム上に離型剤処理を施したもの、静電防止処理を施したもの等が好適に使用される。又、塗布する面に凹凸が形成された離型フィルムも使用できる。樹脂を付着させる面の凹凸は特に限定はないが、好適には平均粗度Rzが1〜10μm、更に好ましくは2〜9μmである。離型フィルムの厚みは特に限定はないが、一般には15〜100μm、好適には20〜50μmのものが使用される。
【0024】
離型フィルムにBステージ樹脂組成物層を付着させる場合、方法は公知の方法が使用できる。例えば、離型フィルム上に直接ロールで塗布、乾燥してBステージ化するか、離型フィルムに塗布、乾燥してBステージ化した後にこれを耐熱フィルムの両面に配置して、加熱、加圧ロール等で圧着し、一体化した離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートとする。この場合樹脂組成物中に少量の溶剤が残存しても良い。樹脂組成物の厚みは特に限定はないが、一般的には金属箔の凸の先端から3〜100μm、好ましくは4〜50μm、更に好適には5〜20μmである。この厚みは目的とする絶縁層の厚みにより、耐熱フィルムの厚みとあわせて適宜選択し、メッキした銅の接着力が確保できる凹凸を付けるための厚みとする。
【0025】
本発明の多層化の場合、銅張積層板や耐熱フィルム基材補強銅張シート等を用いて導体回路を形成した内層板を使用して、導体に公知の表面処理を施した後、又は両面粗化箔を使用した内層用回路板の表裏に上記耐熱フィルム基材の少なくとも片面にBステージ樹脂組成物を付着させた耐熱フィルム基材補強Bステージ樹脂組成物シートの樹脂側を内層板側に向けて置き、その外側に上記金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを配置し、公知の方法にて加熱、加圧、好適には真空下に積層成形或いはラミネートし、アディティブ法では硬化処理を行い、粗化溶液で粗化できる硬化度とする。積層又はラミネート後に金属箔或いは離型フィルムを除去し、その後に粗化溶液で表面を粗化して凹凸を付けた後、無電解メッキ、電気メッキを行う。サブトラクティブ法では、金属箔は張ったまま回路を形成し、プリント配線板とする。離型フィルム付きの場合は、内層基板にラミネート接着させ、表層の離型フィルムを剥離後に表面に凹凸を有する金属箔を配置して積層成形し、回路を形成する。この場合に使用する金属箔はアルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の公知のものが使用できる。金属箔の表面粗度は上記離型フィルムと同等で良い。
【0026】
本発明のアディティブ用Bステージ樹脂組成物シートを用いて多層化する際の硬化処理積層条件は、特に限定はないが、酸或いは酸化剤等での粗化が適正にできる条件を、使用した樹脂組成によって適宜選択する。一般には温度60〜250℃、圧力2〜50kgf/cm2 、時間は0.5〜3時間である。又、真空下に積層成形するのが好ましい。装置は真空ラミネータプレス、一般の多段真空プレス等、公知のものが使用できる。
【0027】
本発明で得られたアディティブ用金属箔張或いは離型フィルム張板の表層の金属箔或いは離型フィルムを除去後、公知の方法にて樹脂の粗化を酸或いは酸化剤等で行う。使用する酸としては硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、蟻酸等が挙げられ、酸化剤としては過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸、クロム硫酸等が挙げられるが、これに限定されるものではない。この処理前は必要により公知の膨潤液を使用し、処理後は中和液で中和する。この粗化処理で形成する粗化面の平均粗度は、金属箔の凹凸とは別に平均粗度Rz0.1〜10μm、好適には0.2〜5μmとする。金属箔或いは離型フィルムの凹凸と粗化による凹凸を合わせた粗度は、一般には平均粗度Rzが3〜15 μm、好適にはRz5〜12 μmとする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、粗化溶液に溶解性が速い成分を2成分以上配合しているために、平均粗度が余り大きくなくても、小さい凹凸が粗化された凹みの中にあり、銅メッキした場合に接着力は高くなる。1成分だと凹凸は複雑とならず、高い銅接着力を得るのが困難である。
【0028】
金属を付着後は、公知のセミアディティブ法、フルアディティブ法等にて無電解メッキ、厚付け無電解メッキ等を行い、更には一般には電気メッキを行って導体を厚付けする。アディティブ用Bステージ樹脂組成物は樹脂組成によっても異なるが、粗化できる硬化度では、このままプリント配線板にすると耐熱性、信頼性等が劣り、高密度プリント配線板としては使用できない。従って、一般には回路形成前に後硬化する。樹脂組成によって異なるが、温度60〜250℃で30分〜5時間後硬化する。次に公知の方法で回路を形成し、プリント配線板とする。この同一工程を順次繰り返してビルドアップにて多層化する。もちろん、樹脂組成によっては、先に硬化させ、粗化を行うことも可能である。積層成形法で多層板を作製する場合には、積層時に完全硬化させる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(実施例1)
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマーを400部150℃に熔融させ、撹拌しながら4時間反応させ、平均分子量1,900のプレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、ワニスAとした。これに室温で液状のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート828、ジャパンエポキシレジン<株>製)50部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:EXA830LVP、大日本インキ化学工業<株>製)50部、ノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製)50部、室温で固形のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)300部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)100部を配合し、熱硬化触媒としてアセチルアセトン鉄0.3部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E-1000-8.0、日本石油化学<株>製)100部、エポキシ基変性アクリル多層構造有機粉体(商品名:スタフィロイドIM-203、平均粒子径0.2μm、Max.粒径0.5μm)100部、を加え、良く攪拌混合して均一なワニスBにした。
【0030】
このワニスBを連続して厚さ25μmのアルミニウム箔(凹凸2.0〜7.3μm、平均粗度Rz:5.1μm)に塗布、乾燥してMax.凸部の先端から5.7μmの高さのBステージ樹脂組成物層(170℃でのゲル化時間50秒)を形成し、乾燥ゾーンから出てきた時点で樹脂側に厚さ15μmの保護ポリプロピレンフィルムを配置し、100℃、4kgf/cmの線圧でラミネートして金属箔付きBステージ樹脂組成物シートDを作製した。
【0031】
又、上記ワニスAの固形分1000部にビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)700部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:EXA830LVP、大日本インキ化学工業<株>製)140部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)160部を配合し、熱硬化触媒としてアセチルアセトン鉄0.5部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E-1800-8.0、日本石油化学<株>製)100部を加え、良く攪拌混合して均一なワニスEにした。
【0032】
このワニスEを厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムFの片面に連続的に塗布、乾燥してゲル化時間59秒、厚さ22μmのBステージ樹脂層を形成し、乾燥ゾーンを出てきた時に樹脂面に、厚さ12μmのポリイミドフィルムの両面を900Wで1分高圧プラズマ処理した片面に配置し、100℃、5kgf/cmの線圧で連続的にラミネートして一体化し、耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートGを作製した。
【0033】
一方、内層板として絶縁層厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のBTレジン銅張積層板(商品名:CCL-HL830、三菱ガス化学<株>製 )に回路を形成し、黒色酸化銅処理を銅箔に施した板の両面に、上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートGを、離型フィルムを剥がして樹脂層が内層板側を向くように配置し、その上に上記アルミニム箔付きBステージ樹脂組成物シートDを、保護フィルムFを剥離して配置し、プレス装置に仕込んだ後、室温から170℃まで25分で温度を上げ、圧力は最初から15kgf/cm2とし、真空度は0.5Torrで170℃にて30分保持した後、冷却して取り出し、4層の多層板 H を得た。この表面の金属箔をエッチング除去後、炭酸ガスレーザー出力12mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(日本マクダーミッド<株>)で膨潤、デスミア(溶解)、中和して、表層からの凹凸合計で3.2〜8.0μm(平均粗度Rz:5.5μm)、とした。同時にブラインドビア孔底部に残存している樹脂層を溶解除去した。次に、この粗化表面に無電解銅メッキ層を0.7μm付着させ、更に電気銅メッキを25μm付着させ、加熱炉に入れて100℃から徐々に温度を30分で150℃まで上げ、更に徐々に温度を上げて200℃で60分加熱硬化した。クロスセクションで絶縁層間の厚みを測定したところ、ほぼ30μmであった。これを用いてセミアディティブ法にて銅導体回路を形成し、更に導体回路表面黒色酸化銅処理して同一工程を繰り返し、6層の多層プリント配線板を作製した。この評価結果を表1に示す。
【0034】
実施例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)500部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、カルボキシル基変性アクリル多層構造粉体(商品名:スタフィロイドIM-301、平均粒子径0.2μm)60部、微粉砕シリカ(平均粒子径2.4μm)40部、及びアクリロニトリルーブタジエンゴム(商品名:ニポール1031、日本ゼオン<株>製)30部をメチルエチルケトンに溶解した溶液を加え、3本ロールにて良く分散し、ワニス I とした。これを厚さ25μmのPETフィルムの表面に連続的に塗布、乾燥して厚さ15.0μmの樹脂層を形成した離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートJ(170℃でのゲル化時間63秒)を作製した。
【0035】
又、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)450部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、カルボキシル基変性アクリル多層構造有機粉体(商品名:スタフィロイドIM-301、平均粒径0.2μm)150部を加え3本ロールにて良く均一分散し、ワニスK とした。このワニスK を連続的に厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムに塗布、乾燥して樹脂組成物厚さ20μm、ゲル化時間が65秒のBステージ樹脂組成物層を形成し、これを連続的に500Wで五分高圧プラズマ処理した厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミド(アラミド)フィルムの片面に配置し、温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて連続的にラミネートし、巻き取って耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートL を作製した。
【0036】
一方、厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のエポキシ系銅張積層板(商品名:CCL-EL170、三菱ガス化学<株>製)回路を形成し、導体回路に黒色酸化銅処理後に、この両面に上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートLの離型PETフィルムを剥離して配置し、その外側に上記離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートJを離型フィルムを剥離して配置し、プレス装置に仕込んで室温から170℃まで25分で温度を上げ、圧力は最初から15kgf/cm2とし、真空度0.5Torrにて温度170℃にて30分保持して硬化処理をした後、冷却して取り出し、基板Mを得た。この表面の離型フィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー出力12mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。
【0037】
クロム酸水溶液で粗化処理をして、樹脂表面からの凹凸合計を3.1〜9.0μm(平均粗度Rz6.1μm)とした。この際に耐熱フィルムには凹部先端は到達しなかった。同時にブラインドビア孔底部に残存している樹脂層を溶解除去した。成形後の絶縁層間の厚みはほぼ20μmであった。
【0038】
次に、この粗化表面に無電解銅メッキ層を0.5μm付着させ、更に電気銅メッキを25μm付着させ、加熱炉に入れて温度を100℃から30分で150℃まで徐々に上げ、更に温度を徐々に上げて170℃で60分加熱後硬化した。これを用いてセミアディティブ法にて導体回路を形成し、更に導体回路に黒色酸化銅処理を行い、同様に加工して6層の多層プリント配線板を作製した。この評価結果を表1に示す。
【0039】
(実施例3)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、油化シェルエポキシ<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)450部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、タルク(平均粒径1.8μm、Max.粒径4.2μm)400部を加え、3本ロールにて良く均一分散し、ワニス O とした。このワニス O を連続的に厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムに塗布、乾燥して樹脂組成物厚さ20μm、ゲル化時間が68秒のBステージ樹脂組成物層を形成した。これを700Wで7分高圧プラズマ処理した厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミド(アラミド)フィルムの片面に配置し、連続的に温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにてラミネートし、耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートP を作製した。更にワニスOを、シャイニー面にニッケル・コバルト合金処理を1μm施した厚さ12μmの電解銅箔のマット面に塗布、乾燥して樹脂層厚さが凸部先端から6.1μm、ゲル化時間が70秒のBステージ樹脂組成物層が付着した銅箔付きBステージ樹脂組成物シートQを作製し、乾燥ゾーンから出てきた時点で厚さ15μmの保護ポリプロピレンフィルムを配置し、温度90℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて接着し、一体化した。
【0040】
一方、厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のエポキシ系銅張積層板(商品名:CCL-EL170、三菱ガス化学<株>製)回路を形成し、導体に黒色酸化銅処理した内層板Jを作製後、この両面に上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シート P の片面の離型フィルムを剥離して配置し、温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて接着後、この上に上記銅箔付きBステージ樹脂組成物シートQの保護フィルムを剥離して置き、110℃・30分+180℃・90分、5kgf/cm2・15分+20kgf/cm2・最後まで、真空度30mmHg以下で2時間積層成形した。この表層の絶縁層厚みはほぼ20μmであった。この表面から、炭酸ガスレーザー出力13mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。この孔部に発生した銅箔バリをエッチング液で溶解すると同時に銅箔の厚さを4μmまで溶解した。デスミア処理後、無電解銅メッキを0.5μm、その後に電気銅メッキを15μm付着させ、同時にブラインドビア孔内部をメッキで充填した。その後、定法にて回路を形成し、黒色酸化銅処理後に同様の工程を繰り返して6層のプリント配線板を作製した。評価結果を表2に示す。
【0041】
(比較例1、2)
実施例1、2でそれぞれワニスB及び I を使用し、同一金属箔、離型フィルム上に、実施例1では凸部先端から40μm、実施例2は離型フィルム上に40μm付着させて金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを作製し、実施例1、2において耐熱フィルム基材補強Bステージ樹脂組成物シートを使用せず、この金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートのみを使用して同様に積層硬化処理成形し、粗化処理を同様に行って、実施例1,2と同様に表層からの凹凸合計で7〜13μm(平均粗度Rz:8〜11μm)とし、同様に6層の多層プリント配線板とした。この評価結果を表1に示す。
【0042】
(比較例3)
実施例1において、ワニスBを厚さ20μmのガラス織布に含浸、乾燥して総厚さ(ガラス織布+樹脂組成物層)40μm、ゲル化時間(170℃)が84秒のプリプレグNを製造した。このプリプレグNを各1枚内層板の両側に配置し、その外側に同じ凹凸の付いたアルミニウム箔を置き、同様に積層硬化処理成形して4層の多層板を作製した。この表層のアルミニウム箔を溶解除去後に、ブラインドビア孔を形成し、同様に粗化処理を行って、表層からの凹凸合計を5〜11μmとし、無電解銅メッキ、電気銅メッキ後に同様に回路形成、導体黒色酸化銅処理、プリプレグK配置、凹凸の付いたアルミニウム箔を配置し、同様に積層してから表層のアルミニウム箔溶解除去、ブラインドビア孔形成、、デスミア処理、無電解銅メッキ、電気銅メッキ後に回路形成を行って6層の多層プリント配線板を作製した。銅メッキ断面を観察すると、ガラスクロスに粗化の凹が到達し、銅メッキが付着している箇所多数があった。この評価結果を表1に示す。
【0043】
(比較例4)
実施例3のワニス O を用い、これを厚さ20μmのガラス織布に含浸、乾燥してゲル化時間67秒、厚さ40μmのプリプレグを作製した。これを内層板の上に置き、この上にシャイニー面にニッケル・コバルト合金処理を1μm施した厚さ12μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形して4層板を作製し、同様に炭酸ガスレーザーで孔あけ、加工して4層プリント配線板、6層プリント配線板とした。評価結果を表2に示す。
【0044】
【0045】
【0046】
<測定方法>
1)銅箔接着力 : JIS C6481に準じて測定した。
2)半田耐熱性 : 121℃./203kPaで4時間処理後に260℃の半田中に30sec.浸せきしてから異常の有無を観察した。
3)ガラス転移温度 : 各ワニスを銅箔上に塗布、乾燥を重ねて厚さ0.8mmとし、その後、この樹脂組成物面に銅箔を置いて各積層条件で硬化させてから、表層の銅箔をエッチングし、DMA法にて測定した。尚、比較例3はプリプレグを複数枚使用して積層成形して厚さをほぼ0.8mmとしたものを使用した。
4)弾性率 : 各実施例、比較例にて、内外層金属箔は全て除去し、表裏各2回積層したものを用い、3)で測定したDMAのチャートでの25℃の弾性率を示した。
5)ソリ、ネジレ : 250x250mmで作製した6層のプリント配線板を用い、定盤上に置き、ソリ、ネジレの最大値を測定した。
6)厚みバラツキ : 5)の250x250mmの6層のプリント配線板の片面の積層した層の厚みのバラツキを厚み測定器で測定し、1層当たりのバラツキの最大値を示した。
7)耐マイグレーション性(Z方向):各実施例、比較例の6層板の2層目と3層目に10mm角の銅箔を同じ位置に残して100個つ なぎ、Z方向の絶縁層間の絶縁抵抗値を85℃・85%RHにて100VDC印加して測定した。
8)耐マイグレーション性(X方向): 各実施例、比較例の6層板の2層目にライン/スペース=50/50μmの回路を形成し、これを100個つなぎ、ライン間の絶縁抵抗値を85℃・85%RHにて100VDC印加して測定した。
【0047】
【発明の効果】
基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、多層プリント配線板を製造する方法であり、該層間絶縁層を形成する際に、耐熱フィルムの少なくとも片面にBステージ樹脂組成物が付着した積層用シートを内層板の上に配置し、その外側に金属箔或いは離型フィルムに接着したBステージ樹脂組成物シートを配置して積層して得られる基板を用いて多層プリント配線板を作製し、これを繰り返してビルドアップして多層プリント配線板を製造することにより、弾性率(剛性)が高く、ソリ、ネジレ、厚み精度に優れ、Z方向の耐マイグレーション性等の信頼性に優れたものが得られた。
【0048】
又、該層間絶縁層を形成する際に、内層板の最外層に使用する金属箔或いは離型フィルムに接着したBステージ樹脂組成物層が硬化処理によって粗化溶液に可溶性の樹脂が難溶性の樹脂中に均一に分散したアディティブ用樹脂組成物であり、この粗化溶液に難溶性の該樹脂組成物として、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用することにより、耐熱性、耐マイグレーション性等の信頼性に優れたプリント配線板を作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプリント配線板の製造工程である。
(1) 硬化処理積層時の構成
(2) 表層のアルミニウム箔を溶解除去後の粗化
(3) 粗化された樹脂表面
【図2】比較例3のプリント配線板の製造工程である。
(1) 積層成形時の構成
(2) 表層のアルミニウム箔を溶解除去後の粗化
(3) ガラス繊維まで 粗化された樹脂表面
【符号の説明】
a アルミニウム箔
b アルミニウム箔の凹凸部
c アディティブ用Bステージ樹脂組成物層
d 有機粉体
e 耐熱フィルム
f 積層用Bステージ樹脂組成物層
g 内層板導体回路
h 内層板絶縁層
i アルミニウム箔を溶解除去後の表面凹凸
j 粗化された表面樹脂層
k ガラス繊維糸
l ガラス繊維断面
m 粗化によりガラスクロスに到達した箇所
【産業上の利用分野】
本発明は、積層法或いはアディティブ法による多層プリント配線板の製造方法であり、特に耐熱性、銅接着力、信頼性等に優れた高密度多層プリント配線板に関し、得られた多層プリント配線板は、高密度の小型プリント配線板として、半導体チップを搭載し、小型、軽量の新規な半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、ますます小型、薄型、軽量化する電子機器において、更に高密度の多層プリント配線板が使用されるようになってきている。この多層プリント配線板は、細密回路が形成されており、従来のエポキシ樹脂内に多量にゴムを添加した接着剤を用いたアディティブ法多層プリント配線板(例えば特許文献1、2参照)は、信頼性、電気的特性、耐熱性等が劣り、高密度プリント配線板として使用するのに限度があった。又、内層板が薄い場合、この両側に基材補強の無い積層用或いはアディティブ用接着フィルム(例えば特許文献3、4参照)を使用すると、ビルドアップして多層にしたプリント配線板は曲げ強度、引張り強度等の機械的強度、剛性率が劣り、反りも発生し易く、アッセンブリ等の工程で不良の原因となっていた。積層後の絶縁層間が薄い場合、Z方向の耐マイグレーション性が劣るため、プリント配線板全体厚みを薄くするのに限度があった。
【0003】
【特許文献1】特開平8−231940号公報
【特許文献2】特開2000−17148号公報
【特許文献3】特開平5−267840号公報
【特許文献4】特開平5−86204号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、多層プリント配線板の剛性率が高く、銅接着力、耐熱性等に優れ、信頼性にも優れた薄型の高密度多層プリント配線板をサブトラクティブ法或いはアディティブ法にて製造する方法を提供するものである。
【0005】
【発明が解決するための手段】
本発明は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、サブトラクティブ法或いはアディティブ法によって薄型の多層プリント配線板を製造する方法であり、該層間絶縁層を形成する際に、耐熱フィルムの少なくとも片面にBステージ樹脂組成物が付着した積層用シートを内層板の上に配置し、その外側に金属箔、金属箔付きBステージ樹脂組成物シート或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを配置して積層して得られる基板を用いて多層プリント配線板を作製し、これを繰り返してビルドアップし、多層プリント配線板を製造する。特に全体の厚さを薄くする場合は、耐熱フィルムとして厚さが4〜20μmのものを使用し、金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートのBステージ樹脂組成物層の厚みが金属箔或いは離型フィルム凸部先端から5〜10μmのものを使用する。
【0006】
又、金属箔或いは離型フィルムに付着させたBステージ樹脂組成物がアディティブ用樹脂組成物を使用する場合、Bステージ樹脂組成物中には硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分と難溶性の成分が含有されており、この中の難溶性の成分が、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用することにより、得られた高密度プリント配線板は、耐熱性等に優れ、耐マイグレーション性、耐クラック性等の信頼性にも優れたものが得られた。更に硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分として、ブタジエン含有樹脂、有機粉体、無機粉体の3成分のうち2成分以上を必須成分として使用することにより、銅メッキとの接着力に優れたものが得られた。又、単にBステージ樹脂組成物シートを使用するのに比べて、反り・捻れが小さく、板厚精度に優れ、弾性率(剛性率)が高いものが得られた。
【0007】
本発明の製造方法において使用する、金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートの樹脂組成物層は、特に限定はなく、積層用としては一般に公知の硬化性樹脂組成物が使用できる。又、アディティブ用樹脂組成物としても一般に公知のものが使用できる。
【0008】
アディティブ用樹脂組成物中には、硬化処理後に粗化溶液に可溶性の樹脂組成物及び難溶性の樹脂組成物が均一に分散したものである。ここで、本発明で使用するアディティブ用樹脂組成物の「可溶性」「難溶性」の意味は、同一の粗化溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の速いものを「可溶性」、遅いものを「難溶性」と表現している。
【0009】
本発明の可溶性樹脂は、一般に公知のものが挙げられる。この樹脂は溶剤に可溶性のもの、液状のものであり、難溶性樹脂中に配合される。これらは特に限定はないが、具体的にはポリブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、これらのエポキシ化物、マレイン化物、イミド化物、カルボキシル基含有物、(メタ)アクリル化物等、公知のものが挙げられる。特に分子内にブタジエン骨格が入ったものが、粗化液への溶解性、電気的特性等の点から好適に使用される。又、無官能のものより官能基を含むものが、後硬化処理で他の未反応の樹脂の官能基と反応して架橋し、特性が向上するので好ましい。
【0010】
本発明の可溶性有機粉体としては特に限定はないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の粉体が挙げられ、粗化溶液に浸漬した場合、硬化処理した難溶性樹脂よりも溶解性が速いものであれば特に限定はない。形状は、球状、破砕された無定形状のもの、針状等があり、組み合わせて使用可能である。球状、破砕したものが好適に使用され、粒径は特に限定はないが、好ましくは平均粒径0.1〜10μm、更に好ましくは平均粒径0.2〜5μmである。粒子径は大きいもの、小さいものを組み合わせて使用するのが好ましい。この場合、表面凹凸を有する離型フィルムを使用した場合、有機粉体は樹脂層厚みより最大径が小さいものを使用する。例えば塗布樹脂層を離型フィルムの凸部先端から7μmの厚みにする場合、粒子の最大径は7μm以下、好ましくは6μm以下として、塗布後に粒子が樹脂表面より出ないようにする。この場合は平均粒径は6μm未満である。具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アクリルゴム、ポリスチレン、MBSゴム、ABS等の粉体、これらの多重構造(コアーシェル)ゴム粉体等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が適宜選択して配合される。
【0011】
本発明の可溶性無機粉体としては、特に限定はないが、例えばアルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物;炭酸カルシウム等のカルシウム化合物類;マグネシア等のマグネシウム化合物類;シリカ、ゼオライト等のシリカ化合物類等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0012】
本発明の難溶性樹脂としては、熱硬化性樹脂、アルカリ水溶液に可溶性の感光性樹脂等公知のものが1種或いは2種以上組み合わせて使用され、特に限定はないが、具体的には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、2重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ化或いはシアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシアクリレート、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。更にこれらの公知の臭素化物、リン含有化合物も使用される。この中で、耐マイグレーション性、耐熱性等、吸湿後の耐熱性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂が好ましい。特に、好適には(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー 100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂を15〜500重量部配合し、(c)熱硬化触媒をこの(a+b)成分100重量部に対し0.005〜10重量部配合した樹脂組成物を必須成分とした熱硬化性樹脂組成物を用いる。積層用樹脂組成物も、以上の樹脂組成物を使用する。
【0013】
本発明で好適に使用される多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類等である。
【0014】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。これらの臭素付加化合物、液状の樹脂等も使用できる。
【0015】
室温で液状のエポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用可能である。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリエーテルポリオールのジグリシジル化物、酸無水物のエポキシ化物等が単独或いは2種以上組み合わせて使用される。使用量は、多官能性シアン酸エステル化合物、該シアン酸エステルプレポリマー 100重量部に対し、15〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。室温で液状とは、室温(25℃)で破砕できないものを言う。これらの液状エポキシ化合物以外に、公知の室温で破砕できる固形の上記エポキシ樹脂、更にはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂等が難溶性樹脂として単独或いは2種以上組み合わせて使用される。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて上記以外の種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、各種樹脂類、この樹脂類の公知の臭素、燐化合物、上記以外の公知の無機や有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は公知の硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0018】
本発明の樹脂組成物中に均一分散している可溶性樹脂、有機粉体、無機粉体の配合量は、特に限定はないが、好適には全体の3〜50重量%、更に好適には5〜35重量%を使用する.。これらの成分は3成分のうち2成分以上を使用する。又、同一粒径よりは異なる粒径のものを用いることにより、凹凸の形状がより複雑となってアンカー効果が増し、銅メッキ接着力に優れたものが得られる。
【0019】
本発明の各成分を均一に混練する方法は、一般に公知の方法が使用され得る。例えば、各成分を配合後、三本ロールにて、室温或いは加熱下に混練するか、ボールミル、ライカイ機等、一般に公知のものが使用される。また、溶剤を添加して加工法に合う粘度として使用する。
【0020】
本発明で使用する耐熱フィルム基材は、種類、厚さには特に制限はなく公知のものが使用できる。具体的には、ポリイミド(カプトン)フィルム、ポリパラバン酸フィルム、液晶ポリエステルフィルム、全芳香族ポリアミドフィルム等が使用される。厚さは目的により適宜選択する。ラミネート成形後の絶縁層間の厚みを20〜40μm位に薄くするためには、好適には厚さ4〜20μm、更に好適には4.5〜12μmの耐熱フィルムを使用する。耐熱フィルムの表面に接着剤樹脂層を形成する場合、無処理でも良いが、コロナ処理、プラズマ処理、薬液処理、サンドブラスト処理等の処理を行い、接着力を上げるための公知の処理を行う。好適には高圧プラズマ処理を、フィルム表面の微細な凹凸ができる程度に行う。
【0021】
本発明の耐熱フィルム基材の少なくとも片面にBステージ樹脂組成物層を付着させる方法は特に限定はないが、耐熱フィルム基材の少なくとも片面に公知の耐熱フィルム用接着剤を塗布、乾燥してBステージとする方法、耐熱フィルムの少なくとも片面に離型フィルムに付着させたBステージ樹脂組成物シートをラミネートして接着させる方法等で作製される。耐熱フィルム基材両面に樹脂層が同じ厚みでも良く、又金属箔或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物を積層する側の樹脂組成物層を薄く、内層板への積層に使用する樹脂層は厚くしても良い。更には、片面だけ積層用のBステージ樹脂組成物層を付着させ、耐熱フィルム付き積層用Bステージ樹脂組成物シートとする。製造方法は必ずしもこの方法に限定されるものではない。
【0022】
本発明で使用する表面に凹凸のある金属箔は特に限定はなく、具体的にはアルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。樹脂を付着させる面の凹凸は特に限定はないが、好適には平均粗度Rzが1〜10μm、更に好ましくは2〜9μmである。これは粗化前に凹凸が大きいと、粗化時間が短く、且つ水分の浸透も少ないために、メッキした銅層の加熱による膨れ軽減等が図れる。金属箔の厚みは特に限定はないが、その後にエッチング等して除去するために薄い方が良く、好ましくは9〜20μmを使用する。もちろん表面平滑な金属箔も使用可能である。表面平滑な金属箔もアディティブ用では使用可能である。
【0023】
本発明で使用する離型フィルムは特に限定はなく、硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥した場合にシワ、伸び等がないものを選択して用いる。具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ-4-メチルペンテン-1フィルム、ポリプロピレンフィルム等、公知のものが使用可能である。更にこのフィルム上に離型剤処理を施したもの、静電防止処理を施したもの等が好適に使用される。又、塗布する面に凹凸が形成された離型フィルムも使用できる。樹脂を付着させる面の凹凸は特に限定はないが、好適には平均粗度Rzが1〜10μm、更に好ましくは2〜9μmである。離型フィルムの厚みは特に限定はないが、一般には15〜100μm、好適には20〜50μmのものが使用される。
【0024】
離型フィルムにBステージ樹脂組成物層を付着させる場合、方法は公知の方法が使用できる。例えば、離型フィルム上に直接ロールで塗布、乾燥してBステージ化するか、離型フィルムに塗布、乾燥してBステージ化した後にこれを耐熱フィルムの両面に配置して、加熱、加圧ロール等で圧着し、一体化した離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートとする。この場合樹脂組成物中に少量の溶剤が残存しても良い。樹脂組成物の厚みは特に限定はないが、一般的には金属箔の凸の先端から3〜100μm、好ましくは4〜50μm、更に好適には5〜20μmである。この厚みは目的とする絶縁層の厚みにより、耐熱フィルムの厚みとあわせて適宜選択し、メッキした銅の接着力が確保できる凹凸を付けるための厚みとする。
【0025】
本発明の多層化の場合、銅張積層板や耐熱フィルム基材補強銅張シート等を用いて導体回路を形成した内層板を使用して、導体に公知の表面処理を施した後、又は両面粗化箔を使用した内層用回路板の表裏に上記耐熱フィルム基材の少なくとも片面にBステージ樹脂組成物を付着させた耐熱フィルム基材補強Bステージ樹脂組成物シートの樹脂側を内層板側に向けて置き、その外側に上記金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを配置し、公知の方法にて加熱、加圧、好適には真空下に積層成形或いはラミネートし、アディティブ法では硬化処理を行い、粗化溶液で粗化できる硬化度とする。積層又はラミネート後に金属箔或いは離型フィルムを除去し、その後に粗化溶液で表面を粗化して凹凸を付けた後、無電解メッキ、電気メッキを行う。サブトラクティブ法では、金属箔は張ったまま回路を形成し、プリント配線板とする。離型フィルム付きの場合は、内層基板にラミネート接着させ、表層の離型フィルムを剥離後に表面に凹凸を有する金属箔を配置して積層成形し、回路を形成する。この場合に使用する金属箔はアルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の公知のものが使用できる。金属箔の表面粗度は上記離型フィルムと同等で良い。
【0026】
本発明のアディティブ用Bステージ樹脂組成物シートを用いて多層化する際の硬化処理積層条件は、特に限定はないが、酸或いは酸化剤等での粗化が適正にできる条件を、使用した樹脂組成によって適宜選択する。一般には温度60〜250℃、圧力2〜50kgf/cm2 、時間は0.5〜3時間である。又、真空下に積層成形するのが好ましい。装置は真空ラミネータプレス、一般の多段真空プレス等、公知のものが使用できる。
【0027】
本発明で得られたアディティブ用金属箔張或いは離型フィルム張板の表層の金属箔或いは離型フィルムを除去後、公知の方法にて樹脂の粗化を酸或いは酸化剤等で行う。使用する酸としては硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、蟻酸等が挙げられ、酸化剤としては過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸、クロム硫酸等が挙げられるが、これに限定されるものではない。この処理前は必要により公知の膨潤液を使用し、処理後は中和液で中和する。この粗化処理で形成する粗化面の平均粗度は、金属箔の凹凸とは別に平均粗度Rz0.1〜10μm、好適には0.2〜5μmとする。金属箔或いは離型フィルムの凹凸と粗化による凹凸を合わせた粗度は、一般には平均粗度Rzが3〜15 μm、好適にはRz5〜12 μmとする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、粗化溶液に溶解性が速い成分を2成分以上配合しているために、平均粗度が余り大きくなくても、小さい凹凸が粗化された凹みの中にあり、銅メッキした場合に接着力は高くなる。1成分だと凹凸は複雑とならず、高い銅接着力を得るのが困難である。
【0028】
金属を付着後は、公知のセミアディティブ法、フルアディティブ法等にて無電解メッキ、厚付け無電解メッキ等を行い、更には一般には電気メッキを行って導体を厚付けする。アディティブ用Bステージ樹脂組成物は樹脂組成によっても異なるが、粗化できる硬化度では、このままプリント配線板にすると耐熱性、信頼性等が劣り、高密度プリント配線板としては使用できない。従って、一般には回路形成前に後硬化する。樹脂組成によって異なるが、温度60〜250℃で30分〜5時間後硬化する。次に公知の方法で回路を形成し、プリント配線板とする。この同一工程を順次繰り返してビルドアップにて多層化する。もちろん、樹脂組成によっては、先に硬化させ、粗化を行うことも可能である。積層成形法で多層板を作製する場合には、積層時に完全硬化させる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(実施例1)
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンモノマーを400部150℃に熔融させ、撹拌しながら4時間反応させ、平均分子量1,900のプレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、ワニスAとした。これに室温で液状のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート828、ジャパンエポキシレジン<株>製)50部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:EXA830LVP、大日本インキ化学工業<株>製)50部、ノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製)50部、室温で固形のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)300部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)100部を配合し、熱硬化触媒としてアセチルアセトン鉄0.3部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E-1000-8.0、日本石油化学<株>製)100部、エポキシ基変性アクリル多層構造有機粉体(商品名:スタフィロイドIM-203、平均粒子径0.2μm、Max.粒径0.5μm)100部、を加え、良く攪拌混合して均一なワニスBにした。
【0030】
このワニスBを連続して厚さ25μmのアルミニウム箔(凹凸2.0〜7.3μm、平均粗度Rz:5.1μm)に塗布、乾燥してMax.凸部の先端から5.7μmの高さのBステージ樹脂組成物層(170℃でのゲル化時間50秒)を形成し、乾燥ゾーンから出てきた時点で樹脂側に厚さ15μmの保護ポリプロピレンフィルムを配置し、100℃、4kgf/cmの線圧でラミネートして金属箔付きBステージ樹脂組成物シートDを作製した。
【0031】
又、上記ワニスAの固形分1000部にビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名::エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)700部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:EXA830LVP、大日本インキ化学工業<株>製)140部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)160部を配合し、熱硬化触媒としてアセチルアセトン鉄0.5部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E-1800-8.0、日本石油化学<株>製)100部を加え、良く攪拌混合して均一なワニスEにした。
【0032】
このワニスEを厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムFの片面に連続的に塗布、乾燥してゲル化時間59秒、厚さ22μmのBステージ樹脂層を形成し、乾燥ゾーンを出てきた時に樹脂面に、厚さ12μmのポリイミドフィルムの両面を900Wで1分高圧プラズマ処理した片面に配置し、100℃、5kgf/cmの線圧で連続的にラミネートして一体化し、耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートGを作製した。
【0033】
一方、内層板として絶縁層厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のBTレジン銅張積層板(商品名:CCL-HL830、三菱ガス化学<株>製 )に回路を形成し、黒色酸化銅処理を銅箔に施した板の両面に、上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートGを、離型フィルムを剥がして樹脂層が内層板側を向くように配置し、その上に上記アルミニム箔付きBステージ樹脂組成物シートDを、保護フィルムFを剥離して配置し、プレス装置に仕込んだ後、室温から170℃まで25分で温度を上げ、圧力は最初から15kgf/cm2とし、真空度は0.5Torrで170℃にて30分保持した後、冷却して取り出し、4層の多層板 H を得た。この表面の金属箔をエッチング除去後、炭酸ガスレーザー出力12mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(日本マクダーミッド<株>)で膨潤、デスミア(溶解)、中和して、表層からの凹凸合計で3.2〜8.0μm(平均粗度Rz:5.5μm)、とした。同時にブラインドビア孔底部に残存している樹脂層を溶解除去した。次に、この粗化表面に無電解銅メッキ層を0.7μm付着させ、更に電気銅メッキを25μm付着させ、加熱炉に入れて100℃から徐々に温度を30分で150℃まで上げ、更に徐々に温度を上げて200℃で60分加熱硬化した。クロスセクションで絶縁層間の厚みを測定したところ、ほぼ30μmであった。これを用いてセミアディティブ法にて銅導体回路を形成し、更に導体回路表面黒色酸化銅処理して同一工程を繰り返し、6層の多層プリント配線板を作製した。この評価結果を表1に示す。
【0034】
実施例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)500部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、カルボキシル基変性アクリル多層構造粉体(商品名:スタフィロイドIM-301、平均粒子径0.2μm)60部、微粉砕シリカ(平均粒子径2.4μm)40部、及びアクリロニトリルーブタジエンゴム(商品名:ニポール1031、日本ゼオン<株>製)30部をメチルエチルケトンに溶解した溶液を加え、3本ロールにて良く分散し、ワニス I とした。これを厚さ25μmのPETフィルムの表面に連続的に塗布、乾燥して厚さ15.0μmの樹脂層を形成した離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートJ(170℃でのゲル化時間63秒)を作製した。
【0035】
又、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)450部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、カルボキシル基変性アクリル多層構造有機粉体(商品名:スタフィロイドIM-301、平均粒径0.2μm)150部を加え3本ロールにて良く均一分散し、ワニスK とした。このワニスK を連続的に厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムに塗布、乾燥して樹脂組成物厚さ20μm、ゲル化時間が65秒のBステージ樹脂組成物層を形成し、これを連続的に500Wで五分高圧プラズマ処理した厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミド(アラミド)フィルムの片面に配置し、温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて連続的にラミネートし、巻き取って耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートL を作製した。
【0036】
一方、厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のエポキシ系銅張積層板(商品名:CCL-EL170、三菱ガス化学<株>製)回路を形成し、導体回路に黒色酸化銅処理後に、この両面に上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートLの離型PETフィルムを剥離して配置し、その外側に上記離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートJを離型フィルムを剥離して配置し、プレス装置に仕込んで室温から170℃まで25分で温度を上げ、圧力は最初から15kgf/cm2とし、真空度0.5Torrにて温度170℃にて30分保持して硬化処理をした後、冷却して取り出し、基板Mを得た。この表面の離型フィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー出力12mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。
【0037】
クロム酸水溶液で粗化処理をして、樹脂表面からの凹凸合計を3.1〜9.0μm(平均粗度Rz6.1μm)とした。この際に耐熱フィルムには凹部先端は到達しなかった。同時にブラインドビア孔底部に残存している樹脂層を溶解除去した。成形後の絶縁層間の厚みはほぼ20μmであった。
【0038】
次に、この粗化表面に無電解銅メッキ層を0.5μm付着させ、更に電気銅メッキを25μm付着させ、加熱炉に入れて温度を100℃から30分で150℃まで徐々に上げ、更に温度を徐々に上げて170℃で60分加熱後硬化した。これを用いてセミアディティブ法にて導体回路を形成し、更に導体回路に黒色酸化銅処理を行い、同様に加工して6層の多層プリント配線板を作製した。この評価結果を表1に示す。
【0039】
(実施例3)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト1001、油化シェルエポキシ<株>製)500部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN438、ダウケミカル<株>製造)450部、イミダゾール系硬化剤(商品名:2E4MZ、四国化成<株>製)30部、タルク(平均粒径1.8μm、Max.粒径4.2μm)400部を加え、3本ロールにて良く均一分散し、ワニス O とした。このワニス O を連続的に厚さ25μmの表面平滑な離型PETフィルムに塗布、乾燥して樹脂組成物厚さ20μm、ゲル化時間が68秒のBステージ樹脂組成物層を形成した。これを700Wで7分高圧プラズマ処理した厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミド(アラミド)フィルムの片面に配置し、連続的に温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにてラミネートし、耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートP を作製した。更にワニスOを、シャイニー面にニッケル・コバルト合金処理を1μm施した厚さ12μmの電解銅箔のマット面に塗布、乾燥して樹脂層厚さが凸部先端から6.1μm、ゲル化時間が70秒のBステージ樹脂組成物層が付着した銅箔付きBステージ樹脂組成物シートQを作製し、乾燥ゾーンから出てきた時点で厚さ15μmの保護ポリプロピレンフィルムを配置し、温度90℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて接着し、一体化した。
【0040】
一方、厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のエポキシ系銅張積層板(商品名:CCL-EL170、三菱ガス化学<株>製)回路を形成し、導体に黒色酸化銅処理した内層板Jを作製後、この両面に上記耐熱フィルム基材補強離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シート P の片面の離型フィルムを剥離して配置し、温度100℃、線圧5kgf/cmの加熱ロールにて接着後、この上に上記銅箔付きBステージ樹脂組成物シートQの保護フィルムを剥離して置き、110℃・30分+180℃・90分、5kgf/cm2・15分+20kgf/cm2・最後まで、真空度30mmHg以下で2時間積層成形した。この表層の絶縁層厚みはほぼ20μmであった。この表面から、炭酸ガスレーザー出力13mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。この孔部に発生した銅箔バリをエッチング液で溶解すると同時に銅箔の厚さを4μmまで溶解した。デスミア処理後、無電解銅メッキを0.5μm、その後に電気銅メッキを15μm付着させ、同時にブラインドビア孔内部をメッキで充填した。その後、定法にて回路を形成し、黒色酸化銅処理後に同様の工程を繰り返して6層のプリント配線板を作製した。評価結果を表2に示す。
【0041】
(比較例1、2)
実施例1、2でそれぞれワニスB及び I を使用し、同一金属箔、離型フィルム上に、実施例1では凸部先端から40μm、実施例2は離型フィルム上に40μm付着させて金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを作製し、実施例1、2において耐熱フィルム基材補強Bステージ樹脂組成物シートを使用せず、この金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートのみを使用して同様に積層硬化処理成形し、粗化処理を同様に行って、実施例1,2と同様に表層からの凹凸合計で7〜13μm(平均粗度Rz:8〜11μm)とし、同様に6層の多層プリント配線板とした。この評価結果を表1に示す。
【0042】
(比較例3)
実施例1において、ワニスBを厚さ20μmのガラス織布に含浸、乾燥して総厚さ(ガラス織布+樹脂組成物層)40μm、ゲル化時間(170℃)が84秒のプリプレグNを製造した。このプリプレグNを各1枚内層板の両側に配置し、その外側に同じ凹凸の付いたアルミニウム箔を置き、同様に積層硬化処理成形して4層の多層板を作製した。この表層のアルミニウム箔を溶解除去後に、ブラインドビア孔を形成し、同様に粗化処理を行って、表層からの凹凸合計を5〜11μmとし、無電解銅メッキ、電気銅メッキ後に同様に回路形成、導体黒色酸化銅処理、プリプレグK配置、凹凸の付いたアルミニウム箔を配置し、同様に積層してから表層のアルミニウム箔溶解除去、ブラインドビア孔形成、、デスミア処理、無電解銅メッキ、電気銅メッキ後に回路形成を行って6層の多層プリント配線板を作製した。銅メッキ断面を観察すると、ガラスクロスに粗化の凹が到達し、銅メッキが付着している箇所多数があった。この評価結果を表1に示す。
【0043】
(比較例4)
実施例3のワニス O を用い、これを厚さ20μmのガラス織布に含浸、乾燥してゲル化時間67秒、厚さ40μmのプリプレグを作製した。これを内層板の上に置き、この上にシャイニー面にニッケル・コバルト合金処理を1μm施した厚さ12μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形して4層板を作製し、同様に炭酸ガスレーザーで孔あけ、加工して4層プリント配線板、6層プリント配線板とした。評価結果を表2に示す。
【0044】
【0045】
【0046】
<測定方法>
1)銅箔接着力 : JIS C6481に準じて測定した。
2)半田耐熱性 : 121℃./203kPaで4時間処理後に260℃の半田中に30sec.浸せきしてから異常の有無を観察した。
3)ガラス転移温度 : 各ワニスを銅箔上に塗布、乾燥を重ねて厚さ0.8mmとし、その後、この樹脂組成物面に銅箔を置いて各積層条件で硬化させてから、表層の銅箔をエッチングし、DMA法にて測定した。尚、比較例3はプリプレグを複数枚使用して積層成形して厚さをほぼ0.8mmとしたものを使用した。
4)弾性率 : 各実施例、比較例にて、内外層金属箔は全て除去し、表裏各2回積層したものを用い、3)で測定したDMAのチャートでの25℃の弾性率を示した。
5)ソリ、ネジレ : 250x250mmで作製した6層のプリント配線板を用い、定盤上に置き、ソリ、ネジレの最大値を測定した。
6)厚みバラツキ : 5)の250x250mmの6層のプリント配線板の片面の積層した層の厚みのバラツキを厚み測定器で測定し、1層当たりのバラツキの最大値を示した。
7)耐マイグレーション性(Z方向):各実施例、比較例の6層板の2層目と3層目に10mm角の銅箔を同じ位置に残して100個つ なぎ、Z方向の絶縁層間の絶縁抵抗値を85℃・85%RHにて100VDC印加して測定した。
8)耐マイグレーション性(X方向): 各実施例、比較例の6層板の2層目にライン/スペース=50/50μmの回路を形成し、これを100個つなぎ、ライン間の絶縁抵抗値を85℃・85%RHにて100VDC印加して測定した。
【0047】
【発明の効果】
基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、多層プリント配線板を製造する方法であり、該層間絶縁層を形成する際に、耐熱フィルムの少なくとも片面にBステージ樹脂組成物が付着した積層用シートを内層板の上に配置し、その外側に金属箔或いは離型フィルムに接着したBステージ樹脂組成物シートを配置して積層して得られる基板を用いて多層プリント配線板を作製し、これを繰り返してビルドアップして多層プリント配線板を製造することにより、弾性率(剛性)が高く、ソリ、ネジレ、厚み精度に優れ、Z方向の耐マイグレーション性等の信頼性に優れたものが得られた。
【0048】
又、該層間絶縁層を形成する際に、内層板の最外層に使用する金属箔或いは離型フィルムに接着したBステージ樹脂組成物層が硬化処理によって粗化溶液に可溶性の樹脂が難溶性の樹脂中に均一に分散したアディティブ用樹脂組成物であり、この粗化溶液に難溶性の該樹脂組成物として、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用することにより、耐熱性、耐マイグレーション性等の信頼性に優れたプリント配線板を作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプリント配線板の製造工程である。
(1) 硬化処理積層時の構成
(2) 表層のアルミニウム箔を溶解除去後の粗化
(3) 粗化された樹脂表面
【図2】比較例3のプリント配線板の製造工程である。
(1) 積層成形時の構成
(2) 表層のアルミニウム箔を溶解除去後の粗化
(3) ガラス繊維まで 粗化された樹脂表面
【符号の説明】
a アルミニウム箔
b アルミニウム箔の凹凸部
c アディティブ用Bステージ樹脂組成物層
d 有機粉体
e 耐熱フィルム
f 積層用Bステージ樹脂組成物層
g 内層板導体回路
h 内層板絶縁層
i アルミニウム箔を溶解除去後の表面凹凸
j 粗化された表面樹脂層
k ガラス繊維糸
l ガラス繊維断面
m 粗化によりガラスクロスに到達した箇所
Claims (7)
- 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、多層プリント配線板を製造する方法であり、該層間絶縁層を形成する際に、耐熱フィルムの少なくとも片面にBステージ樹脂組成物が付着した積層用シートを内層板の上に配置し、その外側に金属箔、金属箔付きBステージ樹脂組成物シート或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートを配置して積層して得られる基板を用いて多層プリント配線板を作製し、これを繰り返してビルドアップして多層プリント配線板を製造することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 該耐熱フィルムの内層板側とは反対面に付着した樹脂組成物層がアディティブ用樹脂組成物である請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 該アディティブ用樹脂組成物が、硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分と難溶性の成分を含有し、難溶性の成分が、(a)多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマー100重量部に対し、(b)室温で液状のエポキシ樹脂20〜10,000重量部を配合し、この(a+b)100重量部に対し、熱硬化触媒0.005〜10重量部を必須成分として配合した樹脂組成物を使用することを特徴とする請求項1又は2記載のアディティブ法多層プリント配線板の製造方法。
- 該硬化処理後にも粗化溶液に可溶性の成分として、ブタジエン含有樹脂、有機粉体、無機粉体の3成分のうち2成分以上を必須成分として使用する請求項1、2又は3記載のアディティブ用多層プリント配線板の製造方法。
- 該耐熱フィルム基材の厚さが4〜20μmである請求項1、2、3又は4記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 該金属箔付き或いは離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シートのBステージ樹脂組成物層の厚みが金属箔或いは離型フィルム凸部先端から5〜10μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 該耐熱フィルムの表面をプラズマ処理したものを使用した請求項1、2、3、4、5又は6記載の多層プリント配線板の製造方法。
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JP2002361944A JP2004193458A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 多層プリント配線板の製造方法 |
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WO2016088744A1 (ja) * | 2014-12-01 | 2016-06-09 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 樹脂シート及びプリント配線板 |
JPWO2016088744A1 (ja) * | 2014-12-01 | 2017-09-07 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 樹脂シート及びプリント配線板 |
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