JP2004319888A - 多層プリント配線板。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】IVHを有する内層板の表裏に基材が入っていない樹脂組成物単独から成る絶縁層を形成してIVHの充填を行い、最外層は繊維織布基材補強の樹脂組成物層が形成された構造のプリント配線板とする。
【効果】IVH内に樹脂が充填され、樹脂層のみでビルドアップ積層された多層プリント配線板に比べて弾性率が高いものが得られ、プリプレグのみで作製された多層プリント配線板に比べて耐熱性、耐マイグレーション性に優れたプリント配線板が得られた。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ビルドアップ多層プリント配線板に関し、特に半導体チップ接続性、信頼性等に優れた高密度多層プリント配線板に関し、得られた多層プリント配線板は、高密度の小型プリント配線板として、半導体チップを搭載し、小型、軽量の新規な半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、ますます小型、薄型、軽量化する電子機器において、高密度の多層プリント配線板が使用されるようになってきている。この多層プリント配線板は、内層板にスルーホールが形成されており、この上下にエポキシ樹脂系アディティブ用Bステージ樹脂組成物シートを配置し、加熱、加圧、真空下に積層成形して内層板のスルーホール(インターステシャルビアホール=IVH)を充填し、その後、この表面を粗化してから無電解銅メッキ、電解銅メッキを施してセミアディティブ法でプリント配線板を作製する(例えば、特許文献1参照)等の方法で、これを繰り返してビルドアップ方式で多層プリント配線板を作製するが、これから得られた多層プリント配線板は、表層の樹脂絶縁層に基材が入っていないために曲げ強度、弾性率に劣り、又、半導体チップをワイヤボンディングで接続する際に樹脂の軟化が起こって接続不良が発生し、不良の原因となっていた。これはBステージ樹脂付き銅箔を使用して(例えば、特許文献2参照)も同様であった。一方、ガラス織布基材入りBステージ樹脂組成物(プリプレグ)を使用して同様にビルドアップ工法で多層プリント配線板を作製したもの(例えば、特許文献3参照)は、表層に基材が入っているためにワイヤボンディングの不良が無いものの、内層板のIVHの埋め込みには樹脂絶縁層の樹脂量が不足してIVH内にボイドが発生する、ガラス繊維が内層板回路に接触して信頼性に劣る等の欠点が見られた。
【0003】
【特許文献1】特開平11−103166号公報
【特許文献2】特開平11−333975号公報
【特許文献3】特開平10−322027号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、IVH内の樹脂ボイドがなく、信頼性に優れ、半導体チップワイヤボンディング性にも優れたCSP等の高密度多層プリント配線板を提供するものである。
【0005】
【発明が解決するための手段】
本発明は、基板上に層間樹脂絶縁層と導体回路層とを順次積層し、ビルドアップ法によって製造される多層プリント配線板において、IVHを有する内層板の表裏に基材が入っていない樹脂組成物から成る絶縁層を形成してIVHの充填を行い、最外層は繊維織布基材補強の樹脂組成物層が形成された構造のプリント配線板とすることにより、IVH内に樹脂が充填され、樹脂層のみでビルドアップ積層された多層プリント配線板に比べて弾性率が高いものが得られる。IVHを有する内層板にまず積層する樹脂組成物単独から成る絶縁層は、樹脂組成物がアディティブ用樹脂組成物、積層用樹脂組成物、有機フィルム基材入り樹脂組成物等の繊維織布基材ではない有機樹脂絶縁層とする。これらの樹脂組成物は、Bステージ樹脂組成物シート、金属箔付きBステージ樹脂組成物シート、フィルム基材入りBステージ樹脂組成物シート等が使用される。
【0006】
アディティブ用樹脂組成物としては一般に公知のものが使用できる。酸或いは酸化剤に難溶性のエポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマーを必須成分とした樹脂組成物を用い、その中に酸或いは酸化剤に可溶性の樹脂、樹脂粉体、無機粉体の2種以上を分散して配合した硬化性樹脂組成物を用いることにより、耐マイグレーション性等の信頼性に優れ、更に耐熱性等にも優れた多層プリント配線板が得られる。ここで、本発明で使用する「可溶性」「難溶性」の語彙は、同一の酸或いは酸化剤からなる溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の速いものが「可溶性」、遅いものが「難溶性」という意味で使用している。
【0007】
本発明のアディティブ用樹脂組成物は、特に限定はなく、一般に公知のものが使用され得る。例えば、酸或いは酸化剤に可溶性の樹脂、樹脂粉体、無機粉体を、酸或いは酸化剤に難溶性のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂組成物中に均一に分散したものである。それ以外にも公知の樹脂が挙げられる。具体的には、ポリイミド樹脂、多官能性マレイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等、公知の樹脂が1種或いは2種以上組み合わせて使用される。耐熱性、耐マイグレーション性等の優れた多層プリント配線板を得るためには、多官能性シアン酸エステルモノマー、該シアン酸エステルプレポリマーを必須成分とした樹脂組成物を使用するのが好ましい。
【0008】
本発明の酸或いは酸化剤に可溶性の樹脂としては、一般に公知のものが挙げられる。この樹脂は溶剤に可溶のもの、液状のものであり、難溶性樹脂中に配合され、均一の分散して使用される。これらは特に限定はないが、具体的にはポリブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、これらの公知のエポキシ化物、マレイン化物、イミド化物、カルボキシル基含有物、イミド化物、(メタ)アクリル化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又酸或いは酸化剤に可溶性の樹脂粉体としては、形状は、球状、破砕された無定形状のもの、針状等があり、これらは組み合わせて使用可能である。好適には球状、破砕したものが使用され、粒径は特に限定はないが、好ましくは平均粒径0.1〜7μm、更に好ましくは0.2〜5μmである。これらは熱硬化性樹脂粉体、熱可塑性樹脂粉体等が挙げられ、酸或いは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合、配合した難溶性樹脂よりも溶解性が速いものであれば特に限定はない。可溶性樹脂粉体の具体例としては、例えばエポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アクリルゴム、ポリスチレン、MBSゴム、SBR、ABS等の粉体、これらの公知の多重構造(コアーシェル)ゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種或いは2種以上が適宜選択して配合される。
【0009】
本発明の酸或いは酸化剤に可溶性の無機粉体としては、特に限定はないが、例えば水酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム化合物;炭酸カルシウム等のカルシウム化合物類;炭酸カリウム等のカリウム化合物類;マグネシア等のマグネシウム化合物類;シリカ、ゼオライト等のシリカ化合物類等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。これらはシランカップリング剤等で表面が処理されていても良い。
【0010】
本発明の難溶性樹脂としては、多官能性シアン酸エステル化合物、該シアン酸エステルプレポリマー を必須成分とした硬化性樹脂組成物が好適に使用される。本発明で使用される多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3−又は1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、ビス(4−ジシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類等である。
【0011】
これらのほかに特公昭41−1928、同43−18468、同44−4791、同45−11712、同46−41112、同47−26853及び特開昭51−63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。この樹脂中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0012】
エポキシ樹脂としては、特に限定はなく、一般に公知のものが使用できる。例えばビスフェノールA型ポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が1種或いは2種以上組み合わせて使用される。
【0013】
有機溶剤として使用されるものは特に限定はないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等が挙げられ、これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0014】
本発明で、金属箔付き或いはフィルム付きBステージ樹脂組成物シートを製造するための樹脂組成物は特に限定はなく、公知のものが使用可能である。
【0015】
本発明の硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した硬化性樹脂に対して公知の硬化触媒を用いる。又、(メタ)アクリレート類等を使用した場合には光重合開始剤等を使用する。使用量は、それぞれの硬化性樹脂100重量部に対し、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて上記以外の種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、固形、液状のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、2重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシアクリレート、多官能(メタ)アクリレート等、更にこれらの公知の臭素化物、リン含有化合物等の各種樹脂類、公知の上記以外の無機、有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は公知の硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0017】
本発明の樹脂組成物中に均一分散している可溶性樹脂、樹脂粉体及び無機粉体の配合量は、特に限定はないが、好適には3〜50重量%、更に好適には5〜35重量%である。
【0018】
本発明の各成分を均一に分散する方法は、一般に公知の方法が使用され得る。例えば、各成分を配合し、溶剤を加えてホモミキサ−で高速攪拌する方法、三本ロールにて、室温或いは加熱下に混練するか、ボールミル、ライカイ機等、一般に公知の方法が使用される。
【0019】
作製された硬化性樹脂組成物は、無溶剤、溶剤入りいずれでも良い。Bステージ樹脂組成物シートも金属箔又は離型フィルム上に直接ロール等で塗布、乾燥してBステージ化する。金属箔又は離型フィルムの表面にロールコーター等で塗布、乾燥してBステージ樹脂組成物シートとするが、樹脂組成物中に少量の溶剤が残存していても良い。反対側の樹脂面は汚染防止等の点から保護フィルムを使用するのが好ましい。保護フィルムは加熱ロール等で線圧をかけてラミネートし、一体化するのが良い。これを基板に積層又はラミネートして使用する際はこの保護フィルムを剥離して使用する。樹脂組成物の厚みは特に限定はないが、好適には3〜100μmである。
【0020】
積層用樹脂付き銅箔或いは樹脂シートは、上記の難溶性樹脂を用い、これを銅箔に付着したBステージ樹脂組成物とする。又離型フィルムに付着させてBステージ樹脂組成物シートとする。これはIVHを有する内層板の両側に配置し、加熱、加圧、真空下に積層成形する。
【0021】
有機フィルム入りBステージ樹脂組成物は、全芳香族ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリエステルフィルム等のフィルム基材の少なくとも片面に上記アディティブ用Bステージ樹脂組成物を付着させたシート等が使用されるが、これに限定されるものではない。
【0022】
又、最外層に使用される繊維布基材Bステージ樹脂組成物シート(プリプレグ)は公知の方法で作製される。例えばワニスを基材に含浸、乾燥させてBステージ化するか、或いは基材の両面に樹脂層を配置して加熱圧着等で一体化してプリプレグを作製する。基材としては、有機、無機繊維布基材を使用する。種類については特に限定はないが、有機繊維布としては、好適には液晶ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、全芳香族ポリアミド繊維などの織布、不織布が使用される。
【0023】
無機繊維布としては、一般の断面が円形状、扁平の公知のガラス繊維織布、不織布、更にはセラミック繊維織布、不織布を用いる。半導体チップをワイヤボンディング、フリップチップボンディングでプリント配線板に接続する場合には、ボンディング時の接続不良を無くすために、好適にはガラス繊維織布を開繊した、繊維が全体に存在するものを使用する。
【0024】
これらの基材入りプリプレグは内層板用銅張積層板として使用する。本発明のプリプレグ、Bステージ樹脂組成物シートを使用して多層化する場合、導体回路を形成した内層板の導体に公知の表面処理を施した後、又は両面粗化箔を使用した内層用回路板の表裏に金属箔付き、離型フィルム付きBステージ樹脂組成物シート、或いは有機フィルム基材Bステージ樹脂組成物シートを配置し、公知の方法にて加熱、加圧、好適には真空下に積層成形するか、ラミネートしてから後硬化する。アディティブ用樹脂組成物の場合、積層後にエッチング等で金属箔を除去する。離型フィルムは剥離する。その後公知の方法にて表面を粗化し、無電解銅メッキ、電気銅メッキを施し、回路を形成する。この上に同様に漸次積層するか、プリプレグを使用して積層成形する。少なくともIVHを有する内層板に接着させるBステージ樹脂組成物シートは、樹脂組成物単独或いは有機フィルム基材入りBステージ樹脂組成物シートを使用し、内層板のIVHをボイドの発生が無いように充填する。又、少なくとも最外層には繊維布基材入りのBステージ樹脂組成物シート、好適には開繊ガラス織布基材のプリプレグを配置して同様に積層成形する。
【0025】
本発明の多層化する際の積層成形条件は、特に限定はないが、アディティブ法で使用する場合、酸或いは酸化剤での粗化が適正にできる条件を、使用した樹脂組成によって適宜選択する。一般には温度60〜250℃、圧力2〜50kgf/cm2 、時間は0.5〜3時間である。又、真空下に積層成形するのが好ましい。装置は真空ラミネータプレス、一般の多段プレス等、公知のものが使用できる。この場合、銅メッキ後に加熱して後硬化を行う。硬化条件は特に限定はないが、加熱したときにメッキした銅が膨れ、接着力低下を起こさないような条件とする。硬化温度は上記条件と同一である。
【0026】
本発明で得られたアディティブ用樹脂組成物は、粗化可能な程度に硬化後に公知の方法にて樹脂の粗化を行う。粗化に使用する酸としては硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、蟻酸等が挙げられ、酸化剤としては過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸、クロム硫酸等が挙げられるが、これに限定されるものではない。この処理前は必要により公知の膨潤液を使用し、処理後は中和液で中和する。この粗化処理で形成する粗化面の平均粗度は、表面凹凸を銅箔等で付けた場合、金属箔エッチング後の凹凸とは別に平均粗度はRz 0.1〜7μm、好適には3〜5μmとする。表面平滑なフィルムを用いて積層するか、或いは内層基板上に塗布、乾燥したような表面が平滑な場合、平均粗度は、好ましくはRz 3〜13μm、更に好適には5〜10μmとする。
【0027】
その後は、公知のセミアディティブ法、フルアディティブ法等にて無電解メッキ、厚付け無電解メッキ、蒸着、スパッタリング等を行い、必要により電気メッキを行って導体を厚付けする。更にそれぞれ公知の方法で回路を形成し、プリント配線板とする。
【0028】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(実施例1)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンモノマーを400部150℃に熔融させ、撹拌しながら4時間反応させ、平均分子量2,000のプレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、ワニスAとした。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)350部、ノボラック型エポキシ樹脂(商品名:DEN431、ダウケミカル<株>製)50部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN−220F、住友化学工業<株>製)100部を配合し、硬化触媒としてアセチルアセトン鉄0.3部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E−1000−8.0、日本石油化学<株>製)100部、エポキシ樹脂粉体(商品名:トレパールEP−B、平均粒径0.5μm、東レ<株>製)50部を加え、良く攪拌混合して均一なワニスBとした。このワニスBを厚さ18μmの銅箔(マット面凹凸3.6〜5.1μm、平均粗度Rz:4.3μm)のマット面に塗布し、乾燥してマット面の凸部先端から厚さ50μmの銅箔付きBステージ(170℃でのゲル化時間55秒)樹脂組成物シートCを作製した。一方、上記ワニスBにおいて、液状のエポキシ化ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂粉体を除いたワニスCを作製し、これを厚さ60μmでの開繊されたガラス織布に含浸、乾燥してプリプレグD(樹脂量:65重量%、170℃でのゲル化時間1120秒)を作製した。
【0029】
内層板としてサイズ500x500mmの絶縁層厚さ0.2mm、12μm両面銅箔のBTレジン銅張積層板(商品名:CCL−HL830、三菱ガス化学<株>製 )を用い、これに金属ドリルにて孔径250μmの貫通孔を15万孔あけ、これに回路を形成し、黒色酸化銅処理を銅箔に施した後、この両面に上記銅箔付きBステージ樹脂組成物シートCを配置し、プレス装置に仕込んだ後、室温から160℃まで25分で温度を上げ、圧力は最初から15kgf/cm2とし、真空度は10mmHg以下で160℃を30分保持した後、冷却して取り出し、4層の多層板を得た。この表面の銅箔をエッチング除去後、炭酸ガスレーザーの出力9mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(日本マクダーミッド<株>製)で膨潤、デスミア(溶解)、中和して、銅箔凹凸とは関係なく、樹脂表面からの凹を3.7〜5.0μm(平均粗度Rz:4.13μm)とした。同時にブラインドビア孔底部に残存している樹脂層を溶解除去した。次に、この粗化表面に無電解銅メッキ層0.5μm、電解銅メッキ18μm付着させ、加熱炉に入れて100℃から徐々に温度を30分で150℃まで上げ、更に徐々に温度を200℃まで上げて200℃で60分加熱硬化した。これを用いてセミアディティブ法にて銅導体回路を形成し、更に導体回路表面に黒色酸化銅処理を施し、この両外側に上記プリプレグDを各1枚配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、6層板を作製し、この表面を薬液処理で凹凸を2−3μm付け、この上からエネルギー18mJにて孔径95μmのブラインドビア孔を形成し、デスミア処理を行い、銅メッキを18μm付着させ、これをプリント配線板とした。この評価結果を表1に示す。
【0030】
(実施例2)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンモノマーを450部、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンモノマー50部を150℃で熔融させ、撹拌しながら5時間反応させてプレポリマーとした後、メチルエチルケトンとN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、ワニスEとした。これに実施例1で使用したエポキシ樹脂の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001)250部、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN220F、住友化学工業<株>製)300部を配合し、硬化触媒としてオクチル酸亜鉛0.3部をメチルエチルケトンに溶解して加えた。これに微粉砕シリカ(平均粒子径1.1μm)400部を加え、良く攪拌混合してワニスFとした。これを厚さ25μmのPETフィルムの片面に厚さ20μmとなるように付着させ、加熱、乾燥してBステージ樹脂組成物シート(170℃のゲル化時間110秒)を作製し、これを厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面をプラズマ処理したものの両面に樹脂側がフィルム面を向くように配置し、100℃の加熱ロールで、線圧5kgf/cmにて連続的にラミネートして有機フィルム基材Bステージ樹脂組成物シートHを作製した。又、厚さ20μmのガラス織布に上記ワニスFを含浸、乾燥して、プリプレグI( 樹脂量75重量%、ゲル化時間120秒)を作製した。
【0031】
一方、サイズ500x500mmの厚さ0.2mm、両面12μm銅箔のBTレジン銅張積層板(商品名:CCL−HL830、三菱ガス化学<株>製)に金属ドリルで孔径150μmの貫通孔を20万孔作製し、デスミア処理を行い、銅メッキで18μm回路を形成し、導体に黒色酸化銅処理後に、この両面に上記有機フィルム基材Bステージ樹脂組成物シートHの両面のPETフィルムを剥離して各1枚配置し、シャイニー面をニッケル処理した厚さ12μmの電解銅箔を配置し、190℃、圧力25kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間成形して4層板を得た。この4層板の上からエネルギー10mJの炭酸ガスレーザーを照射して孔径100μmのブラインドビア孔を形成し、デスミア処理後に銅メッキを15μm付着させ、回路を形成してから黒色酸化銅処理を施し、この両外側にプリプレグIを各1枚配置し、その外側に上記シャイニー面をニッケル処理した厚さ12μmの電解銅箔を配置し、200℃、20kgf/cm2、10mmHg以下の真空下で90分積層成形して4層板Jとした。この4層板Jの両面に炭酸ガスレーザーの出力10mJで1ショット照射して孔径100μmのブラインドビア孔をあけた。この表面の銅箔に定法にて回路を形成し、6層のプリント配線板とした。評価結果を表2に示す。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、プリプレグDの代わりに銅箔付きBステージ樹脂組成物シートCを用いて6層板を作製し、プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において、全てプリプレグI を用い、6層板を作製し、同様に6層プリント配線板を作製した。評価結果を表1に示す。
【0033】
【0034】
<測定方法>
1)半田耐熱性 : 表面の銅箔をエッチング除去し、これを50×50mmの試験片に切断しPCT(121℃/203kPa) で2時間処理後に取り出して、260℃の半田中に30sec.浸漬してから異常の有無を観察した。
2)IVH内ボイド : IVHの断面を100個観察し、ボイドの有無を見た。
3)耐マイグレーション性 : 各実施例、比較例の内層板の表層にライン/スペース=50/50μmの回路を形成し、各実施例、比較例の構成と同様に積層して4層板とした後、表層の金属箔を除去し、この試験片を85℃・85%RH、50VDC印加して端子間の絶縁抵抗値を測定した。
4)弾性率 : 各実施例、比較例において、銅箔、銅メッキを施さないで基材及び樹脂組成物のみで板を作製し、これを用いてJIS C6481のDMA法に準じて弾性率を測定し、25℃の弾性率値を示した。
5)半導体チップワイヤボンディング接続性 : ワイヤボンダーで、温度150℃で連続して1000個の端子に接続を行った時の接続不良を分子に示した。
【0035】
【発明の効果】
基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とを順次積層し、ビルドアップ法によって製造される多層プリント配線板において、IVHを有する内層板の表裏に基材が入っていない樹脂組成物層を形成してIVHの充填を行い、最外層は繊維布基材補強の樹脂組成物層が形成された構造のプリント配線板とすることにより、IVH内に樹脂が充填され、樹脂層のみでビルドアップ積層された多層プリント配線板に比べて弾性率が高いものが得られる。更にプリプレグのみを使用した多層板に比べてIVH内のボイドも無く、耐熱性、耐マイグレーション性等の信頼性に優れたプリント配線板が得られる。
Claims (4)
- 貫通孔を有する内層板上に樹脂絶縁層と導体回路層とを順次積層して製造する多層プリント配線板において、内層板の上の樹脂絶縁層に樹脂組成物単独から成る絶縁層を有し、最外層の絶縁層に繊維織布基材補強の樹脂組成物層を有することを特徴とする多層プリント配線板。
- 該樹脂組成物単独から成る絶縁層がアディティブ用樹脂組成物である請求項1記載の多層プリント配線板。
- 該樹脂組成物単独から成る絶縁層が有機フィルム基材樹脂組成物である請求項1記載の多層プリント配線板。
- 該繊維布基材が、開繊された無機繊維織布基材である請求項1、2又は3記載の多層プリント配線板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003114166A JP2004319888A (ja) | 2003-04-18 | 2003-04-18 | 多層プリント配線板。 |
Applications Claiming Priority (1)
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