JP2004190686A - 動力伝動用ベルト - Google Patents

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JP2004190686A JP2002304733A JP2002304733A JP2004190686A JP 2004190686 A JP2004190686 A JP 2004190686A JP 2002304733 A JP2002304733 A JP 2002304733A JP 2002304733 A JP2002304733 A JP 2002304733A JP 2004190686 A JP2004190686 A JP 2004190686A
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Takeshi Takehara
剛 竹原
Yorifumi Hineno
順文 日根野
Takeshi Nishiyama
健 西山
Toshimichi Takada
俊通 高田
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Abstract

【課題】ベルトの耐屈曲疲労性を改善し、また、優れた耐熱性、耐寒性、耐摩耗性に優れると共に圧延性や伝達性にも優れた動力伝動用ベルトを提供する。
【解決手段】接着ゴム層3と圧縮ゴム層4からなる動力伝動用ベルト1において少なくとも圧縮ゴム層4としてエチレン−α−オレフィンエラストマーに短繊維を配合したゴム組成物を使用し、そのエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量を53〜75質量%にする。また、短繊維の長さを0.5〜4.0mmの範囲内としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はEPDMをはじめとするエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いた動力伝動ベルトに係り、詳しくはエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いたベルトにおいて優れた耐屈曲性、耐熱性を備えるとともに、耐寒性、耐摩耗性、耐粘着摩耗性を兼ね備えた高耐久性を有する動力伝動用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー化、コンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルームは小さくまた内部に配置的にも更に混んだ状態が進んでいる。当然、エンジンルーム内の雰囲気温度は従来と比べて上昇してきている。これにともなって動力伝動用ベルトを使用する環境温度も高くなっている。
【0003】
従来、自動車などに用いる動力伝動用ベルトの素材は主として天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが使用されてきたが、高温雰囲気下ではゴムが早期に硬化してしまい例えばVリブドベルトにおいてリブ部にクラックを生じるという問題が発生した。
【0004】
このようなベルトの早期破壊現象に対し、クロロプレンゴムの耐熱性の改良が検討された結果、ある程度の改善がなされたもののクロロプレンゴムを用いる限り耐熱性にも限界があり、現在のところ充分な耐熱性を得られるまでには至っていない。
【0005】
このため、耐熱性に優れるクロロスルフォン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴムフッ素ゴムなどのように主鎖が高度の飽和され、又は完全に飽和されているゴムの使用が検討されている。このうち一般にクロロスルフォン化ポリエチレンは動的疲労性、対摩耗性、耐油性においてはクロロプレンゴムと同様であるが、耐水性においては加硫系、特に受酸剤の影響が大きいことが知られている。通常、クロロスルフォン化ポリエチレンの受酸剤としてはMgO、PbOなどの酸化物が使用されてきた。
【0006】
しかし、PbO、Pbなどの鉛化合物の受酸剤を使用すれば、耐水性の良好なベルトが得られるが、郊外、衛生上の問題から鉛化合物の使用は好ましくない。また、MgOを受酸剤として使用した場合には、架橋反応中に生成するMgC12により耐水性は著しく損なわれ、ベルトへの適応は不適当であった。一方金属酸化物以外の受酸剤として例えばエポキシ系の受酸剤が挙げられるが、耐水性の良好な組成物を得ることはできるものの、臭気が強く人体に不快感を与えるという問題があった。
【0007】
また、この動力伝動用ベルトはクロロプレンゴムを用いたベルトに比べると高温雰囲気下でのベルト走行寿命が劣ることが明らかになった。この理由として、従来のクロロスルフォン化ポリエチレンゴムは、ポリエチレンをクロロスルフォン化したもので、塩素を含有しているために低温下ではゴム弾性に乏しく、割れやすくなるためと推定される。
【0008】
このため、最近ではクロロプレンゴムに代わってα−β−不飽和有機酸の金属塩で補強されたエチレン−α−オレフィンエラストマーを伝動ベルトに使用することが提案され、例えば特許文献1に開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特表平5−500930号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴムのようなエチレン−α−オレフィンエラストマーは短繊維を添加すると耐摩耗性が向上するが、圧延時にシートになりにくくなる欠点があった。
【0011】
一方、圧延時のシーティング性を向上させるためにエチレン含有量を低くすると耐摩耗性が低下するという欠点があった。
【0012】
本発明はこのような問題点を解決し、優れた屈曲疲労性、耐熱性を有するとともに、耐寒性、耐摩耗性、耐粘着摩耗性を備えた高耐久性動力伝動ベルトの提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために本発明の請求項1では、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる伝動ベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴム層には短繊維を配合したエチレン−α−オレフィンエラストマーを使用しており、該エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が53〜75質量%であるとともに短繊維の長さが0.5〜4.0mmの範囲内であるゴムを用いたことを特徴とする。
【0014】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量を所定の範囲としかつ配合する短繊維の長さを所定の範囲とすることによって、ゴムのシーティング性を充分に向上させることができ、また短繊維の配合によってシーティング性を低下させることなく耐摩耗性を向上させることができる。
【0015】
請求項2では、エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が60〜75質量%である動力伝動用ベルトとしている。
【0016】
エチレン含量がより高い範囲であるエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いる場合において短繊維でもより短いものを用いることによるゴムのシーティング性をはじめとする加工性を向上させるという効果が顕著に得られる。
【0017】
請求項3ではエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して短繊維の総配合量が10〜50質量部である動力伝動用ベルトとしている。
【0018】
短繊維の配合量を適当な範囲とすることによって耐摩耗性が不足することもなく、また加工性を悪くするということもない。
【0019】
請求項4では、短繊維の総配合量の75%以上がポリアミド短繊維である動力伝動用ベルトとしている。
【0020】
ポリアミド短繊維の配合量を75%以上とすることによって、ベルト製造時の加工性が良くなると共に、注水走行時の伝達力の低下を抑えることができる。
【0021】
請求項5では、短繊維の総配合量が20〜50質量部である動力伝動用ベルトとしており、短繊維の配合量が20〜50質量部と比較的多い範囲において、ポリアミド短繊維の割合を多くすることによって、ゴムの加工性を阻害することなく耐摩耗性を十分に保持し、しかも注水走行時の伝達力の低下を抑えることができるものである。
【0022】
請求項6では、エチレン−α−オレフィンエラストマー中のジエン含量が0.1〜3.5質量%である動力伝動用ベルトとしている。
【0023】
ジエン含量を上記のような範囲内とすることによって、エチレン−α−オレフィンエラストマーが軟化劣化してベルトが騒音を発したり、亀裂が発生しやすくなるといった問題を解消することができる。
【0024】
請求項7では、圧縮ゴム層にベルトの周方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトである動力伝動用ベルトとしている。
【0025】
Vリブドベルトのリブを形成する圧縮ゴム層として請求項1や請求項2のようなゴムを用いることによって、エチレン−α−オレフィンエラストマーでできていることから耐熱性や耐屈曲性に優れるとともに寸法精度が高く形状も安定して、耐摩耗性にも優れたVリブドベルトを得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1に示すのは本発明のVリブドベルトの斜視図である。Vリブドベルト1はポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維を素材とする高強度で低伸度のコードよりなる心線2をベルト長手方向に沿ってスパイラル状に埋設した接着ゴム層3と、該接着ゴム層3のベルト内周側に積層配置された圧縮ゴム層4からなっている。
【0027】
圧縮ゴム層4にはその内周面にベルト長手方向に伸びる断面略三角形状の複数のリブ部5が設けられており、また接着ゴム層3の外周面にはゴム付帆布が積層配置されている。
【0028】
本発明において少なくとも圧縮ゴム層4はエチレン−α−オレフィンエラストマーからなっている。少なくとも圧縮ゴム層4にエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いるということは圧縮ゴム層4には必ずエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いるということであり、圧縮ゴム層4と併せて接着ゴム層3にも同様にエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いるのは本発明に含まれるものである。
【0029】
エチレン−α−オレフィンエラストマーの具体的な例としては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)などが挙げられる。EPDMのジエンの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなど炭素原子数が5〜15の非共役ジエンを挙げることができる。
【0030】
また本発明において、エチレン−α−オレフィンエラストマー中のジエン含量は0.1〜3.5質量%であり、より好ましくは0.1〜3.0質量%である。0.1質量%未満であるとベルトを走行させることによりゴムが軟化して劣化してしまいやすく、騒音の発生などの問題につながってしまう。また3.5質量%を超えるとジエン成分がポリマー主鎖であるエチレン−プロピレン鎖の屈曲の妨げに大きく関与し、ベルト屈曲走行時に圧縮ゴム層に亀裂が発生しやすくなるので好ましくない。
【0031】
なお、エチレン−α−オレフィンエラストマーはジエン含量の違うものをブレンドしてもよく、ブレンドするポリマーの数は問わないが、総ジエン含量は前記の範囲を満足する必要がある。また、ブレンドはジエン成分を含有するエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーとジエン成分を含有しないエチレン−プロピレンコポリマーなどの間で行われても構わない。
【0032】
エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーでは硫黄加硫させるための架橋サイトとして二重結合を有するジエン成分を分子内に導入しているが、ジエン含量が少ないと架橋密度が小さくなるため、市販品ではジエン含量が3.5質量%を超えるものが多い。パーオキサイド加硫させる場合でも、ジエン含量が少なくなると、架橋密度が低下し、粘着摩耗しやすくなる。
【0033】
この粘着摩耗を防ぐために使用される好ましいエチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、エチレン含量が53〜75質量%のものがよい。エチレン含量が53質量%未満の場合には、ベルト走行時に摩耗量が多くなり粘着摩耗を引き起こしやすくなる。また、75質量%を超えると低温特性が悪くなり更に圧延時のシーティング性など加工性も悪くなるので好ましくない。
【0034】
また、後に説明するように短繊維として長さをより短い範囲のものを用いることによって、シートの圧延などのシーティング性をはじめとするゴムの加工性を十分に持たせるとともに粘着摩耗を防止するといった耐摩耗性を向上させるといった作用効果が得られるが、その作用効果はエチレン含量がより高い60〜75質量%の範囲においてより顕著に得ることができる。
【0035】
また、パーオキサイドの共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを添加することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミドの添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して0.2〜10質量部であり、0.2質量部未満の場合には、架橋密度が小さくなり耐摩耗性、耐粘着摩耗性改善効果が小さく、一方10質量部を越えると加硫ゴムの伸びの低下が著しく、耐屈曲性に問題が生じるので好ましくない。
【0036】
更に、硫黄をエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して0.01〜1質量部添加することにより、加硫ゴムの伸びの低下を制御することができる。1質量部を超えると、物性が低下し、ベルト走行時の摩耗性が大きく、粘着摩耗が発生する。
【0037】
上記パーオキサイドとしては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されているものを用いることができ、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3、1・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3・3・5トリメチルシクロヘキサンなどを挙げることができ、熱分解による1分間の半減期が150〜250℃のものが好ましい。
【0038】
その添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して約1〜8質量部であり、好ましくは1.5〜4質量部である。
【0039】
また、圧縮ゴム層4には、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入して圧縮ゴム層4の耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になる圧縮ゴム層4の表面をグラインダーによって研磨摩耗して該短繊維を突出させる。圧縮ゴム層4の表面の摩擦係数は低下して、ベルト走行時の騒音を軽減する。これらの短繊維のうち、剛直で強度を有し、しかも耐摩耗性を有するアラミド短繊維が最も効果がある。このアラミド繊維は分子構造中に芳香環を持つアラミド、例えば商品名コーネックス(帝人社製)、ノーメックス(デュポン社製)、ケブラー(デュポン社製)、テクノーラ(帝人社製)、トワロンなどである。また、配合する短繊維は1種類に限られることなく2種類以上の複数を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記短繊維が前述の効果を充分に発揮するためには、短繊維の繊維の長さは0.5〜4mmで、その添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して10〜50質量部であることが好ましい。短繊維の長さが0.5mm未満であると短繊維による補強効果が充分に得られず、4mmを超えるとゴムシートの圧延性を悪くしてシート切れが発生するなどの問題につながるので好ましくない。また短繊維の配合量が10質量部未満であるとゴムに粘着が発生して粘着摩耗などにつながるのことがあり、50質量部を超えると剛性が高くなりすぎてベルトの屈曲性を阻害することとなり、圧縮ゴム層のクラック発生につながるので好ましくない。
【0041】
また、配合する短繊維のポリアミド短繊維の割合を多くすることによってベルト製造時におけるゴム組成物の加工性を阻害することがなく、またベルト注水走行時において伝達力の低下を抑えることができるので、短繊維の総配合量のうち75%以上をポリアミド短繊維とすることが好ましい。
【0042】
また、特に短繊維の総配合量が20〜50質量部といったより配合量の多いものについて、配合する短繊維のポリアミド短繊維の割合を75%以上と多くすることによってベルト注水走行時における伝達力の低下を抑えることができるという効果が顕著に現れる。
【0043】
また、圧縮ゴム層4にはマトリクスゴムであるエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して、エチレン−α−オレフィンエラストマーと繊維径1.0μm以下、好ましくは0.05〜0.8μmの微小短繊維とをグラフト結合した微小短繊維強化ゴムを繊維分で1〜50質量部、好ましくは10〜30質量部含有してもよい。上記微小短繊維強化ゴムの配合量が1質量部未満では耐摩耗性が充分でなく、また50質量部を超えるとゴム組成物の伸びが低下し、耐熱性、耐屈曲性が低下する。この場合のゴム中に含まれる微小短繊維の量は前記の短繊維の配合量には特に影響しない。
【0044】
この微小短繊維強化ゴムは、これを構成しているエチレン−α−オレフィンエラストマーが圧縮ゴム層4のマトリクスゴムのエチレン−α−オレフィンエラストマーと全く同質かもしくは類似しているため、マトリクスゴムとの間、あるいは微小短繊維強化ゴム中でもエチレン−α−オレフィンエラストマーと微小短繊維とが化学結合しているため、圧縮ゴム層4では亀裂が入りにくく、たとえ亀裂が発生しても伝播しにくい。
【0045】
更に、圧縮ゴム層4には、必要に応じてカーボンブラック、シリカなどの補強剤、クレー、炭酸カルシウムなどの充填剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤、TAIC、などの共架橋剤等の各種薬剤を添加してもよい。
【0046】
また、エチレン−α−オレフィンエラストマーとともにニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴムをブレンドすることも可能である。
【0047】
水素化ニトリルゴムは水素添加率80%以上で、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するために、好ましくは90%以上がよい。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極度に低下する、耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。
【0048】
クロロスルフォン化ポリエチレンは塩素含有量15〜35質量%、好ましくは25〜32質量%で、かつ硫黄含有量が0.5〜2.5質量%の範囲になるようにクロロスルフォン化した直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0049】
心線2にはポリエチレンテレフタレート繊維、エチレン−2・6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維、ポリアミド繊維からなるロープが使用され、ゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシまたはイソシアネート化合物で前処理を行った後に、RFL液で処理する方法もある。
【0050】
本発明で使用するエチレン−2・6−ナフタレートは、通常ナフタレン−2・6−ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を触媒の存在下に適当な条件のもとにエチレングリコールと縮重合させることによって合成させる。このとき、エチレン−2・6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリエステルが合成される。
【0051】
上記心線の接着処理は、まず、
(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、
(2)160〜200℃に温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、
(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクを浸漬し、
(4)210〜260℃に温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通して−1〜3%延伸して延伸処理コードとする。
【0052】
RFL液はレゾルシンとホルマリンとの初期縮合体をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはクロロプレンゴム、スチレンブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、ニトリルゴムなどである。
【0053】
上記カバー帆布5は綿、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アラミド繊維からなる糸を用いて、平織、綾織、朱子織などに織製した布である。カバー帆布は必須ではなく使用しない場合もある。
【0054】
また、上記ベルト1に使用する圧縮ゴム層4のゴム組成物には、通常使用されるカーボンブラック、可塑剤、老化防止剤、加工助剤を配合することができる。前記各成分を混合する方法としては特に制限はなく、例えばバンバリーミキサー、ニーダー等を用い、適宜公知の手段、方法によって混練することができる。
【0055】
Vリブドベルト1の製造方法の一例を次に説明する。まず、円筒状の成形ドラムの周面に1〜複数枚のカバー帆布とクッションゴム層とを巻きつけた後、この上にロープからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮ゴム層を順次巻きつけて積層体を得た後、これを加硫して加硫スリーブを得る。
【0056】
次に、加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研削ホイールを走行中の加硫スリーブに当接するように移動して加硫スリーブの圧縮ゴム層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研削する。
【0057】
このようにして得られた加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該加硫スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
【0058】
本発明を適用することができるベルトは、上記で説明したVリブドベルトに限られるものではなく、図3に示すような心線22を埋設した接着ゴム層23に短繊維24を配合した圧縮ゴム層25を積層し、ベルトの内外周面にゴム付帆布26を積層接着したVベルト21のようなカットエッジタイプのベルトにも適用できる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて本発明の効果を確かめた。
【0060】
実施例1〜7、比較例1〜4
本実施例で製造したVリブドベルトでは、ポリエステル繊維のロープからなる心線を接着ゴム層内に埋設し、その上側にゴム付綿帆布を2プライ積層し、他方接着ゴム層の下側に設けた圧縮ゴム層に3個のリブをベルト長手方法に配したものである。
【0061】
ここで圧縮ゴム層を表1に示すゴム組成物から調整し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロールで圧延したものを用いた。圧縮ゴム層には短繊維が含まれベルト幅方向に配向している。接着ゴム層は短繊維を配合していないこと以外は表1に示すゴム組成物と同じゴム配合である。
【0062】
【表1】
Figure 2004190686
【0063】
ベルトの製造方法は従来から行われてきた通常の方法であり、まずフラットな円筒モールドに2プライのゴム付綿帆布を巻いた後、接着ゴム層を巻きつけて、心線をスピニングし、圧縮ゴム層を設置した後、圧縮ゴム層の上に加硫用ジャケットを挿入する。次いで成形モールドを加硫缶内に入れ、加硫した後、筒状の下流スリーブをモールドから取り出し、該スリーブの圧縮ゴム層をグラインダーによって成形し、成形体から個々のベルトに切断する工程からなっている。
【0064】
このようにして得られるVリブドベルトの圧延加工性を表2、耐熱屈曲性試験、粘着摩耗試験、伝達試験結果は表3に示される。
【0065】
耐熱屈曲性試験の評価に用いた走行試験機は、駆動プーリ(直径60mm)、アイドラプーリ(直径50mm)とを順に配置したものである。試験機の各プーリにベルトを掛架し、ベルトのアイドラプーリへの巻き付け角度を90°にし、雰囲気温度130℃、駆動プーリの回転数が3300rpm、ベルト張力が800N/リブになるように駆動プーリに荷重を付与した後、走行させ、心線に達する亀裂が6個発生するまでの時間を調べた。
【0066】
粘着摩耗試験では3リブのVリブドベルトを室温下で駆動プーリ(直径120mm)従動プーリ(直径120mm)これにアイドラプーリ(45mm)に設置し従動プーリに負荷12馬力、アイドラプーリの取り付け荷重85kgf、回転数800rpmで48時間走行させた後のベルト表面の粘着摩耗の有無を調べた。
【0067】
伝達試験は表2に示すような走行条件にて3リブのVリブドベルトを走行させて、伝達トルクを測定した。
【0068】
【表2】
Figure 2004190686
【0069】
【表3】
Figure 2004190686
【0070】
表3の走行試験の結果から明らかなように、比較例1は短繊維長さが長すぎるため圧延時の加工性が悪く、圧延時にシート切れが発生している。比較例2はエチレン含量が45%であるため耐熱寿命が短く、粘着も発生している。比較例3は短繊維量が少なきため粘着が発生している。比較例4については短繊維の配合量が多すぎて屈曲性が悪く耐熱寿命が短いという結果になっている。
【0071】
それに対して実施例1〜7は良好な結果が得られており、リブ部に用いるゴムとしてエチレン含量が53〜75質量%のベルトが良好な耐熱性及び耐摩耗性が得られ、さらに短繊維の長さが0.5〜4mmで、添加量が10〜50質量部の範囲内であると、圧延性、耐熱性、耐摩耗性のバランスのとれたベルトが得られる。
【0072】
また、伝達試験の結果を見ると比較的ポリアミド短繊維の割合の少ない実施例3、比較例3、4において他よりも低い結果となっており、短繊維の総配合量のうち75%以上をポリアミド繊維とすることによってベルト注水走行時の伝達力の低下抑えることができることがわかる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる伝動ベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴム層には短繊維を配合したエチレン−α−オレフィンエラストマーを使用しており、該エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が53〜75質量%であるとともに短繊維の長さが0.5〜4.0mmの範囲内であるゴムを用いたことを特徴とする。
【0074】
エチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量を所定の範囲としかつ配合する短繊維の長さを所定の範囲とすることによって、ゴムのシーティング性を充分に向上させることができ、また短繊維の配合によってシーティング性を低下させることなく耐摩耗性を向上させることができる。
【0075】
請求項2では、エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が60〜75質量%である動力伝動用ベルトとしている。
【0076】
エチレン含量がより高い範囲であるエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いる場合において短繊維でもより短いものを用いることによるゴムのシーティング性をはじめとする加工性を向上させるという効果が顕著に得られる。
【0077】
請求項3ではエチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して短繊維の総配合量が10〜50質量部である動力伝動用ベルトとしている。
【0078】
短繊維の配合量を適当な範囲とすることによって耐摩耗性が不足することもなく、また加工性を悪くするということもない。
【0079】
請求項4では、短繊維の総配合量の75%以上がポリアミド短繊維である動力伝動用ベルトとしている。
【0080】
ポリアミド短繊維の配合量を75%以上とすることによって、注水走行時の伝達力の低下を抑えることができる。
【0081】
請求項5では、短繊維の総配合量が20〜50質量部である動力伝動用ベルトとしており、短繊維の配合量が20〜50質量部と比較的多い範囲において、ポリアミド短繊維の割合を多くすることによって、ゴムの加工性を阻害することなく耐摩耗性を十分に保持し、しかも注水走行時の伝達力の低下を抑えることができるものである。
【0082】
請求項6では、エチレン−α−オレフィンエラストマー中のジエン含量が0.1〜3.5質量%である動力伝動用ベルトとしている。
【0083】
ジエン含量を上記のような範囲内とすることによって、エチレン−α−オレフィンエラストマーが軟化劣化してベルトが騒音を発したり、亀裂が発生しやすくなるといった問題を解消することができる。
【0084】
請求項7では、圧縮ゴム層にベルトの周方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトである動力伝動用ベルトとしている。
【0085】
Vリブドベルトのリブを形成する圧縮ゴム層として請求項1や請求項2のようなゴムを用いることによって、エチレン−α−オレフィンエラストマーでできていることから耐熱性や耐屈曲性に優れるとともに寸法精度が高く形状も安定して、耐摩耗性にも優れたVリブドベルトを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVリブドベルトの斜視断面図である。
【図2】Vリブドベルトの縦断面図である。
【図3】本発明に係る他の例を示すVベルトの斜視断面図である。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム付帆布
7 リブ部
21 Vベルト
22 心線
23 接着ゴム層
24 短繊維
25 圧縮ゴム層
26 ゴム付帆布

Claims (7)

  1. ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる伝動ベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴム層には短繊維を配合したエチレン−α−オレフィンエラストマーを使用しており、該エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が53〜75質量%であるとともに短繊維の長さが0.5〜4.0mmの範囲内であるゴムを用いたことを特徴とする動力伝動用ベルト。
  2. エチレン−α−オレフィンエラストマー中のエチレン含量が60〜75質量%である請求項1記載の動力伝動用ベルト。
  3. エチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して短繊維の総配合量が10〜50質量部である請求項2記載の動力伝動用ベルト。
  4. 短繊維の総配合量の75%以上がポリアミド短繊維である請求項1記載の動力伝動用ベルト。
  5. 短繊維の総配合量が20〜50質量部である請求項4記載の動力伝動用ベルト。
  6. エチレン−α−オレフィンエラストマー中のジエン含量が0.1〜3.5質量%である請求項1〜5記載の動力伝動用ベルト。
  7. 圧縮ゴム層にベルトの周方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトである請求項1〜6記載の動力伝動用ベルト。
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