JP2004188958A - 緻密質セラミックスシート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒径が1μm以下の極微粉末、及び平均粒径が1〜5μmの微粉末を、水系結合材及び水と混練して混練物とし、該混練物を押出し成形して乾燥し、乾燥後の相対密度が50%以上の生シートとし、該生シートを焼成することにより、焼成後の相対密度が96%以上、焼成後の体積収縮率が45%以下の緻密質セラミックスシートを製造する。
【選択図】 なし
Description
また、ランタンクロム酸化物(LaCrO3)やランタンやクロムの一部を置換したLaSrCrO3酸化物等は、固体電解質型燃料電池(SOFC)のインターコネクタ材料として用いられる。
酸化セリウムとは、ジルコニアよりも酸素イオン伝導度が高く、特に酸化サマリウム(Smd2O3)や酸化ガドリウム(Gd2O3)を固溶した酸化セリウムは上記固体電解質として特に優れた特性を発揮する。
本発明において「主成分」とは、その主な機能を左右する成分の意であり、少なくともその50%以上を占める成分であるが、その他の副成分を含んでもよいという意を包含する。例えば、ジルコニアでは8〜10モル%のY2O3やYb2O3を含有することができ、また酸化セリウムは上述の通りである。
上記の「セラミックスシートの主成分」は、セラミックスシートの機能を決定する成分であって、セラミックスシートを構成するセラミックスの50%以上を占める成分の意である。
具体的には、イットリア(Y2O3)、アルミナ(Al2O3)、カルシア(CaO)から成る焼結助剤を、単独又は複合して、ジルコニア等の主成分+副成分に対して0.1〜1重量%添加し、ジルコニア等の焼結を促進し、焼結体の強度を高めることができる。
複合添加する焼結助剤のモル%は、Y2O3であれば30〜50モル%、好ましくは40モル%程度、Al2O3であれば5〜20モル%、好ましくは10モル%程度、CaOであれば30〜70%、好ましくは50モル%である。
「微粉末」は、平均粒径1〜5μm、特に1〜3μm、中でも特に1〜2μmであるのが好ましい。
別の観点から見ると、「極微粉末」の平均粒径に対して「微粉末」の平均粒径が50%以下、特に25%以下、中でも特に20%以下であるのが好ましい。
なお、本発明において「平均粒径」とは、マイクロトラックによって計測した値を意味している。
混合比率がこの範囲以外では、例えば平均粒径1μm以下の極微粉のみを用いた場合、成形した生シートの乾燥後の相対密度を50%以上とすることは困難である。また1〜5μmの微粉末が50重量部を越えた場合にも生シートの相対密度は向上せず、また焼成後の相対密度も向上しない。
その他必要に応じて、可塑剤、その他の公知の添加物質を配合することができる。
さらに具体的に言えば、例えば平均粒径0.5μmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の極微粉末70重量部と、平均粒径3μmのYSZ微粉末30重量部とを用い、セルロース等の水系結合材、可塑剤等と、YSZに対し17重量%以下の水とを混練し、押出し成形すればよい。
例えばYSZでは比較的低温の1500℃での焼成で96%以上の相対密度を達成できる。
生シートの乾燥後の相対密度を50%以上とすることにより、焼成後の相対密度を96%以上、焼成後の体積収縮率を45%以下にすることができる。
焼成後の体積収縮率が45%以上になると、特に極薄型シートでは収縮に伴う割れが発生し易くなり、緻密体は得られるが割れの発生を抑制できない。例えば生シートの乾燥後の相対密度が42%で、焼成後の体積収縮率が56%では96%の相対密度を得られるが割れが発生し、シート形状を維持できない場合もある。
本発明による薄型シートの厚さは0.05〜2mmとするのが好ましい。厚さが50μm以下では押出し成形そのものが技術的に困難であり、厚さが2mm以上では本発明を用いなくても割れの発生頻度が少ない。
イットリア安定化ジルコニア(トーソー社製)として平均粒径0.5μmの極微粉末60重量部及び平均粒径3μmの微粉末40重量部の合計100重量部を、水系結合材であるメチルセルロース4重量部、グリセリン3重量部、潤滑剤(グリース)5重量部、水12重量部とともに、高速ミキサーで30分間混練し、これを真空押出し成形機で約0.3mmのシート厚さに成形した。この生シートを10cm×20cmの大きさに切り出し、80℃で20時間乾燥した。
乾燥後のシートの重量及び寸法から得られた相対密度は55%であった。
相対密度は、JIS−R1634(ファインセラミックスの焼結体・開気孔率の測定方法)の煮沸法を採用して行った。
得られたセラミックスシートの寸法変化(縦横高合計の3次元寸法の変化)から体積収縮率を求めた。体積収縮率は43%であった。また焼成後の相対密度は煮沸法(JIS−R1634)により得られた嵩比重から計算により求めた結果、97%であった。焼成後のシートに割れや亀裂は観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.5μmの極微粉末を70重量部及び平均粒径3μmの微粉末を30重量部とし、Y2O3=40モル%、Al2O3=10モル%、CaO=50モル%から成る焼結助剤0.5重量部を添加したこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.5μmの極微粉末を80重量部及び平均粒径3μmの微粉末を20重量部、水を15重量部とし、Y2O3=40モル%、Al2O3=10モル%、CaO=50モル%から成る焼結助剤0.5重量部を添加したこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
ランタンクロム酸化物(LaCrO3)として、平均粒径0.5μmの極微粉末を60重量部及び平均粒径3μmの微粉末を40重量部とし、焼成温度を1600℃としたこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.1μmの極微粉末60重量部及び平均粒径1μmの微粉末40重量部の合計100重量部を用いた以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.1μmの極微粉末60重量部及び平均粒径5μmの微粉末40重量部の合計100重量部を用いた以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.9μmの極微粉末60重量部及び平均粒径1μmの微粉末40重量部の合計100重量部をを用いた以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.9μmの極微粉末60重量部及び平均粒径5μmの微粉末40重量部の合計100重量部をを用いた以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
酸化サマリウムを20モル%含む酸化セリウムとして、平均粒径0.5μmの極微粉末を60重量部及び平均粒径3μmの微粉末40重量部の合計100重量部を用いた以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径3μmの微粉末を100重量部としたこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。それらの結果を表1に示す。焼成後のシートには割れは発生しなかったが、焼成後の相対密度が82%と低かった。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.5μmの極微粉末を100重量部、水を14重量部とし、Y2O3=40モル%、Al2O3=10モル%、CaO=50モル%から成る焼結助剤0.5重量部を添加したこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。焼成後の相対密度は97%と高かったが、焼成後のシートに割れが発生した。
イットリア安定化ジルコニアとして、平均粒径0.5μmの極微粉末を60重量部及び平均粒径3μmの微粉末を40重量部、水を18重量部とし、Y2O3=40モル%、Al2O3=10モル%、CaO=50モル%から成る焼結助剤0.5重量部を添加したこと以外、実施例1と同様にして薄型シートを作製し、その特性を調べた。これらの結果を表1に示す。焼成後の相対密度は96%と高かったが、焼成後のシートに割れが発生した。
Claims (8)
- 平均粒径が1μm未満の極微粉末及び平均粒径が1〜5μmの微粉末を、水系結合材及び水と混練して混練物とし、該混練物を押出し成形して乾燥し、乾燥後の相対密度50%以上の生シートとし、該生シートを焼成することにより、焼成後の相対密度が96%以上、焼成後の体積収縮率が45%以下の緻密質セラミックスシートとすることを特徴とする緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 極微粉末と微粉末との混合比率が、重量部で90:10から50:50であることを特徴とする請求項1記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 緻密質セラミックスシートの主成分が、ジルコニア、ランタンクロム酸化物、酸化セリウムのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- イットリア、アルミナ及びカルシアのいずれか、或いはこれらのうちの2種類以上の組合わせから成る組成物を、焼結助剤として上記主成分に添加することを特徴とする請求項3に記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 緻密質セラミックスシートの厚さが、0.05〜2mmである請求項1〜4のいずれかに記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 押出し成形により得られた生シートをそのまま焼成、或いはプレス等で機械加工後に焼成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 押出し成形により得られた生シート表面に格子状、ディンプル状、波形状等の模様を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の緻密質セラミックスシートの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によって得られた緻密質セラミックスシート。
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