JPH1135323A - ジルコニア系粉体およびジルコニア系成形体 - Google Patents

ジルコニア系粉体およびジルコニア系成形体

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JPH1135323A
JPH1135323A JP9188835A JP18883597A JPH1135323A JP H1135323 A JPH1135323 A JP H1135323A JP 9188835 A JP9188835 A JP 9188835A JP 18883597 A JP18883597 A JP 18883597A JP H1135323 A JPH1135323 A JP H1135323A
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zirconia
particle diameter
powder
solvent
slurry
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Kazuo Hata
和男 秦
Norikazu Aikawa
規一 相川
Keijirou Takasaki
恵次郎 高▲崎▼
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 品質が均一で、信頼性の高いジルコニア系成
形体を製造するに好適なジルコニア系粉体、およびこれ
を用いて得られるジルコニア系成形体を提供する。 【解決手段】 平均粒子径が0.5μmを超え0.8μ
m以下、90体積%の粒子径が1μmを超え2μm以下
の範囲にあるジルコニア系粉体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジルコニア系粉体お
よびジルコニア系成形体に関する。詳しくは、本発明は
均一な品質を有し、信頼性の高いジルコニア系成形体を
製造するに適したジルコニア系粉体、およびこの粉体を
用いて得られる均一な品質を有し、信頼性の高いジルコ
ニア系成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは、耐熱性および耐摩耗性
などの機械的性質に加えて、電気的、磁気的特性、更に
は生体適合性などに優れていることから、多くの分野で
広く活用されている。なかでも、ジルコニアを主体とす
るセラミックスシートは、優れた酸素イオン伝導性、耐
熱性および耐腐食性を有しているので、センサー部品、
燃料電池用の電解質膜、または焼成用セッターなどとし
て有効に活用することができる。
【0003】上記のジルコニア系セラミックスシート
は、通常、ジルコニア系粉体、有機バインダーおよび溶
媒からなるスラリーを用い、ドクターブレード法、カレ
ンダーロール法または押出し法などによってシート状に
成形し、これを乾燥して溶剤を揮発させることによりグ
リーンシートを作製し、このグリーンシートを切断、パ
ンチングなどによって適当な大きさにした後、セッター
に載せて焼成して有機バインダーを分解除去し、さらに
セラミックスを焼結させることによって製造されてい
る。
【0004】上記のジルコニア系粉体については、その
製造法やそれを用いて得られるセラミックスの物理的特
性などについて数多くの報告がなされている。しかし、
その多くは原料粉体の粒子径のみが記載されているにす
ぎず、粒子径の分布をも考慮して、粒子径と粒子径分布
とを同時に記載したものは限られている。
【0005】例えば、特開平1−153530号公報に
は、0.1〜0.5μmの1次粒径を有し、好ましくは
90体積%が0.1〜1μmの粒度分布を有する原料粉
体を使用することが記載されている。
【0006】特開平4−130018号公報には、遠心
沈降法によって測定した粒子径が平均1.3〜3.0μ
mの範囲にあり、1〜20μmの範囲にある粒子の割合
が全重量基準で45〜75重量%の範囲にある原料粉体
を使用することが記載されている。
【0007】特開平4−202016号公報には、
(1)平均粒径2.05〜2.12μm、粒径範囲1.
00〜3.00μmのものが87〜90%、粒度分布幅
0.60〜4.00μm、(2)平均粒径2.18〜
2.22μm、粒径範囲1.00〜3.00μmのもの
が82〜85%、粒度分布幅0.80〜4.00μm、
(3)平均粒径2.00〜2.04μm、粒径範囲1.
00〜3.00μmのものが86〜90%、粒度分布幅
0.88〜4.00μmのジルコニア微粉体が製造でき
たとされている。
【0008】また、特開平8−151270号公報に
は、平均粒子径が0.1〜0.5μmであり、かつ90
体積%以上が1μm以下の粒子径を有する原料粉体を用
いてセラミックスシートを製造することが記載されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のような
粒子径および粒子径分布を有する従来の粉体を用いて
は、得られるセラミックスシートはその表面部位によっ
て機械的強度などにばらつきがあり、その表面全体にわ
たり均一な品質を有するセラミックスシートを製造する
ことは困難であった。
【0010】かくして、本発明の目的は、均一な品質を
有し、信頼性の高いジルコニア系成形体を製造するに好
適なジルコニア系粉体を提供することにある。特に、ド
クターブレード法、カレンダーロール法などの常圧で成
形し、常圧で焼結させる方法によって均一な品質を有
し、信頼性の高いジルコニア系成形体を製造するに好適
なジルコニア系粉体を提供することにある。
【0011】また、他の目的は、上記粉体を用いて得ら
れる、均一な品質を有し、信頼性の高いジルコニア系成
形体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、特定の粒子径および粒子径分布を有するジルコニア
系粉体を用いることにより上記目的が達成できることが
わかった。本発明はこの知見に基づいて完成されたもの
である。
【0013】本発明は、平均粒子径が0.5μmを超え
0.8μm以下、90体積%の粒子径が1μmを超え2
μm以下の範囲にあるジルコニア系粉体に関する。
【0014】また、本発明は、上記ジルコニア系粉体を
用いて得られるジルコニア系成形体に関する。
【0015】本発明の「ジルコニア系成形体」とは、任
意の形状の成形体およびこの成形体を焼成して得られる
セラミックス成形体を意味する。上記形状の代表例とし
ては、シート状、板状などの二次元形状、球状、円柱
状、長方体状などの三次元形状、およびこれら形状に穴
加工などを施した形状を挙げることができる。また、二
次元形状の、いわゆるグリーンシートを更に加工して、
例えば円筒状にした三次元形状も包含される。
【0016】本発明の「粒子径」とは、2次粒子の粒径
を意味する。一般に、ジルコニア系粉体の場合、結晶子
(1次粒子)が微小なためファンデルワールス力などに
よって凝集して2次粒子を形成するが、この2次粒子は
解砕などによって実質的に結晶子(1次粒子)に解膠す
ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のジルコニア系粉体とは、
ジルコニアを主成分とする、具体的にはジルコニアを6
0重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する粉体
を意味する。その他の代表的な成分としては、イットリ
ウム(Y)、セリウム(Ce)、カルシウム(Ca)、
マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、シリカ(S
i)およびアルミニウム(Al)から選ばれる少なくと
も一種の酸化物を挙げることができる。
【0018】上記ジルコニア系粉体のなかでも、酸化イ
ットリウム、酸化セリウムおよび酸化カルシウムから選
ばれる少なくとも一種を含有するジルコニア系粉体が好
適である。このジルコニア系粉体における、酸化イット
リウム、酸化セリウムおよび酸化カルシウムから選ばれ
る少なくとも一種の含有量は1〜20重量%の範囲にあ
るのが好適である。なかでも、酸化イットリウム5〜1
8重量%およびジルコニア82〜95重量%からなるジ
ルコニア系粉体が好適に用いられる。
【0019】本発明のジルコニア系粉体は平均粒子径が
0.5μmを超え0.8μm以下、90体積%の粒子径
が1μmを超え2μm以下の範囲にあり、好ましくは平
均粒子径が0.5μmを超え0.8μm以下、90体積
%の粒子径が1μmを超え1.5μm以下、更に好まし
くは平均粒子径が0.55〜0.75μm、90体積%
の粒子径が1μmを超え1.5μm以下の範囲にある。
このなかでも、特に、90体積%の粒子径が平均粒子径
が1.5〜2.5倍、好ましくは1.5〜2倍の範囲に
あるのがよい。
【0020】本発明のジルコニア系粉体の最大粒子径は
10μm、好ましくは8μm、特に好ましくは5μmで
ある。
【0021】したがって、本発明のジルコニア系粉体
は、2μmを超える粗大粒子が少なく、かつシャープな
粒度分布を有する点に特徴を有する。
【0022】本発明のジルコニア系粉体は、例えば、平
均粒子径が0.8μmを超え、90体積%の粒子径が2
μmを超えるジルコニア系粉体を微粉砕することにより
調製することができる。平均粒子径が0.8μmを超
え、90体積%の粒子径が2μmを超えるジルコニア系
粉体は工業的に容易に入手することができ、例えばOZ
C−8YC(商品名、住友大阪セメント(株)製)、T
Z−8Y(商品名、東ソー(株)製)などを挙げること
ができる。
【0023】上記微粉砕に使用する装置については特に
制限はなく、上記のような平均粒子径が0.8μmを超
え、90体積%の粒子径が2μmを超えるジルコニア系
粉体を平均粒子径が0.5μmを超え0.8μm以下、
90体積%の粒子径が1μmを超え2μm以下の粉体に
まで微粉砕し得るものであればいずれも使用することが
できる。このような粉砕機としては、例えばボールメデ
ィアを用いた湿式粉砕機を挙げることができる。このよ
うな湿式粉砕機は市販されており、例えばケムコ・アペ
ックスミル・V型(商品名、コトブキ技研工業(株)
製)などを挙げることができる。
【0024】例えば、アペックスミルAMV−1型の場
合、その仕様は、有効粉砕室容積1リットル、粉砕室直
径80mm、粉砕室高さ240mm、ローター先端周速
度max6.03m/秒(50Hz)および回転数48
0〜1920rpm(50Hz)である。なお、この場
合、ボールメディアとしては、直径が0.3〜3mmの
範囲のものを用いるのがよい。
【0025】上記湿式粉砕に際しては、処理すべき原料
ジルコニア系粉体を溶媒と混合してスラリーを調製し、
このスラリーを粉砕機に導入する。
【0026】上記溶媒としては、微粉砕を阻害しないも
のであればいずれも使用することができる。代表例とし
ては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、オクタノールなどの炭素数9以下のア
ルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど
のセロソルブ類などを挙げることができる。これらは単
独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することが
できる。混合溶媒の代表例としては、トルエン/エタノ
ール、酢酸エチル/イソプロパノール、トルエン/ブチ
ルセロソルブなどの非水溶性溶媒と水溶性溶媒との混合
物を挙げることができる。
【0027】上記スラリー中の原料ジルコニウム系粉体
の濃度は通常30〜70重量%であり、好ましくは30
〜50重量%である。濃度が高すぎると粉砕操作が困難
となる。なお、原料ジルコニア系粉体の分散をよくする
ために、分散剤を添加することができる。分散剤を使用
することにより、スラリー中の原料ジルコニア系粉体の
濃度を40〜70重量%、特に45〜55重量%との高
い範囲に設定しても微粉砕を効率よく行うことができ
る。これにより生産性を一段と高めることができる。
【0028】上記分散剤としては、ギ酸、クエン酸、酒
石酸などの有機酸類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸
アンモニウムなどの高分子電解質;多鎖型高分子量非イ
オン界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、β−ナフタ
レンスルホン酸アンモニウム塩、高分子界面活性剤、非
イオン界面活性剤などの界面活性剤(例えば、ディスコ
ール類(商品名)第一工業製薬(株)製、ホモゲノール
類(商品名)花王(株)製);ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルーエ
ーテルなどのエーテル類(例えば、イオネット類(商品
名)三洋化成工業(株)製);ジカルボン酸の部分エス
テル類またはカルボン酸の部分エステル類の共重合体
(例えば、ブンサンG−200(商品名)共栄社化学
(株)製、フローレンG−700(商品名)共栄社化学
(株)製);アクリル酸エステル系、マレイン酸エステ
ル系などの分散剤(オリコックス類(商品名)共栄社化
学(株)製);グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステルなどを挙げる
ことができる。
【0029】これらのなかでも、酸価を有する界面活性
剤でジカルボン酸の部分エステル類またはカルボン酸の
部分エステル類の共重合体が特に好適に用いられる。
【0030】分散剤の添加量は、原料ジルコニア系粉体
の0.01〜5重量%、好ましくは0.3〜2重量%で
ある。
【0031】したがって、原料ジルコニア系粉体を分散
剤の存在下に溶剤に分散させて、スラリー中の原料ジル
コニア系粉体の濃度が40〜70重量%のスラリーを調
製し、このスラリーをボールメディアを用いた湿式粉砕
に供するのがよい。
【0032】なお、上記スラリーは、原料ジルコニア系
粉体、溶媒および分散剤を粉砕機に導入して、調製して
も、あるいは予めこれらを混合してスラリーを調製した
後に粉砕機に導入してもよい。湿式粉砕はバッチ式でも
連続式でもよい。
【0033】上記のようにして得られる平均粒子径が
0.5μmを超え0.8μm以下、90体積%の粒子径
が1μmを超え2μm以下のジルコニア系粉体を含むス
ラリーは減圧乾燥などの操作を施してジルコニア系粉体
としても、またはそのまま、あるいは必要なバインダー
および可塑剤を所定量添加した後、グリーン体としても
よい。
【0034】上記減圧乾燥などの操作には、ロータリー
エバポレーター、振動流動乾燥機(例えば、中央加工機
(株)製のVU−60(商品名))などを用いることが
できる。
【0035】上記の湿式粉砕により得られるジルコニア
系粉体の平均粒子径および90体積%の粒子径は、島津
製作所(株)製のレーザー回折式粒度分布計SALD−
1100を用いて測定した。
【0036】本発明のジルコニア系成形体は、粉体とし
て本発明のジルコニア系粉体を使用する点を除けば、常
法にしたがって調製することができる。以下、本発明の
ジルコニア系成形体の代表例としてのグリーンシートを
例に挙げて説明する。
【0037】本発明のジルコニア系粉体にバインダーお
よび溶剤、更に必要に応じて分散剤、可塑剤などを配合
し、通常のボールミル法などの手段によりスラリー化
し、このスラリーを用いてドクターブレード法、カレン
ダーロール法などによりシート状に成形してグリーンシ
ートとする。
【0038】上記バインダーとしては特に制限はなく、
一般に使用されている有機または無機のバインダーから
適宜選択して使用することができる。有機バインダーの
例としては、エチレン系共重合体、スチレン系共重合
体、アクリレートおよびメタクリレート共重合体、酢酸
ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチ
ラール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルホルマール
樹脂、ビニルアルコール樹脂、ワックス類、エチルセル
ロースなどのセルロース類などを挙げることができる。
また、無機バインダーの例としては、ジルコニアゾル、
シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾルなどを挙げる
ことができる。
【0039】バインダーの使用量は、グリーンシートの
強度、柔軟性などのほかに、スラリーの粘度調整などを
考慮して適宜決定することができる。例えば、本発明の
ジルコニア系粉体100重量部に対し、10〜30重量
部の割合で用いる。
【0040】上記溶媒についても特に制限はなく、一般
に使用されている水および有機溶剤から適宜選択して使
用される。有機溶剤の代表例としては、メタノール、エ
タノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘ
キサノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノ
ンなどのケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど
の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類などを挙
げることができる。
【0041】溶剤の使用量は、スラリーの粘度との関係
において適宜決定することができる。例えば、スラリー
の粘度が20〜200ポイズとなるような割合で使用す
ればよい。
【0042】このようにして得られたスラリーは、通常
の塗布方法、例えばドクターブレード法、カレンダーロ
ール法などによりポリエチレンテレフタレート(PE
T)などの高分子フィルム上にキャスティングした後、
乾燥してグリーンシートとする。このグリーンシートの
厚さは通常0.1〜2mmである。
【0043】このようにして得られたグリーンシートは
汎用の焼成用敷板、例えば多孔質アルミナ板上に置い
て、常圧で、1200〜1700℃の温度で焼成するこ
とによりジルコニア系セラミックスシートとすることが
できる。
【0044】本発明のジルコニア系粉体は、その成形に
際しては、射出成形、プレス成形、鋳込み成形、押出し
成形、シート成形などの各種成形方法が採用できるが、
前記のドクターブレード法、カレンダーロール法などに
より、特に常圧で成形してジルコニア系成形体を製造す
る際に、さらにこれを常圧で焼結させることによりジル
コニア系セラミックス成形体を製造する際に特に好適に
用いられる。すなわち、このような方法により、ジルコ
ニア系成形体を製造する際に、本発明のジルコニア系粉
体を使用すると、均一な品質を有し、信頼性の高いジル
コニア系成形体を製造することができる。
【0045】本発明のジルコニア系成形体のうちの特に
ジルコニア系セラミックス成形体に関しては、その品質
の均一性、ひいては信頼性を示す目安として、一般に、
ワイブル係数(m)値が使われている。これは機械的強
度などのばらつきを統計的な理論により表したものであ
り、ワイブル係数(m)値が高いほど機械的強度のばら
つきが少なく実用上好ましいものである。本発明によれ
ば、ワイブル係数(m)値が10より高いジルコニア系
セラミックス成形体を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】本発明のジルコニア系粉体を用いること
により品質が均一で、信頼性の高いジルコニア系成形体
を得ることができる。
【0047】特に、ドクターブレード法、カレンダーロ
ール法などにより常圧で成形し、さらに常圧で焼結させ
ることによりジルコニア系成形体を製造する場合に、均
一な品質を有し、信頼性の高いジルコニア系成形体を得
ることがができる。
【0048】本発明のジルコニア系成形体は品質が均一
であり、信頼性の高いものである。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0050】実施例1 平均粒子径0.84μm、90体積%の粒子径が2.6
5μmである市販のジルコニア系粉体OZC−8YC
(商品名、住友大阪セメント(株)製)4kgを純水6
kgとともにアペックスミルAM−1(商品名、コトブ
キ技研工業(株)製、ミル粉砕室直径8cm)に入れて
次の条件下に粉砕を行った。
【0051】ボールメディア:0.5mm径のジルコニ
アボール(4kg) ローター先端周速度:7m/秒(ミルモーター動力を調
整して設定) 粉砕時間:1時間 上記湿式粉砕により得られたスラリーを10リットルの
ロータリーエバポレーターに入れ、更に等量のオクタノ
ールを入れて、加熱減圧しながら水を留出させてオクタ
ノール置換スラリーを得た。このスラリーを更に加熱減
圧してオクタノールを留出させた後、減圧乾燥して粉砕
微粉体(A)を得た。
【0052】この粉体(A)を島津製作所(株)製の粒
度分布径SALD−1100を用い測定したところ、平
均粒子径は0.66μm、90体積%の粒子径は1.3
μmであった。また、最大粒子径は3.7μmであっ
た。
【0053】実施例2 平均粒子径0.84μm、90体積%の粒子径が2.6
5μmである市販のジルコニア系粉体OZC−8YC
(商品名、住友大阪セメント(株)製)5.5kgと分
散剤としてギ酸44gを添加した純水4.544kgと
をアペックスミルAM−1(商品名、コトブキ技研工業
(株)製、ミル粉砕室直径8cm)に入れて次の条件下
に粉砕を行った。
【0054】ボールメディア:0.5mm径のジルコニ
アボール(4kg) ローター先端周速度:5m/秒(ミルモーター動力を調
整して設定) 粉砕時間:10分 以下、実施例1と同様にして粉砕微粉体(B)を得、そ
の平均粒子径と90体積%の粒子径とを測定した。この
粉体(B)の平均粒子径は0.6μm、90体積%の粒
子径は1.12μmであった。また、最大粒子径は3.
7μmであった。
【0055】実施例3 それぞれ実施例1および実施例2で調製したジルコニア
系粉体(A)および(B)100重量部に、メタクリル
酸共重合体15重量部を溶解したトルエン/酢酸エチル
(1/1重量比)50重量部および可塑剤としてのジブ
チルフタレート2重量部を添加し、ボールミルにより混
合してから粘度を調整した後、ドクターブレード法によ
り0.25mm厚のグリーンシートを作製した。
【0056】このグリーンシートを1450℃で2時間
焼成して0.2mm厚のジルコニア系セラミックスシー
トを得た。このシートのワイブル係数(m)値を下記方
法により求めた。結果を表1に示す。
【0057】ワイブル係数(m)値 4mm(幅)×0.2mm(厚さ)×40mm(長さ)
のシート状試験片20本を作成した。これら試験片につ
いて、その表面粗さの調整、面取りなどはせずに、JI
S R1601の方法に準じて3点曲げ強度を測定し
た。
【0058】次に、「耐火物」39−489、1987
−No.9の尾崎義治「セラミックスの強度と信頼性予
測」11頁右欄に記載の式(2)
【0059】
【数1】
【0060】(式中、Pfは破壊確率であり、Pf=n/
(N+1)で定義される(ここで、Nはサンプル個数、
nはn番目のサンプルである)、σfは破壊曲げ強度、
mはワイブル係数、σ0は規格化因子、またσuはこの破
壊曲げ強度以下では0となる応力値である)に基づき、
σfは上記の3点曲げ強度の測定値とし、縦軸にlnl
n{1/(1−Pf)}を、横軸にln(σf−σu)を
とってグラフを書いた。なお、−mlnσ0はグラフの
切片となる。この傾きからmを最小自乗法により求め
た。
【0061】実施例4 それぞれ実施例1および実施例2で調製したジルコニア
系粉体(A)および(B)をゴム袋に入れた後、200
0kg/cm2で10分間靜水圧加圧を行い30mm×
6mm×100mmのバルク体を得た。次いで、このバ
ルク体を4mm×4mm×40mmに切り出し、表面を
研磨した後、1500℃で2時間焼成してジルコニア系
試験片を得た。
【0062】この試験片を用いて、実施例3と同様にし
て、ワイブル係数(m)値を求めた。結果を表2に示
す。
【0063】比較例1 実施例3において、実施例1で調製したジルコニア系粉
体(A)の代わりに、その原料粉体である市販の平均粒
子径0.84μm、90体積%の粒子径が2.65μm
のジルコニア系粉体を用いた以外は実施例3と同様にし
てジルコニア系セラミックスシートを作製し、そのワイ
ブル係数(m)値を求めた。結果を表1に示した。
【0064】比較例2 実施例4において、実施例1で調製したジルコニア系粉
体(A)の代わりに、その原料粉体である市販の平均粒
子径0.84μm、90体積%の粒子径が2.65μm
のジルコニア系粉体を用いた以外は実施例4と同様にし
てジルコニア系バルク体を作製し、そのワイブル係数
(m)値を求めた。結果を表2に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】上記表1および表2の結果から、本発明の
ジルコニア系成形体は、ワイブル係数が高く、品質が均
一で、信頼性が高いものであることがわかる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が0.5μmを超え0.8μ
    m以下、90体積%の粒子径が1μmを超え2μm以下
    の範囲にあるジルコニア系粉体。
  2. 【請求項2】 90体積%の粒子径が平均粒子径の1.
    5〜2.5倍の範囲にある請求項1記載のジルコニア系
    粉体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のジルコニア系粉体を用い
    て得られるジルコニア系成形体。
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