JP5311913B2 - 高イオン導電性固体電解質材料の製造方法 - Google Patents

高イオン導電性固体電解質材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高イオン導電性固体電解質材料の製造方法に関するものである。
従来、この種の固体電解質材料は、固体電解質型燃料電池(以下、「SOFC」と略称する。)などの用途に適用されており、またSOFCは、他の燃料電池、リン酸型、溶融炭酸塩型などと較べて発電効率が良く、排熱温度も高いため、効率的エネルギー利用の発電システムを構築できる点で注目されている。
ところでこのSOFCは、固体電解質の一方の面に燃料極を有し、固体電解質の反対側の面に酸素極を有した単電池セル構造を備える。そしてその発電メカニズムとしては、燃料極面に水素(H)などの燃料ガスが貫流接触し、酸素極面に空気もしくは酸素(O)などの酸化剤ガスが貫流接触すると、酸素極で発生した酸素イオン(O2−)が固体電解質を移動して燃料極に達し、燃料極ではその移動してきたO2−がHと反応してその電気化学反応により電気出力が得られるものである。
このような構造及び発電メカニズムにおいて、SOFCの固体電解質材料に要求される特性としては、(1)高い酸素イオン導電性を有すること(2)長期安定して電気化学反応に寄与するものであること(3)高い材料強度を有することなどが挙げられる。そしてこれらの要求特性に応えるものとして、従来一般的には、イットリア(Y)を添加したジルコニア(ZrO)、すなわちイットリア安定化ジルコニア材料(以下、「YSZ」と略称する。)が用いられてきている。
しかしこのYSZ材料は、材料抵抗が高くて導電率が低いために、高い電力密度が得られないという問題を抱えている。そこでこれに代替できる材料として本発明者らは、スカンジア(Sc)を添加したジルコニア、すなわちスカンジア安定化ジルコニア材料(以下「ScSZ」と略称する。)について研究を進めてきた。
そして実際、ScSZ系材料は、YSZ材料に較べて導電率が高く、材料強度も高いということですでに何件か特許出願も行なっている。ただ当初、このScSZ材料は、結晶構造が安定しないという問題があって、種々実験を重ねてきた結果、このScSZ系材料の中でも、特にアルミナ(Al)を1重量%添加した11mol%Sc−89mol%ZrO(以下、「11ScSZ」と略称する。)を標準組成としたものが、アルミナ(Al)の添加によって結晶相が安定することがわかった。すでに特許出願も行なっている(特許文献1、特許文献2参照)。
特開平7−6622号公報 特開平7−69720号公報
しかしながら、アルミナ(Al)添加のScSZ材料は、(1)機械的強度が向上するために固体電解質板の肉厚を薄くすることができてそれだけ材料抵抗を抑制でき、導電率の向上に寄与できる(2)粉体の焼結性が向上し、低い温度でも焼結するために製造コストの低廉化が図れるという長所を有する反面、次のような短所もある。
すなわち、(a)電気絶縁抵抗の増大によりアルミナを添加しないScSZ材料よりも酸素イオン導電性が10%程度低下する(b)粉末原料製造時に例えば、液相製造プロセスである共沈法やゾルゲル法により粉末粒径の細かいスカンジア(Sc)とジルコニア(ZrO)との混合粉末を得ようとすると、最初にそのScとZrOとの混合粉末を生成し、次いでこの混合粉末にアルミナ(Al)粉末を混合するという工程を取るため、アルミナを添加(混合)するためのプロセスが余分に必要になるという短所も有する。
またこの種の固体電解質材料をSOFCの電解質に用いた場合、高い導電率を得ようとすると、電池の作動温度を高くせざるを得ず、そのために周辺機材は耐熱高強度を有する特殊鋼材を用いなければならないなど、設備が大掛かり化し、製造コストも高くなる等の問題もあった。
そこで本発明者らは、種々実験研究を重ねた結果、アルミナに代替される材料として、セリア(CeO)、イットリア(Y)などスカンジア(Sc)以外の希土類酸化物をこのScSZ材料に添加することにより、結晶相が安定化することを見い出した。またこれらの材料は導電率が向上することにより、電池に用いた場合にその作動温度を下げることができることもわかった。
本発明の解決しようとする課題は、ScSZ材料にスカンジア以外の希土類酸化物を添加することにより結晶相を安定化させ、高いイオン導電性と高い材料強度を備えた高イオン導電性固体電解質材料の製造方法を提供することにある。
また本発明の製造方法によって製造した高イオン導電性固体電解質材料を電解質として用いることにより高い発電性能を備えたSOFCを提供し、さらにはそのSOFCの作動温度の低減により安価な周辺材料の使用を可能ならしめ、製作コストの低廉化をも図らんとするものである。
この課題を解決するために本発明の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法は、ジルコニウム元素及びスカンジウム元素に加えセリウム元素を含んだ生成物をジルコニウム及びスカンジウムのイオンとセリウムのイオンを含む混合溶液から液相法によって調製し、その生成物を仮焼成した後粉砕し、得られたセリアが配合されたスカンジア安定化ジルコニア粉末を成形して焼成することにより、ジルコニアを主成分とし、これにスカンジア8.5〜10モル%と、セリア0.5〜モル%とが配合固溶されると共に、スカンジアとセリアとの合計配合量が9〜11モル%の範囲に調製された高イオン導電性固体電解質材料を製造することを要旨とするものである。
上記組成のScSZ固体電解質材料は、高い導電率特性を有し、SOFCの固体電解質として優れた発電性能を発揮するものであるが、このScSZ固体電解質材料中のスカンジア(Sc)の固溶量は8.5〜15モル%の範囲とするのが望ましい。スカンジア(Sc)の固溶量が8モル%程度ではジルコニア(ZrO)が高温度(SOFCの作動温度:およそ1000℃レベル)で長時間(1000〜2000時間)後に立方晶から正方晶に変化して、導電率の低下を招く。
そのためScの固溶量を8モル%より若干多目とし、10〜15モル%とすることが有効である。
本発明では、スカンジア(Sc)以外のセリア(CeO)、イットリア(Y)などの希土類酸化物を配合することにより結晶相を安定させるものであり、その配合量は、0.5〜2.5モル%の範囲であることが望ましい。セリア(CeO)、イットリア(Y)等の酸化物の配合量が 0.5モル%以下では、R相の析出を抑制する効果に乏しく、また2.5モル%以上配合しても既に結晶相は十分に安定化し、逆に導電率が低下するおそれがある。
次にこのようにして生成されたScSZ粉末をSOFCの固体電解質板に成形するに際しては、図2にその製造フローチャートを示したが、静水圧プレス機(CIP)により加圧成形するか、あるいは、ドクタープレード法やカレンダーロール法を用いることができる。静水圧プレスによる場合、この粉末材料を板厚100〜300μm×およそ20cm角の固体電解質板に成形するのに、1ton/cmの押圧力を加えるのがよい。そして次に、この成形板を1400〜1500℃の温度で焼成する。

また、本発明の製造方法により作成した高イオン導電性固体電解質材料を有するSOFCによれば、上記固体電解質材料を用いることにより電解質の導電率が向上し、電池の内部抵抗が減少するため、電池としての出力密度もしくは発電効率が良くなり、電池性能が向上する。また材料強度が高いためその分固体電解質の板厚を薄くすれば電池の内部抵抗が抑えられ、やはり電池性能が向上する。さらに低い作動温度での運転も可能となる。
本発明の製造方法によって製造した高イオン導電性固体電解質材料によれば、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)に上記希土類酸化物を添加することにより、さらに高い酸素イオン導電性が得られ、しかも結晶相が安定するためにその高いイオン導電特性を恒久的に持続することができる。また材料強度を高く維持することもできる。
そしてこの固体電解質材料を固体電解質型燃料電池(SOFC)に適用することは、電池の内部抵抗が減って電池の発電性能(出力密度もしくは発電効率)を向上させることができるし、逆に同一レベルの発電性能であれば、SOFCの小型化などを図ることができる。またSOFCの作動温度の低減が可能となるため、安価な周辺材料の使用が可能となり、SOFCの低コスト化にも役立つ。さらに、本発明の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法によれば、製造上も結晶相安定化のための希土類はスカンジウムと同時に添加できるため、粉末原料の製造プロセスが簡略化できる利点もある。
以下、本発明の好適な一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。初めに図1は、本実施例に係る高イオン導電性固体電解質材料の製造プロセスを示したフローチャートである。この製造プロセスはいわゆる液相製造プロセスである共沈法に依るもので、Scの硝酸塩溶液にセリア(CeO)、イットリア(Y)などの希土類酸化物を適量添加して溶解させ、この硝酸塩溶液にZrOCl水溶液を混ぜて混合水溶液とする。
そしてこの混合水溶液に共沈剤としてアンモニア水を加えることにより、Zrの水和物とScの水和物との混合水和物が沈殿物として得られる。この沈殿物には、前述のCeO、Yなどの希土類酸化物による水和物も含まれる。そしてこの混合沈殿物を洗浄濾過し、600〜1000℃の温度で約12時間仮焼した後粉砕することによりセリア(CeO)、イットリア(Y)などが配合されたScSZ混合粉末が生成される。
あるいは、液相製造プロセスの他の例であるゾルゲル法に依るものも適用できる。ゾルゲル法に依る場合は、ジルコニ粉末粒子とスカンジ粉末粒子、及び他の希土類酸化物の粉末粒子を所定の配合比率で混ぜ合わせ、硝酸水に加熱溶解し、これにギ酸とポリエチレングリコールを所用量添加してゾル化物とする。そしてこのゾル化物を加熱乾燥し、700〜800℃の温度でおよそ12時間仮焼することによりセリア(CeO)、イットリア(Y)などが配合されたScSZ粉末を得ることもできる。
これらの場合に生成されたScSZ混合粉末中のZrOの配合量は85〜90モル%、Scは、8.5〜15モル%、その他の希土類酸化物(CeO、Yなど)が0.5〜2.5モル%、Scとその他の希土類酸化物(CeO、Yなど)とのトータルの配合量が9〜15モル%に調製されている。
次にこのようにして生成されたScSZ粉末をSOFCの固体電解質板に成形するに際しては、図2にその製造フローチャートを示したが、静水圧プレス機(CIP)により加圧成形するか、あるいは、ドクタープレード法やカレンダーロール法を用いることができる。静水圧プレスによる場合、この粉末材料を板厚100〜300μm×およそ20cm角の固体電解質板に成形するのに、1ton/cmの押圧力を加えるのがよい。そして次に、この成形板を1400〜1700℃の温度で焼成する。
これによりスカンジア(Sc)をジルコニア(ZrO)中に固溶させたスカンジア安定化ジルコニア(Sc Stabilized ZrO)材料を主成分とし、これに結晶相安定化材料としてセリア(CeO)、イットリア(Y)等がやはり固溶状態にある固体電解質板が得られる。
そしてこのScSZ系固体電解質板の片面に燃料極を形成し、反対側の面に酸素極を形成するに当たっては、これらの電極材料のセラミックス粉末を泥状にして、いわゆるスラリーコーティング法によりこのScSZ系固体電解質板のそれぞれの面に塗布し、所定温度で焼成する。この場合燃料極については、例えばニッケル(Ni)40重量%−ジルコニア(ZrO)60重量%のNi−ジルコニアサーメット材料を50μm程度の厚さでこのScSZ系固体電解質板の片面にコーティングし、1400〜1500℃の温度で焼成する。これによりScSZ系固体電解質板に薄膜状の燃料極が形成されることとなる。
また酸素極については、例えばランタンストロンチウムマンガネイト(La(Sr)MnO)材料を50μm程度の厚さで固体電解質板の反対側の面にコーティングし、1150℃前後の温度で焼成する。これによりScSZ系固体電解質板に、同じく薄膜状の酸素極が形成されることとなる。尚、酸素極の材料の配合比率としては、ランタン90〜80モル%に対し、ストロンチウム10〜20モル%程度とするのが適当である。
次にこのようにして製作された固体電解質型燃料電池(SOFC)の固体電解質板について種々の実験を行なったのでこれらについて説明する。供試材料はいずれも共沈法により作成している。
初めに次の表1は、YSZ固体電解質材料と、ScSZ系固体電解質材料の(アルミナ添加なし、アルミナ添加品、セリア添加品)の各種材料について、導電率特性と曲げ強度のデータを比較して示したものである。表中、「8YSZ」材料は、8mol%Y−92mol%ZrO配合のものであり、「アルミナ添加なしScSZ」材料は、11mol%Sc−89mol%ZrO配合のもの、「アルミナ添加ScSZ」材料は、(11mol%Sc−89mol%ZrO0.99(Al0.01配合のもの、「セリア添加品ScSZ」材料は、10mol%Sc−1mol%CeO−89mol%ZrO配合のものをそれぞれ供試材料として用いた。
この場合に供試材料はいずれも、板厚200μm×20cm角板のもので、静水圧プレス(CIP)により1ton/cmの加圧力を加えて成形したものを用いた。また導電率特性は、1000℃と800℃の2つの条件のものを示している。
Figure 0005311913
この表1からわかるように、従来の「8YSZ」材料に較べてScSZ系材料は、いずれも導電率および曲げ強度とともに優れた結果となっているが、ScSZ系材料どうしを比べた場合に、「アルミナ添加なしScSZ(11ScSZ)」材料に較べて「アルミナ添加ScSZ(11ScSZ1A)」材料は曲げ強度特性が向上するも導電率特性が低下している。
これに対して「セリア添加品ScSZ(10Sc1CeSZ)」材料は、導電率特性が1000℃と800℃のいずれにおいても「アルミナ添加ScSZ(11ScSZ1A)」材料よりも優れ、「アルミナ添加なしScSZ(11ScSZ1A)」材料と同等レベルの値が得られた。また曲げ強度も、「アルミナ添加ScSZ(11ScSZ1A)」材料よりは若干劣るものの、「アルミナ添加なしScSZ(11ScSZ)」材料よりは高い値を示している。
したがって、ScSZ材料にアルミナAlに代えてセリア(CeO)を添加することにより、導電率特性の低下はなく、むしろ導電率特性が向上する傾向にあり、また曲げ強度はほとんどアルミナ添加品と遜色ないという結果が得られ、アルミナ添加品に代替される材料としての特性を具有することが確認された。
次の表2は、各種供試材料の熱膨張係数の測定試験を行なった結果を示したものである。供試材料としては、本発明の実施例品の場合、前述のセリア(CeO)添加品のほか、イットリア(Y)添加品、イッテルビア(Yb)添加品、およびガドリニア(Gd)添加品を用いた。それぞれの配合量は、セリア(CeO)添加品の場合と同様、1モル%とした。詳細は表2に示した通りである。
Figure 0005311913
試験方法としては、熱機械的分析装置(TMA)を用いて、試作した各種焼結体の平均線熱膨張率を測定するもので、この時の測定条件としては、各焼結体を高純度窒素ガス200ml/minの雰囲気中で室温から1323K(1050℃)まで昇温し、その後室温まで冷却するものである。その昇温(および降温)速度は2℃/minとし、またこの時の材料に印加する荷重は10gとした。
その結果、11ScSZは約650℃付近にはっきりした転移点が確認されたが、10Sc1CeSZ、10Sc1YSZ、10Sc1YbSZ、10Sc1GdSZはいずれも転移点が見られず、結晶構造の熱的変化がないことが確認された。また平均線熱膨張率も、10Sc1CeSZ、10Sc1YSZ、10Sc1YbSZ、10Sc1GdSZはいずれも8YSZと同等の値を示しており、使用上問題ないことも確認された。
次に各種ScSZ焼結体の導電率測定試験を行なったのでその結果を説明する。試験方法としては、ScSZ焼結体の棒状試験片(20mm×3mm×4mm)を用い、SOFC作動温度(1000℃および800℃、空気雰囲気)における導電率を測定した。測定は、交流インピーダンス法により行い、測定された抵抗値と試験片の寸法から次式により導電率を求めた。
導電率σ(S/cm)=(1/抵抗値R(Ω))×試験片長さL(cm)
/試験片断面積S(cm
また、1000℃および800℃の導電率σから、logσ vs 1/Tのアレニウスプロットにより傾きを求め、活性化エネルギーE(kJ/mol)を算出した。その結果を次の表3に示す。また図3はその裏付けデータをグラフに示したものである。
Figure 0005311913
この結果は、次の通りである。
(1)試作した3種類のScSZは、いずれも導電率が8YSZの2倍程度の高い導電率を示した。11ScSZ1Aおよび10Sc1YSZの導電率はほぼ予想された数値であり、良好な焼結体が得られている。10Sc1CeSZの導電率も11ScSZ1Aの導電率(1000℃で約0.26S/cm)よりも約1割程度高い値となった。
(2)焼成温度が導電率に及ぼす影響は10Sc1YSZおよび10Sc1CeSZでは顕著ではなく、粉末原料としては使いやすい原料といえる。11ScSZ1Aのみ1600℃焼成で顕著に導電率が低くなったが、これは焼結密度の低下と対応している。
(3)活性化エネルギー(この値が低いほどSOFCの低温作動時に有利)の値は全般に8YSZよりも低く、良好な値を示した。特に10Sc1CeSZは60kJ/mol以下と顕著に低い値であった。活性化エネルギーの値も11ScSZ1Aの1600℃焼成品を除いて焼成温度による影響は認められなかった。
次に追加実験データとして、セリア(CeO)の添加量を変えた時の導電率の変化を調べたのでその結果を図4に示す。供試材料として、前述の11ScSZ材料、及び10Sc1CeSZ材料のほかに、スカンジア(Sc)とセリア(CeO)との配合量の合計を11モル%とし、そのうちセリア(CeO)を2.5モル%配合したもの(「8.5Sc2.5CeSZ」材料)、及びセリア(CeO)を5モル%配合したもの(「6Sc5CeSZ」材料)についてのデータを示している。
この図4のデータからわかるように、いずれの供試材料とも作動温度が高くなるにつれて導電率が低下する傾向にあるが、その中で11ScSZ材料(CeO=0%)に較べて10Sc1CeSZ材料(CeO=1%)は常に導電率の値が高く、8.5Sc2.5CeSZ材料(CeO=2.5%)と6Sc5CeSZ材料(CeO=5%)は若干導電率の値が低いという結果が得られている。このことからセリア(CeO)の添加量は1モル%程度が最も望ましく、それ以上に増やす必要はないということが言える。
本発明は上記した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施例ではScSZ材料にCeO、Y、Yb、Gdのいずれか1種類を添加したものについて説明したがCeOとYの2種類、あるいは他の組み合わせの2種類または3種類以上を添加するものであっても同様の効果が得られることは容易に推察できることである。
また上記実施例では、燃料電池の電解質材料として説明したが、この電解質材料の特性に鑑みれば、例えば、酸素センサなどの酸素イオン伝導を利用したデバイス類などの性能向上にも役立つものである。
本発明に係る高イオン導電性固体電解質材料の製造工程を示すフローチャートである。 図1の製造工程により製造した固体電解質材料を用いて燃料電池(SOFC)の電池セルを製造する工程図である。 各種固体電解質材料(10Sc1CeSZ、10Sc1YSZ、11ScSZ1A、8YSZ)の導電率測定試験結果(温度依存性)をグラフに示した図である。 セリア(CeO)添加のScSZ材料についてそのセリア(CeO)の添加量を変えた時の導電率測定試験結果(温度依存性)をグラフに示した図である。

Claims (5)

  1. ジルコニウム元素及びスカンジウム元素に加えセリウム元素を含んだ生成物をジルコニウム及びスカンジウムのイオンとセリウムのイオンを含む混合溶液から液相法によって調製し、その生成物を仮焼成した後粉砕し、得られたセリアが配合されたスカンジア安定化ジルコニア粉末を成形して焼成することにより、ジルコニアを主成分とし、これにスカンジア8.5〜10モル%と、セリア0.5〜モル%とが配合固溶されると共に、スカンジアとセリアとの合計配合量が9〜11モル%の範囲に調製された高イオン導電性固体電解質材料を製造すること特徴とする高イオン導電性固体電解質材料の製造方法。
  2. 上記混合溶液は硝酸溶液であることを特徴とする請求項1に記載の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法。
  3. 前記混合溶液に共沈剤を添加することによって、ジルコニウム元素及びスカンジウム元素に加えてセリウム元素を含んだ沈殿物を前記生成物として得る共沈法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法。
  4. 前記混合溶液からゾル化物を前記生成物として得るゾルゲル法を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法。
  5. 前記焼成時の温度は1400℃〜1500℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高イオン導電性固体電解質材料の製造方法。
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