JP2004188886A - 親水性を有する光触媒積層体 - Google Patents

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達司 中嶋
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Abstract

【課題】酸化チタン膜を含む親水性積層構造で、基材が変形しないような低温で酸化チタン膜を形成し、かつプラスティックフィルム基材と酸化チタン膜の密着性を改善した、酸化チタン膜を含む親水性を有する光触媒積層体を提供する。
【解決手段】プラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層との間に、炭素を含有する酸化珪素層を挟み込んだ構造である。これにより、その酸化珪素層が低硬度のプラスティックフィルム基材と高硬度の酸化チタン層の緩衝材の役割を果たし、かつ酸化チタン層の密着性を改善することができる。上記の炭素含有酸化珪素がSiOxCyの組成において、xが1.0〜2.0であり、yが0.01〜1.5であり、かつ炭素含有酸化チタンがTiOxCyの組成において、xが1.0〜2.5であり、yが0.01〜0.5であることが好ましい。酸化チタン層の密着性がより向上し、また積層体の目視における透過性が向上する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスティックフィルム基材上に形成した酸化珪素層、酸化チタン層の光触媒積層体に関するものである。特に、プラスティックフィルム基材と酸化チタン層の間に、炭素を含有する酸化珪素層を形成することにより、酸化チタン層の密着性が改善する光触媒積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建材や窓ガラス、自動車用ガラス、サイドミラー等は降雨や結露により、表面に水滴が付着し、視認性が低下するという問題がある。本問題を解決するため、防汚、撥水、親水処理を表面に施す開発が進められている。その中でも、酸化チタン膜を用いた親水処理が注目を集めている(特許文献1等を参照)。酸化チタンは光触媒活性を持ち、バンドギャップ以上の紫外または可視光を酸化チタンに照射することにより、酸化反応を引き起こすことが知られている。また同様に、酸化チタンは光照射により、表面を超親水化させることも知られている。よって屋外に放置しておいても、表面の有機物等の汚れを除去し、かつ水滴の発生を抑えることができる。
【0003】
酸化チタンの形成方法としては、直接被覆物に形成する方式と、プラスティックフィルム基材上へ巻取り方式で連続成膜し、後に粘着材等で貼り付ける方式がある。後者は生産性が高いが、基材がプラスティックフィルム基材のため、高温成膜できない、またプラスティックフィルム基材と酸化チタンの硬さが、大きく異なるため剥がれやすい、また基材がプラスティックフィルムであるため、酸化チタンの光触媒反応で分解される等、の問題点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−226040号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上に記載の酸化チタン膜を含む親水性積層構造において、基材が変形しないような低温で酸化チタン膜を形成し、かつプラスティックフィルム基材と酸化チタン膜の密着性を改善した、酸化チタン膜を含む親水性を有する光触媒積層体を提供することを本発明の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載するように、親水性を有する光触媒積層体は、プラスティックフィルム基材上に、基材側から炭素含有酸化珪素から成る層、炭素含有酸化チタンから成る層を順次形成したことを特徴とするものである。すなわち、プラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層との間に、炭素を含有する酸化珪素層を挟み込んだ構造である。
上記のプラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層の間に、炭素を含有する酸化珪素層を形成することにより、その酸化珪素層が低硬度のプラスティックフィルム基材と高硬度の酸化チタン層の緩衝材の役割を果たし、かつ酸化チタン層の密着性を改善することができる。
【0007】
また、請求項2として、請求項1に記載する炭素含有酸化珪素がSiOxCyの組成において、xが1.0〜2.0であり、yが0.01〜1.5であり、かつ炭素含有酸化チタンがTiOxCyの組成において、xが1.0〜2.5であり、yが0.01〜0.5であることを特徴とする。
プラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層の間の炭素含有酸化珪素層は、SiOxCyでxが1.0〜1.9、yが0.01〜1.5の組成であることが好ましい。これはy<0.01、x>1.9であると、膜中の炭素含有量が低下するため、膜のフレキシビリティが低下し、酸化チタン層との密着性が低下するためである。またx<1.0、y>1.5であると可視光域での光吸収が大きくなってしまう。
酸化チタン層は、TiOxCyでxが1.0〜2.5、yが0.01〜0.5の組成であることが好ましい。酸化珪素と同様に、x<1.0、y>0.5では可視光域での光吸収が大きくなってしまい、窓ガラスやディスプレイ用途には適さない。また基材および酸化珪素層に炭素が含まれているため、y<0.01を得ることは困難である。また、y>2.5であると、膜強度及び炭素含有酸化珪素層との密着性が低下してしまう。
【0008】
また本発明は請求項3として、請求項1または2に記載する炭素含有酸化珪素から成る層の炭素含有割合が、基材側から連続的に減少することを特徴とする。
炭素含有酸化珪素層の炭素含有量は基材側から酸化チタン側に行くに従い、徐々に減少する方がさらに好ましい。酸化珪素膜中に混入する炭素成分が多くなるに従い、酸化珪素膜のフレキシビリティは大きくなる。基材側の酸化珪素層の炭素混入量を多くし、酸化チタン側の酸化珪素層の炭素含有量を少なくすることにより、基材側の酸化珪素層のフレキシビリティは大きくなり、よりプラスティックフィルム基材の柔軟性に近くなり、酸化チタン側の酸化珪素層のフレキシビリティは小さくなり、より酸化チタン層の硬さに近くなる。そのために、より酸化珪素層の緩衝材の効果が表れ、酸化チタン層の密着性が改善する。
【0009】
また、本発明は請求項4として、請求項1〜3のいずれか一つに記載する炭素含有酸化珪素から成る層及び炭素含有酸化チタンから成る層がプラズマCVD法、またはスパッタリング法により作製されることを特徴とする。
炭素含有酸化珪素層、炭素含有酸化チタン層の作製方法として低温成膜できる手法であれば特に限定しないが、プラズマCVD法,スパッタリング法、真空蒸着法、有機蒸着法、イオンプレーティング法などが考えられる。
炭素含有酸化珪素層の作製には、プラズマCVD法が最適である。プラズマCVD法は有機金属材料を原料とすることができるため、膜中に炭素成分を容易に混入することができる。また化学反応を用いるためプラスティックフィルム基材との密着性が良い。さらに原料ガスの制御により容易に作製膜の組成を変更できるため、膜厚方向に組成を変化させることも可能であるからである。
【0010】
酸化チタン層の作製には、スパッタリング法およびプラズマCVD法が最適である。スパッタリング法を用いる場合は、原料がTiとOのみであるため不純物が膜中に混入しにくく、また成膜表面に高エネルギー原子が衝突するため膜表面反応が活性化し、緻密な酸化チタン膜が形成される。そのため光触媒活性が高く、かつ屈折率の高い酸化チタン膜を得ることができるという特徴がある。プラズマCVD法を用いる場合は、成膜条件を変化させることにより膜質を大きく変化できる、スパッタリング法と比較して高速成膜できるなどの特徴がある。
またプラスティックフィルム基材は耐擦性が低いため、キズ等が付きやすいが、その防止のために上記の炭素含有酸化珪素層と基材との間に、ハードコート層を挟む場合もある。
【0011】
本発明は、請求項5として、前記の請求項1〜4のいずれか一つに記載する光触媒積層体の最表面の水接触角が、10°以下であることを特徴とする。
このように水接触角が10°以下となることで、高度に親水化された光触媒積層体は、防曇、降雨による浄化、水洗による浄化、乾燥促進等、多くの目的で種々の物品に適用することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に示すように、本発明の親水性を有する光触媒積層体1は、プラスティックフィルム基材2上に積層構造を有するものであり、当該積層構造の最外層が炭素含有酸化チタン層4であり、前記酸化チタン層4と基材2との間に、炭素含有酸化珪素層3を設けた構成である。
これは炭素含有酸化珪素層が、プラスティックフィルム基材と炭素含有酸化チタン層の中間のフレキシビリティを持つための緩衝材の役割を果たし、密着性を改善していると考えられる。通常の酸化珪素層では、フレキシビリティ不足から密着性の低下を引き起こす。
【0013】
本発明の炭素含有酸化珪素層および炭素含有酸化チタン層の作製方法は、特に限定しないが、プラズマCVD法およびスパッタリング法が最適である。プラズマCVD法について、電源周波数は特に限定しないが、1kHz〜3GHz程度が適しており、さらには10kHz〜100MHzが最適である。
周波数が低過ぎると放電しにくくなり、またプラズマ密度も低下するため成膜には適さない。また周波数が高過ぎる場合は、広い面積での均一成膜には適さない、伝送路での電力減衰が大きくなるという問題がある。よって上記の周波数範囲が適すると考えられる。
またプラズマ密度を増加させるために磁場を印加する場合もある。
【0014】
スパッタリング法についても電源周波数は特に限定しないが、1kHz〜100MHz以下が適する。電源周波数が低すぎる場合は、原料ターゲット表面でのアーキング等が発生しやすく、安定した放電ができないという問題がある。また電源周波数が高過ぎる場合は、原料ターゲット表面へのイオンエネルギーが低くなるため成膜速度が低下するという問題がある。よって上記周波数範囲が適すると考えられる。
またプラズマCVD法およびスパッタリング法共にプラズマ密度上昇、ひいては成膜速度増加のためにプラズマ中に磁場形成する場合もある。
【0015】
酸化珪素の原料としては、以下が挙げられる。プラズマCVD法の場合は、シラン、ジシラン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラエトキシシラン等のSi系化合物を原料として用いることが可能である。スパッタリング法の場合は、Si、SiO2、SiO、SiC等が原料として考えられる。但し、原料としての上記のSi系化合物に炭素が含有されていない場合は、炭素含有物を原料として加える必要がある。
【0016】
酸化チタンの原料としては、以下が挙げられる。プラズマCVD法の場合は、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトラsec−ブトキシド、四塩化チタン等が原料として挙げられる。その中でもチタンテトライソプロポキシド(TTIP)、チタンテトラt−ブトキシド、四塩化チタン蒸気圧が高いという理由で好適である。スパッタリング法の場合は、Ti、TiO2、TiOx(x=1〜2)が適する。但し、原料としての上記のTi系化合物に炭素が含有されていない場合は、炭素含有物を原料として加える必要がある。
【0017】
炭素含有酸化珪素層の厚みについては、特に限定することはなく、密着性改善効果を奏する程度の厚さであれば、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜1000nm、特に、2〜200nmの範囲内が好ましい。上記範囲より層厚が薄い場合には、島状構造となり、層構造にならない場合があり、密着性改善効果を奏しない場合があるためである。また、上記範囲より厚い場合には、層全体の応力が大きくなり、逆に密着性が低下する場合があるからである。
炭素含有酸化チタン層の厚みについては、特に限定することはなく、親水効果および光触媒効果を奏する程度の厚さであれば特に限定されるものではないが、好ましくは10〜1000nm、特に、100〜500nmの範囲内が好ましい。上記範囲より層厚が薄い場合には、島状構造となり、層構造にならない場合があり、光触媒効果および親水効果を奏しない場合があるためである。また、上記範囲より厚い場合には、層全体の応力が大きくなり密着性が低下する場合があるからである。
【0018】
次に基材について説明する。本発明の親水性を有する光触媒積層体において、基材は、炭素含有酸化チタン層の反対面に位置するものであり、当該積層体の土台となる部分である。基材は、プラスティックフィルム基材であれば、特に限定されるものではない。前記プラスティックフィルム基材としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテル、トリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。さらには、可視光域で無色透明の基材がより好ましく使用できる。中でも、一軸または二軸延伸ポリエステル基材が透明性、耐熱性に優れていることから好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。また、光学異方性のない点でトリアセチルセルロースも好適に用いられる。プラスティックフィルム基材の厚みは、通常は6μm〜1000μm程度のものが好適に用いられる。
【0019】
炭素含有酸化珪素層及び炭素含有酸化チタン層の成膜装置であるプラズマCVD装置、スパッタリング装置について説明する。中でも、図2に示すようなプラズマCVD装置を用いることが好適である。それは、当該プラズマCVD装置により、本発明の積層体を連続的に効率的に、製造できるからである。図2に示すプラズマCVD装置5は、容量結合型のプラズマCVD装置であり、ウエッブ状のプラスティックフィルム基材6は基材巻き出し部7より巻き出されて、真空容器8中の反応室(a,b,c)に導入される。そして、当該反応室内の成層用ドラム9上で所定の層が形成され、基材巻き取り部11により巻き取られる。当該プラズマCVD装置5は、複数(3つ)の反応室を有し、夫々の反応室(a,b,c)は隔離壁10で隔離されることで形成されている。ここで、以下の説明の便宜上、当該3つの反応室を右側から反応室a、反応室b、反応室cとする。
【0020】
そして、各反応室には、夫々電極版a1、b1、c1及び原料ガス導入口a2、b2、c2が設置されている。各反応室(a,b,c)は、成層用ドラム9の外周に沿って設置されている。これは、積層構造が形成されるプラスティックフィルム基材6は、成層用ドラム9と同期しながら反応室内に挿入され、かつ成層用ドラム上において積層構造を形成するものであることから、このように配置することにより、連続して各層を積層することができるからである。上述したようなプラズマCVD装置によれば、各反応室へ導入する原料ガスを変化させることにより、夫々の反応室内で独立して層を形成することが可能である。
【0021】
例えば、図1に示す積層体を製造する場合においては、反応室a、bにはケイ素、炭素を含むガスを導入することにより、反応室cにチタン化合物、炭素を含むガスを導入し、プラスティックフィルム基材6が成層用ドラム9を経て、基材巻き取り部11へ巻き取られるまでに、当該プラスティックフィルム基材6上に炭素含有酸化珪素層と炭素含有酸化チタン層とが形成された積層フィルムを形成することが可能となる。さらに、上記の場合において反応室aと反応室bとに導入されたガスは、ケイ素等を含むガスであるが、各々の反応室内の条件、例えばガスの流量や圧力、放電条件等を変化させることにより、反応室aと反応室bとで形成されるシリカ層の特性を変化させることも可能である。
【0022】
さらに各反応室内でガス導入口位置を変更し、珪素、炭素を含むガスとその他反応ガス(酸素ガスやアルゴンガス)の比率を反応室内で分布を持たせることにより、同一反応でも作製される炭素含有酸化珪素層の組成を変化させることができる。上記方法を用いることにより、炭素含有酸化珪素層において、膜厚方向で連続的に炭素含有量を変化させることができる。請求項3に記載の「炭素含有酸化珪素から成る層の炭素含有割合が、基材側から連続的に減少する」場合には、基材上に最初に炭素含有酸化珪素を形成する反応室aの基材導入部近辺に、有機シリコンガスの導入口を設置し、逆に基材搬出部近辺に酸素ガスの導入口を設置することにより実現される。成膜初期には有機シリコンガスのガス分圧が高いため炭素含有量の多い膜が形成され、徐々に基材搬出部に進むに従い、酸素ガス分圧が増加し、炭素含有量の少ない膜が形成される。
【0023】
また別の成膜方法であるスパッタリング法の場合も上記と同様である。ウエッブ状のプラスティックフィルム基材は基材巻き出し部より巻きだされて、真空容器中の反応室に導入される。そして、当該反応室内の成層用ドラム上で所定の層が形成され、基材巻き取り部により巻き取られる。当該スパッタリング装置は、複数の反応室を有し、夫々の反応室(a、b、c)は隔離壁で隔離されることで形成されている。上述したようなスパッタリング装置によれば、各反応室に設置する原料ターゲット板および導入原料ガスを変化させることにより、夫々の反応室内で独立して層を形成することが可能である。
【0024】
例えば、図1に示す積層体を製造する場合においては、反応室a、bにはケイ素、炭素を含むターゲット板を設置し、反応室cにチタン、炭素を含むターゲット板を設置することにより、プラスティックフィルム基材が成層用ドラムを経て、基材巻き取り部へ巻き取られるまでに、プラスティックフィルム基材上に炭素含有酸化珪素層と炭素含有酸化チタン層とが形成された積層フィルムを形成することが可能となる。
【0025】
さらに、上記の場合において反応室aと反応室bとに設置したターゲットは、ケイ素、炭素を含むターゲットであるが、ターゲットの組成を変更することにより、反応室aと反応室bとで形成される酸化珪素層の特性を変化させることも可能である。さらに成膜ドラム側にRFバイアス等の負電位を印加することにより、基材エッチングと成膜が同時進行し、基材から酸化珪素層の膜厚方向にわたって、連続的に組成(炭素含有量)を変化させることが可能となる。
上記装置は、プラズマCVD法、スパッタリング法それぞれ1つの方法のみで作製する場合を示したが、1つの装置内でプラズマCVD法、スパッタリング法を同時に行う方法も可能である。その際には、上記同様の各反応室を隔離壁で隔離することが必要となる。
上記の実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的範囲と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
図2の装置を使用して、図1に示すような親水性を有する光触媒積層体を作製した。具体的には、プラスティックフィルム基材である厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にハードコート層をウェットコーティングにより形成し、その上に炭素含有酸化珪素層、及び炭素含有酸化チタン層を順次、図2に示すプラズマCVD装置により形成した。なお、この際反応室aで炭素含有酸化珪素層を、反応室cで炭素含有酸化チタン層を形成し、反応室bは使用しなかった。プラズマCVD装置の反応室aに導入した原料ガスは、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、酸素ガスとし、炭素含有酸化珪素層の厚さを約30nmとした。プラズマCVD装置の反応室cに導入した原料ガスは、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)ガス、アルゴンガス、酸素ガスとし、炭素含有酸化チタン層の厚さを約200nmとした。
【0027】
<特性評価方法>
上記に得られた光触媒積層体に対し、密着性、親水性の評価、さらに炭素含有酸化珪素層、炭素含有酸化チタン層の組成分析を行った。
密着性は、ラミネート強度により測定した。ラミネート強度はまず、各試験試料の最表面上に、2液硬化型ポリウレタン系樹脂の7%溶液からなる接着剤を約1μm塗布し、その上に25μmのPET製ラミネートフィルムの一部を貼り付けた後、その接着剤を硬化させた。その後各試料を100mm×15mmの大きさで切り取り、上記のラミネートフィルムが上になるようにして、切り取った各試験試料を水平な固定台上に強固に貼りつけた。次いで、ラミネートフィルムの貼り付けられていない側の端部を、垂直方向かつ試験試料の長手方向(100mm方法)に50mm/分の速度で引き剥がした。測定された強度を、引き裂かれた界面におけるラミネート強度として密着性を評価した。今回の試料は全て、酸化チタン層と酸化珪素層の界面で剥離したため、この界面におけるラミネート強度である。
【0028】
また当該積層体の親水性評価のため、UV光照射後(0.5mW、1hour)の水接触角測定を行った。水接触角測定は、FACE接触角計CA−D型(協和界面科学製)で測定した。また組成把握のため、ArエッチングおよびXPS測定を行った。XPS測定は、ESCALAB220i−Xl(VG Scientific製)を用いた。以下にその結果を示す。
Figure 2004188886
上記の数値より、親水性、密着性ともに良好であることが分かった。
【0029】
(実施例2)
図2の装置を使用して、実施例1と同様に積層体を作製した。変更点は、反応室a内のガスノズル位置を調整し、酸化珪素層の炭素含有量を基材側から連続的に減少させた点である。
<特性評価結果>
実施例1と同様に評価した。以下にその結果を示す。
Figure 2004188886
上記の数値より、親水性、密着性ともに、実施例1よりもさらに良好であることが分かった。
【0030】
(比較例1)
実施例1と同様の方法で積層体を作製した。変更点はSi等の原料ガス流量およびTi等の原料ガス流量を増加させて、膜中の炭素含有量を増加させるよう試みた。
<特性評価結果>
実施例1と同様に評価した。以下にその結果を示す。
Figure 2004188886
上記の数値より、密着性は良好であるものの、親水性が低下してしまうことが分かった。また目視で積層体の透過率が、著しく低下していることを確認した。
【0031】
(比較例2)
実施例1と同様の方法で積層体を作製した。変更点はSi等の原料ガス流量を減少させて、酸化珪素中の炭素含有量を減少させるよう試みた。
<特性評価結果>
実施例1と同様に評価した。以下にその結果を示す。
Figure 2004188886
上記の数値より、密着性が著しく低下しており、実用的ではないことが分かった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の光触媒積層体は、プラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層との間に、炭素を含有する酸化珪素層を挟み込んだ構造である。上記のプラスティックフィルム基材と炭素含有の酸化チタン層の間に、炭素を含有する酸化珪素層を形成することにより、その酸化珪素層が低硬度のプラスティックフィルム基材と高硬度の酸化チタン層の緩衝材の役割を果たし、かつ酸化チタン層の密着性を改善することができる。
また、上記の炭素含有酸化珪素がSiOxCyの組成において、xが1.0〜2.0であり、yが0.01〜1.5であり、かつ炭素含有酸化チタンがTiOxCyの組成において、xが1.0〜2.5であり、yが0.01〜0.5であることが好ましく、酸化チタン層の密着性がより向上し、また積層体の目視における透過性が向上する。
【0033】
さらに、炭素含有酸化珪素から成る層の炭素含有割合が、基材側から連続的に減少することが好ましく、その酸化珪素層の緩衝材の効果がより顕著に表れ、酸化チタン層の密着性が改善する。
本発明の光触媒積層体は、最表面において水接触角が、10°以下であることが好ましく、これにより高度に親水化された光触媒積層体は、防曇、降雨による浄化、水洗による浄化、乾燥促進等、多くの目的で種々の物品に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の反射防止フィルムを製造するためのプラズマCVD装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 光触媒積層体
2 プラスティックフィルム基材
3 炭素含有酸化珪素層
4 炭素含有酸化チタン層
5 プラズマCVD装置
6 プラスティックフィルム基材
7 基材巻き出し部
8 真空容器
9 成層用ドラム
10 隔離壁
11 基材巻き取り部

Claims (5)

  1. プラスティックフィルム基材上に、基材側から炭素含有酸化珪素から成る層、炭素含有酸化チタンから成る層を順次形成したことを特徴とする親水性を有する光触媒積層体。
  2. 前記の炭素含有酸化珪素がSiOxCyの組成において、xが1.0〜2.0であり、yが0.01〜1.5であり、かつ炭素含有酸化チタンがTiOxCyの組成において、xが1.0〜2.5であり、yが0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載する親水性を有する光触媒積層体。
  3. 前記の炭素含有酸化珪素から成る層の炭素含有割合が、基材側から連続的に減少することを特徴とする請求項1または2に記載する親水性を有する光触媒積層体。
  4. 前記の炭素含有酸化珪素から成る層及び炭素含有酸化チタンから成る層がプラズマCVD法、またはスパッタリング法により作製されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載する親水性を有する光触媒積層体。
  5. 前記の請求項1〜4のいずれか一つに記載する光触媒積層体の最表面の水接触角が、10°以下であることを特徴とする親水性を有する光触媒積層体
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