JP2004186279A - 電子部品の3次元実装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚さ50μm程度の極めて薄い電子部品であっても電子部品の損傷を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元実装することができる電子部品の3次元実装方法を提供する。
【解決手段】2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法であって、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの前記粘着剤層に接着された1の電子部品の前記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ね、前記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した後、前記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えて前記接着シートを前記1の電子部品から剥離する電子部品の3次元実装方法。
【選択図】 なし
【解決手段】2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法であって、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの前記粘着剤層に接着された1の電子部品の前記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ね、前記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した後、前記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えて前記接着シートを前記1の電子部品から剥離する電子部品の3次元実装方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて薄い電子部品であっても電子部品の破損等を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元的に実装することができる電子部品の3次元実装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、電子機器に用いられるICチップ等の電子部品の小型化、高密度化が要求されるようになってきており、電子部品を3次元実装する方法が提案されている。
【0003】
電子部品を3次元実装するには、通常、真空チャック装置等の吸引装置を用いて1の電子部品をピックアップして他の電子部品上に接着剤を介して積層接着する工程を繰り返し、電子部品間をワイヤボンディングして導電接続したり、吸引装置を用いてピックアップした1の電子部品と他の電子部品とをハンダやハンダボールを介して積層する工程を繰り返した後、ハンダ等をリフローして電子部品間を導電接続したりしている。
【0004】
また、電子部品をピックアップし、積層する方法としては、両面粘着テープを介して支持板に固定された一の電子部品を、他の電子部品上に積層し、接続した後、一の電子部品から両面粘着テープを剥離する工程を繰り返す方法も知られている。
このとき、両面粘着テープには、1の電子部品を他の電子部品上に積層、接続した後に、電子部品や電子部品同士の接続部を損傷することなく引き剥がすことができることが求められる。
【0005】
しかしながら、近年の携帯情報端末の発達やコンピュータを持ち運んで操作する所謂モバイルコンピューティングの普及によって、電子機器の一層の小型化、軽量化の要求が高まっており、電子部品も厚さが50μm程度と極めて薄いものが要求されるようになってきた。
【0006】
このように厚さが50μm程度と極めて薄い電子部品は、従来の厚さが100〜600μm程度の電子部品に比べて衝撃により割れやすく取扱性に劣るものであった。そのため、3次元実装を行う際の吸引装置によるピックアップの際や、両面粘着テープを剥離する際の衝撃により破損する危険性が高いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、厚さ50μm程度の極めて薄い電子部品であっても電子部品の損傷を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元実装することができる電子部品の3次元実装方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法であって、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの前記粘着剤層に接着された1の電子部品の前記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ね、前記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した後、前記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えて前記接着シートを前記1の電子部品から剥離する電子部品の3次元実装方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明は、2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法である。
上記電子部品としては特に限定されず、例えば、ビルドアップ配線基板、ICチップ、電子部品のモジュール、キャパシタ等が挙げられる。
【0010】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの上記粘着剤層に接着された1の電子部品の上記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ねる。
上記1の電子部品は、上記接着シートの粘着剤層に接着されて補強されているため、他の電子部品又は基板に重ねる際に破損等が生じる危険性は極めて低くなる。
また、上記刺激により気体を発生する気体発生剤を含有することにより、上記粘着剤層は、刺激を与えられると、気体発生剤から気体を発生し、上記1の電子部品との接着面の一部を剥がすので、接着力を低下して上記1の電子部品を容易に剥離することができる。
なお、本明細書において、「シート」とは、「テープ」と称される場合を包含し、上記接着シートは、接着テープと称され得るものであるとする
【0011】
上記気体発生剤から気体を発生させる刺激としては特に限定されず、例えば、光、熱、超音波、衝撃等が挙げられる。なかでも光又は熱による刺激が好ましい。上記光としては、例えば、紫外線、可視光線等が挙げられる。上記刺激として光による刺激を用いる場合には、粘着剤層は、光が透過又は通過できるものであることが好ましい。また、粘着剤層が熱可塑性樹脂からなる場合には、光を照射する際に、フィルタ等により熱線を除去した光を照射することが好ましい。熱線を除去した光であれば照射強度が高くとも、粘着剤層が加熱されて柔らかくなりすぎることがなく、気体発生剤から発生した気体は、粘着剤層を発泡させることなく、外へ放出される。
【0012】
上記刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0013】
なかでも、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)等の下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物が好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ低級アルキル基を表し、R3は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。なお、R1とR2は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0016】
上記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物は、熱分解温度が高いことから、後述する電子部品との接着の際に粘着剤層の流動化のために加熱が必要な場合にも気体が発生してしまうことがなく、また、粘着剤への溶解性にも優れている。これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0017】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、特定の波長の光、熱、超音波及び衝撃等による刺激を与えることにより分解して、窒素ガスを発生する。
【0018】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取り扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによって電子部品が損傷することがあるという問題もある。このような問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
【0019】
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しないことから取り扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため電子部品を損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた接着性の制御が可能であるという利点もある。従って、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0020】
上記気体発生剤は粘着剤層の全体に含有されていてもよいが、気体発生剤を粘着剤層の全体に含有させておくと、粘着剤層の全体が発泡体となるため柔らかくなりすぎ、上記接着シートを電子部品からうまく剥がせなかったり、糊残りしたりするおそれがある。従って、上記気体発生剤は、粘着剤層の表層部にのみ含有されていることが好ましい。表層部にのみ含有させておけば、粘着剤層の全体が発泡体とならずに、電子部品との接着面で気体発生剤から気体が発生することにより接着面積を減少させ、なおかつ発生した気体が電子部品と粘着剤層との接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
なお、上記表層部とは、粘着剤層の厚さにもよるが、表面から20μmまでの部分であることが好ましい。また、ここでいう表層部にのみ含有されるとは、例えば、粘着剤層の表面に付着した気体発生剤が粘着剤層と相溶して吸収された態様、粘着剤層の表面に気体発生剤が均一に付着している態様等が含まれる。
【0021】
上記粘着剤層の表層部にのみ気体発生剤を含有させる方法としては、例えば、粘着剤層の最外層に1〜20μm程度の厚さで気体発生剤を含有する樹脂を塗工する方法や、予め作製した粘着剤層の表面に、気体発生剤を含有する揮発性液体を塗布するかスプレー等によって吹き付けることにより、表面に気体発生剤を均一に付着させる方法等が挙げられる。
【0022】
上記気体発生剤は、粒子として存在しないことが好ましい。なお、本明細書において、気体発生剤が粒子として存在しないとは、電子顕微鏡により粘着剤層を観察したときに気体発生剤を確認することができないことを意味する。粘着剤層中に気体発生剤が粒子として存在すると、気体を発生させる刺激として光を照射したときに粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなってしまったり、粘着剤層の表面平滑性が悪くなったりすることがある。
【0023】
上記気体発生剤を粒子として存在しないようにするには、通常、粘着剤層中に溶解する気体発生剤を選択するが、粘着剤層中に溶解しない気体発生剤を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより粘着剤層中に気体発生剤を微分散させる。上記粘着剤層中にアゾ化合物を微分散させるためには、気体発生剤は、微小な粒子であることが好ましく、更に、必要に応じてこれらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いてより細かい微粒子とされることがより好ましい。すなわち、電子顕微鏡により粘着剤層を観察したときに気体発生剤を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
【0024】
上記気体発生剤から発生した気体は粘着剤層の外へ放出されることが好ましい。これにより、上記接着シートに刺激を与えると気体発生剤から発生した気体が電子部品から粘着剤層の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させるため、容易に電子部品を剥離することができる。この際、気体発生剤から発生した気体の大部分は粘着剤層の外へ放出されることが好ましい。上記気体発生剤から発生した気体の大部分が粘着剤層の外へ放出されないと、粘着剤層が気体発生剤から発生した気体により全体的に発泡してしまい、接着力を低下させる効果を充分に得ることができず、電子部品に糊残りを生じさせてしまうことがある。なお、電子部品に糊残りを生じさせない程度であれば、気体発生剤から発生した気体の一部が粘着剤層中に溶け込んでいたり、気泡として粘着剤層中に存在していたりしてもかまわない。
【0025】
上記粘着剤層の主成分となる接着樹脂としては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が好適である。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
上記硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、上記光硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、感光性オニウム塩等の光カチオン触媒を含有するエポキシ樹脂や感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記接着樹脂を架橋させる刺激としては特に限定されず、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、特定波長範囲の光による刺激により気体を発生する気体発生剤に対して、上記特定波長範囲以外の波長の光による刺激により架橋する接着樹脂が好適である。
なお、上記接着樹脂は、粘着剤層を形成するためにある程度の凝集力を要する場合には、必要とされる程度の架橋が施されていてもよい。
【0028】
上記接着樹脂のなかでも、刺激により架橋する未架橋の樹脂としては、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとの混合物を主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤や、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとの混合物を主成分とし、熱重合開始剤を含んでなる熱硬化型粘着剤等が挙げられる。
【0029】
上記光硬化型接着性樹脂又は熱硬化型接着性樹脂等の後硬化型接着性樹脂は、光の照射又は加熱により接着樹脂の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。また、硬い硬化物中で気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、電子部品から粘着剤層の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0030】
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)を予め合成し、分子内に上記官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
【0031】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0032】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0033】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0034】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合にはエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、上記官能基がヒドロキシル基の場合にはイソシアネート基含有モノマーが用いられ、上記官能基がエポキシ基の場合にはカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、上記官能基がアミノ基の場合にはエポキシ基含有モノマーが用いられる。
【0035】
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、重量平均分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは光照射による粘着剤層Aの三次元網状化が効率よくなされるように、重量平均分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、市販のオリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記光重合開始剤としては、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記熱重合開始剤としては、熱により分解して重合硬化を開始させる活性ラジカルを発生するものが挙げられ、具体的には例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。なかでも、熱分解温度が高いことから、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が好適である。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(以上、日本油脂社製)等が好適に用いられる。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記後硬化型粘着剤は、以上の成分のほか、本発明の目的を損なわない限りにおいて、必要に応じて粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等を含有していてもよい。
【0039】
上記粘着剤層は、上記気体発生剤としてアジド化合物又はアゾ化合物等の光による刺激により気体を発生する気体発生剤を用いる場合には、更に光増感剤を含有することが好ましい。上記光増感剤は、上記気体発生剤への光による刺激を増幅する効果を有することから、より少ない光の照射により気体を放出させることができる。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えば、チオキサントン増感剤等が好適である。なお、チオキサントン増感剤は、光重合開始剤としても用いることができる。
【0040】
上記粘着剤層は、単層からなるものであってもよいし、複数層からなるものであってもよい。上記粘着剤層が複数層からなる場合には、表層部以外の層は、気体発生剤を含有しないことが好ましい。なかでも、気体発生剤を含有する層と気体発生剤を含有しない層とが接する場合には、これらの層は異なる組成の樹脂成分からなることがより好ましく、異なる極性を有する樹脂成分からなることが特に好ましい。これにより、気体発生剤が層間で移行することを防止するか、移行しにくくすることができる。
【0041】
上記接着シートは、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有するものであれば特に限定されず、例えば、基材の片面に粘着剤層が形成された片面接着テープ、基材の両面に粘着剤層が形成された両面接着テープ、基材を有しないノンサポートテープ(自立テープ)等の接着テープ等が挙げられる。なかでも、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層が両面に形成されている両面粘着テープ又はノンサポートテープが好ましい。上記接着シートが両面粘着テープ又はノンサポートテープである場合、両面で被着体と強固に接着することができるため、例えば、上記接着シートの一方の面に電子部品を接着させ、他方の面に支持板を接着させることで、上記接着シートに接着された1の電子部品を他の電子部品又は基板に重ねる際、上記1の電子部品が薄く脆いものであっても破壊することなく扱うことができ、取扱性に優れたものとなる。
【0042】
上記基材としては特に限定されないが、粘着剤層中の気体発生剤から気体を発生させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。また、上記粘着剤層が加熱により流動性を示すものである場合には、高温に加熱されても軟化しないものであることが好ましく、例えば、芳香族ポリエステル、ポリエーテルニトリル等の耐熱性樹脂からなるシート、網状の金属シートを埋め込み補強したシート等が好適に用いられる。
【0043】
また、上記基材は板状体であってもよい。この場合、上記接着シートの剛性が高いものとなるため、上記粘着剤層に接着された1の電子部品と他の電子部品又は基板とを重ねる際、上記1の電子部品が薄く脆いものであっても破壊することなく扱うことができ、取扱性が優れたものとなる。
上記板状体としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激が光である場合には、透明であるものが好ましい。かかる板状体としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂や、石英ガラス等のガラス材料からなる板状体等が挙げられる。
【0044】
上記基材には、プライマー処理が施されていてもよい。プライマー処理が施されていることにより、粘着剤層との接着力を向上し、剥離の際の電子部品への糊残りをより効果的に防止することができる。
上記プライマー処理としては特に限定されず、例えば、基材の表面にプライマー樹脂を塗布する処理、基材の表面にコロナ処理を施す処理等が挙げられる。
【0045】
また、上記接着シートが両面接着テープである場合、少なくとも上記基材の上記1の電子部品が接着された側が上記粘着剤層であればよく、上記基材の他方には、上記粘着剤層と同一の組成の粘着剤層が形成されていてもよく、異なる組成の粘着剤層が形成されていてもよい。
【0046】
上記支持板としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激が光である場合には、透明であるものが好ましい。かかる支持板としては、例えば、上記透明の板状体と同様のものが挙げられる。
【0047】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、次に、上記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続する。
上記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続する方法としては特に限定されず、例えば、接着剤で接続する方法や、ハンダ又はハンダボールを介して重ねた後リフローすることにより接続する方法等任意の方法が挙げられる。
【0048】
上記接着剤としては特に限定されないが、絶縁性を示すものが好ましく、例えば、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
なお、上記ハンダやハンダボールで1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した場合、各電子部品間は電気的導通が図られた導電接続となるが、上記接着剤で1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した場合、各電子部品間の電気的導通を図るには、例えば、電子部品の3次元実装が終了した後に各電子部品間のワイヤボンディング等を行えばよい。
【0049】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、次いで、気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えることにより、上記接着シートを1の電子部品から剥離する。
上記接着シートと1の電子部品との間の粘着力は低下しているので、上記接着シートから1の電子部品を容易に剥離することができる。
【0050】
なお、3個以上の電子部品の3次元実装を行う場合、上述した本発明の電子部品の3次元実装方法を繰り返し行えばよい。
本発明の電子部品の3次元実装方法によれば、厚さ50μm程度と極めて薄い電子部品であっても、複数個の電子部品を破損させることなく3次元実装することができる。
また、ガラス板等の上に上記接着シートを配し、その上で電子部品の3次元実装を行えば、実装終了後、上記接着シートの粘着剤層に気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えることにより、一括して3次元実装した電子部品の転写を行うこともできる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
<接着性物質の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0053】
得られた粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)30重量部、及び、2,4−ジエチルチオキサントン3.6重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤組成物(2)の酢酸エチル溶液を調製した
【0054】
<両面接着テープの作製>
粘着剤組成物(2)の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理を施した面上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し、溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(2)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0055】
粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施された厚さ38μmPETフィルムに、バーコーターを用いての乾燥後の厚さが5μmとなるように塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は、乾燥状態で粘着性を示した。
次いで、粘着剤(2)層を設けたPETフィルムの粘着剤(2)層のない側の面と、粘着剤(1)層を設けたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。その後40℃、3日間静置養生を行った。
【0056】
<両面接着テープを介してICチップと支持板との貼付>
両面接着テープの粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、厚さ50μmのICチップ(1)を粘着剤(2)層に貼り付けた後、両面粘着テープの粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、石英ガラス板を粘着剤(1)層に貼り付けた。
【0057】
<ICチップの積層>
厚さ50μmのICチップ(2)上にハンダボールを配し、両面接着テープに貼り付けたICチップ(1)を位置合わせしながら積層した後、アンダーフィルを充填した。
【0058】
<UV照射工程>
支持板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線を支持板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して2分間照射した。
【0059】
<両面接着テープの剥離工程>
ICチップ(2)を固定し、支持板を真上に引っ張って両面接着テープとともにICチップ(1)から剥がした。なお、両面接着テープは、発生した気体により粘着力の低下は著しく、簡単にICチップ(1)から剥離することができた。
【0060】
<リフロー工程>
上記ハンダボールをリフローさせてICチップ(1)とICチップ(2)とを導電接続させた。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さ50μm程度の極めて薄い電子部品であっても電子部品の損傷を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元実装することができる電子部品の3次元実装方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、極めて薄い電子部品であっても電子部品の破損等を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元的に実装することができる電子部品の3次元実装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、軽量化に伴い、電子機器に用いられるICチップ等の電子部品の小型化、高密度化が要求されるようになってきており、電子部品を3次元実装する方法が提案されている。
【0003】
電子部品を3次元実装するには、通常、真空チャック装置等の吸引装置を用いて1の電子部品をピックアップして他の電子部品上に接着剤を介して積層接着する工程を繰り返し、電子部品間をワイヤボンディングして導電接続したり、吸引装置を用いてピックアップした1の電子部品と他の電子部品とをハンダやハンダボールを介して積層する工程を繰り返した後、ハンダ等をリフローして電子部品間を導電接続したりしている。
【0004】
また、電子部品をピックアップし、積層する方法としては、両面粘着テープを介して支持板に固定された一の電子部品を、他の電子部品上に積層し、接続した後、一の電子部品から両面粘着テープを剥離する工程を繰り返す方法も知られている。
このとき、両面粘着テープには、1の電子部品を他の電子部品上に積層、接続した後に、電子部品や電子部品同士の接続部を損傷することなく引き剥がすことができることが求められる。
【0005】
しかしながら、近年の携帯情報端末の発達やコンピュータを持ち運んで操作する所謂モバイルコンピューティングの普及によって、電子機器の一層の小型化、軽量化の要求が高まっており、電子部品も厚さが50μm程度と極めて薄いものが要求されるようになってきた。
【0006】
このように厚さが50μm程度と極めて薄い電子部品は、従来の厚さが100〜600μm程度の電子部品に比べて衝撃により割れやすく取扱性に劣るものであった。そのため、3次元実装を行う際の吸引装置によるピックアップの際や、両面粘着テープを剥離する際の衝撃により破損する危険性が高いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、厚さ50μm程度の極めて薄い電子部品であっても電子部品の損傷を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元実装することができる電子部品の3次元実装方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法であって、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの前記粘着剤層に接着された1の電子部品の前記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ね、前記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した後、前記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えて前記接着シートを前記1の電子部品から剥離する電子部品の3次元実装方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明は、2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法である。
上記電子部品としては特に限定されず、例えば、ビルドアップ配線基板、ICチップ、電子部品のモジュール、キャパシタ等が挙げられる。
【0010】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの上記粘着剤層に接着された1の電子部品の上記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ねる。
上記1の電子部品は、上記接着シートの粘着剤層に接着されて補強されているため、他の電子部品又は基板に重ねる際に破損等が生じる危険性は極めて低くなる。
また、上記刺激により気体を発生する気体発生剤を含有することにより、上記粘着剤層は、刺激を与えられると、気体発生剤から気体を発生し、上記1の電子部品との接着面の一部を剥がすので、接着力を低下して上記1の電子部品を容易に剥離することができる。
なお、本明細書において、「シート」とは、「テープ」と称される場合を包含し、上記接着シートは、接着テープと称され得るものであるとする
【0011】
上記気体発生剤から気体を発生させる刺激としては特に限定されず、例えば、光、熱、超音波、衝撃等が挙げられる。なかでも光又は熱による刺激が好ましい。上記光としては、例えば、紫外線、可視光線等が挙げられる。上記刺激として光による刺激を用いる場合には、粘着剤層は、光が透過又は通過できるものであることが好ましい。また、粘着剤層が熱可塑性樹脂からなる場合には、光を照射する際に、フィルタ等により熱線を除去した光を照射することが好ましい。熱線を除去した光であれば照射強度が高くとも、粘着剤層が加熱されて柔らかくなりすぎることがなく、気体発生剤から発生した気体は、粘着剤層を発泡させることなく、外へ放出される。
【0012】
上記刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0013】
なかでも、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)等の下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物が好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ低級アルキル基を表し、R3は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。なお、R1とR2は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0016】
上記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物は、熱分解温度が高いことから、後述する電子部品との接着の際に粘着剤層の流動化のために加熱が必要な場合にも気体が発生してしまうことがなく、また、粘着剤への溶解性にも優れている。これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0017】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、特定の波長の光、熱、超音波及び衝撃等による刺激を与えることにより分解して、窒素ガスを発生する。
【0018】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取り扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによって電子部品が損傷することがあるという問題もある。このような問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
【0019】
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しないことから取り扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため電子部品を損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた接着性の制御が可能であるという利点もある。従って、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0020】
上記気体発生剤は粘着剤層の全体に含有されていてもよいが、気体発生剤を粘着剤層の全体に含有させておくと、粘着剤層の全体が発泡体となるため柔らかくなりすぎ、上記接着シートを電子部品からうまく剥がせなかったり、糊残りしたりするおそれがある。従って、上記気体発生剤は、粘着剤層の表層部にのみ含有されていることが好ましい。表層部にのみ含有させておけば、粘着剤層の全体が発泡体とならずに、電子部品との接着面で気体発生剤から気体が発生することにより接着面積を減少させ、なおかつ発生した気体が電子部品と粘着剤層との接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
なお、上記表層部とは、粘着剤層の厚さにもよるが、表面から20μmまでの部分であることが好ましい。また、ここでいう表層部にのみ含有されるとは、例えば、粘着剤層の表面に付着した気体発生剤が粘着剤層と相溶して吸収された態様、粘着剤層の表面に気体発生剤が均一に付着している態様等が含まれる。
【0021】
上記粘着剤層の表層部にのみ気体発生剤を含有させる方法としては、例えば、粘着剤層の最外層に1〜20μm程度の厚さで気体発生剤を含有する樹脂を塗工する方法や、予め作製した粘着剤層の表面に、気体発生剤を含有する揮発性液体を塗布するかスプレー等によって吹き付けることにより、表面に気体発生剤を均一に付着させる方法等が挙げられる。
【0022】
上記気体発生剤は、粒子として存在しないことが好ましい。なお、本明細書において、気体発生剤が粒子として存在しないとは、電子顕微鏡により粘着剤層を観察したときに気体発生剤を確認することができないことを意味する。粘着剤層中に気体発生剤が粒子として存在すると、気体を発生させる刺激として光を照射したときに粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなってしまったり、粘着剤層の表面平滑性が悪くなったりすることがある。
【0023】
上記気体発生剤を粒子として存在しないようにするには、通常、粘着剤層中に溶解する気体発生剤を選択するが、粘着剤層中に溶解しない気体発生剤を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより粘着剤層中に気体発生剤を微分散させる。上記粘着剤層中にアゾ化合物を微分散させるためには、気体発生剤は、微小な粒子であることが好ましく、更に、必要に応じてこれらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いてより細かい微粒子とされることがより好ましい。すなわち、電子顕微鏡により粘着剤層を観察したときに気体発生剤を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
【0024】
上記気体発生剤から発生した気体は粘着剤層の外へ放出されることが好ましい。これにより、上記接着シートに刺激を与えると気体発生剤から発生した気体が電子部品から粘着剤層の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させるため、容易に電子部品を剥離することができる。この際、気体発生剤から発生した気体の大部分は粘着剤層の外へ放出されることが好ましい。上記気体発生剤から発生した気体の大部分が粘着剤層の外へ放出されないと、粘着剤層が気体発生剤から発生した気体により全体的に発泡してしまい、接着力を低下させる効果を充分に得ることができず、電子部品に糊残りを生じさせてしまうことがある。なお、電子部品に糊残りを生じさせない程度であれば、気体発生剤から発生した気体の一部が粘着剤層中に溶け込んでいたり、気泡として粘着剤層中に存在していたりしてもかまわない。
【0025】
上記粘着剤層の主成分となる接着樹脂としては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が好適である。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
上記硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、上記光硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、感光性オニウム塩等の光カチオン触媒を含有するエポキシ樹脂や感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記接着樹脂を架橋させる刺激としては特に限定されず、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激と同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、特定波長範囲の光による刺激により気体を発生する気体発生剤に対して、上記特定波長範囲以外の波長の光による刺激により架橋する接着樹脂が好適である。
なお、上記接着樹脂は、粘着剤層を形成するためにある程度の凝集力を要する場合には、必要とされる程度の架橋が施されていてもよい。
【0028】
上記接着樹脂のなかでも、刺激により架橋する未架橋の樹脂としては、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとの混合物を主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤や、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとの混合物を主成分とし、熱重合開始剤を含んでなる熱硬化型粘着剤等が挙げられる。
【0029】
上記光硬化型接着性樹脂又は熱硬化型接着性樹脂等の後硬化型接着性樹脂は、光の照射又は加熱により接着樹脂の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。また、硬い硬化物中で気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、電子部品から粘着剤層の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0030】
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)を予め合成し、分子内に上記官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
【0031】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0032】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0033】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0034】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合にはエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、上記官能基がヒドロキシル基の場合にはイソシアネート基含有モノマーが用いられ、上記官能基がエポキシ基の場合にはカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、上記官能基がアミノ基の場合にはエポキシ基含有モノマーが用いられる。
【0035】
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、重量平均分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは光照射による粘着剤層Aの三次元網状化が効率よくなされるように、重量平均分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、市販のオリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記光重合開始剤としては、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記熱重合開始剤としては、熱により分解して重合硬化を開始させる活性ラジカルを発生するものが挙げられ、具体的には例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。なかでも、熱分解温度が高いことから、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が好適である。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(以上、日本油脂社製)等が好適に用いられる。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記後硬化型粘着剤は、以上の成分のほか、本発明の目的を損なわない限りにおいて、必要に応じて粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等を含有していてもよい。
【0039】
上記粘着剤層は、上記気体発生剤としてアジド化合物又はアゾ化合物等の光による刺激により気体を発生する気体発生剤を用いる場合には、更に光増感剤を含有することが好ましい。上記光増感剤は、上記気体発生剤への光による刺激を増幅する効果を有することから、より少ない光の照射により気体を放出させることができる。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えば、チオキサントン増感剤等が好適である。なお、チオキサントン増感剤は、光重合開始剤としても用いることができる。
【0040】
上記粘着剤層は、単層からなるものであってもよいし、複数層からなるものであってもよい。上記粘着剤層が複数層からなる場合には、表層部以外の層は、気体発生剤を含有しないことが好ましい。なかでも、気体発生剤を含有する層と気体発生剤を含有しない層とが接する場合には、これらの層は異なる組成の樹脂成分からなることがより好ましく、異なる極性を有する樹脂成分からなることが特に好ましい。これにより、気体発生剤が層間で移行することを防止するか、移行しにくくすることができる。
【0041】
上記接着シートは、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有するものであれば特に限定されず、例えば、基材の片面に粘着剤層が形成された片面接着テープ、基材の両面に粘着剤層が形成された両面接着テープ、基材を有しないノンサポートテープ(自立テープ)等の接着テープ等が挙げられる。なかでも、少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層が両面に形成されている両面粘着テープ又はノンサポートテープが好ましい。上記接着シートが両面粘着テープ又はノンサポートテープである場合、両面で被着体と強固に接着することができるため、例えば、上記接着シートの一方の面に電子部品を接着させ、他方の面に支持板を接着させることで、上記接着シートに接着された1の電子部品を他の電子部品又は基板に重ねる際、上記1の電子部品が薄く脆いものであっても破壊することなく扱うことができ、取扱性に優れたものとなる。
【0042】
上記基材としては特に限定されないが、粘着剤層中の気体発生剤から気体を発生させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。また、上記粘着剤層が加熱により流動性を示すものである場合には、高温に加熱されても軟化しないものであることが好ましく、例えば、芳香族ポリエステル、ポリエーテルニトリル等の耐熱性樹脂からなるシート、網状の金属シートを埋め込み補強したシート等が好適に用いられる。
【0043】
また、上記基材は板状体であってもよい。この場合、上記接着シートの剛性が高いものとなるため、上記粘着剤層に接着された1の電子部品と他の電子部品又は基板とを重ねる際、上記1の電子部品が薄く脆いものであっても破壊することなく扱うことができ、取扱性が優れたものとなる。
上記板状体としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激が光である場合には、透明であるものが好ましい。かかる板状体としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂や、石英ガラス等のガラス材料からなる板状体等が挙げられる。
【0044】
上記基材には、プライマー処理が施されていてもよい。プライマー処理が施されていることにより、粘着剤層との接着力を向上し、剥離の際の電子部品への糊残りをより効果的に防止することができる。
上記プライマー処理としては特に限定されず、例えば、基材の表面にプライマー樹脂を塗布する処理、基材の表面にコロナ処理を施す処理等が挙げられる。
【0045】
また、上記接着シートが両面接着テープである場合、少なくとも上記基材の上記1の電子部品が接着された側が上記粘着剤層であればよく、上記基材の他方には、上記粘着剤層と同一の組成の粘着剤層が形成されていてもよく、異なる組成の粘着剤層が形成されていてもよい。
【0046】
上記支持板としては特に限定されないが、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激が光である場合には、透明であるものが好ましい。かかる支持板としては、例えば、上記透明の板状体と同様のものが挙げられる。
【0047】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、次に、上記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続する。
上記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続する方法としては特に限定されず、例えば、接着剤で接続する方法や、ハンダ又はハンダボールを介して重ねた後リフローすることにより接続する方法等任意の方法が挙げられる。
【0048】
上記接着剤としては特に限定されないが、絶縁性を示すものが好ましく、例えば、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
なお、上記ハンダやハンダボールで1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した場合、各電子部品間は電気的導通が図られた導電接続となるが、上記接着剤で1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した場合、各電子部品間の電気的導通を図るには、例えば、電子部品の3次元実装が終了した後に各電子部品間のワイヤボンディング等を行えばよい。
【0049】
本発明の電子部品の3次元実装方法では、次いで、気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えることにより、上記接着シートを1の電子部品から剥離する。
上記接着シートと1の電子部品との間の粘着力は低下しているので、上記接着シートから1の電子部品を容易に剥離することができる。
【0050】
なお、3個以上の電子部品の3次元実装を行う場合、上述した本発明の電子部品の3次元実装方法を繰り返し行えばよい。
本発明の電子部品の3次元実装方法によれば、厚さ50μm程度と極めて薄い電子部品であっても、複数個の電子部品を破損させることなく3次元実装することができる。
また、ガラス板等の上に上記接着シートを配し、その上で電子部品の3次元実装を行えば、実装終了後、上記接着シートの粘着剤層に気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えることにより、一括して3次元実装した電子部品の転写を行うこともできる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
<接着性物質の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0053】
得られた粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)30重量部、及び、2,4−ジエチルチオキサントン3.6重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤組成物(2)の酢酸エチル溶液を調製した
【0054】
<両面接着テープの作製>
粘着剤組成物(2)の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理を施した面上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し、溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(2)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0055】
粘着剤組成物(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施された厚さ38μmPETフィルムに、バーコーターを用いての乾燥後の厚さが5μmとなるように塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は、乾燥状態で粘着性を示した。
次いで、粘着剤(2)層を設けたPETフィルムの粘着剤(2)層のない側の面と、粘着剤(1)層を設けたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。その後40℃、3日間静置養生を行った。
【0056】
<両面接着テープを介してICチップと支持板との貼付>
両面接着テープの粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、厚さ50μmのICチップ(1)を粘着剤(2)層に貼り付けた後、両面粘着テープの粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、石英ガラス板を粘着剤(1)層に貼り付けた。
【0057】
<ICチップの積層>
厚さ50μmのICチップ(2)上にハンダボールを配し、両面接着テープに貼り付けたICチップ(1)を位置合わせしながら積層した後、アンダーフィルを充填した。
【0058】
<UV照射工程>
支持板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線を支持板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して2分間照射した。
【0059】
<両面接着テープの剥離工程>
ICチップ(2)を固定し、支持板を真上に引っ張って両面接着テープとともにICチップ(1)から剥がした。なお、両面接着テープは、発生した気体により粘着力の低下は著しく、簡単にICチップ(1)から剥離することができた。
【0060】
<リフロー工程>
上記ハンダボールをリフローさせてICチップ(1)とICチップ(2)とを導電接続させた。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さ50μm程度の極めて薄い電子部品であっても電子部品の損傷を防止し、取扱性を改善し、良好に3次元実装することができる電子部品の3次元実装方法を提供できる。
Claims (3)
- 2以上の電子部品を積層して接続する電子部品の3次元実装方法であって、
少なくとも片面に刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤層を有する接着シートの前記粘着剤層に接着された1の電子部品の前記接着シートに接着されていない側の面を他の電子部品又は基板に重ね、前記1の電子部品と他の電子部品又は基板とを接続した後、前記気体発生剤から気体を発生させる刺激を与えて前記接着シートを前記1の電子部品から剥離する
ことを特徴とする電子部品の3次元実装方法。 - 気体発生剤は、アゾ化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子部品の3次元実装方法。
- 気体発生剤を含有する粘着剤層は、刺激により架橋する架橋性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の3次元実装方法。
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- 2002-11-29 JP JP2002349290A patent/JP2004186279A/ja not_active Withdrawn
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