JP2004183851A - サイレントチェーン - Google Patents
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Abstract
【課題】チェーンの弦上下動を確実に抑制して、音振性能を向上させる。
【解決手段】各々内側フランク面22aおよび外側フランク面22bからなる一対の歯部22とピン穴21とを有する多数のリンクプレート2を積層しかつピン穴21内に挿入した連結ピン3で連結することにより、サイレントチェーン1を構成する。この場合において、サイレントチェーン1を直線状に伸ばした状態で、或るリンクプレート2Aの内側フランク面22aを当該リンクプレート2Aの歯部22と重なり合う他のリンクプレート2Bの外側フランク面22bから突出させるとともに、チェーンピッチをPとするとき、当該リンクプレート2Aの内側フランク面22aの最大突出量δmax について、0.021×P≦δmax ≦0.063×Pの関係が成立するように、各リンクプレート2の内側フランク面22aおよび外側フランク面22bを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】各々内側フランク面22aおよび外側フランク面22bからなる一対の歯部22とピン穴21とを有する多数のリンクプレート2を積層しかつピン穴21内に挿入した連結ピン3で連結することにより、サイレントチェーン1を構成する。この場合において、サイレントチェーン1を直線状に伸ばした状態で、或るリンクプレート2Aの内側フランク面22aを当該リンクプレート2Aの歯部22と重なり合う他のリンクプレート2Bの外側フランク面22bから突出させるとともに、チェーンピッチをPとするとき、当該リンクプレート2Aの内側フランク面22aの最大突出量δmax について、0.021×P≦δmax ≦0.063×Pの関係が成立するように、各リンクプレート2の内側フランク面22aおよび外側フランク面22bを形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイレントチェーンに関し、詳細には、弦上下動を抑制して音振性能を向上させるための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
自動車や自動二輪車等の動力伝達用チェーンとして用いられるサイレントチェーンは、各々一対の歯部およびピン孔を有する多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層するとともに、各ピン孔内に挿入した連結ピンにより連結した構造を有しており、各歯部はそれぞれ内側フランク面および外側フランク面から構成されている。
【0003】
サイレントチェーンの運転時には、リンクプレートの各歯部のフランク面がプロケット歯と噛み合うことにより、駆動側スプロケットから従動側スプロケットに動力が伝達されるようになっている。
【0004】
また、サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、サイレントチェーンがスプロケットの回りを多角形状の巻き付き運動をし、その結果、チェーンスパンが弦上下動(コーダルアクション)を起こすことが知られている。そして、このチェーンスパンの弦上下動により、ノイズが誘発されてチェーンの音振性能が低下することが分かっている。
【0005】
そこで、このような弦上下動を低減させるべく、特開平8−74940号公報に記載のものでは、リンクプレートの内股の曲率半径Rをチェーンピッチの2倍以上にすることによって、スプロケット歯との噛合開始時に内股を介してリンクプレートを持ち上げるようにしたサイレントチェーンが本件出願人により提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−74940号公報(段落番号[0024]参照)
【0007】
この場合には、チェーンの多角形運動の頂点近くにチェーンを持ち上げることを意図しているが、実際の製品においては、製造上および組立上の誤差などにより、チェーンの持ち上げ量が不足する場合があり、その結果、チェーンの弦振動を完全に排除することができない場合が生じ得ることが明らかになってきた。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、弦上下動を確実に抑制して音振性能を向上できるサイレントチェーンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るサイレントチェーンは、各々内側フランク面および外側フランク面から構成される一対の歯部と一対のピン孔とを有する多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層するとともにピン孔内に挿入した連結ピンで連結してなるサイレントチェーンである。そして、サイレントチェーンを直線状に伸ばした状態で、あるリンクプレートの内側フランク面を当該リンクプレートの歯部と重なり合う他のリンクプレートの外側フランク面から張り出させるとともに、チェーンピッチをPとするとき、当該リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax について、0.021×P≦δmax ≦0.063×Pの関係が成立するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面を形成している。
【0010】
請求項1の発明によれば、サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、リンクプレートの内側フランク面がスプロケット歯と干渉することによりチェーンの弦が上方に持ち上げられるが、このとき、内側フランク面の最大張出量が上記関係式を満足しており、チェーンに対する内側フランク面の干渉量が適正な量に設定されている。
【0011】
このため、当該サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、リンクプレートの外側フランク面のみでスプロケット歯と噛み合うサイレントチェーンが該スプロケットから受ける弦上下動の範囲よりも上方の位置に、つまりチェーンの多角形運動の頂点の位置またはこれより高い位置にチェーンが持ち上げられることなる。
【0012】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい位置までチェーンの弦を持ち上げることが可能になり、その結果、弦上下動を確実に抑制でき、音振性能を向上できるようになる。
【0013】
請求項2の発明に記載されているように、リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax は、0.035×P≦δmax ≦0.063×Pの関係式を満足しているのがより好ましい。
【0014】
この場合には、スプロケットとの噛合時に、チェーンの弦上下動の影響をより受けにくい位置までチェーンの弦をより高く持ち上げることが可能になり、これにより、弦上下動を一層確実に抑制でき、音振性能をさらに向上できるようになる。
【0015】
請求項3の発明に記載されているように、リンクプレートの外側フランク面は略直線状の平坦面を有し、内側フランク面は略円弧状の湾曲面を有しているのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明に記載されているように、リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax については、第1の最大張出量δ1maxを有する第1のリンクプレートと、第1の最大張出量δ1maxと異なる第2の最大張出量δ2maxを有する第2のリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置して、張出量ランダムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。
【0017】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる第1のチェーン持ち上げ量と、第2のリンクプレートによる第2のチェーン持ち上げ量とが異なっており、第1および第2のチェーン持ち上げ量が非周期的に繰り返される。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、常時一定のチェーン持ち上げ量が周期的に繰り返される噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0018】
請求項5の発明においては、第1のチェーンピッチP1 を有する第1のリンクプレートと、第1のチェーンピッチP1 と異なる第2のチェーンピッチP2 を有する第2のリンクプレートリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、ピッチダンラムのサイレントチェーンが構成されている。
【0019】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる噛合いと、これとは噛合位置が異なる第2のリンクプレートによる噛合いとが非周期的に繰り返されることになる。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、すべてのチェーンピッチが一定であるリンクプレートによる周期的な噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施態様によるサイレントチェーンを構成する隣り合う2枚のリンクプレートの正面部分図、図2はサイレントチェーンとスプロケットとの噛合状態を説明するための図、図3はスプロケットの一歯回転周期Tとチェーンの持ち上げ量Δとの関係を示す図、図4はサイレントチェーンの騒音測定結果を示すグラフである。
【0021】
図1に示すように、サイレントチェーン1を構成する各リンクプレート2は、左右一対のピン穴21および歯部22をそれぞれ有しており、隣り合う各リンクプレート2A,2Bは、各ピン穴21内に挿入された一対の連結ピン3により各々枢支可能に連結されている。リンクプレート2の各歯部22は、内側フランク面22aおよび外側フランク面22bからそれぞれ構成されている。内側フランク面22aは略円弧状の湾曲面から形成されており、外側フランク面22bは略直線状の平坦面から形成されている。
【0022】
図1に示すように、サイレントチェーン1を直線状に伸ばした状態で、各リンクプレート2(2A)の内側フランク面22aは、当該リンクプレート2(2A)の歯部22と重なり合う他のリンクプレート2(2B)の外側フランク面22bから張り出している。このとき、隣り合う各リンクプレート2A,2Bにおいて各連結ピン3の接触点間の距離で定義されるチェーンピッチをPとするとき、各リンクプレート2の内側フランク面22aの最大張出量δmax について
0.021×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立している。
【0023】
ここで、リンクプレート2Aの内側フランク面22aの最大張出量δmax とは、サイレントチェーン1を直線状に伸ばしたときに、隣のリンクプレート2Bの外側フランク面22bからのリンクプレート2Aの内側フランク面22aの張出部分(図1斜線部分)のうち、外側フランク面22bからの張出長さが最大のものを指している。
【0024】
また、より好ましくは、
0.035×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立している。
【0025】
次に、上述のように構成されるサイレントチェーンのスプロケットとの噛合いについて、図2を用いて説明する。
同図において、矢印aはスプロケットSの回転方向を、矢印bはサイレントチェーン1の走行方向をそれぞれ示している。また、図中、参照符号2A,2B,2C,2Dは、噛合遅れ側から噛合進行側にかけて順に配置されたリンク列のリンクプレートをそれぞれ示している。
【0026】
スプロケットSとの噛合開始時には、リンクプレート2Aの内側フランク面22a上において歯先側の点E1 がスプロケット歯tと接触することにより、リンクプレート2Aが上方に持ち上げられる。これにより、リンクプレート2Aよりも噛合遅れ側(図2左側)に配設された図示しないチェーンスパンつまりチェーンの弦が上方に持ち上げられる。このときのリンクプレート2Aの持ち上げ量Δは、いわゆる外股噛合・外股着座のリンクプレート、つまり噛合開始時から噛合終了時(着座時)にかけてリンクプレートの外側フランク面(外股)のみで噛み合う形式のリンクプレート2A′の噛合開始時の位置からの距離で示されている。
【0027】
この状態から噛合いが進行して、リンクプレート2Aがリンクプレート2Bの位置まで移動すると、スプロケット歯tとの噛合点は、内側フランク面22a上において歯元側の点E2 まで移動する。リンクプレート2Aは、スプロケット歯tと点E2 での噛合状態を維持したまま、リンクプレート2Cおよび2Dの位置まで移動する。図2中、各噛合点E2 を結んでできる円弧により噛合ピッチラインnが形成されている。
【0028】
次に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーンの持ち上げ量に関して、図3を用いて説明する。
図3において、一点鎖線は、リンクプレートの外側フランク面(外股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーンについて、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。また点線は、リンクプレートの内側フランク面(内股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーン(ただしδmax =0.021×P)について、同様に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。さらに、実線は、リンクプレートの内側フランク面(内股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーン(ただしδmax =0.035×P)について、同様に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。
【0029】
図3中の一点鎖線に示すように、リンクプレートの外股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットがその一歯分回転する、つまり360°/z(z:スプロケット歯数)だけ回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時の0の状態からスプロケットの回転とともに徐々に大きくなって、時間T/2(T:回転周期)で最大となり、その後、スプロケットの回転とともに徐々に小さくなって、時間Tで0となる。
【0030】
これに対して、同図中の点線に示すように、最大張出量δmax =0.021×Pを有するリンクプレートの内股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットが一歯分回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時から時間Tの間でほとんど変化しておらず、約0.25の値を保持している。そして、時間T/2において、一点鎖線の頂点にほぼ接した状態になっている。
【0031】
図3から分かるように、一点鎖線で示すようなチェーン持ち上げ量を有するサイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、点線で示すような弦持ち上げ量を有するサイレントチェーンがスプロケットとの噛合いの際にスプロケットから受ける弦上下動の範囲よりも上方の位置に、つまりチェーンの多角形運動の頂点の位置またはこれより高い位置にチェーンが持ち上げられることなる。
【0032】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい位置までチェーンの弦を持ち上げることが可能になり、その結果、弦上下動を確実に抑制でき、音振性能を向上できるようになる。
【0033】
また、図3中の実線に示すように、最大張出量δmax =0.035×Pを有するリンクプレートの内股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットが一歯分回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時から時間Tの間において、一点鎖線や点線のグラフよりもかなり高い位置で保持されている。
【0034】
したがって、この場合には、スプロケットとの噛合時に、チェーンの弦上下動の影響をより受けにくい位置までチェーンの弦をより高く持ち上げることが可能になり、これにより、弦上下動を一層確実に抑制でき、音振性能をさらに向上できるようになる。
【0035】
次に、各種チェーンについて、実際に騒音測定試験を行った結果を図4に示す。
同図中、破線は、内股の最大張出量がδmax <0.021×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果を、一点鎖線は、δmax =0.035×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果を、実線は、δmax =0.063×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果をそれぞれ示している。
【0036】
図4の各グラフを比較して分かるように、δmax =0.035×Pおよびδmax =0.063×Pの場合には、δmax <0.021×Pの場合に比べて、スプロケット回転領域のほぼ全域において、振動レベルが低減している。とくに、ピーク音で比較すると、δmax =0.035×Pおよびδmax =0.063×Pのいずれの場合においても、δmax <0.021×Pの場合に比べて、ピーク音が確実に低減している。
【0037】
なお、図4には、δmax =0.021×Pの場合が図示されていないが、点線のグラフがδmax =0.021×Pよりも若干小さなδmax についての振動レベルを示しているため、δmax =0.021×Pの場合のピーク音は、点線のグラフのピーク音よりも若干下方の位置に配置されるものと推測される。
【0038】
したがって、リンクプレートの内股の最大張出量δmax が、0.021×P≦δmax ≦0.063×P、好ましくは、0.035×P≦δmax ≦0.063×Pの関係式を満足するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面が形成されていれば、振動レベルのピーク音を確実に低減させることができるようになる。
【0039】
なお、前記実施態様では、サイレントチェーンを構成するすべてのリンクプレートについて、内股の最大張出量δmax が上記いずれかの関係式を満足する或る一定値に設定された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0040】
〔変形例1〕
第1の最大張出量δ1max(例えばδ1max=0.035)を有する第1のリンクプレートからなる第1のリンク列と、δ1maxと異なる第2の最大張出量δ2max(例えばδ2max=0.063)を有する第2のリンクプレートからな第2のリンク列とをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、張出量ランダムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。
【0041】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる第1のチェーン持ち上げ量と、第2のリンクプレートによる第2のチェーン持ち上げ量とが異なっており、第1および第2のチェーン持ち上げ量が非周期的に繰り返される。
【0042】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、常時一定のチェーン持ち上げ量が周期的に繰り返される噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0043】
〔変形例2〕
第1のチェーンピッチP1 を有する第1のリンクプレートからなるリンク列と、第2のチェーンピッチP2 (≠P1 )を有する第2のリンクプレートリンクプレートからなるリンク列とをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、ピッチダンラムのサイレントチェーンが構成するようにしてもよい。
【0044】
この場合には、変形例1の場合と同様に、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる噛合いと第2のリンクプレートによる噛合いとが非周期的に繰り返されることになる。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、常時一定のチェーンピッチを有するリンクプレートによる周期的な噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0045】
〔変形例3〕
上記変形例2および変形例3の双方を組み合わせることにより、張出量ランダムおよびピッチダンラムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。この場合には、音振性能をさらに向上できる。
【0046】
〔他の実施態様〕
前記実施態様では、スプロケットとの噛合開始時から噛合終了時にかけてリンクプレートの内側フランク面のみと噛み合う、いわゆる内股噛合・内股着座のサイレントチェーンを例にとって説明したが、本発明は、スプロケットとの噛合開始時にリンクプレートの内側フランク面と噛み合い、噛合終了時にリンクプレートの外側フランク面と噛み合う、いわゆる内股噛合・外股着座のサイレントチェーンにも同様に適用できる。
【0047】
また、前記実施態様では、ロッカージョイント型の連結ピンを用いたサイレントチェーンに本発明が適用された例を示したが、本発明は、円形断面の丸ピンを用いたサイレントチェーンにも同様に適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るサイレントチェーンによれば、弦上下動を確実に抑制して音振性能を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様によるサイレントチェーンを構成する隣り合う2枚のリンクプレートの正面部分図である。
【図2】サイレントチェーンとスプロケットとの噛合状態を説明するための図である。
【図3】スプロケットの一歯回転周期Tとチェーンの持ち上げ量Δとの関係を示す図である。
【図4】サイレントチェーンの騒音測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1: サイレントチェーン
2: リンクプレート
21: ピン穴
22: 歯部
22a: 内側フランク面
22b 外側フランク面
3: 連結ピン
S: スプロケット
t: スプロケット歯
P: チェーンピッチ
n: 噛合ピッチライン
E1 ,E2 : 噛合点
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイレントチェーンに関し、詳細には、弦上下動を抑制して音振性能を向上させるための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
自動車や自動二輪車等の動力伝達用チェーンとして用いられるサイレントチェーンは、各々一対の歯部およびピン孔を有する多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層するとともに、各ピン孔内に挿入した連結ピンにより連結した構造を有しており、各歯部はそれぞれ内側フランク面および外側フランク面から構成されている。
【0003】
サイレントチェーンの運転時には、リンクプレートの各歯部のフランク面がプロケット歯と噛み合うことにより、駆動側スプロケットから従動側スプロケットに動力が伝達されるようになっている。
【0004】
また、サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、サイレントチェーンがスプロケットの回りを多角形状の巻き付き運動をし、その結果、チェーンスパンが弦上下動(コーダルアクション)を起こすことが知られている。そして、このチェーンスパンの弦上下動により、ノイズが誘発されてチェーンの音振性能が低下することが分かっている。
【0005】
そこで、このような弦上下動を低減させるべく、特開平8−74940号公報に記載のものでは、リンクプレートの内股の曲率半径Rをチェーンピッチの2倍以上にすることによって、スプロケット歯との噛合開始時に内股を介してリンクプレートを持ち上げるようにしたサイレントチェーンが本件出願人により提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−74940号公報(段落番号[0024]参照)
【0007】
この場合には、チェーンの多角形運動の頂点近くにチェーンを持ち上げることを意図しているが、実際の製品においては、製造上および組立上の誤差などにより、チェーンの持ち上げ量が不足する場合があり、その結果、チェーンの弦振動を完全に排除することができない場合が生じ得ることが明らかになってきた。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、弦上下動を確実に抑制して音振性能を向上できるサイレントチェーンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るサイレントチェーンは、各々内側フランク面および外側フランク面から構成される一対の歯部と一対のピン孔とを有する多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層するとともにピン孔内に挿入した連結ピンで連結してなるサイレントチェーンである。そして、サイレントチェーンを直線状に伸ばした状態で、あるリンクプレートの内側フランク面を当該リンクプレートの歯部と重なり合う他のリンクプレートの外側フランク面から張り出させるとともに、チェーンピッチをPとするとき、当該リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax について、0.021×P≦δmax ≦0.063×Pの関係が成立するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面を形成している。
【0010】
請求項1の発明によれば、サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、リンクプレートの内側フランク面がスプロケット歯と干渉することによりチェーンの弦が上方に持ち上げられるが、このとき、内側フランク面の最大張出量が上記関係式を満足しており、チェーンに対する内側フランク面の干渉量が適正な量に設定されている。
【0011】
このため、当該サイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、リンクプレートの外側フランク面のみでスプロケット歯と噛み合うサイレントチェーンが該スプロケットから受ける弦上下動の範囲よりも上方の位置に、つまりチェーンの多角形運動の頂点の位置またはこれより高い位置にチェーンが持ち上げられることなる。
【0012】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい位置までチェーンの弦を持ち上げることが可能になり、その結果、弦上下動を確実に抑制でき、音振性能を向上できるようになる。
【0013】
請求項2の発明に記載されているように、リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax は、0.035×P≦δmax ≦0.063×Pの関係式を満足しているのがより好ましい。
【0014】
この場合には、スプロケットとの噛合時に、チェーンの弦上下動の影響をより受けにくい位置までチェーンの弦をより高く持ち上げることが可能になり、これにより、弦上下動を一層確実に抑制でき、音振性能をさらに向上できるようになる。
【0015】
請求項3の発明に記載されているように、リンクプレートの外側フランク面は略直線状の平坦面を有し、内側フランク面は略円弧状の湾曲面を有しているのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明に記載されているように、リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax については、第1の最大張出量δ1maxを有する第1のリンクプレートと、第1の最大張出量δ1maxと異なる第2の最大張出量δ2maxを有する第2のリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置して、張出量ランダムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。
【0017】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる第1のチェーン持ち上げ量と、第2のリンクプレートによる第2のチェーン持ち上げ量とが異なっており、第1および第2のチェーン持ち上げ量が非周期的に繰り返される。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、常時一定のチェーン持ち上げ量が周期的に繰り返される噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0018】
請求項5の発明においては、第1のチェーンピッチP1 を有する第1のリンクプレートと、第1のチェーンピッチP1 と異なる第2のチェーンピッチP2 を有する第2のリンクプレートリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、ピッチダンラムのサイレントチェーンが構成されている。
【0019】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる噛合いと、これとは噛合位置が異なる第2のリンクプレートによる噛合いとが非周期的に繰り返されることになる。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、すべてのチェーンピッチが一定であるリンクプレートによる周期的な噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施態様によるサイレントチェーンを構成する隣り合う2枚のリンクプレートの正面部分図、図2はサイレントチェーンとスプロケットとの噛合状態を説明するための図、図3はスプロケットの一歯回転周期Tとチェーンの持ち上げ量Δとの関係を示す図、図4はサイレントチェーンの騒音測定結果を示すグラフである。
【0021】
図1に示すように、サイレントチェーン1を構成する各リンクプレート2は、左右一対のピン穴21および歯部22をそれぞれ有しており、隣り合う各リンクプレート2A,2Bは、各ピン穴21内に挿入された一対の連結ピン3により各々枢支可能に連結されている。リンクプレート2の各歯部22は、内側フランク面22aおよび外側フランク面22bからそれぞれ構成されている。内側フランク面22aは略円弧状の湾曲面から形成されており、外側フランク面22bは略直線状の平坦面から形成されている。
【0022】
図1に示すように、サイレントチェーン1を直線状に伸ばした状態で、各リンクプレート2(2A)の内側フランク面22aは、当該リンクプレート2(2A)の歯部22と重なり合う他のリンクプレート2(2B)の外側フランク面22bから張り出している。このとき、隣り合う各リンクプレート2A,2Bにおいて各連結ピン3の接触点間の距離で定義されるチェーンピッチをPとするとき、各リンクプレート2の内側フランク面22aの最大張出量δmax について
0.021×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立している。
【0023】
ここで、リンクプレート2Aの内側フランク面22aの最大張出量δmax とは、サイレントチェーン1を直線状に伸ばしたときに、隣のリンクプレート2Bの外側フランク面22bからのリンクプレート2Aの内側フランク面22aの張出部分(図1斜線部分)のうち、外側フランク面22bからの張出長さが最大のものを指している。
【0024】
また、より好ましくは、
0.035×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立している。
【0025】
次に、上述のように構成されるサイレントチェーンのスプロケットとの噛合いについて、図2を用いて説明する。
同図において、矢印aはスプロケットSの回転方向を、矢印bはサイレントチェーン1の走行方向をそれぞれ示している。また、図中、参照符号2A,2B,2C,2Dは、噛合遅れ側から噛合進行側にかけて順に配置されたリンク列のリンクプレートをそれぞれ示している。
【0026】
スプロケットSとの噛合開始時には、リンクプレート2Aの内側フランク面22a上において歯先側の点E1 がスプロケット歯tと接触することにより、リンクプレート2Aが上方に持ち上げられる。これにより、リンクプレート2Aよりも噛合遅れ側(図2左側)に配設された図示しないチェーンスパンつまりチェーンの弦が上方に持ち上げられる。このときのリンクプレート2Aの持ち上げ量Δは、いわゆる外股噛合・外股着座のリンクプレート、つまり噛合開始時から噛合終了時(着座時)にかけてリンクプレートの外側フランク面(外股)のみで噛み合う形式のリンクプレート2A′の噛合開始時の位置からの距離で示されている。
【0027】
この状態から噛合いが進行して、リンクプレート2Aがリンクプレート2Bの位置まで移動すると、スプロケット歯tとの噛合点は、内側フランク面22a上において歯元側の点E2 まで移動する。リンクプレート2Aは、スプロケット歯tと点E2 での噛合状態を維持したまま、リンクプレート2Cおよび2Dの位置まで移動する。図2中、各噛合点E2 を結んでできる円弧により噛合ピッチラインnが形成されている。
【0028】
次に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーンの持ち上げ量に関して、図3を用いて説明する。
図3において、一点鎖線は、リンクプレートの外側フランク面(外股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーンについて、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。また点線は、リンクプレートの内側フランク面(内股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーン(ただしδmax =0.021×P)について、同様に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。さらに、実線は、リンクプレートの内側フランク面(内股)のみでスプロケット歯と噛み合うチェーン(ただしδmax =0.035×P)について、同様に、スプロケットが一歯分回転する際のチェーン持ち上げ量Δの変化を示している。
【0029】
図3中の一点鎖線に示すように、リンクプレートの外股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットがその一歯分回転する、つまり360°/z(z:スプロケット歯数)だけ回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時の0の状態からスプロケットの回転とともに徐々に大きくなって、時間T/2(T:回転周期)で最大となり、その後、スプロケットの回転とともに徐々に小さくなって、時間Tで0となる。
【0030】
これに対して、同図中の点線に示すように、最大張出量δmax =0.021×Pを有するリンクプレートの内股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットが一歯分回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時から時間Tの間でほとんど変化しておらず、約0.25の値を保持している。そして、時間T/2において、一点鎖線の頂点にほぼ接した状態になっている。
【0031】
図3から分かるように、一点鎖線で示すようなチェーン持ち上げ量を有するサイレントチェーンがスプロケットと噛み合う際には、点線で示すような弦持ち上げ量を有するサイレントチェーンがスプロケットとの噛合いの際にスプロケットから受ける弦上下動の範囲よりも上方の位置に、つまりチェーンの多角形運動の頂点の位置またはこれより高い位置にチェーンが持ち上げられることなる。
【0032】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい位置までチェーンの弦を持ち上げることが可能になり、その結果、弦上下動を確実に抑制でき、音振性能を向上できるようになる。
【0033】
また、図3中の実線に示すように、最大張出量δmax =0.035×Pを有するリンクプレートの内股のみで噛み合うチェーンの場合、スプロケットが一歯分回転するとき、スプロケットによるチェーンの持ち上げ量Δは、噛合開始時から時間Tの間において、一点鎖線や点線のグラフよりもかなり高い位置で保持されている。
【0034】
したがって、この場合には、スプロケットとの噛合時に、チェーンの弦上下動の影響をより受けにくい位置までチェーンの弦をより高く持ち上げることが可能になり、これにより、弦上下動を一層確実に抑制でき、音振性能をさらに向上できるようになる。
【0035】
次に、各種チェーンについて、実際に騒音測定試験を行った結果を図4に示す。
同図中、破線は、内股の最大張出量がδmax <0.021×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果を、一点鎖線は、δmax =0.035×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果を、実線は、δmax =0.063×Pであるリンクプレートから構成されるサイレントチェーンの騒音測定結果をそれぞれ示している。
【0036】
図4の各グラフを比較して分かるように、δmax =0.035×Pおよびδmax =0.063×Pの場合には、δmax <0.021×Pの場合に比べて、スプロケット回転領域のほぼ全域において、振動レベルが低減している。とくに、ピーク音で比較すると、δmax =0.035×Pおよびδmax =0.063×Pのいずれの場合においても、δmax <0.021×Pの場合に比べて、ピーク音が確実に低減している。
【0037】
なお、図4には、δmax =0.021×Pの場合が図示されていないが、点線のグラフがδmax =0.021×Pよりも若干小さなδmax についての振動レベルを示しているため、δmax =0.021×Pの場合のピーク音は、点線のグラフのピーク音よりも若干下方の位置に配置されるものと推測される。
【0038】
したがって、リンクプレートの内股の最大張出量δmax が、0.021×P≦δmax ≦0.063×P、好ましくは、0.035×P≦δmax ≦0.063×Pの関係式を満足するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面が形成されていれば、振動レベルのピーク音を確実に低減させることができるようになる。
【0039】
なお、前記実施態様では、サイレントチェーンを構成するすべてのリンクプレートについて、内股の最大張出量δmax が上記いずれかの関係式を満足する或る一定値に設定された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0040】
〔変形例1〕
第1の最大張出量δ1max(例えばδ1max=0.035)を有する第1のリンクプレートからなる第1のリンク列と、δ1maxと異なる第2の最大張出量δ2max(例えばδ2max=0.063)を有する第2のリンクプレートからな第2のリンク列とをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、張出量ランダムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。
【0041】
この場合には、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる第1のチェーン持ち上げ量と、第2のリンクプレートによる第2のチェーン持ち上げ量とが異なっており、第1および第2のチェーン持ち上げ量が非周期的に繰り返される。
【0042】
これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、チェーンの周期的な弦振動を抑制でき、その結果、常時一定のチェーン持ち上げ量が周期的に繰り返される噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0043】
〔変形例2〕
第1のチェーンピッチP1 を有する第1のリンクプレートからなるリンク列と、第2のチェーンピッチP2 (≠P1 )を有する第2のリンクプレートリンクプレートからなるリンク列とをチェーン長手方向に不規則に配置することにより、ピッチダンラムのサイレントチェーンが構成するようにしてもよい。
【0044】
この場合には、変形例1の場合と同様に、スプロケットとの噛合時において、第1のリンクプレートによる噛合いと第2のリンクプレートによる噛合いとが非周期的に繰り返されることになる。これにより、スプロケットとの噛合時には、チェーンの弦上下動の影響を受けにくい上方の位置において、常時一定のチェーンピッチを有するリンクプレートによる周期的な噛合いの場合に比べて音振性能を一層向上できる。
【0045】
〔変形例3〕
上記変形例2および変形例3の双方を組み合わせることにより、張出量ランダムおよびピッチダンラムのサイレントチェーンを構成するようにしてもよい。この場合には、音振性能をさらに向上できる。
【0046】
〔他の実施態様〕
前記実施態様では、スプロケットとの噛合開始時から噛合終了時にかけてリンクプレートの内側フランク面のみと噛み合う、いわゆる内股噛合・内股着座のサイレントチェーンを例にとって説明したが、本発明は、スプロケットとの噛合開始時にリンクプレートの内側フランク面と噛み合い、噛合終了時にリンクプレートの外側フランク面と噛み合う、いわゆる内股噛合・外股着座のサイレントチェーンにも同様に適用できる。
【0047】
また、前記実施態様では、ロッカージョイント型の連結ピンを用いたサイレントチェーンに本発明が適用された例を示したが、本発明は、円形断面の丸ピンを用いたサイレントチェーンにも同様に適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るサイレントチェーンによれば、弦上下動を確実に抑制して音振性能を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様によるサイレントチェーンを構成する隣り合う2枚のリンクプレートの正面部分図である。
【図2】サイレントチェーンとスプロケットとの噛合状態を説明するための図である。
【図3】スプロケットの一歯回転周期Tとチェーンの持ち上げ量Δとの関係を示す図である。
【図4】サイレントチェーンの騒音測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1: サイレントチェーン
2: リンクプレート
21: ピン穴
22: 歯部
22a: 内側フランク面
22b 外側フランク面
3: 連結ピン
S: スプロケット
t: スプロケット歯
P: チェーンピッチ
n: 噛合ピッチライン
E1 ,E2 : 噛合点
Claims (5)
- 各々内側フランク面および外側フランク面から構成される一対の歯部と一対のピン孔とを有する多数のリンクプレートを厚み方向および長手方向に積層するとともにピン孔内に挿入した連結ピンで連結してなるサイレントチェーンにおいて、
サイレントチェーンを直線状に伸ばした状態で、あるリンクプレートの内側フランク面を当該リンクプレートの歯部と重なり合う他のリンクプレートの外側フランク面から張り出させるとともに、チェーンピッチをPとするとき、当該リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax について
0.021×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面を形成した、
ことを特徴とするサイレントチェーン。 - 請求項1において、
0.035×P≦δmax ≦0.063×P
の関係が成立するように、各リンクプレートの内側フランク面および外側フランク面を形成した、
ことを特徴とするサイレントチェーン。 - 請求項1または2において、
リンクプレートの外側フランク面が略直線状の平坦面を有しており、内側フランク面が略円弧状の湾曲面を有している、
ことを特徴とするサイレントチェーン。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
リンクプレートの内側フランク面上の最大張出量δmax について、第1の最大張出量δ1maxを有する第1のリンクプレートと、第1の最大張出量δ1maxと異なる第2の最大張出量δ2maxを有する第2のリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置した、
ことを特徴とするサイレントチェーン。 - 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
第1のチェーンピッチP1 を有する第1のリンクプレートと、第1のチェーンピッチP1 と異なる第2のチェーンピッチP2 を有する第2のリンクプレートリンクプレートとをチェーン長手方向に不規則に配置した、
ことを特徴とするサイレントチェーン。
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