JP2004182916A - 透湿性樹脂組成物及び透湿性伸縮フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】伸縮性及び透湿性があり、とくにインフレーション成形によりフィルム成形を行うことができるウレタン樹脂組成物、その樹脂組成物より得られたヒートシール加工性を有する透湿性伸縮フィルム、該フィルムを用いた耐水性外装用衣類、防水性衛生基材などの提供。
【解決手段】A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂30〜15重量%を配合してなる透湿性樹脂組成物、またはこれにC.相溶化剤20重量%以下を配合してなる透湿性樹脂組成物、該透湿性樹脂組成物をインフレーション法を用いてフィルムを製造する方法、インフレーション法により製造されたフィルムを用いた透湿性伸縮フィルム、耐水性外装用衣類、防水性衛生資材、ランジェリー用弾性材の提供。
【選択図】 なし。
【解決手段】A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂30〜15重量%を配合してなる透湿性樹脂組成物、またはこれにC.相溶化剤20重量%以下を配合してなる透湿性樹脂組成物、該透湿性樹脂組成物をインフレーション法を用いてフィルムを製造する方法、インフレーション法により製造されたフィルムを用いた透湿性伸縮フィルム、耐水性外装用衣類、防水性衛生資材、ランジェリー用弾性材の提供。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾力性あるポリウレタン系樹脂材料であって、ポリウレタン樹脂にポリエチレン樹脂またはポリエチレン樹脂と相溶化剤をブレンドすることにより、樹脂として軟質、伸縮性があり、かつインフレーション成形が可能となるだけでなく、これから得られるフィルムはヒートシール加工が容易であり、微細孔を設けなくとも極めて優れた透湿性のあるフィルムを低コストで生産できる上、湿度を透過するが水は透過してはならない分野のスキーウエア、レインコート、おむつカバーなどの用途に応用が可能な樹脂組成物およびそれから製造された透湿性伸縮フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
伸縮性のあるポリウレタン樹脂は、弾力性あるエラストマーであって、樹脂としてはコシがなく、高含有率の樹脂組成物においてはインフレーション成形は困難であって押出機による加工性は乏しいものであり、また改質するには他の樹脂とのブレンドも困難なものであって、フィルムの成形は主としてキャスティング法または流延法などによりフィルムの成形が行われていた。
【0003】
通常、透湿性ポリウレタン樹脂フィルムは、ポリウレタン樹脂に相溶性のない樹脂や無機微粒子をブレンドした後にロールまたは流延法等によりフィルムとし、これを延伸することによりフィルム中に多数の微細孔を形成したもの、あるいはポリウレタン樹脂エマルジョンの湿式凝固によりフィルムとしたり、または発泡剤を配合して発泡によりフィルム中に多数の微細孔を形成するなどの方法が採用されていた。
【0004】
これら微細孔により透湿性を付与したフィルムは、微細孔を通じて水蒸気のみ透過することを期待しており、透湿性と同時に通気性を有している材料である。透湿性スキーウェアやレインウェア、手袋、農業用カバーフィルム、食品包装用フィルム等に商品化されているものもある。例えば、高吸水性ウレタン樹脂と熱可塑性樹脂を混合したプラスチックフィルム(特許文献1ないし3参照)の提案がある。それらは比較的硬質であり、特に医療用手袋や食品包装材においては、圧力や延伸などによりフィルムが伸ばされたときには微細孔が拡大し、細菌や汚染物質が侵入する危険を避けることが出来ないものである。
【0005】
また透湿性ウレタン樹脂フィルムとしても多くの提案があり、ポリエチレングリコールとポリイソシアネートを主成分として合成した特定のポリウレタン樹脂を用いて透湿性フィルムを製造し、伸縮性不織布と積層したシート(特許文献4)ポリエチレングリコール、鎖伸張剤、ポリイソシアネートを無溶媒で反応させて得られる特定のポリウレタン樹脂を熱間成形(T−ダイ成形)してなる透湿性フィルム(特許文献5)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、EPDM、低密度ポリエチレン、変性スチレン系エラストマーからなる樹脂組成物をインフレーション成形した伸縮性フィルム(特許文献6)、高吸水性ウレタン樹脂と熱可塑性樹脂とを混合して成形した透湿性プラスチックフィルム(特許文献7)等数多くの提案がなされている。
【0006】
しかし伸縮性のあるポリウレタン樹脂はそれ自体コシがなく、特にポリウレタン樹脂を60重量%以上含有する樹脂組成物はブロッキングしやすくなるためにインフレーションが困難となることも知られており(特許文献6参照)、ポリウレタン樹脂の高含有樹脂組成物は押出機を用いた加工性が悪く、フィルムとするときに生産性の高い溶融押し出しによるインフレーション法を採用することは極めて困難であるとされていた。
【0007】
従って通常は樹脂を有機溶媒に溶解した後、流延法等によりフィルム成形を行っているが、この方法では有機溶媒を使用するため、溶媒自身のコスト、溶媒回収装置の固定費及び運転費、作業環境の汚染などの問題が発生してくる。このため加工性の改善は、軟質ポリウレタン樹脂の伸縮性を保持したままでの物性の改善が必要となり、ウレタン樹脂に相溶性のある他の樹脂を配合することにより改善することが必要と考えられたが、ウレタン樹脂と相溶性のある樹脂は限られており、加工性、伸縮性、透湿性のすべてを満足する樹脂組成物の開発が要望されていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−128929号公報
【特許文献2】
特開昭60−135245号公報
【特許文献3】
特開昭59−159338号公報
【特許文献4】
特開平7−70936号公報
【特許文献5】
特開平9−157409号公報
【特許文献6】
特開平8−41316号公報
【特許文献7】
特開平11−124506号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、伸縮性及び透湿性があり、押出成形法、とくにインフレーション成形によりフィルム成形を行うことができるウレタン樹脂組成物、その樹脂組成物より得られたヒートシール加工性を有する透湿性伸縮フィルム、該フィルムを用いた耐水性外装用衣類、防水性衛生基材などを開発することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂30〜15重量%を配合してなる透湿性樹脂組成物、
[2] A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂5〜25重量%、C.相溶化剤20重量%以下を配合してなる透湿性樹脂組成物、
[3] A.ポリウレタン樹脂とB.ポリエチレン樹脂またはA.ポリウレタン樹脂、B.ポリエチレン樹脂およびC.相溶化剤の合計100重量部に対しD.無機充填材3〜20重量部を配合してなる上記[1]または[2]に記載の透湿性樹脂組成物、
【0011】
[4] A.ポリウレタン樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を用いた上記[1]〜[3]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[5] B.ポリエチレン樹脂が、高・中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体の少なくとも1つを用いた上記[1]〜[4]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[6] エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体の少なくとも一つである上記[5]に記載の透湿性樹脂組成物、
[7] C.相溶化剤が、変性スチレン系エラストマー、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレンまたはそのコポリマー、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン、無水マレイン酸変性したエチレン・プロピレン・ジエンモノマー)のいずれか一つである上記[2]〜[4]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[8] 無機充填材が、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土、カオリン、アルミナ、水酸化マグネシウム、ゼオライト、石膏、シリカのいずれかである上記[3]に記載の透湿性樹脂組成物、
【0012】
[9] 上記[1]〜[8]にのいずれかに記載の透湿性樹脂組成物をインフレーション法を用いてフィルムを製造することを特徴とする透湿性伸縮フィルムの製造方法、
[10] 上記[1]ないし[8]に記載の透湿性樹脂組成物からインフレーション成形により製造された透湿性伸縮フィルム、
[11] ヒートシール法によりヒートシールが可能な上記[10]に記載の透湿性伸縮フィルム、
【0013】
[12] 透湿性が、厚さ30μm換算で1800〜6000g/m2・24hrであり、伸縮性が100%伸ばした後の残留歪みが25%以下である上記[10]または[11]に記載の透湿性伸縮フィルム、
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いた耐水性外装用衣類、
[14] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いた防水性衛生資材、
[15] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いたランジェリー用弾性材、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の透湿性樹脂組成物は、軟質であり、伸縮性を保有したまま水分は樹脂内を移動し、また樹脂内の水分の放出を容易とする樹脂組成物であり、さらにヒートシールができる無孔透湿性伸縮フィルムとすることが可能なものである。
フィルムの成形法として生産性が高く、コストが安い成形法としてインフレーション成形法があるが、従来はウレタン樹脂を多量に含む組成物は溶融状態においてはインフレーション成形などの押出成形が困難であり、フィルムの成形は一般に有機溶媒に溶解し、これを離型紙などに塗布して成形する流延法が主として用いられていた。この方法は生産性が悪い上、有機溶媒の回収に手数がかかり、さらに環境汚染の危険も高いものであった。
【0015】
これに対し本発明においては少量のポリエチレン樹脂を配合したことによりウレタン樹脂の溶融状態でのコシを高め、従来溶融押出によりインフレーション成形が不可能であった高ウレタン樹脂含有樹脂組成物をインフレーション成形によるフィルム成形に成功したものである。
以下本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に使用するポリウレタン樹脂は、ポリエーテル系ポリオール、鎖伸張剤およびポリイソシアネートを反応して得られたポリエーテル系ポリウレタン樹脂である。
【0017】
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂は、軟質のエラストマーであり、分子量としては数平均分子量が5,000〜100,000のものが好ましい。使用されるポリエーテル系ポリオールは、ポリウレタンの製造に従来から使用されている公知のものがいずれも使用できる。なおポリエステル系ポリウレタン樹脂は透湿度がポリエーテル系ポリウレタン樹脂に比し数分の1ないし10分の1程度しかないので好ましくない。
【0018】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテルなどのホモポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0019】
本発明で使用する鎖伸張剤は特に限定されず、従来公知の多価アルコール類やアミン類がいずれも使用できるが、平均分子量が250以下の2価アルコールが好ましい。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどの脂環族グリコール;キシリレングリコールなどの芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0020】
本発明で使用するポリイソシアネートとしては従来公知のポリイソシアネートがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネートリジンメチルエステルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクトヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートなどが挙げられれる。
【0021】
本発明のポリウレタン樹脂は、従来公知の製造方法により製造することができ、特に限定されない。たとえば、上記に記載したポリエーテル系ポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤を例えば適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をイソシアネート基/水酸基を0.9〜1.1程度に調整して反応させても良いし、あるいは無溶剤で溶融反応させても良い。さらに全原料を同時に反応させても良くあるいはいわゆるプレポリマー法を採用しても良い。
【0022】
このようにして得られたポリウレタン樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、フィルム化したときのフィルム強度を考慮すると200℃の溶融粘度で4,000〜100,000ポイズの範囲が好ましい。この範囲の粘度を有するポリウレタン樹脂は有機溶剤に溶解するので、流延法によるフィルムの成形は可能であるが、溶融粘度が低く、またコシがないためインフレーション法によるフィルムの成形は困難である。
【0023】
しかし、上記のポリウレタン樹脂に少量のポリエチレン樹脂をブレンドするときは、ポリウレタン樹脂はその伸縮性を失うことなく、樹脂組成物に透湿性、押出加工性が付与され、T−ダイ成形法のみならずポリウレタン樹脂高含有樹脂組成物として困難とされていたインフレーション成形性を付与することができる。従ってフィルムとしたときには微細孔を設ける必要なく透湿性フィルムを得ることができる。
【0024】
配合するポリエチレン樹脂としては、高・中密度ポリエチレン樹脂(チーグラー、フィリップス、メタロセン)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(チーグラー、メタロセン)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(酸化物触媒、チーグラー、メタロセン)、エチレンを主成分とし、コモノマーとして10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%のビニル系化合物等を含む共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)等が挙げられる。
中でもポリエチレンとして密度が0.860〜0.950g/cm3のものが柔軟性の点で好ましく、より好ましくは0.910〜0.942g/cm3である。またメルトインデックス(MI、190 ℃、2.16kg荷重)は0.1〜20g/10分が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。
【0025】
一般にポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂はブレンドすることは困難とされているが、ポリエチレン樹脂が少量であるので比較的容易に行うことができる。しかしポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂をブレンドし、透湿性伸縮フィルムに成形可能な透湿性樹脂組成物とすることができても、相溶性は比較的低いので50%伸長した場合白化することは避けられない。白化することが許されない用途によってはさらに相溶化剤を配合することが必要である。
【0026】
相溶化剤としては、変性スチレン系エラストマー、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体(EEAMAH)、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレンまたはそのコポリマー、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン、無水マレイン酸変性したエチレン・プロピレン・ジエンモノマー(EPDM)等を挙げることができる。
なかでも、変性スチレン系エラストマーが好ましい。
【0027】
変性スチレン系エラストマーは、例えばスチレン系エラストマーに不飽和カルボン酸もしくはその誘導体を付加反応(例えばグラフト化)させることにより得ることができる。そのようなスチレン系エラストマーとしては、スチレンを主体とする重合体ブロックとブタジエンやイソプレンを主体とする重合体ブロックとからなるスチレン−ブタジエンのブロック共重合体、あるいはスチレン−イソプレンのブロック共重合体、またはブロック共重合体に水素添加してなるエラストマーを挙げることができる。具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。変性スチレン系エラストマーの中でも変性スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が特に好ましい。
【0028】
スチレン系エラストマーは、スチレンの比率が30重量%以下のものが好ましい。例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を水素添加することにより、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)となるが、スチレン(S)とエチレン−ブテン(EB)との配合比率S/EBが30/70以下のものが好ましい。他のスチレン系エラストマーにおいても同様である。スチレンの比率が30重量%(S/EBが30/70)を超えると、得られたフィルムが硬く、歪みが大きくなる。
【0029】
上記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、エンド−ビ−シクロ−[2,2,1]−5 −ヘプテン−2,3− ジカルボン酸、シス−4 −シクロヘキセン−1,2 −ジカルボン酸およびそれらの無水物、イミド化物などが挙げられるが、無水マレイン酸を使用することが好ましい。不飽和カルボン酸もしくはその誘導体を付加して酸価2〜15mgCH3ONa/gとするのが好ましく、5〜10mgCH3ONa/gとするのがより好ましい。
【0030】
一般にポリウレタン樹脂は、メルトテンションが押出温度に適切な210℃近辺の温度においての押出加工は困難であるが、溶融加工温度が235℃くらいであり、このような温度においてはいわゆる加工のコシが低くなって押出加工が困難である。
【0031】
本発明の透湿性樹脂組成物は、使用目的に応じて必要とする軟質性、伸縮性、透湿性に応じてポリウレタン樹脂及びポリエチレン樹脂の配合比を選択するが、一般に相溶化剤を使用しない場合には、ポリウレタン樹脂65〜85重量%であり、75〜85重量%が好ましく、残部ポリエチレン樹脂は15〜35重量%であり、15〜25重量%が好ましい。また、相溶化剤を配合する場合には、50%伸長時においても白化しない範囲として、ポリウレタン樹脂65〜〜85重量%、好ましくは70〜85重量%、ポリエチレン樹脂5〜25重量%、好ましくは10〜25重量%、相溶化剤20重量%以下、好ましくは1〜10重量%の範囲である。もし伸縮性の大きい樹脂を必要とする場合には、上記配合比率の範囲でポリエチレンの配合量を減少させる。生産速度を高くして高速でのインフレーション成形をしたい場合には上記配合比率の範囲でポリエチレンの配合量を増加させる。伸縮性、透湿性のバランスの良いフィルムを製造したいときには、相溶化剤の配合量を適宜増加させるなどと配合比を変えることが好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物に炭酸カルシウム、タルク、シリカなどの無機充填材を配合することは、フィルムとしたときにブロッキングを防止、滑り性改良、感触がサラサラするなどするため有効な手段である。配合比としては全樹脂組成物100重量部に対し3〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲で配合する。これ以外に、本発明の樹脂組成物の性能を阻害しない範囲で通常樹脂フィルムに使用されている滑剤、酸化防止剤、着色剤、耐電防止剤、難燃剤などを配合することもできる。
【0033】
このようにして得られた樹脂組成物は、ゴム的性質を有するにも拘わらずインフレーション法によるフィルム成形が可能であり、得られたフィルムはJIS L1099A−1に規定された方法により測定し、厚さ30μmのフィルムに換算したとき、1800〜6000g/m2/24hr、好ましくは3000〜5000g/m2/24hr、より好ましくは4000〜5000g/m2/24hrの透湿度を有するフィルムが容易に得ることができる。
【0034】
ポリウレタン樹脂組成物は、前記のポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、必要に応じ相溶化剤、無機充填材その他樹脂添加物を配合したものをヘンシェルミキサーまたは高速ミキサー等を用いて予めドライブレンドした後、例えば180〜230℃程度の加熱下、押出機等を用いて溶融混練して押し出し、ペレット化することによって得られる。また、ポリウレタン樹脂と他のブレンド原料をドライブレンドして、フィルム成形機の押出機ホッパーに直接供給してもよい。ポリウレタン樹脂は、ドライブレンドする前に、例えば100℃程度で5時間以上乾燥することがのぞましい。
【0035】
ポリウレタン樹脂組成物からフィルムを製造する方法としては、通常のポリオレフィンフィルム成形方法であるT−ダイ押出機によってもフラットなフィルムを成形できる。しかし、T−ダイ押出機による成形では薄肉化は無理であり、フィルムの縦と横の強度バランス及びフィルムの薄肉化等を考慮すると、チューブ状のフィルムを高ブローアップ成形が可能な空冷インフレーション成形法が好ましい。
【0036】
空冷インフレション成形法は、樹脂温度180〜230℃、ブローアップ比(成形中空フィルム径/ダイス径)2.0〜5.0で行うのが好ましい。フィルムの厚さは、各種用途により適宜選択されるが通常100μm以下に成形するのが好ましい。より好ましいフィルムの厚さは15〜60μmである。上記の製膜方法では、例えば空冷インフレーション製膜装置によりフィルムを作成し、所定幅にスリットしてシート状あるいはテープ状の巻取り製品とする。また延伸工程を通してもよい。
【0037】
このようにして得られたフィルムは、伸度が大きく、ゴム的性質を保持している。特に本発明のフィルムは、伸縮性及び透湿性に優れている。
更に上記のスリットした伸縮フィルムにホットメルト接着材等を貼付したテープとし、このテープを伸張した状態で不織布、織布、プラスチックフィルム又はシート、及びこれらの積層体に貼合した後、テープの伸張を緩和することで、例えばオムツ等のギャザーを形成してもよい。
【0038】
このように透湿性に優れているため、従来はフィルムに小口径の穴をあけて透湿度を確保していたスキーウエア、レインコートなどの透湿性と耐水性を必要とする外装用衣類、紙オムツ、生理用品などの衛生資材、婦人用ランジェリーなどについて、フィルム自体の透湿性を利用してこれらの分野においても無孔フィルムを使用することが可能となった。特に強度を必要とする外装用衣類にはポリエステル、ポリプロピレン、芯鞘構造品(芯がポリエステル、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン)などの不織布、織布などにヒートシールして用いることが可能であり、また伸縮性が必要な部分にはスパンレース不織布、サーマルボンド不織布などに組み合わせて用いることができる。
一方高い透湿性はあっても無孔フィルムであるので水などの液体や空気などの気体の直接の透過は防止できる。
【0039】
本発明の無孔透湿性樹脂組成物は耐熱性があり、またそれ自身伸縮性に富み、透湿性のみならず、フィルムとしたときにヒートシールが容易であるので熱接着性の弾性ゴムとしても使用可能である。ヒートシールは熱板、高周波、超音波など各種にヒートシーラーを使用できる。
【0040】
例えば紙オムツなどに使用する場合、不織布やポリエチレンフィルムなどの基材にスチレン系などのホットメルトを用いて接着する加工が行われている。この場合、通常弾性体フィルムとして熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィンエラストマー樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、及びそれらのブレンド系樹脂のフィルムを使用しているが、ホットメルトで接着するときはポリウレタン樹脂単独以外は耐熱性が低くて切断する危険があり、耐熱性の改善が求められていた。本発明の無孔透湿性樹脂組成物はこのホットメルトの接着温度においては1.5倍程度に延伸して接着を行っても切断する危険が無くこの分野への適用も十分可能であるので、本発明の無孔透湿性樹脂組成物は弾性体としての応用も可能である。
【0041】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
[ポリウレタン]
(PU−1):熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン[大日精化工業(株)製「レザミン」P−2043]
(PU−2):熱可塑性ポリエステル系ポリウレタン[大日精化工業(株)製「レザミン」P−6185]
【0042】
[ポリエチレン樹脂]
(PE−1):高圧法低密度ポリエチレン樹脂[日本ユニカー(株)製「ユニカーポリエチレン」NUC−8506;MFR0.8g/10分 、密度0.923g/cm3]
(PE−2):エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂[エクソンモービル化学(有)製「オプティマ」TC−110;MFR 2.0g/10分、MA含有量21.5wt%、密度0.942g/cm3]
【0043】
[無機充填材]
タンカル(炭酸カルシウム)[白石カルシウム(株)製PO−150−B−10、平均粒子径;3.2μm、特殊脂肪酸処理品]
[相溶化剤]
変性SEBS:[旭化成工業(株)製スチレン・ブタジエン共重合物水素添加物の有機酸誘導体付加物「タフテック」M1913、 S/EB=30/70、MFR(200℃、5kg荷重):4.0/10分 、密度 0.92]
【0044】
[実施例1−6]
下記表1に示す配合の原料を乾燥状態でドライブレンドした後、ダイス径150mmΦのスパイラルダイを備えた55mmΦの押出機を用い、表2に示す成形条件にてインフレーション法によりフィルムを成形した。得られたフィルムの物性値を表3に示す。
【0045】
【表1】原料の構成
【0046】
【表2】成形条件
【0047】
【表3】フィルムの物性値
1)フィルム厚み:JIS Z8015により測定
2)目付:JIS P8124により測定
3)試料方向:この項目すべてJIS L1096により測定
【0048】
なおインフレーション成形時におけるブロッキング性、50%伸長時におけるフィルムの白化の状態、フィルムの耐熱性、フィルムの透湿度を表4に示す。
【表4】フィルムの性質
1)目視観察
2)目視観察
3)SWK法により測定
4)JIS L1099A−1法により測定
【0049】
(耐水性試験)
実施例5で製造したフィルムを10mm×10mmにカットし、水温23〜25℃の水に2時間浸漬し2時間後および2時間浸漬品を濾紙で付着した滴を拭き取り10分放置後のフィルムの対角線の長さを測定した。2時間浸漬直後は約10%の線膨張率を示したが、10分放置後は0%に戻っていた。
【0050】
[比較例1]
ポリウレタン樹脂としてポリエステル系ポリウレタンPU−2:70wt%を用い、PE−1:20wt%、タンカル:5wt%、変性SEBS:5wt%の構成の樹脂組成物を用い、実施例とほぼ同様の条件にてインフレーションフィルムを製造した。30%、50%伸長時における伸長強度、(CN/25mm)、及び100%伸長時における伸張強度・歪、引張強度(若干高い)、伸び(若干小さい)などは実施例とあまり差は認められなかった。また耐ブロッキング性も良好であり、50%伸長時には白化せず、耐熱性は160℃以上と優れていた。しかし透湿度は400g・m2/24hrと本発明の樹脂組成物の1/5〜1/10と極めて小さく、本発明の目的には適合しなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の透湿性樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂にポリエチレン樹脂をブレンドすることにより加工温度を低下させることにより、軟質伸縮性の大きい耐熱性のあるゴム的弾性体であるにもかかわらずインフレーション成形のような押出成形法によるフィルム成形が可能としたことは驚くべき事であった。ゴム的弾性を利用して紙オムツなどへのホットメルト接着剤の塗布時においても耐熱性が十分にあるため切断の危険がないゴム材料として使用可能である。
特にフィルムとしたときには、ヒートシール成形が可能であり、微細孔を設けることなく透湿性の大きなフィルム(無孔透湿フィルム)を低コストで生産することができ、目詰まりが無い透湿性フィルムとして使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾力性あるポリウレタン系樹脂材料であって、ポリウレタン樹脂にポリエチレン樹脂またはポリエチレン樹脂と相溶化剤をブレンドすることにより、樹脂として軟質、伸縮性があり、かつインフレーション成形が可能となるだけでなく、これから得られるフィルムはヒートシール加工が容易であり、微細孔を設けなくとも極めて優れた透湿性のあるフィルムを低コストで生産できる上、湿度を透過するが水は透過してはならない分野のスキーウエア、レインコート、おむつカバーなどの用途に応用が可能な樹脂組成物およびそれから製造された透湿性伸縮フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
伸縮性のあるポリウレタン樹脂は、弾力性あるエラストマーであって、樹脂としてはコシがなく、高含有率の樹脂組成物においてはインフレーション成形は困難であって押出機による加工性は乏しいものであり、また改質するには他の樹脂とのブレンドも困難なものであって、フィルムの成形は主としてキャスティング法または流延法などによりフィルムの成形が行われていた。
【0003】
通常、透湿性ポリウレタン樹脂フィルムは、ポリウレタン樹脂に相溶性のない樹脂や無機微粒子をブレンドした後にロールまたは流延法等によりフィルムとし、これを延伸することによりフィルム中に多数の微細孔を形成したもの、あるいはポリウレタン樹脂エマルジョンの湿式凝固によりフィルムとしたり、または発泡剤を配合して発泡によりフィルム中に多数の微細孔を形成するなどの方法が採用されていた。
【0004】
これら微細孔により透湿性を付与したフィルムは、微細孔を通じて水蒸気のみ透過することを期待しており、透湿性と同時に通気性を有している材料である。透湿性スキーウェアやレインウェア、手袋、農業用カバーフィルム、食品包装用フィルム等に商品化されているものもある。例えば、高吸水性ウレタン樹脂と熱可塑性樹脂を混合したプラスチックフィルム(特許文献1ないし3参照)の提案がある。それらは比較的硬質であり、特に医療用手袋や食品包装材においては、圧力や延伸などによりフィルムが伸ばされたときには微細孔が拡大し、細菌や汚染物質が侵入する危険を避けることが出来ないものである。
【0005】
また透湿性ウレタン樹脂フィルムとしても多くの提案があり、ポリエチレングリコールとポリイソシアネートを主成分として合成した特定のポリウレタン樹脂を用いて透湿性フィルムを製造し、伸縮性不織布と積層したシート(特許文献4)ポリエチレングリコール、鎖伸張剤、ポリイソシアネートを無溶媒で反応させて得られる特定のポリウレタン樹脂を熱間成形(T−ダイ成形)してなる透湿性フィルム(特許文献5)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、EPDM、低密度ポリエチレン、変性スチレン系エラストマーからなる樹脂組成物をインフレーション成形した伸縮性フィルム(特許文献6)、高吸水性ウレタン樹脂と熱可塑性樹脂とを混合して成形した透湿性プラスチックフィルム(特許文献7)等数多くの提案がなされている。
【0006】
しかし伸縮性のあるポリウレタン樹脂はそれ自体コシがなく、特にポリウレタン樹脂を60重量%以上含有する樹脂組成物はブロッキングしやすくなるためにインフレーションが困難となることも知られており(特許文献6参照)、ポリウレタン樹脂の高含有樹脂組成物は押出機を用いた加工性が悪く、フィルムとするときに生産性の高い溶融押し出しによるインフレーション法を採用することは極めて困難であるとされていた。
【0007】
従って通常は樹脂を有機溶媒に溶解した後、流延法等によりフィルム成形を行っているが、この方法では有機溶媒を使用するため、溶媒自身のコスト、溶媒回収装置の固定費及び運転費、作業環境の汚染などの問題が発生してくる。このため加工性の改善は、軟質ポリウレタン樹脂の伸縮性を保持したままでの物性の改善が必要となり、ウレタン樹脂に相溶性のある他の樹脂を配合することにより改善することが必要と考えられたが、ウレタン樹脂と相溶性のある樹脂は限られており、加工性、伸縮性、透湿性のすべてを満足する樹脂組成物の開発が要望されていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−128929号公報
【特許文献2】
特開昭60−135245号公報
【特許文献3】
特開昭59−159338号公報
【特許文献4】
特開平7−70936号公報
【特許文献5】
特開平9−157409号公報
【特許文献6】
特開平8−41316号公報
【特許文献7】
特開平11−124506号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、伸縮性及び透湿性があり、押出成形法、とくにインフレーション成形によりフィルム成形を行うことができるウレタン樹脂組成物、その樹脂組成物より得られたヒートシール加工性を有する透湿性伸縮フィルム、該フィルムを用いた耐水性外装用衣類、防水性衛生基材などを開発することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂30〜15重量%を配合してなる透湿性樹脂組成物、
[2] A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂5〜25重量%、C.相溶化剤20重量%以下を配合してなる透湿性樹脂組成物、
[3] A.ポリウレタン樹脂とB.ポリエチレン樹脂またはA.ポリウレタン樹脂、B.ポリエチレン樹脂およびC.相溶化剤の合計100重量部に対しD.無機充填材3〜20重量部を配合してなる上記[1]または[2]に記載の透湿性樹脂組成物、
【0011】
[4] A.ポリウレタン樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を用いた上記[1]〜[3]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[5] B.ポリエチレン樹脂が、高・中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体の少なくとも1つを用いた上記[1]〜[4]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[6] エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体の少なくとも一つである上記[5]に記載の透湿性樹脂組成物、
[7] C.相溶化剤が、変性スチレン系エラストマー、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレンまたはそのコポリマー、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン、無水マレイン酸変性したエチレン・プロピレン・ジエンモノマー)のいずれか一つである上記[2]〜[4]のいずれかに記載の透湿性樹脂組成物、
[8] 無機充填材が、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土、カオリン、アルミナ、水酸化マグネシウム、ゼオライト、石膏、シリカのいずれかである上記[3]に記載の透湿性樹脂組成物、
【0012】
[9] 上記[1]〜[8]にのいずれかに記載の透湿性樹脂組成物をインフレーション法を用いてフィルムを製造することを特徴とする透湿性伸縮フィルムの製造方法、
[10] 上記[1]ないし[8]に記載の透湿性樹脂組成物からインフレーション成形により製造された透湿性伸縮フィルム、
[11] ヒートシール法によりヒートシールが可能な上記[10]に記載の透湿性伸縮フィルム、
【0013】
[12] 透湿性が、厚さ30μm換算で1800〜6000g/m2・24hrであり、伸縮性が100%伸ばした後の残留歪みが25%以下である上記[10]または[11]に記載の透湿性伸縮フィルム、
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いた耐水性外装用衣類、
[14] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いた防水性衛生資材、
[15] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の透湿性伸縮フィルムを用いたランジェリー用弾性材、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の透湿性樹脂組成物は、軟質であり、伸縮性を保有したまま水分は樹脂内を移動し、また樹脂内の水分の放出を容易とする樹脂組成物であり、さらにヒートシールができる無孔透湿性伸縮フィルムとすることが可能なものである。
フィルムの成形法として生産性が高く、コストが安い成形法としてインフレーション成形法があるが、従来はウレタン樹脂を多量に含む組成物は溶融状態においてはインフレーション成形などの押出成形が困難であり、フィルムの成形は一般に有機溶媒に溶解し、これを離型紙などに塗布して成形する流延法が主として用いられていた。この方法は生産性が悪い上、有機溶媒の回収に手数がかかり、さらに環境汚染の危険も高いものであった。
【0015】
これに対し本発明においては少量のポリエチレン樹脂を配合したことによりウレタン樹脂の溶融状態でのコシを高め、従来溶融押出によりインフレーション成形が不可能であった高ウレタン樹脂含有樹脂組成物をインフレーション成形によるフィルム成形に成功したものである。
以下本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に使用するポリウレタン樹脂は、ポリエーテル系ポリオール、鎖伸張剤およびポリイソシアネートを反応して得られたポリエーテル系ポリウレタン樹脂である。
【0017】
ポリエーテル系ポリウレタン樹脂は、軟質のエラストマーであり、分子量としては数平均分子量が5,000〜100,000のものが好ましい。使用されるポリエーテル系ポリオールは、ポリウレタンの製造に従来から使用されている公知のものがいずれも使用できる。なおポリエステル系ポリウレタン樹脂は透湿度がポリエーテル系ポリウレタン樹脂に比し数分の1ないし10分の1程度しかないので好ましくない。
【0018】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリコールエーテルなどのホモポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0019】
本発明で使用する鎖伸張剤は特に限定されず、従来公知の多価アルコール類やアミン類がいずれも使用できるが、平均分子量が250以下の2価アルコールが好ましい。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどの脂環族グリコール;キシリレングリコールなどの芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0020】
本発明で使用するポリイソシアネートとしては従来公知のポリイソシアネートがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネートリジンメチルエステルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクトヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートなどが挙げられれる。
【0021】
本発明のポリウレタン樹脂は、従来公知の製造方法により製造することができ、特に限定されない。たとえば、上記に記載したポリエーテル系ポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤を例えば適当な有機溶剤中で必要に応じて触媒を使用し、各原料の当量比をイソシアネート基/水酸基を0.9〜1.1程度に調整して反応させても良いし、あるいは無溶剤で溶融反応させても良い。さらに全原料を同時に反応させても良くあるいはいわゆるプレポリマー法を採用しても良い。
【0022】
このようにして得られたポリウレタン樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、フィルム化したときのフィルム強度を考慮すると200℃の溶融粘度で4,000〜100,000ポイズの範囲が好ましい。この範囲の粘度を有するポリウレタン樹脂は有機溶剤に溶解するので、流延法によるフィルムの成形は可能であるが、溶融粘度が低く、またコシがないためインフレーション法によるフィルムの成形は困難である。
【0023】
しかし、上記のポリウレタン樹脂に少量のポリエチレン樹脂をブレンドするときは、ポリウレタン樹脂はその伸縮性を失うことなく、樹脂組成物に透湿性、押出加工性が付与され、T−ダイ成形法のみならずポリウレタン樹脂高含有樹脂組成物として困難とされていたインフレーション成形性を付与することができる。従ってフィルムとしたときには微細孔を設ける必要なく透湿性フィルムを得ることができる。
【0024】
配合するポリエチレン樹脂としては、高・中密度ポリエチレン樹脂(チーグラー、フィリップス、メタロセン)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(チーグラー、メタロセン)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(酸化物触媒、チーグラー、メタロセン)、エチレンを主成分とし、コモノマーとして10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%のビニル系化合物等を含む共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)等が挙げられる。
中でもポリエチレンとして密度が0.860〜0.950g/cm3のものが柔軟性の点で好ましく、より好ましくは0.910〜0.942g/cm3である。またメルトインデックス(MI、190 ℃、2.16kg荷重)は0.1〜20g/10分が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。
【0025】
一般にポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂はブレンドすることは困難とされているが、ポリエチレン樹脂が少量であるので比較的容易に行うことができる。しかしポリウレタン樹脂とポリエチレン樹脂をブレンドし、透湿性伸縮フィルムに成形可能な透湿性樹脂組成物とすることができても、相溶性は比較的低いので50%伸長した場合白化することは避けられない。白化することが許されない用途によってはさらに相溶化剤を配合することが必要である。
【0026】
相溶化剤としては、変性スチレン系エラストマー、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体(EEAMAH)、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレンまたはそのコポリマー、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン、無水マレイン酸変性したエチレン・プロピレン・ジエンモノマー(EPDM)等を挙げることができる。
なかでも、変性スチレン系エラストマーが好ましい。
【0027】
変性スチレン系エラストマーは、例えばスチレン系エラストマーに不飽和カルボン酸もしくはその誘導体を付加反応(例えばグラフト化)させることにより得ることができる。そのようなスチレン系エラストマーとしては、スチレンを主体とする重合体ブロックとブタジエンやイソプレンを主体とする重合体ブロックとからなるスチレン−ブタジエンのブロック共重合体、あるいはスチレン−イソプレンのブロック共重合体、またはブロック共重合体に水素添加してなるエラストマーを挙げることができる。具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。変性スチレン系エラストマーの中でも変性スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が特に好ましい。
【0028】
スチレン系エラストマーは、スチレンの比率が30重量%以下のものが好ましい。例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を水素添加することにより、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)となるが、スチレン(S)とエチレン−ブテン(EB)との配合比率S/EBが30/70以下のものが好ましい。他のスチレン系エラストマーにおいても同様である。スチレンの比率が30重量%(S/EBが30/70)を超えると、得られたフィルムが硬く、歪みが大きくなる。
【0029】
上記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、エンド−ビ−シクロ−[2,2,1]−5 −ヘプテン−2,3− ジカルボン酸、シス−4 −シクロヘキセン−1,2 −ジカルボン酸およびそれらの無水物、イミド化物などが挙げられるが、無水マレイン酸を使用することが好ましい。不飽和カルボン酸もしくはその誘導体を付加して酸価2〜15mgCH3ONa/gとするのが好ましく、5〜10mgCH3ONa/gとするのがより好ましい。
【0030】
一般にポリウレタン樹脂は、メルトテンションが押出温度に適切な210℃近辺の温度においての押出加工は困難であるが、溶融加工温度が235℃くらいであり、このような温度においてはいわゆる加工のコシが低くなって押出加工が困難である。
【0031】
本発明の透湿性樹脂組成物は、使用目的に応じて必要とする軟質性、伸縮性、透湿性に応じてポリウレタン樹脂及びポリエチレン樹脂の配合比を選択するが、一般に相溶化剤を使用しない場合には、ポリウレタン樹脂65〜85重量%であり、75〜85重量%が好ましく、残部ポリエチレン樹脂は15〜35重量%であり、15〜25重量%が好ましい。また、相溶化剤を配合する場合には、50%伸長時においても白化しない範囲として、ポリウレタン樹脂65〜〜85重量%、好ましくは70〜85重量%、ポリエチレン樹脂5〜25重量%、好ましくは10〜25重量%、相溶化剤20重量%以下、好ましくは1〜10重量%の範囲である。もし伸縮性の大きい樹脂を必要とする場合には、上記配合比率の範囲でポリエチレンの配合量を減少させる。生産速度を高くして高速でのインフレーション成形をしたい場合には上記配合比率の範囲でポリエチレンの配合量を増加させる。伸縮性、透湿性のバランスの良いフィルムを製造したいときには、相溶化剤の配合量を適宜増加させるなどと配合比を変えることが好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物に炭酸カルシウム、タルク、シリカなどの無機充填材を配合することは、フィルムとしたときにブロッキングを防止、滑り性改良、感触がサラサラするなどするため有効な手段である。配合比としては全樹脂組成物100重量部に対し3〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲で配合する。これ以外に、本発明の樹脂組成物の性能を阻害しない範囲で通常樹脂フィルムに使用されている滑剤、酸化防止剤、着色剤、耐電防止剤、難燃剤などを配合することもできる。
【0033】
このようにして得られた樹脂組成物は、ゴム的性質を有するにも拘わらずインフレーション法によるフィルム成形が可能であり、得られたフィルムはJIS L1099A−1に規定された方法により測定し、厚さ30μmのフィルムに換算したとき、1800〜6000g/m2/24hr、好ましくは3000〜5000g/m2/24hr、より好ましくは4000〜5000g/m2/24hrの透湿度を有するフィルムが容易に得ることができる。
【0034】
ポリウレタン樹脂組成物は、前記のポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、必要に応じ相溶化剤、無機充填材その他樹脂添加物を配合したものをヘンシェルミキサーまたは高速ミキサー等を用いて予めドライブレンドした後、例えば180〜230℃程度の加熱下、押出機等を用いて溶融混練して押し出し、ペレット化することによって得られる。また、ポリウレタン樹脂と他のブレンド原料をドライブレンドして、フィルム成形機の押出機ホッパーに直接供給してもよい。ポリウレタン樹脂は、ドライブレンドする前に、例えば100℃程度で5時間以上乾燥することがのぞましい。
【0035】
ポリウレタン樹脂組成物からフィルムを製造する方法としては、通常のポリオレフィンフィルム成形方法であるT−ダイ押出機によってもフラットなフィルムを成形できる。しかし、T−ダイ押出機による成形では薄肉化は無理であり、フィルムの縦と横の強度バランス及びフィルムの薄肉化等を考慮すると、チューブ状のフィルムを高ブローアップ成形が可能な空冷インフレーション成形法が好ましい。
【0036】
空冷インフレション成形法は、樹脂温度180〜230℃、ブローアップ比(成形中空フィルム径/ダイス径)2.0〜5.0で行うのが好ましい。フィルムの厚さは、各種用途により適宜選択されるが通常100μm以下に成形するのが好ましい。より好ましいフィルムの厚さは15〜60μmである。上記の製膜方法では、例えば空冷インフレーション製膜装置によりフィルムを作成し、所定幅にスリットしてシート状あるいはテープ状の巻取り製品とする。また延伸工程を通してもよい。
【0037】
このようにして得られたフィルムは、伸度が大きく、ゴム的性質を保持している。特に本発明のフィルムは、伸縮性及び透湿性に優れている。
更に上記のスリットした伸縮フィルムにホットメルト接着材等を貼付したテープとし、このテープを伸張した状態で不織布、織布、プラスチックフィルム又はシート、及びこれらの積層体に貼合した後、テープの伸張を緩和することで、例えばオムツ等のギャザーを形成してもよい。
【0038】
このように透湿性に優れているため、従来はフィルムに小口径の穴をあけて透湿度を確保していたスキーウエア、レインコートなどの透湿性と耐水性を必要とする外装用衣類、紙オムツ、生理用品などの衛生資材、婦人用ランジェリーなどについて、フィルム自体の透湿性を利用してこれらの分野においても無孔フィルムを使用することが可能となった。特に強度を必要とする外装用衣類にはポリエステル、ポリプロピレン、芯鞘構造品(芯がポリエステル、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン)などの不織布、織布などにヒートシールして用いることが可能であり、また伸縮性が必要な部分にはスパンレース不織布、サーマルボンド不織布などに組み合わせて用いることができる。
一方高い透湿性はあっても無孔フィルムであるので水などの液体や空気などの気体の直接の透過は防止できる。
【0039】
本発明の無孔透湿性樹脂組成物は耐熱性があり、またそれ自身伸縮性に富み、透湿性のみならず、フィルムとしたときにヒートシールが容易であるので熱接着性の弾性ゴムとしても使用可能である。ヒートシールは熱板、高周波、超音波など各種にヒートシーラーを使用できる。
【0040】
例えば紙オムツなどに使用する場合、不織布やポリエチレンフィルムなどの基材にスチレン系などのホットメルトを用いて接着する加工が行われている。この場合、通常弾性体フィルムとして熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィンエラストマー樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、及びそれらのブレンド系樹脂のフィルムを使用しているが、ホットメルトで接着するときはポリウレタン樹脂単独以外は耐熱性が低くて切断する危険があり、耐熱性の改善が求められていた。本発明の無孔透湿性樹脂組成物はこのホットメルトの接着温度においては1.5倍程度に延伸して接着を行っても切断する危険が無くこの分野への適用も十分可能であるので、本発明の無孔透湿性樹脂組成物は弾性体としての応用も可能である。
【0041】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
[ポリウレタン]
(PU−1):熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン[大日精化工業(株)製「レザミン」P−2043]
(PU−2):熱可塑性ポリエステル系ポリウレタン[大日精化工業(株)製「レザミン」P−6185]
【0042】
[ポリエチレン樹脂]
(PE−1):高圧法低密度ポリエチレン樹脂[日本ユニカー(株)製「ユニカーポリエチレン」NUC−8506;MFR0.8g/10分 、密度0.923g/cm3]
(PE−2):エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂[エクソンモービル化学(有)製「オプティマ」TC−110;MFR 2.0g/10分、MA含有量21.5wt%、密度0.942g/cm3]
【0043】
[無機充填材]
タンカル(炭酸カルシウム)[白石カルシウム(株)製PO−150−B−10、平均粒子径;3.2μm、特殊脂肪酸処理品]
[相溶化剤]
変性SEBS:[旭化成工業(株)製スチレン・ブタジエン共重合物水素添加物の有機酸誘導体付加物「タフテック」M1913、 S/EB=30/70、MFR(200℃、5kg荷重):4.0/10分 、密度 0.92]
【0044】
[実施例1−6]
下記表1に示す配合の原料を乾燥状態でドライブレンドした後、ダイス径150mmΦのスパイラルダイを備えた55mmΦの押出機を用い、表2に示す成形条件にてインフレーション法によりフィルムを成形した。得られたフィルムの物性値を表3に示す。
【0045】
【表1】原料の構成
【0046】
【表2】成形条件
【0047】
【表3】フィルムの物性値
1)フィルム厚み:JIS Z8015により測定
2)目付:JIS P8124により測定
3)試料方向:この項目すべてJIS L1096により測定
【0048】
なおインフレーション成形時におけるブロッキング性、50%伸長時におけるフィルムの白化の状態、フィルムの耐熱性、フィルムの透湿度を表4に示す。
【表4】フィルムの性質
1)目視観察
2)目視観察
3)SWK法により測定
4)JIS L1099A−1法により測定
【0049】
(耐水性試験)
実施例5で製造したフィルムを10mm×10mmにカットし、水温23〜25℃の水に2時間浸漬し2時間後および2時間浸漬品を濾紙で付着した滴を拭き取り10分放置後のフィルムの対角線の長さを測定した。2時間浸漬直後は約10%の線膨張率を示したが、10分放置後は0%に戻っていた。
【0050】
[比較例1]
ポリウレタン樹脂としてポリエステル系ポリウレタンPU−2:70wt%を用い、PE−1:20wt%、タンカル:5wt%、変性SEBS:5wt%の構成の樹脂組成物を用い、実施例とほぼ同様の条件にてインフレーションフィルムを製造した。30%、50%伸長時における伸長強度、(CN/25mm)、及び100%伸長時における伸張強度・歪、引張強度(若干高い)、伸び(若干小さい)などは実施例とあまり差は認められなかった。また耐ブロッキング性も良好であり、50%伸長時には白化せず、耐熱性は160℃以上と優れていた。しかし透湿度は400g・m2/24hrと本発明の樹脂組成物の1/5〜1/10と極めて小さく、本発明の目的には適合しなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の透湿性樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂にポリエチレン樹脂をブレンドすることにより加工温度を低下させることにより、軟質伸縮性の大きい耐熱性のあるゴム的弾性体であるにもかかわらずインフレーション成形のような押出成形法によるフィルム成形が可能としたことは驚くべき事であった。ゴム的弾性を利用して紙オムツなどへのホットメルト接着剤の塗布時においても耐熱性が十分にあるため切断の危険がないゴム材料として使用可能である。
特にフィルムとしたときには、ヒートシール成形が可能であり、微細孔を設けることなく透湿性の大きなフィルム(無孔透湿フィルム)を低コストで生産することができ、目詰まりが無い透湿性フィルムとして使用できる。
Claims (15)
- A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂15〜35重量%を配合してなる透湿性樹脂組成物。
- A.ポリウレタン樹脂65〜85重量%、B.ポリエチレン樹脂5〜25重量%、C.相溶化剤20重量%以下を配合してなる透湿性樹脂組成物。
- A.ポリウレタン樹脂とB.ポリエチレン樹脂またはA.ポリウレタン樹脂、B.ポリエチレン樹脂およびC.相溶化剤の合計100重量部に対しD.無機充填材3〜20重量部を配合してなる請求項1または2に記載の透湿性樹脂組成物。
- A.ポリウレタン樹脂として、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂を用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿性樹脂組成物。
- B.ポリエチレン樹脂が、高・中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体の少なくとも1つを用いた請求項1〜4のいずれか1項に記載の透湿性樹脂組成物。
- エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体の少なくとも一つである請求項5に記載の透湿性樹脂組成物。
- C.相溶化剤が、変性スチレン系エラストマー、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレンまたはそのコポリマー、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン、無水マレイン酸変性したエチレン・プロピレン・ジエンモノマー)のいずれか一つである請求項2〜4のいずれか1項に記載の透湿性樹脂組成物。
- 無機充填材が、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土、カオリン、アルミナ、水酸化マグネシウム、ゼオライト、石膏、シリカのいずれかである請求項3に記載の透湿性樹脂組成物。
- 請求項1〜8にのいずれかに記載の透湿性樹脂組成物をインフレーション法を用いてフィルムを製造することを特徴とする透湿性伸縮フィルムの製造方法。
- 請求項1ないし8に記載の透湿性樹脂組成物からインフレーション成形により製造された透湿性伸縮フィルム。
- ヒートシール法によりヒートシールが可能な請求項10に記載の透湿性伸縮フィルム。
- 透湿性が、厚さ30μm換算で1800〜6000g/m2・24hrであり、伸縮性が100%伸ばした後の残留歪みが25%以下である請求項10または11に記載の透湿性伸縮フィルム。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の透湿性伸縮フィルムを用いた耐水性外装用衣類。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の透湿性伸縮フィルムを用いた防水性衛生資材。
- 請求項10〜12のいずれか1項に記載の透湿性伸縮フィルムを用いたランジェリー用弾性材。
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