JP2004181980A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ製造上の障害がなく、排水性を維持しながら騒音を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ接地時にトレッド部1の溝8と地面との間に少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成する空気入りタイヤにおいて、溝8内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起9を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列10を設け、少なくとも2列の突起列10が溝長さ方向に隣り合って突起集合部11を形成し、突起集合部11の溝横断面への投影面積が溝8の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部11を構成する突起列10を溝幅方向に互いにずらして配置する。
【選択図】 図2
【解決手段】タイヤ接地時にトレッド部1の溝8と地面との間に少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成する空気入りタイヤにおいて、溝8内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起9を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列10を設け、少なくとも2列の突起列10が溝長さ方向に隣り合って突起集合部11を形成し、突起集合部11の溝横断面への投影面積が溝8の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部11を構成する突起列10を溝幅方向に互いにずらして配置する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水性を維持しながら騒音を低減した空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、トレッド部の溝に変形し易い複数本のひげ状の突起を設け、排水時の水の流れを阻害することなく、その溝に起因する気柱共鳴音を低減するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車輛の静粛性の向上に伴い、タイヤが発生する騒音の低減が急務になっている。これに対して、トレッド部にタイヤ周方向に延びる主溝や主溝間のリブを横切る横溝を備えた空気入りタイヤでは、接地時に主溝や横溝と地面との間に空気柱が形成され、その空気柱での共鳴振動によって生じる気柱共鳴音が車輛騒音の原因となっている。
【0003】
このような気柱共鳴音の対策として、例えば、トレッド部に形成された主溝や副溝の内壁に、その溝を塞ぐように突出した弾性変形可能なフェンスを配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、トレッド部に形成された溝の左右両側の側壁にスピューを設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、前者にあっては、主溝や副溝を塞ぐフェンスが排水性を阻害するという問題があり、後者にあっては、加硫されたタイヤの離型が困難であるというタイヤ製造時の障害があり、未だこれらを十分に解決する方法が見い出せない状況にある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−58217号公報
【特許文献2】
特開平9−2020号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤ製造上の障害がなく、排水性を維持しながら騒音を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ接地時に、トレッド部の溝と地面との間に、少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成する空気入りタイヤにおいて、前記溝内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列を設け、少なくとも2列の前記突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【0008】
このように溝内に2本以上のひげ状の突起を含む複数列の突起列を設け、少なくとも2列の突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置することで突起集合部の溝横断面への投影面積を可及的に大きくすることにより、気柱共鳴音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0009】
また、上記突起はひげ状であるため水の通過によって弾性変形し易く、しかも突起集合部における各突起列の溝横断面への投影面積は小さく設定することが可能であるので、上記のように突起集合部によって騒音低減効果を得るに際して、ウエット路面走行時の排水性を損なうことはない。各突起列の溝横断面への投影面積は溝の横断面積の50%以下であることが好ましい。更に、上記突起は溝底側からタイヤ径方向に延びているので、加硫されたタイヤの離型が容易であり、タイヤ製造時の障害を伴うこともない。
【0010】
突起集合部を備える各溝において、接地面内に現れる突起集合部は1つ以下にすることが好ましい。これにより、溝内に閉じ込められた空気による騒音の発生を回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものであり、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。
【0013】
左右のビード部3間にカーカス層4が装架され、その両端部4aがビード部3に埋設されたビ−ドコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数のベルト層7が配置されている。このトレッド部1には、タイヤ周方向に延びる主溝や主溝間のリブを横切る横溝を含む溝8が形成されている。タイヤ接地時において、トレッド部1の溝8と地面との間には、少なくとも1つの開口端を持つ空気柱が形成される。これら溝8には、後述する突起集合部11が形成されている。
【0014】
図2〜図4は、突起集合部を示すものである。これら図2〜図4に示すように、溝8内には溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起9を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列10が形成されている。つまり、各突起列10は溝幅方向に並ぶ2本以上の突起9を備えている。
【0015】
突起9は、図5(a)〜(d)に示すように、角柱、円柱、角錐又は円錐等の形状を含むひげ状に成形されている。ゴムからなる突起9は可撓性を有し、溝8の中で自由に変形することができる。また、突起9は溝8の底側からタイヤ径方向に延びているため、タイヤ製造時にあっては、加硫されたタイヤを離型するに際して障害になることはない。
【0016】
突起集合部11は、溝長さ方向に隣り合う少なくとも2列の突起列10から構成されている。突起集合部11において、隣り合う突起列10の間隔は1mm〜5mmに設定される。図2〜図4では、突起集合部11が2列の突起列10から構成される場合を示しているが、突起集合部11における突起列10の数は2列以上であれば特に限定されるものではない。例えば、2〜4列にすると良い。
【0017】
突起集合部11を構成する突起列10は、溝幅方向に互いにずらして配置されている。その結果として、突起集合部11の溝8の横断面への投影面積は、溝8の横断面積の50%以上を占めるように調整されている。但し、各突起列10の溝8の横断面への投影面積は、溝8の横断面積の50%以下であることが好ましい。
【0018】
このように溝8内に2本以上のひげ状の突起9を含む複数列の突起列10を設け、少なくとも2列の突起列10が溝長さ方向に隣り合って突起集合部11を形成し、突起集合部11を構成する突起列10を溝幅方向に互いにずらして配置し、突起集合部11の溝8の横断面への投影面積を可及的に大きくすることにより、溝8内の空気柱における振動の伝達が遮断されるので、気柱共鳴音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0019】
上記突起9は、ひげ状であるため水の通過によって弾性変形し、ウエット路面走行時の排水性を損なうことはない。特に、突起集合部11における各突起列10の溝横断面への投影面積を溝8の横断面積の50%以下に設定することにより、ウエット路面走行時の排水性をより確実に確保することができる。
【0020】
突起集合部11を備える各溝8において、接地面内に現れる突起集合部11は1つ以下にすることが好ましい。例えば、図6に示すように、トレッド部1にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝8a及びタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝8bを備える場合、各主溝8a及び各横溝8bにおいて、タイヤが接地した際の接地面Xに現れる突起集合部11は1つ以下にすると良い。1つの溝8において、2つ以上の突起集合部11が接地面内に現れると、それら突起集合部11によって溝8内に閉塞空間が形成され、そこに閉じ込められた空気が騒音の原因となることがある。なお、本発明における接地面とは、タイヤに正規空気圧を充填して正規荷重を負荷した状態での接地面をいう。
【0021】
本発明において、突起集合部を設ける溝はタイヤ接地時に地面との間に少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成するものであれば、特に限定されることはなく、例えば、タイヤ周方向に延びる主溝やタイヤ幅方向に延びる横溝を包含するものである。突起集合部は少なくとも主溝に設けることが好ましいが、主溝と横溝の両方に設けても良く、或いは横溝だけに設けても良い。
【0022】
【実施例】
トレッド面に4本の周方向主溝を有するラジアルタイヤ(タイヤサイズ:215/70R17.5)において、各主溝に突起集合部を設け、その構成を表1のように種々異ならせた実施例1,2及び比較例1,2をそれぞれ作製した。更に比較のために、各主溝に突起を設けていない従来例と、実施例1における突起集合部を板状のフェンスに置き換えた比較例3とを作製した。
【0023】
これら試験タイヤについて、以下に示す試験方法により、単体騒音及びウエット制動性能の評価試験を行い、その結果を表1に併せて示した。
【0024】
単体騒音:
JASO C−606−81に準拠した測定法により、速度50km/hの条件で騒音を測定した。測定時の他の条件は以下の通りである。空気圧:775kPa、荷重:15.20kN、リムサイズ:17.5×6.00(2002年度JATMAイヤーブック 3−05 C01−2の記載条件)評価結果は、従来例を基準とし、その基準値に対する差(dB)にて示した。この値がマイナスであれば騒音が小さいことを意味する。
【0025】
ウエット制動性能:
試験タイヤを車輛に装着し、空気圧775kPaとして、ウエット路面を速度50km/hでの走行状態からブレーキをかけて制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウエット制動性能が優れていることを意味する。
【0026】
【表1】
【0027】
この表1から判るように、実施例1,2のタイヤはいずれもウエット制動性能を損なうことなく騒音を低減することができた。これに対して、比較例1のタイヤでは騒音の低減効果が得られず、比較例2,3のタイヤではウエット制動性能が低下していた。
【0028】
【発明の効果】
上述したように本発明は、トレッド部の溝内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列を設け、少なくとも2列の前記突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置したから、タイヤ製造上の障害がなく、かつ排水性を維持しながら気柱共鳴音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】本発明における突起集合部の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の突起集合部を示す側面図である。
【図4】図2の突起集合部を示す平面図である。
【図5】突起集合部を構成する突起を例示し、(a)〜(d)はそれぞれ突起の斜視図である。
【図6】接地面内のトレッド部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビ−ド部
4 カ−カス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 溝
9 突起
10 突起列
11 突起集合部
CL タイヤセンターライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水性を維持しながら騒音を低減した空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、トレッド部の溝に変形し易い複数本のひげ状の突起を設け、排水時の水の流れを阻害することなく、その溝に起因する気柱共鳴音を低減するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車輛の静粛性の向上に伴い、タイヤが発生する騒音の低減が急務になっている。これに対して、トレッド部にタイヤ周方向に延びる主溝や主溝間のリブを横切る横溝を備えた空気入りタイヤでは、接地時に主溝や横溝と地面との間に空気柱が形成され、その空気柱での共鳴振動によって生じる気柱共鳴音が車輛騒音の原因となっている。
【0003】
このような気柱共鳴音の対策として、例えば、トレッド部に形成された主溝や副溝の内壁に、その溝を塞ぐように突出した弾性変形可能なフェンスを配置することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、トレッド部に形成された溝の左右両側の側壁にスピューを設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、前者にあっては、主溝や副溝を塞ぐフェンスが排水性を阻害するという問題があり、後者にあっては、加硫されたタイヤの離型が困難であるというタイヤ製造時の障害があり、未だこれらを十分に解決する方法が見い出せない状況にある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−58217号公報
【特許文献2】
特開平9−2020号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤ製造上の障害がなく、排水性を維持しながら騒音を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ接地時に、トレッド部の溝と地面との間に、少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成する空気入りタイヤにおいて、前記溝内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列を設け、少なくとも2列の前記突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置したことを特徴とするものである。
【0008】
このように溝内に2本以上のひげ状の突起を含む複数列の突起列を設け、少なくとも2列の突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置することで突起集合部の溝横断面への投影面積を可及的に大きくすることにより、気柱共鳴音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0009】
また、上記突起はひげ状であるため水の通過によって弾性変形し易く、しかも突起集合部における各突起列の溝横断面への投影面積は小さく設定することが可能であるので、上記のように突起集合部によって騒音低減効果を得るに際して、ウエット路面走行時の排水性を損なうことはない。各突起列の溝横断面への投影面積は溝の横断面積の50%以下であることが好ましい。更に、上記突起は溝底側からタイヤ径方向に延びているので、加硫されたタイヤの離型が容易であり、タイヤ製造時の障害を伴うこともない。
【0010】
突起集合部を備える各溝において、接地面内に現れる突起集合部は1つ以下にすることが好ましい。これにより、溝内に閉じ込められた空気による騒音の発生を回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものであり、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。
【0013】
左右のビード部3間にカーカス層4が装架され、その両端部4aがビード部3に埋設されたビ−ドコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数のベルト層7が配置されている。このトレッド部1には、タイヤ周方向に延びる主溝や主溝間のリブを横切る横溝を含む溝8が形成されている。タイヤ接地時において、トレッド部1の溝8と地面との間には、少なくとも1つの開口端を持つ空気柱が形成される。これら溝8には、後述する突起集合部11が形成されている。
【0014】
図2〜図4は、突起集合部を示すものである。これら図2〜図4に示すように、溝8内には溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起9を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列10が形成されている。つまり、各突起列10は溝幅方向に並ぶ2本以上の突起9を備えている。
【0015】
突起9は、図5(a)〜(d)に示すように、角柱、円柱、角錐又は円錐等の形状を含むひげ状に成形されている。ゴムからなる突起9は可撓性を有し、溝8の中で自由に変形することができる。また、突起9は溝8の底側からタイヤ径方向に延びているため、タイヤ製造時にあっては、加硫されたタイヤを離型するに際して障害になることはない。
【0016】
突起集合部11は、溝長さ方向に隣り合う少なくとも2列の突起列10から構成されている。突起集合部11において、隣り合う突起列10の間隔は1mm〜5mmに設定される。図2〜図4では、突起集合部11が2列の突起列10から構成される場合を示しているが、突起集合部11における突起列10の数は2列以上であれば特に限定されるものではない。例えば、2〜4列にすると良い。
【0017】
突起集合部11を構成する突起列10は、溝幅方向に互いにずらして配置されている。その結果として、突起集合部11の溝8の横断面への投影面積は、溝8の横断面積の50%以上を占めるように調整されている。但し、各突起列10の溝8の横断面への投影面積は、溝8の横断面積の50%以下であることが好ましい。
【0018】
このように溝8内に2本以上のひげ状の突起9を含む複数列の突起列10を設け、少なくとも2列の突起列10が溝長さ方向に隣り合って突起集合部11を形成し、突起集合部11を構成する突起列10を溝幅方向に互いにずらして配置し、突起集合部11の溝8の横断面への投影面積を可及的に大きくすることにより、溝8内の空気柱における振動の伝達が遮断されるので、気柱共鳴音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0019】
上記突起9は、ひげ状であるため水の通過によって弾性変形し、ウエット路面走行時の排水性を損なうことはない。特に、突起集合部11における各突起列10の溝横断面への投影面積を溝8の横断面積の50%以下に設定することにより、ウエット路面走行時の排水性をより確実に確保することができる。
【0020】
突起集合部11を備える各溝8において、接地面内に現れる突起集合部11は1つ以下にすることが好ましい。例えば、図6に示すように、トレッド部1にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝8a及びタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝8bを備える場合、各主溝8a及び各横溝8bにおいて、タイヤが接地した際の接地面Xに現れる突起集合部11は1つ以下にすると良い。1つの溝8において、2つ以上の突起集合部11が接地面内に現れると、それら突起集合部11によって溝8内に閉塞空間が形成され、そこに閉じ込められた空気が騒音の原因となることがある。なお、本発明における接地面とは、タイヤに正規空気圧を充填して正規荷重を負荷した状態での接地面をいう。
【0021】
本発明において、突起集合部を設ける溝はタイヤ接地時に地面との間に少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成するものであれば、特に限定されることはなく、例えば、タイヤ周方向に延びる主溝やタイヤ幅方向に延びる横溝を包含するものである。突起集合部は少なくとも主溝に設けることが好ましいが、主溝と横溝の両方に設けても良く、或いは横溝だけに設けても良い。
【0022】
【実施例】
トレッド面に4本の周方向主溝を有するラジアルタイヤ(タイヤサイズ:215/70R17.5)において、各主溝に突起集合部を設け、その構成を表1のように種々異ならせた実施例1,2及び比較例1,2をそれぞれ作製した。更に比較のために、各主溝に突起を設けていない従来例と、実施例1における突起集合部を板状のフェンスに置き換えた比較例3とを作製した。
【0023】
これら試験タイヤについて、以下に示す試験方法により、単体騒音及びウエット制動性能の評価試験を行い、その結果を表1に併せて示した。
【0024】
単体騒音:
JASO C−606−81に準拠した測定法により、速度50km/hの条件で騒音を測定した。測定時の他の条件は以下の通りである。空気圧:775kPa、荷重:15.20kN、リムサイズ:17.5×6.00(2002年度JATMAイヤーブック 3−05 C01−2の記載条件)評価結果は、従来例を基準とし、その基準値に対する差(dB)にて示した。この値がマイナスであれば騒音が小さいことを意味する。
【0025】
ウエット制動性能:
試験タイヤを車輛に装着し、空気圧775kPaとして、ウエット路面を速度50km/hでの走行状態からブレーキをかけて制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウエット制動性能が優れていることを意味する。
【0026】
【表1】
【0027】
この表1から判るように、実施例1,2のタイヤはいずれもウエット制動性能を損なうことなく騒音を低減することができた。これに対して、比較例1のタイヤでは騒音の低減効果が得られず、比較例2,3のタイヤではウエット制動性能が低下していた。
【0028】
【発明の効果】
上述したように本発明は、トレッド部の溝内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列を設け、少なくとも2列の前記突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置したから、タイヤ製造上の障害がなく、かつ排水性を維持しながら気柱共鳴音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】本発明における突起集合部の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の突起集合部を示す側面図である。
【図4】図2の突起集合部を示す平面図である。
【図5】突起集合部を構成する突起を例示し、(a)〜(d)はそれぞれ突起の斜視図である。
【図6】接地面内のトレッド部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビ−ド部
4 カ−カス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 溝
9 突起
10 突起列
11 突起集合部
CL タイヤセンターライン
Claims (3)
- タイヤ接地時に、トレッド部の溝と地面との間に、少なくとも1つの開口端を持つ空気柱を形成する空気入りタイヤにおいて、前記溝内に溝底側からタイヤ径方向に延びる2本以上のひげ状の突起を溝幅方向に配置してなる複数列の突起列を設け、少なくとも2列の前記突起列が溝長さ方向に隣り合って突起集合部を形成し、該突起集合部の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以上を占めるように該突起集合部を構成する突起列を溝幅方向に互いにずらして配置した空気入りタイヤ。
- 前記突起列の溝横断面への投影面積が前記溝の横断面積の50%以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記突起集合部を備える各溝において、接地面内に現れる突起集合部を1つ以下にした請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011500432A (ja) * | 2007-10-24 | 2011-01-06 | ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン | ノイズ減少装置を備えた溝付きトレッドバンド |
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