JP2004181969A - 表面処理シートの熱融着接合方法 - Google Patents

表面処理シートの熱融着接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリオレフィン樹脂を主成分として含むフィルム層を含むシートを熱融着接合する方法の提供。
【解決手段】 ポリオレフィン樹脂に、スチレン系共重合体樹脂を100:5〜100の質量比で含む樹脂ブレンドを含むフィルム層上に、熱可塑性樹脂を含む表面処理層を密着させ、このとき、好ましくは熱可塑性樹脂塗布用コーティング液に、前記スチレン系共重合体樹脂を溶解、一部溶解又は膨潤させる有機溶剤を含有させ、前記樹脂ブレンドフィルム層と表面処理層との界面部分に、スチレン系共重合体樹脂と、表面処理層用熱可塑性樹脂とによる接着層を形成させた表面処理シートを用い、その少なくとも1部分を、同一シート又は別のシート、又は異種物品の一部分上に重ね合せ、これに熱融着接合処理、例えば、高周波融着処理により接合する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂を主体とする樹脂ブレンドによるシート状成形物層を基材中に含み、かつ表面処理層とを含む複層シートの熱融着接合方法に関するものである。より詳しくは、コロナ放電処理やプライマー処理などの前処理を必要とせずに、基材中のポリオレフィン系樹脂を主体とする樹脂ブレンド層の表面に直接形成された熱可塑性樹脂表面処理層を有し、各種方法による印刷が可能であると同時に接合部の耐熱特性に優れた、表面処理シートの熱融着接合方法に関するものである。
柔軟かつ強靱で、耐久性、加工性、コスト性に優れた合成樹脂材料として軟質ポリ塩化ビニル樹脂が、玩具、文具、雑貨、建材、化粧板、壁紙、床材、テント膜材、防水シートなどの広い用途に使用され普及している。しかし、最近、ポリ塩化ビニル樹脂製品の廃棄、焼却処理の際に、ポリ塩化ビニル樹脂から熱分解して発生する有毒性の塩化水素ガスが敬遠されると共に、微量ながら多くの異性構造を有する猛毒性かつ難分解、生体蓄積性のダイオキシンを発生するという問題が社会的に深刻に認識されるようになり、またそれと同時に軟質ポリ塩化ビニル樹脂製品に欠かす事のできない汎用の可塑剤すなわちフタル酸エステルが、環境ホルモンの1種として指摘されている。このため、上記の製品の一部においては、急速にポリ塩化ビニル樹脂から他の合成樹脂に材料置換が既に進み、さらに現在でも多くの用途においてポリ塩化ビニル樹脂の他の材料への置き換えが検討されている。
このポリ塩化ビニル樹脂を置き換えるのに最も適している合成樹脂の1つとしてポリオレフィン樹脂が挙げられ、今多くの分野においてポリオレフィン樹脂製品の需要が拡大しつつあるが、一般にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のポリオレフィン樹脂は、無極性、かつ高結晶性であるために、難接着性材料として知られており、このためこれらポリオレフィン材料の様々な接着に関する技術検討、改良が行われてきた。例えば、コロナ放電処理やプライマー処理などの手段を用いて、その表面を改質する方法が多くのポリオレフィン樹脂製品に採用されている。しかし、コロナ放電処理の場合、フィルムや、シート状の製品にしか適用できず、しかもその処理効果が持続しないため、コロナ放電処理の効果にバラつきを生ずるなど品質管理が難しい。また、コロナ放電処理レベルの改質によりポリオレフィン材料の印刷性の改良は可能であるとしても、ポリオレフィン樹脂の接着性を十分に改良できる方法ではない。
一方プライマー処理の場合、ポリオレフィン樹脂に下塗りするプライマーとして塩素化ポリプロピレン、変性クロロプレンゴム、イソシアネート化合物、ポリヒドロキシポリオレフィンとイソシアネート化合物との付加体(特開昭59−124937号公報、特許文献1)、並びに水素基末端ポリブタジエングリコールとポリイソシアネートとの反応生成物(特開昭62−95326号公報、特許文献2)などが知られている。しかし上記プライマーのうち塩素化ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂をプライマーとして使用する場合、ポリオレフィン樹脂に対して、塩素化ポリプロピレンの粘着効果によって、その密着性を改善し得るだけで、その接着性を改善する効果が得られるものではない。そのうえ塩素化ポリプロピレン樹脂の軟化点60〜70℃に由来する耐熱性レベルの低さは、この様なポリオレフィン樹脂接着体の高温度雰囲気下での剥離破壊を起こす原因となり、実用的に制限が多い。また、ポリ塩化ビニル樹脂からハロゲン非含有のポリオレフィン樹脂への置き換えにおいて、そのプライマーとして塩素を含有する塩素化ポリプロピレンや変性クロロプレンゴムなどを使用することには大きな矛盾がある。また、ポリヒドロキシポリオレフィンとイソシアネート化合物との付加体や水酸基末端ポリブタジエングリコールとポリイソシアネートとの反応生成物については、耐熱性はある程度得られるが、ポリオレフィン樹脂との接着性の改良効果は不十分である。また、イソシアネート化合物の添加量を設定する際に、ポリオレフィン樹脂の種類、配合系に応じて細かな対応が必要であり、イソシアネート化合物の添加量が多すぎると、かえってポリオレフィン樹脂との接着性を悪くしてしまう傾向がある。
他方、接着系全体としての耐熱性を向上させる方法として、上記のようなプライマーと架橋性湿気硬化型ウレタンプレポリマー、又はエポキシ系樹脂接着剤を併用する方法が提案されている。この方法では、接着剤の硬化に時間がかかり、次の工程の接着剤処理に支障を生ずる。またこの欠点を解消するために2液硬化型(主剤/硬化剤)の反応型接着剤を採用した場合には、その硬化反応を完結させるためには100〜200℃の加熱を施して硬化を促進する手段が必要であるが、しかし、この方法では熱軟化温度の低いポリオレフィン樹脂製品に対して、熱溶融、及び変形などのトラブルを生ずるという問題点がある。このようにポリオレフィン樹脂に対し、実用的に有効なプライマー処理剤及び、接着剤は未だ見出されていない。
この様な現状において、ポリオレフィン樹脂に従来のプライマー処理剤や、接着剤を塗布する方法とは異なる手段として、ポリオレフィン樹脂に他の熱可塑性樹脂をブレンドして、その接着性を向上させる試みが検討されている。例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴムなどの熱可塑性樹脂をポリオレフィン樹脂に混練ブレンドする方法によっては、確かにポリオレフィン樹脂の極性及び高結晶性という問題点を緩和し、結果、接着剤との密着性を向上させることが可能である。しかし、前述の通りポリ塩化ビニル樹脂の置き換えとして、同じハロゲン原子をポリマー中に含有する塩素化ポリエチレンや、クロロプレンゴムなどを使用することは好ましいことではない。また、ポリオレフィン樹脂にポリウレタン樹脂または、アクリル樹脂をブレンドする方法では、確かにこれらの樹脂のブレンドによって接着剤に対する接着性は改善されるけれども、両樹脂の間の溶融軟化温度差が大きいために溶融混練性が不良で、しかも相溶性が劣るため、ブレンド成形物の樹脂強度低下が避けられないなど、それに伴う悪影響の方が大きく不利益である。
この様な相溶性の悪いブレンド系の改良としては、ポリオレフィン樹脂と相溶性を有する樹脂と、ポリウレタン樹脂または、アクリル樹脂と相溶性を有する樹脂とが共重合されたグラフト樹脂を相溶化剤として添加して、物性低下を防止する方法(例えば特開平7−26038号公報、特許文献3など)が提案されたりもしているが、これらの相溶化剤をむやみに添加しただけで相溶性が必ずしも改善される訳ではない。またこの様な不完全なブレンド樹脂系では、耐久性が低下するという難点があり、要求の全てに対して有効な手段とは言えるものではない。
他の樹脂ブレンド方法において、ポリウレタン樹脂をブレンドした系の欠点としては、ポリウレタン樹脂の光劣化により短期間内に黄変を生ずる問題(汎用性熱可塑性ポリウレタンとして、特に芳香族系ポリウレタン樹脂)があり、この様なブレンド系による製品の光変色は製品の品質に対する信頼性を損なうもので、実際は敬遠されているのが実情である。
また一方では、ポリオレフィン樹脂の主鎖に極性の官能基を導入することで、接着性を改善する検討が行われた結果、その官能基を有するモノマーとして、ジメチルアミノ酸、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基などを有するメタクリル酸、あるいは、アクリル酸エステルなど、具体的にはメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、イタコン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸などから選ばれ、これをエチレンとラジカル共重合することにより、様々なタイプの接着性オレフィン樹脂が商品化されている。
これらの接着性オレフィン樹脂は、ホットメルト接着剤としてポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、金属などに対して溶融状態において強く接着するためT−ダイ共押出による多層フィルム、シートなどの層間接着剤として主に包装材用途に多用されている実績がある。しかしこれらの接着性オレフィン樹脂は、金属にもよく接着してしまうことにより、加工方式によっては、全く使用することができないことがあり、例えばフィルム、シートの最も生産効率のよいカレンダー成形においては、金属カレンダーロールの表面にこれらの接着性オレフィン樹脂が溶融粘着してしまうため、フィルム又はシートを成形することが不可能になる。またこれらの接着性オレフィン樹脂は、極性の官能基を導入したことによりオレフィンの結晶性が低下し、より低融点にシフトするために耐熱性が低下し、特に60〜80℃の高温度雰囲気下で、この接着性オレフィン樹脂層に剪断力又は剥離方向の外力が掛けられる場合には、接着性オレフィン樹脂層が、剪断破壊又は剥離破壊を容易に起こすために、高い耐熱性を必要とする用途には不向きである。
従ってこの様に、ポリオレフィン樹脂成形体表面に対するコロナ処理、プライマー処理の改質効果としては、それらの印刷性や塗装性の改善のみに有効な手段であって、これらのポリオレフィン樹脂成形体に上記プライマー処理層を介在させて接着剤をトップコートし、接着または熱融着させて得られた複層シートは、その接合部においてプライマー層のポリオレフィン樹脂成形体表面との元々の接着性の低さはもとより、プライマー層の十分な耐熱性が得られないために材料破壊の問題があり、このため、これらのポリオレフィン樹脂成形品の2次加工品を、工業用品部材又は産業資材用品部材として、高い熱的、動的耐久性が要求される用途に用いることには不適切であった。
特開昭59−124937号公報 特開昭62−95326号公報 特開平7−27038号公報
本発明は、この様な上記従来技術の問題点、すなわち、ポリオレフィン系樹脂シートの表面にコロナ放電処理やプライマー処理などの煩雑な前処理を必要とせずに、熱融着性の熱可塑性樹脂表面処理層の形成が可能であり、この熱可塑性樹脂表面処理層が形成されたオレフィン系樹脂組成物シート同士の接合及び、熱可塑性樹脂を含有する他の成形部材との接合が従来法で容易で、かつ、50〜80℃の高温雰囲気下で使用可能な耐熱接着強力に優れた、オレフィン系樹脂を基材に含む表面処理シートの熱融着接合方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究、検討を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対しスチレン系共重合樹脂を5〜100質量部配合したブレンド組成物のシート状成型物の表面に、コロナ放電処理やプライマー処理などの前処理工程を施すことなく、熱可塑性樹脂を含有するコーティング剤を、直接塗布、乾燥して熱可塑性樹脂表面処理層を形成すると、熱可塑性樹脂表面処理層とポリオレフィン系樹脂ブレンド層との接着強力が優れていて、しかもその耐熱接着強力にも優れ、かつ、この熱可塑性樹脂表面処理層は熱融着接合を従来法により実施することが可能であって、更に他の熱可塑性樹脂成形物とも熱融着接合可能であり、またその融着接合体接合部の耐熱接着強力、耐熱クリープ性にも優れることを見い出して本発明を完成させるに至った。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法は、ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合体樹脂とを、100:5〜100:100の質量比で含有する樹脂ブレンドからなるフィルム層を有するシート状基材と、
熱可塑性樹脂を含み、前記樹脂ブレンドフィルム層の少なくとも片表面に密着して結着している表面処理層と、
を有する1枚以上の表面処理シートについて、
(1)前記表面処理シートの表面処理層の一部分と、それと同一の又は異なる表面処理シートの表面又は裏面の一部分とを互いに接触するように重ね合わせ、或は
(2)前記表面処理シートの表面処理層の表面の少なくとも一部分と、他の物品の表面の少なくとも一部分とを互いに接触するように重ね合わせ、但しこのとき、前記他の物品の所望接着面を、予じめ、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂により形成しておくか、当該接着面上に熱融着接合可能な熱可塑性樹脂フィルムを配置するか、又は、当該接着面上に、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂を塗布しておき、
前記重ね合わされた部分に、熱風溶融接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法及び超音波ウエルダー接着法から選ばれた少なくとも1種の熱融着接合方法による熱融着接合処理を施すことを特徴とするものである。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記樹脂ブレンドフィルム層用ポリオレフィン系樹脂が、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、これらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂から選ばれた少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記スチレン系共重合樹脂が、
スチレン重合体ブロック(A)及びブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンと、ブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合樹脂、
から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層に含まれる熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有することが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記シート状基材において、前記樹脂ブレンドフィルム層が繊維布帛からなる基布の少なくとも1面に形成されていることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記基布の1外表面全面上に前記樹脂ブレンドフィルム層が形成され、この樹脂ブレンドフィルム層上に、前記表面処理層が形成されており、前記基布の他の最外裏面全面上に、熱可塑性樹脂を含む裏面層が形成されていることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記最外裏面層に含まれる熱可塑性樹脂が、熱融着接合可能であることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記熱融着接合可能な最外裏面層用熱可塑性樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記最外裏面層用熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有することが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理シートの前記樹脂ブレンドフィルム層と、前記表面処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記表面処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されていることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記樹脂ブレンドが、前記樹脂ブレンド100質量部に対し、1〜25質量部のシリカをさらに含むことが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜25質量部のシリカをさらに含むことが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層上に、熱可塑性樹脂を含む、少なくとも1層のオーバーコート層が形成されていてもよい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記オーバーコート層の熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記オーバーコート層の熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有することが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記樹脂ブレンドフィルムに含まれる前記シリカが、3〜15質量%の含水率を有する非晶質含水シリカから選ばれることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層に含まれる前記シリカが3〜15質量%の含水率を有する非晶質含水シリカから選ばれることが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層を形成するに際し、前記熱可塑性樹脂が、前記熱可塑性樹脂と混和し、かつ前記スチレン系共重合体樹脂を完全溶解、一部溶解、又は膨潤せしめる有機系溶剤を含むコーティング液を用い、
このコーティング液を、前記樹脂ブレンドフィルムの少なくとも一面上に直接塗布し、この塗布液層から前記有機系溶剤を蒸発除去し、表面処理層を形成し、 それによって、前記樹脂ブレンドフィルム層と前記表面処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記表面処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層を形成することが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記表面処理層形成用コーティング液の有機系溶剤が、イソプロパノール、n−ブタノール、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及びテトラヒドロフランから選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、表面処理シートの表面に、油性グラビア印刷法、油性スクリーン印刷法、水性グラビア印刷法及び水性スクリーン印刷法から選ばれた印刷法により、印刷が施されていてもよい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記他の物品が、前記表面処理シートの重ね合わせ接合用、巻き付け固定用、貼着用、及び連結拡張用接着補助部材から選ばれてもよい。
本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、前記接着補助部材が繰り返し着脱が可能なファスナーであってもよい。
本発明方法に用いられる表面処理シートにおいては、ポリオレフィン系樹脂を主体として含む樹脂ブレンドによるシート状成形物の表面に、コロナ放電処理や耐熱性の低いプライマー処理などの煩雑な前処理を必要とせずに、熱融着性の熱可塑性樹脂表面処理層が安定に形成、固定されており、また、この熱可塑性樹脂表面処理層が、表面処理シート同士の接合、及び熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品との接合を、従来の、例えば高周波ウエルダー融着などの方法によって容易に融着接合することができる。またこの融着接合体は、耐熱接着強力に優れ50〜80℃の高温雰囲気下で使用可能であり、更に特殊な印刷インキを必要とせず汎用の印刷インキで印刷できるため、テント用膜材、フレキシブルコンテナなどの産業資材シートを容易に、かつ安定して製造することを可能にするものである。
また、特に本発明の表面処理シート熱融着接合方法は、表面処理シートに、分離、着脱自在性のファスナー成型品部材を高周波ウエルダー融着接合させることができ、この接合体は、ファスナー成型品部材の着脱によって表面処理シートを連結、拡張、巻き付け固定、貼付固定する事が繰り返し自在となる。従って、本発明方法は有用性が高いシート接合法である。
本発明方法に用いられる表面処理シートは、ポリオレフィン系樹脂とスチレン系共重合体樹脂とを100:5〜100:100の質量比で配合して得られた樹脂ブレンドを含むフィルム層と、この樹脂ブレンドフィルム層の少なくとも片面に密着しており、かつ熱可塑性樹脂を含有する表面処理層とを有するものである。
図1に示されている本発明方法用表面処理シートの一例において、前記樹脂ブレンドのフィルム層1からなるシート状基材4の上に表面処理層2が形成されている。
上記樹脂ブレンドのフィルム層と、表面処理層2との界面部分には、図4に示されているように、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記表面処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とにより接着層6が形成されていて、これにより樹脂ブレンドフィルム層と表面処理層とを強固に密着接合することができる。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドに使用されるスチレン系共重合樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bは、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種である。)A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂、およびこれらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂が使用できる。上記A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂、及びA−B型スチレン共重合樹脂において、スチレン重合体ブロック(A)及びブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロック(B)がA−B−A型配列及びA−B型配列をなして共重合している。これらのブロック共重合体は、ポリスチレンブロック(A)をハードセグメントとするスチレン系ブロック共重合樹脂である。
A−B−A型スチレンブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合樹脂(SIS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合樹脂(SVIS)、A−B−A型水素添加スチレンブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合樹脂(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合樹脂(SEPS)などが包含される。
またA−B型スチレン共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合樹脂(SI)が包含され、A−B型水素添加ブロック共重合樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合樹脂(SEB)、及びスチレン−イソプレンブロック共重合樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合樹脂(SEP)などが包含される。これらのスチレン系共重合樹脂に使用できるスチレン重合体ブロックA用モノマーは、芳香族ビニルモノマーであって、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、1−ビニルナフタレン、1−ビニルアントラセンなどから選ばれるが、スチレンであることが好ましい。また、これらのスチレン系共重合樹脂に使用できる重合体ブロックB用モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられるが、1,3−ブタジエン及びイソプレンが特に好ましい。
これらA−B−A型ブロック共重合樹脂、及びその水素添加樹脂、並びに、A−B型ブロック共重合樹脂、及びその水素添加樹脂において、そのAブロック重合体の数平均分子量が2000〜40000であり、Bブロック重合体の数平均分子量が10000〜200000であることが好ましい。また、上記スチレン系共重合樹脂の数平均分子量は、30000〜250000の範囲内にあることが好ましい。この分子量が30000より小さい場合ブロック共重合樹脂の機械的強度が得られず、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の強度が不十分になることがあるために好ましくなく、またその分子量が、250000を超えると、得られるフィルム層の溶融粘度が高くなり、他の樹脂成分との溶融混練性が悪化し、成形加工性を困難となすことがあり、さらに、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性樹脂表面処理層との接着性が不十分になることがあるので好ましくない。
これらのスチレン系ブロック共重合樹脂のBブロック成分を構成するイソプレン重合体ブロック、又は、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックの水素添加樹脂は、70%以上の水素添加率を有することが好ましく、より好ましくは80%以上である。この水素添加率が70%より低い場合には、得られる共重合体樹脂の耐熱性、耐候性が不十分になるために好ましくない。これらのスチレン系ブロック共重合樹脂の水素添加は、公知の方法によって行うことができ、例えば、水素添加反応は、反応に不活性な溶媒に、スチレン系ブロック共重合樹脂を溶解させ、この状態で公知水素添加触媒、例えば、ラネーニッケル、チーグラー系の触媒などを用いて、共重合体に分子状態の水素を反応させる方法が好ましく用いることができる。
また、Bブロック成分として用いられるイソプレン重合体ブロックもしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックにおいて、そのイソプレン中の3,4ビニル結合と1,2ビニル結合の合計量が、水素添加前の状態で、25モル%以上であることが好ましい。ビニル結合の合計量が25モル%より小さいと、本発明の表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性樹脂表面処理層との接着性が十分に得られないことがある。また、Bブロック成分として用いられるブタジエン重合体ブロックのブタジエン中の1,2ビニル結合の含有量が、20モル%以上であることが好ましい。このビニル結合の合計量が20モル%より小さいと、本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性樹脂表面処理層との接着性が十分に得られないことがあり好ましくない。
上記A−B−A型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有量が40質量%を超えるとポリオレフィン樹脂との相溶性が低下するため、40質量%以下であることが好ましい。また、上記A−B型ブロック共重合樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有量が40質量%を超えるとポリオレフィン樹脂との相溶性が低下するため、40質量%以下であることが好ましい。上記これらのA−B−A型ブロック共重合樹脂及びその水素添加樹脂、並びにA−B型ブロック共重合樹脂及びその水素添加樹脂などの市販品としては、例えば、シェル、ケミカル社のクレイトンG(商標)、旭化成工業(株)のタフテック(商標)、(株)クラレのハイブラー(商標)及びセプトン(商標)が挙げられる。
また、水素添加スチレン系ランダム共重合樹脂としては、スチレンとブタジエンの水素添加ランダム共重合樹脂が挙げられ、この水素添加スチレン系ランダム共重合樹脂の市販品としては、日本合成ゴム(株)のダイナロン(商標)が挙げられる。
上記スチレン系共重合体樹脂は、有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましく、例えば、有機系溶剤として、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどから選ばれた1種以上からなる有機系溶剤が用いられ、スチレン系共重合体樹脂は、これらの有機系溶剤に可溶性または、少なくとも部分可溶性、もしくは膨潤性であることが好ましい。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層において、前記スチレン系共重合樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、5〜100質量部の割合で配合される。スチレン系共重合体樹脂の配合量が5質量部より少ないと、樹脂ブレンドフィルム層と熱可塑性樹脂表面処理層との接着性が不十分になり、またその配合量が、100質量部を超えると、得られる表面処理シートの耐熱性、耐候性を悪くするだけでなく、ポリオレフィン系樹脂ブレンドの加工性、及び機械的強度も不十分になるために好ましくない。
特に、本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層において、前記スチレン系共重合体樹脂としては、水素添加スチレンブロック共重合樹脂、水素添加スチレンランダム共重合樹脂から選ばれたものを使用することが耐候性を向上させるために好ましい。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層に用いられるポリオレフィン系樹脂の種類としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体など、及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。本発明に用いるポリオレフィン系樹脂は、ラジカル重合法又はイオン重合法により製造されたものから選ぶことができる。ラジカル重合法で得られるポリエチレン系樹脂は、エチレン単独で、又はエチレン及びそれとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られるものである。
前記ラジカル重合し得る単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル化物や酸無水物、酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらの単量体は、1種のみならず2種以上用いることができる。イオン重合法で得られるポリエチレン系樹脂は、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンを遷移金属固体触媒又はメタロセン系均一触媒を使用して重合することにより得られ、α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などが用いられるが、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。また、これらのα−オレフィンは、1種または2種以上用いてもよい。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層に使用するポリオレフィン系樹脂としては、前記オレフィン系樹脂の中で特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体などが用いられ、さらには、エチレン、及びそれと共重合可能な極性モノマー2種以上を共重合させたエチレン系多元共重合体などが、高周波ウエルダー融着性に優れているため好ましくは使用できる。
更に、これらのエチレン系共重合体は、単独使用されるか、又はその2種以上のブレンドとして用いられるが、それらの中でも、メルトインデックスが、0.3〜20g/10min 、共重合モノマー含有量が、5〜35質量%のものが本発明により好適に使用できる。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であると、得られる樹脂ブレンドの成形加工が不良になることがある。またそれが20g/10min よりも高いと、得られる樹脂ブレンドフィルムの強度及び耐熱性が不十分になることがあり、さらに粘着性を増してブロッキングを生ずることがある。また共重合モノマーの含有量が5質量%未満であると、得られる樹脂ブレンドの高周波ウエルダー性が不十分になることがあり、また共重合モノマー含有量が35質量%よりも多いと、加工時の粘着性が増し、成形加工が困難になることがある。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層に使用可能なポリオレフィン系樹脂は、前述のポリオレフィン系樹脂以外に、ポリプロピレン系樹脂、例えばポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂などを使用することができる。
本発明方法用表面処理シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層にシリカ(二酸化珪素)を配合してもよく、このようなシリカとしては、硅酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを用いることができる。シリカは、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層100質量部に対し1〜25質量部使用されることが好ましい。前記湿式法によって合成される非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(≡Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が水酸基として含有する水分とを結合水分として有するため、これは含水シリカとして、他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られる水分含有率の極めて少ない無水シリカと区別されるものである。本発明方法用表面処理シートにおいて、オレフィン系樹脂ブレンドフィルム層に配合して用いられる非晶質含水シリカの平均凝集粒径としては、特に制約はないが、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μm、好ましくは2〜10μmの非晶質含水シリカを用いることができる。また、非晶質含水シリカの含水率としては、3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%であることが好ましい。
シリカの配合量が1質量部より少ないと、得られる表面処理シートの高周波ウエルダー融着性及び、融着接合体の耐熱強度が十分に得られないことがあり、シリカの配合量が25質量部を超えると、オレフィン系樹脂ブレンドの混練流動性が不十分になり成型が困難となることがあり、また、得られるオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の樹脂強度を著しく低下させることがある。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層は、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料などによって着色されていてもよく、その他に可塑剤、軟化剤、安定剤、滑剤、防炎剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、架橋剤、硬化剤、有機系顔料着色剤、無機系顔料着色剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び老化防止剤などのように、樹脂シートに通常使用される添加剤の1種以上を本発明の効果、目的を逸脱しない範囲で配合してもよい。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の形成のために、上記のスチレン系共重合体樹脂と上記オレフィン系樹脂とのブレンド、又はこれに、上記非晶質含水シリカを添加してなるコンパウンドは、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて溶融混練後、単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法、さらにそれにより得られた造粒コンパウンドに、単軸押出機、二軸押出機などを用いて有機系顔料、無機系顔料などの着色剤、及び各種添加剤を溶融混合し造粒して高濃度のマスターバッチを作製しておき、このマスターバッチに所望の添加バッチを、タンブラーブレンダー、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いてドライブレンドし、この混合物を、更に単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒する方法を採用する事ができる。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層を形成するためのフィルムまたは、シートは、上記コンパウンドを用いてT−ダイ法、インフレーション法、カレンダー法など公知のフィルム、シート加工技術によって製造することができる。特に有機系顔料、及び/又は無機系顔料などによって着色されたフィルム、シートを製造するには、カレンダー法により100〜250℃の温度範囲にて上記オレフィン系樹脂ブレンドフィルム層用フィルム、シートの成型加工を行う方法がコンパウンドの色替えロスがすくなく製造効率が高いという点で好ましい。
本発明方法用表面処理シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層に用いるフィルム、シートの厚さは、80〜1000μmであることが好ましく、特に130〜500μmであることが好ましい。フィルムの厚さがこの範囲よりも薄いと、その成型加工が困難であり、さらに繊維布帛とラミネートした時に繊維布帛面の凹凸部との熱圧着によりフィルムの頭切れを起こし、防水性を損なうことがあるため、屋外用の日除けテント用途、シートハウス用途、広告用印刷膜材用途などに使用できないことがあり、また、厚さがこの範囲よりも厚いと、カレンダー加工が困難となることがあり、さらに重くて柔軟性を欠き、取り扱い性が不良になることがある。
また、本発明方法用表面処理シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の形成には、上記ポリオレフィン系樹脂エマルジョン、またはその水分散体と、上記スチレン系共重合体樹脂のエマルジョン、またはその水分散体との混合物に、必要により非晶質含水シリカを配合してオレフィン系樹脂部を調製し、この樹脂ブレンドを公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などにてコーティングを行い乾燥させる方法を用いることができる。
また、本発明方法用表面処理シートにおいてポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の形成には、上記ポリオレフィン系樹脂を有機系溶剤に溶解した溶液と、上記スチレン系共重合体樹脂を有機系溶剤に溶解した溶液との混合物に、必要により非晶質含水シリカを配合したポリオレフィン系樹脂ブレンド塗布液を公知の塗布方法、例えば、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、ディップコート法などを用いてコーティングし、乾燥させる方法を用いることができる。
上記のエマルジョン系(水分散体)または、溶剤系のポリオレフィン系樹脂ブレンド含有塗布液を用いてポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の形成方法としては、直接、繊維布帛からなる基布の片面又は両面にポリオレフィン系樹脂ブレンド含有塗布液をコーティングし、乾燥してもよいし、または、離型紙、又は離型フィルム上に、ポリオレフィン系樹脂ブレンド含布塗布液をコーティングし、乾燥し、得られたフィルムを繊維布帛にラミネート転写し、積層する方法を用いてもよい。このようにして形成された樹脂ブレンドフィルム層と繊維布帛からなる基布とによりシート状基材が構成され、樹脂ブレンドフィルム層上に表面処理層が形成される。図2に示された本発明方法用表面処理シートの一例において、繊維布帛からなる基布3上に樹脂ブレンドフィルム層1が形成され、この両者によりシート状基材4が構成され、樹脂ブレンドフィルム層1が形成されている。
本発明方法用表面処理シートにおいて、樹脂ブレンドフィルム層の基布として使用できる繊維布帛は、織布、編布、不織布のいずれでもよく、織布としては、特に織組織に限定はないが、平織織物は、得られる表面処理シートの縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく、不織布としては長繊維を用いた不織布が好ましく、特にスパンボンド不織布などが使用できる。また、繊維織物の縦糸・緯糸は、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混合繊維のいずれによって製織されてもよいが、加工性、汎用性を考慮すると、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、または、これらの混合繊維などの合成繊維からなる長繊維糸条、短繊維紡績糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどが好ましく用いられる。これらのうちでも、引張強力、引裂強力、耐熱クリープ特性などに優れているポリエステル繊維、ポリアミド繊維、これらの混合繊維、及び複合繊維などから形成されたマルチフィラメント平織繊維布帛、またはスパン平織繊維布帛を用いるのが好ましい。
これらの繊維布帛とポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層フィルムとの積層は、繊維布帛の片面に積層する方法でもよいし、両面に積層する方法もよいが、屋外用途の耐久性を考慮すると、繊維布帛の両面にポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層フィルムを積層することが好ましく、また、積層の方法として、樹脂ブレンドフィルムと繊維布帛との間に接着剤層を設けてもよいし、接着剤なしに積層してもよい。本発明方法用表面処理シートの製造に用いる繊維布帛とポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の積層方法は、フィルムの成型加工と、同時にこれを繊維布帛に熱ラミネート積層するカレンダートッピング法、又はT−ダイラミネート法、であってもよく、あるいは、カレンダー法、T−ダイ法、インフレーション法などにより、樹脂ブレンドから、フィルムを成型加工により形成した後に、これをラミネーターによる熱圧着により繊維布帛に積層する方法などがある。本発明による表面処理シートの基布含有基層の形成には、カレンダー法によって成型加工された上記フィルムと、ポリエステル繊維平織布帛などの基布との熱圧着法が、効率的かつ経済的であるため好ましく用いられる。このとき、平織布帛の織組織は目抜け平織であると、目抜け部分の空隙部を介して、基布の表と裏のフィルムが熱溶融ブリッジするために、特別な接着剤を必要とせずに本発明の表面処理シート用樹脂ブレンドフィルム層含有基層を形成することができ、また、縦方向、横方向の物性のバランスも良好になり、好ましい性質が得られる。また、本発明方法用表面処理シートに使用されるポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層用フィルム又はシートの形成方法が、上記エマルジョン系(水分散体)または、溶剤系のポリオレフィン系樹脂塗布組成物を用いて行われる場合には、繊維布帛の織組織は、高糸密度の非目抜け平織りであることが好ましく、特にスパン繊維布帛などを使用する事が好ましい。
本発明方法用表面処理シートの厚さは、特に限定されるものではなく、その用途によって適宜選定される。例えば、繊維布帛を含まない表面処理フィルム、シートの場合には80〜1000μmであることが好ましく、表面処理ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層を繊維布帛の片面に設けて基層を形成しているシートの場合には、120〜1600μmであることが好ましく、表面処理ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層を繊維布帛の両面に設けたシートの場合には、160〜2000μm程度であることが好ましい。
前記基布の1外表面全面上に前記樹脂ブレンドフィルム層が形成され、この樹脂ブレンドフィルム層上に、前記表面処理層が形成されており、必要により前記基布の他の外表面全面上に、熱可塑性樹脂を含む裏面層が形成されていてもよい。
図3に示されている本発明方法用表面処理シートの一例において、基布3の表面上に樹脂ブレンドフィルム層1が形成され、この両者によりシート状基材4が構成され、樹脂ブレンドフィルム層1の上に表面処理層2が形成され、基布4の裏面上に熱可塑性樹脂を含む裏面層が形成されている。
このような、本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂を含む裏面層に使用される熱可塑性樹脂としては、前記表面処理層に使用される熱可塑性樹脂と熱融着性があれば、その選択に制限はないが、特に本発明の表面処理シートにおいては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の単体もしくは、ブレンド体として熱可塑性樹脂組成中に少なくとも30質量%以上を含有することが好ましく、更にこれらの熱可塑性樹脂の誘電損率が、0.01以上であることが好ましい。
中でも特に、ポリウレタン系樹脂として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することが、本発明の表面処理シートの柔軟性の観点から好ましく、これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタンなどの1種以上を使用することが好ましい。また、ポリウレタン系共重合エラストマーとして、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上含有するポリオール化合物との重付加反応によって得られるイソシアネート基両末端オリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12個のジカルボン酸と、炭素数4〜14個のジアミンとの重縮合によって得られるカルボン酸基またはアミン基末端のオリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のカルボン酸基またはアミン基末端のポリアミドプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン−ポリアミド共重合樹脂、また、上記イソシアネート基両末端オリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の2種以上のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られるカルボン酸基または水酸基末端のオリゴマー及び、分子量2000〜10000程度のカルボン酸基または水酸基末端のポリエステルプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン−ポリエステル共重合樹脂なども使用できる。また、アクリル系樹脂として、熱可塑性アクリルエラストマーを使用することが、本発明の表面処理シートの柔軟性の観点から好ましく、例えば、熱可塑性アクリルエラストマーとしては、エチレン−メチルメタアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂としては、熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用することが、本発明方法用表面処理シートの柔軟性の観点から好ましく、この様な熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルセグメントと、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系セグメントをブロック共重合させたポリエステル−ポリエーテル型ポリエステルエラストマー、あるいは、上記芳香族ポリエステルセグメントと、脂肪族ポリエステルセグメントとのブロック共重合によるポリエステル−ポリエステル型ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。また、ポリアミド系樹脂としては、熱可塑性ポリアミドエラストマーを使用することが、本発明方法用表面処理シートの柔軟性の観点から好ましく、この様な熱可塑性ポリアミドエラストマーとしては、例えば、6−ナイロン及び、12−ナイロンセグメントと、脂肪族ポリエーテル、または、脂肪族ポリエーテルポリエステルセグメントとのブロック共重合によって得られるポリアミド系エラストマーを使用するのが好ましい。
また熱可塑性樹脂を含む裏面層としては、異種熱可塑性樹脂による多層積層体であっても良いが、最外層の熱可塑性樹脂層に使用される熱可塑性樹脂は、前記表面処理層に使用される熱可塑性樹脂と熱融着性があれば良く、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の単体もしくは、ブレンド体が裏面最外層であることが好ましい。例えばこの様な異種熱可塑性樹脂による多層構造体としては、T−ダイ多層共押出法による、ポリエチレン樹脂/接着性ポリオレフィン樹脂/ナイロン樹脂(ポリアミド系樹脂)2層フィルム(接着性ポリオレフィン樹脂は含めない)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂)/接着性ポリオレフィン樹脂/ナイロン樹脂(ポリアミド樹脂)2層フィルムなど、ポリウレタン/ポリカーボネート/ポリウレタンの2種3層フィルム、アクリル/ABS樹脂/アクリルの2種3層フィルムなどが挙げられる。またこれらの異種熱可塑性樹脂による多層構造体の製造法としては、これらそれぞれの熱可塑性樹脂を別々の溶剤に可溶化させた熱可塑性樹脂を含む溶液を重ね塗りコーティングして、例えばポリスチレン樹脂/アクリル樹脂2層塗膜フィルム、2液硬化型ポリウレタン樹脂/ポリウレタン樹脂2層塗膜フィルム、2液硬化型ポリウレタン/ポリエステル樹脂2層塗膜フィルムなどの構造体とすることができ、更にこれらの多層塗膜構造体には、エマルジョン樹脂及びデスパージョン樹脂などの水系樹脂を併用して使用する事ができる。また、これらの裏面層に使用される熱可塑性樹脂には、1〜25質量%のシリカが、配合され含有されていることが好ましい。
熱可塑性樹脂を含む裏面層の形成方法に関しては、前記樹脂ブレンドフィルム層と同様の方法を用いることができ、例えば、これらの熱可塑性樹脂に、顔料、難燃剤、充填剤、滑剤、改質剤、加工助剤などの添加剤を配合した組成物コンパウンドを、ニーダーや、バンバリーミキサーで混練した後、T−ダイ法、または、カレンダー法などの公知の成型加工によってフィルム製造することができ、あるいはまた、これらの配合組成物コンパウンドを溶剤に可溶化させた熱可塑性樹脂含有溶液を前記繊維布帛に、公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ドクターナイフコートなどの方法でコーティングし、溶剤を乾燥除去してフィルムを形成させても良い。更に、熱可塑性樹脂を含む裏面層の形成には、熱可塑性樹脂エマルジョン及びデスパージョンなどの水分散樹脂を使用する事もできる。上記方法によって形成される熱可塑性樹脂を含む裏面層の厚さは80〜1000μm、特に130〜500μmであることが好ましい。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂は、有機系溶剤に溶解するものであることが好ましく、このような熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の1種以上から選ばれたものが使用できる。これらの熱可塑性樹脂を有機系溶剤中に、10〜40質量%の固形分濃度で溶解して調製した溶液を、表面処理層形成用コーティング剤として用いることが好ましい。
ポリウレタン系樹脂としては、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上とイソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られるものが使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられる。これらのジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、o−,m−、またはp−キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ヒドロキシル基を2個以上有するポリオール化合物としては、分子量300〜10000、好ましくは、500〜5000であり、ジイソシアネート化合物と反応する量を含有するものである。これらの化合物としては、例えば、炭素数2〜8のグリコール類である。例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキセン、及びプロピレングリコールなどと炭素数4〜10の飽和脂肪族ジカルボン酸であるアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、スペリン酸、セバシン酸など、もしくは、芳香族ジカルボン酸であるフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等とから得られる縮合体、アルキレングリコールとラクトン基との共重合によって得られるポリエステルグリコール類、例えば、ポリラクトンジオール、ポリエナントラクトンジオール等、また、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとアルキレングリコールとの縮合体、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール類、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリアルキレンエーテルグリコール類、更にジヒドロキシポリエステルアミド類、ジヒドロキシポリアセタール類、ジヒドロキシポリアルキレン類、ジヒドロキシポリカーボネート類なども同様に用いることができる。これらの中でポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジヒドロキシポリエチレンアジペート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが適している。
更に、前記ジオールの他に分子鎖長の調節剤として、イソシアネート基と反応する官能基をもつ化合物が用いられ、このような調節剤化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和脂肪族のグリコール類であるエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタン1,2−ジオール、ブタン1,3−ジオール、ブタン1,4−ジオール、ブタン2,3−ジオール及びブタン2,4−ジオール、ヘキサンジオール等又は、例えば芳香族グリコールの1,4−キシリレングリコール、フェニレンビス−(β−ヒドロキシエチルエーテル)等が用いられる。その他に例えば、3官能性以上のアルコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール等を少量同時に使用してもよい。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の化合物を用いて公知の方法によって製造される。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂として用いられる熱可塑性、有機系溶剤可溶性ポリウレタン系樹脂は、前述のように、上記ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を2個以上有するポリオールとの反応によって得られるが、その分子量は100000〜200000程度であって、その両末端にヒドロキシル基を有するものを包含する。このような熱可塑性ポリウレタン樹脂を、有機系溶剤中に10〜40質量%の固形分濃度で溶解させたものが、表面処理層形成用コーティング液として使用できる。このコーティング液中には必要に応じてジイソシアネートまたは、イソシアネート基を分子内に3個以上含有するポリイソシアネート化合物を添加して、得られる表面処理層の被膜強度、及び耐熱性などを向上、改善させることができる。また、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を2個以上有するポリオールとの反応によって得られる分子量100000〜200000程度の、両末端にイソシアネート基を有する湿気硬化型熱可塑性ポリウレタン樹脂なども、これを有機系溶剤中に溶解させて、溶剤系コーティング液として使用できる。更に、本発明の表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング液に使用される熱可塑性ポリウレタン系樹脂としては、無黄変ポリウレタン樹脂を使用することが耐光性の面で好ましく、無黄変ポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物の中から特に脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネートを選んで製造することによって得られる。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層形成用溶剤系コーティング液に使用されるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によって得られるものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート(ここで、メチル(メタ)アクリレートとは、メチルアクリレート及び、メチルメタアクリレートを意味し、以下同様の表記とする。)エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの単独ラジカル重合もしくは、(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるアクリル系樹脂なども使用できる。(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸、及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を併用してメチル(メタ)アクリレートモノマーと共重合することができる。これらの中でも、得られる樹脂組成物の耐候性、耐熱分解性や加工流動性などの観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を特に好ましく用いることができる。このようなアクリル系樹脂を、有機系溶剤中に10〜40質量%の固形分濃度で溶解させたものが、表面処理層形成用コーティング液として使用できる。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成用溶剤系コーティング液に使用されるポリアミド系樹脂としては、炭素数4〜12個のジカルボン酸と、炭素数4〜14個のジアミンとの重縮合から得られるもの、例えば、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,6)、ポリドデカメチレンセバカミド(ナイロン−10,8)など、もしくは、炭素数6〜12個の環状ラクタムの開環重合によって得られるもの、例えば、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)など、を使用できる。また本発明に使用できるポリアミド系樹脂としては、前記ポリアミドの構成単位から選ばれた2種以上を有する共重合樹脂であってもよく、このような共重合ポリアミドとしては、例えば、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合樹脂(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合樹脂(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合樹脂(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合樹脂(ナイロン−12/6,6)、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合樹脂(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合樹脂(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合樹脂(ナイロン−6/6,6/6,10)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合樹脂などが挙げられる。このようなポリアミド系樹脂を、有機系溶剤中に10〜40質量%の固形分濃度で溶解させたものが、表面処理層形成用コーティング液として使用できる。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層形成用溶剤系コーティング液に使用されるポリエステル系樹脂としては、炭素数4〜12のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られる非結晶性の飽和ポリエステル樹脂が使用される。これらの非結晶性の飽和ポリエステル樹脂としては、少なくとも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の組み合わせから選ばれた2種以上のジカルボン酸及び、そのエステル形成誘導体と、ジオール及び、そのエステル形成誘導体との重縮合によって得られる飽和ポリエステル共重合樹脂が、本発明の溶剤系コーティング液に好ましく使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジエチルコハク酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などの他、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環式化合物が挙げられ、更にこれらのジカルボン酸のエステル形成誘導体、例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物なども同等に用いることができる。
ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(2−ヒドロキシ)フェニル〕スルホン、1,1−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、このようなジオールはそのエステル形成誘導体、例えば、アセチル体、アルカリ金属塩等の化合物を包含する。また、これらのジオールは、2種以上を併用してもよい。更に、本発明の溶剤系コーティングに使用できる熱可塑性ポリエステル樹脂として、脂肪族ポリエーテルブロック重合体及び/又は脂肪族ポリエステルブロック重合体成分を上記飽和ポリエステル共重合樹脂に組み込んだ共重合樹脂なども使用することができ、例えば、脂肪族ポリエーテルブロック重合体としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合樹脂、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合樹脂、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合樹脂等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエステルブロック重合体としては、例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート等が挙げられる。このようなポリエステル系樹脂を、有機系溶剤中に10〜40質量%の固形分濃度で溶解させたものが、表面処理層形成用コーティング液として使用できる。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング剤に使用される熱可塑性樹脂としては、上記ポリウレタン系樹脂、上記アクリル系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、上記ポリアミド系樹脂の1種以上から選ばれたものが使用でき、これらの熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング液において使用される有機系溶剤としては、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどの1種以上から選ばれた混合有機系溶剤が好ましい。
本発明方法用表面処理シートの製造において表面処理層形成用コーティング液に含まれる有機系溶剤が、表面処理層を形成する熱可塑性樹脂と混和し、かつ、樹脂ブレンドフィルム形成用スチレン系共重合体樹脂を完全溶解、一部溶解又は膨潤させる場合、このコーティング液を図4に示されているように樹脂ブレンドフィルム1の少なくとも1面上に直接塗布し、この塗布液層から有機系溶剤を蒸発除去して表面処理層2を形成すると、樹脂ブレンドフィルム層1と、表面処理層2との界面部分に、樹脂ブレンドフィルム層1中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、表面処理層2中の熱可塑性樹脂の一部分と、により接着層6が形成され、この接着層6を介して、樹脂ブレンドフィルム層1と表面処理層2とが強固に密着接合される。
本発明方法用表面処理シートにおいて熱可塑性樹脂表面処理層形成用溶剤系コーティング液には、必要に応じて、有機系顔料、無機系顔料によって着色されていてもよく、必要に応じて更に、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、防炎剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、撥水剤、撥油剤、架橋剤、硬化剤、導電性フィラー、各種フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、増粘剤などの通常使用される添加剤を本発明の効果、目的を逸脱しない範囲で使用してもよい。
また、本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング液には、シリカを熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜25質量%含有することが好ましい。シリカの配合量が1質量部より少ないと、得られる表面処理シートの高周波ウエルダー融着性及び、融着接合体の耐熱強度が十分に得られないことがあり、また、シリカの配合量が25質量部を超えると、溶剤系コーティング液の流動性が不良となり塗工が困難となることがあり、さらに熱可塑性樹脂表面処理層の耐摩耗性を低下させること及び接合部強度の低下を招くことがあるため好ましくない。熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる溶剤系コーティング液に配合して用いられるシリカ(二酸化珪素)としては、珪酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを使用することが好ましい。この湿式法によって合成される非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(≡Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が含有する水酸基として存在する水分とを結合水分として有するため、含水シリカは、他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られ、水分含有率の極めて少ない無水シリカと区別されるものである。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成に用いられる熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング剤に配合して用いられる非晶質含水シリカの平均凝集粒径には、特に制約はないが、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μmのもの、好ましくは2〜10μmの非晶質含水シリカを用いることが好ましい。また、非晶質含水シリカの含水率としては、3〜15質量%のもの、特に、5〜10質量%の非晶質含水シリカを用いることが好ましい。
溶剤系コーティング液の塗布の方法に、特別に限定はないが、これらの溶剤系コーティング液をポリオレフィン系樹脂基材層の表面に均一、かつ均質に塗布できる様なコーティング方式を用いることが望ましく、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが好適である。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成には、上記塗布方法の組み合わせ、または、単一方式により、熱可塑性樹脂を含有する溶剤系コーティング液を複数回繰り返してコーティングし、乾燥して、オーバーコート層を形成してもよく、オーバーコート層に用いられるコーティング剤としては、エマルジョン系または、水分散体の水系コーティング剤なども使用することもできる。この様な熱可塑性樹脂表面処理層に厚い厚さを必要とする場合においては、溶剤系コーティング液に較べて固形分濃度が高く設定することが容易なエマルジョン系、または、水分散体コーティング液を使用するのが効率的で好ましい。
また、本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂表面処理層の形成が、上記塗布方法の組み合わせ、または、単一方式により、熱可塑性樹脂含有溶剤系コーティング液を複数回繰り返してオーバーコートし、乾燥して行われる場合、それぞれの熱可塑性樹脂層の単位層が、同じ熱可塑性樹脂で構成される必要はなく、それぞれの熱可塑性樹脂単位層の熱可塑性樹脂が、互いに異なっていてもよい。例えば、アクリル系樹脂による表面処理単位層の上に、更にフッ素系樹脂表面処理単位層を設けてもよく、或は、ポリウレタン系樹脂による表面処理単位層の上に、更にポリアミド系樹脂表面処理単位層を設けてもよく、或は、ポリウレタン系樹脂による表面処理単位層の上に更に、ポリエステル系樹脂による表面処理単位層が設けられていてもよい。
更に、また、本発明方法用表面処理シートの表面処理層が、シートの両面に形成される場合において、両面の表面処理層に用いられる上記熱可塑性樹脂が、互いに異なっていてもよく、例えば片面がポリウレタン系樹脂を含み、他の片面がポリアミド系樹脂を含む異種表面処理であってもよく、或は片面が、ポリウレタン系樹脂を含み、他方の片面がポリエステル系樹脂を含む異種表面処理であってもよく、或は片面が、フッ素系樹脂を含み、他方の片面がアクリル系樹脂を含む異種表面処理などであってもよい。
本発明方法用表面処理シートの上記熱可塑性樹脂コーティングによる表面処理層の形成において、表面処理層の厚さには特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせによって、固形分付着量を3〜60g/m2 とすることが好ましく、より好ましくは8〜25g/m2 である。固形分付着量を3g/m2 よりも少ないと、本発明の表面処理シートの融着性及び、その融着接合部の強力が十分に得られないことがあり、また、60g/m2 を超えるとコーティング処理の回数が増え、工程が煩雑化し、製造コストが高くなるという不利益を生ずることがある。
本発明方法用表面処理シート印刷方法において、前記本発明の表面処理シートの表面処理層表面上に、公知の印刷方法、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、熱転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの方法により印刷を施すことができる。この方法に用いられる印刷インキとしては、特にグラビアインキ、スクリーンインキなどは汎用性が高く、また種類が豊富であるため、本発明の表面処理シートの印刷に好ましく使用することができる。グラビアインキとしては、有機系顔料、無機系顔料の着色剤成分と、ニトロセルロース、塩化ゴム、ポリアミド、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などの樹脂成分と、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤などの溶剤成分と、可塑剤、湿潤剤、滑剤、分散剤などの助剤から構成される油性グラビアインキ及びエマルジョン樹脂ベースの水性グラビアインキなど市販のインキが使用できる。また、スクリーンインキとしては、有機系顔料、無機系顔料の着色剤成分と、ニトロセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂成分と、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤などの100〜250℃の沸点範囲の溶剤成分と、可塑剤、湿潤剤、滑剤、分散剤などの助剤から構成される油性スクリーンインキ及びエマルジョン樹脂ベースの水性スクリーンインキなど市販のインキが使用できる。
本発明に係る表面処理シートの熱融着接合方法において、図5に例示されているように前記本発明方法用表面処理シートの表面処理層2の一部分を、それと同一の又は異なる表面処理シートの表面処理層2の一部分とを、互いに接触するように重ね合わせ、これに、熱風溶融接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法及び超音波ウエルダー接着法の少なくとも1種の熱融着接着方法により熱融着接合処理を施す。
また本発明の表面処理シートの熱融着接合方法において、図6に示されているように前記本発明方法用表面処理シートの表面処理層2の表面の少なくとも一部分と、他の物品7の表面の少なくとも一部分とを互いに重ね合せ、このとき、前記他の物品の所望接着面を、予じめ、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂により形成しておくか、当該接着面上に熱融着接合可能な熱可塑性樹脂フィルムを配置するか、或は、当該接着面上に、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂を塗布しておいて、この重ね合わされた部分に、熱風溶融接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法、及び超音波ウエルダー接着法から選ばれた少なくとも1種の熱融着接合処理を施す。
本発明方法用表面処理シートは、前記熱融着性の熱可塑性樹脂を含有する表面処理層の任意の一部分に対して、同一の表面処理シート、または、異なる表面処理シートの表面または、裏面の任意の一部分とを互いに接続するように重ね合わせ、この重ね合せ部分に熱風融着接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法及び、超音波ウエルダー接着法の少なくとも1種の熱融着接着処理を施して熱融着接合を実現する。例えば、前記繊維布帛の両面に、前記樹脂ブレンドフィルム層が積層して形成されていて、一方の表面に前記ポリウレタン系樹脂による表面処理層が密着して結着された表面処理シートの、ポリウレタン系表面処理層面同士の重ね合わせ時の熱融着接合の場合、または、ポリウレタン系樹脂表面処理層と、反対面の前記樹脂ブレンドフィルム層面との重ね合わせ時の熱融着接合の場合、例えば、前記繊維布帛の両面に、前記樹脂ブレンドフィルム層が積層して形成されていて、両方の表面に前記ポリウレタン系樹脂による表面処理層が密着して結着された表面処理シートの、表裏ポリウレタン系表面処理層面同士の重ね合わせ時の熱融着接合の場合、例えば、前記繊維布帛の両面に、前記樹脂ブレンドフィルム層が積層して形成されていて、一方の表面に前記ポリウレタン系樹脂による表面処理層が密着して結着され、もう一方の表面に前記ポリエステル樹脂による表面処理層が密着して結着された表面処理シートの、ポリウレタン系表面処理層面同士、またはポリエステル系樹脂表面処理層面同士の重ね合わせ時の熱融着接合の場合、及び、ポリウレタン系樹脂表面処理層と、反対面のポリエステル系樹脂層面との重ね合わせ時の熱融着接合の場合、また例えば、前記繊維布帛の片面に、前記樹脂ブレンドフィルム層が積層して形成されていて、もう一方の表面に前記熱融着可能な熱可塑性樹脂を含む裏面層として、ポリエステル系樹脂層が積層して形成されたシートにおいて、前記樹脂ブレンドフィルム層の表面に、ポリウレタン系樹脂による表面処理層が密着して結着された表面処理シートの、ポリウレタン系表面処理層面同士、またはポリエステル系樹脂層面同士の重ね合わせ時の熱融着接合の場合、及び、熱可塑性ポリウレタン系樹脂表面処理層と、裏面に形成されたポリエステル系樹脂層面との重ね合わせ時の熱融着接合の場合などが挙げられ、更に例えば、上記例に挙げた構成の異なる表面処理シートの表面と表面同士、または裏面と裏面同士の重ね合わせ時の熱融着接合の場合、及び、表面と裏面との重ね合わせ時の熱融着接合の場合などが挙げられる。
本発明方法用表面処理シートの表面の少なくとも一部分と、他の物品の表面の少なくとも一部分とを互いに接着するに際し、前記他の物品の所望接着面を、予め熱融着性の熱可塑性樹脂により成型するか、或いは当該接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂フィルムを配置するか、もしくは、当該接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂を塗布しておき、前記接着を、熱風融着接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法及び、超音波ウエルダー接着法の少なくとも1種の熱融着接着法によって熱融着接合を実施する。例えば、前記他の物品の所望接着面が、予め熱融着性の熱可塑性樹脂により成型されている場合、及び、前記他の物品との所望接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂フィルムを配置して用いる場合、及び前記他の物品との所望接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂を塗布して用いる場合のそれぞれに使用される熱融着性の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の単体もしくは、これらのブレンド体であることが好ましい。また、前記他の物品の所望接着面が、予め熱融着性の熱可塑性樹脂により形成されている場合、本発明の表面処理シートと他の物品との熱融着接合を可能とするには、これらの熱可塑性樹脂の1種以上が前記他の物品中に含有されていれば良く、この時これら熱融着性の熱可塑性樹脂は、前記ポリウレタン系樹脂、前記ポリアミド系樹脂、前記ポリエステル系樹脂、前記アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂中、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン系共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン系共重合樹脂、ABS樹脂、PP−EPRリアクターアロイ樹脂、PP−EPDMリアクターアロイ樹脂、スチレン系エラストマー、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などに含まれていても良く、或いはまた、これらの樹脂による他の成型部材の最外層に含んで設けられた2層成型以上の、多層成型によって成型されたものであってもよい。これらの成型部材は射出成型、プレス成形などの公知の成型方法により成型することができる。また例えば、前記他の成形部材との所望接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂フィルムを配置して用いる場合、これらの熱可塑性樹脂フィルムは、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の単体もしくは、これらのブレンド体であることが好ましく、本発明方法用表面処理シートと他の物品との熱融着接合を可能とするには、これらの熱可塑性樹脂の1種以上が前記熱可塑性樹脂フィルム中に含有されていれば良く、この時これら熱融着性の熱可塑性樹脂は、前記ポリウレタン系樹脂、前記ポリアミド系樹脂、前記ポリエステル系樹脂、前記アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂中、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン系共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン系共重合樹脂、ABS樹脂、PP−EPRリアクターアロイ樹脂、PP−EPDMリアクターアロイ樹脂、スチレン系エラストマー、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などに含まれていても良く、或いはまた、これらの樹脂による物品の最外層に含んで設けられた2層成型以上の多層成型によって成型されたものであっても良い。これらの熱可塑性樹脂フィルムはコーティングによるキャスト法、T−ダイ押出成型、カレンダー成形、などの公知の成型方法により成型することができる。また更に、前記他の物品との所望接着面上に熱融着性の熱可塑性樹脂を塗布して用いる場合のそれぞれに使用される熱融着性の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の単体もしくは、これらのブレンド体であることが好ましく、本発明方法用表面処理シートと他の物品の接着面に塗布された熱融着性の熱可塑性樹脂との熱融着接合を可能とするには、これらの熱可塑性樹脂の1種以上を溶剤に可溶化されて含有するコーティング剤及び、エマルジョン、ディスパージョンなどの水分散溶液コーティング剤などが前記他の物品の所望接着面に塗布して、乾燥被膜化されていれば良く、この時これら熱融着性の熱可塑性樹脂は、前記ポリウレタン系樹脂、前記ポリアミド系樹脂、前記ポリエステル系樹脂、前記アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むコーティング剤中、例えば、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、SBR、ブチルゴム、SBSなどの溶剤型コーティング剤と共に含まれていても良く、或いはまた、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン系共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン系共重合樹脂、ABS樹脂、PP−EPRリアクターアロイ樹脂、PP−EPDMリアクターアロイ樹脂、スチレン系エラストマーなどのエマルジョン及び、ディスパージョンなどと共に含まれていてもよい。また、これらの樹脂により、最外層にコーティングして設けられた2層以上の多層塗布によって形成された多層塗布層であってもよい。これらのコーティング塗布はロールコート法、スプレーコート法などの公知の塗工方法により形成することができる。
本発明の表面処理シート接合方法は、本発明方法用表面処理シートの熱融着接合性を有している表面処理層を用いるもので、少なくとも熱風融着接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法、超音波ウエルダー接着法のいずれかの方法を用いることができるが、特に本発明方法用表面処理シートの接合に対しては、高周波ウエルダー接着法による接合を行うのが好ましい。高周波ウエルダー接着法としては、具体的には、2枚以上の熱可塑性樹脂フィルム、シートまたは、シート状成型物の一部を重ね合わせ、2ヶ所の電極(一方の電極は、ウエルドバーである)間に置き、融着する部分にウエルドバーを加圧しながら電極に高周波(1〜200MHz )で発振する電位差を印加し、ウエルドバーで加圧、印加した部分に発生する熱可塑性樹脂の分子摩擦熱により、これらの重ね合わせ部分を熱融着、接合、シールするもので、この場合熱可塑性樹脂の誘電損率すなわち、誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)との積量(ε.tanδ)が高周波で発振する内部分子摩擦熱の大きさに関係している。誘電正接は、熱可塑性樹脂により吸収された高周波電磁放射線エネルギーが熱に変換される部分の関数であり、本発明の表面処理シートの誘電損率としては、少なくとも0.01以上であることが好ましい。
高周波ウエルダー接着機としては市販の機種、例えば、山本ビニター(株)のYC−7000FT,YF−7000など、精電舎電子工業(株)のKM−5000TA,KA−7000TEなど、クインライト電子精工(株)のLW−4000W,LW−4060Sなどが使用できる。超音波ウエルダー接着法は、超音波振動子から発生する超音波エネルギー(16〜30KHz )を工具ホーン先端を通じて振幅を増幅させ、融着する複数層の熱可塑性樹脂溶着材に与えることによって熱可塑性樹脂溶着物の境界面に発生する摩擦熱を利用して1秒前後の瞬時に融着を行う方法で、工具ホーンや受治具の設計の選択により、伝達溶着、直接溶着、リベッティング、スポット溶着、ラップバット溶着、ロータリー溶着など溶着形態が多彩である特徴があり、
また、超音波ウエルダー接着法の超音波発熱は、被着物の境界面だけで発生するために、製品の変形や、外観変化に影響を与えずに融着加工できるメリットがある。超音波ウエルダー融着機としては、市販の機種、例えば、超音波工業(株)のUSWP−1200Z21S,USWP−2410Z15Sなど、精電舎電子工業(株)のSONOPET455B/P35A,SONOPET450B/RL210などが使用できる。
熱風融着法としては、ヒーターの電気制御によって、20〜700℃に無段階設定された熱風を、融着体の融着仕様に応じて選ばれたノズルを通じて被着体間に吹き込み、被着体の表面を瞬時に溶融させ、直接被着体を圧着して接着を行う方法である。この熱風融着法の特長としては、機構上、被着体に対して熱風発生機の方を移動させるか、熱風発生機に対して被着体の方を移動させながら融着を行うため、小型のパーツの融着よりも大型シートの連続融着に適しているものである。熱風融着機としては、市販の機種、例えば、ライスター社のライスター熱風融着機のハンディタイプとして、ホットストリーム型、トリアック型、ギブリ型、エレクトロン型、ダイオード型などの機種が、自走式タイプとして、バリアント型、ユニバーサル型などの機種が、クインライト電子精工(株)の被着体送りタイプとしてLHA−Z2,LHA−Z3W,LHA−100ACなどが、それぞれの専用の特殊ノズルとの併用で使用できる。
熱板融着法としては、熱可塑性樹脂の溶融温度以上にヒーター内蔵加熱された金型(こて)を用いて被着体を圧着しシールする方法で、市販の機種としては、例えば、自走式ハンディタイプとして、PFAFF社のPfaff8351,Pfaff8363,Pfaff8362など、被着体送りタイプとして、クインライト電子工業(株)のLHP−W603,LHP−1W1.43などが使用できる。
本発明の表面処理シートの接合方法において、本発明の表面処理シートの表面処理層と、熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品とが、上記融着接合法のいずれかの方法によって融着接合可能であり、しかも、本発明の表面処理シートと熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品との上記融着接合において、本発明の表面処理シート面の任意の位置に、熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品とが融着接合可能である。前記他の物品の少なくとも熱接着面を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン系共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン系共重合樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ素系共重合樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられ、更にイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムと上記熱可塑性樹脂との架橋、加硫アロイ体である熱可塑性エラストマー(TPE)などが挙げられる。
本発明の表面処理シートに融着接合される、熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品は、上記熱可塑性樹脂を主体に着色剤を含む種々の配合添加剤とブレンドして公知の成形方法、例えば、射出成形、インサート成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、トランスファ成形などの方法によって成形されたシート状、プレート状、ボタン状、パイプ状、コード状、ネット状、繊維織物状、スポンジ状、袋状、蜂の巣状などの成型物、これらの成形物の一部または全面へのフック状突起賦形成形物、あるいはループ状突起賦形成形物、または、これら成形物の複合形状成型物など、更には、これらの熱可塑性樹脂成形物と金属注型成形物との一体成形物、もしくは複合成型物、これらの熱可塑性樹脂成形物と熱硬化性樹脂成形物との一体成形物、もしくは複合成型物など、これらの熱可塑性樹脂成形物とセラミック成形物との一体成形物、もしくは複合成型物などを包含する。
本発明方法用表面処理シートにおいて、熱可塑性樹脂成形物含有する他の物品としては、本発明の表面処理シートの重ね合わせ接合、巻き付け固定、貼着に用いられる熱接着補助部材又は、連結拡張に用いられる接着補助部材であることが用途機能上最も好ましく、そして、これらの重ね合わせ接合、巻き付け固定、貼着、連結の繰り返し着脱が自在であることが更に好ましい。例えば、一般的に軟質塩化ビニルシートの接合の場合には、上記の熱風融着接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法、超音波ウエルダー接着法のいずれかの方法を用いることで可能であるが、これらの方法を用いた場合、シートの接合部が互いに溶融融着してしまうために2度とシートを分離する事ができなくなるという欠点を有しており、仮設営のテントの解体、短期用途の広告の取り外し、大型敷物の持ち運びなどには極めて不便なものであった。従って軟質塩化ビニルシートの接合部を自在に繰り返し着脱させるために、接合部に金属製ファスナー(チャック、ジッパー)もしくは樹脂製ファスナー(チャック、ジッパー)を有する繊維織物部材をミシン縫製して取り付けたり、樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)を有する繊維織物部材をミシン縫製して取り付けたりする事によって対応してきたが、これらミシン縫製の場合手間が掛かるという効率的問題がある。また、この問題を解決するために樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)構造を有する樹脂製基材の裏面に粘着剤層を設けてシートなどの被着体に接着する方法が実用化されているが、この方法では、シートの熱可塑性樹脂の種類によっては、粘着剤層が密着し難い場合が多くあり、特にオレフィン系樹脂等に対しては粘着剤層が密着できず、これらの樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)を分離する際の引っ張りで、ファスナー本体自体がシートから剥がれてしまうというトラブルの問題がある。また、これらの樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)構造を有する樹脂製基材を直接オレフィン系樹脂シートに当てて高周波ウエルダー融着して接合する方法では、ウエルダー融着が不可能であり、また、オレフィン系樹脂シート以外の樹脂系シートの場合では、樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)構造を有する樹脂製基材の樹脂系との相溶性の問題があり、超音波ウエルダー融着法や、熱板(コテ)融着法によって融着接合しても、互いの界面で剥離してしまうなど樹脂系の選択には限りがあり、汎用性の低いものであった。
このように互いに異なる樹脂系の相溶性を改良するために加工メーカーで行われる対応手段としては、例えば、樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)構造を有する樹脂製基材を融着させるべきシートの特定の位置の、特定の面積部分だけに対して接着剤を手作業で塗布してから、高周波ウエルダー融着法、超音波ウエルダー融着法、熱板融着法などのいずれかの方法の併用によってこれらの樹脂製材料部材の融着接合を行っているが、確かにこれらの方法によれば、融着は可能とはなるものの、いちいちこれらの樹脂製材料部材を融着するたびに、特定の面積部分だけのみに接着剤を塗布する必要があり、作業性が極めて悪いため、加工メーカーでは敬遠されているのが実情である。
本発明方法用表面処理シートは、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対しスチレン系共重合樹脂を5〜100質量部配合したブレンド組成物又はその100質量部に対し、シリカを1〜25質量部配合して得られたポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層の表面に、好ましくは有機溶剤に溶解された熱可塑性樹脂を含有するコーティング液を、直接塗布、乾燥して熱可塑性樹脂表面処理層を形成して得られたシートであり、この熱可塑性樹脂表面処理層が設けられた表面処理シートの融着接合が、上記従来法で可能であって、更に樹脂製材料を含む他の物品とも融着接合可能であり、また更に、前記他の物品を融着接合すべき本発明の表面処理シートの特定の面積部分に対して特別な接着剤塗布などの処理の手間を必要とせず、任意の場所に融着接合することが可能であるため、極めて作業性に優れている。
本発明方法用表面処理シートに融着接合される、熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品としては、本発明の表面処理シートの重ね合わせ接合、巻き付け固定、貼着または、連結拡張に用いられる用途において、重ね合わせ接合、巻き付け固定、貼着、連結などの着脱が繰り返し自在である接合補助部材であることが用途機能上最も好ましい。
重ね合わせ接合とは、2枚以上のシートの重ね合わせによる接合を意味し、巻き付け固定とは1枚のシートまたは、2枚以上のシートを連結してなる接合シートの少なくとも一端をパイプ状、棒状、ロープ状などの形状の物品にループ状に巻き付け、その端部の裏面の一部をシート端部の同一面の一部に接着固定し、シートの一部分に物品を保持させる接合、あるいは1枚のシートまたは、2枚以上のシートを連結してなる接合シートを、柱や建造物などの支持体の外周に巻き付けて、シートの一端を同じシートの反対側の端部とを重ね合わせて接着固定する接合を意味する。
この様な重ね合わせ接合、巻き付け固定、貼着、連結の着脱が繰り返し自在である接合補助部材としては、金属製ファスナー(チャック、ジッパー)もしくは樹脂製ファスナー(チャック、ジッパー)を有する繊維織物部材、または樹脂製部材など、樹脂製雄雌面ファスナー(マジックテープ)を有する繊維織物部材、または樹脂製部材などが好ましく使用できる。特に樹脂製面ファスナー(マジックテープ)は、任意の長さで連続して、もしくは断続的(部分的)に使用できるため使い方の自由度が高く有用であり好ましい。樹脂製面ファスナーの雄面としては、鉤型あるいはキノコ型のフック状突起賦形成型物(鉤かけ)であり、1cm2 あたり5〜50個の0.3〜10mm長のフック状突起賦型成型物(鉤かけ)が形成されているものが好ましい。1cm2 あたりのフック状突起賦型成型物(鉤かけ)の個数5個より少ない面ファスナーとして十分な接合強力が得られず、また50個よりも多くなると、もう一方の雌面との係合わせ効率がかえって悪くなってしまい、また、これらのフック状突起賦型成形物(鉤かけ)の長さが0.3mmよりも短いと、もう一方の雌面との係合わせに必要な深さが得られなく、10mmより長いと、雌面との係合わせ部分が容易に変形して動くためにシートの接合に適さないものになり好ましくない。樹脂製面ファスナーの雌面としては、キノコ型あるいは、コイル型もしくはループ型の突起賦型成形物(受けラッチ)であり、1cm2 あたり5〜50個の0.3〜10mm長の突起賦型成型物(受けラッチ)が形成されているものが好ましい。1cm2 あたりの状突起賦型成型物(受けラッチ)の個数5個より少ない面ファスナーとして十分な接合強力が得られず、また50個よりも多くなると、もう一方の雄面との係合わせ効率がかえって悪くなってしまい、また、これらの突起賦型成形物(受けラッチ)の長さが0.3mmよりも短いと、もう一方の雄面との係合わせに必要な深さが得られなく、10mmより長いと、雄面との係合わせ部分が容易に変形して動くためにシートの接合に適さないものになり好ましくない。これらの樹脂製雄雌面ファスナーのフック型突起賦型成型物(鉤かけ)及び、ループ型突起賦型成型物(受けラッチ)は、一定方向に配列されていても、あるいはランダム方向に配列されたものでもよいが、雄面のフック型突起賦型成型物(鉤かけ)は一定方向に配列されたものが好ましく、雌面のループ型突起賦型成型物(受けラッチ)はランダム方向に配列されたものであることが好ましい。
またこれらの樹脂製雄雌面ファスナーのフック型突起賦型成型物(鉤かけ)及び、ループ型突起賦型成型物(受けラッチ)に樹脂としては、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(PET,PBT,PNT)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)などのモジュラス値の大きい結晶性樹脂であるものが、繰り返し着脱性の面から好ましい。また、これらの樹脂製雄雌面ファスナーのフック型突起賦型成型物(鉤かけ)及び、ループ型突起賦型成型物(受けラッチ)は、樹脂製雄雌面ファスナー基材の樹脂と共に射出成型によって一体成型されたもの、もしくは、熱可塑性樹脂繊維織物を樹脂製雄雌面ファスナー基材として、その繊維織物構造の一部として例えば、ニードルパンチにより繊維を突起させる方法によってループ型突起賦型成型物(受けラッチ)が形成され、更にループ型突起賦型成型物(受けラッチ)のループをカットすることによってフック型突起賦型成型物(鉤かけ)が形成されたものが好ましい。
本発明を下記実施例、及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例によって限定されるものではない。
下記実施例、及び比較例において表面処理層のシートへの密着性の評価、表面処理シートの高周波ウエルダー融着性の評価、融着接合した表面処理シートの耐熱クリープ性、熱可塑性樹脂成形部材との融着接合性評価(剥離状態)など試験方法は下記の通りである。
(I)表面処理層とオレフィン系樹脂ブレンド層含有基材との密着性
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層に、80メッシュのグラビアロールコーターを用いて後記所要の表面処理を施した後、80℃に温度設定された熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した後に、その表面処理層上にセロハン粘着テープ(商標:セロテープ:ニチバン(株))を表面処理面に貼り、セロハン粘着テープの上から数回強く擦りつけてセロハン粘着テープを十分に表面処理面に密着させた後、セロハン粘着テープの一端を剥がした部分を把持し、セロハン粘着テープを表面処理層から引き剥がして、セロハン粘着テープの粘着面により粘着剥離した表面処理層樹脂部分の量により、表面処理層と、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層との間の接着強度を、下記の判定基準によって評価した。
○:セロハン粘着テープに全く表面処理層の樹脂が付着していない。(密着良好である。)
△:セロハン粘着テープに部分的に表面処理層の樹脂が付着している。
×:セロハン粘着テープに表面処理層の樹脂が全て付着除去されている。(密着していない。)
(II)高周波ウエルダー溶融性
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層に80メッシュのグラビアロールコーターを用いて後記所定の表面処理を施した後、80℃に温度設定した熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した。得られた表面処理シート2枚を重ね合わせ、この表面処理シートを4×30cmのウエルドバーを装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いる溶融試験に供し、シートの高周波ウエルダー性を下記の判定基準によって評価した。
〔註〕ウエルダー融着条件:融着時間2〜12秒、冷却時間2〜12秒
陽極電流0.4〜2.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
○:高周波ウエルダー機の出力条件をコントロールで融着が可能であり、表面処理 シートが発熱し溶融する。
△:高周波ウエルダー機の出力条件をコントロールすることにより融着可能である が、表面処理シートの発熱性が低く溶融性が低い。
×:高周波ウエルダー機の出力条件を最大にコントロール設定しても、表面処理シ ートは発熱せず溶融しない。
(III )高周波ウエルダー溶融接合部の剥離状態
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層の表面に80メッシュのグラビアロールコーターを用いて後記所要の表面処理を施した後、80℃に温度設定された熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した。この表面処理シート2枚を重ね合わせ、この表面処理シートを4×30cmのウエルドバーを装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いる溶融試験に供し、シートの接合部の剥離状態を下記の判定基準によって評価した。
〔註〕ウエルダー融着条件:融着時間2〜12秒、冷却時間2〜12秒
陽極電流0.4〜2.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
○:融着部の剥離操作により2枚の表面処理シートは剥離することなく、その基材 が破壊する。
△:融着部の剥離により2枚の表面処理シートの界面又は層間が剥離破壊する。
×:2枚の表面処理シートは融着していない。
(IV)熱可塑性樹脂を含有する他の物品(成型部材)と表面処理シートの高周波ウエルダー溶融性
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層の表面に80メッシュのグラビアロールコーターを用いて所要の表面処理を施した後、80℃に温度設定した熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した。この表面処理シートの表面処理層上に熱可塑性樹脂を含有する成型部材(ファスナー部材A,B、又はC)とを重ね合わせ、これを、0.5cm×60cmのウエルドバーを装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いて高周波ウエルダー溶融試験に供した。前記重ね合わせ体の高周波ウエルダー性を下記の判定基準によって評価した。(ファスナー部材A,B、又はC)の高周波ウエルダー融着は、そのファスナー機能部を残すようにしてファスナー部材の周縁部を5mm幅の額縁状に融着させた。)
ファスナーA=商品名:マジックテープ:(株)クラレ:雄面(鉤ラッチ)、雌面(受け ループ)ナイロン樹脂製面ファスナー(幅4cm)
ファスナーB=商品名:デュアルロックファスナー(SJ−3463):住友スリーエム (株):雄面(キノコ状ラッチ)、雌面(キノコ状ラッチ)ポリプロピレ ン樹脂製
ファスナーC=ポリエステル樹脂チャック(ジッパー):YKK製ポリエステルスパン繊 維織布にジッパー部材織り込み
〔註〕ウエルダー融着条件:融着時間2〜12秒、冷却時間2〜12秒
陽極電流0.4〜2.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
○:高周波ウエルダー機の出力条件をコントロールすることにより熱融着が可能で あり、供試表面処理シートと熱可塑性樹脂を含有する成型部材とが発熱し溶融 する。
△:高周波ウエルダー機の出力条件をコントロールにより熱融着することが可能で あるが、供試表面処理シート(または熱可塑性樹脂を含有する成型部材)の発 熱性が低く、溶融性が低い。
×:高周波ウエルダー機の出力条件を最大にコントロール設定しても、供試表面処 理シート(または熱可塑性樹脂を含有する成型部材)が発熱せず、溶融しない 。
(V)表面処理シートと熱可塑性樹脂を含有する他の物品(成型部材)との高周波ウエルダー溶融接合部の剥離状態
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層の表面に80メッシュのグラビアロールコーターを用いて後記所要の表面処理を施した後、80℃に温度設定した熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した。得られた表面処理シートと、熱可塑性樹脂を含有する成型部材(ファスナー部材A,B、又はC)とを重ね合わせ、この重ね合わせ部を、0.5cm×60cmのウエルドバーを装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いる高周波ウエルダー溶融試験に供し、その高周波ウエルダー性を下記の判定基準によって評価した。(ファスナー部材A,B、又はC)の高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー部材の周縁部を5mm幅の額縁状に融着させた。)
ファスナーA=商品名:マジックテープ:(株)クラレ:雄面(鉤ラッチ)、雌面(受け ループ)ナイロン樹脂製面ファスナー(幅4cm)
ファスナーB=商品名:デュアルロックファスナー(SJ−3463):住友スリーエム (株):雄面(キノコ状ラッチ)、雌面(キノコ状ラッチ)ポリプロピレ ン樹脂製
ファスナーC=ポリエステル樹脂チャック(ジッパー):YKK製ポリエステルスパン繊 維織布にジッパー部材織り込み
〔註〕ウエルダー融着条件:融着時間2〜12秒、冷却時間2〜12秒
陽極電流0.4〜2.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
○:融着部を剥離すると、表面処理シートの基材が破壊する。
△:融着部を剥離すると、2枚の表面処理シートの界面又は層間が剥離破壊する。
×:表面処理シートと熱可塑性樹脂を含有する成型部材(ファスナー部材A,B、 又はC)とは融着していない。
(VI)高周波ウエルダー融着接合部の耐熱クリープ性
基材のオレフィン系樹脂ブレンド層の表面に80メッシュのグラビアロールコーターを用いて後記所要の表面処理を施した後、80℃に温度設定した熱風乾燥炉を2分間通過させ、常温下に6時間放置した。得られた2枚の表面処理シートの端末を、互いに4cm幅に重ね合わせ、これを4×30cmのウエルドバーを装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いる表面処理シートの溶融試験片とした。この試験片の接合部の耐熱クリープ性を下記の判定基準によって評価した。
〔註〕ウエルダー融着条件:融着時間2〜12秒、冷却時間2〜12秒
陽極電流0.4〜2.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
耐熱クリープ性試験:上記ウエルダー融着シートよりラップ(重ね合わせ)幅4cm を含む試験片幅3cm及び試験片長30cmの試験片を採取して これを耐熱クリープ試験片とし、クリープ試験機(東洋精機 製作所(株)製:100LDR型)を使用して50℃×25 kgf 荷重×24時間の耐熱クリープ性試験を行って、その結 果を評価した。
○:24時間経過後、接合部の破壊はなく、25kgf の荷重に耐える。
×:24時間以内に接合部が剥離破壊する。
(VII )印刷性
表面処理シートの表面処理層表面に、100メッシュのスクリーン孔版を用いて、帝国インキ製造(株)のスクリーン印刷インキ(セリコールVG911黒(軟、硬質塩ビ用)を専用溶剤E−002(標準タイプ)10wt%添加希釈したもの)を用い、文字を印刷した後、室温で24時間乾燥させた。この表面処理シートと印刷インキとの密着性をセロハン粘着テープ剥離試験法により評価した。セロハン粘着テープ(商標:セロテープ:ニチバン(株))を印刷面に貼り、セロハン粘着テープの上から数回強く擦りつけてセロハン粘着テープを印刷面に十分に密着させた後、セロハン粘着テープの一端を剥がして、この部分を把持し、セロハン粘着テープを印刷した表面処理基材から引き剥がして、セロハン粘着テープの粘着面により剥離された印刷インクの量を、下記の判定基準によって評価した。
○:印刷インキがセロハン粘着テープにより全く剥離除去されない。(密着良好で ある。)
△:印刷インキがセロハン粘着テープにより部分的に剥離除去される。
×:印刷インキがその下地の表面処理層とともにセロハン粘着テープによって全て 剥離除去される。
実施例1
低密度ポリエチレン樹脂(商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン(株):MFR 0.5g/10min 、密度0.91)100質量部に対し、水素添加スチレン−ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂であるスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125(HV−3):(株)クラレ:MFR 0.7g/10min :スチレン含有量20wt%)を30質量部と、シリカ(商標:G−300:日本シリカ工業(株):含水率9wt%)を5質量部、滑剤(商標:LE−5:川研ファインケミカル(株))を1.0質量部、紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))を0.5質量部、酸化防止剤(商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.3質量部、着色剤(商標:酸化チタンCR:石原産業(株))を5質量部配合したコンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、150℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練組成物から0.2mm厚のフィルムを150℃の条件にてカレンダー圧延成型した。この混練組成物のロール混練性及び、カレンダー成形性は粘着性や、プレートアウトはなく良好であった。
次にこの混練組成物から得られた0.2mmの白に着色されたフィルムをポリエステル繊維平織目開き基布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度縦糸25本/2.54cm×横糸24本/2.54cm)の両面に140℃に設定したラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、厚さ0.5mm、質量450g/m2 のポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に下記組成からなるポリウレタン系樹脂表面処理剤を80メッシュのグラビアロールコーターを用いて片面あたり8g/m2 の固形分付着量でシートの両面に塗布し、80℃の熱風乾燥炉を2分間通過させ溶剤を乾燥し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを製造した。この表面処理シートを、熱融着接合処理及び試験に供した。
〈ポリウレタン系樹脂表面処理剤〉
商標:タケラックE−350:武田薬品工業(株):ポリエス
テル系ポリウレタン(固形分26wt%、IPA、トルエ
ン溶剤系) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 1.3質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
希釈溶剤:トルエン 50質量部
実施例2
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をポリプロピレン樹脂(商標:ジェイアロマーEG110:日本ポリオレフィン(株):MFR 1.0g/10min )100質量部に置き換え、またスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂)であるスチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007:(株)クラレ:MFR 2.4g/10min :スチレン含有量30wt%)を30質量部に置き換え、更にシリカ配合量を5質量部から10質量部に増量した以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に実施例1のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布してポリウレタン系樹脂表面処理層を形成し、本発明方法用表面処理シートを製造した。
実施例3
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010:住友化学工業(株):MFR 3.0g/10min :VA含有量25wt%)100質量部に置き換え、またスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を25質量部に変更し、更に水素添加スチレン−ブタジエン(ゴム)系共重合樹脂であるスチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P:日本合成ゴム(株):MFR 3.5g/10min :スチレン含有量10wt%)を25質量部配合した以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に実施例1のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを製造した。
実施例4
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をEPR−PPリアクター樹脂(商標:P.E.R−T310J:(株)トクヤマ:MFR 1.5g/10min )100質量部に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に実施例3と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを製造した。
実施例5
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)80質量部とポリプロピレン樹脂(商標:ジェイアロマーEG110)20質量部に置き換え、またスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を20質量部に変更し、更にスチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007)を20質量部配合し、更にシリカ配合量を5質量部から10質量部に増量した以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを製造した。
実施例6
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部を、EPR−PPリアクター樹脂(商標:P.E.R−T310J)60質量部とエチレン−酢酸ビニル樹脂(商標:エバテートK−2010)40質量部に置き換え、またスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を20質量部に変更し、更にスチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P)を20質量部配合した以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って、厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの両面に下記組成のポリエステル系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、ポリエステル系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを製造した。
〈ポリエステル系樹脂表面処理剤〉
商標:バイロン53SS:東洋紡(株):飽和ポリエステル系
共重合樹脂(固形分30wt%、トルエン、MEK溶剤系)100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 1.5質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
希釈溶剤:トルエン 50質量部
実施例7
実施例6の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に下記配合組成からなるポリアミド系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、ポリアミド系樹脂表面処理層を形成し、本発明方法用表面処理シートを製造した。
〈ポリアミド系樹脂表面処理剤〉
商標:ラックスキンN901:セイコー化成(株):ポリアミド
(ナイロン)系樹脂(固形分15wt%、メタノール、トル
エン溶剤系) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 0.75質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
希釈溶剤:メタノール 20質量部
実施例8
実施例6の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に下記配合組成からなるアクリル系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて片面あたり8g/m2 の固形分付着質量で塗布し、アクリル系樹脂表面処理層を形成し、本発明方法用表面処理シートを製造した。
〈アクリル系樹脂表面処理剤〉
商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):
アクリル系共重合樹脂(固形分30wt%、キシレン、
メチルセロソルブ、MEK溶剤系) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 1.5質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
希釈溶剤:MEK 50質量部
実施例1〜8の効果
実施例1〜8で得られたそれぞれの表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2004181969
表1に示されているように、実施例1〜5のシートにはポリウレタン系樹脂表面処理層が良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐え、ポリウレタン系樹脂表面処理層面へのスクリーン印刷性にも優れていた。また実施例6のシートにはポリエステル系樹脂表面処理層が、実施例7のシートにはポリアミド系樹脂表面処理層が、実施例8のシートにはアクリル系樹脂表面処理層が、それぞれ良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐え、実施例6〜8のシートの表面処理層面へのスクリーン印刷性にも優れていた。また高周波ウエルダー性は実施例1〜8のオレフィン系樹脂基材シートが、それぞれ融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜1.0Aの条件でよく溶融し、2枚重ねたシートは互いに良く融着接合されていた。また別法で熱風融着機(ライスター社製バリアント型)を用いて、ノズル温度450℃接合処理速度8m/分の条件で2枚重ね合わせた実施例1〜8のそれぞれのシートを接合したところ、シートの界面は良く溶融接合されていた。これらの溶融接合した2枚のシートを剥がしたところ、接合部分は基材が材料破壊を起こすほど良く溶融し、接合されていた。さらに、実施例1〜8の高周波ウエルダー法による接合シートより採取した接合部を含む3cm幅の試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、実施例1〜8の接合体は全て24時間の耐熱荷重に耐えるなど、塩化ビニル樹脂製品の代替え品として極めて良好な性能であった。
また、実施例1〜8で得られたシートの熱融着接合は、それぞれの実施例のシートの互いに表面と裏面との接合、表面と表面との接合、裏面と裏面との接合のいずれの形態においてもシートとシートとの接合は良好であり、さらに、実施例1〜8で得られたシートは、同じ実施例同士の接合のみならず、別々の実施例で得られたシート同士の熱融着接合も、上記表面−裏面、表面−表面、裏面−裏面の接合形態にて高周波ウエルダー融着接合、及び、熱風融着接合が可能であり、いずれの熱融着接合体とも、接合シートの界面は、その剥離時において、基材の材料破壊を起こすほどに良く融着接合されているものであった。
実施例9
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)70質量部と、ポリプロピレン樹脂(商標:ジェイアロマ−EG110)30質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートの片面に実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を用いて実施例1と同様の手順にて塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成した。次ぎに、この繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの裏面に、実施例7と同じ組成のポリアミド系樹脂表面処理剤を用いて実施例7と同様の手段と手順にて塗布し、表面がポリウレタン系樹脂層で、裏面がポリアミド系樹脂層の異種表面処理層を有する本発明方法用表面処理シート得た。
実施例10
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した裏面のポリアミド系樹脂表面処理剤を、実施例6で使用したポリエステル系樹脂表面処理剤に変更し、実施例6と同様の手段と手順にて塗布し、表面がポリウレタン系樹脂層で、裏面がポリエステル系樹脂層の異種表面処理層を有する本発明方法用表面処理シートを得た。
実施例11
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した表裏異種の表面処理剤の組み合わせを以下の通り変更した。実施例9のポリオレフィン系樹脂基材シートの片面に実施例7で使用したのと同じ組成のポリアミド系表面処理剤を実施例7と同様の手段と手順にて塗布し、ポリアミド系樹脂表面処理層を形成した。次ぎに、この繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの裏面に、実施例6と同じ組成のポリエステル系樹脂表面処理剤を用いて実施例6と同様の手段と手順にて塗布し、表面がポリアミド系樹脂層で、裏面がポリエステル系樹脂層の異種表面処理層を有する本発明方法用表面処理シートを得た。
実施例12
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した表裏異種の表面処理剤の組み合わせを以下の通り変更した。実施例9のポリオレフィン系樹脂基材シートの片面に下記配合組成からなるフッ素系樹脂を含有するアクリル系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手段と手順にて塗布し、フッソ系樹脂表面処理層を形成した。次ぎに、この繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの裏面に、実施例8と同じ組成のアクリル系樹脂表面処理剤を用いて実施例8と同様の手段と手順にて塗布し、表面がフッソ系樹脂を含有するアクリル系樹脂表面処理層で、裏面がアクリル系樹脂層の異種表面処理層を有する本発明方法用表面処理シートを得た。
〈フッ素系樹脂を含有するアクリル系表面処理剤〉
商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):
アクリル系共重合樹脂(固形分30wt%) 70質量部
商標:ハイコープA810G:特殊色料工業(株):フルオロオ
レフィン−ビニルエーテル共重合樹脂(固形分30wt%) 30質量部
商標:タケネートD−140N:武田薬品工業(株):
イソホロン系イソシアネート硬化剤(固形分75wt%) 10質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 2.2質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
希釈溶剤:トルエン 50質量部
実施例13
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)60質量部と、EPR−PPリアクター樹脂(商標:P.E.R−T310J)40質量部に置き換え、またスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂)であるスチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007)30質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成と手順に沿って厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。このポリオレフィン系樹脂基材シートの両面にまず、実施例1で使用したのと同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて塗布し、ポリウレタン樹脂表面処理層を形成した。次ぎに、このポリウレタン系樹脂表面処理層の上に、下記配合組成からなるグラビア印刷塗料を100メッシュの2色印刷グラビアコーターを用いてシートの両面全面に、シルバー色とブルー色交互のタテ方向ストライプ柄をグラビア印刷した(ストライプ幅はシルバー色、ブルー色ともに3cmである)。印刷された本発明方法用表面処理シートが得られた。
〈グラビア印刷塗料:シルバー色ストライプ部〉
商標:フロロトップ1053:旭硝子(株):フルオロオレフィ
ンビニルエーテル共重合樹脂(固形分50wt%) 100質量部
商標:タケネートD−140N:武田薬品工業(株):
イソホロン系イソシアネート硬化剤(固形分75wt%) 10質量部
商標:ハイプリント50T:東洋アルミニウム(株):
アルミニウム顔料 20質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
〈グラビア印刷塗料:ブルー色ストライプ部〉
商標:フロロトップ1053:旭硝子(株):フルオロオレフィ
ンビニルエーテル共重合樹脂(固形分50wt%) 100質量部
商標:タケネートD−140N:武田薬品工業(株):
イソホロン系イソシアネート硬化剤(固形分75wt%) 10質量部
商標:VCFL39藍:東洋インキ製造(株):グラビアインキ 10質量部
商標:VCFL61白:東洋インキ製造(株):グラビアインキ 20質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
実施例14
実施例13の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した表面処理の種類と構成を下記の通り変更した。まず、このポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に、実施例8で使用したのと同じ組成のアクリル系樹脂表面処理剤を実施例8と同様の手順にて塗布し、アクリル樹脂表面処理層を形成した。次ぎに、このアクリル系樹脂表面処理層の上に、実施例13で使用したのと同じグラビア印刷塗料を用いて実施例13と同様の手段と手順に従って、シートの両面全面に、シルバー色とブルー色交互のタテ方向ストライプ柄をグラビア印刷した(ストライプ幅はシルバー色、ブルー色ともに3cmである)。印刷された本発明方法用表面処理シートが得られた。
実施例15
実施例13の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した表面処理の種類と構成を下記の通り変更した。まず、このポリオレフィン系樹脂基材シートの片面に、実施例1で使用したのと同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成し、次ぎに、このポリオレフィン系樹脂基材シートの裏面側に実施例8で使用したアクリル系樹脂表面処理剤を用いて実施例8と同様の手順にて塗布し、アクリル系樹脂表面処理層を形成させた。次ぎに実施例13で使用したのと同じグラビア印刷塗料を用いて実施例13と同様の手段と手順に従って、シートのポリウレタン系樹脂表面処理層面全面に、シルバー色とブルー色交互のタテ方向ストライプ柄をグラビア印刷した(ストライプ幅はシルバー色、ブルー色ともに3cmである)。印刷された本発明方法用表面処理シートが得られた。
(※裏面のアクリル系樹脂表面処理層面にはグラビア印刷はされていない)
実施例16
実施例13の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートに処理した表面処理の種類と構成を下記の通り変更した。まず、このポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に、実施例8で使用したのと同じ組成のアクリル系樹脂表面処理剤を実施例8と同様の手順にて塗布し、アクリル系樹脂表面処理層を形成し、次ぎに、このポリオレフィン系樹脂基材シートの表面側のみに、下記組成からなるグラビア印刷塗料を用いて実施例13と同様の手段と手順に従って、黒色とブルー色交互のタテ方向ストライプ柄をグラビア印刷した(ストライプ幅は黒色、ブルー色ともに3cmである)。印刷された本発明方法用表面処理シートが得られた。
〈グラビア印刷塗料:黒色ストライプ部〉
商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):
アクリル系共重合樹脂(固形分30wt%) 100質量部
商標:VCFL94墨:東洋インキ製造(株):グラビアインキ 50質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
〈グラビア印刷塗料:ブルー色ストライプ部〉
商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):
アクリル系共重合樹脂(固形分30wt%) 100質量部
商標:VCFL39藍:東洋インキ製造(株):グラビアインキ 20質量部
商標:VCFL61白:東洋インキ製造(株):グラビアインキ 40質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.3質量部
実施例9〜16の効果
実施例9〜16で得られたそれぞれの表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2004181969
表2において、実施例9〜16のシートには、ポリウレタン系樹脂表面処理層、ポリアミド系樹脂表面処理層、ポリエステル系樹脂表面処理層、アクリル系樹脂表面処理層がそれぞれ良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐え、実施例9〜11の表面処理層面へのスクリーン印刷性にも優れていた。また、実施例13〜16では、本発明の表面処理シートの表面に2色ストライプ柄のグラビア印刷した結果、グラビア印刷性及び、インキの表面処理シートとの密着性は良好であった。更に実施例12では、フッソ系樹脂を含有したアクリル系表面処理層の形成により、特に防汚性が優れていた。また高周波ウエルダー性は実施例9〜16のオレフィン系樹脂基材シートが、それぞれ融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜0.8Aの条件でよく溶融し、2枚重ねたシートは互いに良く融着接合されていた。また別法でライスター社熱風融着機(バリアント型)を用いて、ノズル温度400〜450℃接合処理速度8m/分の条件で2枚重ね合わせた実施例9〜16のそれぞれのシートを接合したところ、シートの界面は良く溶融接合されていた。これらの溶融接合した2枚のシートを剥がしたところ、接合部分は基材が材料破壊を起こすほど良く溶融し、接合されていた。さらに、実施例9〜16の高周波ウエルダー法による接合シートより採取した接合部を含む3cm幅の試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、実施例9〜16の接合体は全て24時間の耐熱荷重に耐え、塩化ビニル樹脂製品の代替え品として極めて良好な性能であった。特に、実施例12では防汚性が優れ、実施例13〜16においてはグラビア印刷による絵柄など意匠の付与が軟質塩ビ製品シート並の作業で可能であるなど、いずれの表面処理シートもテント膜材に適したシートであった。
また、実施例9〜16で得られたシートの熱融着接合は、それぞれの実施例のシートの互いに表面と裏面との接合、表面と表面との接合、裏面と裏面との接合のいずれの形態においてもシートとシートとの接合は良好であり、さらに、実施例9〜16で得られたシートは、同じ実施例同士の接合のみならず、別々の実施例で得られたシート同士の熱融着接合も、上記表面−裏面、表面−表面、裏面−裏面の接合形態にて高周波ウエルダー融着接合、及び、熱風融着接合が可能であり、いずれの熱融着接合体とも、接合シートの界面は、その剥離時において、基材の材料破壊を起こすほどに良く融着接合されているものであった。
実施例17
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)100質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成、及び同様の手順に従って0.2mm厚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次ぎに下記配合組成からなる熱可塑性ポリウレタン樹脂コンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、150℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練成型物から0.2mm厚のフィルムを155℃の条件にてカレンダー圧延成型した。次ぎに実施例1と同じ繊維布帛を用い、上記2種類のフィルムを実施例1と同様の手順に沿って150℃の熱条件で熱ラミネートし、表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量465g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面に、実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層の形成を行った。本発明方法用表面処理シートが得られた。
(※裏面ポリウレタン系樹脂層面には表面処理はなされていない。)
〈熱可塑性ポリウレタン系樹脂配合組成〉
商標:レザミンP1045CL:大日精化工業(株):熱可
塑性ポリウレタン樹脂(アジペート型エステルタイプ) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
実施例18
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)100質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成、及び同様の手順に従って0.2mm厚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次ぎに下記配合組成からなる熱可塑性ポリアミド系樹脂を単軸押出機でペレット加工した後、190℃−230℃に設定したT−ダイ押出機を用いて0.2mm厚のフィルムを押出成型し、実施例1と同じ繊維布帛を用い、上記2種類のフィルムを160℃の熱条件で熱ラミネートし、表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリアミド系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量485g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面に、実施例7と同じ組成のポリアミド系樹脂表面処理剤を実施例7と同様の手順にて塗布し、ポリアミド系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
(※裏面ポリアミド系樹脂層面には表面処理はなされていない。)
〈熱可塑性ポリアミド系樹脂配合組成〉
商標:ダイアミドPAE−E47:ダイセル化学工業(株):
熱可塑性ポリアミド樹脂(ナイロン−12系共重合ポ
リエーテルタイプ) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
実施例19
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)100質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成、及び同様の手順に従って0.2mm厚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次ぎに下記配合組成からなる熱可塑性ポリエステル系樹脂を単軸押出機でペレット加工した後、190℃−230℃に設定したT−ダイ押出機を用いて0.2mm厚のフィルムを押出成型し、実施例1と同じ繊維布帛を用い、上記2種類のフィルムを160℃の熱条件で熱ラミネートし、表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量485g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面に、実施例6と同じ組成のポリエステル系樹脂表面処理剤を実施例6と同様の手順にて塗布し、ポリエステル系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
(※裏面ポリエステル系樹脂層面には表面処理はなされていない。)
〈熱可塑性ポリエステル系樹脂配合組成〉
商標:ペルプレンP−40H:東洋紡績(株):熱可塑性ポ
リエステル樹脂(ポリエステル−ポリエーテル共重合
タイプ) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
実施例20
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)100質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成、及び同様の手順に従って0.2mm厚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次ぎに下記配合組成からなる熱可塑性アクリル系樹脂コンパウンドをバンバリーミキサーで溶融混練した後、140℃に設定した熱ロール(2本ロール)で5分間均一に混練した後、この混練成型物から0.2mm厚のフィルムを145℃の条件にてカレンダー圧延成型し、実施例1と同じ繊維布帛を用い、上記2種類のフィルムを150℃の熱条件で熱ラミネートし、表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性アクリル系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量445g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面に、実施例8と同じ組成のアクリル系樹脂表面処理剤を実施例8と同様の手順にて塗布し、アクリル系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
(※裏面アクリル系樹脂層面には表面処理はなされていない。)
〈熱可塑性アクリル系樹脂配合組成〉
商標:アクリフトWH−206:住友化学工業(株):
エチレン−メチルメタアクリレート樹脂(MMA含有
量20wt%) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
実施例21
実施例1の低密度ポリエチレン樹脂100質量部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(商標:エバテートK−2010)100質量部に置き換えた以外は実施例1と同様の組成、及び同様の手順に従って0.2mm厚のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次ぎに下記配合組成からなる熱可塑性樹脂コンパウンドをそれぞれ単軸押出機でペレット加工した後、190℃−230℃に設定した2層フィルム成型用T−ダイ押出機を用いて、表面が0.1mm厚のポリアミド系樹脂層で、裏面が0.1mm厚のポリオレフィン系樹脂層である総厚0.2mmの2層フィルムを共押出成型し、実施例1と同じ繊維布帛を用い、上記2種類のフィルムを160℃の熱条件で熱ラミネートし、表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で、裏面がポリオレフィン系樹脂(繊維布帛面側)/ポリアミド系樹脂(外面側)の2層フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量455g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎにこのシートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面に、実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて塗布し、ポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
(※裏面ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂2層フィルム層のポリアミド系樹脂側表面には表面処理はなされていない。)
〈熱可塑性ポリオレフィン系樹脂配合組成〉
商標:ジェイレクスLLBF1350:日本ポリオレフィン
(株):低密度ポリエチレン樹脂 50質量部
商標:アドテックスET182G:日本ポリオレフィン(株):
接着性樹脂 50質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 1.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
〈熱可塑性ポリアミド系樹脂配合組成〉
商標:ダイアミドPAE−E47:ダイセル化学工業(株):
熱可塑性ポリアミド樹脂(ナイロン−12系ポリエー
テルタイプ) 100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.2質量部
商標:イルガノックス1010:チバ・スペシャルティケミ
カルズ:酸化防止剤 0.2質量部
商標:酸化チタンCR:石原産業(株):着色剤(二酸化チ
タン:ルチル型) 5.0質量部
実施例22
実施例19の表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量485g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面と、裏面の熱可塑性ポリエステル系樹脂フィルム面の表面全体とに、実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を実施例1と同様の手順にて塗布し、シートの両面にポリウレタン系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
実施例23
実施例17の表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量465g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面と、裏面の熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム面の表面全体とに、実施例6と同じ組成のポリエステル系表面処理剤を実施例6と同様の手順にて塗布し、シートの両面にポリエステル系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
実施例24
実施例17の表面がポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層で裏面が熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム層から構成された厚さ0.5mm、質量465g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム面の表面全面と、裏面の熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム面の表面全体とに、実施例7と同じ組成のポリアミド系表面処理剤を実施例7と同様の手順にて塗布し、シートの両面にポリアミド系樹脂表面処理層を形成して、本発明方法用表面処理シートを得た。
実施例17〜24の効果
実施例17〜24で得られたそれぞれの表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2004181969
表3において、実施例17,21,22のシートには、ポリウレタン系樹脂表面処理層が、実施例18,24のシートには、ポリアミド系樹脂表面処理層が、実施例19,23のシートには、ポリエステル系樹脂表面処理層が、実施例20のシートには、アクリル系樹脂表面処理層がそれぞれ良く密着していてセロハン粘着テープによる剥がし試験に耐え、実施例17〜24の表面処理層面へのスクリーン印刷性にも優れていた。また高周波ウエルダー性は実施例17〜24のオレフィン系樹脂基材シートが、それぞれ融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜0.8Aの条件でよく溶融し、2枚重ねたシートは互いに良く融着接合されていた。また別法で熱風融着機(ライスター社製バリアント型)を用いて、ノズル温度400〜450℃接合処理速度8m/分の条件で2枚重ね合わせた実施例17〜24のそれぞれのシートを接合したところ、シートの界面は良く溶融接合されていた。これらの溶融接合した2枚のシートを剥がしたところ、接合部分は基材が材料破壊を起こすほど良く溶融し、接合されていた。さらに、実施例17〜24の高周波ウエルダー法による接合シートより採取した接合部を含む3cm幅の試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、実施例17〜24の接合体は全て24時間の耐熱荷重に耐えるなど、塩化ビニル樹脂製品の代替え品として極めて良好な性能であった。
また、実施例17〜24で得られたシートの熱融着接合は、それぞれの実施例のシートの互いに表面と裏面との接合、表面と表面との接合、裏面と裏面との接合のいずれの形態においてもシートとシートとの接合は良好であり、さらに、実施例17〜24で得られたシートは、同じ実施例同士の接合のみならず、別々の実施例で得られたシート同士の熱融着接合も、上記表面−裏面、表面−表面、裏面−裏面の接合形態にて高周波ウエルダー融着接合、及び、熱風融着接合が可能であり、いずれの熱融着接合体とも、接合シートの界面は、その剥離時において、基材の材料破壊を起こすほどに良く融着接合されているものであった。
実施例25
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に実施例1と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を用いて実施例1と同様の手順にて片面8g/m2 の付着質量で塗布し、基材シートの両面にポリウレタン系樹脂表面処理層を形成した。得られた表面処理シートを上記試験(I),(IV),(V)により評価した。結果、実施例25の表面処理シートにはポリウレタン系表面処理層が良く密着していて(セロハン粘着テープによる剥がし試験)、またポリオレフィン系樹脂基材シートとファスナーAの雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材Aの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーAの雄面及び、雌面部材を実施例25の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
※ファスナーA=商標:マジックテープ:(株)クラレ:雄面(鉤ラッチ)、雌面(受 けループ)ナイロン樹脂製面ファスナー(幅4cm)
実施例26
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に実施例8と同じ組成のポリウレタン系樹脂表面処理剤を用いて実施例8と同様の手順にて片面8g/m2 の付着質量で塗布し、基材シートの両面にアクリル系樹脂表面処理層を形成した。得られた表面処理シートを上記試験(I),(IV),(V)により評価した。結果、実施例26の表面処理シートにはアクリル系表面処理層が良く密着していて(セロハン粘着テープによる剥がし試験)、またポリオレフィン系樹脂基材シートとファスナーA(実施例25)の雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材Aの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーAの雄面及び、雌面部材を実施例26の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
実施例27
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に実施例7と同じ組成のポリアミド系樹脂表面処理剤を用いて実施例7と同様の手順にて片面8g/m2 の付着質量で塗布し、基材シートの両面にポリアミド系樹脂表面処理層を形成した。得られた表面処理シートを上記試験(I),(IV),(V)により評価した。結果、実施例27の表面処理シートにはポリアミド系表面処理層が良く密着していて(セロハン粘着テープによる剥がし試験)、またポリオレフィン系樹脂基材シートとファスナーAの雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材A(実施例25)の高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーAの雄面及び、雌面部材を実施例27の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
実施例28
実施例9の厚さ0.5mm、質量450g/m2 の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面に実施例6と同じ組成のポリエステル系樹脂表面処理剤を用いて実施例6と同様の手順にて片面8g/m2 の付着質量で塗布し、基材シートの両面にポリエステル系樹脂表面処理層を形成した。得られた表面処理シートを上記試験(I),(IV),(V)により評価した。結果、実施例28の表面処理シートにはポリエステル系表面処理層が良く密着していて(セロハン粘着テープによる剥がし試験)、またポリオレフィン系樹脂基材シートとファスナーA(実施例25)の雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材Aの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーAの雄面及び、雌面部材を実施例28の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
実施例29
実施例28の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面にポリエステル系樹脂表面処理層が形成された表面処理シートを用いてファスナーBとの溶融接合試験を行った。但し、実施例28の表面処理シートとファスナーBの雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー融着加工時に、ファスナーBの雄面部材及び、雌面部材と同じサイズに成型された下記熱可塑性樹脂製フィルムを、表面処理シートとファスナーBの雄面部材及び、雌面部材の間に挿入配置して高周波ウエルダー融着を実施した。高周波ウエルダー融着は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材Bの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーBの雄面及び、雌面部材を実施例28の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
※ファスナーB=商標:デュアルロックファスナー(SJ−3463):住友スリーエ ム(株):雄面(キノコ状ラッチ)、雌面(キノコ状ラッチ)ポリプロピレン樹脂製
〈配置挿入した熱可塑性樹脂フィルム〉
商標:ダイアミドフィルム7000:ダイセル化学工業(株)
ナイロン−12系共重合樹脂:100μ厚、30mm幅
実施例30
実施例28の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面にポリエステル系樹脂表面処理層が形成された表面処理シートを用いてファスナーBとの溶融接合試験を行った。但し、実施例28の表面処理シートとファスナーBの雄面部材及び、雌面部材との高周波ウエルダー融着加工時に、ファスナーBの雄面部材及び、雌面部材の下記所望融着接合部位面に下記熱可塑性樹脂溶液をデスペンサ塗布(乾燥付着量8g/m2 )してから表面処理シートとファスナーBとの高周波ウエルダー融着を実施した。高周波ウエルダー融着は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー部材Bの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー雄面部材及び、雌面部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)また、この溶融接合したファスナーBの雄面及び、雌面部材を実施例28の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
〈塗布した熱可塑性樹脂〉
商標:アロンメルトPPET1505−SG:東亜合成化学(株)
ポリエステル系共重合樹脂30wt%溶液
実施例31
実施例27の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面にポリアミド系樹脂表面処理層が形成された表面処理シートを用いてファスナーCとの溶融接合試験を行った。但し、実施例27の表面処理シートとファスナーCとの高周波ウエルダー融着加工時に、ファスナーCの部材と同じサイズに成型された下記熱可塑性樹脂製フィルムを、表面処理シートとファスナーCの間に挿入配置して高周波ウエルダー融着を実施した。高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー機能部を残すようにしてファスナー部材の縁部を5mm幅に融着させた)また、この溶融接合したファスナーC部材を実施例27の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
※ファスナーC=ポリエステル樹脂チャック(ジッパー):YKK製ポリエステルスパ ン繊維織布にジッパー部材織り込み
〈配置挿入した熱可塑性樹脂フィルム〉
サーモライト6501:ダイセル化学工業(株)
ポリウレタン系樹脂:100μ厚、30mm幅
実施例32
実施例27の繊維布帛含有ポリオレフィン系樹脂基材シートの両面にポリアミド系樹脂表面処理層が形成された表面処理シートを用いてファスナーCとの溶融接合試験を行った。但し、実施例27の表面処理シートとファスナーCとの高周波ウエルダー融着加工時に、ファスナーCの部材の下記所望融着接合部位面に下記熱可塑性樹脂溶液をデスペンサ塗布(乾燥付着質量8g/m2 )してから表面処理シートとファスナーCとの高周波ウエルダー融着を実施した。高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0Aの条件でいずれもよく溶融し、良く融着接合されていた。(ファスナー機能部を残すようにしてファスナー部材の縁部を5mm幅に融着させた)また、この溶融接合したファスナーC部材を実施例27の表面処理シートから剥がしたところ、融着接合部分はシート基材の材料破壊を起こすほど良く溶融接合されていた。結果を表4に示す。
〈塗布した熱可塑性樹脂〉
商標:ニッポラン5115:日本ポリウレタン工業(株)
ポリウレタン系樹脂30wt%溶液 50質量部
商標:アロンメルトPPET1505−SG:東亜合成化学(株)
ポリエステル系共重合樹脂30wt%溶液 50質量部
Figure 2004181969
実施例25〜実施例32の効果の確認
実施例25〜実施例32で作製した表面処理シートの表面処理面の任意の位置に、実施例で用いた着脱自在の熱可塑性樹脂を含有する成型部材であるファスナーA、ファスナーB、及びチャック式ファスナーCをそのまま用いて、あるいは熱可塑性樹脂フィルムをファスナー成型部材接合面に配置して、また、あるいはファスナー成型部材接合面に対して熱可塑性樹脂溶液を塗布して、それぞれ表面処理シートとの高周波ウエルダー融着接合が可能であった。また、具体的用途例として実施例1〜実施例32で作製した本発明の表面処理シートのいずれを使用してもよいが、例えば実施例25の表面処理シートを用いて、高さ2m×幅2m×長さ3mの箱形の組立式簡易テントを設計し、天面、地面、側面、側面、正面、奥面の6枚の四角型シートパーツのそれぞれの接合糊しろ部分に、ファスナーAの雄面部材と雌面部材を高周波ウエルダー機(山本ビニター(株):YF−7000:7kw機)をもちいて融着接合した。この時ファスナーAの雄面部材と噛み合う雄面部材と別々のシートパーツに互いに雄面部材と雌面部材とが噛み合う向きに融着させた。これらのファスナーを組み合わせて融着接合した6枚の四角型シートパーツと、アルミニウムパイプ製のテント骨組み基材を用いて上記箱型の組立式簡易テントを組立たところ、組立が一人で容易に可能でしかも短時間で設営が完了し、完成したテントは、それぞれのファスナー部材が表面処理シートと強固に接着していて、また、ファスナー同士の噛み合い強力も得られているため、簡易テントとしての機能は十分なものであった。また、この組立式簡易テントにおいて特にチャック式ファスナーCを正面シート部分に用いることによって、開閉自在の出入り口を設けることができた。
さらに、この組立式簡易テントは、設営と同様に、解体、収納も一人で容易に短時間で完了するなど、キャンプや緊急時避難用のテントとして有用性の高いものであった。
比較例1〜比較例8
実施例1〜実施例8、それぞれのポリオレフィン系樹脂基材シートの各配合組成よりスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)、スチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007)、スチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P)を全て省いた以外は実施例1〜実施例8と同様の配合及び、手順に沿ってポリオレフィン系樹脂基材シートを作製した。比較例1〜比較例5においては、シートの両面に実施例1で用いたポリウレタン系表面処理剤を用いて、比較例6においては、実施例6で用いたポリエステル系樹脂表面処理剤を用いて、比較例7においては、実施例7で用いたポリアミド系樹脂表面処理剤を用いて、比較例8においては、実施例8で用いたアクリル系樹脂表面処理剤を用いて、実施例1〜実施例8と同様の手順に従って片面あたりの塗布量が固形分8g/m2 となるように表面処理層の形成を行った。得られた表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果、比較例1〜比較例5のシートではポリウレタン系樹脂表面処理層がポリオレフィン系樹脂基材シートと密着しておらず、比較例6のシートではポリエステル系樹脂表面処理層が、比較例7のシートではポリアミド系樹脂表面処理層が、比較例8のシートではアクリル系樹脂表面処理層が、それぞれオレフィン系樹脂基材と密着しておらず、セロハン粘着テープによる剥離試験において、それぞれの表面処理層がセロハン粘着テープ側に剥ぎ取られていた。この様に比較例1〜比較例8のシートでは、表面処理層が全面剥がれてしまうため、それらの表面処理シートにスクリーン印刷やグラビア印刷などを施しても、シートの折り曲げにより表面処理層ごと印刷部の脱落を伴った。また比較例1〜比較例8のシートの高周波ウエルダー性はポリオレフィン系樹脂基材シートが融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜1.0Aの条件で見かけ溶融するものの2枚重ねたシートの融着接合は完全なものではなく、2枚重ね合わせたシートを剥がしたところ、いずれの試験シートもポリオレフィン系樹脂基材シートと、それぞれの表面処理層の層間剥離により簡単に重ね合わせたシートが2枚に分離した。また、これらの接合試験片より採取した接合部を含む試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、試験開始直後すぐに接合部が剥離破壊してしまった。この様にスチレン系共重合樹脂を配合系から省いたことによって、オレフィン系樹脂基材に表面処理層の形成が全く不能となり、こうして得られたシートは実用性が全くないものであった。結果を表5に示す。
Figure 2004181969
比較例9〜比較例10
比較例9、比較例10では、実施例9、実施例10で使用したスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部をそれぞれ150質量部に変更した以外は、実施例9、実施例10と同様の配合及び、手順にてポリオレフィン系樹脂基材シートを作製した。結果、スチレン系樹脂(1)の150質量部への増量により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドが粘着性を発生して、カレンダー加工性が極めて悪い状態でフィルムを得ることができなかった。そこで、T−ダイ押出機を用いて180〜220℃条件で、0.2mm厚のフィルムを作製し、繊維布帛と熱ラミネートを行って、実施例9、実施例10と同じポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎに、それぞれ実施例9、実施例10で使用したのと同じ表面処理剤を用いて塗布し、比較例9では、表側面がポリウレタン系樹脂表面処理層を、裏側面がポリアミド系樹脂表面処理層を有する表面処理シートを、比較例10では、表側面がポリウレタン系樹脂表面処理層を、裏側面がポリエステル系樹脂表面処理層を有する表面処理シートを得た。得られた表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した結果、比較例9、比較例10のシートでは表側面ポリウレタン系樹脂表面処理層、裏側面ポリアミド系樹脂表面処理層、及びポリエステル系表面処理層が、全てポリオレフィン系樹脂基材シートと良く密着していて、セロハン粘着テープによる剥離試験において、表面処理層がセロハン粘着テープ側に剥ぎ取られることがなかった。また比較例9、比較例10のシートの高周波ウエルダー性はポリオレフィン系樹脂基材シートが融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜0.8Aの条件で良く溶融接合されていて、2枚重ね合わせたシートを剥がしたところ、いずれの試験シートもポリオレフィン系樹脂基材シート側の本体破壊であった。しかし、これらの接合試験片より採取した接合部を含む試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、試験開始後30分で接合部のオレフィン系ブレンド樹脂フィルムが、伸びて糸抜け破壊してしまった。この様にスチレン系共重合樹脂を100質量部以上の150質量部にしたことでオレフィン系樹脂基材のカレンダー加工性と樹脂物性及び耐熱性に劣るものとなり、実用性が全くないものであった。結果を表6に示す。
比較例11〜比較例12
比較例11では実施例11で使用したスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部をスチレン系共重合樹脂(2)(商標:セプトン2007)200質量部に変更し、比較例12では実施例12で使用したスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部をスチレン系共重合樹脂(3)(商標:ダイナロン1320P)200質量部に変更した以外は、実施例11、実施例12と同様の配合及び、手順にてポリオレフィン系樹脂基材シートを作製した。結果、スチレン系樹脂(2)及びスチレン系樹脂(3)を200質量部へ増量したことにより、ポリオレフィン系樹脂ブレンドが粘着性を発生して、カレンダー加工性が極めて悪い状態でフィルムを得ることができなかった。そこで、T−ダイ押出機を用いて180〜220℃条件で、0.2mm厚のフィルムを作製し、繊維布帛と熱ラミネートを行って、実施例11、実施例12と同じポリオレフィン系樹脂基材シートを得た。次ぎに、それぞれ実施例11、実施例12で使用したのと同じ表面処理剤を用いて塗布し、比較例11では、表側面がポリアミド系樹脂表面処理層を、裏側面がポリエステル系樹脂表面処理層を有する表面処理シートを、比較例12では、表側面がフッ素系樹脂を含有するアクリル系樹脂表面処理層を、裏側面がアクリル系樹脂表面処理層を有する表面処理シートを得た。得られた表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した結果、比較例11、比較例12のシートでは表側面表面処理層及び、裏側面表面処理層が、ポリオレフィン系樹脂基材シートと良く密着していて、セロハン粘着テープによる剥離試験において、表面処理層がセロハン粘着テープ側に剥ぎ取られることがなかった。また比較例11、比較例12のシートの高周波ウエルダー性はポリオレフィン系樹脂基材シートが融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流0.7〜0.8Aの条件で良く溶融接合されていて、2枚重ね合わせたシートを剥がしたところ、いずれの試験シートもポリオレフィン系樹脂基材シート側の本体破壊であった。しかし、これらの接合試験片より採取した接合部を含む試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、試験開始後10分で接合部のオレフィン系ブレンド樹脂フィルムが、伸びて糸抜け破壊してしまった。この様にスチレン系共重合樹脂を100質量部以上の200質量部にしたことでオレフィン系樹脂基材のカレンダー加工性と樹脂物性及び耐熱性に劣るものとなり、実用性が全くないものであった。結果を表6に示す。
比較例13
実施例9で使用したスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を120質量部に変更した以外は、実施例9と同様の配合及び、手順にてポリオレフィン系樹脂基材シートを作製した。結果、スチレン系樹脂(1)の120質量部への増量により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドのカレンダー加工性は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドが粘着性を発生して、カレンダー加工性が悪い状態ではあったが、なんとかフィルムを得ることができた。次ぎに、シートの両面に下記水系ウレタン樹脂配合組成物からなるポリウレタン系表面処理剤を用いて、実施例1と同様の手順に従って片面あたりの塗布量が固形分8g/m2 となるように表面処理を行った。
〈水系ポリウレタン表面処理剤〉
商標:パーミュセンWF−41−083:スタールジャパン(株)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(固形分40wt%)100質量部
商標:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 4.0質量部
商標:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
得られた表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果、比較例13のシートには水系ポリウレタン系表面処理剤による表面処理層が良く密着しておらず、ポリウレタン系表面処理層が全面剥がれてしまうため、印刷してもシートの折り曲げによって、ポリウレタン系樹脂表面処理層ごと、印刷の脱落を伴った。また高周波ウエルダー性はポリオレフィン系樹脂基材シートが融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流1.2Aの条件で溶融するものの2枚重ねたシートの融着接合は完全なものではなかった。また、この接合試験片より採取した接合部を含む試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、試験開始直後すぐに接合部が剥離破壊してしまうなど、実用性が全くないものであった。結果を表6に示す。
比較例14
実施例9で使用したスチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を120質量部に変更した以外は、実施例9と同様の配合及び、手順にてポリオレフィン系樹脂基材シートを作製した。結果、スチレン系樹脂(1)の120質量部への増量により、ポリオレフィン系樹脂ブレンドのカレンダー加工性は、ポリオレフィン系樹脂ブレンドが粘着性を発生して、カレンダー加工性が悪い状態ではあったが、なんとかフィルムを得ることができた。次ぎに、シートの両面に下記水系ウレタン樹脂配合組成物からなるポリウレタン系表面処理剤を用いて、実施例1と同様の手順に従って片面あたりの塗布量が固形分8g/m2 となるように表面処理を行った。
〈水系ポリエステル系表面処理剤〉
商標名:バイロナールMD1100:東洋紡(株):
ポリエステル系共重合樹脂(固形分30wt%) 100質量部
商標名:E−200:日本シリカ工業(株):含水シリカ
(含水率6wt%) 3.0質量部
商標名:バイオソーブ510:共同薬品(株):紫外線吸収剤 0.1質量部
得られた表面処理シートを上記試験(I),(II),(III ),(VI),(VII )により評価した。その結果、比較例14のシートには水系ポリエステル系表面処理剤による表面処理層が良く密着しておらず、ポリエステル系表面処理層が全面剥がれてしまうため、印刷してもシートの折り曲げによって、ポリエステル系樹脂表面処理層ごと、印刷の脱落を伴った。また高周波ウエルダー性はポリオレフィン系樹脂基材シートが融着時間8秒、冷却時間8秒、陽極電流1.2Aの条件で溶融するものの2枚重ねたシートの融着接合は完全なものではなかった。また、この接合試験片より採取した接合部を含む試験片による耐熱クリープ性試験を50℃×25kgf 荷重×24時間行ったところ、試験開始直後すぐに接合部が剥離破壊してしまうなど、実用性が全くないものであった。結果を表6に示す。
Figure 2004181969
比較例15〜比較例20
比較例15〜比較例20は、実施例25〜実施例32の配合より、スチレン系共重合樹脂(1)(商標:ハイブラー7125)30質量部を全て省いた。それ以外表面処理層に用いた樹脂系と、熱可塑性樹脂を含む成型品部材として使用した分離着脱自在のファスナーA、ファスナーB、ファスナーCとの組み合わせは、実施例25、実施例26、実施例29〜実施例32と同じである。実施例25の配合からスチレン系共重合樹脂(1)を省いたのが、比較例15で、同じく比較例16は実施例26に、比較例17は実施例29に、比較例18は実施例30に、比較例19は実施例31に、比較例20は実施例32に対応している。比較例15においては、シートの両面に実施例1で用いたポリウレタン系表面処理剤を用いて、比較例16においては、実施例8で用いたアクリル系樹脂表面処理剤を用いて、比較例17、比較例18においては、実施例6で用いたポリエステル系樹脂表面処理剤を用いて、比較例19、比較例20においては、実施例7で用いたポリアミド系樹脂表面処理剤を用いて、片面あたりの塗布量が固形分8g/m2 となるように表面処理層の形成を行った。得られた表面処理シートを上記試験(I),(IV),(V)により評価した結果、比較例15〜比較例20のシートには表面処理剤が密着しておらず、セロハン粘着テープの粘着面に表面処理層が全面剥がし取られてしまった。またポリオレフィン系樹脂基材シートとファスナーA、ファスナーB、ファスナーCとの高周波ウエルダー性は、融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流1.2Aの条件でいずれも見かけ溶融はするものの、この溶融接合したファスナーA、ファスナーB、ファスナーCを比較例15〜比較例20のシートから剥がしたところ、いずれのシートにおいても融着接合部分で、ポリオレフィン系樹脂基材シート表面からの層間剥離破壊を起こして簡単に剥がれてしまい、着脱の繰り返し性及び、ファスナー融着接合部強度など、実用性面に問題があった。この様にスチレン系共重合樹脂を配合系から省いたことによって、オレフィン系樹脂基材に表面処理層の形成が全く不能となり、こうして得られたシートは他の熱可塑性樹脂成形部材との熱融着接合性が不満足であるため、全く実用性がないものであった。(ファスナーA、ファスナーB、ファスナーCの高周波ウエルダー融着は、ファスナー機能部を残すようにしてファスナー部材の縁部を5mm幅の額縁状に融着させた)結果を表7に示す。
ファスナーA=商標名:マジックテープ:(株)クラレ:雄面(鉤ラッチ)、雌面(受 けループ)ナイロン樹脂製面ファスナー(幅4cm)
ファスナーB=商標名:デュアルロックファスナー(SJ−3463):住友スリーエ ム(株):雄面(キノコ状ラッチ)、雌面(キノコ状ラッチ)ポリプロピレン樹脂 製
ファスナーC=ポリエステル樹脂チャック(ジッパー):YKK製ポリエステルスパン 繊維織布にジッパー部材織り込み
Figure 2004181969
上記実施例及び比較例において、シート状基材に用いられた資材を表8に示す。
Figure 2004181969
上記実施例及び比較例において、表面処理層に用いられた資材を表9に示す。
Figure 2004181969
本発明の熱融着接合方法に用いられる表面処理シートには、ポリオレフィン系樹脂を主体とする樹脂ブレンドによるシート状成形物の表面に、コロナ放電処理や耐熱性の低いプライマー処理などの煩雑な前処理を必要とせずに、熱融着性の熱可塑性樹脂表面処理層が安定に形成、固定されており、また、この熱可塑性樹脂表面処理層が、表面処理シート同士の接合、及び熱可塑性樹脂成形物を含有する他の物品との接合が、従来の、例えば高周波ウエルダー融着などの方法によって容易に融着接合することができ、かつ、この融着接合体は、耐熱接着強力に優れ50〜80℃の高温雰囲気下で使用可能であり、更に特殊な印刷インキを必要とせず汎用の印刷インキで印刷できるため、テント用膜材、フレキシブルコンテナなどの産業資材シートを容易に、かつ安定して製造することを可能にするものである。
また、特に本発明の表面処理シート熱融着接合方法は、表面処理シートに、分離、着脱自在性のファスナー成型品部材を高周波ウエルダー融着接合させることができ、この接合体は、ファスナー成型品部材の着脱によって表面処理シートを連結、拡張、巻き付け固定、貼付固定する事が繰り返し自在となる。従って、本発明方法は有用性が高いシート接合法である。
本発明方法に用いられる表面処理シートの一例の構成を示す断面説明図。 本発明方法用表面処理シートの他の例の構成を示す断面説明図。 本発明方法用表面処理シートの更に他の例の構成を示す断面説明図。 本発明方法用表面処理シートの構成をさらに詳しく示す断面説明図。 本発明方法による表面処理シート相互の接着状況を示す断面説明図。 本発明方法による表面処理シートと他の物品との接着状況を示す断面説明図。
符号の説明
1…樹脂ブレンドフィルム層
2…表面処理層
3…繊維布帛基布
4…シート状基材
5…熱可塑性樹脂裏面層
6…接着層
7…他の物品

Claims (23)

  1. ポリオレフィン系樹脂と、スチレン系共重合体樹脂とを、100:5〜100:100の質量比で含有する樹脂ブレンドからなるフィルム層を有するシート状基材と、
    熱可塑性樹脂を含み、前記樹脂ブレンドフィルム層の少なくとも片表面に密着して結着している表面処理層と、
    を有する1枚以上の表面処理シートについて、
    (1)前記表面処理シートの表面処理層の一部分と、それと同一の又は異なる表面処理シートの表面又は裏面の一部分とを互いに接触するように重ね合わせ、或は
    (2)前記表面処理シートの表面処理層の表面の少なくとも一部分と、他の物品の表面の少なくとも一部分とを互いに接触するように重ね合わせ、但しこのとき、前記他の物品の所望接着面を、予じめ、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂により形成しておくか、当該接着面上に熱融着接合可能な熱可塑性樹脂フィルムを配置するか、又は、当該接着面上に、熱融着接合可能な熱可塑性樹脂を塗布しておき、
    前記重ね合わされた部分に、熱風溶融接着法、熱板溶融接着法、高周波ウエルダー接着法及び超音波ウエルダー接着法から選ばれた少なくとも1種の熱融着接合方法による熱融着接合処理を施すことを特徴とする表面処理シートの熱融着接合方法。
  2. 前記樹脂ブレンドフィルム層用ポリオレフィン系樹脂が、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(EPRゴム)とのリアクター重合樹脂、これらのポリマーアロイ体であるPP−EPR樹脂、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−共役ジエン系ゴム(EPDMゴム)とのリアクター重合樹脂、もしくはこれらのポリマーアロイ体であるPP−EPDM樹脂から選ばれた少なくとも1種以上を含む、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  3. 前記スチレン系共重合樹脂が、
    スチレン重合体ブロック(A)及びブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック及びビニルイソプレン重合体ブロックから選ばれた1種の重合体ブロック(B)とからなるA−B−A型ブロック共重合体、及びA−B型ブロック共重合体;スチレンと、ブタジエン、イソプレン及びビニルイソプレンの少なくとも1種とのランダム共重合体;並びに、前記ブロック共重合体及びランダム共重合体中のビニル結合含有(B)成分単位に対し、水素添加を施して得られた水素添加スチレン系共重合樹脂、
    から選ばれた少なくとも1種からなる、請求項1又は2に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  4. 前記表面処理層に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  5. 前記表面処理層に含まれる熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  6. 前記シート状基材において、前記樹脂ブレンドフィルム層が繊維布帛からなる基布の少なくとも1面に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  7. 前記基布の1外表面全面上に前記樹脂ブレンドフィルム層が形成され、この樹脂ブレンドフィルム層上に、前記表面処理層が形成されており、前記基布の他の最外裏面全面上に、熱可塑性樹脂を含む裏面層が形成されている、請求項6に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  8. 前記最外裏面層に含まれる熱可塑性樹脂が、熱融着接合可能である、請求項7に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  9. 前記熱融着接合可能な最外裏面層用熱可塑性樹脂が、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる請求項7又は、請求項8に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  10. 前記最外裏面層用熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有する請求項7,8又は9に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  11. 前記表面処理シートの前記樹脂ブレンドフィルム層と、前記表面処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記表面処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層が形成されている、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  12. 前記樹脂ブレンドが、前記樹脂ブレンド100質量部に対し、1〜25質量部のシリカをさらに含む、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  13. 前記表面処理層が、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜25質量部のシリカをさらに含む、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  14. 前記表面処理層上に、熱可塑性樹脂を含む、少なくとも1層のオーバーコート層が形成されている、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  15. 前記オーバーコート層の熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる、請求項14に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  16. 前記オーバーコート層の熱可塑性樹脂が0.01以上の誘電損率を有する、請求項14又は請求項15に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  17. 前記樹脂ブレンドフィルムに含まれる前記シリカが、3〜15質量%の含水率を有する非晶質含水シリカから選ばれる、請求項12に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  18. 前記表面処理層に含まれる前記シリカが3〜15質量%の含水率を有する非晶質含水シリカから選ばれる、請求項13に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  19. 前記表面処理層を形成するに際し、前記熱可塑性樹脂が、前記熱可塑性樹脂と混和し、かつ前記スチレン系共重合体樹脂を完全溶解、一部溶解、又は膨潤せしめる有機系溶剤を含むコーティング液を用い、
    このコーティング液を、前記樹脂ブレンドフィルムの少なくとも一面上に直接塗布し、この塗布液層から前記有機系溶剤を蒸発除去し、表面処理層を形成し、
    それによって、前記樹脂ブレンドフィルム層と前記表面処理層との界面部分において、前記樹脂ブレンドフィルム層中のスチレン系共重合体樹脂の一部分と、前記表面処理層中の熱可塑性樹脂の一部分とによる接着層を形成する、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  20. 前記表面処理層形成用コーティング液の有機系溶剤が、イソプロパノール、n−ブタノール、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及びテトラヒドロフランから選ばれた少なくとも1種を含む、請求項19に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  21. 表面処理シートの表面に、油性グラビア印刷法、油性スクリーン印刷法、水性グラビア印刷法及び水性スクリーン印刷法から選ばれた印刷法により、印刷が施されている、請求項1に記載の表面処理シートの熱融着接合方法。
  22. 前記他の物品が、前記表面処理シートの重ね合わせ接合用、巻き付け固定用、貼着用、及び連結拡張用接着補助部材から選ばれる、請求項1に記載の熱融着接合方法。
  23. 前記接着補助部材が繰り返し着脱が可能なファスナーである、熱融着接合方法。
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