JP3677678B2 - 産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産業資材に用いるポリオレフィン系樹脂積層シートに関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は、繊維布帛を基材に特定のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層して得られ、柔軟性、耐摩耗性、印刷性及び耐熱クリープ性に優れ、特にフレキシブルコンテナ、オイルフェンス、トラック荷台カバー、屋形テントなどの用途に適する、高周波融着可能な、ポリオレフィン系樹脂積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フレキシブルコンテナ用のシート材料、及び、他の産業資材シート、例えば、オイルフェンス、トラック荷台カバー、屋形テント、クッションマットなどに用いられるシート材料は、繊維織物と軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルムとの複合シート、繊維織物と合成ゴムとの複合シート、繊維織物とポリウレタン樹脂との複合シート、繊維織物とポリオレフィン樹脂との複合シートなどが使用されている。中でもフレキシブルコンテナは、物流手段において繰り返し使用されるため、ユーザー側では、耐久性と経済性により優れた材料を追求し、また物流を担う運送業サイドではフレキシブルコンテナが空袋で出荷メーカーに戻る際には、コンパクトに折り畳むことができ、しかも軽量であることを要求している。また、フレキシブルコンテナを製造する業者側では、高周波ウエルダー機により縫製可能であり、かつ柔軟性に富んでいることが縫製作業に都合が良いものとしている。これらのシート材料には、軟質ポリ塩化ビニル樹脂製のものが最も多く普及しているが、この理由は、耐久性と経済性に優れ、かつ高周波融着が可能であるからである。他の産業資材シート素材においても同様の理由で軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シートが最も多く使用されている。
【0003】
ポリ塩化ビニル樹脂は柔軟かつ強靱で、透明性、加工性、コスト性に優れた合成樹脂材料として元来、多くの分野で広く使用されている汎用樹脂である。しかし最近、軟質ポリ塩化ビニル樹脂製品中に可塑剤として含まれるフタル酸エステル類に対してそれがホルホン攪乱物質であるという疑いが論議され、さらに埋立て廃棄に対しては地下水系に混入することも危惧されている。また一方で、フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル樹脂製品の焼却時には、ダイオキシン誘導体を発生するという警告に注目が寄せられている。このような環境不安が報じられる中で、例えば、包装材、容器などの使い捨て物品に対しては、極力ポリ塩化ビニル樹脂製品の使用を削減する方策が展開され、最近ではポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を主材とする製品が広く普及し始めている。
【0004】
また従来、ポリオレフィン系樹脂製のシート材料の原材料として用いられるポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などを、ポリオレフィン衛生協議会の自主規制基準に番号登録された品番、厚生省告示第434号の食品衛生試験規格に適合する品番、米国F.D.A(§121、2570)で認可された品番のものから選ぶことによって、得られたシート材料は、食品原材料輸送に適した安全性の高いフレキシブルコンテナとして使用することができる。ポリオレフィン系樹脂製のフレキシブルコンテナとしては、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂製のシート素材が柔軟で、高周波縫製可能であるため最も多く使用されている。
【0005】
しかし、これらのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、極性の高い酢酸ビニル成分をある程度まで多量に含有しているため、柔軟性と高周波ウエルダー性においては優れるが、反面、樹脂強度及び耐摩耗強度が不十分であり、かつ強い酢酸臭を伴うという問題を有している。この問題を解決するため、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂にポリエチレン樹脂または、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂をブレンドして樹脂強度と耐摩耗強度の改善を図ったり、あるいはポリエチレン樹脂及び、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂をベースとして、酢酸ビニル成分を高濃度で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂をブレンドすることが汎用的に行われている。この方法によれば、確かに得られるシート素材にある程度の高周波ウエルダー性とある程度の樹脂強度と耐摩耗強度の改善を同時に可能とするが、これらの特性の両方の要件を十分に満足するシート材料は得られていない。即ちブレンドに用いるポリエチレン樹脂及び、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の配合率を大きくすれば、確かに樹脂強度と耐摩耗強度は改善できるが、高周波ウエルダー性が不十分となり高周波縫製作業が困難となる。また反対にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の配合率を大きくすることによって、確かに高周波ウエルダー性を向上させることができるが、それによって樹脂強度及び耐摩耗強度が不十分となる。また、上記ブレンドのいずれにおいても、結晶性の高いポリエチレン樹脂またはエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を含有するために、得られるシート材料の風合いを硬いものとし、得られるフレキシブルコンテナを折り畳んだとき、嵩張って物流に不都合となるなどの問題が避けられないものである。またこの時、無理な折り畳みによって折り曲げ部の樹脂に、疲労劣化を生ずる原因となる皺痕を残すなどの問題を生じている。従って上記樹脂ブレンドを用いる方法では高度の柔軟性と耐久性が要求される材料には適用範囲が狭すぎるという問題があった。また、上記の方法で得られるシート材料では、印刷性が劣り、特殊な印刷インキを必要としたり、シート材料に印刷の前処理としてコロナ放電処理を施すことが必要になるなど、二次加工の作業性の悪さが指摘されている。
【0006】
またポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂よりも耐熱性が低く、上記のポリオレフィン系樹脂組成物から製造され、熱融着製袋されたフレキシブルコンテナは、軟質ポリ塩化ビニル樹脂製のフレキシブルコンテナに比べて、その接合部の耐熱クリープ性において劣るため、例えば50℃以上に蓄熱した資材を充填した時に、コンテナ底部の縫製部分の樹脂が軟化して底抜け破壊を生ずるという問題がある。この問題を解決することを目的として、高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの高融点樹脂を配合する提案もあるが、フレキシブルコンテナの耐熱性を向上させるという目的を達成するには、これらの高融点樹脂の配合率を高くすることが必要となるため、得られるシート材料の風合いは硬くなり過ぎて取り扱い性が悪く、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とポリプロピレン樹脂とのブレンドにおいては互いの樹脂の融点温度差が大きく、かつ溶融粘度が大きく異なるため、均一な溶融混練、及び成形が困難となるという欠点がある。このため、加工の際に、ポリプロピレン樹脂が低粘度の溶融体になるような高温混練を必要とするが、高温混練ではエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が熱分解(酢酸ガスを発生)し、樹脂劣化するという問題がある。また、別の手段として、ポリプロピレン樹脂を主体として、これにエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム(EPDM)などのゴム成分をブレンドすることにより柔軟化する方法においては、ある程度の柔軟性と透明性を得ることが可能であるが、このブレンド系では、ポリプロピレン樹脂とゴム成分とが本質的に相溶せず、ミクロ相分離を起こしているため、強度と引裂強度が不十分なものであった。
【0007】
また、高周波縫製物の縫製部の破壊は、繊維織物とポリオレフィン系樹脂フィルムとの接着性の実質的な低さにも起因するため、縫製部破壊の改善には繊維布帛に対する接着剤処理が必要となる。しかし、ポリオレフィン系樹脂との接着をなし得る接着剤の多くは、常温状態で十分な縫製部破壊防止効果が得られても、60℃を越える環境下では接着剤が軟化して、縫製部強度が急激に失われるなど耐熱クリープ性に欠点があり、結局、耐熱性用途に使用することができない。また、硬化剤を併用した接着剤系では、確かにある程度の耐熱クリープ性の向上は認められるが、反面、シート材料の風合いを硬くすると同時に、引裂強度が低下してシート材料が破れ易くなるというデメリットを生じ、このため、フレキシブルコンテナ、オイルフェンス、トラック荷台カバー、屋形テント、クッションマットなどの産業資材用途には使用できるものではなかった。
【0008】
従ってポリ塩化ビニル樹脂製産業資材シートの代替え物として使用可能な、柔軟な風合いと高い耐摩耗性などの耐久性を有し、かつ印刷と高周波融着との二次加工が容易であるポリオレフィン系樹脂製シート、更に高周波融着部の破壊強度と耐熱クリープ性に優れたポリオレフィン系樹脂製シートは実用されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、柔軟な風合いと耐摩耗性などの耐久性を有し、かつ印刷と高周波融着の二次加工が容易であって、高周波融着部の破壊強度と耐熱クリープ性に優れ、フレキシブルコンテナ、オイルフェンス、トラック荷台シート、屋形テント、クッションマットなどの用途に適した、産業資材用ポリオレフィン系樹脂製シート及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートは、繊維布帛を含む基布と、前記基布の少なくとも1面上に形成され、かつポリオレフィン系樹脂ブレンドからなる被覆層とを含み、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド層が、
(A)ポリプロピレン系樹脂からなる成分、
(B)スチレン系共重合体樹脂からなる成分、及び
(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂からなる成分、
を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドから形成され、
前記樹脂ブレンド中に含有される前記成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、前記成分(C)の含有量が5〜40重量%、であり、かつ、前記樹脂ブレンドに含まれる前記成分(C)中の共重合している酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸エステルとの合計含有量が3〜25重量%であり、
前記成分(A)用ポリプロピレン系樹脂が、シングルサイト触媒の存在下で重合され、かつシンジオタクティック立体規則性を有するプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーから選ばれた1種以上を含み、
また前記成分(B)用スチレン系共重合体樹脂が、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、A及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、及び前記スチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた1種以上を含む
ことを特徴とするものである。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド被覆層の少なくとも1層の上に、最外層として、汚染防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記繊維布帛を含む基布の表面上に表面ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)からなる表面層が形成され、前記基布の裏面上に裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)からなる裏面層が形成されていて、
前記表面及び裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(a)及び(b)の各々が、
(A)シングルサイト触媒の存在下で重合され、かつシンジオタクティック立体規則性を有するプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーから選ばれた少なくとも1種からなるポリプロピレン系樹脂成分、
(B)A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、A及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、及び前記スチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた少なくとも1種からなるスチレン系共重合体樹脂成分、及び
(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂からなる成分、
を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドから形成され、
前記表面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(a)において、それに含有される成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、前記成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド(a)に含まれる成分(C)中の、共重合している酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量が3〜10重量%であり、
前記裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(b)において、それに含有される成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、かつ前記成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、樹脂ブレンド(b)に含まれる成分(C)中の、共重合している酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量が10〜25重量%であることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)から形成された表面層と、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)から形成された裏面層との厚さの比が1:1〜3:1であることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記表面層及び裏面層の少なくとも1層上に、最外層として汚染防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記汚染防止層が、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂含有熱可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上からなることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記成分(A),(B)及び(C)を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドが、さらに、1〜20μmの平均粒子径を有する合成非晶質シリカ1〜15重量%を含有することが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記繊維布帛が、マルチフィラメント糸条、または短繊維紡績糸条からなり、その織組織空隙率が0〜35%の繊維織物であることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記繊維布帛が、スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤中に溶解して含有する処理剤によって樹脂被覆処理されたものであって、
前記有機溶剤中に溶解されたスチレン系共重合体樹脂が、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但しAはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、A及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂及びこれらのスチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記繊維布帛が、ポリエステル繊維からなることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記繊維布帛が、ポリプロピレン繊維からなることが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、前記ポリプロピレン繊維が、シングルサイト触媒の存在下で重合されたアイソタクティック立体規則性、またはシンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン樹脂から紡糸された繊維であることが好ましい。
本発明の、基布の少なくとも1面に形成された軟質ポリオレフィン系樹脂ブレンド被覆層を有する産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドを、前記成分(A)と成分(B)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(A+B)に、前記成分(C)を配合するか、或は、前記成分(B)と、前記成分(C)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(B+C)に前記成分(A)を配合することによって調製し、このとき前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド中の成分(A),(B)、及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の配合量を30〜70重量%とし、前記成分(B)の配合量を10〜50重量%とし、前記成分(C)の配合量を5〜40重量%とし、かつ前記樹脂ブレンド中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を3〜25重量%に調整する、ことを特徴とするものである。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド被覆層の少なくとも1層の上に、最外層として汚染防止層をさらに形成することが好ましい。
本発明の、基布の表・裏両面上に軟質ポリオレフィン系樹脂ブレンド表・裏被覆層が形成された産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法は、
前記表面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)及び前記裏面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)のそれぞれを、前記成分(A)と成分(B)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(A+B)に、前記成分(C)を配合するか、或は、前記成分(B)と、前記成分(C)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(B+C)に前記成分(A)を配合することによって調製し、このとき前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)及び(b)のそれぞれの中の成分(A),(B)、及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の配合量を30〜70重量%とし、前記成分(B)の配合量を10〜50重量%とし、前記成分(C)の配合量を5〜40重量%とし、かつ前記表面層用樹脂ブレンド(a)中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を3〜10重量%に調整し、また、前記裏面層用樹脂ブレンド(b)中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を10〜25重量%に調整し、
前記繊維布帛含有基布の表面上に前記表面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)からなる表面層を形成し、前記基布の裏面上に、前記裏面用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)からなる裏面層を形成する、ことを特徴とし、この積層シートは産業資材に有用なものである。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法において、前記表面層と前記裏面層との厚さの比を1:1〜3:1に調整することが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法において、前記表面層及び裏面層の少なくとも1層上に、最外層として、汚染防止層をさらに形成することが好ましい。
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法において、前記汚染防止層を、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂含有可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上から形成することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの被覆層、又は表面層及び裏面層形成用ポリオレフィン系樹脂ブレンドは(A)ポリプロピレン系樹脂からなる成分、(B)スチレン系共重合体樹脂からなる成分、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂からなる成分とを含む、樹脂ブレンドから構成されている。ポリオレフィン系樹脂ブレンドに使用できるポリプロピレン系樹脂成分(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン−プロピレン系共重合エラストマー、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーであり、これらの共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体の何れであってもよい。また、これらのポリプロピレン系樹脂を2種以上を併用して用いることもできる。これらのポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマーの単独重合によって得られるホモポリマー、及び、プロピレンモノマーとα−オレフィンモノマーとを共重合して得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂、及び、予備重合で得られたエチレン−プロピレン共重合体に連続してプロピレンモノマーを共重合させる多段階重合によって得られるプロピレン・エチレン−プロピレン系共重合エラストマー、及び予備重合で得られたエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に連続してプロピレンモノマーを共重合させる多段階重合によって得られるプロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーなどを包含する。
【0012】
本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンドには、前記成分(A),(B),(C)の合計重量に対して、上記ポリプロピレン系樹脂成分(A)を、30〜70重量%の含有比率で含まれ、特に40〜60重量%で含まれることが好ましい。樹脂ブレンド中の成分(A)の含有量が30重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐摩耗性と耐熱クリープ性が不十分になり、また、この含有比率が70重量%を越えて大きくなると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの風合いが過度に硬くなるため好ましくない。
【0013】
プロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂の製造に好ましいα−オレフィンとしては、炭素原子数4〜10のα−オレフィン、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−1,3−メチル−ブテン−1,4−メチル−ペンテン−1,4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1などが挙げられる。また、これらのα−オレフィンを1種または2種以上用いてプロピレンモノマーと共重合して得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用することもできる。これらは具体的にプロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体などを挙げることができる。これらのプロピレン系共重合体は、ランダム共重合体であっても、あるいはブロック共重合体の何れの共重合体であってもよく、これらの共重合体に含まれるα−オレフィンの含有率は1〜35重量%であることが好ましい。共重合体中のα−オレフィンの含有率が35重量%を越えると得られるポリオレフィン系樹脂積層シートがブロッキングを生じ易くなり、さらに低分子量の粘着性成分がブリードするなどして実用に支障をきたすことがある、また、プロピレン単位成分が65重量%未満となると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐摩耗性が不十分となることがあり好ましくない。
【0014】
プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー及び、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系エラストマーは、具体的に、例えば下記の様な連続多段階重合法により製造されたものが使用できる。まず、第1段階として、チタン化合物触媒及び、アルミニウム化合物触媒の存在下において、プロピレンモノマー及び、必要に応じてプロピレンモノマー以外のα−オレフィンモノマーを用いて重合を行い、第1のプロピレン系ポリオレフィンを得る。このポリオレフィンはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などを包含する。第2段階として、前記チタン化合物触媒及び、アルミニウム化合物触媒を含有したままで、次のオレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、非共役ジエンなど)とを共重合させる。
【0015】
このプロピレン系共重合体エラストマーの製造方法としては、例えば、特開平4−224809号公報、特開平4−96912号公報、特開平4−96907号公報などに記載されている方法が挙げられ、この方法によると重合中に複数のプロピレン系ポリオレフィン樹脂を、多段階重合プロセスによって連続して製造可能であるという利点があり、さらに既存のポリプロピレン製造の設備をそのまま利用できるというメリットがある。また、従来のブロックポリプロピレン共重合体樹脂では、プロピレンに共重合されるブロック成分、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体からなる非晶質成分の含有量は、その製造プロセス上、プロピレン成分に対しておよそ50重量%であることが上限であるが、上記多段階重合によれば、上記非晶質成分を50重量%以上(80〜95重量%まで)含有させることが可能となる。またこの多段階重合によって得られるプロピレン系共重合エラストマーと、ポリプロピレン樹脂とプロピレン−エチレン共重合体樹脂とのポリマーブレンドによって得られる通常のエラストマーとは、分子構造において互に異なるものである。
【0016】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンドに用いるポリプロピレン系樹脂成分(A)に適したプロピレン系共重合エラストマーは、第1段階でプロピレン単独重合体成分、またはプロピレン−エチレン共重合体成分、または、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体成分、あるいは、プロピレン−α−オレフィン共重合体成分を、10〜45重量%含有することが好ましく、第2段階以降でエチレン−プロピレン共重合体成分を55〜90重量%含有することが好ましい。第1段階でプロピレン単独重合体成分、またはプロピレン−エチレン共重合体成分または、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体成分、あるいは、プロピレン−α−オレフィン共重合体成分の含有率が10重量%よりも少ないと、得られるプロピレン系共重合エラストマーに十分な強度が得られず、またその含有率が45重量%を越えると、得られるプロピレン系共重合エラストマーの風合いが硬くなるため本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートのポリオレフィン系樹脂ブレンド層に用いる成分(A)用ポリプロピレン系樹脂としては好ましくないことがある。
【0017】
これらの成分(A)用ポリプロピレン系樹脂の重合に使用される触媒としてはチーグラー・ナッタ系触媒が代表に挙げられる。この触媒系は周期律表第IV〜VI族の遷移金属の化合物と、周期律表第I〜III 族の金属の化合物から構成される金属−炭素結合を有する遷移金属化合物触媒で、通常ハロゲン化遷移金属塩と、金属アルキル化合物から構成されているものである。ハロゲン化遷移金属塩としては、例えば塩化マグネシウム、三塩化アルミニウム、三塩化チタン、四塩化チタンなど、金属アルキル化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどが好ましく使用できる。
【0018】
本発明において、成分(A)用ポリプロピレン系樹脂としては、上記チーグラー・ナッタ系触媒を用いて気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたポリプロピレン系樹脂も使用することが可能であるが、特に本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいては、シングルサイト触媒の存在下で気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたシンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂を使用すると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの柔軟性が良好になる。
【0019】
シンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂を得るための触媒としてはメタロセン錯塩化合物からなるシングルサイト触媒が挙げられ、これらの触媒としては、例えば、特開平2−41303号公報、特開平2−274703号公報、特開平2−274704号公報、特開平4−69394号公報などに記載されているメタロセン錯塩化合物を挙げることができる。メタロセン錯塩化合物としては、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物が挙げられ、有機遷移金属化合物の遷移金属としては、原子周期律表第IVB族から選ばれた、例えばジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの金属が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)9−フルオレニルジルコニウムジクロライド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)9−フルオレニルジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)9−フルオレニルジルコニウムジクロライド、メチルフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)9−フルオレニルジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、メチルフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)2,7−ジt−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1−メチル−1エチリデン(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランシイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどが例示できる。
【0020】
本発明において、成分(A)用ポリプロピレン系樹脂としては、上記チーグラー・ナッタ系触媒を用いて気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたポリプロピレン系樹脂も使用することが可能であるが、特に本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいては、シングルサイト触媒の存在下で気相法、スラリー液相法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたアイソタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂を使用することが、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐摩耗性がすぐれているため好ましい。
【0021】
アイソタクティック立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂を重合する触媒としてはメタロセン錯塩化合物からなるシングルサイト触媒が挙げられ、これらの触媒としては、例えば、特開昭61−130314号公報、特開平3−12406号公報、特開平3−197516号公報などに記載されているメタロセン錯塩化合物を挙げることができる。メタロセン錯塩化合物としては、インデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物が挙げられ、有機遷移金属化合物の遷移金属としては、原子周期律表第IVB族から選ばれた、例えばジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの金属が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ハフニウムジクロライドなどが例示できる。
【0022】
また本発明において、成分(A)用ポリプロピレン系樹脂の製造には上記シクロペンタジエニル誘導体及び、インデニル誘導体を含有するメタロセン錯塩化合物触媒の助触媒としてアルキルアルミノキサンを併用すると重合の活性効率を向上させることができる。上記アルキルアルミノキサンとしてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどが例示でき、例えば、アルキルアルミノキサンはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウムと水との縮合によって得られる−(Al(CH3 )−O−)n −縮合物が使用できる。アルキルアルミノキサンはメタロセン錯塩化合物触媒に対して金属原子数比(アルミニウム原子/メタロセン錯塩化合物触媒の遷移金属原子)が100〜1000であることが好ましい。また重合系内に使用されるメタロセン錯塩化合物触媒量としては重合容積1リットルに対して1×10-8〜1×10-3グラム原子の量で使用されることが好ましい。また、必要に応じて重合活性を高める目的で、公知のプロトン酸、ルイス酸、ルイス酸性化合物などを併用しても良い。プロトン酸、ルイス酸、ルイス酸性化合物に特に限定はないが、ホウ素系化合物が好ましく使用できる。
【0023】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する成分(A)用ポリプロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレート:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜50g/10min 、好ましくは1〜20g/10min のものがポリオレフィン系樹脂ブレンド層に適して使用できる。メルトフローレートが、0.5g/10min 未満であると本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの成形加工が極めて困難となり好ましくなく、また50g/10min を越えて高いと得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性が劣るため好ましくない。
【0024】
本発明の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する成分(B)用スチレン系共重合体樹脂は、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(Aは、スチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、およびこれらのスチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれる。これらのブロック共重合体は、ポリスチレンブロックをハードセグメントとするスチレン系ブロック共重合体樹脂である。
【0025】
A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SIS)、及びスチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SVIS)が用いられ、A−B−A型水素添加スチレンブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体樹脂(SEPS)などがあり、A−B型スチレン共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SB)、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂(SI)などがあり、A−B型水素添加ブロック共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEB)、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体樹脂の水素添加樹脂であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体樹脂(SEP)などが挙げられる。
【0026】
本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層に使用する樹脂ブレンドには、上記スチレン系共重合体樹脂からなる成分(B)を10〜50重量%の含有比率で含み、特に20〜40重量%であることが好ましい。樹脂ブレンド中に占める成分(B)の比率が10重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの柔軟性と加工性が不十分であり、また、この比率が50重量%を越えて大きくなると、得られる積層シートの柔軟性は十分であるが、その耐摩耗性が不十分になり、また加工性、機械的強度などが不十分になる。また、特に本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層に使用する成分(B)用スチレン系共重合体樹脂としては、特に水素添加スチレンブロック共重合体樹脂、水素添加スチレンランダム共重合体樹脂から選ばれたものが耐候性にすぐれているので好ましい。
【0027】
これらの成分(B)用スチレン系共重合体樹脂に使用できるスチレン重合体ブロックAとしては、芳香族ビニルモノマーであり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、0−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、1−ビニルナフタレン、1−ビニルアントラセンなどが挙げられるが、スチレンであるものが最も好ましい。また、これらのスチレン系共重合体樹脂に使用できる重合体ブロックBとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられるが、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらA−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂並びに、A−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂は、そのAブロック重合体の数平均分子量が2000〜40000であり、Bブロック重合体の数平均分子量が10000〜200000であることが望ましい。また、上記スチレン系共重合体樹脂の数平均分子量としては、30000〜250000の範囲のものが好ましい。分子量が30000より小さいとブロック共重合体樹脂の機械的強度が得られず、本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の強度を低下させるため好ましくなく、また分子量が、250000を超えると溶融粘度が高くなり、(A)ポリプロピレン系樹脂、及び(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂との溶融混練性を悪くし成形加工性を困難とするため好ましくない。
【0028】
これらの成分(B)用スチレン系ブロック共重合体樹脂のBブロック成分のイソプレン重合体ブロックもしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックの水素添加樹脂の水素添加率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。水素添加率が70%より低い場合には、耐熱性と耐候性が低下するため好ましくない。これらのスチレン系ブロック共重合体樹脂の水素添加は、公知の方法によって行われ、例えば、水素添加反応は、水素添加触媒及び、反応に不活性な溶媒にスチレン系ブロック共重合体樹脂を溶解させた状態で公知の触媒、例えば、ラネーニッケル、チーグラー系の触媒などを用いて、分子状態の水素を反応させる方法によって行うことができる。また、Bブロック成分として、イソプレン重合体ブロックもしくは、イソプレン−ブタジエン重合体ブロックのイソプレン中の3,4ビニル結合と1,2ビニル結合の合計量が水素添加前の状態で25モル%以上であることが好ましい。ビニル結合の合計量が25モル%より小さいと、本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層における成分(B)と、ポリプロピレン系樹脂成分(A)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)との相溶性が不十分となり、また得られるポリオレフィン系樹脂ブレンド層の耐久性と強度を低下させるため好ましくない。また、成分(B)用ポリスチレン共重合体のBブロック成分として、ブタジエン重合体ブロックのブタジエン中の1,2ビニル結合の含有量が、20モル%以上であることが好ましい。ビニル結合の合計量が20モル%より小さいと、本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の(A)ポリプロピレン系樹脂、成分(A)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)との相溶性が不十分となり、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の耐久性と強度を低下させるため好ましくない。
【0029】
また成分(B)用上記A−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有が40重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂成分(A)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)との相溶性が不十分となり、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の耐久性と強度を低下させるため、40重量%以下であることが好ましい。また、成分(B)用上記A−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂において、ポリスチレンブロック成分の含有量が40重量%を超えるとポリプロピレン系樹脂成分(A)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)との相溶性が不十分となり、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の耐久性と強度を低下させるため、40重量%以下であることが好ましい。上記これらの成分(B)用A−B−A型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂並びにA−B型ブロック共重合体樹脂及び、その水素添加樹脂などの市販品としては、例えば、シェル.ケミカル社のクレイトンG、旭化成工業(株)のタフテック、(株)クラレのハイブラー、セプトンが挙げられる。また、水素添加スチレン系ランダム共重合体樹脂としては、スチレンとブタジエンの水素添加ランダム共重合体樹脂が挙げられ、この水素添加スチレン系ランダム共重合体樹脂の市販品としては、日本合成ゴム(株)のダイナロンが挙げられる。
【0030】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する成分(B)用スチレン系共重合体樹脂のMFR(メルトフローレート:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜50g/10min 、好ましくは1〜20g/10min のものがポリオレフィン系樹脂ブレンド層に適して使用できる。メルトフローレートが、0.5g/10min 未満であると本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの成形加工が極めて困難となり好ましくなく、また50g/10min を越えて高いと得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性が劣るため好ましくない。
【0031】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート用ポリオレフィン系樹脂ブレンドに使用できる、成分(C)用エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、ラジカル重合法によりエチレンモノマーとラジカル重合し得るモノマーとの重合によって製造されたエチレン系共重合体樹脂が使用できる。エチレンモノマーとラジカル重合し得るモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸、及びそのエステル化物や酸無水物が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種のみならず2種以上用いることができる。また具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとの重合によって得られるもの、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、エチレンモノマーとアクリル酸モノマーとの重合によって得られるエチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとアクリル酸エステルモノマーとの重合によって得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸モノマーとの重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸エステルモノマーとの重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂など、及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層に使用する樹脂ブレンドには、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)を5〜40重量%の含有比率で用いることが好ましく、特に10〜30重量%であることが好ましい。樹脂ブレンド中に占める成分(C)の比率が5重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートは高周波融着性において不十分であり、また、この比率が40重量%を越えて大きくなると、得られる積層シートの高周波融着性は十分であるが、その耐熱クリープ性が不十分になる。
【0032】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに用いられるポリオレフィン系樹脂ブレンドの成分(C)に使用できるエチレン系共重合体樹脂として好ましくは、酢酸ビニル成分含有量が8〜60重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂もしくは、(メタ)アクリル酸(エステル)成分含有量が8〜60重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合樹脂、または、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合樹脂との重量比100:1〜1:100のブレンド物によって得られ、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量が8〜60重量%であるポリオレフィン系樹脂共重合体組成物であることが好ましい。これらの(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂のMFR(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)は、0.5〜50g/10min 、好ましくは1〜20g/10min のものがポリオレフィン系樹脂ブレンド層に適して使用できる。メルトフローレートが、0.5g/10min 未満であると本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの成形加工が極めて困難となり好ましくなく、また50g/10min を越えて高いと得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性が劣るため好ましくない。
【0033】
即ち、本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに用いられるポリオレフィン系樹脂ブレンドは、ポリプロピレン系樹脂成分(A),(B)スチレン系共重合体樹脂成分(B),(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分を含む樹脂ブレンドであって、前記樹脂ブレンド中に含有される成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の含有量は30〜70重量%であり、前記成分(B)の含有量は10〜50重量%であり、前記成分(C)の含有量は5〜40重量%である。さらにこの前記樹脂ブレンドに含まれる成分(C)には、共重合成分として、酢酸ビニル(メタ)アクリル酸(エステル)との合計重量が前記成分(A),(B),(C)の合計重量に対して、3〜25重量%であり、好ましくは6〜20重量%であり、更に好ましくは8〜16重量%である。酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分との合計含有量が3重量部未満であると得られる軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの高周波融着性が不十分となり好ましくなく、また、このその合計含有量が25重量部を越えると得られる積層シートの高周波融着性は十分となるが、耐熱クリープ性と、耐摩耗性が不十分になる。
【0034】
また、本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートは、繊維布帛を含む基布の表裏両面上に、それぞれポリオレフィン系樹脂ブレンドからなる表裏両面層を積層して形成する場合において、ポリオレフィン系樹脂ブレンド表面層とポリオレフィン系樹脂ブレンド裏面層とが互いに異なっているものであってもよい。即ち、繊維布帛を含む基布の表面及び裏面に、ポリプロピレン系樹脂成分(A)、スチレン系共重合体樹脂成分(B)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)とを、含む樹脂ブレンド(a)及び(b)からそれぞれ構成されたポリオレフィン系樹脂ブレンド表面層(a)及び(b)が形成されていてもよく、前記表面層用樹脂ブレンド(a)中に含有される前記成分(A)の比率が30〜70重量%であり、前記成分(B)の比率が10〜50重量%であり、前記成分(C)の比率が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド(a)において、その成分(C)に共重合成分として含まれる、酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸(エステル)との合計含有量が3〜10重量%であり、好ましくは5〜8重量%である。さらに裏面層用前記樹脂ブレンド(b)中に含有される前記成分(A)の比率が30〜70重量%であり、前記成分(B)の比率が10〜50重量%であり、前記成分(C)の比率が5〜40重量%であり、樹脂ブレンド(b)中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸(エステル)成分との合計含有量が成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対して10〜25重量%であり、好ましくは14〜20重量部である。前記樹脂ブレンド(a)から形成された表面層と、前記樹脂ブレンド(b)から形成された裏面層との厚さの比は、1:1〜3:1であることが好ましく、さらに好ましくは1.2:1〜2:1であり、このようにすると、得られる積層シートの耐摩耗性を向上させることができる。
【0035】
前記成分(A),(B)及び(C)を含む樹脂ブレンドのMFR(メルトフローレート:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜100g/10min であることが好ましく、より好ましくは1〜50g/10min である。メルトフローレートが、0.5g/10min 未満であると得られる軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの成形加工が極めて困難となることがあり、またそれが100g/10min を越えて高いと、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性及び耐摩耗性が不十分になることがある。また、この樹脂ブレンド層の引張降伏値(JIS K−7113)は、500N/cm2 (51kgf /cm2 )以上、であることが好ましく、より好ましくは500〜900N/cm2 (91.8kgf /cm2 )である。引張降伏値が500N/cm2 未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐摩耗強度が不十分となることがあり、またそれが900N/cm2 を越えると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐摩耗強度が満足に得られても、その風合いが硬くなるため取り扱いが困難となる。
【0036】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂ブレンドの調製には、ポリプロピレン系樹脂成分(A)とスチレン系共重合体樹脂成分(B)との予備ブレンド体に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)を後配合するか、或はスチレン系共重合体樹脂成分(B)と(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分(C)との予備ブレンド体に、ポリプロピレン系樹脂成分(A)を後配合する。成分(A)と成分(C)とは、溶融温度差が大きく、成分(C)の溶融温度に近い成型条件では、成分(A)と成分(C)との相溶性が不十分であり、従って加工性が悪くなり、また、成分(A)の溶融温度に近い成型条件では、成分(A)と成分(C)との相溶性は改善されるが、得られる予備ブレンドの溶融粘度が低くなり加工性が悪くなる。従って成分(A)+(B)+(C)樹脂ブレンドの一括溶融混練は、各々の成分の溶融温度が異なること及び成形温度条件によって成分相互の相溶性に偏りをもたらすことなどによって加工性が不十分となり、さらに、樹脂ブレンドが本来有する機械的強度が満足に得られないことがある。また、上記と同じ理由によって、予備ブレンド{(A)+(C)}に成分(B)を配合する混練系も好ましいものではない。
【0037】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの樹脂ブレンドに、合成非晶質シリカを1〜15重量%含有させると、高周波融着性向上及び耐熱クリープ性向上が得られる。合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)としては、ケイ酸ソーダと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られる合成非晶質シリカを使用することが好ましい。この合成非晶質シリカは、シリカ表面のシラノール基(Si−OH基)に水素結合で結合する水分と、シラノール基自体が含有する水酸基として存在する水分とを結合水分として有するため、含水シリカとして、シリカの他の乾式合成法やエアロゲル合成法によって得られる水分含有率を極めて少ない無水シリカと区別されるものである。この合成非晶質シリカの平均凝集粒径には、特に制約はないが、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは2〜10μmであり、含水率は、3〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。樹脂ブレンド用コンパウンド100重量部に配合して用いられる合成非晶質シリカの量は1〜15重量部であることが好ましい。この添加量が1重量%より少ないと、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの融着接合体の耐熱破壊強度の向上効果が不十分となることがあり、また合成非晶質シリカの配合量が15重量%を超えると、樹脂ブレンド層コンパウンドの成型流動性を悪くして加工が困難となることがあり、また、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートのフィルム摩耗強度を低下させ、十分な耐久強度が得られないことがある。本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートのポリオレフィン系樹脂ブレンド層に上記合成非晶質シリカを1〜15重量%含ませることによって、その高周波ウエルダー性を一層向上させ、さらに融着接合体の耐熱クリープ性も向上させることができる。
【0038】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドは、有機系顔料及び/又は無機系顔料によって着色されていてもよい。有機系顔料としては従来公知のものが使用でき、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付けレーキ顔料、アントラキノン系顔料類、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料など、その他ニトロソ顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料などが例示できる。また無機系顔料としては例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、スピネル型(XY2 O4 )構造酸化物、ルチル型〔Ti(XY)O2 〕構造酸化物などの金属酸化物、硫化亜鉛と硫酸バリウムの複合物(リトポン)、硫化カルシウム、硫化亜鉛などの金属硫化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛などの金属硫酸化物、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛と水酸化鉛の複合物(鉛白)などの金属炭酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、水酸化アルミニウムと硫酸カルシウムの複合物(サチン白)、水酸化アルミニウムと硫酸バリウムの複合物(グロスホワイト)などの金属水酸化物、クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸バリウムなどのクロム酸金属塩、その他カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ホワイトカーボン、ケイ藻土、タルク、クレー、アルミニウム粉末、着色アルミニウム粉末、金属蒸着フィルムの破砕体、銀白色雲母チタン、着色雲母チタン、二色性干渉雲母チタンなどが例示できる。これらの顔料は2種以上を組み合わせて使用でき、添加量に特に制限はない。また、表裏のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の着色が異なった組み合わせであっても良い。
【0039】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートのポリオレフィン系樹脂ブレンドには必要に応じて添加剤を配合してもよい。特にポリオレフィン系樹脂ブレンド層の耐久性を向上させる目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などを添加することが好ましい。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系及び、アニリド系の紫外線吸収剤が挙げられ、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、アミン系、及びフォスファイト系の酸化防止剤が挙げられる。また光安定剤としてはヒンダードアミン系の光安定剤が挙げられる。その他フィルム成型時の加工性と外観を向上させる目的でリン酸エステル系、脂肪族アミド系、モンタン酸系の滑剤を添加することが好ましい。
【0040】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートのポリオレフィン系樹脂ブレンド層は、従来公知の成型加工方法、例えばT−ダイス押出法、インフレーション法、カレンダー法などによって加工することができる。ポリオレフィン系樹脂ブレンド層用コンパウンドは、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて、素練り混練をかけてコンパウンド化する方法、及び溶融混練後、単軸押出ペレタイザー、二軸押出ペレタイザーなどで造粒ペレット化する方法によって得ることができる。本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層は、上記コンパウンドを用いてT−ダイ押出法、インフレーション法、カレンダー法などの加工技術によって形成することができるが、特に有機系顔料、無機系顔料などによって着色されたフィルムの製造、あるいは色替え作業の多い加工には、カレンダー法を用いると、コンパウンドロスが少なくなり、また簡便で好適である。本発明のポリオレフィン系樹脂ブレンド層には、カレンダー法によって100〜200℃の温度範囲で成型加工を施すことが好ましい。カレンダー加工するポリオレフィン系樹脂ブレンド層の厚さは、80〜500μmであることが好ましく特に150〜350μmであることがより好ましい。この厚さが上記の範囲よりも薄いと、成型加工が困難な上に繊維布帛に積層貼着した時に繊維布帛の経緯交点部でフィルムの頭切れを起こし、防水性を損なうだけでなく、シートの耐久性を低下させることがある。本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの厚さには制限はないが、80〜500μmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを1〜4枚用いて基布に積層貼着することが好ましい。特に厚さ180〜300μmのフィルム2枚を用いて基布の両面の各々にポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム層を形成すると、耐久性、高周波融着接合性にすぐれた積層シートが得られる観点で最も好ましい。
【0041】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの表面樹脂ブレンド層(a)と、裏面に形成される前記樹脂ブレンド層(b)との厚さの比(a):(b)は、1:1〜3:1であることが好ましく、特に好ましくは1.2:1〜2:1である。また表面樹脂ブレンド層(a)の最小厚は0.1mmであることが好ましく、例えば具体的に、(a):(b)のフィルム厚が0.2mm:0.2mm〜0.6mm:0.2mmである。表面樹脂ブレンド層(a)の厚さが裏面樹脂ブレンド層(b)よりも薄い(比(a):(b)が1:1未満)と、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐久性が不十分になることがあり、また表面樹脂ブレンド層(a)と裏面樹脂ブレンド層(b)との厚さの比が3:1を越えて大きいと、得られるポリオレフィン系樹脂シートが過度に重く(厚く)なって、取り扱い性が困難となることがある。
【0042】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用できる基布用繊維布帛としては、織布、編布、及びこれらの樹脂含浸布のいずれでもよく、織布としては平織、綾織、繻子織などが挙げられるが、特に平織織布を用いることが得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの経・緯物性バランスに優れるため好ましい。繊維布帛の経糸・緯糸の糸条は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維、またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれによって製織されたものでもよく、具体的に、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維糸条、また無機繊維としてガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などのマルチフィラメント糸条が挙げられるが、加工性と汎用性とを考慮すると、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、が好ましく使用できる。これらの繊維糸条は、マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状でも使用できるが、本発明に用いる繊維糸条としてはマルチフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条が得られるシートの強度と寸法安定性に優れ、最も好ましい。本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する繊維布帛としては、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、及びこれらの混用繊維からなるマルチフィラメント繊維糸条、または短繊維紡績糸条による平織織布であることが好ましい。
【0043】
本発明において、繊維布帛の形成に使用できる上記ポリエステル繊維糸条は、その樹脂原料として、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸とブチレングリコールとの重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。このうちポリエチレンテレフタレート樹脂から溶融紡糸されるポリエステル繊維が繊維強力及び、溶融紡糸性の観点で好ましく使用できる。また、ポリエチレンテレフタレートには上記モノマー以外にイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、ジエチレングリコールなどの共重合モノマーを5重量%程度含むこともできる。
【0044】
本発明において、繊維布帛に使用できる上記ポリプロピレン繊維糸条としては、ポリプロピレン樹脂から紡糸された糸条、ポリプロピレン樹脂にポリエチレン樹脂を含有するブレンド物から紡糸された糸条、ポリプロピレン繊維をポリエチレン樹脂で被覆して紡糸された糸条などが挙げられる。これらのポリプロピレン繊維糸条の原料となるポリプロピレン樹脂としては、プロピレンモノマーをチーグラー・ナッタ触媒などの立体規則性触媒を用いて重合して得られるアイソタクチック立体規則性のポリプロピレンが繊維強力及び、紡糸性の観点で好ましく使用でき、特に好ましくは、シングルサイト触媒の存在下で重合された高度のアイソタクティック立体規則性を有するポリプロピレン繊維糸条、またはシングルサイト触媒の存在下で重合された高度のシンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン繊維糸条、また、これらのポリプロピレン樹脂フィルムをテープ状にスリットし、5〜15倍に延伸、分子配向した後、機械的操作でスプリット繊維化させ撚糸したスプリット糸条を含むものであっても良い。高度のアイソタクティック立体規則性を得ることができるシングルサイト触媒としては、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドの(A)ポリプロピレン系樹脂に記述したインデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物からなるメタロセン錯塩化合物を挙げることができ、また、高度のシンジオタクティック立体規則性を得ることができるシングルサイト触媒としては、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドの(A)ポリプロピレン系樹脂に記述したシクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物からなるメタロセン錯塩化合物を挙げることができる。
【0045】
繊維布帛用マルチフィラメント糸条の紡糸法としては、上記ポリエステル樹脂、上記ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を溶融温度(融点)以上の温度に加熱して流動性の粘重な溶融液化し、これを特定の口径(0.2〜0.6mmφ程度)の細孔を多数有する紡糸口金を通過させて空気、窒素、水などの不活性冷却媒体中に押出して急激に冷却固化させて長繊維紡糸原糸とする従来公知の溶融紡糸法及び設備を用いて製造する方法が挙げられる。この未延伸の長繊維紡糸原糸は80〜100℃の加熱延伸、または常温近傍の冷延伸によって3.0〜5.0倍に延伸し、繊維のミクロ構造を配列、結晶化させて繊維に強度を持たせることができる。この延伸工程は紡糸工程に組み込まれていてもよく、また、延伸工程とマルチフィラメントの撚糸工程が同時に行われることが好ましい。更に必要に応じて熱処理2段延伸がされていても良い。これらの溶融紡糸速度は使用する熱可塑性樹脂の種類と設備により紡糸速度が各々異なるため、特に規定はないが、例えばポリエステル樹脂から溶融紡糸する場合の紡糸速度としては、1000〜10000m/min 、特に2000〜6000m/min の速度で紡糸されたものが好ましく使用できる。
【0046】
本発明において、繊維布帛用フィラメント糸条としては139dtex〜2222dtex(125〜2000デニール)のもの、特に278dtex〜1111dtex(250〜1000デニール)のマルチフィラメント糸条が好ましく使用できる。マルチフィラメント糸条が135dtex(125デニール)未満では、得られるシートの引裂強力が不十分になることがあり、またそれが2222dtex(2000デニール)を超えると、破断強力及び引裂強力は向上するが、糸の径が太くなりそれに伴って、シートが厚くなると同時に、繊維布帛の経緯交点の凹凸が大きくなり、平滑性が不十分になることがある。また本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する繊維布帛は目抜け平織であることが好ましい。繊維布帛の経糸及び緯糸の打込み本数に特に限定はないが、139〜2222dtex(125〜2000デニール)のマルチフィラメント糸条を、経糸・緯糸25.4mm当たり8〜38本打込んで得られる織布、例えば555dtex(500デニール)のマルチフィラメント糸条の場合、25.4mm当たり14〜24本の打ち込み本数で得られる平織織布、1111dtex(1000デニール)のマルチフィラメント糸条の場合25.4mm当たり12〜22本程度の打込みで得られる平織織布が例示できる。
【0047】
また、短繊維紡績糸条としては、上記ポリエステル樹脂、上記ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を溶融温度(融点)以上の温度に加熱して流動性の粘重な溶融液化し、これを特定の口径(0.2〜0.6mmφ程度)の細孔を多数有する紡糸口金を通過させて空気、窒素、水などの不活性冷却媒体中に押出して1000〜10000m/min 、特に2000〜6000m/min の速度で紡糸した長繊維紡糸束(トウ)を2〜6cmの長さに切断して得られるステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら200〜700m/min の速度で練条されたスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)として、これに所定の番手太さにドラフトと撚りを掛けてトウ紡績されたものが好ましく使用できる。撚糸は、単糸または2本以上の単糸を引き揃えてS(右)撚もしくはZ(左)撚によって加撚された片撚糸、単糸または2本以上の単糸を引き揃えて下撚りされた加撚糸を2本以上引き揃えて上撚りを掛けた諸撚糸、その他強撚糸などが挙げられる。これらの撚糸の撚り回数は片撚糸、諸撚糸の普通撚糸で500〜2000回/m、強撚糸で2000回以上/mであることが好ましい。また、糸の番手と撚数との関係を表す比例定数の撚係数の範囲として、撚係数1.3〜3.0程度の甘撚り、撚係数3.0〜4.5程度の普通撚り、撚係数4.5〜5.5程度の強撚糸が挙げられ、特に撚り係数3.0〜4.5の範囲の普通撚り糸であることが好ましい。これらの短繊維紡績糸条は、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方式、ウオータージェット方式、エアジェット方式)など、従来公知の紡績法及び設備を用いて製造することができる。
【0048】
これらの短繊維紡績糸条の太さとしては591dtex(英国式10番手)、295dtex(20番手)、197dtex(30番手)、148dtex(40番手)、97dtex(60番手)の範囲のもの、特に591dtex(10番手)、422dtex(14番手)、370dtex(16番手)、295dtex(20番手)、246dtex(24番手)、197dtex(30番手)などの範囲の短繊維紡績糸条が好ましく使用できる。(これらの番手数は10の倍数に限定されるものではない。)短繊維紡績糸条が97dtex(60番手)より細いと得られる帆布の引裂強力が不十分になることがあり、また591dtex(10番手)よりも太いと破断強力及び引裂強力は向上するが、糸の径が太くなりそれに伴って、得られるシートが厚くなると同時に、繊維布帛の経緯交点の凹凸が大きくなり、平滑が不十分になることがある。これらの短繊維紡績糸条は単糸及び、双糸、さらには単糸3本以上の撚糸、またはこれらの2本合糸、あるいは2本合撚糸などの糸条を経糸及び緯糸として1インチ間30〜160本打込んで得られるスパン平織織布が好ましい。特に好ましくは295dtex(20番手)単糸、または295dtex双糸を用いて25.4mm当り経糸50〜70本、緯糸40〜60本の織密度で糸を打込んで得られるスパン平織織布を好適に用いることができる。その他マルチフィラメント糸条を内層(芯)として外層(鞘)に短繊維紡績糸条を巻き付けて紡績したコアスパン糸条から得られるスパン平織織布を使用することもできる。
【0049】
また、これらのマルチフィラメント糸条、または短繊維紡績糸条からなる繊維布帛の空隙率(目抜け部)は、35%以下のもの、好ましくは5〜30%のものが適している。空隙率が5%未満であると糸密度がこみすぎて、繊維布帛の表裏面に形成されるポリオレフィン系樹脂ブレンド層相互ブリッジ融着性を低下させ、動的耐久性を悪くするため好ましくない。特に空隙率が5%未満の場合においては、繊維布帛の樹脂ブレンド層貼着面には熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂と硬化剤または架橋剤との組成物からなる接着剤層が塗布されて形成されていれば本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートとして動的耐久性を低下させることなく使用できる。また、空隙率が35%を越えるとシートの柔軟性と動的耐久性は向上するが、経緯方向に含まれる繊維糸条の打ち込み密度が少なくなり、得られるシートの強度が低下させるのみならず、寸法安定性を悪くして実用性に欠けるものとなり好ましくない。空隙率の値は、繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸条の占有面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向10cmを単位面積として求める方法が簡便で好ましい。
【0050】
また、本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートに使用する繊維布帛を含有する基布は、スチレン系共重合体樹脂を含有する処理剤によって樹脂被覆処理されていることが好ましい。前記処理剤としては、有機溶剤中にスチレン系共重合体樹脂が溶解されたものであって、前記スチレン系共重合体樹脂としては、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合樹脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合樹脂及び、これらのスチレン系共重合樹脂の水素添加樹脂から選ばれた1種以上である。これらは前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドの(B)スチレン系共重合体樹脂に記述したスチレン系共重合体樹脂である。
【0051】
これらのスチレン系共重合体樹脂を溶解する有機溶剤としては、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テトラヒドロフランなどの1種以上から選ばれた混合有機系溶剤などが挙げられる。前記処理剤中に溶解して含有されるスチレン系共重合体樹脂の濃度としては、1〜30重量%であることが好ましい。この含有濃度が、1重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性、動的耐久性が不十分となることがあり、また、その含有濃度が30重量%を越えて大きくなると、処理剤の溶液粘度が著しく増大することによって繊維布帛への塗工処理、または被覆処理が困難となることがある。繊維布帛への塗工処理、含浸処理、及び被覆処理方法としては公知の加工方法、例えば、ディッピング法、ディップコート法、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、スプレーコート法などにて処理剤を1回以上、含浸及び/又は塗布することによって実施することができる。この時、(B)スチレン系共重合体樹脂の付着重量は、乾燥重量で1〜50g/m2 であることが好ましく、付着重量が1g/m2 未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂積層シートの耐熱クリープ性、動的耐久性が不十分となることがある。また、付着重量が50g/m2 を越えて大きくなると、塗工回数が多くなり、製造が煩雑化し、それに相応する程の耐熱クリープ性、接合部強度の向上効果は得られなくなる。また、得られる積層シートは必要以上に重くなり、シートの取り扱い性が悪くなるため好ましくない。
【0052】
また、本発明に使用する前記処理剤中には、スチレン系共重合体樹脂の他、ケイ素化合物を含んでいてもよい。ケイ素化合物含有組成物としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、シランカップリング剤から選ばれた1種以上からなる組成物が挙げられる。合成非晶質シリカとしては、乾式法によって得られる無水シリカ、エアロゲル法によって得られるシリカ、湿式法によって得られるシリカなどであり、これらのシリカは平均粒子径が1〜20μm程度のものが使用できる。前記下処理剤中に含有するシリカ量としては、スチレン系共重合体樹脂に対し、1〜20重量%であることが好ましく、さらにシランカップリング剤を併用することが好ましい。コロイダルシリカとしては有機系溶剤を分散媒とするBET平均粒子径10〜50nmのコロイド状シリカゾル(SiO2 )が使用できる。シランカップリング剤としては、一般式:XR−Si(Y)3 で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有する化合物で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、クロル基、メルカプト基など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。またこれらの加水分解物、及びアルコキシシラン化合物との共加水分解化合物なども使用できる。シランカップリング剤はスチレン系共重合体樹脂に対して1〜5重量%濃度で使用することが好ましい。
【0053】
また、上記処理剤には、スチレン系共重合体樹脂以外の樹脂成分が含有されていてもよく、これらの樹脂成分としては、スチレン系共重合体樹脂を溶解するために使用される前記有機溶剤に可溶性のものであれば特に限定はないが、好ましくはアイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂などの熱可塑性樹脂が使用できる。特にメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、無水イタコン酸、無水マレイン酸、N−メチルマレイミドなどによって変性されたエチレン系共重合体樹脂、及びアクリル系共重合体樹脂であることが好ましい。また必要に応じてフェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、アリルフタレート系樹脂などの熱硬化性樹脂をブレンドして使用することもできる。前記下処理剤は1)スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤で溶解したもの。2)スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤で溶解したものにケイ素化合物をさらに含有するもの。3)スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤で溶解したものにさらに他の熱可塑性樹脂を溶解して含有するもの。4)スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤で溶解したものに他の熱可塑性樹脂を溶解して含有し、かつ、ケイ素化合物をさらに含有するものなどが挙げられる。
【0054】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、上記繊維布帛を含む基布、又は上記処理剤で樹脂被覆処理された繊維布帛を含む基布の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層が形成されている。その一例として、本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートは上記繊維布帛を含む基布、又は上記処理剤で樹脂被覆処理された繊維布帛を含む基布の表裏両面にポリオレフィン系樹脂ブレンドによる表面樹脂ブレンド層(a)及び裏面樹脂ブレンド層(b)が形成されている。これらの樹脂ブレンド層の積層方法としては、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層と繊維布帛との間に接着剤層を設けてもよいし、接着剤なしで積層してもよい。この接着剤としては公知の接着剤、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、酢酸ビニル系、アクリル系、シアノアクリレート系、及びこれらの変性体などが挙げられる。しかし、本発明において、繊維布帛を上記処理剤で樹脂被覆処理された基布を用いる場合には、一般にこれらの接着剤の使用を必要としない。上記積層方法において、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成型加工と同時にそれを繊維布帛の片面ずつに熱ラミネートするカレンダートッピング法、またはT−ダイ押出ラミネートトッピング法を用いてもよく、あるいはカレンダー法、T−ダイ押出法、インフレーション法などにより、ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを成型加工した後に、ラミネーターを使用して2枚以上のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを一度に熱圧着して繊維布帛上に積層する、方法を用いてもよい、本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造には、カレンダー法によって成型加工されたポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムと繊維布帛との熱圧着による製造方法が効率的かつ経済的であり好ましい。このとき、繊維布帛の目抜け空隙部を介して表面側と裏面側のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムが熱溶融ブリッジすることにより接着強度、及び屈曲耐久性を向上させることが好ましく、さらに繊維布帛は前記処理剤によって樹脂被覆されていることが、接着強度、及び屈曲耐久性のみならず、耐熱クリープ性の向上のためにも好ましい。また前記処理剤による繊維布帛の樹脂被覆は、繊維布帛の目抜け空隙部の占有面積が5%未満の基布に対して特に有効な処理であり、この時、その他の接着剤の塗布処理を必要とせずに良好な接着強度と屈曲耐久性を十分に得ることができる。
【0055】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の少なくとも1層上に、その最外層として汚染防止層が形成されていることが、美観維持の観点で好ましい。前記汚染防止層は、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリル系樹脂含有熱可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上により形成されることが好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によって得られるものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート(ここで、メチル(メタ)アクリレートとは、メチルアクリレート及び、メチルメタアクリレートを意味し、以下同様の表記とする。)エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの単独ラジカル重合もしくは、(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なその他のモノマーとの共重合によって得られるアクリル系樹脂なども使用できる。(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合可能なモノマーとしては、例えばアルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタアクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの他、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等が挙げられる。
【0056】
アクリルシリコン系樹脂としては、Si−OH基、Si−OMe基を有する2官能以上の変性シリコン(例えば、シラノール基あるいはアルコキシ基を有するメチルメチルフェニルシリコーン樹脂)とアルコール性水酸基含有樹脂とをアルキルチタネート触媒の存在下で反応させて得られるシリコン変性体類、例えばアクリル変性シリコン樹脂、アクリル−ウレタン変性シリコン樹脂、ウレタン変性シリコン樹脂、ウレタン変性シリコン−フッ素共重合体樹脂、湿気硬化性のアクリル−シリコンオリゴマー(Si−(OR)3 基グラフト変性アクリル:Rはメチル、エチル)などが挙げられる。アクリルウレタン系樹脂としては、アクリルポリオールとポリイソシアネートとの重縮合物である。また、アクリル系樹脂含有熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂とのブレンド樹脂、アクリル系樹脂とシリコン系樹脂とのブレンド樹脂、アクリル系樹脂とフルオロオレフィン系樹脂とのブレンド樹脂、アクリル系樹脂とポリエステル系樹脂とのブレンド樹脂など、アクリルウレタン系樹脂、またはアクリルシリコン系樹脂とフルオロオレフィン系樹脂とのブレンド樹脂などである。
【0057】
フルオロオレフィン系樹脂としては、フルオロオレフィンとビニルエーテルまたはビニルエステルとの共重合によって得られる水酸基価0〜250のビニルエーテル−フルオロオレフィン共重合体樹脂、水酸基価0〜250のビニルエステル−フルオロオレフィン共重合体樹脂及び、これらのフッ素系樹脂とポリイソシアネート化合物、及びアミノ樹脂(メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、尿素系樹脂)との併用組成物などが用いられる。フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルなどであり、ビニルエーテル、及びビニルエステルとしては、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、及びこれらのビニルエーテル部の酸変性物などが使用でき、また、ビニルエステルとしては、ベオバ−9、ベオバ−10(シェル化学製)、酢酸ビニル、クロトン酸ビニルなどが使用できる。
【0058】
ポリウレタン系樹脂としては、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上とイソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られるものが使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソシアネート化合物が用いられる。ヒドロキシル基を2個以上有するポリオール化合物としては、分子量300〜10000、好ましくは、500〜5000であり、ジイソシアネート化合物と反応する量を含有するものである。更に、前記ジオールの他に分子鎖長の調節剤として、イソシアネート基と反応する官能基をもつ化合物を使用してもよい。これらの熱可塑性ポリウレタン樹脂には、必要に応じてジイソシアネートまたは、イソシアネート基を分子内に3個以上含有するポリイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物などを添加して、その被膜強度及び、耐熱性などを向上させたものが好ましく、さらに脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネートより製造される無黄変ポリウレタン樹脂を使用するのが耐光性の観点においてより好ましい。
【0059】
本発明の汚染防止層の形成は、上記アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、アクリル系樹脂含有熱可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上を有機溶剤中に固形分3〜30重量%濃度で溶解された処理剤を、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などの公知の塗工法によって均一塗布し、これを(熱風)乾燥することによって行うことができる。
【0060】
本発明の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの接合は、高周波ウエルダーによる融着によって容易に行うことができる。高周波ウエルダー接合法としては、具体的には、2枚以上のポリオレフィン系樹脂積層シートまたは、本発明のポリオレフィン系樹脂積層シート及び、それと熱融着しうる他の熱可塑性樹脂成型物のそれぞれの一部分を重ね合わせ、2個の電極(一方の電極は、ウエルドバーである)の間に置き、接合する部分にウエルドバーを加圧しながら電極に高周波(1〜200MHz )で発振する電位差を印加し、ウエルドバーで加圧し、印加した部分に発生する熱可塑性樹脂の分子摩擦熱により、これらの重ね合わせ部分を熱融着して接着、シールする。この場合熱可塑性樹脂の誘電損率すなわち、誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)との積量(ε.tanδ)が高周波で発振する内部分子摩擦熱の大きさに関係している。誘電正接は、熱可塑性樹脂により吸収された高周波電磁放射線エネルギーが熱に変換される部分の関数であり、誘電損率は少なくとも0.01以上であることが好ましい。高周波ウエルダー融着機としては市販の機種、例えば、山本ビニター(株)のYC−7000FT,YF−7000など、精電舎電子工業(株)のKM−5000TA,KA−7000TEなど、クインライト電子精工(株)のLW−4000W,LW−4060Sなどが使用できる。
【0061】
その他の本発明の耐摩耗性ポリオレフィン系樹脂シートの接合方法として、超音波振動子から発生する超音波エネルギー(16〜30KHz )を工具ホーン先端を通じて振幅を増幅させ、融着する複数層の熱可塑性樹脂溶着物に与ることによって熱可塑性樹脂溶着物の境界面に発生する摩擦熱を利用して1秒前後の瞬時に融着を行う超音波ウエルダー融着法、またはヒーターの電気制御によって、20〜700℃に無段階設定された熱風を、融着体の融着仕様に応じて選ばれたノズルを通じて被着体間に吹き込み、被着体の表面を瞬時に溶融させ、直後被着体を圧着して接着を行う熱風融着法、あるいは熱可塑性樹脂の溶融温度以上にヒーター内蔵加熱された金型(こて)を用いて被着体を圧着しシールする熱板融着法など、どの方法でも融着接合が可能であるが、複雑立体縫製を必要とするフレキシブルコンテナ製袋用には高周波ウエルダー融着によって専用の金型を用いて縫製を行うことが好ましい。
【0062】
【実施例】
本発明を下記実施例によりさらに具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
下記実施例、及び比較例において本発明のポリオレフィン系樹脂シートの加工性の評価、柔軟性の評価、耐摩耗性の評価、印刷性の評価、高周波ウエルダー融着性の評価、及び耐熱クリープ性など試験方法は以下の通りである。
【0063】
(1)加工性の評価
ポリオレフィン系樹脂コンパウンドをミキサー(ラボプラストミルC型バンバリーミキサーB600:温度120℃:回転数50rpm :(株)東洋精機製作所)で4分間混練し、得られた混練物を150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm:西村工機(株))に移して1分間混練し、厚さ1.0mmのシートを圧延して得られたシートの外観と引裂強度(JIS K−6301:B型ダンベル法)で評価した。
○:加工性良好(外観と引裂強度良好)
△:やや加工性に劣る(外観または引裂強度が悪い)
×:加工性に劣る(外観と引裂強度ともに悪い)
【0064】
(2)柔軟性の評価
70mm幅×30mm長に採取した小片をまるめて直径20mm×30mmサイズの円筒を作製し(のりしろはシアノアクリレート系瞬間接着剤で固定)JIS K−6382の圧縮試験を行い、50%圧縮時の応力(20℃で円筒の直径が10mmまで潰した状態)を求めて比較し、その数値が少ない程シートの柔軟性が優れていると判断した。柔軟性を評価する試験機にはループ・ステフネス・テスター((株)東洋精機製作所製)を使用した。
○:柔軟性良好(150g以下)
△:やや柔軟性に劣る(151〜199g)
×:柔軟性に劣る(200g以上)
【0065】
(3)耐摩耗性の評価
i)JIS L−1096に規定の摩耗強さ試験C法(テーバ形法)によりシート表面の摩耗性を評価した。摩耗強さを評価する試験機にはロータリー・アブレージョン・テスター((株)東洋精機製作所製)を使用し、摩耗輪(H−18)、摩耗荷重0.5kg、摩耗回数1000回の条件で摩耗試験を行い、試験前後の試料の質量差(摩耗減量)を求めて比較し、その数値が少ない程シートの耐摩耗性が優れていると判断した。
ii)上記条件でシート表面に繊維織物が露出するまでの摩耗回数を求めた。
【0066】
(4)印刷性の評価
225スクリーン線の「ABCD」アルファベット文字が製版されたスクリーン孔版と、塩ビ用スクリーンプロセスインキ(商標:セリコールVG−003B金赤:帝国インキ製造(株))とを用いてシートに「ABCD」のアルファベット文字をスクリーン印刷(セリコールVG:専用希釈剤「D−003溶剤」=100:15)し、常温で6時間乾燥してから粘着テープ(商標:セロテープ:ニチバン(株))を印刷部に貼り、粘着テープの上から数回強く擦りつけて完全に粘着テープを印刷部に密着させた後、粘着テープの一端を剥がした部分を持ち、印刷部から粘着テープを引き剥がして、粘着テープの粘着面への印刷インキの転写された面積の度合を、下記の判定基準によって評価した。
◎:粘着テープに印刷インキが全く転写されない。(密着良好である)
○:粘着テープに印刷インキが1〜9%転写されている。(概ね密着良好である)
△:粘着テープに印刷インキが10〜19%転写されている。(あまり密着が良くない)
×:粘着テープに印刷インキが20%以上転写されている。(密着が悪い)××:粘着テープに印刷インキが100%転写されている。(全く密着していない)
【0067】
(5)高周波ウエルダー融着性の評価
2枚のポリオレフィン系樹脂積層シートの端末を4cm幅で直線状に重ね合わせ、この重ね合せ部分に、4cm×30cmのウエルドバー(歯形:凸部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凸部高さ0.5mm:凹部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凹部深さ0.5mm)を装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いて高周波融着接合処理を施した。また融着接合部を含む3cm幅の試料を採取し、融着接合部の剪断試験(JIS L−1096)を行い、接合部の破壊状態を下記の判定基準によって評価した。
<高周波融着性>
○:融着が容易である。
※ウエルダー融着条件:融着時間5秒、冷却時間5秒
陽極電流0.8A、ウエルドバー温度40〜50℃
△:融着条件を強く、かつ長くすることにより融着可能である。
※ウエルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒
陽極電流1.2A、ウエルドバー温度40〜60℃
×:融着条件を強く、かつ長く設定しても融着しない。
※ウエルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒
陽極電流1.4A、ウエルドバー温度40〜60℃
<剪断による接合部の破壊状態>
○:本体破壊する。(接合部強度は十分である)
△:接合部の破壊に一部糸抜け破壊を伴う。(接合部強度は得られる)
×:接合部の完全な糸抜け破壊である。(接合部強度が低い)
【0068】
(6)耐熱クリープ性の評価
耐熱クリープ性試験は(5)のウエルダー融着シートより接合部4cmを含む、試験片幅3cm、試験片長30cmの試験片を採取し、これを耐熱クリープ試験片とし、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)製:100LDR型)を使用して50℃×25kgf 荷重×24時間の耐熱クリープ性試験を評価した。
○:24時間経過後、接合部の破壊はなく25kgf の荷重に耐えていた。
×:24時間以内に接合部が糸抜け剪断破壊した。
【0069】
[実施例1]
1)ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(表面:裏面=5:4)
i)メタロセン系触媒(ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド及びメチルアミノキサン)の存在下プロピレンの塊状重合によって得られた(A−1)ポリプロピレン樹脂(MFR3.2g/10min /230℃:結晶融点130℃:シンジオタクティックペンタッド分率0.767/13C−NMR)50重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂(商標:ハイブラー7125(HVS−3):スチレン−水素添加ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂:MFR6.0g/10min /230℃:スチレン含有量20wt%:(株)クラレ)20重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm:西村工機(株))で2分間予備混練した。
ii)上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに成分(C)として(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバテートK2010:MFR3.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量25重量%:住友化学工業(株))20重量部と、(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P:MFR1.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量60重量%:大日本インキ化学工業(株))10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、(A)+(B)+(C)=100重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。
iii )上記成分(A)+(B)+(C)からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、合成非晶質シリカ(商標:ニップシールE200:日本シリカ工業(株):含水率6重量%:平均粒子径3μm)を3重量部、リン酸エステル系滑剤(商標:LTP−2:川研ファインケミカル(株))1.0重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(商標:チヌビン770:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.1重量部と、着色顔料を3重量部〔(有機系顔料カラードペレット:商標:HCM1617ブルー:シアニンブルー(α)含有率20重量%:大日精化工業(株))2重量部+無機系顔料カラードペレット:商標:HCM2060ホワイト:二酸化チタン(R)60重量%:大日精化工業(株))2重量部〕とを配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分の合計量を11重量%含有する0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルムと、0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルムをカレンダー圧延成型した。このブレンドフィルムの引張降伏値は747N/cm2 であった。
【0070】
2)繊維布帛(マルチフィラメント基布)の下処理
スチレン−水素添加イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレンープロピレン−スチレン系共重合樹脂)であるスチレン系共重合体樹脂(商標:セプトン2007:MFR2.4g/10min /230℃:スチレン含有量30wt%:(株)クラレ)を固形分濃度15重量%で溶解して含むトルエン溶液を調製し、このスチレン系共重合体樹脂溶液100重量部に対し、シランカップリング剤(KBM303:β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン:信越化学工業(株):有機成分100重量%)1重量部と、合成非晶質シリカ(商標:ニップシールE200:日本シリカ工業(株):含水率6重量%:平均粒子径3μm)を2重量部加えて均一に撹拌し下処理液を得た。次に、80メッシュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、この下処理液をポリエステル繊維平織物〔750デニール(833dtex)PETマルチフィラメント(96f):経糸密度19本/2.54cm×緯糸密度20本/2.54cm:空隙率18%:質量75g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は81g/m2 であった。
【0071】
3)ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の積層
2)で得た下処理ポリエステル繊維平織物の表裏両面に、1)で得た0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルムを表面側に、また0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルムを裏面側となるようにして、160℃のロール温度設定のラミネーターを用いて熱圧着して貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.56mm、質量461g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0072】
[実施例2]
実施例1のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔680デニール(755dtex)PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 :※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は実施例1と同一として、厚さ0.25mmと0.20mmのポリオレフィン系樹脂ブレンド層を下記下処理ポリプロピレン繊維平織物の表裏両面に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、合計厚さ0.56mm、質量466g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0073】
[実施例3]
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の配合組成と層厚さ比を下記の通り変更したこと以外は実施例1と同一とした。まず、(A−2)ポリプロピレン樹脂(E−2640:MFR2.5g/10min /230℃:シンジオタクティックポリプロピレン:出光石油化学(株))30重量部と、(A−3)ポリプロピレン系樹脂(商標:キャタロイKS−353P:EPR−PPリアクター樹脂:MFR0.45g/10min /230℃、EPR60wt%、PP40wt%:サンアロマー(株))30重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂25重量部とをブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に上記(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P)15重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、(A)+(B)+(C)=100重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。そして更に上記ポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例1と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例1と同一重量部配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分を9重量%含有する0.27mm厚の樹脂ブレンドフィルムと、0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルムとをカレンダー圧延成型した。この0.27mm厚の樹脂ブレンドフィルムを表面側に、また0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルムを裏面側となるようにして、実施例1と同一の下処理ポリエステル繊維平織物に、実施例1と同様に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、合計厚さ0.56mm、質量461g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンドフィルムの引張降伏値は633N/cm2 であった。
【0074】
[実施例4]
実施例3のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔680デニール(755dtex)PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 :※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は実施例3と同一として、厚さ0.27mm及び0.18mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを上記下処理ポリプロピレン繊維平織物の両面に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、合計厚さ0.56mm、質量466g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0075】
[実施例5]
実施例1に記載のメタロセン系触媒の存在下プロピレンの塊状重合によって得られた(A−1)ポリプロピレン樹脂50重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂(商標:セプトン2007:スチレン−水素添加イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂):MFR2.4g/10min /230℃:スチレン含有量30wt%:(株)クラレ)20重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に上記(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P:MFR1.0g/10min /190℃:V酢酸ビニル含有量60重量%:大日本インキ化学工業(株))10重量部と、(C−3)エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(商標:アクリフトWH206:MFR2.0g/10min /190℃:メチルメタアクリレート含有率20wt%:住友化学工業(株))20重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、(A)+(B)+(C)=100重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。そして更に上記ポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例1と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例1と同一重量部配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量を10重量%含有する0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルムと、0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルムとをカレンダー圧延成型した。この0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルムを表面側に、また0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルムを裏面側となるようにして、下処理を施した下記ポリエステル繊維平織スパン(短紡績糸条基布)に、実施例1と同様に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、合計厚さ0.66mm、質量614g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は643N/cm2 であった。
【0076】
ポリエステル繊維平織スパン(短繊維紡績糸基布)の下処理
80メッシュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、実施例1と同一の下処理液をポリエステル(PET)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸20番手双糸(590dtex)44本/2.54cm×緯糸20番手双糸(590dtex)40本/2.54cm:空隙率6.2%:質量228g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維平織スパンの質量は234g/m2 であった。
【0077】
[実施例6]
実施例5のポリエステル繊維平織スパンを、ポリプロピレン(PP)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm×緯糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm:空隙率5.8%:質量205g/m2 ※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は実施例5と同一として、厚さ0.25mm及び0.20mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを上記下処理ポリプロピレン繊維平織スパンの表裏両面に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、合計厚さ0.66mm、質量590g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0078】
[実施例7]
実施例5のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の配合組成と層厚さ比を下記の通り変更したこと以外は実施例5と同一とした。まず、(A−2)ポリプロピレン樹脂30重量部、(A−3)ポリプロピレン樹脂30重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂25重量部とをブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に上記(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P:MFR1.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量60重量%:大日本インキ化学工業(株))15重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、(A)+(B)+(C)=100重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。そして更に上記ポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例1と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例1と同一重量部配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分を9重量%含有する0.27mm厚の樹脂ブレンドフィルムと、0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルムをカレンダー圧延成型した。この0.27mm厚の樹脂ブレンドフィルムを表面側に、また0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルムを裏面側となるようにして、実施例5と同一の下処理を施したポリエステル繊維平織スパン(短紡績糸条基布)に、実施例1と同様に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、合計厚さ0.66mm、質量614g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は627N/cm2 であった。
【0079】
[実施例8]
実施例7のポリエステル繊維平織スパンを、ポリプロピレン(PP)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm×緯糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm:空隙率5.8%:質量205g/m2 :※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は実施例7と同一として、厚さ0.27mm及び0.18mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを上記下処理ポリプロピレン繊維平織スパンの表裏両面に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、合計厚さ0.66mm、質量590g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0080】
実施例1〜8のポリオレフィン系樹脂積層シートの構成及び試験結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
[実施例1〜実施例8の効果]
(A)ポリプロピレン系樹脂成分、(B)スチレン系共重合体樹脂成分、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂成分を含む樹脂ブレンドから構成され、前記樹脂ブレンド中に含有される前記成分(A)、(B)、(C)の合計重量に対する前記成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、前記成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド中に、前記成分(C)中に共重合成分として含まれる酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸(エステル)との合計含有量が3〜25重量%であるという条件を満たすことによって、実施例1〜8で得られたポリオレフィン系樹脂積層シートは、何れも柔軟性と耐摩耗性に優れ、高周波融着と印刷の二次加工が容易であった。また、耐熱性にも優れ、特に高周波融着による接合部の耐熱クリープ性も良好であった。また特に基布用繊維織物をスチレン系共重合体樹脂で下処理することによって、得られるシートの接合部強度が向上し、それと同時に、耐熱クリープ性も更に向上していた(比較例1,2,5,6)。この実施例1〜8で行ったスチレン系共重合体樹脂による基布用繊維織物への下処理は、シートの柔軟性を損なうことなく、しかもシートの引裂強度を損なうこともなかった(比較例3,4,7,8)。また更に、好ましくはポリオレフィン系樹脂ブレンド層の引張降伏値を500N/cm2 以上に設定すること、実施例1,2,5,6に示すがごとく、表面と裏面のブレンド層の厚さ比を5:4に、または、実施例3,4,7,8に示すがごとく、表面と裏面のブレンド層の厚さ比を3:2に設定することによって、更にシートの摩耗耐久性を向上させることが可能であることを確認した(比較例3,4,7,8)。また、成分(A)+(B)+(C)を含む樹脂ブレンドを加工する工程において、特にブレンド工程を〔(A)+(B)+(C)の手順で行うことによって、樹脂ブレンドの加工性が極めて良好なものであることを確認した。
【0083】
[実施例9]
(1)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)
(i)メタロセン系触媒(ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド及びメチルアミノキサン)の存在下プロピレンの塊状重合によって得られた(A−1)ポリプロピレン樹脂(MFR3.2g/10min /230℃:結晶融点130℃:シンジオタクティックペンタッド分率0.767/13C−NMR)60重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂(商標:ハイブラー7125(HVS−3):スチレン−水素添加ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂:MFR6.0g/10min /230℃:スチレン含有量20wt%:(株)クラレ)20重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm:西村工機(株)で2分間予備混練した。
【0084】
(ii)上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバテートK2010:MFR3.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量25重量%:住友化学工業(株)10重量部と、(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P:MFR1.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量60重量%:大日本インキ化学工業(株)10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)含有ポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。
【0085】
(iii) 上記成分(A)+(B)+(C)を含むポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、合成非晶質シリカ(商標:ニップシールE200:日本シリカ工業(株):含水率6重量%:平均粒子径3μm)を3重量部、リン酸エステル系滑剤(商標:LTP−2:川研ファインケミカル(株))1.0重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(商標:チヌビン770:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.1重量部と、着色顔料を3重量部[(有機系顔料カラードペレット:商標:HCM1617ブルー:シアニンブルー(α)含有率20重量%:大日精化工業(株))2重量部+無機系顔料カラードペレット:商標:HCM2060ホワイト:二酸化チタン(R)60重量%:大日精化工業(株)]2重量部]とを配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分の合計量を8.5重量%含有する0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルム(a)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は827N/cm2 であった。
【0086】
(2)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)
(i)(A−1)ポリプロピレン樹脂55重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂15重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。
(ii)上記(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂10重量部と、(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂20重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)を含む、ポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。
(iii) 上記成分(A)+(B)+(C)を含むポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、合成非晶質シリカ(商標:ニップシールE200:日本シリカ工業(株):含水率6重量%:平均粒子径3μm)を3重量部、リン酸エステル系滑剤(商標:LTP−2:川研ファインケミカル(株))1.0重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(商標:チヌビン770:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.1重量部と、着色顔料を3重量部[(有機系顔料カラードペレット:商標:HCM1617ブルー:シアニンブルー(α)含有率20重量%:大日精化工業(株))2重量部+無機系顔料カラードペレット:商標:HCM2060ホワイト:二酸化チタン(R)60重量%:大日精化工業(株)]2重量部]とを配合し、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分の合計量を14.5重量%含有する0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルム(b)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は657N/cm2 であった。
【0087】
(3)繊維布帛(マルチフィラメント基布)の下処理
スチレン−水素添加イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂)であるスチレン系共重合体樹脂(商標:セプトン2007:MFR2.4g/10min /230℃:スチレン含有量30wt%:(株)クラレ)を固形分濃度15重量%で溶解して含むトルエン溶液を調製し、このスチレン系共重合体樹脂溶液100重量部に対し、シランカップリング剤(KBM303:β/(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン:信越化学工業(株):有効成分100重量%)1重量部と、合成非晶質シリカ(商標:ニップシールE200:日本シリカ工業(株):含水率6重量%:平均粒子径3μm)を2重量部加えて均一に撹拌し下処理液を得た。次に、80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、この下処理液をポリエステル繊維平織物〔833dtex(750デニール)PETマルチフィラメント(96f):経糸密度19本/2.54cm×緯糸密度20本/2.54cm:空隙率18%:質量75g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は81g/m2 であった。
【0088】
(4)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムの積層
前記工程(3)で得た下処理ポリエステル繊維平織物に、前記工程(1)で得た0.25mm厚、酢酸ビニル成分含有量が8.5重量%の樹脂ブレンドフィルム(a)を表面側、また0.20mm厚、酢酸ビニル成分含有量が14.5重量%の樹樹脂ブレンドフィルタ(b)を裏面側となるようにして、160℃のロール温度設定のラミネーターを用いて熱圧着して貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.56mm、質量461g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0089】
[実施例10]
実施例9のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔755dtex(680デニール)PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 ※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は、実施例9と同一として、0.25mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)と、0.20mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)とを上記下処理ポリプロピレン繊維平織物の両面に貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.56mm、質量466g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0090】
[実施例11]
(1)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)
(A−2)ポリプロピレン樹脂(E−2640:MFR2.5g/10min /230℃:シンジオタクティックポリプロピレン:出光石油化学(株))65重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂25重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)含有なるポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記(A)+(B)+(C)からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分を6重量%含有する0.27mm厚の樹脂ブレンド層(a)をカレンダー圧延成型した。このブレンドフィルムの引張降伏値は784N/cm2 であった。
【0091】
(2)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)
(A−2)ポリプロピレン樹脂30重量部、(A−3)ポリプロピレン樹脂(商標:キャタロイKS−353P:EPR−PPリアクター樹脂:MFR0.45g/10min /230℃、EPR60wt%、PP40wt%:サンアロマー(株))30重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂15重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂25重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)を含む、ポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記成分(A)+(B)+(C)含有ポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物からカレンダー圧延により酢酸ビニル成分を15重量%含有する0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルム(b)を成型した。このブレンドフィルムの引張降伏値は525N/cm2 であった。
【0092】
(3)繊維布帛(マルチフィラメント基布)の下処理
実施例9と同一とした。
(4)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムの積層
前記工程(3)の下処理ポリエステル繊維平織物に、前記工程(1)で得た0.27mm厚、酢酸ビニル成分含有量が6重量%の樹脂ブレンドフィルム(a)を表面側に、また0.18mm厚、酢酸ビニル成分含有量が15重量%の樹樹脂ブレンドフィルム(b)を裏面側となるようにして、160℃のロール温度設定のラミネーターを用いて熱圧着して貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、厚さ0.56mm、質量461g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0093】
[実施例12]
実施例11のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔755dtex(680デニール)、PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 ※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更し、これに実施例9と同一の下処理を施した。実施例11と同一の0.27mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)と、0.18mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)とを上記下処理ポリプロピレン繊維平織物の両面に実施例9と同一の方法で貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、厚さ0.56mm、質量466g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0094】
[実施例13]
(1)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)
(A−1)ポリプロピレン樹脂60重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂(商標:セプトン2007:スチレン−水素添加イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂):MFR2.4g/10min /230℃:スチレン含有量30wt%:(株)クラレ)20重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂10重量部、(C−3)エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(商標:アクリフトWH206:MFR2.0g/10min /190℃:メチルメタアクリレート含有率20wt%:住友化学工業(株))10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)含有ポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記ポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計量を8重量%含有する0.25mm厚の樹脂ブレンドフィルム(a)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は766N/cm2 であった。
【0095】
(2)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)
(A−1)ポリプロピレン樹脂55重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂15重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂20重量部、(C−3)エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)含有ポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記成分(A)+(B)+(C)からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計量を14重量%含有する0.20mm厚の樹脂ブレンドフィルム(b)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は620N/cm2 であった。
【0096】
(3)ポリエステル繊維平織スパン(短繊維紡績糸基布)の下処理
80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、実施例9と同一の下処理液下処理液をポリエステル(PET)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸20番手双糸(590dtex)44本/2.54cm×緯糸20番手双糸(590dtex)40本/2.54cm:空隙率6.2%:質量228g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維平織スパンの質量は234g/m2 であった。
(4)ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の積層
前記工程(3)の下処理ポリエステル繊維平織物に、前記工程(A)で得た0.25mm厚、酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の含有量が8重量%の樹脂ブレンドフィルム(a)を表面側に、また0.20mm厚、酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の含有量が14重量%の樹樹脂ブレンドフィルム(b)を裏面側となるようにして、160℃のロール温度設定のラミネータ−を用いて熱圧着して貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.66mm、質量615g/m2 ポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0097】
[実施例14]
実施例13のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔755dtex(680デニール)、PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 ※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更したこと以外は、実施例13と同一の0.25mmのポリオレフィン系樹脂ブレンド層(a)と、0.20mmのポリオレフィン系樹脂ブレンド層(b)とを上記下処理ポリプロピレン繊維平織物の両面に実施例9と同一の方法で貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.66mm、質量590g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0098】
[実施例15]
(1)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)
(A−2)ポリプロピレン樹脂65重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂25重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂10重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)のポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記成分(A)+(B)+(C)からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分を6重量%含有する0.27mm厚の樹脂ブレンドフィルム(a)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は696N/cm2 であった。
【0099】
(2)ポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)
(A−2)ポリプロピレン樹脂30重量部と、(A−3)ポリプロピレン樹脂30重量部と、(B−2)スチレン系共重合体樹脂15重量部をブレンドし、150℃に設定したテストロール(φ6インチ2本ロール:ロールギャップ1.0mm)で2分間予備混練した。次に、上記成分(A)+(B)の予備混練コンパウンドに(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂25重量部を加え、150℃に設定したテストロールで2分間混練し、成分(A)+(B)+(C)のポリオレフィン系樹脂ブレンドを得た。さらに上記成分(A)+(B)+(C)からなるポリオレフィン系樹脂ブレンドに対し、実施例9と同一の添加剤(合成非晶質シリカ、リン酸エステル系滑剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料)を実施例9と同一重量部配合して、150℃のテストロールで3分間均一に混練し、この混練組成物から酢酸ビニル成分を15重量%含有する0.18mm厚の樹脂ブレンドフィルム(b)をカレンダー圧延成型した。このブレンド層の引張降伏値は540N/cm2 であった。
【0100】
(3)ポリエステル繊維平織スパン(短繊維紡績糸基布)の下処理
実施例13と同一とした。
(4)ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の積層
前記工程(3)の下処理ポリエステル繊維平織物に、前記工程(1)で得た0.27mm厚、酢酸ビニル成分の含有量が6重量%の樹脂ブレンドフィルム(a)を表面側に、また0.18mm厚、酢酸ビニル成分の含有量が15重量%の樹樹脂ブレンドフィルム(b)を裏面側となるようにして、160℃のロール温度設定のラミネータ−を用いて熱圧着して貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、厚さ0.66mm、質量615g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0101】
[実施例16]
実施例15のポリエステル繊維平織物を、ポリプロピレン繊維平織物〔680デニール(755dtex)PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 :※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕に変更した。実施例15と同一の0.27mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(a)と、0.18mmのポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルム(b)とを上記下処理ポリプロピレン繊維平織物の両面に実施例9と同一の方法で貼り合わせ、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/3:2、厚さ0.66mm、質量590g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。
【0102】
実施例9〜16の結果を表2及び表3に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
[実施例9〜実施例16の効果]
繊維織物基布の表面に形成する樹脂ブレンド層(a)として、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)スチレン系共重合体樹脂、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂の成分(A)+(B)+(C)からなる樹脂ブレンドであって、成分(a)、(b)及び(c)の合計重量に対し、樹脂ブレンド(a)中に含有される前記(A)成分の比率が30〜70重量%、前記(B)成分の比率が10〜50重量%、前記(C)成分の比率が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド(a)の成分(c)中に共重合成分として含まれる酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸(エステル)との合計含有量が3〜10重量%である樹脂ブレンドであって、さらに裏面に形成する樹脂ブレンド(b)として、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)スチレン系共重合体樹脂、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂の成分(A)+(B)+(C)からなる樹脂ブレンドであって、成分(A)、(B)及び(C)の合計重量に対し、樹脂ブレンド(a)中に含有される前記(A)成分の比率が30〜70重量%、前記(B)成分の比率が10〜50重量%、前記(C)成分の比率が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド(b)の成分(c)中に共重合成分として含まれる酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分との合計含有量が10〜25重量%である樹脂ブレンドであって、好ましくは樹脂ブレンド層(a)と(b)との厚さ比率が、1:1〜3:1である条件を満たすことによって、実施例9〜16で得られたポリオレフィン系樹脂積層シートは、何れも柔軟性と耐摩耗性に優れ、高周波融着と印刷の二次加工が容易であった。また、耐熱性にも優れ、特に高周波融着による接合部の耐熱クリープ性も良好であった。また特に繊維織物基布をスチレン系共重合体樹脂で下処理することによって、得られるシートの接合部強度が向上すると同時に、耐熱クリープ性も更に向上するものであった(比較例1,2,5,6)。この実施例9〜16で行ったスチレン系共重合体樹脂による繊維織物基布への下処理は、シートの柔軟性を損なうことなく、しかもシートの引裂強度を損なうこともなかった(比較例3,4,7,8)。また更に、ポリオレフィン系樹脂ブレンド層の引張降伏値を500N/cm2 以上に設定すること、実施例9,10,13,14に示すがごとく、表面(a)と裏面(b)のブレンド層の厚さ比を5:4に、または、実施例11,12,15,16に示すがごとく、表面(a)と裏面(b)のブレンド層の厚さ比を3:2に設定することによって、更にシートの摩耗耐久性を向上させることが可能であることを確認した(比較例3,4,7,8)。また、成分(A)+(B)+(C)含有樹脂ブレンドを加工する工程において、ブレンド工程を特に成分〔成分(A)+(B)〕+成分(C)の手順に行うことによって、樹脂ブレンドの加工性が極めて良好なものであることを確認した。
【0106】
[実施例17]
実施例1のポリオレフィン系樹脂積層シートの表面に、下記組成からなる処理剤を80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させて汚染防止層を形成した。乾燥塗布量は5g/m2 であった。
【0107】
[実施例18]
実施例2のポリオレフィン系樹脂積層シートの表面に、下記組成からなる処理剤を80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させ、汚染防止層の形成を行った。乾燥塗布量は5g/m2 であった。
【0108】
[実施例19]
実施例5のポリオレフィン系樹脂積層シートの表面に、下記組成からなる処理剤を80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させ、汚染防止層の形成を行った。乾燥塗布量は5g/m2 であった。
【0109】
[実施例20]
実施例6のポリオレフィン系樹脂積層シートの表面に、下記組成からなる処理剤を80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させて汚染防止層を形成した。乾燥塗布量は5g/m2 であった。
【0110】
実施例17〜20のポリオレフィン系樹脂積層シートについて、前記評価試験(2),(3),(4)及び下記防汚性の評価試験を行った。
(7)防汚性の評価(環境汚れ試験)
実施例17〜20のポリオレフィン系樹脂積層シートを、南向きに設置された曝露台の傾斜30°方向及び垂直方向に展張して屋外曝露を行い、6ヶ月曝露後のシートの表面を水道水で濡らしたガーゼを用いて軽く5回擦って水拭きし、これを水道水で10秒間洗浄後6時間自然乾燥させた。曝露開始前後の試料の表面色差ΔE(JIS−Z−8729)を測定し、下記の判定基準により防汚性を評価した。屋外曝露試験は埼玉県草加市内において4〜9月の間実施した。
◎:ΔE=0〜2.9:汚れがなく良好。初期の状態を維持している。
○:ΔE=3〜4.9:汚れによる変色があるが、目立たない。
実施例17〜20の評価結果を表4及び5に示す。
【0111】
【表4】
【0112】
【表5】
【0113】
[実施例17〜20の効果]
実施例17〜19で得られたポリオレフィン系樹脂積層シートは、それぞれアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂からなる汚染防止層を設けたことによって屋外使用時における環境汚れの付着除去性(防汚性)と印刷性が向上した。特に実施例20で得られたポリオレフィン系樹脂積層シートはフルオロオレフィン系樹脂からなる汚染防止層を設けたことによって環境汚れの付着除去性(防汚性)が大きく向上した。
【0114】
[比較例1]
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から(B)成分スチレン系共重合体樹脂を省き、(A−1)ポリプロピレン樹脂(MFR3.2g/10min /230℃:結晶融点130℃:シンジオタクティックペンタッド分率0.767/13C−NMR)80重量部と、(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバテートK2010:MFR3.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量25重量%:住友化学工業(株))20重量部とからなる成分(A)+(C)組成としたこと以外の配合は実施例1と同一とし、実施例1と同一厚さ0.25mmと0.20mm厚の酢酸ビニル成分含有量5重量%の樹脂ブレンド層を、実施例1と同様の方法で作製した。また実施例1と同一のポリエステル繊維平織物を用いたが、比較例1では実施例1で行った繊維織物への下処理を省略した。これ以外は、実施例1と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.56mm、質量460g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は984N/cm2 であった。
【0115】
[比較例2]
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から(B)スチレン系共重合体樹脂を省き、(A−1)ポリプロピレン樹脂20重量部と、(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂80重量部とからなる(A)+(C)=100重量%組成としたこと以外の配合は実施例1と同一とし、実施例2と同一厚さ0.25mmと0.20mm厚の酢酸ビニル成分含有量20重量%の樹脂ブレンド層を、実施例1と同様の方法で作製した。また実施例2と同一のポリプロピレン繊維平織物を用いたが、比較例2では実施例2で行った繊維織物への下処理を省略した。これ以外は、実施例1と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.56mm、質量465g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は643N/cm2 であった。
【0116】
[比較例3]
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂を省き、(A−2)ポリプロピレン樹脂(E−2640:MFR2.5g/10min /230℃:シンジオタクティックポリプロピレン:出光石油化学(株))80重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂(商標:ハイブラー7125(HVS−3):スチレン−水素添加ビニルイソプレン−スチレン共重合樹脂:MFR6.0g/10min /230℃:スチレン含有量20wt%:(株)クラレ)20重量部とからなる成分(A)+(B)組成としたこと以外の配合は実施例1と同一とし、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の含有率0重量%の樹脂ブレンド層を実施例1と同様の方法で作製した。但し、表面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.12mmとし、また裏面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.24mmとした。また実施例1と同一のポリエステル繊維平織物を用いたが、比較例3では実施例1で行った繊維織物への下処理を下記組成に変更した。これ以外は、実施例1と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/1:2、厚さ0.51mm、質量412g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は743N/cm2 であった。
【0117】
上記下処理液を、80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、ポリエステル繊維平織物〔833dtex(750デニール)PETマルチフィラメント(96f):経糸密度19本/2.54cm×緯糸密度20本/2.54cm:空隙率18%:質量75g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は93g/m2 であった。
【0118】
[比較例4]
実施例1のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂を省き、(A−2)ポリプロピレン樹脂20重量部と、(B−1)スチレン系共重合体樹脂80重量部とからなる成分(A)+(B)組成としたこと以外の配合は実施例1と同一とし、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の含有率0重量%の樹脂ブレンド層を実施例1と同様の方法で作製した。但し、表面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.12mmとし、また裏面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.24mmとした。また実施例2と同一のポリプロピレン繊維平織物を用いたが、比較例4では実施例2で行った繊維織物への下処理を下記組成に変更した。これ以外は、実施例1と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/1:2、厚さ0.51mm、質量417g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は563N/cm2 であった。
【0119】
上記下処理液を、80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、ポリプロピレン繊維平織物〔755dtex(680デニール)、PPマルチフィラメント(120f):糸密度経糸24本/2.54cm×緯糸25本/2.54cm:空隙率16%:質量:80g/m2 :※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は94g/m2 であった。
【0120】
[比較例5]
実施例5のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から成分(A)ポリプロピレン樹脂を省き、(B−1)スチレン系共重合体樹脂50重量部と、(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂50重量部とからなる成分(B)+(C)組成としたこと以外の配合は実施例5と同一とし、実施例5と同一厚み0.25mmと0.20mm厚の酢酸ビニル成分含有率12.5重量%の樹脂ブレンド層を、実施例5と同様の方法で作製した。また実施例5と同一のポリエステル繊維平織物を用いたが、比較例5では実施例5で行った繊維織物への下処理を省略した。これ以外は、実施例5と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.66mm、質量615g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は533N/cm2 であった。
【0121】
[比較例6]
実施例6のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A)+(B)+(C)組成から(A)ポリプロピレン樹脂を省き、(B−2)スチレン系共重合体樹脂(商標:セプトン2007:スチレン−水素添加イソプレン−スチレン系共重合樹脂(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系共重合樹脂):MFR2.4g/10min /230℃:スチレン含有量30wt%:(株)クラレ)50重量部と、(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバスレン410P:MFR1.0g/10min /190℃:酢酸ビニル含有量60重量%:大日本インキ化学工業(株))50重量部とからなる成分(B)+(C)組成としたこと以外の配合は実施例6と同一とし、実施例6と同一厚さ0.25mmと0.20mm厚の酢酸ビニル成分含有率30重量%の樹脂ブレンド層を、実施例6と同様の方法で作製した。また実施例6と同一のポリプロピレン繊維平織物を用いたが、比較例6では実施例6で行った繊維織物への下処理を省略した。これ以外は、実施例6と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/5:4、厚さ0.66mm、質量590g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は546N/cm2 であった。
【0122】
[比較例7]
実施例5のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の成分(A−1)ポリプロピレン樹脂85重量部、(B−2)スチレン系共重合体樹脂5重量部、(C−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂10重量部からなる成分(A)+(B)+(C)組成に変更したこと以外の配合は実施例5と同一とし、酢酸ビニル成分の含有率2.5重量%の樹脂ブレンド層を実施例5と同様の方法で作製した。但し、表面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.12mmとし、また裏面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.24mmとした。また実施例5と同一のポリエステル繊維平織物を用いたが、比較例7では実施例5で行った繊維織物への下処理液の組成を下記組成に変更した。これ以外は、実施例5と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/1:2、厚さ0.56mm、質量569g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は866N/cm2 であった。
【0123】
上記下処理液を、80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、ポリエステル(PET)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸20番手双糸(590dtex)44本/2.54cm×緯糸20番手双糸(590dtex)40本/2.54cm:空隙率6.2%:質量228g/m2 〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は246g/m2 であった。
【0124】
[比較例8]
実施例6のポリオレフィン系樹脂ブレンド層の組成を、(A−1)ポリプロピレン樹脂20重量部、(B−2)スチレン系共重合体樹脂10重量部、(C−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂20重量部と(C−3)エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(商標:アクリフトWH206:MFR2.0g/10min /190℃:メチルメタアクリレート含有率20wt%:住友化学工業(株))からなる成分(A)+(B)+(C)組成に変更したこと以外の配合は実施例6と同一とし、酢酸ビニル成分の含有率22重量%の樹脂ブレンド層を実施例6と同様の方法で作製した。但し、表面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.12mmとし、また裏面形成用樹脂ブレンド層の厚さは0.24mmとした。また実施例6と同一のポリプロピレン繊維平織物を用いたが、比較例8では実施例6で行った繊維織物への下処理を下記組成に変更した。これ以外は、実施例6と同様として、樹脂ブレンド層(表):(裏)の厚さ比/1:2、厚さ0.56mm、質量544g/m2 のポリオレフィン系樹脂積層シートを得た。また、ブレンド層の引張降伏値は572N/cm2 であった。
【0125】
上記下処理液を、80メッシッュ線のグラビア転写ロール塗工機を用いて、ポリプロピレン(PP)短繊維紡績糸条からなる平織スパン〔糸密度:経糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm×緯糸24番手双糸(492dtex)36本/2.54cm:空隙率5.8%:質量205g/m2 ※(株)グランドポリマー製アイソタクティックポリプロピレンS106LA(MFR15g/10min /230℃)から270℃で溶融紡糸〕の片面ずつに全面塗布し、80℃の熱風乾燥炉で2分間乾燥させた。両面に下処理を施したPET繊維織物の質量は219g/m2 であった。
【0126】
比較例1〜8の結果を表6に示す
【0127】
【表6】
【0128】
[比較例1]〜[比較例8]の性能
本発明は、繊維織物基布の表面に形成する樹脂ブレンド層(a)として、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)スチレン系共重合体樹脂、(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂の成分(A)+(B)+(C)を含む樹脂ブレンドであることを要件とするが、比較例1,2で得られたシートは、成分(B)を含まないことによって、成分(A)と成分(C)との樹脂混練を効果的に行うことが困難で、しかも外観の悪い樹脂ブレンドであり、さらに印刷が不能であった。また、比較例3,4で得られたシートは、成分(C)を含まないことによって、高周波ウエルダー性が得られなかった。また、比較例5,6で得られたシートは成分(A)を含まないことによって耐摩耗性が悪いものとなった。また、比較例7,8で得られたシートは(A)、(B)、(C)全ての成分を含有するが、比較例7では、成分(A)含有率が大き過ぎ、成分(B)含有率が小さ過ぎるために、加工性と柔軟性が十分に得られず、比較例8で得られたシートは、成分(A)含有率が小さ過ぎ、成分(C)含有率が大き過ぎるために、耐摩耗性と耐熱クリープ性が十分に得られない。また、比較例3,4,7,8では、実施例1,5,9,13のスチレン系共重合体樹脂ベースの下処理組成をポリウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂ベースの組成に変更したことによって、得られるシートの風合いを硬くすると同時に、引裂強度を大きく低下させる問題を生じた。また、特に比較例3,4,7,8では、繊維織物基布の表面側に形成する樹脂ブレンド層の厚さと、裏面側に形成する樹脂ブレンド層の厚さとの比率を1:2としたことによって、得られたシートの摩耗耐久性は極めて悪いものとなった。
【0129】
[発明の効果]
上記実施例及び、比較例から明らかな様に、本発明は、柔軟な風合いと優れた耐摩耗性を有し、かつ印刷と高周波ウエルダー融着が可能であるポリオレフィン系樹脂積層シート及び、融着接合部の破壊強度と耐熱クリープ性にも優れたポリオレフィン系樹脂積層シートを得ることを可能とし、このために、本発明により得られるポリオレフィン系樹脂積層シートは、特にフレキシブルコンテナ用の産業資材として好適に用いることができ、さらには他の産業資材用シート、例えば、オイルフェンス、トラック荷台カバー、屋形テント、クッションマットなどのシート素材として、従来軟質ポリ塩化ビニル樹脂製品が使用されていた分野においても利用価値が高いシートである。
Claims (18)
- 繊維布帛を含む基布と、前記基布の少なくとも1面上に形成され、かつポリオレフィン系樹脂ブレンドからなる被覆層とを含み、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド層が、
(A)ポリプロピレン系樹脂からなる成分、
(B)スチレン系共重合体樹脂からなる成分、及び
(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂からなる成分、
を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドから形成され、
前記樹脂ブレンド中に含有される前記成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、前記成分(C)の含有量が5〜40重量%、であり、かつ、前記樹脂ブレンドに含まれる前記成分(C)中の共重合している酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸エステルとの合計含有量が3〜25重量%であり、
前記成分(A)用ポリプロピレン系樹脂が、シングルサイト触媒の存在下で重合され、かつシンジオタクティック立体規則性を有するプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーから選ばれた1種以上を含み、
また前記成分(B)用スチレン系共重合体樹脂が、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、A及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、及び前記スチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた1種以上を含む
ことを特徴とする産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド被覆層の少なくとも1層の上に、最外層として、汚染防止層が形成されている、請求項1に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記繊維布帛を含む基布の表面上に表面ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)からなる表面層が形成され、前記基布の裏面上に裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)からなる裏面層が形成されていて、
前記表面及び裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(a)及び(b)の各々が、
(A)シングルサイト触媒の存在下で重合され、かつシンジオタクティック立体規則性を有するプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエン系共重合エラストマーから選ばれた少なくとも1種からなるポリプロピレン系樹脂成分、
(B)A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但しAはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但しA及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂、及び前記スチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた少なくとも1種からなるスチレン系共重合体樹脂成分、及び
(C)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び/又は、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂からなる成分、
を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドから形成され、
前記表面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(a)において、それに含有される成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、前記成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、かつ、前記樹脂ブレンド(a)に含まれる成分(C)中の、共重合している酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量が3〜10重量%であり、
前記裏面ポリオレフィン系樹脂ブレンド層(b)において、それに含有される成分(A),(B)及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の含有量が30〜70重量%、前記成分(B)の含有量が10〜50重量%、かつ前記成分(C)の含有量が5〜40重量%であり、樹脂ブレンド(b)に含まれる成分(C)中の、共重合している酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量が10〜25重量%である、
請求項1又は2に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)から形成された表面層と、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)から形成された裏面層との厚さの比が1:1〜3:1である、請求項3に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記表面層及び裏面層の少なくとも1層上に、最外層として汚染防止層が形成されている、請求項3または4に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記汚染防止層が、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂含有熱可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上からなる、請求項2又は5に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記成分(A),(B)及び(C)を含むポリオレフィン系樹脂ブレンドが、さらに、1〜20μmの平均粒子径を有する合成非晶質シリカ1〜15重量%を含有する、請求項1又は3に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記繊維布帛が、マルチフィラメント糸条、または短繊維紡績糸条からなり、その織組織空隙率が0〜35%の繊維織物である、請求項1又は3に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記繊維布帛が、スチレン系共重合体樹脂を有機溶剤中に溶解して含有する処理剤によって樹脂被覆処理されたものであって、
前記有機溶剤中に溶解されたスチレン系共重合体樹脂が、A−B−A型スチレンブロック共重合体樹脂(但しAはスチレン重合体ブロックを表し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブロックを表す。)、A−B型スチレンブロック共重合体樹脂(但し、A及びBは、上記と同義である。)、スチレンランダム共重合体樹脂及びこれらのスチレン系共重合体樹脂の水素添加樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項1,3及び8のいずれか1項に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。 - 前記繊維布帛が、ポリエステル繊維からなる、請求項1,3及び8のいずれか1項に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記繊維布帛が、ポリプロピレン繊維からなる、請求項1,3及び8のいずれか1項に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 前記ポリプロピレン繊維が、シングルサイト触媒の存在下で重合されたアイソタクティック立体規則性、またはシンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン樹脂から紡糸された繊維である、請求項11に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シート。
- 請求項1、及び7〜12のいずれか1項に記載の軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートを製造するために、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンドを、前記成分(A)と成分(B)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(A+B)に、前記成分(C)を配合するか、或は、前記成分(B)と、前記成分(C)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(B+C)に前記成分(A)を配合することによって調製し、このとき前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド中の成分(A),(B)、及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の配合量を30〜70重量%とし、前記成分(B)の配合量を10〜50重量%とし、前記成分(C)の配合量を5〜40重量%とし、かつ前記樹脂ブレンド中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を3〜25重量%に調整する、ことを特徴とする産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。 - 前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド被覆層の少なくとも1層の上に、最外層として汚染防止層をさらに形成する、請求項13に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 請求項3及び7〜12のいずれか1項に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートを製造するために、
前記表面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)及び前記裏面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)のそれぞれを、前記成分(A)と成分(B)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(A+B)に、前記成分(C)を配合するか、或は、前記成分(B)と、前記成分(C)とを予備ブレンドし、この予備ブレンド(B+C)に前記成分(A)を配合することによって調製し、このとき前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)及び(b)のそれぞれの中の成分(A),(B)、及び(C)の合計重量に対し、前記成分(A)の配合量を30〜70重量%とし、前記成分(B)の配合量を10〜50重量%とし、前記成分(C)の配合量を5〜40重量%とし、かつ前記表面層用樹脂ブレンド(a)中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を3〜10重量%に調整し、また、前記裏面層用樹脂ブレンド(b)中の成分(C)に共重合成分として含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計含有量を10〜25重量%に調整し、
前記繊維布帛含有基布の表面上に前記表面層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)からなる表面層を形成し、前記基布の裏面上に、前記裏面用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(b)からなる裏面層を形成する、ことを特徴とする、産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法。 - 前記表面層と前記裏面層との厚さの比を1:1〜3:1に調整する、請求項15に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法。
- 前記表面層及び裏面層の少なくとも1層上に、最外層として、汚染防止層をさらに形成する、請求項15又は16に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法。
- 前記汚染防止層を、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂含有可塑性樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた1種以上から形成する、請求項14又は17に記載の産業資材用軟質ポリオレフィン系樹脂積層シートの製造方法。
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