JP5159267B2 - 伸縮性積層体 - Google Patents
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Description
可塑性エラストマー伸縮性フィルムとを積層した伸縮性積層体に関する。例えば、クリー
ンルーム用の手袋、救急絆創膏、医療用貼付剤、経皮吸収薬等の種々の物品の素材として
使用できる伸縮性積層体に関する。
医療用貼付剤、経皮吸収薬等のように、フィット感、密着性等が要求される製品の素材と
して用いられている。不織布はその構造から一般的に防水性及びガスバリア性に劣るため
、上述したような伸縮性に加えて防水性及びガスバリア性を付与することが望まれており
、従来、防水性及びガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムを不織布に積層することによ
り、防水性及びガスバリア性を付与することが行われている。
性に優れた不織布の表面に積層すると、不織布が本来有している伸縮性能が損なわれ、フ
ィット感、密着性等が要求される製品の素材としての使用に適さないといった問題があっ
た。
合成樹脂フィルムが不織布から剥離してしまい、耐久性に劣るといった問題もあった。
布に、ポリオレフィン系エラストマーからなるフィルムを、接着剤を用いたドライラミネ
ート方式で積層一体化することが開示されている。
しかしながら、積層一体化したものの伸度が200%に満たず、フィット感、密着性に劣
るものであった。
ができ、しかも、十分な強度と耐剥離性能(耐久性)を備えた伸縮性積層体を提供するこ
とにある。
(1)エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)及びホモポリプロピレン樹脂(B)の混合物からなり、熱可塑性エラストマー成分(A)のMFR値が50〜400g/10分であり、ホモポリプロピレン樹脂(B)のMFR値が25〜200g/10分であり、それぞれの樹脂成分のMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]は1〜10である伸縮性不織布と、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(C)からなるポリオレフィン伸縮性フィルムとを積層した伸縮性積層体。
(2)熱可塑性エラストマー成分(A)及びホモポリプロピレン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]が50/50〜95/5である(1)記載の伸縮性積層体。
(3)伸縮性フィルムが、熱可塑性エラストマー成分(C)及びホモポリプロピレン樹脂(D)の混合物からなる(1)又は(2)記載の伸縮性積層体。
(4)熱可塑性エラストマー成分(C)及びホモポリプロピレン樹脂(D)の混合重量比[(C)/(D)]が50/50〜95/5である(3)記載の伸縮性積層体。
(5)熱可塑性エラストマー成分(C)のMFR値が30g/10分以下である(1)又は(2)に記載の伸縮性積層体。
(6)熱可塑性エラストマー成分(C)のMFR値が30g/10分以下であり、ホモポリプロピレン樹脂(D)のMFR値が30g/10分以下である(3)又は(4)いずれか1に記載の伸縮性積層体。
(7)伸縮性不織布と伸縮性フィルムとが点状溶融接着してなる請求項1〜6いずれか1
に記載の伸縮性積層体。
(8)破断伸度が200%以上である(1)〜(7)いずれか1に記載の伸縮性積層体。
伸縮性不織布とポリオレフィン系熱可塑性エラストマー伸縮性フィルムとを積層してある
ので、伸縮性積層体全体として、優れた伸縮性、柔軟性が確保され、また、防水性及びガ
スバリア性の調節が可能である。
また、本発明の伸縮性積層体は、十分な強度を有し、耐剥離性能に優れるものである。よ
って、フィット感、密着性等が要求される製品の素材として有用である。
まず、本発明の伸縮性積層体のうちの伸縮性不織布について説明する。
本発明に係る伸縮性不織布は、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレ
ン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)及びホモポリ
プロピレン樹脂(B)の混合物からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー繊維(フィラ
メント)が積層され、その接触点が自己融着により接合してなるものである。
また、密度は0.85g/cm3以上0.89g/cm3未満が好ましい。この範囲にあ
ると、生産性に優れ、伸縮性、柔軟性、強度、風合いなどが良好な伸縮性不織布が得られ
る。
チックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリプロピレンと非晶性のアタクチッ
クポリプロピレンとから構成されたステレオブロック構造のポリプロピレンのことである
。ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリ
プロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンをもつ構造を有する。
プロピレン単位に加えて、分子中にプロピレン単位以外の他のオレフィン単位、例えば、
エチレン、ブチレン、ペンテンまたはヘキセン単位を含有したものである。これらは鎖構
造中に実質的に立体規則性ブロック配列を有し、ポリマー鎖中に選択的に配列された例え
ばアイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレン序列のブロックより
成る。
上記エラストメリックポリプロピレンは、プロピレンもしくはプロピレンと他のα−オレ
フィンとの触媒反応により重合もしくは共重合することによって製造される。
ダム共重合体もしくはプロピレン・エチレンブロック共重合体、または、プロピレン・エ
チレンランダム共重合体とプロピレン・エチレンブロック共重合体との混合物である。プ
ロピレン含有率は70モル%以上であることが好ましい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチ
レン−co−プロピレン)とがブレンドの状態で存在しているのではなく、ポリプロピレ
ンセグメント、ポリエチレンセグメント、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメン
トが適宜化学的に結合(共有結合)しているものである。
ホモポリプロピレン樹脂(B)のMFR値は25〜200g/10分が好ましい。密度は
0.89〜0.92g/cm3が好ましい。この範囲にあると、生産性に優れ、また、不
織布の膠着防止性能に優れた伸縮性不織布が得られる。
ポリプロピレン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]は、50/50〜95/5が
好ましく、より好ましくは60/40〜90/10である。熱可塑性エラストマー成分(
A)は不織布の伸縮性、回復性へ寄与し、ホモポリプロピレン樹脂(B)は不織布の強度
、伸長応力、膠着防止性の付与に寄与する。特に、ホモポリプロピレン樹脂(B)の不織
布中の含有量が多くなると、不織布を構成する伸縮性繊維の強度は向上するが、伸縮性、
回復性は阻害され、繊維間の接着性が低下するため不織布のウエッブ形成が悪化する傾向
にある。反対にホモポリプロピレン樹脂(B)の不織布中の含有量が少なくなると、不織
布の強度は不十分となり、不織布の膠着が発生して、ハンドリングに問題を生じる傾向に
ある。
使用する際のそれぞれの樹脂成分のMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]は1〜
10であることが好ましい。この範囲にあると、それぞれの樹脂の熱溶融時の相溶性が良
好で不織布製造の操業性に優れる。
ポリプロピレン樹脂(B)とからなる混合物には、必要に応じてヒンダードフェノール系
、各種アミン系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収
剤、アミドワックス、モンタン酸ワックス等の平滑剤、各種カルボジイミド化合物等の加
水分解防止剤、酸化チタンなどの艶消剤、ベンガラ等の各種顔料、着色剤、黄変防止剤、
防カビ剤、抗菌剤、その他各種の改良剤等を添加配合してもよい。
法等の原料樹脂を溶融した後、繊維化かつ不織布に形成する製造方法が挙げられ、いずれ
かの方法に従って製造してもよい。特に、得られる不織布の伸縮性、柔軟性の点で、メル
トブロー紡糸法による方法が好ましい。
で溶融し、ギアポンプで溶融ポリマーを計量した後、一列に配した紡糸ノズル孔から吐出
する。ノズル孔の両側に配したスリットから高温加熱気体を高速で噴射し、その高速気体
流によりノズル孔から押し出されたポリマーを細化、冷却して連続したフィラメントを形
成させる。細化されたフィラメントは実質的に集束されることなく、移動するコンベアネ
ットの捕集装置上で気体流と分離され、該ネット上に積層される。積層されたフィラメン
トは自己の有する熱により積層された状態でその接触点が融着により接合される。捕集装
置上に積層後冷却固化する前又は後にローラー等を用い加熱加圧して接合せしめてもよい
。フィラメント相互間の接触点の接合を強固にするためには紡糸ノズルから捕集装置上に
積層する位置までの間隔は余り長くない方がよく、10〜100cmに設定するのがよい
。ノズルと捕集装置の間に気体流の誘導通路を設けることも出来るが、なくても差支えな
い。
て接合集束することなく開繊して積層されていることが好ましい。フィラメントが開繊さ
れずに集束された状態で接合融着されていると、不織布の均一性が低下し、また柔軟性が
著しく損なわれるからである。
ましくは10〜30μmである。繊維径についてはバラツキがあることが考えられるが、
最大の場合でも70μm以下が望ましい。繊維径が大きくなると、不織布が粗剛になるか
らである。また、不織布の目付は好ましくは20〜200g/m2であり、より好ましく
は30〜100g/m2である。
また、不織布の厚みは、好ましくは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.1〜1.
0mmである。
構成するフィラメント相互の接触点がフィラメント自体により接合されたものであるが、
このような接合状態は、フィラメントを熱により相互に融着させることにより達成するこ
とができる。溶媒を用いる方法や他の接着剤を用いる方法は、不織布の柔軟性を減少させ
るため好ましくない。
ている点に大きな特徴がある。伸縮性不織布の伸縮性能を具体的に示すと、単位目付あた
り(g/m2)の破断強度が0.05N以上、破断伸度が200%以上、100%伸長時
の回復率が70%以上であることが好適である。また、破断伸度が300%以上、100
%伸長時の回復率が75%以上であることがより好ましい。
ト相互の接触点の接着強度によって変動するものであるが、この伸縮性不織布が、上述し
たように、優れた破断強度、破断伸度、伸長回復率を示すことは、接触点の接合が十分に
行われていることを示すものである。
レン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(C)からなるも
のである。
度は0.85g/cm3以上0.89g/cm3未満が好ましい。この範囲にあると、生
産性に優れ、伸縮性、強度、風合いなどが良好な伸縮性フィルムが得られる。
チックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリプロピレンと非晶性のアタクチッ
クポリプロピレンから構成されたステレオブロック構造のポリプロピレンのことである。
ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリプ
ロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンをもつ構造を有する。
プロピレン単位に加えて、分子中にプロピレン単位以外の他のオレフィン単位、例えば、
エチレン、ブチレン、ペンテンまたはヘキセン単位を含有したものである。これらは鎖構
造中に実質的に立体規則性ブロック配列を有し、ポリマー鎖中に選択的に配列された例え
ばアイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレン序列のブロックより
成る。
上記エラストメリックポリプロピレンは、プロピレンもしくはプロピレンと他のα−オレ
フィンとの触媒反応により重合もしくは共重合することによって製造される。
ダム共重合体もしくはプロピレン・エチレンブロック共重合体、または、プロピレン・エ
チレンランダム共重合体とプロピレン・エチレンブロック共重合体との混合物である。プ
ロピレン含有率は70モル%以上であることが好ましい。
本発明に用いるプロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)とがブレンドの状態で存在しているのではなく
、プロピレンセグメント、エチレンセグメント、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セ
グメントが適宜化学的に結合(共有結合)しているプロピレン・エチレン共重合体である
。
としては、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク等通常プラスチック配
合剤として使用されている無機化合物を用いることができる。無機充填剤を配合すること
は、フィルムとしたときにブロッキングを防止、滑り性改良などに有効な手段である。配
合比としては、フィルム用樹脂成分重量に対して好ましくは1〜20重量%、より好まし
くは2〜15重量%の範囲で配合する。
ホモポリプロピレン樹脂(D)を配合し使用すると、フィルムとしたときのブロッキング
の防止性に効果がある。
ホモポリプロピレン樹脂(D)のMFR値は30g/10分以下が好ましい。密度は0.
89〜0.92g/cm3が好ましい。この範囲にあると、生産性に優れ、また、フィル
ムの膠着防止性能に優れた伸縮性フィルムが得られる。
熱可塑性エラストマー成分(C)及びホモポリプロピレン樹脂(D)の混合重量比[(C
)/(D)]は、50/50〜95/5が好ましく、より好ましくは60/40〜90/
10である。
ゾール系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤、アミドワックス、モンタン酸ワックス等
の平滑剤、各種カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、酸化チタンなどの艶消剤、ベ
ンガラ等の各種顔料、着色剤、黄変防止剤、防カビ剤、抗菌剤、その他各種の改良剤等を
添加配合してもよい。
、特に好ましくは10〜50μmである。伸縮性フィルムの性能を具体的に示すと、単位
目付あたり(g/m2)の破断強度が0.1N以上、破断伸度が200%以上、100%
伸長時の回復率が70%以上であることが好適である。また、破断伸度が300%以上、
100%伸長時の回復率が75%以上であることがより好ましい。
伸縮性フィルムは必要に応じて延伸して使用することもできる。
より製造できる。具体的には、通常のTダイフィルム成形、インフレーション成形、押出
成形などによって製造できる。
、インフレーション成形、押出成形などによって製造された伸縮性フィルムを、熱エンボ
スロールにて熱接着する方法、熱ロールなどを利用して点状溶融接着する方法、ホットメ
ルト接着剤を用いて熱接着する方法、また、フィルムを成形すると同時に不織布と一体と
して積層成形する押出ラミネーション成形方法等に従って製造できる。
熱して、伸縮性不織布に直接溶融接着すればよい。上述した組成の伸縮性不織布と上述し
た組成の伸縮性フィルムは、それぞれの軟化温度が70〜120℃の範囲内で近似してい
ると共に両者の相性が良いため、かかる温度で両者を溶融接着することにより、極めて高
い接着強度を確保することができる。
万個/m2の点状になるように溶融接着させることが好ましい。孔径が200μm以下の
場合、もしくは孔数が50万個/m2以下の場合であると溶融接着が不十分となり、孔径
が500μm以上の場合、もしくは孔数が100万個/m2以上の場合は接着が十分に行
なわれるが、接着後のタック性を生じ、伸縮性積層体の解舒に問題となる傾向にある。
点状溶融接着では、伸縮性不織布と伸縮性フィルムとの伸縮性積層体に微細孔を開ける加
工も可能であり、伸縮性積層体の通気度、透湿度を調整することも可能となる。
しているので、これらを積層することにより、極めて優れた伸縮性及び柔軟性が確保され
ると共に、防水性及びガスバリア性の調節が可能である伸縮性積層体となる。また、両者
の伸縮性(破断伸度及び伸長回復率)が非常に近似しているため、両者が溶融接着によっ
て積層された伸縮性積層体は、伸縮の際における双方の追従性が良く、伸縮を繰返しても
ほとんど剥離することがない。
度が0.1N以上、破断伸度が200%以上、100%伸長時の回復率が70%以上であ
ることが好適である。また、破断伸度が300%以上、100%伸長時の回復率が75%
以上であることがより好ましい。
また、伸縮性積層体の厚みは、好ましくは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.1
〜1.0mmである。
また、上記のようにして得られた伸縮性積層体は、不織布面、フィルム面にコロナ処理な
どの加工処理を必要に応じて施してもよい。
るものではない。実施例の説明中の伸縮性不織布、伸縮性フィルム及び伸縮性積層体の評
価は下記に示す方法により測定を実施した。
し、230℃、荷重21.2Nで測定した。
大写真を撮影し、50本の繊維の直径を測定し平均値を平均繊維径とした。
布 試験方法」に準拠して測定した。目付は100×100mmの試験片を採取し、重量
を測定して1m2あたりに換算した。厚みはダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所製)
を用いて測定した。
試験方法」に準拠して測定した。幅25mm、長さ200mmの試験片を採取し、引張
試験機(オリエンテック製)を用いて、チャック間を100mmに設定して試験片を固定
した。引張速度300mm/minで伸長させ、試験片が破断時の1cm幅、1g/m2
(単位目付)あたりの破断強度及び破断伸度を測定した。
て測定した。ただし、本発明における評価は伸度100%での回復率とし、幅25mm、
長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機(オリエンテック製)を用いて、チャック
間を100mmに設定して試験片を固定した。引張速度300mm/minで100%ま
で伸長させた後、クロスヘッドを伸長時と同じ速度で元の位置に戻し、不織布にかかる応
力を0とした。再び同じ速度で100%まで伸長させ、応力負荷が再び始まる時の不織布
の伸びた長さをLmmとした。伸長回復率は下記の式に従って求めた。
伸長回復率(%)=((100−L)/100)×100
して測定した。約200×200mmの試験片を採取し、通気性試験機(TEXTEST
製)を用いて測定した。
して測定した。幅25mm、長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機(オリエンテ
ック製)を用いて、チャック間を100mmに設定して試験片を固定した。引張速度30
0mm/minで伸長させ、試験片が破断時の1cm幅、1g/m2(単位目付)あたり
の破断強度及び破断伸度を測定した。
た。ただし、本発明における評価は伸度100%での回復率とし、幅25mm、長さ20
0mmの試験片を採取し、引張試験機(オリエンテック製)を用いて、チャック間を10
0mmに設定して試験片を固定した。引張速度300mm/minで100%まで伸長さ
せた後、クロスヘッドを伸長時と同じ速度で元の位置に戻し、不織布にかかる応力を0と
した。再び同じ速度で100%まで伸長させ、応力負荷が再び始まる時の不織布の伸びた
長さをLmmとした。伸長回復率は下記の式に従って求めた。
伸長回復率(%)=((100−L)/100)×100
(伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)(A)とホモポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、M
FR=60、密度0.900)(B)とを重量比率80/20で混合して乾燥状態でドラ
イブレンドした。この混合ペレットを220℃の押出機で溶融混練し、ギアポンプで計量
し、直径0.5mmの孔を2mmピッチで一列に配したメルトブローノズルから吐出させ
、ノズルの1ホール当たり0.3g/minの吐出条件でポリマーを押し出し、ノズルの
両側から吹き出す加熱エア(235℃)にて細化・固化することによってフィラメントを
形成し、このフィラメントをノズルから20cm離れた位置にある移動コンベアネット上
に吹き付けて、目付50.0g/m2、厚み0.30mm、平均繊維径が22μmの不織
布を得た。紡糸温度は220℃で、紡糸状況は良好であった。
不織布の物性は破断強度4.1N、破断伸度502%、伸長回復率82%、通気度180
cm3/cm2/secであった。
インフレーション成形フィルム製造装置を用いて、伸縮性フィルムを作製した。プロピレ
ン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM1100、MFR=3.0、密度0.8
60)(C)及び無機充填剤として炭酸カルシウム(白石カルシウム製、平均粒子径3.
2μm)を樹脂重量に対して5重量%添加し、乾燥状態でドライブレンドした後に、ダイ
ス径100mmのスパイラルダイを備えた40mmの押出機を用い、成形温度210℃、
樹脂押出量20kg/h、ブローアップ比3.0の条件で厚さ25μmのフィルムを成形
した。
フィルムの物性は破断強度4.0N、破断伸度497%、伸長回復率80%であった。
エンボス熱ロール装置を用いて、上記伸縮性フィルムと伸縮性不織布との熱ラミネーショ
ンを行なった。すなわち、表面温度90℃の加熱ロールにて伸縮性不織布を予熱し、伸縮
性フィルムとを併せ、フィルム側が120℃に設定された誘電加熱圧着フラットロールに
10m/分のライン速度で送給してラミネーションを行ない巻取ロールに巻き取った。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
この伸縮性積層体は、伸縮性能に優れたポリオレフィン系伸縮性不織布とポリオレフィン
系伸縮性フィルムとが溶融接着することで、両者が本来有している伸縮性能がそのまま維
持されており、しかも伸縮性フィルムが有する優れた防水性能が伸縮性不織布に付与され
ているといえる。
(伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)とホモポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=
60、密度0.900)とを重量比率80/20で混合して乾燥状態でドライブレンドし
た。この混合ペレットを220℃の押出機で溶融混練し、ギアポンプで計量し、直径0.
5mmの孔を2mmピッチで一列に配したメルトブローノズルから吐出させ、ノズルの1
ホール当たり0.45g/minの吐出条件でポリマーを押し出し、ノズルの両側から吹
き出す加熱エア(235℃)にて細化・固化することによってフィラメントを形成し、こ
のフィラメントをノズルから20cm離れた位置にある移動コンベアネット上に吹き付け
て、目付75.0g/m2、厚み0.40mm、平均繊維径が22μmの不織布を得た。
紡糸温度は220℃で、紡糸状況は良好であった。
不織布の物性は破断強度7.0N、破断伸度400%、伸長回復率80%、通気度110
cm3/cm2/secであった。
(伸縮性フィルム 押出ラミネーション)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM1100、MFR=3.0、密
度0.860)とホモポリプロピレン樹脂(エクソンモービル製PP4152F2、MF
R=2.0、密度0.900)とを重量比率95/5で混合して乾燥状態でドライブレン
ドした。このペレットをスクリュー径40mmφ、L/D=28の押出機に取り付けたリ
ップ開度0.6mm、幅500mmのTダイを用いて220℃で押出した。
上記伸縮性不織布を10m/分で繰り出し、ニップロール、内部を25℃の水が循環する
直径350mmφの冷却ロールの間に導き、上記押出された伸縮性フィルムに積層して、
伸縮性積層体を作製した。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
実施例1同様に、得られた伸縮性積層体は、伸縮性能に優れたポリオレフィン系伸縮性フ
ィルムとポリオレフィン系伸縮性不織布とを直接溶融接着することで、両者が本来有して
いる伸縮性能がそのまま維持されており、しかもポリオレフィン系伸縮性フィルムが有す
る優れた防水性能がポリオレフィン系伸縮性不織布に付与されているといえる。
(伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)とホモポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=
60、密度0.900)を重量比率50/50で混合して乾燥状態でドライブレンドしこ
と以外は実施例1と同様にして不織布を作製した。目付50.0g/m2、厚み0.31
mm、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は225℃で、紡糸状況は良好で
あった。
不織布の物性は破断強度4.8N、破断伸度480%、伸長回復率78%、通気度175
cm3/cm2/secであった。
実施例1と同様にプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM1100、
MFR=3.0、密度0.860)からなる伸縮性フィルムとのフィルムラミネーション
を実施した。加熱圧着フラットロール温度120℃、10m/分のライン速度でラミネー
ションを実施した。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
(伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)とホモポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=
60)を重量比率40/60で混合して乾燥状態でドライブレンドしこと以外は実施例1
と同様にして不織布を作製した。目付50.0g/m2、厚み0.32mm、平均繊維径
が22μmの不織布を得た。紡糸温度は230℃で、紡糸状況は良好であった。不織布の
物性は破断強度5.8N、破断伸度350%、伸長回復率72%、通気度180cm3/
cm2/secであった。
実施例1と同様にしてプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM110
0、MFR=3.0、密度0.900)の伸縮性フィルムとのフィルムラミネーションを
実施した。加熱圧着フラットロール温度120℃、10m/分のライン速度でラミネーシ
ョンを実施した。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
(ポリオレフィン系伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)とポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60
、密度0.900)を重量比率80/20で混合して乾燥状態でドライブレンドしたこと
以外は実施例1と同様に不織布を作製した。目付50.0g/m2、厚み0.30mm、
平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は220℃で、紡糸状況は良好であった
。
不織布の物性は破断強度4.1N、破断伸度502%、伸長回復率82%、通気度180
cm3/cm2/secであった。
実施例1と同様にして得られたプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製V
M1100、MFR=3.0)の伸縮性フィルムとの積層化を、点状加熱された熱ロール
(孔径400μm、孔数62万個/m2)を用いて溶融接着して積層した。加熱ロール温
度120℃、10m/分のライン速度で実施した。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
(伸縮性不織布)
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、密
度0.867)にホモポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=
60、密度0.900)を10%添加して220℃の押出機で溶融混練し、ギアポンプで
計量し、直径0.5mmの孔を2mmピッチで一列に配したメルトブローノズルから吐出
させ、ノズルの1ホール当たり0.45g/minの吐出条件でポリマーを押し出し、ノ
ズルの両側から吹き出す加熱エア(236℃)にて細化・固化することによってフィラメ
ントを形成し、このフィラメントをノズルから20cm離れた位置にある移動コンベアネ
ット上に吹き付けて、目付75.0g/m2、厚み0.39mm、平均繊維径が22μm
の不織布を得た。紡糸温度は220℃で、紡糸状況は良好であった。
不織布の物性は破断強度7.0N、破断伸度400%、伸長回復率80%、通気度110
cm3/cm2/secであった。
得られた不織布の物性値を表1に示す。
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR=200、
密度0.867)のみを220℃の押出機で溶融、ギアポンプで計量し、直径0.5mm
の孔を2mmピッチで一列に配したメルトブローノズルから吐出させ、ノズルの1ホール
当たり0.3g/minの吐出条件でポリマーを押し出し、ノズルの両側から吹き出す加
熱エア(235℃)にて細化・固化することによってフィラメントを形成し、このフィラ
メントをノズルから20cm離れた位置にある移動コンベアネット上に吹き付けて、目付
50.0g/m2、厚み0.30mm、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度
は220℃で、紡糸状況は良好であった。
不織布の物性は破断強度3.5N、破断伸度545%、伸長回復率82%、通気度178
cm3/cm2/secであった。
実施例1と同様にしてプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM1100
、MFR=2.0、密度0.900)からなる伸縮性フィルムとのフィルムラミネーショ
ンを実施し積層体を得た。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
しかしながら、伸縮性不織布と伸縮性フィルムとの膠着が発生し、伸縮性積層体の巻き返
しができなかった。
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM1100、MFR
=2.0、密度0.900)のポリオレフィン系伸縮性フィルムの替わりに、ポリプロピ
レン樹脂からなる厚み25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績製パイレンフ
ィルムCT、密度0.90)を用いてフィルムラミネーションを実施した。
尚、用いたフィルムの物性は破断強度30MPa、破断伸度500%であった。
得られた伸縮性積層体の物性値を表1に示す。
しかしながら、得られた伸縮性積層体は、伸張後の回復性が不十分であった。
水性能の調整が可能であるので、伸縮性能、透湿防水性能が要求される種々の製品の素材
として使用することができる。
従って、この伸縮性積層体は、クリーンルーム用の手袋、救急絆創膏、医療用貼付剤、経
皮吸収薬等の種々の物品の素材として使用できる伸縮性積層体として極めて適している。
また、本発明の伸縮性積層体は、厚みを薄くすることができ、耐薬品性にも優れた素材
であるので、医療用貼付剤として有用である。
Claims (8)
- エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)及びホモポリプロピレン樹脂(B)の混合物からなり、熱可塑性エラストマー成分(A)のMFR値が50〜400g/10分であり、ホモポリプロピレン樹脂(B)のMFR値が25〜200g/10分であり、それぞれの樹脂成分のMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]は1〜10である伸縮性不織布と、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(C)からなる伸縮性フィルムとを積層した伸縮性積層体。
- 熱可塑性エラストマー成分(A)及びホモポリプロピレン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]が50/50〜95/5である請求項1記載の伸縮性積層体。
- 伸縮性フィルムが、熱可塑性エラストマー成分(C)及びホモポリプロピレン樹脂(D)の混合物からなる請求項1又は2記載の伸縮性積層体。
- 熱可塑性エラストマー成分(C)及びホモポリプロピレン樹脂(D)の混合重量比[(C)/(D)]が50/50〜95/5である請求項3記載の伸縮性積層体。
- 熱可塑性エラストマー成分(C)のMFR値が30g/10分以下である請求項1又は請求項2に記載の伸縮性積層体。
- 熱可塑性エラストマー成分(C)のMFR値が30g/10分以下であり、ホモポリプロピレン樹脂(D)のMFR値が30g/10分以下である請求項3または請求項4に記載の伸縮性積層体。
- 伸縮性不織布と伸縮性フィルムとが点状溶融接着してなる請求項1〜6いずれか1に記載の伸縮性積層体。
- 破断伸度が200%以上である請求項1〜7いずれか1に記載の伸縮性積層体。
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