JP3816269B2 - 伸縮性弾性ネットおよびそれを用いた複合弾性不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引伸ばし可能な保護カバー、包装材、パップ材、上着、下着、生理用品、使い捨ておむつ等に用いられるエラストマー材料等で成形したネット、およびそれを芯材に用いた複合弾性不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙おむつのギャザー、生理用ナプキン等の衛生材料の一部、湿布材の基布等の伸縮性を必要とする布材には、主として不織布が用いられている。この用途では、伸縮性に優れるとともに、通気性にも優れ、さらに、工業生産における成形加工に際して成形性に優れ、しかも適度な強度を有することが要求される。
【0003】
伸縮性を有する不織布としては、これまで、熱可塑性エラストマーおよび/またはポリオレフィンを含む組成物を用い、メルトブロー法によって成形した不織布や、潜在捲縮繊維からなる不織布が知られている。前者の不織布は、一般的なポリオレフィンからなる不織布に比べて、目付量当たりの破断強度が弱いため、所要の強度のものを得るためには、高目付量にしなければならず、高コストになる。さらに、縦方向に低応力で、伸長性を有し、不織布原反巻き出し時に原反の幅落ち、巻き取り時の巻き物硬さ等の問題があり、成形加工への適応性が低い。また、後者の潜在捲縮繊維からなる不織布では、その伸縮性は繊維の捲縮・伸長にともなう構造変化によって発現するため、伸縮性には限界があって小さいものにとどまる。さらに、所要の強度を得るためには高目付のものにする必要があり高コストにならざるを得ない。
【0004】
伸縮性を有する他の不織布としては、エラストマー材料の繊維質ウェブに不織ウェブを積層させた複合弾性不織布は既知である。たとえば、特開昭62−84143号公報、特開昭62−28456号公報、特開昭62−33889号公報には、SEBS(ポリスチレン/ポリ(エチレン-ブチレン)/ポリスチレン)ブロック共重合体、SIS(ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレン)ブロック共重合体等のエラストマー材料を主成分とし、メルトブロー法によって成形した不織弾性ウェブを伸張させて、これに非弾性材料でできた不織ウェブを積層後、熱と圧力を掛けて接合した複合弾性不織布が開示されている。
【0005】
この複合弾性不織布は、引張強度は大きいが、風合いが硬いという問題点がある。また、エラストマー材料には耐熱性の面で難点があり、高温成形を余儀なくされるメルトブロー法では、エラストマー材料単体によるウェブ化が不可能であるため、対策としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフインとエラストマー材料とのブレンド樹脂が用いられるが、高温におけるポリオレフインとSEBSブロック共重合体或いはSISブロック共重合体等との相容性が悪く、ブレンド可能な樹脂の選択範囲が狭いという問題点がある。
【0006】
この問題を解決するため、本出願人により提出された特開平4−281059号公報によれば、エラストマー材料で成形したネットを芯材とし、これに不織布ウェブを接合させた複合弾性不織布が開示される。これにより縦および横方向の伸縮性は改善されたが、伸長時の歪みが比較的大きく繰り返し使用での伸縮性の持続性やネットの拡幅装置を必要とするなど、まだ十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、伸縮性に優れ、かつ伸長後の残留歪みの小さい伸縮性弾性ネットを提供するとともに、該伸縮性弾性ネットを用いることにより強度、風合いにも優れる複合弾性不織布を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る伸縮性弾性ネットは、粘度(200℃)50000〜3000poise の熱可塑性エラストマー100重量部と、無機フィラー20〜50重量部を含有する組成物からなることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る伸縮性弾性ネットは、粘度(200℃)が50000〜3000poise の熱可塑性エラストマー100重量部、無機フィラー20〜50重量部に加えて、ポリオレフィン2〜50重量部を含有する組成物からなるものであることが好ましい。
【0010】
本発明では、前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーよりなる群から選ばれるものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明では、前記無機フィラーが、炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0012】
本発明に係る複合弾性不織布は、前記伸縮性弾性ネットを芯材とし、該ネットの片面または両面に不織布が接合されてなるものである。
【0013】
また、本発明では、前記不織布が、スパンボンド法により製造された同心芯鞘型、偏芯鞘型またはサイドバイサイド型構造の複合繊維からなるものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明では、前記不織布が、縦方向に延伸倍率5倍以下で延伸されたものであることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る伸縮性弾性ネットは、熱可塑性エラストマーと、無機フィラーを含有する組成物で形成される。また、本発明に係る複合弾性不織布は、該伸縮性弾性ネットを芯材とし、該ネットの片面または両面に不織布が接合されている。以下に、伸縮性弾性ネットおよび複合弾性不織布について具体的に説明する。
【0016】
伸縮性弾性ネット
本発明の伸縮性弾性ネットの成形材料として用いられるエラストマーは、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、常温では加硫ゴムと同様な弾性体の性質を持ち(分子中のソフトセグメントによる)、高温では通常の熱可塑性樹脂と同様に既存の成形機をそのまま使って成形することのできる(分子中のハードセグメントによる)高分子材料である。
【0017】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。これらの中では、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0018】
スチレン系エラストマーとしては、SEBS、SIS、SEPS(ポリスチレン/ポリ(エチレン-プロピレン)/ ポリスチレン)、SBS(ポリスチレン/ポリブタジエン/ ポリスチレン)等のブロック共重合体が例示される。具体的には、クレイトン(Kraton:シェル化学(株)製)、キャリフレックスTR(シェル化学(株)製)、ソルプレン(フィリップスペトロリファム社製)、ユーロプレンSOLT(アニッチ社製)、タフプレン(旭化成(株)製)、ソルプレンT(日本エラストマー(株)製)、JSRTR(日本合成ゴム(株)製)、電化STR(電気化学(株)製)、クインタック(日本ゼオン(株)製)、クレイトンG(シェル化学(株)製)、タフテック(旭化成(株)製)〔いずれも商品名〕などが挙げられる。
【0019】
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体や第三成分としてジエンを共重合させたものなどが挙げられ、具体的には、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-1-ブテンランダム共重合体、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ジエン成分としてはジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネン)をソフトセグメントに、ポリオレフィンをハードセグメントにしたものなどが例示され、商品名としては、タフマー(三井化学(株)製)、ミラストマー(三井化学(株)製)などが挙げられる。
【0020】
ウレタン系エラストマーとして熱可塑性のものは、ポリエステル、低分子グリコール、メチレンビスフェニルイソシアネートまたはトリジンジイソシアネートからなるポリウレタンであり、ポリラクトンエステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下ポリイソシアネートを付加重合したもの(ポリエーテルポリウレタン)、アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下ポリイソシアネートを付加重合したもの(ポリエステルポリウレタン)、テトラヒドロフランの開環で得られたポリテトラメチレングリコールに短鎖ポリオールの存在下ポリイソシアネートを付加重合したものなどが例示される。具体的には、ブルコラン(バイエル社製)、ケミガムSL(グッドイヤー社製)、アジプレン(デュポン社製)、バルカプレン(ICI社製)〔いずれも商品名〕などが挙げられる。
【0021】
ポリエステル系エラストマーとしては、芳香族ポリエステルをハードセグメントに、非晶性ポリエーテルや脂肪族ポリエステルをソフトセグメントにしたものが挙げられる。具体的にはポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロック共重合体などが挙げられる。
【0022】
ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロンをハードセグメントに、ポリエステルまたはポリオールをソフトセグメントにしたものなどが挙げられる。具体的には、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体などが挙げられる。
【0023】
本発明の伸縮性弾性ネットには、大気圧下、200℃で測定した上記熱可塑性エラストマーの粘度が50000〜3000poise 、好ましくは25000〜3000poise 、さらに好ましくは15000〜5000poise のものを用いる。これにより、ネットの伸度が向上するとともに、伸長後の残留歪みが小さくなり、伸縮性に優れたものが得られる。
なお、本発明における熱可塑性エラストマーの粘度の測定は、ASTM D4440の測定方法により行った。
【0024】
しかしながら、前記のような比較的低粘度の熱可塑性エラストマーを用いてネットを成形すると、製品ネットに皺が入り易く、ハンドリング上、べたつき、ブロッキングの問題が生じ、またカッター等での切断切れが悪いなど成形性の問題が有る。そこで、鋭意検討を行った結果、低粘度の熱可塑性エラストマーに無機フィラーを配合することでこの問題が解決できることが判明した。
すなわち、本発明に係る伸縮性弾性ネットは、前記の低粘度熱可塑性エラストマーと、無機フィラーを含有する組成物からなるものである。
【0025】
本発明で用いられる無機フィラーとしては、平均粒径が20μm以下、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1.0〜10μmのもので、熱可塑性エラストマー中に細かく分散するものであれば特に限定されないが、好ましい具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、塩基性硫酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、微粉珪酸などが挙げられる。これらの中では炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムがより好ましく、特に食品安全性、経済性の点で炭酸カルシウムが好ましい。
【0026】
無機フィラーは、熱可塑性エラストマー100重量部に対して無機フィラー20〜50重量部が配合されることが好ましい。この範囲内であれば、伸度が大きく伸縮性に優れるとともに、成形性も良好となる。
【0027】
プラスチックネットの成形は公知である。例えば、菱形目合いのプラスチックネットに関しては特公昭34−4185号公報に、方形目合いのプラスチックネットに関しては特公昭38−21224号公報に開示されている。そして、連続的な製造方法に関しても、特公昭44−3877号公報、特公昭52−107374号公報、特公昭63−2767号公報、特公平3−71256号公報等に開示されているように、多くの提案がなされている。本発明に係るネットの製造は、それらに限定されることなく各種の方法を採用し得る。例えば、条溝を一定間隔で多数外周面に形成したインナーダイと、内周面に形成したアウターダイとより構成されたダイを用い、インナーダイとアウターダイとを互いに逆向きに回転させる押出し成形により筒状のネットが製造できる。本発明では、成形された筒状のものを切り開いて使用する。ネット目合いは、菱形目合いであっても方形目合いであっても使用できるが、ハンドリングの点で、また縦横方向への伸縮性の点で方形目合いネットが好ましい。
【0028】
熱可塑性エラストマーへの無機フィラー配合方法は、各種ブレンダーを用いるドライブレンドであっても、押出機中での溶融ブレンドであってもよい。また、熱可塑性エラストマー中に予め無機フィラーを高濃度に溶融ブレンドしたマスターバッチペレットを用いる方法も採用できる。
【0029】
上述の成形方法によれば、エラストマー材料を比較的低温(180〜210℃)で成形してネットを得ることが出来る。
ネットと不織布の接合には、ウォータージェットによる交絡方法も用いることができるが、後述するようにネットに不織布を積層後熱と圧力を掛けて接合する場合、エラストマー単体では耐熱性の問題から単体ネットが切れ易くなり、また不織布との接着性も十分でないため、ポリオレフインをブレンドしたものを用いるのが好ましい。
【0030】
ここで用いられるポリオレフィンは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、またはエチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。また、ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0031】
この時の好ましいポリオレフィンのブレンド割合は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、(無機フィラー20〜50重量部に加えて)2〜50重量部であり、さらには4〜20重量部が好ましい。この範囲であれば、接着強度が高まるとともに、ネットの伸度や伸長時の歪が悪化するのを抑えることができる。
低温成形においてはエラストマー材料とポリオレフィンとは相容性がよく、ブレンドする樹脂の選択幅を広げることができる。
【0032】
本発明においては、ネットの目付が、10〜200g/m2、さらには40〜100g/m2であることが好ましい。
以上の様にして得られるネットは、横及び縦方向の伸縮性に優れ、低温成形が可能であるからエラストマー材料単体による成形もでき、熱接着時に起こるネット切れの防止や、不織布との接着性向上の目的でブレンドされるポリオレフインとの相容性に優れるので成形加工も容易となる。
【0033】
複合繊維不織布
本発明に係る複合繊維は、低融点樹脂と、融点差が通常10℃以上の高い融点を有する高融点樹脂とから構成される複合繊維であって、低融点樹脂が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成しているものである。具体的には、低融点樹脂からなる鞘部と、高融点樹脂からなる芯部とから構成される同芯鞘型複合繊維、偏芯鞘型複合繊維、または低融点樹脂部と高融点樹脂部とから構成されるサイドバイサイド型複合繊維が好ましい。
【0034】
本発明に係る芯鞘型複合繊維の鞘部を形成する低融点樹脂としては、不織布の風合いの点でエチレン系重合体が好ましい。本発明で用いられるエチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、またはエチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0035】
一方、芯鞘型複合繊維の芯部を形成する高融点樹脂としては、たとえばプロピレン系重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、プロピレン系重合体が好ましい。
【0036】
プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。これらの中でも、プロピレンと少量のエチレンとからなり、エチレンに由来する構造単位含有量が5モル%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体がとくに好ましい。この共重合体を用いると、紡糸性が良好で、複合繊維の生産性に優れ、良好な柔軟性を有する不織布が得られる。
【0037】
低融点樹脂と高融点樹脂との重量構成比(低融点樹脂/高融点樹脂)は、2/8〜8/2の範囲にあることが好ましい。
【0038】
上記のような本発明に係る芯鞘型複合繊維は、通常、繊度は4d以下であり、より柔軟性に優れた不織布が得られる点で、3d以下であることが好ましい。
【0039】
本願発明に係る芯鞘型複合繊維は、繊維断面において、円形状の芯部が中心を同じくするドーナツ状の鞘部に包まれる同芯型でもよいし、また、芯部の中心と鞘部の中心がずれている偏型でもよい。また、芯部が繊維表面に部分的に露出した偏の芯鞘型複合繊維であってもよい。これらの中では、伸長性に優れる捲縮複合繊維が得られる偏心芯鞘型が好ましい。
【0040】
本発明に係るサイドバイサイド型複合繊維は、低融点樹脂部と、高融点樹脂部とから構成されている。このサイドバイサイド型複合繊維を形成する低融点樹脂および高融点樹脂は、それぞれ上述した芯鞘型複合繊維を形成する低融点樹脂および高融点樹脂と同じである。
【0041】
サイドバイサイド型複合繊維は、低融点樹脂と高融点樹脂との重量構成比(低融点樹脂/高融点樹脂)は、2/8〜8/2の範囲にあることが好ましい。特に伸長性に優れる捲縮複合繊維が得られる点で、低融点樹脂と高融点樹脂との重量構成比(低融点樹脂/高融点樹脂)は、3/7〜7/3の範囲にあることが好ましい。
【0042】
また、上記のような本発明に係るサイドバイサイド型複合繊維は、通常、繊度は4d以下であり、より柔軟性に優れた不織布が得られる点で、3d以下であることが好ましい。
【0043】
本発明では、前記ネットがエラストマー材料とポリオレフィンとのブレンド樹脂から形成される場合、後述する熱融着による接合が容易である点で、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成する樹脂がポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましく、特にネットを形成するエラストマー材料にブレンドされるポリオレフィンの融点と、複合繊維の表面の少なくとも一部を形成するポリオレフィンの融点との差が、−5〜30℃の範囲内であることが好ましい。
【0044】
本発明に係る複合繊維不織布は、例えば上記のような芯鞘型またはサイドバイサイド型複合繊維からなる不織布であり、スパンボンド法により製造される。複合繊維不織布は、芯鞘型複合繊維の芯を構成する高融点樹脂と、鞘を構成する低融点樹脂とを、それぞれ別個に押出機等で溶融し、各溶融物を所望の芯鞘構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出させて、芯鞘型の複合繊維を紡出させる。紡出された複合繊維を、冷却流体により冷却し、さらに延伸エアによって複合繊維に張力を加えて所定の繊度とし、そのまま捕集ベルト上に捕集して所定の厚さに堆積させて複合繊維のウェブを得る。これにより、高強度の不織布が得られるとともに、偏心芯鞘型にすることにより伸長性の捲縮複合繊維とすることができる。
【0045】
その後、エンボスロールを用いる熱エンボス加工により交絡させることによって調製する。熱エンボス加工におけるエンボス面積率(刻印面積率:不織布における熱圧着部分の占める割合)は、用途に応じて適宜決定することができる。通常、エンボス面積率を5〜40%の範囲内にすると、柔軟性、通気度および摩擦堅牢度のバランスに優れる複合繊維不織布が得られる。
【0046】
また、上記芯鞘型複合繊維用複合紡糸ノズルに代えて、サイドバイサイド型複合繊維用複合紡糸ノズルを用いれば、本発明に係るサイドバイサイド型複合繊維からなる不織布を得ることができる。これにより、高強度の不織布が得られるとともに、伸長性の捲縮複合繊維とすることができる。
【0047】
本発明に係る複合繊維不織布は、通常、目付が30g/m2以下の不織布が柔軟性を必要とする用途には適しているが、用途に応じては30g/m2を超える高目付の不織布であってもよい。
【0048】
複合弾性不織布
また、本発明に係る複合弾性不織布は、上述したエラストマー材料からなるネットの片面または両面に、上述の複合繊維不織布を接合してなるものである。
接合の前に、予め複合繊維不織布を縦延伸することが好ましい。なお、「縦方向」とは、不織布の形成時にウェブの流れ方向に平行な方向(MD)であり、「横方向」とは、ウェブの流れ方向に垂直な方向(CD)である。
芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維、特に偏心芯鞘型の捲縮複合繊維やサイドバイサイド型の捲縮複合繊維からなる不織布を縦方向に延伸することにより、低応力での横伸長度が向上し、接合されたネットの伸縮に追従して伸縮性に優れた複合弾性不織布を与える。しかも伸長後の残留歪みが小さく、伸縮くり返し使用に十分な耐性を有する。
【0049】
不織布の延伸は、次の条件で行うことが好ましい。延伸温度は、低融点樹脂の融点より20〜40℃低い温度、延伸倍率5倍以下、好ましくは1.1〜5倍、延伸行路長2.5m以下で、幅縮み量60%以上となるように縦延伸する。ここで、幅縮み量とは、〔{(延伸前の不織布幅)−(延伸後の不織布幅)}/(延伸前の不織布幅)〕×100で与えられる。また、延伸行路長とは、延伸処理中に回転速度差をつけているロール間の距離をいう。不織布の加熱方法は、オーブンや、熱板、赤外線などを用いることができる。
【0050】
延伸倍率が5倍を超えると不織布の延伸切れを起こす可能性が高くなる。また延伸倍率が1.1倍に達しないと横伸長度が低くなる傾向が有る。より好ましい延伸倍率は、同芯芯鞘型複合繊維の場合は、1.1〜5倍、さらには1.2〜2倍であり、偏心芯鞘型やサイドバイサイド型の捲縮複合繊維の場合は、1.1〜5倍、さらには1.2〜3倍である。
【0051】
また、複合繊維不織布との接合の前に、ネットを延伸処理することは、ネットの横伸長度を挙げるために効果的である。ネットの延伸条件は、延伸温度90〜130℃、延伸倍率1.1〜6倍、好ましくは1.3〜3倍である。1.1倍に達しない場合、エラストマー材料の弾性範囲内のため延伸効果は得られない。一方、5倍を超えると、エラストマー材料の破断点に近づくためネットの破断が生じ易くなる。
【0052】
ネットと複合繊維不織布との接合は、例えばウォータージェット、超音波加工、ヒートエンボス、ニードルパンチなどによって行われる。このうち、ウォータージェットによるものが伸縮性に最も優れ、しかもネットの切断をもたらすことなく複合化することができて好ましい。図1はヒートエンボスによって行われる例を示すもので、ネット4を引伸ばした状態で、両面にリール5より繰出した不織布6を熱と圧力を掛けて接合するものである。
【0053】
図1の例は、ネットを引伸ばした状態で不織布を接合し、ネットが収縮したとき不織布を弛緩させ伸張を容易にさせたものであるが、ネットを引伸ばさないで不織布を接合させることも同様にできる。
【0054】
以上により得られた複合弾性不織布は、横方向の伸長性に優れ、伸長後の残留歪みが小さく、伸縮性に優れているので、引伸ばし可能な保護カバー、包装材、パップ材、上着、下着、生理用品、使い捨ておむつ等に好適に使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0056】
なお、実施例および比較例で得られた不織布の柔軟性評価および引張強度の測定は、次の方法により行なった。
(1)粘度
ASTM D4440の測定方法により行った。
(2)引張試験特性
JIS L1906に準拠し、幅50mmの試験片を引張試験機を用いて、室温下グリップ間隔100mm、引張速度100mm/分で測定した。破断したときの最大強度、最大伸度を求めた。
(3)伸長時の歪
幅25mmの試験片を、引張試験と同様に、グリップ間隔100mmで引張試験機に保持し、室温下、引張速度100mm/分で伸度50%または100%まで伸長させた後、同じ速度で戻し、応力が0となったときの伸び率を歪みとして求めた。
【0057】
(実施例1)
硬度(JIS K6301準拠、JIS A)67度、粘度(200℃)13300poise の熱可塑性ポリウレタン(大日精化(株)製)100重量部に、平均粒径1.8μmの炭酸カルシウム(竹原化学(株)製)20重量部と、メルトフローレート(ASTM D1238準拠、荷重2160g、温度190℃)15g/10分、密度(勾配管法)0.915g/cm3のLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)5重量部をドライブレンダーでブレンドしたものを用いて、目付80g/m2の目開き縦10mm、横4mmの方形目合いの(Square)ネットを、条溝を一定間隔で多数外周面に形成したインナーダイと、外周面に形成した固定マンドレルと、上下運動する円形のマンドレルからなり、下降して下端とが互いに接触する毎に間壁によって部分的にふさがれ直線部材と連結するネット成形方法で、成形温度190℃で作製した。このネットの評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
実施例1において、ネット原料に硬度(JIS K6301準拠、JIS A)67度、粘度(200℃)13300poise の熱可塑性ポリウレタン(大日精化(株)製)のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてネットを作製した。このネットの評価結果を表1に示す。
【0059】
(実施例2)
密度(勾配管法)が0.950g/cm3であり、融点(DSC測定値)が125℃であるLLDPEからなる低融点樹脂と、エチレン含量が4.0モル%であり、融点が140℃であるポリプロピレンからなる高融点樹脂を、それぞれ別個に押出機で溶融混練し、各溶融物を、偏心芯鞘構造を形成して吐出するように構成された複合紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出させて複合紡糸を行ない、ポリプロピレンからなる芯部と、LLDPEからなる鞘部とから構成される偏芯鞘型の捲縮複合繊維を形成した(芯/鞘重量比:8/2、繊度2.5d)。得られた芯鞘型複合繊維を捕集面上に堆積させ、エンボス加工装置を用いて、エンボスロール表面温度121℃で熱エンボス加工(刻印面積率:25%)を施し、目付23g/m2の複合繊維不織布を得た。
【0060】
次に実施例1で得られたネットの両面にこの不織布を積層後、エンボス加工装置を用いてエンボスロール表面温度118/116℃で接合し、複合弾性不織布を調製した。この不織布の評価結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003816269
【0062】
【発明の効果】
本発明により、伸縮性に優れ、かつ伸長後の残留歪の小さい伸縮性弾性ネットを提供することができる。また、該伸縮性弾性ネットを芯材として用いることにより強度、風合いに優れるとともに伸縮性に優れ、かつ伸長後の残留歪が小さい弾性不織布を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るネットと複合繊維不織布のヒートエンボスによる接合方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 S字型ローラ装置 2 ボンダーローラ装置
3 ネット原反リール 4 ネット
5 複合繊維不織布原反リール 6 複合繊維不織布

Claims (7)

  1. 粘度(200℃)50000〜3000poiseの熱可塑性エラストマー100重量部と、無機フィラー20〜50重量部を含有する組成物からなることを特徴とする伸縮性弾性ネット。
  2. 前記組成物が、粘度(200℃)50000〜3000poise の熱可塑性エラストマー100重量部と、無機フィラー20〜50重量部と、ポリオレフィン2〜50重量部を含有する請求項1に記載の伸縮性弾性ネット。
  3. 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーからなる群より選ばれるものである請求項1または2に記載の伸縮性弾性ネット。
  4. 前記無機フィラーが、炭酸カルシウムである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伸縮性弾性ネット。
  5. 請求項1ないし4に記載の伸縮性弾性ネットを芯材とし、該ネットの片面または両面に不織布が接合されてなる複合弾性不織布。
  6. 前記不織布が、スパンボンド法により製造された同芯鞘型、偏芯鞘型またはサイドバイサイド型構造の複合繊維からなるものである請求項5に記載の複合弾性不織布。
  7. 前記不織布が、縦方向に延伸倍率5倍以下で延伸されたものである請求項6に記載の複合弾性不織布。
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