JP5606072B2 - 立体ギャザー用シート - Google Patents
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Description
<長繊維不織布>
本発明の立体ギャザー用シートを構成する長繊維不織布は、捲縮繊維から構成される長繊維不織布(A)、または、混合繊維から構成される長繊維不織布(B)である。
上記混合繊維は、伸縮性長繊維および熱可塑性エラストマー繊維とが混合されてなる混合繊維である。
本件明細書において、熱可塑性樹脂とは、後述する熱可塑性エラストマー重合体以外の樹脂のうち、加熱により化学反応を起こすことなく軟化し、かつ、冷却することにより再び固化する性質を有し、加熱と冷却を繰り返したときに該現象を可逆的に起こす樹脂のことをいい、以下の熱可塑性樹脂(i)が挙げられる。
エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体である高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン系重合体;
ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテン等)等のプロピレン系重合体;
ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体等のオレフィン系重合体;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;
ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;
ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;あるいはこれらの混合物等を例示することができる。
なお、上記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体においては、紡糸し得る限り特に限定はされないが、通常、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体中、α−オレフィン含量が1〜10モル%である。
上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
本発明に係る立体ギャザー用シートを構成する長繊維不織布の原料の一つである熱可塑性エラストマー(ii)は、紡糸し得る熱可塑性エラストマーであれば種々公知の熱可塑性エラストマーを用いることができる。該熱可塑性エラストマーは、1種単独で用いてもよく、2種類以上の熱可塑性エラストマーを併用して用いてもよい。
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBSと呼称)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SISと呼称)、それらの水素添加物であるポリスチレン−ポリエチレン・ブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(SEBSと呼称)、及びポリスチレン−ポリエチレン・プロピレン−ポリスチレンブロック共重合体(SEPSと呼称)に代表される、少なくとも1個のスチレン等の芳香族ビニル化合物から構成される重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエンあるいはイソプレン等の共役ジエン化合物から構成される重合体ブロックからなるブロック共重合体あるいはその水素添加物であるスチレン系エラストマー;
高結晶性の芳香族ポリエステルと非晶性の脂肪族ポリエーテルから構成されるブロック共重合体に代表されるポリエステル系エラストマー;
結晶性で融点の高いポリアミドと、非晶性でガラス転移温度(Tg)が低いポリエーテルもしくはポリエステルとから構成されるブロック共重合体に代表されるポリアミド系エラストマー;
ハードセグメントがポリウレタンから構成され、ソフトセグメントがポリカーボネート系ポリオール、エーテル系ポリオール、カプロラクトン系ポリエステルもしくはアジペート系ポリエステル等から構成されるブロック共重合体に代表される熱可塑性ポリウレタン系エラストマー;
非晶性もしくは低結晶性のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等を単独で用いた非晶性もしくは低結晶性のランダム共重合体、または前記非晶性もしくは低結晶性のランダム共重合体と、プロピレン単独重合体、プロピレンと少量のα−オレフィンとの共重合体、高密度ポリエチレン、あるいは、中密度ポリエチレン等の結晶性のポリオレフィンとを混合したポリオレフィン系エラストマー;
塩化ビニル系エラストマー;
フッ素系エラストマー;
等を例示できる。
また、ポリオレフィン系エラストマーとしては、アイソタクティックポリプロピレン:1〜40重量%と、非晶性もしくは低結晶性のプロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体:60〜99重量部とを含有するポリプロピレン樹脂組成物からなるポリオレフィン系エラストマーが好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、温度200℃、せん断速度100sec-1の条件における溶融粘度が100〜3000Pa・sが好ましく、より好ましくは200〜2000Pa・sである。ここで、溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機(株)製、ノズル長30mm、直径1mmのものを使用)で測定した値である。
上記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
本発明の立体ギャザー用シートとなる長繊維不織布のひとつである長繊維不織布(A)は、嵩高性を有する長繊維不織布であり、通常、捲縮繊維から構成される長繊維不織布である。
前記長繊維不織布の原料である熱可塑性樹脂(i)あるいは熱可塑性エラストマー(ii)等から選ばれた単一の重合体からなる繊維に、公知の手段で、例えば、機械的応力等を加えて該繊維に捲縮を付与させてなる捲縮繊維、異型断面繊維、および偏芯中空繊維;
結晶化温度あるいは融点、もしくは軟化温度、結晶化速度、溶融粘度等が異なる異種の熱可塑性樹脂(i)あるいは熱可塑性エラストマー(ii)等を複合した偏芯芯鞘型複合繊維、並列型(サイドバイサイド型)複合繊維、中空複合繊維、偏芯中空複合繊維等の複合繊維のように、冷却時に繊維に歪を生じさせて捲縮させた捲縮繊維;
等を例示できる。
本発明に係る捲縮繊維を構成する上記複合繊維は、二種以上の熱可塑性樹脂からなり、通常、偏芯芯鞘型複合繊維あるいは並列型複合繊維の繊維構造をとり得る。複合繊維に捲縮を付与するには種々公知の手段をとり得る。例えば、複合繊維を延伸−熱処理することにより捲縮を発現させる方法;複合繊維を延伸せずに、例えば、低融点成分の融点より5〜30℃低い温度で熱処理することにより捲縮を発現させる方法;あるいは溶融紡糸された複合繊維を冷却することにより捲縮を発現させる方法;等をとり得る。
本発明に係る偏芯芯鞘型複合繊維は、芯部を形成する前記プロピレン系重合体の芯(中心部)が、該複合繊維の芯(中心部)と重ならない構造の繊維である限り、特に限定はされない。中でも、芯部を形成する前記プロピレン系重合体の芯と複合繊維の芯がより離れた偏芯芯鞘型複合繊維の方が、芯部を形成する前記プロピレン系重合体の芯と複合繊維の芯が近い偏芯芯鞘型複合繊維に比べて、捲縮が発生し易いので好ましい。また、偏芯芯鞘型複合繊維は、芯部を形成する前記プロピレン系重合体が偏芯芯鞘型複合繊維の表面に一部露出していてもよい。
本発明に係る並列型複合繊維は、例えば、第1成分を形成する前記プロピレン系重合体と第2成分を形成する前記プロピレン・α−オレフィン共重合体の繊維断面(繊維軸方向に対して垂直に切断した断面を単に「繊維断面」とあらわす。本願明細書において、以下同様にあらわす。)の接合面は、直線であってもよく、弧状であってもよい。繊維断面の接合面が弧状の場合は、プロピレン系重合体がプロピレン・α−オレフィン共重合体部に入り込んだ略円形状であってもよく、プロピレン系重合体が凹んだ三日月状であってもよい。
本発明に係る中空複合繊維は、前記並列型複合繊維の繊維内部に中空部を有する中空複合繊維である。中でも、中空部が偏芯した偏芯中空複合繊維は、捲縮性に優れ、それゆえ嵩高性に優れた長繊維不織布が得られるので好ましい。
本発明の立体ギャザー用シートとなる長繊維不織布のひとつである長繊維不織布(B)は、嵩高性を有する長繊維不織布であり、通常、熱可塑性エラストマー長繊維と伸長性長繊維との混合繊維から構成される長繊維不織布である。
本発明に係る長繊維不織布(B)を構成する混合繊維は、伸長性長繊維と熱可塑性エラストマー繊維とが混合されてなる混合繊維であり、好ましくは伸長性長繊維10〜90質量%、好ましくは20〜70質量%と熱可塑性エラストマー繊維90〜10質量%、好ましくは80〜30重量%とが混合されてなる混合繊維である。
本発明に係る混合繊維からなる長繊維不織布(B)は、得られた長繊維不織布を少なくとも一方向に延伸した後、応力を緩和させることにより熱可塑性エラストマー繊維を弾性回復させて嵩高な長繊維不織布とすることができる。
例えば、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波、熱エンボス等により、混合繊維の一部を交絡あるいは熱融着させる。次いで、得られた混繊繊維をロール、テンターあるいはギア延伸等により、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、好ましくは1000%以下、より好ましくは400%以下の割合で少なくとも一方向に延伸した後、応力を緩和させる。これにより、該混繊繊維の熱可塑性エラストマー繊維が弾回復し、一方で該混繊繊維の伸びた伸長性長繊維が褶曲して嵩高な長繊維不織布とすることができる。
本発明に係る長繊維不織布(B)を構成する混合繊維を構成する繊維の一つである伸長性長繊維は、前記熱可塑性樹脂(i)のうち、熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂繊維を用いてスパンボンド法により長繊維不織布を製造したときに、該長繊維不織布の最大点伸度を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは100%以上とすることができ、かつ弾性回復が殆ど有しない性質を有する熱可塑性樹脂(伸長性熱可塑性樹脂)である。ここで、最大点伸度は、長繊維不織布の縦方向(MD)及び/又は横方向(CD)における伸びである。
前記熱可塑性樹脂(i)の中でも、成形時の紡糸安定性や不織布の延伸加工性の観点から、ポリオレフィンが好ましく、プロピレン系重合体が特に好ましい。
本発明に係る長繊維不織布(長繊維不織布(A)および(B))は、必要に応じて、種々公知の交絡方法により交絡しておいてもよい。前記交絡方法としては、例えば、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法、あるいはエンボスロールを用いる熱エンボス加工またはホットエアースルーを用いることにより一部熱融着する方法等が挙げられる。かかる交絡方法は単独でも複数の交絡方法を組合わせて用いてもよい。
本発明の立体ギャザー用シートは、厚さと目付との比が0.015mm/(g/m2)以上、好ましくは0.015〜0.030mm/(g/m2)、の範囲にある長繊維不織布からなる。
目付が5g/m2未満であり、通気度が300cc/cm2/秒未満である長繊維不織布からなるシート、あるいは、厚さと目付との比が0.015mm/(g/m2)未満である長繊維不織布からなるシートは、使い捨ておむつの立体ギャザーに用いた場合に、尿及び軟便の漏れ防止が不十分になる虞がある。また、通気度が300cc/cm2/秒未満である長繊維不織布からなるシートは蒸れやすい傾向にある。一方、目付が30g/m2を越える長繊維不織布からなるシート、あるいは、厚さと目付との比が0.030mm/(g/m2)を超える長繊維不織布からなるシートは嵩高くなりすぎ、且つ、通気性に劣る虞がある。
なお、本発明の立体ギャザー用シートは、前記長繊維不織布からなるが、長繊維不織布の片面に目付が0.5〜5g/m2のメルトブローン不織布を積層してもよい。メルトブローン不織布を積層することにより、通気性は多少低下するが、尿あるいは軟便に対しての防漏性が更に改良される。積層体の構成は、長繊維不織布/メルトブローン不織布、長繊維不織布/メルトブローン不織布/長繊維不織布、あるいは前記構成を含む積層体であってもよい。なお、立体ギャザー用シートの肌に接する面は、肌への触感、通気性を考慮して、長繊維不織布側であることが望ましい。
本発明に係る長繊維不織布は、種々公知の不織布の製造方法により製造し得るが、スパンボンド法により製造する方法が好ましい。
<立体ギャザー用シートの製造方法および使用方法>
本発明の立体ギャザー用シートは、上記のようにして製造された長繊維不織布より、従来公知の方法により製造できる。
なお、実施例及び比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
(I)長繊維不織布の物性値等
(1)目付(g/m2)
目付は、JIS L 1906の5.2に記載の測定方法に準拠して測定した。
(2)通気度(cc/cm2/秒)
通気度は、JIS L 1906 1 A法(フランジール形法)に従って測定した。
(3)厚さ/目付〔mm/(g/m2)〕
JIS L 1906に準拠して長繊維不織布(立体ギャザー用シート)の厚さを測定し、得られた厚さを前記目付で除することにより求めた。
(4)捲縮数(個/25mm)
捲縮数は、以下のように測定した。
(5)軟便滲み量
軟便滲み量は、以下の方法で測定した。
)耐水圧は、JIS L1092に準拠して測定した。不織布及び/又は不織布積層体から200mm(MD)×50mm(CD)の試験片を6点採取した。なお、採取場所はMD、CDともに任意の3箇所とした(計6箇所)。次いで、採取した各試験片を、試験片の表面を水に当てられるように耐水度試験装置(低水圧型 型番:FI−805、テスター産業製)に取り付けた。次いで、常温水を入れた水準装置を60±30mm/min.または10±5mm/min.の速さで上昇させて試験片に水圧をかけ、試験片の反対側の3箇所から水が漏れたときの水位を測定し、耐水圧〔mmH2O〕を求めた。なお、耐水圧は、上記6点(MD、CD各3点)について平均値を求め、小数点第1位を四捨五入した値とした。
(II)熱可塑性ポリウレタンエラストマーの物性値等
(7)凝固開始温度
セイコー電子工業(株)製SSC5200Hディスクステーションに接続した示差走査熱量計(DSC220C)により測定した。サンプルとして、粉砕したTPUをアルミ製パンに約8mg採取し、カバーを被せクリンプした。リファレンスとして、同様にアルミナを採取した。サンプルおよびリファレンスをセル内の所定の位置にセットした後、流量40Nml/minの窒素気流下で測定を行った。昇温速度10℃/minで室温から230℃まで昇温し、この温度でサンプルを5分間ホールドした後、10℃/minの降温速度で−75℃まで降温させた。このときに記録されたTPUの凝固に由来する発熱ピークの開始温度を測定し、凝固開始温度(単位:℃)とした。
(8)極性溶媒不溶分の粒子数
細孔電気抵抗法に基づく粒度分布測定装置としてベックマンコールター社製マルチサーザーIIを使用して測定を行った。5リットルのセパラブルフラスコに、ジメチルアセトアミド(和光純薬工業(株)製 特級品)3500gとチオシアン酸アンモニウム(純正化学(株)製 特級品)145.83gとを秤量した。次いで、室温にて24時間かけて、ジメチルアセトアミドにチオシアン酸アンモニウムを溶解させた。
式中、A:測定用試料のTPU濃度(重量%)、B:ビーカーに秤量した測定用試料の重量(g)、C:ビーカーに秤量した試薬Aの重量(g)、D:測定中(210秒間)にアパーチャーチューブに吸引された溶液量(g)である。
(9)ハードドメインの融解熱量比
セイコー電子工業(株)製SSC5200Hディスクステーションに接続した示差走査熱量計(DSC220C)により測定した。サンプルとして、粉砕したTPUをアルミ製パンに約8mg採取し、カバーを被せクリンプした。リファレンスとして、同様にアルミナを採取した。サンプルおよびリファレンスをセル内の所定の位置にセットした後、流量40Nml/minの窒素気流下で測定を行った。昇温速度10℃/minで室温から230℃まで昇温した。このとき、ピーク温度が90℃以上140℃以下の範囲にある吸熱ピークから求められる融解熱量の総和(a)と、ピーク温度が140℃を超えて220℃以下の範囲にある吸熱ピークから求められる融解熱量の総和(b)を求め、次式によりハードドメインの融解熱量比(単位:%)を求めた。
(10)200℃における溶融粘度(以下、単に「溶融粘度」という。)
キャピログラフ(東洋精機(株)製モデル1C)を用いて、TPUの200℃におけるせん断速度100sec-1の時の溶融粘度(単位:単位:Pa・s)を測定した。長さ30mm、直径は1mmのノズルを用いた。
高融点熱可塑性樹脂:プロピレン単独重合体(荷重2160g、230℃で測定したMFR:60g/10分、融点(Tmo):157℃)。
実施例2
高融点熱可塑性樹脂:プロピレン単独重合体(荷重2160g、230℃で測定したMFR:60g/10分、融点(Tmo):157℃)。
実施例3
高融点熱可塑性樹脂:プロピレン単独重合体(荷重2160g、230℃で測定したMFR:60g/10分、融点(Tmo):157℃)。
実施例4
<熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造>
ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと記す。)をタンクAに窒素雰囲気下で装入し、気泡が混入しない程度に攪拌しながらタンクAの内温を45℃に調整した。
MFR(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定)60g/10分、密度0.91g/cm3、融点160℃のプロピレンホモポリマー(以下、「PP−1」と略す)96重量部と、MFR(ASTM D1238に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgで測定)5g/10分、密度0.97g/cm3、融点134℃の高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略す)4重量部とを混合し、伸長性繊維の原料である熱可塑性樹脂組成物(B−1)を調製した。
前記TPU−1と前記B−1とをそれぞれ独立に押出機(30mmφ)を用いて溶融した。次いで、紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機(捕集ベルトの捕集面上の機械の流れ方向に垂直な方向の長さ:100mm)を用いて、樹脂温度とダイ温度がともに220℃、冷却風温度20℃、延伸エアー風速3000m/分の条件でスパンボンド法により溶融紡糸し、TPU−1からなる長繊維Aと、B−1からなる長繊維Bとを含む混合長繊維からなるウェッブを捕集ベルトの捕集面上に堆積させた。前記紡糸口金は、TPU−1の吐出孔とB−1の吐出孔が交互に配列されたノズルパターンを有し、ノズル径が0.6mmφであり、ノズルのピッチが縦方向8mm、横方向8mmであり、ノズル数の比は繊維A用ノズル:繊維B用ノズル=1:3であった。繊維Aの単孔吐出量は0.6g/(分・孔)、繊維Bの単孔吐出量0.6g/(分・孔)とした。
実施例5
実施例1で得られた捕集ベルト上に堆積させた偏芯中空複合長繊維不織布上に、メルトブローン製造装置を用い、目付けが4g/m2になるようにメルトブローン不織布を積層した。なお、該メルトブローン不織布は、ポリプロピレン単独重合体〔MFR(JIS K7210-1999 に準拠し温度230℃、荷重2.16kgで測定):900g/10分〕を温度:300℃で溶融押出し、ノズルの両側から吹き出す加熱エアーにて細化・固化することによって得た、繊維径が平均約3μmのフィラメントを積層して得た。
<混合長繊維不織布の製造>
前記TPU−1及び前記熱可塑性樹脂組成物(B−1)とをそれぞれ独立に75mmφの押出機及び50mmφの押出機を用いて溶融した。次いで、紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機(捕集面上の機械の流れ方向に垂直な方向の長さ:800mm)を用いて、樹脂温度とダイ温度がとも210℃、冷却風温度が20℃、延伸エアー風速が3750m/分の条件でスパンボンド法により溶融紡糸し、TPU−1からなる長繊維AとB−1からなる長繊維Bとを含む混合長繊維からなるウェッブを、捕集ベルトの捕集面上に堆積させた。前記紡糸口金は、TPU−1の吐出孔とB−1の吐出孔が交互に配列されたノズルパターンを有し、TPU−1(繊維A)のノズル径0.75mmφ及びB−1(繊維B)のノズル径0.6mmφであり、ノズルのピッチが縦方向8mm、横方向11mmであり、ノズル数の比は繊維A用ノズル:繊維B用ノズル=1:1.45であった。繊維Aの単孔吐出量は0.6g/(分・孔)、繊維Bの単孔吐出量0.6g/(分・孔)とした。
比較例1
熱可塑性樹脂として荷重2160g、230℃でのMFRが60g/10分のプロピレン重合体〔融点(Tmo);157℃〕を用い、押出機(30mmφ)を用いて溶融した。次いで、非捲縮繊維が吐出されるように紡糸口金を配置した図2に示す不織布製造装置(スパンボンド成形機、捕集面上の機械の流れ方向に垂直な方向の長さ:100mm)を用いて、非捲縮複合長不織布を製造した。より具体的には、樹脂温度とダイ温度がともに210℃、冷却風温度が25℃、延伸エア風速が2000m/分の条件で、吐出された非捲縮繊維をスパンボンド法により溶融紡糸し、高融点熱可塑性樹脂からなる非捲縮長繊維を捕集ベルトの捕集面上に堆積させて、目付けが12.5g/m2の非捲縮複合長繊維不織布を製造した。
次いで、得られた非捲縮複合長繊維不織布をキルトエンボスロールで加熱加圧処理(エンボス面積率24.0%、エンボス温度125℃)し、目付量が25g/m2の非捲縮複合長繊維不織布からなる立体ギャザー用シートを得た。
比較例2
実施例1において、複合長繊維の加熱加圧処理を、キルトエンボスロール(エンボス面積率9.7%、エンボス温度125℃)から菱形エンボスロール(エンボス面積率20.6%、エンボス温度125℃)に代えた以外は実施例1と同様に、目付量が25g/m2の長繊維不織布からなる立体ギャザー用シートを得た。
比較例3
実施例2において、複合長繊維の加熱加圧処理を、キルトエンボスロール(エンボス面積率9.7%、エンボス温度125℃)から菱形エンボスロールで処理し得られた(エンボス面積率20.6%、エンボス温度125℃)に代えた以外は実施例2と同様に、目付量が25g/m2の長繊維不織布からなる立体ギャザー用シートを得た。
比較例4
高融点熱可塑性樹脂:プロピレン単独重合体(荷重2160g、230℃で測定したMFRが60g/10分、融点(Tmo):157℃)。
比較例5
比較例1で得られた長繊維不織布上に、実施例5に記載の方法で、目付4g/m2のメルトブローン不織布を積層した。更に当該メルトブローン不織布上に比較例1で得られた長繊維不織布を積層し、次いで菱形エンボスロールで処理して(エンボス面積率20.6%、エンボス温度125℃)、目付量が54g/m2の長繊維不織布/メルトブローン不織布/長繊維不織布(S/M/S)積層体からなる立体ギャザー用シートを得た。
参考例1
実施例4に記載の熱可塑性樹脂組成物(B−1)を用いて、実施例1と同様の条件で不織布を得た。伸度を測定したところ、130%の伸度を示した。
Claims (6)
- 厚さと目付との比が0.015mm/(g/m2)以上で、目付が25g/m 2 での通気度が、300cc/cm 2 /秒以上である長繊維不織布からなり、当該長繊維不織布が、捲縮繊維から構成される長繊維不織布、または、熱可塑性エラストマー長繊維と伸長性長繊維との混合繊維からなる長繊維不織布であることを特徴とする立体ギャザー用シート。
- エンボス面積率が、10〜25%である請求項1に記載の立体ギャザー用シート。
- 前記伸長性長繊維が、少なくとも50%の伸び(%)を有する不織布である請求項1または2に記載の立体ギャザー用シート。
- 前記長繊維不織布が、目付が5〜30g/m2の範囲にある長繊維不織布である請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体ギャザー用シート。
- 前記長繊維不織布が、耐水度が60mmH2O以上の長繊維不織布である請求項1〜4のいずれか1項に記載の立体ギャザー用シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の立体ギャザー用シートに、目付が0.5〜5g/m2のメルトブローン不織布が積層されてなる複合立体ギャザー用シート。
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