JP2004180569A - 細胞分離カラム - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムにより特定の希少な細胞を簡単、大量、安全に分離、回収できる細胞分離カラムを提供する。
【解決手段】基材と該基材を保持する筐体からなる細胞分離カラムであって、細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラム。
【選択図】なし
【解決手段】基材と該基材を保持する筐体からなる細胞分離カラムであって、細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液中の病因物質や有用物質を捕捉除去、特に幹細胞やリンパ球系の細胞などの特定の細胞を分離回収するためにそれ以外の細胞を捕捉・保持する領域と前記特定細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、ひとつのマーカー(抗原など)を指標として、種々の細胞が分離回収され、利用されてきた。しかし、ひとつのマーカーだけでの分離は、望ましい細胞が得られるとは限らず、治療時や細胞培養時にさまざまな影響を与えている。
【0003】
近年、血液のような細胞群からきわめて希少な細胞を分離するための手法として、磁気ビーズによる手法やフローサイトメトリーによる手法がとられている(例えば非特許文献1参照)。例えば、磁気ビーズによる手法では、最初に不必要な細胞を、それを認識するリガンド(抗体)を結合させた磁気ビーズを用いて、ある細胞群から除去し、その後、不必要な細胞が除去された細胞群から再び別の磁気ビーズを用いて、分離対象である細胞が分離される。フローサイトメトリーによる手法では、リガンド(特に抗体)で蛍光標識された細胞をレーザーを用いて、繰り返し分別することにより、必要な細胞、不必要な細胞を回収し、希少な細胞が分離される。いずれの手法においても、非常に純度の高い細胞を得ることができるが、いずれも少量の細胞を対象としており、さらに、細胞と標識抗体とを反応させた後、分離作業をするという非常に煩雑な操作が必要であり、特定の細胞を大量に回収する際は、時間、コストがかかることが問題であった。さらに、フローサイトメトリーによる手法では、高価な装置が必要であるという欠点がある。
【0004】
近年、リガンド、特に抗体を担体に固定化した材料を用い、ここに血液細胞などの細胞群を流すことにより、抗体と相互作用する特定の細胞だけを除去する技術が検討されている。
【0005】
そのなかにヒト表面抗原を認識する抗体を不織布に固定化し、特定の血球成分を除去することを試みがある(例えば特許文献1参照)。しかし、このような技術では、抗体と相互作用する細胞が除去されるだけであり、それらの細胞を担体表面から回収し、さらに利用することは困難である。
【0006】
また、リガンドを固定化したカラム担体を用いて目的物質を回収する技術として、プロテインGセファロース、キレートカラム、グルタチオンカラムなどが知られており(例えば、非特許文献2参照)、これらの技術は固定化したリガンドが何らかの外部刺激で脱離できるような構造をもつことにより、一度リガンドに吸着した物質を、外部刺激によりリガンドと共に脱離、回収することができるものとなっている。
【0007】
担体を用いて、希少な細胞を分離する場合、ある1つのカラムで、不必要な細胞を除去し、次にまた別のカラムで必要な細胞群を得る操作が必要であるなど、操作が煩雑になる。さらに、希少な細胞を培養や治療に用いる場合には、大気中の雑菌や微生物が混入する危険性がある。
【0008】
【非特許文献1】
ポール・T・シャープ(P.T.Sharpe),「生化学実験法13−細胞分離法−」,第1版,1991年,東京化学同人,p.151〜190
【0009】
【非特許文献2】
ファルマシアバイオテク株式会社,「アフィニティクロマトグラフィー」、1994年、p41〜102
【0010】
【特許文献1】
国際公開第97/027878号パンフレット
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、上記従来技術の欠点を解消するものであり、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムにより特定の希少な細胞を簡単、大量、安全に分離、回収できる細胞分離カラムを提供することを目的としてしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は下記構成を有する。
(1)基材と該基材を保持する筐体からなる細胞分離カラムであって、細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラム。
(2)基材の形状が繊維状、スポンジ状、中空糸膜状および平膜状からなる群から選ばれる少なくとも1種以上からなる(1)記載の細胞分離カラム。
(3)基材が海島型複合繊維であることを特徴とする(1)記載の細胞分離カラム。
(4)基材がポリスチレン、セルロース、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上の物質からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(5)基材が親水性高分子を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(6)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする(5)に記載の細胞分離カラム。
(7)細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域において、細胞を捕捉できるリガンドと基材とが化学結合を介して固定化されており、細胞を捕捉したリガンドが外部刺激により脱離可能であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(8)外部刺激が還元剤による還元反応であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(9)外部刺激が酵素による反応であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(10)リガンドと基材がジスルフィド結合を介して結合されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(11)リガンドが抗体あるいはレセプターであることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の細胞分離カラムを用いて得られた細胞が癌または自己免疫疾患または脳梗塞またはパーキンソン病またはアルツハイマー病または糖尿病または心筋梗塞または血管再生の治療又はワクチンに用いられることを特徴とする細胞分離カラム。
(13)分離して得られる細胞がCD25陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(14)分離して得られる細胞がCD45RO陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(15)分離して得られる細胞がCD8陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(16)分離して得られる細胞がCD4陰性かつCD8陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(17)分離して得られる細胞がCD38陰性かつCD34陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(18)分離して得られる細胞がCD34陰性かつCD45陰性かつCD133陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の細胞分離カラムは基材とその基材を保持する筐体とからなる。そしてカラム内に、細胞を捕捉・保持する領域と、細胞を捕捉後、外部刺激により脱離できる領域を有することを特徴とする。カラム内に分離したい細胞群(主に溶液状態にして)を流し、その後脱離回収することにより、希望する細胞を得ることができる。
【0014】
細胞を捕捉する具体的な手段としては、基材に、その細胞と相互作用するリガンドを固定化する手段が挙げられる。細胞を捕捉・保持する領域では、外部刺激によりリガンドが脱離しないようにされており、細胞群に含まれる不要な細胞は捕捉・保持され、回収時に脱離されない。一方、細胞を捕捉後、外部刺激により脱離できる領域においては、前の領域で細くされた不要な細胞は本領域では捕捉されず、希望する細胞のみが捕捉され、脱離される。
【0015】
本発明においてリガンドを固定化する基材としては、血液などの細胞群を一度に大量に処理できる体外循環に使用可能な基材が好ましく、基材の形状としては平膜状、中空糸膜状、繊維状、粒子状、ゲル状、スポンジ状など何でもよいが、閉鎖系で圧力損失を伴わず、細胞を傷つけず体外循環できる利点から平膜状、中空糸膜状、繊維状が望ましく、また、表面積を確保し、細胞とリガンドとの相互作用を大きくする点から、繊維の編み地や不織布などでも良い。
【0016】
本発明の材料が膜である場合の膜厚は10〜80μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。又、膜の平均孔径については、1%アルブミン透過率が0.5%以上であることが好ましく、1%以上がより好ましい。中空糸膜の場合は中空糸の内径は100〜300μmであることが好ましく、150〜200μmがより好ましい。
【0017】
繊維を用いる場合は、繊維径、密度などは特に限定されないが、細胞との相互作用などを考慮すると、繊維径は0.1μm以上100μm以下、密度は0.005〜0.5g/cm3のものが好適に用いられる。
【0018】
海島型複合繊維は、強度の弱い材料を用いる場合でも、芯材(島部分)に強度をもった材料を用いることにより、好ましい複合材料を作ることができる。例えば、ポリスチレンのような材料にリガンドを固定化する場合は、芯材にポリプロピレンやポリエチレンを用いて補強することにより、細胞分離材料として利用することができる。
【0019】
さらに基材として多孔質材料を用いると、透析やろ過機能を付与することができ、血液浄化、細胞分離用途のみならず、バイオリアクターなどの細胞培養用材料としても用いることができる。
【0020】
本発明における細胞分離カラムは細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有するが、細胞を捕捉・保持する領域は、より大きな表面積を有することが望ましいため、繊維状の編み地や不織布が好適に用いられる。一方、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域においては、外部刺激による細胞の回収のしやすさから中空糸膜状が好適に利用される。しかし、細胞を捕捉・保持する領域および細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を1つの基材に有するものであってもよい。
【0021】
基材は筐体内に適宜設置し、カラムとする。この際、細胞を捕捉・保持する領域の部分と細胞を捕捉した後、外部刺激により脱離できる領域の部分を別々に作製して結合したカラムとしてもよいし、両領域を1つのカラムに充填してもよい。
【0022】
筐体の材質は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられる。形状は、円柱形、角柱形などで利用され、大きさは特に限定されないが、取り扱い性のしやすさなどから断面は15cm四方以下、長さは100cm以下であることが望ましい。
【0023】
基材に使用される素材は、医療用に用いられている素材が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、セルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0024】
なお、ポリスルホンなど疎水性の高分子を基材の素材として使用する際は、その接触面を親水化することが好ましい。親水化の方法としては、ポリビニルピロリドンやポリエチレングリコールなどのポリスルホン系高分子との相溶性に優れる親水性高分子を加工前のポリスルホン溶液に添加したり、血液や細胞との接触面を親水性の化合物でコーティングすることにより達成できる。これらのうちで血液適合性の観点からポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
【0025】
ポリメチルメタクリレートは、アイソタクチック構造部分とシンジオタクチック構造部分をもつが、アイソタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよいし、シンジオタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよい。しかし、アイソタクチシチの高いポリメチルメタクリレートと、シンジオタクチシチの高いポリメチルメタクリレートとは、ある条件下において構造的な絡み合い、いわゆるステレオコンプレックスを形成できるため、成形性の観点から両者をブレンドしてステレオコンプレックス構造をもたせたものが望ましい。
【0026】
また、本発明において、基材にリガンドを固定化するためには基材表面に活性基や官能基を含有させ、それを利用してリガンドを固定化する方法や、基材表面に陰性荷電をもたせ、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化する方法や、ポリエチレングリコールと複合化したリガンドを疎水性相互作用によりポリメチルメタクリレート系含水材料に固定化する方法などがある。
【0027】
活性基または官能基としては臭化シアンによる活性基、スクシンイミド基やα−クロロアセトアミドメチル基、クロロメチル基に加え、アミノ基、カルボキシル基、硫酸基、水酸基、リン酸基、イソシアネート基、ニトロ基、アルデヒド基、ピリジルジスルフィド基などが挙げられるが、リガンドの固定化反応の容易さと水溶液で中での安定性からアミノ基が好適である。
【0028】
基材にアミノ基を含有させる方法としては、あらかじめ成形のための溶液にアミノ基を有する物質をブレンドしておいてから成形する方法や、成形した材料にアミノ基を含有する物質を含む溶液に浸漬または付着させ、放射線照射により固定化する方法、材料に活性基を導入しておき、アミノ基含有物質を固定化する方法などが用いられる。例えば、ポリスルホン/ポリビニルピロリドンブレンド基材を十分水洗した後、1wt%のポリエチレンイミン水溶液に浸漬して、25kGyにてγ線照射して基材にアミノ基を含有させる方法、あるいは、ポリスチレン基材をN−メチロール−α−クロロアセトアミド、ニトロベンゼン、硫酸、パラホルムアルデヒドの混合液で反応させ、クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン基材を得て、さらに、ポリエチレンイミンをトリエチルアミン、ジメチルスルフォキシドの混合溶液に溶解し、この溶液にクロロアセトアミドメチル化架橋基材を加えて攪拌、洗浄して、ポリスチレン基材へアミノ基を導入することができるが、これらの方法に限定されない。
【0029】
基材にアミノ基を含有させる場合は、材料全体にアミノ基を含有させてもよいし、血液や細胞の接触する部分だけにアミノ基を含有させてもよい。中空糸膜の内表面を用いる場合は、アミノ基含有高分子量物質を内側からろ過し、充填することにより内表面にアミノ基を集積させることができる。
【0030】
基材にアミノ基を含有させる際に使用するアミノ基を有する物質としては、ポリマーであっても低分子であってもよい。低分子の場合は、アンモニア、テトラエチレンペンタミン、デンドリマー、アグマチンなどが用いられる。ポリマーの場合は、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリリジン、アジリジン(エチレンイミン)化合物を有するポリマー、ポリエチレンイミン誘導体、キトサン、グリシンエステル化ポリエチレングリコール、ヒドラジド化ポリエチレングリコール、ω−ヒドロキシ−α−アミンポリエチレングリコール、ω−アミノ−α−カルボキシルポリエチレングリコールおよびそれらに置換基の導入されたもの、およびこれらを構成するモノマー単位からなる共重合体などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
これらアミノ基を有するポリマーの中でも毒性の低さ、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさなどから、分岐状のポリエチレンイミンが特に好適に用いられる。ポリエチレンイミンは、分子量600以上の直鎖状、分岐状のものが好ましく用いられ、また、ポリエチレンイミンの誘導体としては、ポリエチレンイミンをアルキル化、カルボキシル化、フェニル化、リン酸化、スルホン化、メルカプト化、ピリジルジスルフィド化など、所望の割合で誘導体化したものが挙げられる。
【0032】
また、上記の成形した材料にアミノ基を含有する物質を含む溶液に浸漬または付着させ、放射線照射により固定化する方法をとる際の放射線処理としては、湿潤状態でγ線・電子線などを照射すればよい。ここでいう湿潤状態とは、材料を乾燥させない状態のことを言う。その程度は特に限定されるものではないが、通常、材料が1重量%以上の水分を含んでいることが好ましい。
【0033】
放射線の吸収線量は湿潤状態で10〜50kGy程度が好ましく、20kGyを超える線量を照射した場合は、滅菌処理を同時に行うことも可能である。この際、吸収線量は線量測定ラベルをモジュールの表面に貼り付けるなどして測定することができる。得られたアミノ基含有材料を医療用途に用いる場合は、リガンド固定化操作を無菌下で行うことが望ましい。
【0034】
ポリメチルメタクリレートからなる材料は、加水分解によりカルボキシル基を導入し、カルボジイミドなどの縮合剤を用いて、アミノ基を有するリガンドを固定化することができる。また、多孔質状で含水状態であると、ポリエチレングリコールと疎水性相互作用により結合できるので、リガンドをポリエチレングリコールと複合化すれば、リガンドをポリメチルメタクリレートに固定化できる。
【0035】
陰性荷電を表面をもつ材料には、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化することができる。陰性荷電を表面をもつ材料は、化学反応、グラフト反応、放射線架橋、共重合、ブレンド、イオン注入、真空蒸着、コーティングなど材料表面にアニオン性を付与できる方法であれば何でも良い。
【0036】
例えば、セルロースにアミノ基を導入し、カルボジイミドでヘパリンを固定化させてやることにより、アニオン性表面を導入できる。ポリスルホンとポリビニルピロリドンからなる材料の場合は、デキストラン硫酸の水溶液中で放射線を照射することにより、材料表面にアニオン性を付与できる。また、ポリスチレンからなる材料の場合は、濃硫酸で処理してやることにより、表面に硫酸基を導入でき、表面にアニオン性官能基を導入できる。また、ポリメチルメタクリレートを通常のラジカル重合によって得る際、カルボキシル基や、スルホン酸基などのアニオン性基を含有するビニルモノマーと共重合したものを、材料に成形することにより、材料表面にアニオン性を付与できる。また、アニオン性ポリマーをポリメチルメタクリレートのようなポリマーとブレンドして成形することによっても材料表面にアニオン性を付与することができる。ナイロンやポリエステルにアクリル酸をグラフトすることによっても得ることができる。金属の負イオン注入によっても得ることができる。
【0037】
本発明で使用するリガンドは、細胞などのターゲット物質と相互作用をもつものであれば、合成品でも天然物でもよいが、特異性の点から抗体およびレセプターを好ましく用いることができる。用いる抗体としては、例えば、抗CD1a抗体、抗CD1b抗体、抗CD1c抗体、抗CD2抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗CD10抗体、抗CD11a抗体、抗CD11b抗体、抗CD11c抗体、抗CDw12抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD16a抗体、抗CD16b抗体、抗CD18抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD24抗体、抗CD25抗体、抗CD26抗体、抗CD27抗体、抗CD28抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD32抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD38抗体、抗CD40抗体、抗CD42a抗体、抗CD44抗体、抗CD45抗体、抗CD45RA抗体、抗CD45RO抗体、抗CD49d抗体、抗CD50抗体、抗CD54抗体、抗CD56抗体、抗CD57抗体、抗CD58抗体、抗CD61抗体、抗CD62L抗体、抗CD62P抗体、抗CD66抗体、抗CD69抗体、抗CD70抗体、抗CD71抗体、抗CD80抗体、抗CD81抗体、抗CD86抗体、抗CD95抗体、抗CD102抗体、抗CD105抗体、抗CD106抗体、抗CD109抗体、抗CDw119抗体、抗CD120a抗体、抗CD120b抗体、抗CD121a抗体、抗CDw121b抗体、抗CD122抗体、抗CD123抗体、抗CD126抗体、抗CDw128a抗体、抗CD130抗体、抗CDw131抗体、抗CD132抗体、抗CD133抗体、抗CD134抗体、抗CD105抗体、抗CD138抗体、CD152抗体、抗CD154抗体、抗CD199抗体、抗低比重リポ蛋白質(LDL)抗体、抗酸化LDL抗体、抗β2ミクログロブリン抗体、抗CCR1抗体、抗CCR2抗体、抗CCR3抗体、抗CCR4抗体、抗CCR5抗体、抗CCR7抗体、抗CXCR3抗体、抗CX3CR1抗体、抗CXCR5抗体、抗CXCR1抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。また、レセプターとしては例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CXCR1、CXCR3、CX3CR1、CXCR5等のサイトカインレセプターやFcγ,Fcε等のイムノグロブリンレセプター、RAGE,LDLレセプター等のスカベンジャ−レセプター等,T細胞レセプターや主要組織適合性抗原等の細胞認識レセプター等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗体やレセプターは単独で固定化しても良いし、複数の抗体やレセプターを組み合わせても良い。抗体は、アフィニティーの高さからモノクローナル抗体が好ましい。
【0038】
これら抗体やレセプターは目的によって種々選定することができる。例えば、細胞を捕捉・保持する領域に抗CD25抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、抗腫瘍効果の高いCD25陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0039】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD45RO抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、より純度の高いヘルパーT細胞CD45RO陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0040】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD8抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、より純度の高いヘルパーT細胞CD85陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0041】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD4抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD8抗体を用いれば、より純度の高い細胞傷害性T細胞CD4陰性CD8陽性細胞が得られる。
【0042】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD45抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD34抗体を用いれば、より純度の高い造血幹細胞CD45陰性CD34陽性細胞が得られる。
【0043】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD34抗体および抗CD45抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD133抗体を用いれば、より純度の高い神経幹細胞CD34陰性CD45陰性CD133陽性細胞が得られる。
【0044】
次にリガンドの固定化方法について説明する。
【0045】
a)捕捉保持する領域のリガンド固定化方法:
本発明における細胞分離カラムの細胞を捕捉・保持する領域においては、外部刺激により脱離されないようにリガンドを基材に固定化しておけばよい。活性基やアミノ基などの官能基を導入してから、リガンドを固定化してもよいし、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化したり、ポリエチレングリコールと複合化したリガンドを疎水性相互作用によりポリメチルメタクリレート系含水材料に固定化してもよい。リガンドとカチオン性ポリマーやポリエチレングリコールを複合化する際には、リガンドはアミノ基を含有するポリマーと複合化するのが、容易である。例えば、ポリエチレンイミンやアミノ化メトキシポリエチレングリコールのアミノ基とリガンドのアミノ基を両端がスクシンイミド基の架橋剤を利用することにより、複合化することができる。このような架橋剤として、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ジスクシンイミジルスベリン酸や水溶性のm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ビス(スクシンイミジル)スベリン酸などが挙げられる。水に不溶性の架橋剤を用いる場合は、ジメチルスルホキシドやメタノールなどの可溶性の有機溶媒に溶解後、水系の反応液に添加することにより利用できる。
【0046】
基材にリガンドを固定化する際のリガンドの濃度は、固定化密度を上げるためには高い方が望ましいが、コスト面から考えて、1mg/ml以上が望ましい。0.5mg/ml以下の場合は固定化されるリガンドの量が少なくなり、機能が低下する恐れがある。
【0047】
b)捕捉後脱離する領域のリガンド固定化方法:
本発明における細胞分離カラムの外部刺激により細胞を脱離できる領域においては、材料に固定化したリガンドが外部刺激により脱離できる特徴をもつことにより、基材上のリガンドにより捕捉した物質を容易に回収することができる。このような外部刺激としては、光、熱、pH、塩濃度、化学反応などがあげられるが、リガンドの安定性などから化学反応により化学結合を切断してリガンドが脱離される材料が好ましく、化学的な結合が切断される反応として、加水分解反応、酸化反応、還元反応、酵素反応などがあげられる。担体がセルロースである場合には、リガンドを直接固定化して、セルラーゼを用いて、担体を酵素処理してリガンドに結合した細胞を回収したり、担体とリガンドをDNAを介して結合し、DNA分解酵素(DNase)で酵素処理して、リガンドと結合した細胞を回収することもできるが、取り扱い性、コスト、水中での安定性や細胞の生存率維持の必要性から還元反応が好ましい。特に、ジスルフィド結合を還元剤による還元反応により切断させる反応は、タンパク質のリフォールディングなど生体内で良く行われる反応であり、リガンドを脱離する反応として好適であるため、基材にジスルフィド結合を介してリガンドを固定化することが望ましい。ここで使用する還元剤としてジチオスレイトール、メルカプトエタノール、システイン、還元型グルタチオンなどがあげられる。
【0048】
基材にジスルフィド結合を介してリガンドを固定化する方法としては、基材に直接ジスルフィド結合を介してリガンドを固定化してもよいし、ポリエチレングリコールやポリエチレンイミンのように、基材と相互作用をもつ分子をリガンドとジスルフィド結合で複合化したものをそれぞれポリメチルメタクリレート系含水材料や陰性荷電表面をもつ材料に固定化してもよい。
【0049】
リガンドがタンパク質である場合は、タンパク質自身もジスルフィド結合を有することもあるので、リガンドを直接材料に固定しても良いが、通常、メルカプト基同士の酸化反応、あるいはジスルフィド交換反応を利用してジスルフィド結合を形成させる方法をとる。ジスルフィド交換反応を利用する方法としては、ピリジルジスルフィド基とメルカプト基の交換反応を用いるのが反応性の点から好ましく、ピリジルジスルフィド基やメルカプト基を基材、リガンド、被複合ポリマーに導入して結合、複合化させる。この際、通常架橋剤を利用する。
【0050】
上記のようなジスルフィド結合を介した固定化、複合化に利用できるような架橋剤としては、基材表面の官能基同士あるいはリガンド同士、被複合ポリマー同士の結合を防ぐため二種類の違った官能基と反応する活性化基をもつ架橋剤を使用することが好ましく、活性化基として、アミノ基と反応するN−ヒドロキシスクシンイミド基、イミドエステル基、ニトロアリールハライド基、メルカプト基と反応するマレイミド基、ピリジルジスルフィド基、チオフタルイミド基、活性化ハロゲン基、光化学反応により架橋するフェニルアジド基、ジアゾカルベン基、などを持つような架橋剤を利用することができる。なかでも、N−ヒドロキシスクシンイミド基とピリジルジスルフィド基を持つような架橋剤を利用することにより、上記で作製したようなアミノの基を有する基材や抗体などのアミノ基を有するリガンド、アミノ基を有する被複合ポリマーにピリジルジスルフィド基を導入できる。また、このピリジルジスルフィド基を還元剤により還元することによりメルカプト基に変換できる。このような架橋剤として、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート、スクシンイミジル6−[3’(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエートや水溶性のスルホスクシンイミジル6−[3’(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエートなどが挙げられる。水に不溶性の架橋剤を用いる場合は、ジメチルスルホキシドやメタノールなどの可溶性の有機溶媒に溶解後、水系の反応液に添加することにより利用できるが、材料に反応させる際は、N−ヒドロキシスクシンイミド基とピリジルジスルフィド基を持つような架橋剤はポリスルホン系材料に吸着しやすいため、メタノール、エチレンオキシド、グリセリンなどの架橋剤を溶解し、ポリスルホン系材料を溶解しない有機溶媒で洗浄することが望ましい。
【0051】
上記のような架橋剤などを利用して基材または被複合ポリマーにピリジルジスルフィド基が導入される場合には、例えば下記反応式(1)のような反応を用いて固定化できる。リガンドの方に上記のような架橋剤を利用してピリジルジスルフィド基を導入、還元してメルカプト基を導入する、あるいは、リガンドが抗体である場合には、抗体をペプシンで消化してメルカプト基を生成させ、これらリガンドのメルカプト基と基材上のピリジルジスルフィド基のジスルフィド交換反応によりジスルフィド結合を介してリガンドを基材に固定化する。ここで、リガンドにピリジルジスルフィド基を導入して還元する際には、リガンドが抗体である場合、抗体自体の還元による失活を防ぐために酢酸緩衝液中などで還元することにより抗体自身の還元を抑えることができる。
【0052】
【化1】
【0053】
また、上記のような架橋剤などを利用して基材または被複合ポリマーにメルカプト基が導入されている場合、例えば下記反応式(2)のような反応を用いて固定化できる。リガンドに上記のような架橋剤ピリジルジスルフィド基を導入したもの使用し、リガンドのピリジルジスルフィド基と基材上のメルカプト基のジスルフィド交換反応によりジスルフィド結合を介してリガンドを基材に固定化することができる。
【0054】
【化2】
【0055】
基材へ導入されるピリジルジスルフィド基あるいはメルカプト基の密度は高い方が望ましいが、反応に用いる架橋剤の濃度や反応時間により制御することができるので、適宜選ぶことができる。
【0056】
リガンドおよび被複合ポリマーへのピリジルジスルフィド基の導入率はリガンド1モル当たり1モル以上であることが必要であるが、導入率を上げるためにピリジルジスルフィド化剤の仕込量を上げるとリガンドがタンパク質の場合は失活したり、凝集したりするおそれがある。望ましくは仕込量はリガンド1モルあたり10モル以下が望ましい。基材にリガンドを固定化する際のリガンドの濃度は、固定化密度を上げるためには高い方が望ましいが、コスト面から考えて、1mg/ml以上が望ましい。0.5mg/ml以下の場合は固定化されるリガンドの量が少なくなり、機能が低下する恐れがある。
【0057】
以上の示したようなような反応を利用してリガンドを基材にジスルフィド結合を介して固定化させる方法の例を以下に示すが、固定化の方法はこれらに限定されない。
【0058】
例えば、アミノ基を含有するポリスルホン基材を架橋剤としてN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(以下SPDP)を溶解したジメチルスルホキシド溶液に浸漬し反応させた後、ジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液で還元し、メルカプト基を有するポリスルホン平膜を得る。さらに、ヒト免疫グロブリンGにSPDPを溶解したジメチルスルホキシド溶液を抗体1モルに対して10モル添加し、室温で30分反応させて、免疫グロブリンGにピリジルジスルフィド基を導入した後、精製する。メルカプト基を有するポリスルホン平膜にピリジルジスルフィド基を導入したヒト免疫グロブリンGを反応させ、ヒト免疫グロブリンGをポリスルホン平膜にジスルフィド結合を介して固定化した材料を作製する。この材料を還元剤としてジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液に浸漬して、ジスルフィド結合を還元することによりヒト免疫グロブリンGを脱離させることができる。
【0059】
本発明の細胞分離カラムを利用すれば、上記で示したようなターゲットとなる希少な細胞をリガンドにより捕捉でき、さらに、外部刺激によりリガンドを基材から離脱させることにより、捕捉した希少な細胞を回収する事が可能である。
【0060】
なお、希少な細胞を捕捉あるいは回収する際に使用する溶媒として、様々なpH値のリン酸、酢酸、クエン酸などの緩衝液を用いることができ、さらに緩衝液の中にウシ血清アルブミンや抗体などのタンパク質あるいはカチオン性、アニオン性などのポリマーなどを含有していても良い。
【0061】
細胞を回収する際は全血と作用させてもよいし、血漿分画や単核球分画などにした後、作用させてもよい。
【0062】
また、本発明の細胞分離カラムにおいて、特に外部刺激により細胞を脱離できる領域に中空糸膜を基材として用いる場合、例えば以下のようにして製造することができるが特に限定されるものではない。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モジュールを得ることができる。
【0063】
細胞を捕捉・保持する領域に繊維を用いる場合、例えば以下のようにして得られる。得られた中空糸膜モジュールのポッティング片端部に同径の空のモジュールを接合し、その中にモジュール内径と同径の円形に打ち抜いた編み地または不織布を積層し、中空糸膜モジュールのもう一方の端部と繊維の積層部の開口部に細胞群を流せるヘッダーを取り付けて、カラムとする。
【0064】
細胞を除去する領域に表面積の大きい繊維状担体を利用し、外部刺激により細胞を脱離できる領域に中空糸膜を利用したカラムの概要を図1に示した。
【0065】
以上のような方法で、回収した希少な細胞を分析に用いることが可能である。また、それを培養し、分析や治療などに利用できる。例えば、リガンドとして細胞を除去する領域に抗CD45RO抗体、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を使用し、このリガンドをジスルフィド結合を介して基材に固定化した本発明の材料に血液を通してCD45RO陰性CD4陽性のT細胞を捕捉し、ジチオスレイトールなどの還元剤でリガンドを脱離することにより、捕捉した細胞を大量に回収し、この細胞に様々な刺激を加えて活性化させ体内に戻すことにより、癌、アレルギー、感染症、臓器移植、あるいは自己免疫疾患の治療やワクチンとして用いることができる。
【0066】
また、外部刺激によりジスルフィド結合を解離してリガンドを脱離した後の材料は、表面にメルカプト基を有するので、再びピリジルジスルフィドを有するリガンドを固定化し、再利用することもできる。
【0067】
【実施例】
以下に実施例によってより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
1.抗CD45RO抗体固定化ポリスチレン繊維の作製(細胞を捕捉・保持する領域用材料)
50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(厚さ:2.6デニール、島の数16)を、35gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、232.5gのニトロベンゼン、232.5gの98%硫酸、0.5gのパラホルムアルデヒドの混合液を10℃で2時間反応させた。繊維をニトロベンゼンで洗浄し、メタノールで反応を停止させた。これによりクロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す)を得た。得られたAMPSt繊維をさらに編地とした(以下AMPSt編地1と略す)。
【0069】
ポリエチレンイミン(分子量1万、和光純薬製)0.57gを、トリエチルアミン0.95g、ジメチルスルホキシド48.5gに溶解し、この溶液に1.02gのAMPSt編地1(クロロ含量2.6mmol相当)を加え攪拌した。反応は30℃で3時間行った。その後ジメチルスルホキシド、メタノール、純水で洗浄した。得られたものをAMPSt編地2とする。
【0070】
アミノ基を含有するAMPSt編地2をNaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピアース社製)を27mMに溶解したジメチルスルホキシド溶液に0.5時間浸漬した(室温)。反応させたAMPSt編地をリン酸緩衝液洗浄した後、抗CD45RO抗体を1mg/ml含むリン酸緩衝液1mlに室温で4.5時間浸漬した後、NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で洗浄することにより、抗体固定化繊維を作製した。
2.ジスルフィド結合を介して結合したポリエチレングリコール(PEG)化抗CD4抗体の調製
NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に5mg/mlに溶解した抗CD4抗体にN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(ピアス社製、SPDP)を20mMに溶解したジメチルスルホキシド溶液を抗体1モルに対して10倍モル量添加し、室温で30分反応させた後、PD−10カラム(ファルマシア社製)で高分子量分画に精製した。抗CD4抗体が1モルに対してSPDP導入量は3.8モルであった。これを、NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に5mg/mlに溶解したアミノ化メトキシPEG(シェアウォーター社、分子量5000、片末端アミノ基、片末端メトキシ基)に上記SPDP溶液を5倍モル量添加し、30分室温で反応させた後、ジチオスレイトールを25mMとなるように添加し、片末端がメルカプト基のメトキシPEGを得た。1モルのSPDP化抗CD4抗体に対して片末端がメルカプト基のメトキシPEGを5倍モル量添加し、ジスルフィド結合を介して結合したPEG化抗CD4抗体を得た。得られたジスルフィド結合を介して結合したPEG化抗CD4抗体は無菌ろ過滅菌により滅菌した。
3.脱離可能な抗体固定化中空糸膜の作製(外部刺激により細胞を脱離できる領域用材料)
25kGyでγ線滅菌された東レポリメチルメタクリレート(PMMA)製人工腎臓“フィルトライザー”BGを解体して中空糸膜を取り出し、中空糸膜を36本束ね、中空糸膜中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をモジュールケースに固定し、ミニモジュールを作製した。該ミニモジュールの直径は約7mm、長さは約10cmである。
【0071】
ミニモジュール内部に抗体として2.で得られたPEG化抗CD4抗体の0.5mg/ml含む20mMリン酸緩衝液1.5mlを室温で1時間灌流し洗浄することにより、抗CD4抗体をPMMA中空糸膜内表面にジスルフィド結合を介して固定化した、抗CD4抗体固定化中空糸カラムを得た。
4.細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムの作製
3.で得られた中空糸カラムに、空のモジュールケースを長手方向に接続し、6mmの円形に打ち抜いた1.で得られた抗CD45RO抗体固定化繊維を積層し、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムを作製した。
【0072】
<実施例1>
ヒト末梢血(ヘパリン含有)をAXIS SHIELD社製”リンフォプレップ”(登録商標)で処理して単核球成分を分離し、単核球成分1.0×107個を“ダルベッコ”リン酸緩衝液1.5mlに懸濁し、該懸濁液をカラムに室温で通過させた。通過前のCD45RO陰性CD4陽性細胞の割合は26%であった。また、処理後のモジュールをリン酸緩衝液を1時間灌流させて洗浄した後、25mMのジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液を1.5mlで1時間灌流させて回収された全細胞におけるCD45RO陰性CD4陽性細胞の割合は9割以上であった。以上の細胞の分析はフローサイトメーターにより行った。
【0073】
【発明の効果】
本発明の細胞分離カラムは、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有することにより、希少な細胞を容易に回収することができる。
【0074】
また、本発明の細胞分離カラムで大量に回収した特定の細胞を利用することにより、癌または自己免疫疾患または脳梗塞またはパーキンソン病またはアルツハイマー病または糖尿病または心筋梗塞または血管再生の治療又はワクチンとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞分離カラムの1例の概要を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液中の病因物質や有用物質を捕捉除去、特に幹細胞やリンパ球系の細胞などの特定の細胞を分離回収するためにそれ以外の細胞を捕捉・保持する領域と前記特定細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、ひとつのマーカー(抗原など)を指標として、種々の細胞が分離回収され、利用されてきた。しかし、ひとつのマーカーだけでの分離は、望ましい細胞が得られるとは限らず、治療時や細胞培養時にさまざまな影響を与えている。
【0003】
近年、血液のような細胞群からきわめて希少な細胞を分離するための手法として、磁気ビーズによる手法やフローサイトメトリーによる手法がとられている(例えば非特許文献1参照)。例えば、磁気ビーズによる手法では、最初に不必要な細胞を、それを認識するリガンド(抗体)を結合させた磁気ビーズを用いて、ある細胞群から除去し、その後、不必要な細胞が除去された細胞群から再び別の磁気ビーズを用いて、分離対象である細胞が分離される。フローサイトメトリーによる手法では、リガンド(特に抗体)で蛍光標識された細胞をレーザーを用いて、繰り返し分別することにより、必要な細胞、不必要な細胞を回収し、希少な細胞が分離される。いずれの手法においても、非常に純度の高い細胞を得ることができるが、いずれも少量の細胞を対象としており、さらに、細胞と標識抗体とを反応させた後、分離作業をするという非常に煩雑な操作が必要であり、特定の細胞を大量に回収する際は、時間、コストがかかることが問題であった。さらに、フローサイトメトリーによる手法では、高価な装置が必要であるという欠点がある。
【0004】
近年、リガンド、特に抗体を担体に固定化した材料を用い、ここに血液細胞などの細胞群を流すことにより、抗体と相互作用する特定の細胞だけを除去する技術が検討されている。
【0005】
そのなかにヒト表面抗原を認識する抗体を不織布に固定化し、特定の血球成分を除去することを試みがある(例えば特許文献1参照)。しかし、このような技術では、抗体と相互作用する細胞が除去されるだけであり、それらの細胞を担体表面から回収し、さらに利用することは困難である。
【0006】
また、リガンドを固定化したカラム担体を用いて目的物質を回収する技術として、プロテインGセファロース、キレートカラム、グルタチオンカラムなどが知られており(例えば、非特許文献2参照)、これらの技術は固定化したリガンドが何らかの外部刺激で脱離できるような構造をもつことにより、一度リガンドに吸着した物質を、外部刺激によりリガンドと共に脱離、回収することができるものとなっている。
【0007】
担体を用いて、希少な細胞を分離する場合、ある1つのカラムで、不必要な細胞を除去し、次にまた別のカラムで必要な細胞群を得る操作が必要であるなど、操作が煩雑になる。さらに、希少な細胞を培養や治療に用いる場合には、大気中の雑菌や微生物が混入する危険性がある。
【0008】
【非特許文献1】
ポール・T・シャープ(P.T.Sharpe),「生化学実験法13−細胞分離法−」,第1版,1991年,東京化学同人,p.151〜190
【0009】
【非特許文献2】
ファルマシアバイオテク株式会社,「アフィニティクロマトグラフィー」、1994年、p41〜102
【0010】
【特許文献1】
国際公開第97/027878号パンフレット
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、上記従来技術の欠点を解消するものであり、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムにより特定の希少な細胞を簡単、大量、安全に分離、回収できる細胞分離カラムを提供することを目的としてしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は下記構成を有する。
(1)基材と該基材を保持する筐体からなる細胞分離カラムであって、細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラム。
(2)基材の形状が繊維状、スポンジ状、中空糸膜状および平膜状からなる群から選ばれる少なくとも1種以上からなる(1)記載の細胞分離カラム。
(3)基材が海島型複合繊維であることを特徴とする(1)記載の細胞分離カラム。
(4)基材がポリスチレン、セルロース、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上の物質からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(5)基材が親水性高分子を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(6)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする(5)に記載の細胞分離カラム。
(7)細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域において、細胞を捕捉できるリガンドと基材とが化学結合を介して固定化されており、細胞を捕捉したリガンドが外部刺激により脱離可能であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(8)外部刺激が還元剤による還元反応であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(9)外部刺激が酵素による反応であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(10)リガンドと基材がジスルフィド結合を介して結合されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(11)リガンドが抗体あるいはレセプターであることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の細胞分離カラム。
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の細胞分離カラムを用いて得られた細胞が癌または自己免疫疾患または脳梗塞またはパーキンソン病またはアルツハイマー病または糖尿病または心筋梗塞または血管再生の治療又はワクチンに用いられることを特徴とする細胞分離カラム。
(13)分離して得られる細胞がCD25陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(14)分離して得られる細胞がCD45RO陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(15)分離して得られる細胞がCD8陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(16)分離して得られる細胞がCD4陰性かつCD8陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(17)分離して得られる細胞がCD38陰性かつCD34陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
(18)分離して得られる細胞がCD34陰性かつCD45陰性かつCD133陽性細胞であることを特徴とする(12)に記載の細胞分離カラム。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の細胞分離カラムは基材とその基材を保持する筐体とからなる。そしてカラム内に、細胞を捕捉・保持する領域と、細胞を捕捉後、外部刺激により脱離できる領域を有することを特徴とする。カラム内に分離したい細胞群(主に溶液状態にして)を流し、その後脱離回収することにより、希望する細胞を得ることができる。
【0014】
細胞を捕捉する具体的な手段としては、基材に、その細胞と相互作用するリガンドを固定化する手段が挙げられる。細胞を捕捉・保持する領域では、外部刺激によりリガンドが脱離しないようにされており、細胞群に含まれる不要な細胞は捕捉・保持され、回収時に脱離されない。一方、細胞を捕捉後、外部刺激により脱離できる領域においては、前の領域で細くされた不要な細胞は本領域では捕捉されず、希望する細胞のみが捕捉され、脱離される。
【0015】
本発明においてリガンドを固定化する基材としては、血液などの細胞群を一度に大量に処理できる体外循環に使用可能な基材が好ましく、基材の形状としては平膜状、中空糸膜状、繊維状、粒子状、ゲル状、スポンジ状など何でもよいが、閉鎖系で圧力損失を伴わず、細胞を傷つけず体外循環できる利点から平膜状、中空糸膜状、繊維状が望ましく、また、表面積を確保し、細胞とリガンドとの相互作用を大きくする点から、繊維の編み地や不織布などでも良い。
【0016】
本発明の材料が膜である場合の膜厚は10〜80μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。又、膜の平均孔径については、1%アルブミン透過率が0.5%以上であることが好ましく、1%以上がより好ましい。中空糸膜の場合は中空糸の内径は100〜300μmであることが好ましく、150〜200μmがより好ましい。
【0017】
繊維を用いる場合は、繊維径、密度などは特に限定されないが、細胞との相互作用などを考慮すると、繊維径は0.1μm以上100μm以下、密度は0.005〜0.5g/cm3のものが好適に用いられる。
【0018】
海島型複合繊維は、強度の弱い材料を用いる場合でも、芯材(島部分)に強度をもった材料を用いることにより、好ましい複合材料を作ることができる。例えば、ポリスチレンのような材料にリガンドを固定化する場合は、芯材にポリプロピレンやポリエチレンを用いて補強することにより、細胞分離材料として利用することができる。
【0019】
さらに基材として多孔質材料を用いると、透析やろ過機能を付与することができ、血液浄化、細胞分離用途のみならず、バイオリアクターなどの細胞培養用材料としても用いることができる。
【0020】
本発明における細胞分離カラムは細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有するが、細胞を捕捉・保持する領域は、より大きな表面積を有することが望ましいため、繊維状の編み地や不織布が好適に用いられる。一方、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域においては、外部刺激による細胞の回収のしやすさから中空糸膜状が好適に利用される。しかし、細胞を捕捉・保持する領域および細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を1つの基材に有するものであってもよい。
【0021】
基材は筐体内に適宜設置し、カラムとする。この際、細胞を捕捉・保持する領域の部分と細胞を捕捉した後、外部刺激により脱離できる領域の部分を別々に作製して結合したカラムとしてもよいし、両領域を1つのカラムに充填してもよい。
【0022】
筐体の材質は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられる。形状は、円柱形、角柱形などで利用され、大きさは特に限定されないが、取り扱い性のしやすさなどから断面は15cm四方以下、長さは100cm以下であることが望ましい。
【0023】
基材に使用される素材は、医療用に用いられている素材が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル、セルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0024】
なお、ポリスルホンなど疎水性の高分子を基材の素材として使用する際は、その接触面を親水化することが好ましい。親水化の方法としては、ポリビニルピロリドンやポリエチレングリコールなどのポリスルホン系高分子との相溶性に優れる親水性高分子を加工前のポリスルホン溶液に添加したり、血液や細胞との接触面を親水性の化合物でコーティングすることにより達成できる。これらのうちで血液適合性の観点からポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
【0025】
ポリメチルメタクリレートは、アイソタクチック構造部分とシンジオタクチック構造部分をもつが、アイソタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよいし、シンジオタクチックリッチのポリマーを単独で用いてもよい。しかし、アイソタクチシチの高いポリメチルメタクリレートと、シンジオタクチシチの高いポリメチルメタクリレートとは、ある条件下において構造的な絡み合い、いわゆるステレオコンプレックスを形成できるため、成形性の観点から両者をブレンドしてステレオコンプレックス構造をもたせたものが望ましい。
【0026】
また、本発明において、基材にリガンドを固定化するためには基材表面に活性基や官能基を含有させ、それを利用してリガンドを固定化する方法や、基材表面に陰性荷電をもたせ、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化する方法や、ポリエチレングリコールと複合化したリガンドを疎水性相互作用によりポリメチルメタクリレート系含水材料に固定化する方法などがある。
【0027】
活性基または官能基としては臭化シアンによる活性基、スクシンイミド基やα−クロロアセトアミドメチル基、クロロメチル基に加え、アミノ基、カルボキシル基、硫酸基、水酸基、リン酸基、イソシアネート基、ニトロ基、アルデヒド基、ピリジルジスルフィド基などが挙げられるが、リガンドの固定化反応の容易さと水溶液で中での安定性からアミノ基が好適である。
【0028】
基材にアミノ基を含有させる方法としては、あらかじめ成形のための溶液にアミノ基を有する物質をブレンドしておいてから成形する方法や、成形した材料にアミノ基を含有する物質を含む溶液に浸漬または付着させ、放射線照射により固定化する方法、材料に活性基を導入しておき、アミノ基含有物質を固定化する方法などが用いられる。例えば、ポリスルホン/ポリビニルピロリドンブレンド基材を十分水洗した後、1wt%のポリエチレンイミン水溶液に浸漬して、25kGyにてγ線照射して基材にアミノ基を含有させる方法、あるいは、ポリスチレン基材をN−メチロール−α−クロロアセトアミド、ニトロベンゼン、硫酸、パラホルムアルデヒドの混合液で反応させ、クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン基材を得て、さらに、ポリエチレンイミンをトリエチルアミン、ジメチルスルフォキシドの混合溶液に溶解し、この溶液にクロロアセトアミドメチル化架橋基材を加えて攪拌、洗浄して、ポリスチレン基材へアミノ基を導入することができるが、これらの方法に限定されない。
【0029】
基材にアミノ基を含有させる場合は、材料全体にアミノ基を含有させてもよいし、血液や細胞の接触する部分だけにアミノ基を含有させてもよい。中空糸膜の内表面を用いる場合は、アミノ基含有高分子量物質を内側からろ過し、充填することにより内表面にアミノ基を集積させることができる。
【0030】
基材にアミノ基を含有させる際に使用するアミノ基を有する物質としては、ポリマーであっても低分子であってもよい。低分子の場合は、アンモニア、テトラエチレンペンタミン、デンドリマー、アグマチンなどが用いられる。ポリマーの場合は、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリリジン、アジリジン(エチレンイミン)化合物を有するポリマー、ポリエチレンイミン誘導体、キトサン、グリシンエステル化ポリエチレングリコール、ヒドラジド化ポリエチレングリコール、ω−ヒドロキシ−α−アミンポリエチレングリコール、ω−アミノ−α−カルボキシルポリエチレングリコールおよびそれらに置換基の導入されたもの、およびこれらを構成するモノマー単位からなる共重合体などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
これらアミノ基を有するポリマーの中でも毒性の低さ、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさなどから、分岐状のポリエチレンイミンが特に好適に用いられる。ポリエチレンイミンは、分子量600以上の直鎖状、分岐状のものが好ましく用いられ、また、ポリエチレンイミンの誘導体としては、ポリエチレンイミンをアルキル化、カルボキシル化、フェニル化、リン酸化、スルホン化、メルカプト化、ピリジルジスルフィド化など、所望の割合で誘導体化したものが挙げられる。
【0032】
また、上記の成形した材料にアミノ基を含有する物質を含む溶液に浸漬または付着させ、放射線照射により固定化する方法をとる際の放射線処理としては、湿潤状態でγ線・電子線などを照射すればよい。ここでいう湿潤状態とは、材料を乾燥させない状態のことを言う。その程度は特に限定されるものではないが、通常、材料が1重量%以上の水分を含んでいることが好ましい。
【0033】
放射線の吸収線量は湿潤状態で10〜50kGy程度が好ましく、20kGyを超える線量を照射した場合は、滅菌処理を同時に行うことも可能である。この際、吸収線量は線量測定ラベルをモジュールの表面に貼り付けるなどして測定することができる。得られたアミノ基含有材料を医療用途に用いる場合は、リガンド固定化操作を無菌下で行うことが望ましい。
【0034】
ポリメチルメタクリレートからなる材料は、加水分解によりカルボキシル基を導入し、カルボジイミドなどの縮合剤を用いて、アミノ基を有するリガンドを固定化することができる。また、多孔質状で含水状態であると、ポリエチレングリコールと疎水性相互作用により結合できるので、リガンドをポリエチレングリコールと複合化すれば、リガンドをポリメチルメタクリレートに固定化できる。
【0035】
陰性荷電を表面をもつ材料には、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化することができる。陰性荷電を表面をもつ材料は、化学反応、グラフト反応、放射線架橋、共重合、ブレンド、イオン注入、真空蒸着、コーティングなど材料表面にアニオン性を付与できる方法であれば何でも良い。
【0036】
例えば、セルロースにアミノ基を導入し、カルボジイミドでヘパリンを固定化させてやることにより、アニオン性表面を導入できる。ポリスルホンとポリビニルピロリドンからなる材料の場合は、デキストラン硫酸の水溶液中で放射線を照射することにより、材料表面にアニオン性を付与できる。また、ポリスチレンからなる材料の場合は、濃硫酸で処理してやることにより、表面に硫酸基を導入でき、表面にアニオン性官能基を導入できる。また、ポリメチルメタクリレートを通常のラジカル重合によって得る際、カルボキシル基や、スルホン酸基などのアニオン性基を含有するビニルモノマーと共重合したものを、材料に成形することにより、材料表面にアニオン性を付与できる。また、アニオン性ポリマーをポリメチルメタクリレートのようなポリマーとブレンドして成形することによっても材料表面にアニオン性を付与することができる。ナイロンやポリエステルにアクリル酸をグラフトすることによっても得ることができる。金属の負イオン注入によっても得ることができる。
【0037】
本発明で使用するリガンドは、細胞などのターゲット物質と相互作用をもつものであれば、合成品でも天然物でもよいが、特異性の点から抗体およびレセプターを好ましく用いることができる。用いる抗体としては、例えば、抗CD1a抗体、抗CD1b抗体、抗CD1c抗体、抗CD2抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗CD10抗体、抗CD11a抗体、抗CD11b抗体、抗CD11c抗体、抗CDw12抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD16a抗体、抗CD16b抗体、抗CD18抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD24抗体、抗CD25抗体、抗CD26抗体、抗CD27抗体、抗CD28抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD32抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD38抗体、抗CD40抗体、抗CD42a抗体、抗CD44抗体、抗CD45抗体、抗CD45RA抗体、抗CD45RO抗体、抗CD49d抗体、抗CD50抗体、抗CD54抗体、抗CD56抗体、抗CD57抗体、抗CD58抗体、抗CD61抗体、抗CD62L抗体、抗CD62P抗体、抗CD66抗体、抗CD69抗体、抗CD70抗体、抗CD71抗体、抗CD80抗体、抗CD81抗体、抗CD86抗体、抗CD95抗体、抗CD102抗体、抗CD105抗体、抗CD106抗体、抗CD109抗体、抗CDw119抗体、抗CD120a抗体、抗CD120b抗体、抗CD121a抗体、抗CDw121b抗体、抗CD122抗体、抗CD123抗体、抗CD126抗体、抗CDw128a抗体、抗CD130抗体、抗CDw131抗体、抗CD132抗体、抗CD133抗体、抗CD134抗体、抗CD105抗体、抗CD138抗体、CD152抗体、抗CD154抗体、抗CD199抗体、抗低比重リポ蛋白質(LDL)抗体、抗酸化LDL抗体、抗β2ミクログロブリン抗体、抗CCR1抗体、抗CCR2抗体、抗CCR3抗体、抗CCR4抗体、抗CCR5抗体、抗CCR7抗体、抗CXCR3抗体、抗CX3CR1抗体、抗CXCR5抗体、抗CXCR1抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。また、レセプターとしては例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7、CXCR1、CXCR3、CX3CR1、CXCR5等のサイトカインレセプターやFcγ,Fcε等のイムノグロブリンレセプター、RAGE,LDLレセプター等のスカベンジャ−レセプター等,T細胞レセプターや主要組織適合性抗原等の細胞認識レセプター等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗体やレセプターは単独で固定化しても良いし、複数の抗体やレセプターを組み合わせても良い。抗体は、アフィニティーの高さからモノクローナル抗体が好ましい。
【0038】
これら抗体やレセプターは目的によって種々選定することができる。例えば、細胞を捕捉・保持する領域に抗CD25抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、抗腫瘍効果の高いCD25陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0039】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD45RO抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、より純度の高いヘルパーT細胞CD45RO陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0040】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD8抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を用いれば、より純度の高いヘルパーT細胞CD85陰性CD4陽性細胞が得られる。
【0041】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD4抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD8抗体を用いれば、より純度の高い細胞傷害性T細胞CD4陰性CD8陽性細胞が得られる。
【0042】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD45抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD34抗体を用いれば、より純度の高い造血幹細胞CD45陰性CD34陽性細胞が得られる。
【0043】
細胞を捕捉・保持する領域に抗CD34抗体および抗CD45抗体、細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD133抗体を用いれば、より純度の高い神経幹細胞CD34陰性CD45陰性CD133陽性細胞が得られる。
【0044】
次にリガンドの固定化方法について説明する。
【0045】
a)捕捉保持する領域のリガンド固定化方法:
本発明における細胞分離カラムの細胞を捕捉・保持する領域においては、外部刺激により脱離されないようにリガンドを基材に固定化しておけばよい。活性基やアミノ基などの官能基を導入してから、リガンドを固定化してもよいし、カチオン性ポリマーと複合化したリガンドを静電的相互作用により固定化したり、ポリエチレングリコールと複合化したリガンドを疎水性相互作用によりポリメチルメタクリレート系含水材料に固定化してもよい。リガンドとカチオン性ポリマーやポリエチレングリコールを複合化する際には、リガンドはアミノ基を含有するポリマーと複合化するのが、容易である。例えば、ポリエチレンイミンやアミノ化メトキシポリエチレングリコールのアミノ基とリガンドのアミノ基を両端がスクシンイミド基の架橋剤を利用することにより、複合化することができる。このような架橋剤として、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ジスクシンイミジルスベリン酸や水溶性のm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ビス(スクシンイミジル)スベリン酸などが挙げられる。水に不溶性の架橋剤を用いる場合は、ジメチルスルホキシドやメタノールなどの可溶性の有機溶媒に溶解後、水系の反応液に添加することにより利用できる。
【0046】
基材にリガンドを固定化する際のリガンドの濃度は、固定化密度を上げるためには高い方が望ましいが、コスト面から考えて、1mg/ml以上が望ましい。0.5mg/ml以下の場合は固定化されるリガンドの量が少なくなり、機能が低下する恐れがある。
【0047】
b)捕捉後脱離する領域のリガンド固定化方法:
本発明における細胞分離カラムの外部刺激により細胞を脱離できる領域においては、材料に固定化したリガンドが外部刺激により脱離できる特徴をもつことにより、基材上のリガンドにより捕捉した物質を容易に回収することができる。このような外部刺激としては、光、熱、pH、塩濃度、化学反応などがあげられるが、リガンドの安定性などから化学反応により化学結合を切断してリガンドが脱離される材料が好ましく、化学的な結合が切断される反応として、加水分解反応、酸化反応、還元反応、酵素反応などがあげられる。担体がセルロースである場合には、リガンドを直接固定化して、セルラーゼを用いて、担体を酵素処理してリガンドに結合した細胞を回収したり、担体とリガンドをDNAを介して結合し、DNA分解酵素(DNase)で酵素処理して、リガンドと結合した細胞を回収することもできるが、取り扱い性、コスト、水中での安定性や細胞の生存率維持の必要性から還元反応が好ましい。特に、ジスルフィド結合を還元剤による還元反応により切断させる反応は、タンパク質のリフォールディングなど生体内で良く行われる反応であり、リガンドを脱離する反応として好適であるため、基材にジスルフィド結合を介してリガンドを固定化することが望ましい。ここで使用する還元剤としてジチオスレイトール、メルカプトエタノール、システイン、還元型グルタチオンなどがあげられる。
【0048】
基材にジスルフィド結合を介してリガンドを固定化する方法としては、基材に直接ジスルフィド結合を介してリガンドを固定化してもよいし、ポリエチレングリコールやポリエチレンイミンのように、基材と相互作用をもつ分子をリガンドとジスルフィド結合で複合化したものをそれぞれポリメチルメタクリレート系含水材料や陰性荷電表面をもつ材料に固定化してもよい。
【0049】
リガンドがタンパク質である場合は、タンパク質自身もジスルフィド結合を有することもあるので、リガンドを直接材料に固定しても良いが、通常、メルカプト基同士の酸化反応、あるいはジスルフィド交換反応を利用してジスルフィド結合を形成させる方法をとる。ジスルフィド交換反応を利用する方法としては、ピリジルジスルフィド基とメルカプト基の交換反応を用いるのが反応性の点から好ましく、ピリジルジスルフィド基やメルカプト基を基材、リガンド、被複合ポリマーに導入して結合、複合化させる。この際、通常架橋剤を利用する。
【0050】
上記のようなジスルフィド結合を介した固定化、複合化に利用できるような架橋剤としては、基材表面の官能基同士あるいはリガンド同士、被複合ポリマー同士の結合を防ぐため二種類の違った官能基と反応する活性化基をもつ架橋剤を使用することが好ましく、活性化基として、アミノ基と反応するN−ヒドロキシスクシンイミド基、イミドエステル基、ニトロアリールハライド基、メルカプト基と反応するマレイミド基、ピリジルジスルフィド基、チオフタルイミド基、活性化ハロゲン基、光化学反応により架橋するフェニルアジド基、ジアゾカルベン基、などを持つような架橋剤を利用することができる。なかでも、N−ヒドロキシスクシンイミド基とピリジルジスルフィド基を持つような架橋剤を利用することにより、上記で作製したようなアミノの基を有する基材や抗体などのアミノ基を有するリガンド、アミノ基を有する被複合ポリマーにピリジルジスルフィド基を導入できる。また、このピリジルジスルフィド基を還元剤により還元することによりメルカプト基に変換できる。このような架橋剤として、N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート、スクシンイミジル6−[3’(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエートや水溶性のスルホスクシンイミジル6−[3’(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエートなどが挙げられる。水に不溶性の架橋剤を用いる場合は、ジメチルスルホキシドやメタノールなどの可溶性の有機溶媒に溶解後、水系の反応液に添加することにより利用できるが、材料に反応させる際は、N−ヒドロキシスクシンイミド基とピリジルジスルフィド基を持つような架橋剤はポリスルホン系材料に吸着しやすいため、メタノール、エチレンオキシド、グリセリンなどの架橋剤を溶解し、ポリスルホン系材料を溶解しない有機溶媒で洗浄することが望ましい。
【0051】
上記のような架橋剤などを利用して基材または被複合ポリマーにピリジルジスルフィド基が導入される場合には、例えば下記反応式(1)のような反応を用いて固定化できる。リガンドの方に上記のような架橋剤を利用してピリジルジスルフィド基を導入、還元してメルカプト基を導入する、あるいは、リガンドが抗体である場合には、抗体をペプシンで消化してメルカプト基を生成させ、これらリガンドのメルカプト基と基材上のピリジルジスルフィド基のジスルフィド交換反応によりジスルフィド結合を介してリガンドを基材に固定化する。ここで、リガンドにピリジルジスルフィド基を導入して還元する際には、リガンドが抗体である場合、抗体自体の還元による失活を防ぐために酢酸緩衝液中などで還元することにより抗体自身の還元を抑えることができる。
【0052】
【化1】
【0053】
また、上記のような架橋剤などを利用して基材または被複合ポリマーにメルカプト基が導入されている場合、例えば下記反応式(2)のような反応を用いて固定化できる。リガンドに上記のような架橋剤ピリジルジスルフィド基を導入したもの使用し、リガンドのピリジルジスルフィド基と基材上のメルカプト基のジスルフィド交換反応によりジスルフィド結合を介してリガンドを基材に固定化することができる。
【0054】
【化2】
【0055】
基材へ導入されるピリジルジスルフィド基あるいはメルカプト基の密度は高い方が望ましいが、反応に用いる架橋剤の濃度や反応時間により制御することができるので、適宜選ぶことができる。
【0056】
リガンドおよび被複合ポリマーへのピリジルジスルフィド基の導入率はリガンド1モル当たり1モル以上であることが必要であるが、導入率を上げるためにピリジルジスルフィド化剤の仕込量を上げるとリガンドがタンパク質の場合は失活したり、凝集したりするおそれがある。望ましくは仕込量はリガンド1モルあたり10モル以下が望ましい。基材にリガンドを固定化する際のリガンドの濃度は、固定化密度を上げるためには高い方が望ましいが、コスト面から考えて、1mg/ml以上が望ましい。0.5mg/ml以下の場合は固定化されるリガンドの量が少なくなり、機能が低下する恐れがある。
【0057】
以上の示したようなような反応を利用してリガンドを基材にジスルフィド結合を介して固定化させる方法の例を以下に示すが、固定化の方法はこれらに限定されない。
【0058】
例えば、アミノ基を含有するポリスルホン基材を架橋剤としてN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(以下SPDP)を溶解したジメチルスルホキシド溶液に浸漬し反応させた後、ジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液で還元し、メルカプト基を有するポリスルホン平膜を得る。さらに、ヒト免疫グロブリンGにSPDPを溶解したジメチルスルホキシド溶液を抗体1モルに対して10モル添加し、室温で30分反応させて、免疫グロブリンGにピリジルジスルフィド基を導入した後、精製する。メルカプト基を有するポリスルホン平膜にピリジルジスルフィド基を導入したヒト免疫グロブリンGを反応させ、ヒト免疫グロブリンGをポリスルホン平膜にジスルフィド結合を介して固定化した材料を作製する。この材料を還元剤としてジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液に浸漬して、ジスルフィド結合を還元することによりヒト免疫グロブリンGを脱離させることができる。
【0059】
本発明の細胞分離カラムを利用すれば、上記で示したようなターゲットとなる希少な細胞をリガンドにより捕捉でき、さらに、外部刺激によりリガンドを基材から離脱させることにより、捕捉した希少な細胞を回収する事が可能である。
【0060】
なお、希少な細胞を捕捉あるいは回収する際に使用する溶媒として、様々なpH値のリン酸、酢酸、クエン酸などの緩衝液を用いることができ、さらに緩衝液の中にウシ血清アルブミンや抗体などのタンパク質あるいはカチオン性、アニオン性などのポリマーなどを含有していても良い。
【0061】
細胞を回収する際は全血と作用させてもよいし、血漿分画や単核球分画などにした後、作用させてもよい。
【0062】
また、本発明の細胞分離カラムにおいて、特に外部刺激により細胞を脱離できる領域に中空糸膜を基材として用いる場合、例えば以下のようにして製造することができるが特に限定されるものではない。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モジュールを得ることができる。
【0063】
細胞を捕捉・保持する領域に繊維を用いる場合、例えば以下のようにして得られる。得られた中空糸膜モジュールのポッティング片端部に同径の空のモジュールを接合し、その中にモジュール内径と同径の円形に打ち抜いた編み地または不織布を積層し、中空糸膜モジュールのもう一方の端部と繊維の積層部の開口部に細胞群を流せるヘッダーを取り付けて、カラムとする。
【0064】
細胞を除去する領域に表面積の大きい繊維状担体を利用し、外部刺激により細胞を脱離できる領域に中空糸膜を利用したカラムの概要を図1に示した。
【0065】
以上のような方法で、回収した希少な細胞を分析に用いることが可能である。また、それを培養し、分析や治療などに利用できる。例えば、リガンドとして細胞を除去する領域に抗CD45RO抗体、外部刺激により細胞を脱離できる領域に抗CD4抗体を使用し、このリガンドをジスルフィド結合を介して基材に固定化した本発明の材料に血液を通してCD45RO陰性CD4陽性のT細胞を捕捉し、ジチオスレイトールなどの還元剤でリガンドを脱離することにより、捕捉した細胞を大量に回収し、この細胞に様々な刺激を加えて活性化させ体内に戻すことにより、癌、アレルギー、感染症、臓器移植、あるいは自己免疫疾患の治療やワクチンとして用いることができる。
【0066】
また、外部刺激によりジスルフィド結合を解離してリガンドを脱離した後の材料は、表面にメルカプト基を有するので、再びピリジルジスルフィドを有するリガンドを固定化し、再利用することもできる。
【0067】
【実施例】
以下に実施例によってより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
1.抗CD45RO抗体固定化ポリスチレン繊維の作製(細胞を捕捉・保持する領域用材料)
50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(厚さ:2.6デニール、島の数16)を、35gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、232.5gのニトロベンゼン、232.5gの98%硫酸、0.5gのパラホルムアルデヒドの混合液を10℃で2時間反応させた。繊維をニトロベンゼンで洗浄し、メタノールで反応を停止させた。これによりクロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す)を得た。得られたAMPSt繊維をさらに編地とした(以下AMPSt編地1と略す)。
【0069】
ポリエチレンイミン(分子量1万、和光純薬製)0.57gを、トリエチルアミン0.95g、ジメチルスルホキシド48.5gに溶解し、この溶液に1.02gのAMPSt編地1(クロロ含量2.6mmol相当)を加え攪拌した。反応は30℃で3時間行った。その後ジメチルスルホキシド、メタノール、純水で洗浄した。得られたものをAMPSt編地2とする。
【0070】
アミノ基を含有するAMPSt編地2をNaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)にm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ピアース社製)を27mMに溶解したジメチルスルホキシド溶液に0.5時間浸漬した(室温)。反応させたAMPSt編地をリン酸緩衝液洗浄した後、抗CD45RO抗体を1mg/ml含むリン酸緩衝液1mlに室温で4.5時間浸漬した後、NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で洗浄することにより、抗体固定化繊維を作製した。
2.ジスルフィド結合を介して結合したポリエチレングリコール(PEG)化抗CD4抗体の調製
NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に5mg/mlに溶解した抗CD4抗体にN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(ピアス社製、SPDP)を20mMに溶解したジメチルスルホキシド溶液を抗体1モルに対して10倍モル量添加し、室温で30分反応させた後、PD−10カラム(ファルマシア社製)で高分子量分画に精製した。抗CD4抗体が1モルに対してSPDP導入量は3.8モルであった。これを、NaClを0.15mM含む20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に5mg/mlに溶解したアミノ化メトキシPEG(シェアウォーター社、分子量5000、片末端アミノ基、片末端メトキシ基)に上記SPDP溶液を5倍モル量添加し、30分室温で反応させた後、ジチオスレイトールを25mMとなるように添加し、片末端がメルカプト基のメトキシPEGを得た。1モルのSPDP化抗CD4抗体に対して片末端がメルカプト基のメトキシPEGを5倍モル量添加し、ジスルフィド結合を介して結合したPEG化抗CD4抗体を得た。得られたジスルフィド結合を介して結合したPEG化抗CD4抗体は無菌ろ過滅菌により滅菌した。
3.脱離可能な抗体固定化中空糸膜の作製(外部刺激により細胞を脱離できる領域用材料)
25kGyでγ線滅菌された東レポリメチルメタクリレート(PMMA)製人工腎臓“フィルトライザー”BGを解体して中空糸膜を取り出し、中空糸膜を36本束ね、中空糸膜中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をモジュールケースに固定し、ミニモジュールを作製した。該ミニモジュールの直径は約7mm、長さは約10cmである。
【0071】
ミニモジュール内部に抗体として2.で得られたPEG化抗CD4抗体の0.5mg/ml含む20mMリン酸緩衝液1.5mlを室温で1時間灌流し洗浄することにより、抗CD4抗体をPMMA中空糸膜内表面にジスルフィド結合を介して固定化した、抗CD4抗体固定化中空糸カラムを得た。
4.細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムの作製
3.で得られた中空糸カラムに、空のモジュールケースを長手方向に接続し、6mmの円形に打ち抜いた1.で得られた抗CD45RO抗体固定化繊維を積層し、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラムを作製した。
【0072】
<実施例1>
ヒト末梢血(ヘパリン含有)をAXIS SHIELD社製”リンフォプレップ”(登録商標)で処理して単核球成分を分離し、単核球成分1.0×107個を“ダルベッコ”リン酸緩衝液1.5mlに懸濁し、該懸濁液をカラムに室温で通過させた。通過前のCD45RO陰性CD4陽性細胞の割合は26%であった。また、処理後のモジュールをリン酸緩衝液を1時間灌流させて洗浄した後、25mMのジチオスレイトールを含むリン酸緩衝液を1.5mlで1時間灌流させて回収された全細胞におけるCD45RO陰性CD4陽性細胞の割合は9割以上であった。以上の細胞の分析はフローサイトメーターにより行った。
【0073】
【発明の効果】
本発明の細胞分離カラムは、細胞を除去する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有することにより、希少な細胞を容易に回収することができる。
【0074】
また、本発明の細胞分離カラムで大量に回収した特定の細胞を利用することにより、癌または自己免疫疾患または脳梗塞またはパーキンソン病またはアルツハイマー病または糖尿病または心筋梗塞または血管再生の治療又はワクチンとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細胞分離カラムの1例の概要を示す図である。
Claims (18)
- 基材と該基材を保持する筐体からなる細胞分離カラムであって、細胞を捕捉・保持する領域と細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域を有する細胞分離カラム。
- 基材の形状が繊維状、スポンジ状、中空糸膜状および平膜状からなる群から選ばれる少なくとも1種以上からなる請求項1に記載の細胞分離カラム。
- 基材が海島型複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載の細胞分離カラム。
- 基材がポリスチレン、セルロース、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上の物質からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- 基材が親水性高分子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- 親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項5に記載の細胞分離カラム。
- 細胞を捕捉後、外部刺激により細胞を脱離できる領域において、細胞を捕捉できるリガンドと基材とが化学結合を介して固定化されており、細胞を捕捉したリガンドが外部刺激により脱離可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- 外部刺激が還元剤による還元反応であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- 外部刺激が酵素による反応であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- リガンドと基材がジスルフィド結合を介して結合されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- リガンドが抗体あるいはレセプターであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の細胞分離カラム。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の細胞分離カラムを用いて得られた細胞が癌または自己免疫疾患または脳梗塞またはパーキンソン病またはアルツハイマー病または糖尿病または心筋梗塞または血管再生の治療又はワクチンに用いられることを特徴とする細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD25陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD45RO陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD8陰性かつCD4陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD4陰性かつCD8陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD38陰性かつCD34陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
- 分離して得られる細胞がCD34陰性かつCD45陰性かつCD133陽性細胞であることを特徴とする請求項12に記載の細胞分離カラム。
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