JP2004179643A - 熱電変換材料薄膜とセンサ素子及びその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料薄膜とセンサ素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 SiGe系薄膜、その製造方法及びその用途を提供する。
【解決手段】 温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系の半導体薄膜をスパッタ法を利用して作製する方法であって、スパッタ蒸着後のSiGe系半導体薄膜材料を熱処理するSiGe系薄膜の作製方法、SiGe系半導体薄膜をスパッタ蒸着法で製膜する際に、基板温度及び/又はプラズマの出力を高めて、結晶化が進んだ構造の薄膜を形成する上記方法、及び上記方法により作製した、熱処理により良好な熱電特性を付与したことを特徴とする、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系薄膜、及び上記のSiGe系薄膜を構成要素として含むガスセンサ素子。
【選択図】図6

Description

本発明は、高周波領域で高速動作に用いられる薄膜トランジスタ又はその他の電子デバイス等に適用されるSiGe系半導体薄膜、その製造方法、及び該半導体薄膜を使用した半導体素子に関するものである。本発明のSiGe系熱電変換薄膜材料は、熱電堆、いわゆるサーモパイルの部材として有用であり、具体的には、触媒材の触媒反応による発熱から発生する局部的な温度差の変化を電圧信号として検出するセンサに使用して、ガスセンサ、又は、それに類似した局所的な温度上昇を信号源とする素子、例えば、赤外線センサ等として有用である。
微小な温度変化又は微小な熱エネルギーを検知する素子では、信号源より発生する温度差を電気信号に変換し、検知する「センサ」を用いている。この種のセンサの中には、一般に、熱電対(サーモカップル)、及びそれを複数直列接続した熱電堆(サーモパイル)のゼーベック効果を利用して、温度変化を熱起電力として検出するサーモパイル型がある。温度変化を検知する素子としては、その他に、セラミック等で構成された基材における赤外線の熱エネルギーに応じた分極による浮遊電荷の変化を検出する(焦電効果を利用する)焦電型、及び、金属その他の薄膜や極細線で形成した感温抵抗体の熱による抵抗値の変化を検出する(抵抗変化を利用する)方式等が知られている(非特許文献1)。
これらの中で、温度計測又は温度差のモニター等に最も好適で、例えば、赤外線センサにも一般に用いられているのが、ゼーベック効果を利用する熱電変換式のものである。この熱電変換式の素子に用いられる熱電変換材料薄膜(以下、熱電薄膜と呼ぶ。)には、通常は、ビスムス(Bi)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)等のゼーベックの高く、且つ高い導電性を示す、いわゆる金属系熱電半導体が使われている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これらの材料は、毒性の高い材料であり、更に、製膜及び加工プロセスに制約が多い。前記の金属系熱電変換薄膜材料の場合、薄膜作製後にエッチングで加工するのが難しく、リフトオフの様なプロセスでパターンを形成するのも容易ではない。実際、これらの材料の場合、メタルマスクを通し、直接、蒸着で形成する方法が一般的である。但し、このようなプロセスでは、より微細な加工が難しく、プロセス可能な線幅の制約から、集積度を上げるのが難しい。
同じく、高い熱電変換効率を示しながら、プロセスが容易で、毒性が少ない材料として、SiGeが挙げられる。SiGe系熱電材料の応用は、宇宙開発用の熱電材料として実際応用される等、歴史的にも古く、更に、近年には、このSiGe合金系の半導体薄膜が、高速通信用の素子又は高温動作用の素子の部材として広く使われるようになった。
SiGe薄膜の製造方法としては、シラン(SiH4 )ガスに水素やGeF3 を混合して、減圧CVD法やプラズマCVD法を用いることによって堆積する薄膜を結晶化する方法や、アモルファス状態の前駆体として基板上にアモルファス薄膜を形成し、次いで、薄膜を結晶化する方法、が知られている。前者の堆積する薄膜を結晶化する方法は、薄膜の形成と同時に結晶化を進めるものであるが、プロセス設備が高価であること、基板自体を比較的高温の600℃以上にする必要があるなどの問題を有する。後者の一旦アモルファスシリコン薄膜を形成し、これを結晶化する方法としては、長時間のアニールを行う固相成長法も知られているが、この方法は、長時間にわたるために、実用性を欠き、また、製造コストも高くなるという問題を有する。
また、結晶質又は非晶質半導体薄膜の成膜にCVD方法を用いた場合、膜中に水素が約2から20at%程度含有されるので、膜中の水素を脱ガス化するために、電気炉でのアニール処理が必要である。このプロセスでは、高温で長時間の脱ガスアニールを行う必要があり、それが、生産性の向上の妨げとなっており、且つ脱ガス処理のための熱によって基板が変形し、又は基板からの汚染物質が薄膜に拡散するなどの問題を生じる。
熱処理には、エキシマレーザーを照射して結晶化する方法もあり、基板上にアモルファス薄膜や多結晶薄膜を形成し、エキシマレーザーを照射することで薄膜を加熱して結晶化が行われる。しかしながら、この技術では、薄膜の結晶品質を安定して制御することは極めて難しく、製造される薄膜の電気的特性にもばらつきが生じ易い。
特開2000−292254号公報 松井邦彦著、センサ活用141の実績ノウハウ、第2章、CQ出版社、2001年
このような状況の中で、本発明は、上記従来技術の問題を解決するために開発されたものであって、本発明は、局部的な温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である、温度差を電気信号に変換する熱電変換材料としてのSiGe系半導体薄膜を作製する方法、それにより、良好な熱電特性の付与されたSiGe系薄膜、及びセンサ素子を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、従来、触媒のガス選択性が動作温度によって変化するため、素子の動作温度に制限があったが、これを克服する手段を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である、選択的な触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系の半導体薄膜をスパッタ法を利用して作製する方法であって、1)基板にSiGe系半導体薄膜をスパッタ蒸着法で製膜する、2)スパッタ蒸着後のSiGe系半導体薄膜材料を熱処理する、ことを特徴とするSiGe系薄膜の作製方法。
(2)熱処理を、600℃から1000℃までの処理温度で行う、前記(1)記載の方法。
(3)SiGe系半導体薄膜をスパッタ蒸着法で製膜する際に、基板温度及び/又はプラズマの出力を高めて、結晶化が進んだ構造の薄膜を形成する、前記(1)記載の方法。
(4)熱処理を、通常の電気炉を用いて雰囲気を制御したファーネスアニール、又は、雰囲気制御可能な赤外線ランプ加熱装置を用いた急速加熱処理により行う、前記(1)記載の方法。
(5)スパッタの際に、SiGeのターゲットに予め不純物をドープして薄膜を作製し、熱処理の際に、ガス雰囲気、温度、熱処理時間及び昇温時間を制御することにより、半導体薄膜の中の不純物量を制御しながら結晶化を行う、前記(1)記載の方法。
(6)熱処理の際に、熱処理条件を制御し、半導体薄膜上に酸化物の絶縁薄膜を成長させ、絶縁層を生成しながら結晶化を行う、前記(1)記載の方法。
(7)SiGe系薄膜をスパッタ蒸着する際に、ニッケルに代表される遷移金属を蒸着することによって熱処理の温度を下げることを可能とする、前記(1)記載の方法。
(8)選択的な触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する信号源とするセンサ素子を、揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成することによりそのガス選択性を高める、前記(1)記載の方法。
(9)前記(1)から(8)のいずれかに記載の方法により作製した、熱処理により良好な熱電特性を付与したことを特徴とする、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である、局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系薄膜。
(10)前記(9)記載のSiGe系薄膜を構成要素として含むことを特徴とするガスセンサ素子。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明では、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素の一つである局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材として、SiGe系の半導体薄膜を使用し、それにより、高性能センサ素子を実現する。本発明では、例えば、この方式のガスセンサ素子の熱電変換部材として、酸化物熱電材料を用いた場合(Shin W, et. al., "Thermoelectric thick-film hydrogen gas sensor
working at room temperature" Jpn. J. Appl. Phys. 40, 11B, p. L1232〜L1234 、2001年)より高い出力信号と低いノイズが得られる。これは、SiGe系材料が、その熱電変換能が酸化物の性能より優れるためである。
また、本発明では、SiGe系の半導体薄膜の作製に、スパッタ法を用いる。これは、高性能で特性の安定したデバイスの作製に好適であって、しかも、その製造工程も簡単で、短い時間で十分な半導体薄膜を作製することを可能とする。更に、メタルマスクを用いた同時パターンも可能であり、全体のプロセスを簡単にすることも可能である。
しかし、スパッタ法で作製したSiGe薄膜は、抵抗が高く、信号出力の安定性が悪い等の問題があった。本発明者らが種々検討した結果、これは、蒸着した薄膜の結晶性が悪いのが理由であると判明した。そこで、本発明では、スパッタ蒸着後の比較的に結晶性の悪い薄膜材料を、蒸着後に熱処理することによって結晶性を向上させ、必要な特性を付与することを可能とする。
更に、本発明では、薄膜蒸着の際に、多少でも結晶化の進んだ薄膜を作ることで、熱処理が簡単になり、それにより、画期的な半導体薄膜を製造することができる。そのために、本発明では、非晶質薄膜を結晶化するに際して、基板温度及び/又はプラズマの出力を高めて、蒸着直後の状態のままでも結晶化が進んだ構造の薄膜を形成する。
本発明において、これらの熱処理は、例えば、通常の電気炉を用い、雰囲気を制御したファーネスアニールで実現できる。また、熱処理プロセス中の昇温速度を上げる、赤外線ランプ加熱装置を用いた急速加熱処理法を利用すると、より制御性を高めた結晶質薄膜を製造することができる。しかし、本発明では、熱処理の方法及び手段は、これらに制限されない。
更に、本発明では、熱処理の際に、ガス雰囲気、温度、熱処理時間及び昇温時間を制御することにより、薄膜のドープ量を制御しながら結晶化を行い、結晶質薄膜を製造することができる。また、本発明では、ターゲットを、予め、SiGe合金半導体にすることで、単一ターゲットでスパッタ蒸着を行い、更に、本発明では、ターゲットに、予め、不純物元素をドープしてスパッタ蒸着を行い、薄膜蒸着中に成膜と同時に不純物元素ドープを施し、ドープされた半導体薄膜を作製することができる。
熱処理の際には、その雰囲気中の酸素分圧によって、薄膜の表面に酸化物が生成される。この酸化物は、SiとOからなる酸化ケイ素であり、SiGe薄膜の成分であるSiを消費しながら成長する。酸化物の膜が多く成長すると、SiGeの方がなくなってしまうこともある。その際に、Geの成分は、酸化ケイ素膜から追出され、SiGeとの界面に集まる(Nayak DK, et al,
Kinetics and mechanism of oxidation of SiGe: dry
versus wet. Appl. Phys. Lett.
73, p644, 1989)。
本発明では、この酸化物を利用することで素子の配線等に必要な絶縁膜形成プロセスを省略することができる。本発明では、熱処理の雰囲気を含むプロセス条件を制御することで、SiGe半導体薄膜上に酸化物の絶縁薄膜を成長させ、絶縁層を生成しながら結晶化を行い、結晶質薄膜を製造することができる。本発明は、その絶縁基体上に形成された半導体薄膜において、該半導体薄膜の表面に酸化物の絶縁膜を有することで、絶縁膜を形成する工程を省略できる利点を有する。
本発明では、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系の半導体薄膜をスパッタ法で作製する。このように、本発明では、SiGe系半導体薄膜は、短い時間で十分な半導体薄膜を作製するために、スパッタ蒸着方法で形成されるが、この場合、蒸着のみでは、比較的に結晶性の悪い薄膜となるため、蒸着後の薄膜材料を熱処理することによって結晶性を向上させ、必要な特性を付与する。
この熱処理には、好適には、通常の雰囲気を制御した電気炉を用い、いわゆるファーネスアニールを行う。この熱処理は、Ar雰囲気で、700℃から1000℃までの処理温度で約5〜24時間行う。700℃未満の処理温度では殆ど結晶化が起こらないこと等の問題があり、1000℃以上の高温の場合は高温プロセスとなるため、あまり望ましくないこと、基板との反応が起こること等の問題がある。スパッタ蒸着の際の基板温度、あるいはプラズマの出力を高めることで、熱処理温度を下げることができる。この効果は、基板温度が100℃以上で明確に現れる。プラズマ出力の場合、3インチターゲットの場合、200W以上から顕著にその効果が現れる。この方法により、蒸着直後の状態でも結晶化が進んだ構造の薄膜が形成され、この方法で、熱処理温度を約100℃下げる効果が得られる。したがって、この場合は、熱処理は600℃から行うことができる。
更に、本発明では、雰囲気制御可能な赤外線ランプ加熱装置を用いた急速加熱処理法を用いることで、熱処理時間を30分以下にすることができる。熱処理の際に、ガス雰囲気、温度、熱処理時間及び昇温時間を制御し、SiGe薄膜の中の不純物量を制御しながら結晶化を行うことができる。また、熱処理の後に生成されるSiGe半導体薄膜上に酸化物を絶縁層として利用できる。例えば、約600ナノメートルのSiGe半導体薄膜表面に生成する絶縁層の厚みを約100ナノメートル程度となるように熱処理する。この膜は絶縁層として利用できるため、その後、電気接触が必要な部分のみウィンドウを開ける。本発明では、上記方法により作製したSiGe系薄膜を利用し、適宜の触媒材と組み合わせて、適宜のガスセンサ素子を構築することができる。この場合、触媒材として、後記する実施例では、水素検知のための白金触媒を用いたが、これに限らず、適宜の触媒材を使用することができる。
熱処理の際に、ガス雰囲気、温度、熱処理時間及び昇温時間を制御することにより、薄膜のドープ量を制御し、n型又はp型の制御をすることができる。それは、SiGe合金半導体が自然とn型になりやすいためであり、ターゲットに予めn型の不純物元素をドープしてスパッタ蒸着することで可能になる。
結晶化に必要な熱処理の温度を下げることによって、ガラス又はプラスチックのように高温で安定ではない基板上に薄膜を形成することも可能になる。SiGe系の結晶化温度を更に下げるためは、近年報告された遷移金属添加のプロセスが有効である(C. Hayzelden and J. Batstone,
J. Appl. Phys., 73 (1993) 8279-8289 )。
触媒表面での反応を利用するガスセンサにおいては、触媒表面に異物の膜等が生成されることによってその性能が低下する。その代表的な例が、揮発性有機シリコン(例えば、hexamethyldisilane、HMDS)のガスによる触媒の被毒である。この揮発性有機シリコンは、触媒表面に酸化ケイ素の膜を形成することで触媒活性を低下させる。しかしながら、その膜の生成条件によっては選択的なガス透過が可能な構造となり、選択的な触媒反応が起こることができる。このような膜を、セラミックスセンサ表面上に意図的に生成する場合もある。ガスセンサのガス選択性を高めるために、化学気相反応蒸着法(CVD)を用いてガスセンサのセンサ材料の表面に物理的なフィルター、いわゆる分子ふるい、を形成する方法が知られている。(例えば、Katsuki A. and
Fukui K., H2 selective gas sensor based on SnO2, Sensors and
Actuators B, 52, pp30-37 (1998) )。
本発明により、(1)触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する信号源とするセンサ素子を、揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成することでそのガス選択性を高めることができる、(2)触媒表面に化学気相反応蒸着法で膜を形成するためには高温に素子温度を上げる必要があり、そのプロセスを行うことで触媒の性質が悪くなる問題が生じるが、本発明では、200℃未満の比較的低温の、素子動作温度に近い温度において、素子を揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成し、更に、それを、より高温まで加熱処理することによって触媒劣化を防ぎながら緻密な膜を形成し、それにより、ガス選択性を高めることができる、(3)素子を揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成することでそのガス選択性を高めることができる、(4)素子を揮発性有機シリコン(hexamethyldisilane、HMDS)のガスに露出してその表面に薄い膜を形成することでそのガス選択性を高めることができる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)ガスセンサの作製
本実施例では、可燃性ガスの特定のガス種に選択的に触媒酸化反応を示す触媒を利用して、高い選択性で、広い濃度範囲のガス計測を可能とするガスセンサを作製した。本発明のプロセスを適用したガスセンサ素子の実施例の一つとして、その作製手順を、スパッタ方法による熱電薄膜の作製、熱処理、白金触媒膜の形成の順で示す。
1)ターゲットの作製
SiGe合金(Si80%、Ge20%)にリンを1%混合し、遊星ボールミルにて平均粒径数μm以下に粉砕し、成型体にしてから、1000℃で、5時間焼結(ホットプレス法)して焼結体を作製した。この焼結体をスパッタ用のターゲットとして用いた。
2)熱電膜の作製
このターゲットを用いて、高周波(RF)スパッタ装置を用いてSiGe系の熱電変換材料の成膜を行った。スパッタ条件は、蒸着圧力を約5×10-1Pa、スパッタ出力を250Wとした。この条件で30分スパッタ蒸着して約0.7マイクロメートル程度の膜を形成した。膜の厚みは、電子顕微鏡を用いて、その破断面の直接観察から求めた。
3)熱処理
スパッタ蒸着したSiGe薄膜をアルゴン雰囲気の炉に入れて、900℃で約5時間加熱処理することで、結晶性を向上させたSiGe薄膜を作製した。熱処理の際には、その温度、時間及び雰囲気中の酸素分圧を制御し、Arを流しながら、薄膜の表面に薄い酸化物を作製した。この酸化物は、SiとOからなる酸化ケイ素であり、これの一部をHF系のエッチング溶液を用いて取り除き、電極との接触部(ウィンドウと称する)を形成した。この際、ウィンドウのパターンは、フォトリソグラフィーを用いて形成した。
4)触媒薄膜のスパッタ蒸着
上記プロセスを終えた素子表面の一部に触媒薄膜をスパッタ蒸着で形成した。パターンとして形成させるために、素子の上にメタルマスクを載せてスパッタ蒸着を行った。触媒材料は、水素検知のために、白金触媒を用いた。白金ターゲットを用いて、高周波(RF)スパッタ装置で、蒸着圧力を約2×10-1Pa、スパッタ出力・時間を100Wで10分として、スパッタ蒸着することにより触媒膜を作製した。
5)電極の形成
金のリード線パタンをメタルマスクを用いたスパッタ蒸着で形成し、信号取り出し用の配線を形成した。金ターゲットを用いて、高周波(RF)スパッタ装置で、蒸着圧力を約2×10-1Pa、スパッタ出力・時間を100Wで5分として、スパッタ蒸着した。
6)性能評価
触媒及び素子の性能は、基板上に形成した薄膜触媒の表面温度を、赤外線熱カメラを用いて観察し、評価した。試験用のガスは、試験用の反応室に約100cc/ 分の流量で流しながら評価した。ガスセンサ素子の場合も同様に、混合ガスを流しながら表面の温度変化を赤外線熱カメラで計測し、同時に、素子からの出力信号を計測した。SiGe半導体薄膜の熱電特性は、室温から約400℃まで、大気中で評価した。評価法としては、ゼーベック係数の信頼性が高い定常法を利用した。
(2)結果
次に、上記プロセスで作製したセンサ素子の特性及びセンサとしての性能評価の結果から、本発明の効果を説明する。
1)熱処理の効果
熱処理をしてないSiGe薄膜は、動作温度を高めることでその性能にバラつきが出るなど、特性が悪かった。即ち、スパッタ蒸着した後、SiGe薄膜表面の半分に、スパッタ装置を用いて、触媒となる白金を約50ナノメートルの厚みで形成し、熱電式ガス検出センサを作製したが、この薄膜から作製したセンサ素子は、抵抗が高く、信号出力が不安定であり、再現性が悪いことが判った。
その理由は、スパッタ法で作製した薄膜の低い結晶性にあった。X線回折パターンの分析から、蒸着した薄膜は結晶ではなく、アモルファスであることを確認した。図1に、そのXRDパターンを示す。更に、4端子測定法で薄膜の抵抗を計測したが、蒸着した薄膜は、抵抗が高く、計測不可能だった。
一方、スパッタ蒸着したSiGe薄膜をアルゴン雰囲気の炉に入れて、900℃付近で約5時間熱処理すると、結晶性が向上された。これは、図1に示したように、熱処理した後のX線回折パターンの分析から、明確に確認できた。蒸着した薄膜は、結晶ではなく、アモルファスであることを確認した。図中、□でマークしたのがSiGe結晶によるものである。マークのないピークは基板によるものである。熱処理温度を600℃から徐々に上げながら結晶性を確認すると、特に、700℃での熱処理からSiGeのものと判定できるピークが強く計測できた。即ち、アモルファスであった薄膜の中に結晶質のSiGeが成長し始めていることが示された。900℃での熱処理で、結晶化はほぼ完了した。この温度で熱処理時間を長くしても結晶化の程度はそれほど変化しないことが判った。逆に、熱処理をし過ぎると、アルゴン雰囲気中で存在する低い酸素分圧でも酸化プロセスが始まり、シリカ、SiO2 の生成が始まることが判った。図中、○でマークした22度付近のピークがシリカによるものである。
2)センサ素子の評価
厚膜表面の半分を触媒となる白金を数十ナノメートルの厚みで蒸着し、センサを作製したが、この触媒膜厚も、SiGeと同様に、スパッタ装置を用いて形成した。スパッタ条件としては、蒸着圧力を約4×10-2トール、スパッタ出力を100W・5分とした。図2に、このセンサの水素検出特性を示す。水素濃度に対して線形性の高い出力特性が得られていることが判る。動作温度によって電圧出力が高くなるが、高温で飽和する。これらの特性は、白金触媒の特性に依存する。
図3に、SiGe及び白金触媒からなるセンサ素子の表面を電子顕微鏡で観察した写真を示す。SiGe薄膜は、粒子構造を持ち、緻密な膜となっているのが判る。これの結晶質の程度、即ち、どの程度結晶化されているかが、最終的な素子特性に影響を及ぼす。図4に、熱処理温度と電圧信号の関係を示す。熱処理温度によって、結晶化が進み、その結果、素子特性が改善されていく傾向が分かる。図1の結晶化の結果と比較検討すると、熱処理温度を高めることで、結晶化が進み、安定したセンサの信号出力が得られることが分かった。
図5に、センサ素子の応答特性を示す。更に、図6に、水素センサとしての水素選択性を、他の可燃性ガスと比較して実験した結果を示す。原理的にも、白金を触媒として用いることで、高い選択性が得られると期待されるが、図示したように、約150℃以下では水素以外のガスには殆ど応答しない結果が得られた。このことから、SiGeを用いた熱電式水素センサは、十分にその機能を果すことが証明できた。
3)熱処理による酸化膜の同時作製
熱処理は、アルゴンガスを電気炉に約100ccm程度流しながら行ったが、この状態でも、炉の中には若干の酸素分圧が存在する。この酸素とSiGeが高温で反応し、SiGeの薄膜の表面に薄いシリコンの酸化膜、シリカが形成された。これは、電気を流せない絶縁体であるために、SiGe薄膜を使う場合、このシリカを取り除かなければならない。しかし、本発明では、この絶縁層を全部取り除くのではなく、電気的接触が必要なところのみ、辺の大きさが60ミクロン正方形のウィンドウを設けた。
ウィンドウのエッチングは、通常のシリカのエッチングに使われるHF:H2 O:NH4 Fの1:6:4の溶液を用いて、約60秒で行った。これで、このウィンドウ部分だけエッチング溶液で取り除くことができた。その後、電極パターンを形成して、電気抵抗を測定したところ、SiGe表面に良好な電気接続として形成されていることを確認した。その結果、結晶化プロセス中に同時に生成した酸化膜を絶縁層として有効利用できることが分かった。
4)スパッタ条件による結晶化の変化
熱処理の温度が高いと、他のプロセスが難しくなるなどの問題が発生する。これを下げるか又は熱処理を必要としないようにするために、スパッタ蒸着の際に、ある程度結晶化の進んだ薄膜を作ることを試みた。プロセス条件である基板とターゲットの距離、Arガス流量、蒸着時間の3つの変数は、それほど結晶化に影響しなかった。しかし、スパッタのプラズマ出力を200W以上にすると薄膜の結晶化が大きく変化した。250Wで30分蒸着したSiGe薄膜の場合、熱処理をしなくてもXRD回折パターンからSiGeのピークを確認することができた。その後、熱処理を行うと、更に結晶化が進み、そのピーク強度が強くなった。250W程度の高い出力で蒸着したSiGe薄膜は、700℃の低い熱処理温度でも十分結晶化が進み、結果的には、熱処理温度を約100℃以上下げる効果が得られた。また、基板温度を上げることもスパッタのプラズマ出力を高めることと同様の効果が得られることが分かった。
5)ドープ量制御が可能なプロセス(その1)
SiGeのターゲットに、予め、不純物によるドープをしてある場合、ドープした成分、例えば、不純物であるリン、が熱処理によって蒸発し、ドープ量が格段に減ってしまう問題が発生するが、熱処理温度を下げるか又は熱処理をせずにそのまま素子として使うことであればドープ成分を残すことが可能となる。図7に、この一例の試料のゼーベック係数の温度依存性を示す。試料は、リンをドープしたSiGeターゲットを用いて、スパッタ出力を250W、基板温度を300℃で40分蒸着して作製した。
薄膜について、その後、熱処理を、通常の電気炉でArを流しながら900℃で5時間行った。図示したように、低温では、ドープを施した効果としてn形の特性を示し、ゼーベック係数が負であり、この試料の主な電荷担体は電子である。
一方、熱処理を長くすることで、リンの蒸発を助けると、リンの残量が少なくなり、p形となる。この試料の特徴として、温度を上げると、その電荷担体が正孔となり、ゼーベックの符号が反対となり、正の値に変わる。
6)ドープ量制御が可能なプロセス(その2)
SiGeのターゲットに、予め、不純物によるドープをしてある場合、ドープした成分であるリンが熱処理によって蒸発し、ドープ量が格段に減ってしまう問題が発生するが、スパッタ蒸着中の基板温度等の蒸着条件及び熱処理温度等の熱処理条件を変えることで、ドープ成分を残すことが可能となる。図8に、この一例の試料のゼーベック係数の温度依存性を示す。試料は、リンをドープしたSiGeターゲットを用いて、スパッタ出力を250W、基板温度を200℃で40分蒸着し、通常の電気炉でArを流しながら800℃で5時間行って作製した。図示したように、リンのドープ量が十分であるため、全ての温度領域でゼーベック係数が負であり、n型の特性を示した。
(1)ガスセンサの作製
本実施例では、実施例1のガスセンサと同じ素子であるが、そのデザインが異なる、特に、白金を用いてヒーターラインを形成し、素子を加熱する機構を同時に形成した例を示す。プロセスは、基本的に実施例1と同じであるが、次の幾つかの点が異なる。1)SiGeのスパッタ蒸着の際に、遷移金属のニッケルを同時にスパッタするプロセスを追加した。2)白金ヒーターの蒸着及び金の電極パターンの蒸着の際に、基板との密着性を高めるために、バファー層として、遷移金属のチタンを形成した。素子のデザインを、図9に示す。
1)熱電膜の作製
実施例1と同じ高周波(RF)スパッタ条件を用いて熱電変換材料の成膜を行い、SiGe系熱電変換薄膜材料のガラス上での薄膜作製を行った。基板としてはCorning社製の7059ガラスを用いた。SiGeのスパッタの前にニッケルを約30ナノメートル蒸着した。その他の条件は、実施例1と基本的には同じとした。
2)熱処理
スパッタ蒸着したSiGe薄膜を、アルゴン雰囲気の炉に入れて、500℃から600℃で約6時間加熱処理し、結晶性を向上させたSiGe薄膜を作製した。
3)ヒーターの形成
その後、これに白金を蒸着することでヒーターラインを形成した。白金を蒸着する前に基板との密着性を高めるために、バファー層として遷移金属のチタンを50ナノメートル形成した。白金ヒーターの厚みは約1ミクロンとした。電極となる金の場合も、白金と同様に、バファー層として遷移金属のチタンを50ナノメートル形成した。
(2)結果
次に、上記プロセスで作製したセンサ素子の特性及びセンサとしての性能評価の結果から、本発明の効果を説明する。
1)結晶化温度の変化
図10に、スパッタ蒸着後の熱処理温度によるSiGe薄膜のX線回折パターンを示す。ニッケルを蒸着することにより、その結晶化に必要な熱処理の温度が、実施例1の場合と比べると、数百℃低くなっていることが分かる。このことから、この方法は、特に高温での熱処理が出来ないガラス基板等に有効な方法であることが判明した。
2)センサ素子の評価
実施例1と同じ触媒作製プロセスを用いて作った図9のパターンのガラス基板を用いた素子に対して、動作温度100℃に於いて水素濃度3%に対する応答特性を評価した。図11に、熱処理温度によって、素子特性、及び電圧信号が改善される結果を示す。実施例1では、十分なセンサ応答特性を再現するために、約900℃の高温での熱処理が必要であったが、この場合は、550℃のような低温でも十分高いセンサ出力が得られた。ガラス基板を用いたため、センサ動作温度100℃を維持するためのヒーター電力も実施例1の約半分であった。
本実施例では、実施例1のガスセンサを用いて、その表面に薄い酸化ケイ素膜を作製することによって、ガス選択性を高める製造方法の一例を示す。
(1)触媒表面に形成するガス選択層の作製
1)HMDSによる被毒
本発明では、触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する信号源とするセンサ素子を、揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成することでそのガス選択性を高めることができる。触媒表面に化学気相反応蒸着法で膜を形成するためには高温に素子温度を上げる必要があるが、そのプロセスを行うことで触媒の性質が悪くなる問題が生じる。熱電式ガスセンサ素子は、実施例1のプロセスで作製したものを使用した。これを、白金触媒蒸着後、1000ppmの揮発性有機シリコン、HMDSの雰囲気の試料処理用ボックスに置いて、素子動作温度を160℃と維持しながら3日間被毒させた。この被毒プロセスにより、素子の水素応答特性は、初期値の約半分にまで低下した。
2)回復のための熱処理及び表面分析
素子について、その後、熱処理を、通常の電気炉でArを流しながら400℃で2時間行った。このことで、水素応答特性が回復された。素子温度が高いと、白金表面上に強固な酸化ケイ素層が生じることから、その後の熱処理の後でも応答特性が回復しない。XPS分析結果から、表面に形成されているのは、酸化ケイ素であることが判った。特に、回復特性の顕著なサンプルでは、O1sとSi2pの含有量が、被毒前よりも減っており、白金表面上の酸素とケイ素の化学結合を有する層が熱処理により取り除かれたことが判った。
(2)センサ素子の評価
非常に薄い酸化ケイ素膜を有する被毒サンプルでは、水素以外の他ガスとの反応を抑制する効果として働き、動作温度が160℃と高めであっても、酸化ケイ素膜のない被毒前サンプルと比べると、特にエタノールやメタノールなどのガス分子の大きなものに対して、水素選択性のS値が高くなった。応答特性の曲線は、基本的に実施例1、又は2のものと同じであった。しかし、その信号出力の大きさは、被毒処理前と被毒処理の後の回復処理を行った後、更に、それのガス種によって変化した。
表1に、素子動作温度160℃、水素濃度3%に対するセンサの電圧出力をまとめた。選択性Sは、水素ガスに対する出力を1としてみた相対的な信号の大きさである。そのため、水素はSが1となり、表1では省略した。まず、回復処理まで終えた素子は、被毒前と比べて電圧信号が87%と小さくなった。しかし、水素選択性は、この処理によって改善された。素子動作温度が高温になるとメタノール又はエタノールのような可燃性ガスが触媒燃焼しやすくなり、干渉ガスとして問題になるが、この分子ふるいのような表面層があるため、その反応が抑えられ、これらの大きい分子のセンサ出力が低下した。例えば、メタノールの場合、6.5倍、エタノールの場合6.2倍小さくなった。水素の低下分が少ないため、その結果、水素選択性Sが飛躍的に改善された。
以上詳述したように、本発明は、SiGe系薄膜、その製造方法及びセンサ素子に係るものであり、本発明により、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材として、優れた熱電性能をもつSiGe薄膜をスパッタ法を利用して作製することができる。また、SiGe蒸着後の薄膜材料を熱処理することによって結晶性を向上させ、必要な特性を付与できる。更に、スパッタ蒸着のプロセス条件を変え、急速加熱処理を行うことで、熱処理の温度を下げること及び処理時間を短くすることができる。熱処理条件を制御することで、熱電変換薄膜材料の導電性制御を行うことができる。熱処理中に生成する酸化物薄膜を素子作製に必要な絶縁層として利用することができる。スパッタ蒸着の際にニッケルを導入することによって、SiGe結晶化に必要な熱処理の温度を下げることが可能となり、ガラス又はプラスチックのように高温で安定ではない基板上に薄膜を形成することができる。また、触媒表面に分子ふるいのような薄い層を揮発性有機シリコンから形成し、その膜の生成条件等を制御することによって、水素ガス選択的を高めることができる。
スパッタ蒸着したSiGe薄膜のX線回折パターンを示す。 動作温度によるSiGe薄膜の熱電式水素ガスセンサの水素濃度・出力特性を示す。 電子顕微鏡で観察したセンサ素子の表面を示す。 熱処理温度によって、素子特性、及び電圧信号が改善される結果を示す。 作製したセンサ素子の応答特性を示す。 作製した水素ガスセンサの水素選択性と他の可燃性ガスとの比較実験の結果を示す。 SiGe薄膜のゼーベック係数の温度依存性を示す。 SiGe薄膜のゼーベック係数の温度依存性を示す。 ガラス基板上に作製した素子パターンを示す。 スパッタ蒸着後の熱処理温度によるSiGe薄膜のX線回折パターンを示す。 熱処理温度によって、素子特性、及び電圧信号が改善される結果を示す。

Claims (10)

  1. 温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である、選択的な触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系の半導体薄膜をスパッタ法を利用して作製する方法であって、(1)基板にSiGe系半導体薄膜をスパッタ蒸着法で製膜する、(2)スパッタ蒸着後のSiGe系半導体薄膜材料を熱処理する、ことを特徴とするSiGe系薄膜の作製方法。
  2. 熱処理を、600℃から1000℃までの処理温度で行う、請求項1記載の方法。
  3. SiGe系半導体薄膜をスパッタ蒸着法で製膜する際に、基板温度及び/又はプラズマの出力を高めて、結晶化が進んだ構造の薄膜を形成する、請求項1記載の方法。
  4. 熱処理を、通常の電気炉を用いて雰囲気を制御したファーネスアニール、又は、雰囲気制御可能な赤外線ランプ加熱装置を用いた急速加熱処理により行う、請求項1記載の方法。
  5. スパッタの際に、SiGeのターゲットに予め不純物をドープして薄膜を作製し、熱処理の際に、ガス雰囲気、温度、熱処理時間及び昇温時間を制御することにより、半導体薄膜の中の不純物量を制御しながら結晶化を行う、請求項1記載の方法。
  6. 熱処理の際に、熱処理条件を制御し、半導体薄膜上に酸化物の絶縁薄膜を成長させ、絶縁層を生成しながら結晶化を行う、請求項1記載の方法。
  7. SiGe系薄膜をスパッタ蒸着する際に、ニッケルに代表される遷移金属を蒸着することによって熱処理の温度を下げることを可能とする、請求項1記載の方法。
  8. 選択的な触媒反応による局部的な温度差を電気信号に変換する信号源とするセンサ素子を、揮発性有機シリコンのガスに露出してその表面に薄い膜を形成することによりそのガス選択性を高める、請求項1記載の方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の方法により作製した、熱処理により良好な熱電特性を付与したことを特徴とする、温度差を信号源とするセンサ素子の構成要素である、局部的な温度差を電気信号に変換する熱電変換材料部の部材としてのSiGe系薄膜。
  10. 請求項9記載のSiGe系薄膜を構成要素として含むことを特徴とするガスセンサ素子。

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