JP2004177780A - 加熱定着ローラ及びその製造方法 - Google Patents

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誠 村田
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徳彦 安瀬
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Abstract

【課題】フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基体1上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層2、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層5を順次有する加熱定着ローラ10において、前記弾性層2と離型層5との間に、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層3を設ける。前記赤外線反射層3は、プライマー層を兼ねることができる。前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料は、好ましくは、チタン酸カリウム繊維である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写紙上に形成されたトナーで構成される未定着像を加熱、加圧して定着するために用いられる加熱定着ローラ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の複写機、レーザビームプリンタ等の加熱定着装置に使用される加熱定着ローラにおいては、高画質化、低コスト化及び長寿命化が強く要求される。このような状況において、高画質が得られる加熱定着ローラとして、アルミニウム合金等の金属円筒管よりなる基体(芯金)上にシリコーンゴムな等の耐熱性ゴム材料を被覆して弾性層を形成し、この弾性層上にトナーに対して離型性の良いパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等のフッ素樹脂を被覆して離型層を形成したものが知られている。そして、離型層を形成するには、弾性層の表面に塗布したフッ素樹脂塗布層を焼成する方法や弾性層の表面に被覆したフッ素樹脂チューブを熱融着させる方法があった。
【0003】
しかしながら、このような弾性層上に塗工されたフッ素樹脂塗布層を焼成して離型層を成膜すると、弾性層を構成するシリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムが焼成による熱で劣化するので、次のような問題があった。
即ち、(a)シリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムは、250℃前後から、耐熱性が低下し、引張り強さ等のゴム特性の劣化が大きくなるので、弾性層にクラック等が生じやすくなり、(b)高温時にシリコーンゴムで構成される弾性層から揮発物が発生するので、フッ素樹脂で構成される表面層に欠陥が生じやすくなり、そして、(c)シリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムで構成される弾性層の上にフッ素樹脂塗布層を形成し、これを焼成して表面層を成膜した後冷却すると、これらの層の線膨張係数の違いによって歪が発生するので、表面層にクラックが生じやすくなり、それらの結果、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合が発生すると共に耐久性が低下するという問題があった。
フッ素樹脂チューブを熱融着させる方法では、30μm以下の薄肉フッ素樹脂チューブの製造が技術的に困難であったので、これより厚いフッ素樹脂チューブを使用せざるをえず、そのために、熱応答性が悪くなり、定着性が低下するという問題があった。さらに、フッ素樹脂チューブと弾性層との接着には、その反応温度まで高温域に昇温する必要があったので、前述の問題と同様に、耐熱性ゴムで構成される弾性層が高温にさらされて熱劣化しやすいという問題があった。
【0004】
また、フッ素樹脂チューブと金属円筒管よりなる基体を金型内に挿入した後、それらの間にシリコーンゴム等の弾性材料を注入して成膜化することにより弾性層を形成する方法があるが、近年、省エネルギー化を達成するために、基体であるアルミニウム合金等で構成される金属円筒管の薄肉化による立上り時間の短縮がなされており、当該金属円筒管の肉厚としては1.0mm以下が所望されているので、前述の注型方式においては、肉厚が1.0mm以下では成形圧力に基体である金属円筒管が耐えられず、変形してしまうという問題があった。
【0005】
また、弾性層上にフッ素樹脂塗料を塗布してフッ素樹脂塗布層を形成した後、フッ素樹脂塗布層に近赤外線を照射してフッ素樹脂塗料を焼成することにより、フッ素樹脂で構成される離型層を形成する技術(特許文献1を参照。)があった。しかしながら、この技術においても、フッ素樹脂塗布層に近赤外線を照射してフッ素樹脂塗料を焼成すると、弾性層に近赤外線が吸収されるので(一般的には、弾性層には耐熱性を上げるために酸化鉄等の耐熱性向上剤が含有されているが、かかる耐熱性向上剤が含有されていると、弾性層に近赤外線が吸収されやすくなるので)、フッ素樹脂塗布層と同様に昇温され、そのために、弾性層と離型層との接着性が著しく低下して、耐久性に難が生じるという問題があった。
【0006】
また、ゴムローラの製造方法において、未架橋ゴム層の加熱方法として、外部からの赤外線により加熱する方法、及び、当該ゴム層について多層構造として各ゴム層の赤外線吸収性を変化させる技術(特許文献2を参照。)があったが、この技術によれば、▲1▼当該ゴム層を多層構造とするので、加熱定着ローラの熱容量が多大に増加し、そのために、立上り時間が増加すること、▲2▼ゴム層を多層とするので、製造工程を繰り返す必要があり、そのために、製造コストが増加すること、▲3▼各ゴム層の赤外線吸収率を変化させるので、材料特性である熱膨張に差異が生じやすく、そのために、加熱後の熱膨張差によるクラックなどの成膜上の精度確保には加熱温度の管理が困難となること、といった問題があった。
【0007】
また、加熱定着ローラの内部に加熱源を有する加熱定着ローラにおいて、その加熱源より照射される赤外線を吸収する材料を含有した赤外線吸収層を加熱定着ローラに設けたもの(特許文献3を参照。)があったが、この技術によれば、当該加熱定着ローラの内部より赤外線による熱エネルギーを吸収するので、▲1▼表層である離型層に十分な熱量が供給される前に高画質化を左右する弾性層により高い熱量が供給され、そのために、耐熱性ゴムで構成される弾性層が高温にさらされてその熱劣化が促進されること、及び、▲2▼前述の耐熱性に劣る弾性層を介してフッ素樹脂層を成膜させ得るためには、加熱後の熱膨張差によるクラック等の成膜上の精度確保に加熱温度の管理が困難となること、といった問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−361026号公報
【特許文献2】
特開2000−337352号公報
【特許文献3】
特開2002−31974号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着ローラにおいて、前記弾性層と離型層との間に、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層を設けたことを特徴とする加熱定着ローラである。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記赤外線反射層が、プライマー層を兼ねることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料が、チタン酸カリウム繊維であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記赤外線反射層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記弾性層を構成する耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された発明において、前記離型層を構成するフッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載された加熱定着ローラの製造において、前記第2のプライマー層の表面に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層を形成することを特徴とする加熱定着ローラの製造方法である。
【0017】
請求項8に記載された発明は、基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着ローラにおいて、前記弾性層と離型層との間に、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層、及び、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する赤外線吸収層を順次設けたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項9に記載された発明は、請求項8に記載された発明において、前記赤外線反射層、及び、前記赤外線吸収層が、プライマー層を兼ねることを特徴とするものである。
【0019】
請求項10に記載された発明は、請求項8又は9に記載された発明において、前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料が、チタン酸カリウム繊維であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項11に記載された発明は、請求項8〜10のいずれかに記載された発明において、前記赤外線反射層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項12に記載された発明は、請求項8〜11のいずれかに記載された発明において、前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料が、硫酸アルミニウムであることを特徴とするものである。
【0022】
請求項13に記載された発明は、請求項8〜12のいずれかに記載された発明において、前記赤外線反射層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0023】
請求項14に記載された発明は、請求項8〜13のいずれかに記載された発明において、前記弾性層を構成する耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とするものである。
【0024】
請求項15に記載された発明は、請求項8〜14のいずれかに記載された発明において、前記離型層を構成するフッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とするものである。
【0025】
請求項16に記載された発明は、請求項8〜15のいずれかに記載された加熱定着ローラの製造において、前記赤外線吸収層の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層を形成することを特徴とする加熱定着ローラの製造方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す加熱定着ローラの断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、その一部拡大縦断面図である。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す加熱定着ローラの断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、その一部縦拡大断面図である。図3は、本発明の一実施の形態を示す加熱定着ローラを製造する過程において、赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射してフッ素樹脂を焼結させる状態を説明する説明図である。
【0027】
図1において、10は、加熱定着ローラである。加熱定着ローラ10は、基体1上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層2、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層5を順次有している。そして、前記弾性層2と離型層5との間には、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層3が設けられている。
【0028】
このように、前記耐熱性合成ゴムで構成される弾性層2とフッ素系樹脂で構成される離型層5との間に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層3を設けると、定着ローラ10の外表面に照射された近赤外線が赤外線反射層3で反射されるので、不必要な加熱が弾性層2にされず、そのために、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層2を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラとすることができる。
【0029】
前記離型層5を構成するフッ素樹脂は、一般的に、赤外線の吸収帯のピークが1.05μm付近であるので、本発明においては、波長が0.75〜2.0μmの領域の近赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射してフッ素樹脂を焼成することにより離型層5を形成するが、このように、波長が0.75〜2.0μmの領域の近赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射すると、フッ素樹脂を効率よく焼成することができる。
【0030】
従来の定着ローラにおいては、一般的には、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層とフッ素系樹脂で構成される離型層との接着強度を高めるために、該弾性層と該離型層との間にプライマー層が設けられているが、本発明によれば、前記赤外線反射層3は、好ましくは、プライマー層を兼ねるものとなっている。このようなプライマー層を兼ねる赤外線反射層3は、プライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させ、これを弾性層2の表面に塗布することにより形成される。このように、前記赤外線反射層3がプライマー層を兼ねていると、従来のプライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させるだけで、赤外線反射層3とすることができる。
【0031】
前記赤外線反射層3には、好ましくは、フッ素樹脂を含有させる。このように、赤外線反射層3にフッ素樹脂を含有させると、赤外線反射層3と離型層5との接着性を向上させることができる。
【0032】
本発明の加熱定着ローラ10は、
(イ)基体1の上に第1のプライマーを塗布し乾燥して第1のプライマー層(図示せず)を形成する工程、
(ロ)前記第1のプライマー層上に耐熱性合成ゴム溶液を塗布し乾燥して弾性層2を形成する工程、
(ハ)前記弾性層2の上に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層(第2のプライマー層)3を形成する工程、
(ニ) 前記赤外線反射層3の上にフッ素樹脂の分散液又は粉体塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ホ) 前記フッ素樹脂塗布層に、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層5を形成する工程、
を順次経て製造される。
【0033】
図3に示されているように、本発明の加熱定着ローラ10の製造においては、加熱容器24の中に、加熱定着ローラ10を回転可能に支持体21,22で支持し、これを矢印のように回転させながら、加熱定着ローラ10の赤外線反射層(図1における3を参照)の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層5を形成する。図3において、25は、加熱容器の開閉扉である。
【0034】
本発明によれば、赤外線反射層3の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層5を形成するので、弾性層2を熱劣化させることなく、フッ素樹脂を効率よく焼成することができ、そのために、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラ10とすることができる。
【0035】
図2において、20は、加熱定着ローラである。加熱定着ローラ20は、基体11上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層12、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層15を順次有している。そして、前記弾性層12と離型層15との間には、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層13、及び、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する赤外線吸収層14が順次設けられている。
【0036】
このように、前記弾性層12と離型層15との間に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層13、及び、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する赤外線吸収層14が順次設けられていると、(A)加熱定着ローラ20の外表面に照射された近赤外線が赤外線反射層13で反射されるので、弾性層12に不必要な加熱がされず、そのために、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層2を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができ、且つ、(B)照射された近赤外線が赤外線吸収層14で吸収されて熱量の吸収効率が向上するので、かかる熱が表層のフッ素樹脂塗布層にムダなく吸熱されて成膜性が向上し、そのために、加工コストを抑えることができる、加熱定着ローラとすることができる。
【0037】
本発明によれば、前記赤外線反射層13及び赤外線吸収層14は、好ましくは、プライマー層を兼ねることができる。このようなプライマー層を兼ねる赤外線反射層13及び赤外線吸収層14は、プライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させ、これを弾性層12の表面に塗布して赤外線反射層13とし、続いて、プライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有させ、これを前記赤外線反射層13の表面に塗布して赤外線吸収層14とすることにより形成される。このように、前記赤外線反射層13及び赤外線吸収層14がプライマー層を兼ねていると、従来のプライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させるだけで、赤外線反射層13とすることができる。
【0038】
前記赤外線反射層13には、好ましくは、フッ素樹脂を含有させる。このように、赤外線反射層13にフッ素樹脂を含有させると、赤外線反射層13と赤外線吸収層14と離型層15との接着性を向上させることができる。また、前記赤外線吸収層14には、好ましくは、フッ素樹脂を含有させる。このように、赤外線吸収層14にフッ素樹脂を含有させると、赤外線吸収層14と離型層15との接着性を向上させることができる。
【0039】
本発明の加熱定着ローラ20は、
(イ)基体11上に第1のプライマーを塗布し乾燥して第1のプライマー層(図示せず)を形成する工程、
(ロ)前記第1のプライマー層上に耐熱性合成ゴム溶液を塗布し乾燥して弾性層12を形成する工程、
(ハ)前記弾性層12の上に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層13を形成する工程、
(ニ)前記赤外線反射層13の上に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層14を形成する工程、
(ホ)赤外線吸収層14の上にフッ素樹脂の分散液又は粉体塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ヘ)前記フッ素樹脂塗布層に、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層15を形成する工程、
を順次経て製造される。
【0040】
図3に示されているように、本発明の加熱定着ローラ20の製造においては、加熱容器24の中に、加熱定着ローラ20を回転可能に支持体21,22で支持し、これを矢印のように回転させながら、加熱定着ローラ20の赤外線吸収層(図2における14を参照)の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層15を形成する。図3において、25は、加熱容器の開閉扉である。
【0041】
本発明によれば、赤外線吸収層14の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータ23で加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層15を形成するので、弾性層12を熱劣化させることなく、フッ素樹脂を効率よく焼成することができ、そのために、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラ20とすることができる。
【0042】
本発明において、波長が0.75〜2.0μmの領域の近赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射することは、前述のとおりであるので、赤外線反射特性を有する材料には、この近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料がよい。このような「近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料」は、例えば、ニッケル酸化物、鉄酸化物、アルミニウム合金、チタン酸化合物(特にチタン酸カリウム)等の粒状物であり、好ましくは、チタン酸カリウム繊維であるが、本発明の目的に反しない限り、これら以外のものであってもかまわない。

【0043】
本発明において、波長が0.75〜2.0μmの領域の近赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射することは、前述のとおりであるので、赤外線吸収特性を有する材料には、この近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料がよい。このような「近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料」は、例えば、アルミニウム塩系材料であり、好ましくは、硫酸アルミニウムであるが、本発明の目的に反しない限り、これら以外のものであってもかまわない。
【0044】
本発明においては、前記弾性層2,12を構成する耐熱性合成ゴムは、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムである。
【0045】
また、本発明においては、前記離型層5,15を構成するフッ素系樹脂は、例えば、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものである。
【0046】
【実施例】
(実施例1)
(イ)表面をサンドブラストで粗面化した直径40mm、肉厚0.4mmのアルミニウムで構成される芯金上に第1のプライマー(東レダウコーニング社製、DY39−051)を塗布し乾燥して第1のプライマー層を形成する工程、
(ロ)この第1のプライマー層の上に、シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DY35−2083)の溶液を塗布し加硫して弾性層を形成する工程、
(ハ)この弾性層の上にフッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層(第2のプライマー層)を形成する工程、
(ニ)この赤外線反射層の上にPFAを主成分とするフッ素樹脂塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ホ)大気雰囲気(酸素濃度:23容積%)において、前記フッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで15分間加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成する工程、
を順次経て加熱定着ローラとした。
【0047】
(実施例2)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成とした以外は、前記実施例1と同様にして加熱定着ローラとした。
【0048】
(実施例3)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、そして、前記(ホ)工程において、酸素濃度:1.2容積%の雰囲気でフッ素樹脂を焼成した以外は、前記実施例1と同様にして加熱定着ローラとした。
【0049】
(実施例4)
(イ)表面をサンドブラストで粗面化した直径40mm、肉厚0.4mmのアルミニウムで構成される芯金上に第1のプライマー(東レダウコーニング社製、DY39−051)を塗布し乾燥して第1のプライマー層を形成する工程、
(ロ)この第1のプライマー層の上に、シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DY35−2083)の溶液を塗布し加硫して弾性層を形成する工程、
(ハ)この弾性層の上にフッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層(第2のプライマー層)を形成する工程、
(ニ)前記赤外線反射層の上にフッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層(第2のプライマー層)を形成する工程、
(ホ)この赤外線吸収層の上にPFAを主成分とするフッ素樹脂塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ヘ)大気雰囲気(酸素濃度:23容積%)において、前記フッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで15分間加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成する工程、
を順次経て加熱定着ローラとした。
【0050】
(実施例5)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0051】
(実施例6)
前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0052】
(実施例7)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、そして、前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0053】
(実施例8)
前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成し、そして、前記(ヘ)工程において、酸素濃度:1.2容積%の雰囲気でフッ素樹脂を焼成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0054】
(実施例9)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、そして、前記(ヘ)工程において、酸素濃度:1.2容積%の雰囲気でフッ素樹脂を焼成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0055】
(実施例10)
前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成し、そして、前記(ヘ)工程において、酸素濃度:1.2容積%の雰囲気でフッ素樹脂を焼成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0056】
(実施例11)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成し、そして、前記(ヘ)工程において、酸素濃度:1.2容積%の雰囲気でフッ素樹脂を焼成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0057】
(比較例1)
(イ)表面をサンドブラストで粗面化した直径40mm、肉厚0.4mmのアルミニウムで構成される芯金上に第1のプライマー(東レダウコーニング社製、DY39−051)を塗布し乾燥して第1のプライマー層を形成する工程、
(ロ)この第1のプライマー層の上に、シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DY35−2083)の溶液を塗布し加硫して弾性層を形成する工程、
(ハ)この弾性層の上にPFAを主成分とするフッ素樹脂塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ニ)大気雰囲気(酸素濃度:23容積%)において、前記フッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで15分間加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成する工程、
を順次経て加熱定着ローラとした。
【0058】
(比較例2)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)12.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして加熱定着ローラとした。
【0059】
(比較例3)
(イ)表面をサンドブラストで粗面化した直径40mm、肉厚0.4mmのアルミニウムで構成される芯金上に第1のプライマー(東レダウコーニング社製、DY39−051)を塗布し乾燥して第1のプライマー層を形成する工程、
(ロ)この第1のプライマー層の上に、シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DY35−2083)の溶液を塗布し加硫して弾性層を形成する工程、
(ハ)この弾性層の上にフッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層(第2のプライマー層)を形成する工程、
(ニ)この赤外線吸収層の上にPFAを主成分とするフッ素樹脂塗料を塗布し乾燥してフッ素樹脂塗布層を形成する工程、及び、
(ホ)大気雰囲気(酸素濃度:23容積%)において、前記フッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで15分間加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成する工程、
を順次経て加熱定着ローラとした。
【0060】
(比較例4)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記比較例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0061】
(比較例5)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム12.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記比較例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0062】
(比較例6)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)12.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、そして、前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム1.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0063】
(比較例7)
前記(ハ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)にチタン酸カリウム繊維(ティスモ社製、ティスモN)12.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線反射層を形成し、そして、前記(ニ)工程において、フッ素樹脂含有シリコーン用プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製)に硫酸アルミニウム3.0重量%を含有させた第2のプライマーを塗布し乾燥して赤外線吸収層を形成した以外は、前記実施例4と同様にして加熱定着ローラとした。
【0064】
以上、実施例1〜11及び比較例1〜7で得られた加熱定着ローラについて、「フッ素樹脂焼成後の外観」及び「画質(ベタ地状態)」を目視によって評価し、そして、「密着力の低下」を測定して評価した。評価結果は、次の表1に示される。表1において、「充填剤」は、「赤外線反射材料」及び「赤外線反射材料」を指す。
【0065】
【表1】
Figure 2004177780
【0066】
【発明の効果】
請求項1,3,5,6に記載された発明によれば、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層とフッ素系樹脂で構成される離型層との間に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層を設けたので、定着ローラの外表面に照射された近赤外線が赤外線反射層で反射され、そのために、不必要な加熱が弾性層にされず、よって、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラとすることができる。
【0067】
請求項2に記載された発明によれば、赤外線反射層がプライマー層を兼ねるので、従来のプライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させるだけで、赤外線反射層とすることができる。
【0068】
請求項4に記載された発明によれば、赤外線反射層にフッ素樹脂を含有させるので、赤外線反射層と離型層との接着性を向上させることができる。
【0069】
請求項7に記載された発明によれば、赤外線反射層の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成するので、弾性層を熱劣化させることなく、フッ素樹脂を効率よく焼成することができ、そのために、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラとすることができる。
【0070】
請求項8,10,12,14,15に記載された発明によれば、弾性層と離型層との間に0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層、及び、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する赤外線吸収層を順次設けたので、(A)加熱定着ローラの外表面に照射された近赤外線が赤外線反射層で反射されるために、弾性層に不必要な加熱がされず、そのために、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができ、且つ、(B)照射された近赤外線が赤外線吸収層14で吸収されて熱量の吸収効率が向上するために、かかる熱が表層のフッ素樹脂塗布層にムダなく吸熱されて成膜性が向上し、そのために、加工コストを抑えることができる、加熱定着ローラとすることができる。
【0071】
請求項9に記載された発明によれば、赤外線反射層及び赤外線吸収層がプライマー層を兼ねるので、従来のプライマー塗料に適量の0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有させるだけで、赤外線反射層とすることができる。
【0072】
請求項11に記載された発明によれば、赤外線反射層にフッ素樹脂を含有させるので、赤外線反射層と赤外線吸収層と離型層との接着性を向上させることができる。
【0073】
請求項13に記載された発明によれば、赤外線吸収層にフッ素樹脂を含有させるので、赤外線吸収層と離型層との接着性を向上させることができる。
【0074】
請求項16に記載された発明によれば、赤外線吸収層の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより離型層を形成するので、弾性層を熱劣化させることなく、フッ素樹脂を効率よく焼成することができ、そのために、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができ、しかも、加工コストを抑えることができる加熱定着ローラとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す加熱定着ローラの断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、その一部拡大縦断面図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す加熱定着ローラの断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、その一部縦拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す加熱定着ローラを製造する過程において、赤外線をフッ素樹脂塗布層に照射してフッ素樹脂を焼結させる状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
1,11 基体
2,12 弾性層
3,13 赤外線反射層
5,15離型層
10,20 加熱定着ローラ
14 赤外線吸収層
21,22 支持体
23 セラミックヒータ
24 加熱容器
25 開閉扉

Claims (16)

  1. 基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着ローラにおいて、前記弾性層と離型層との間に、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層を設けたことを特徴とする加熱定着ローラ。
  2. 前記赤外線反射層が、プライマー層を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の加熱定着ローラ。
  3. 前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料が、チタン酸カリウム繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱定着ローラ。
  4. 前記赤外線反射層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  5. 前記弾性層を構成する耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  6. 前記離型層を構成するフッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された加熱定着ローラの製造において、前記赤外線反射層の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層を形成することを特徴とする加熱定着ローラの製造方法。
  8. 基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着ローラにおいて、前記弾性層と離型層との間に、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料を含有する赤外線反射層、及び、0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料を含有する赤外線吸収層を順次設けたことを特徴とする加熱定着ローラ。
  9. 前記赤外線反射層、及び、前記赤外線吸収層が、プライマー層を兼ねることを特徴とする請求項8に記載の加熱定着ローラ。
  10. 前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で反射特性を示す材料が、チタン酸カリウム繊維であることを特徴とする請求項8又は9に記載の加熱定着ローラ。
  11. 前記赤外線反射層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  12. 前記0.75〜2.0μmの近赤外線の波長領域で吸収特性を示す材料が、硫酸アルミニウムであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  13. 前記赤外線吸収層が、フッ素樹脂を含有することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  14. 前記弾性層を構成する耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  15. 前記離型層を構成するフッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  16. 請求項8〜15のいずれかに記載された加熱定着ローラの製造において、前記赤外線吸収層の上に塗布したフッ素樹脂塗布層を、その外周より、0.75〜2.0μmの領域の近赤外線を照射するセラミックヒータで加熱してフッ素樹脂を焼成することにより前記離型層を形成することを特徴とする加熱定着ローラの製造方法。
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