JP3044745B2 - 熱定着ローラの製造方法 - Google Patents

熱定着ローラの製造方法

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JP3044745B2 JP2142974A JP14297490A JP3044745B2 JP 3044745 B2 JP3044745 B2 JP 3044745B2 JP 2142974 A JP2142974 A JP 2142974A JP 14297490 A JP14297490 A JP 14297490A JP 3044745 B2 JP3044745 B2 JP 3044745B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、電子複写機等の熱定着部に使用される熱定
着ローラの製造方法に係り、特に近赤外線照射装置を用
いる熱定着ローラの製造方法に関する。
(従来の技術) 近年、電子複写機やレーザビームプリンタ等の熱定着
部に使用される熱定着ローラにおいては、高画質化、低
コスト化、長寿命化が強く要求されている。
このような中で高画質が得られる熱定着ローラとし
て、アルミ等の金属心軸上にシリコーンゴム等のゴム材
料を被覆し、このゴム層上にトナーとの離型性の良いPF
A(パーフルオロアルコキシ樹脂)やPTFE(ポリテトラ
フルオロエチレン樹脂)等のフッ素樹脂層を形成したも
のが知られている。
フッ素樹脂層の形成にあたっては、フッ素樹脂塗料を
塗布し焼成する方法、フッ素樹脂チューブを被覆し熱融
着させる方法等が従来から行われている。
しかしながら、フッ素樹脂塗料を塗布し焼成する方法
では、焼成温度が一般に高く、しかも温度制御が難しい
ために、焼成工程中に基層であるゴム層が高温にさらさ
れて熱劣化しやすいという問題がある。これに対処して
様々な方法が考案されているが、いずれも生産性が低下
しコスト高となる難点がある。
他方、フッ素樹脂チューブを用いる方法では、厚さ30
μm以下という薄肉のチューブの製造が技術的に困難な
ため、これより厚いチューブを使用せざるをえず熱応答
性に劣り定着性が低下するという問題がある。
(発明が解決しようとする課題) このように従来より、金属心軸上にゴム層を介してフ
ッ素樹脂層を設けた熱定着ローラが、トナーとの離型性
が良く高画質が得られるローラとして知られ、その製造
方法も種々開発され検討もされている。
しかしながらゴム層がフッ素樹脂焼成時の熱で劣化し
やすい、生産性に乏しくコスト高を招く、熱応答性に劣
り定着性が不良である等の難点があり、未だ高画質で耐
久性に優れた高性能の熱定着ローラを低コストで安定に
製造しうる方法がなく、その開発が待たれている。
本発明はこのような要求に応えるべくなされたもの
で、高画質で耐久性に優れた高性能の熱定着ローラを低
コストで安定に製造しうる方法を提供することを目的と
する。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、金属心軸上にゴム層を設け、このゴム層上
にフッ素樹脂の塗膜を形成し、次いで焼成するにあた
り、前記フッ素樹脂塗膜を形成した金属心軸を、高反射
均一曲面が形成され複数本の近赤外線ランプが内周面に
添って等配された近赤外線照射装置を備えた加熱炉内に
収容し、その表面近傍から近赤外線を照射して加熱焼成
する熱定着ローラの製造方法において、予め前記ゴム層
の熱劣化を最小限に抑えかつ良好な焼成がなされる焼成
適性温度パターンを、前記近赤外線照射装置に流れる電
流値パターンとして記憶装置に記憶させておき、この記
憶させた電流値パターンに基づいて近赤外線照射装置の
出力を制御して前記フッ素樹脂塗膜の加熱焼成を行うこ
とを特徴としている。
本発明に使用されるゴム材料としては、耐熱性に優れ
かつ適度な弾性を有するシリコーンゴムやフッ素ゴムが
適している。
またフッ素樹脂としては、たとえばPTFE、PFAや、テ
トラフルオロエチレンとパーフルオロプロピレンとのコ
ポリマーであるFEP(フッ化エチレンプロピレン樹脂)
等があげられる。
このようなフッ素樹脂は、アルミ等の金属心軸上に常
法により上記したようなゴム材料を被覆して設けたゴム
層上に、例えばフッ素樹脂塗料を塗布する方法、フッ素
樹脂粉体を静電塗装する方法等により被覆される。
さらに近赤外線照射装置を備えた加熱炉としては、た
とえば第2図に示すような、金メッキ等により高反射均
一曲面が形成された複数本の近赤外線ランプ1が内周面
に添って等配され、収容した未焼成のフッ素樹脂被覆2
を有するローラ3の表面全体に、近赤外線が均一かつ効
率よく照射されるようにしたものが好適に使用される。
なお、フッ素樹脂の吸収帯は近赤外線領域(波長約2.
5μm以下)にあるため、ローラ3表面のフッ素樹脂被
覆2は照射された近赤外線を吸収して選択的に加熱され
る。したがって内側のゴム層5が不必要に加熱されるこ
とがなくゴムの熱劣化が防止される。
(作 用) 本発明においては、金属心軸上にゴム層を介して被覆
したフッ素樹脂は、その表面近傍から照射した近赤外線
によって選択的に加熱され焼成されるが、ここで、近赤
外線照射装置の出力は、予め記憶装置に記憶させておい
た電流値パターンに基づくものであり、しかもこの電流
値パターンは、ゴム層の熱劣化を最小限に抑えかつ良好
な焼成がなされる焼成適正温度パターンを電流値パター
ンとして記憶装置に記憶させたものであるので、フッ素
樹脂は良好に焼成され、かつその間ゴム層の熱劣化は最
小限に抑えられる。しかも再現性に優れており、フッ素
樹脂が良好に焼成されかつゴム層の熱劣化も少ない高性
能の熱定着ローラを効率よく繰り返し安定して製造する
ことができる。
(実施例) 次に本発明の実施例を図面を用いて説明する。
第1図は、この実施例に使用される焼成装置のシステ
ム概略図である。
同図において、6は、第2図に示したような高反射均
一曲面を有する近赤外線ランプ複数本を備えた加熱炉を
示し、この加熱炉6はトランス7を介して出力ユニット
8に接続され、この出力ユニット8に接続された交流電
源9より、これらのトランス7および出力ユニット8を
介して所定の電力が供給されるようになっている。
また加熱炉6には、収容したローラの金属心軸近傍の
温度を検出するための熱電対10が挿入されており、この
熱電対9のシーケンサ11を介して接続された温度制御装
置12により、炉内温度が制御されるようになっている。
すなわち熱電対10により測定された温度と予め入力して
おいた適正温度とが比較され、シーケンサ11を介して出
力ユニット8に出力制御信号が出力され、これによって
加熱炉6の温度制御が行われる。
温度制御装置12から出力された出力制御信号はシーケ
ンサ11を介してデータロガー13にも出力されるようにな
っており、ここで炉温の昇温パターンが記録されるとと
もに、電流値パターンとして記憶され、さらにこの記憶
した電流値パターンに基づく出力制御信号がシーケンサ
6を介して出力ユニット3に出力され、これによっても
炉内温度が制御されるようになっている。
以下、このような焼成装置を用いた本発明にかかる熱
定着ローラの製造例を具体的に記載する。
まずアルミ心軸上にプライマーを介してシリコーンゴ
ム層を形成したシリコーンゴムローラ(外径60mm、胴長
330mm)の表面に、PTFEディスパージョンとしてAD−1
(旭硝子社製)を浸漬法により塗布し乾燥させてPTFE塗
膜を形成した。
次いで、このローラを加熱炉1内に収容して通電し、
熱電対5で測定した温度に基づいて電源出力を制御し、
これによって加熱炉1の温度を制御しながらPTFE塗膜を
焼成するとともに、データロガー8に炉温の昇温パター
ンを記録させ、さらにその際の電流値パターンを記憶さ
せた。
以後、この記憶させた電流値パターンに基づいて加熱
炉1の電源出力を制御し、これによって加熱炉1の温度
を制御しながら、上記と同様にして表面にPTFE塗膜を形
成し加熱炉1内に収容したローラのPTFE塗膜を焼成する
工程を繰り返して、計100本の熱定着ローラを製造し
た。
このようにして得られた熱定着ローラ、すなわち電流
値パターンに基づいて加熱炉1の電源出力を制御しなが
ら製造した熱定着ローラと、初めに熱電対の実測により
制御して得た熱定着ローラのシリコーンゴムおよびPTFE
焼成膜の物性を測定した結果を次表に示す。なおシリコ
ーンゴムの物性は焼成前を100%としたときの残率で示
した。またPTFE焼成膜に要求される物性を所期値として
同表に併せ示した。
表からも明らかなように本発明により得られた熱定着
ローラは、焼成によるシリコーンゴム層の劣化が非常に
小さく、またPTFE塗膜の焼成も良好であった。しかも再
現性に優れ、これらの物性にバラツキはほとんど認めら
れなかった。
なお第3図に示したグラフは、データロガー13に記録
された炉温の昇温曲線を示したもので、曲線(A)は最
初に電流値パターンとして記憶させた際のもの、曲線
(B)はその後記憶させた電流値パターンに基づいて炉
温を制御した際のものである。しかして両昇温曲線にほ
とんど違いはなく、本発明が再現性に優れた方法である
ことを示している。
[発明の効果] 以上の説明からも明らかなように、本発明方法によれ
ば、ゴム層上に被覆したフッ素樹脂塗膜の焼成に近赤外
線照射装置を用い、予めゴム層の熱劣化を最小限に抑え
かつ良好な焼成がなされる焼成適正温度パターンを、前
記近赤外線照射装置に流れる電流値パターンとして記憶
させておき、この電流値パターンに基づいて近赤外線照
射装置の出力を制御して焼成するするようにしたので、
高画質で耐久性に優れた高性能の熱定着ローラを低コス
トで安定に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施に使用される焼成装置のシステム
例を概略的に示す図、第2図は本発明の実施に使用され
る近赤外線照射装置を備えた加熱炉の一例を示す概略断
面図、第3図は本発明の一実施例における炉温の昇温曲
線を示したグラフである。 1……近赤外線ランプ 2……フッ素樹脂被覆 3……熱定着ローラ 4……金属心軸 5……ゴム層 6……加熱炉 8……出力ユニット 13……データロガー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−164774(JP,A) 特開 平3−167584(JP,A) 特開 平2−226286(JP,A) 特開 昭62−153979(JP,A) 特開 平1−219877(JP,A) 特開 昭56−142024(JP,A) 実開 昭62−126913(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 31/00 B29C 69/00 G03G 15/20 B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属心軸上にゴム層を設け、このゴム層上
    にフッ素樹脂の塗膜を形成し、次いで焼成するにあた
    り、前記フッ素樹脂塗膜を形成した金属心軸を、反射均
    一曲面が形成され複数本の近赤外線ランプが内周面に添
    って等配された近赤外線照射装置を備えた加熱炉内に収
    容し、その表面近傍から近赤外線を照射して加熱焼成す
    る熱定着ローラの製造方法において、 予め前記ゴム層の熱劣化を最小限に抑えかつ良好な焼成
    がなされる焼成適性温度パターンを、前記近赤外線照射
    装置に流れる電流値パターンとして記憶装置に記憶させ
    ておき、この記憶させた電流値パターンに基づいて近赤
    外線照射装置の出力を制御して前記フッ素樹脂塗膜の加
    熱焼成を行うことを特徴とする熱定着ローラの製造方
    法。
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