JP2004176230A - 吸湿性繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維に十分な吸湿性を付与し、かつ繊維がべたつかないで、さらっとした感触を有する吸湿性繊維構造物及びその製造方法の提供。
【解決手段】繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩、特にアルギン酸カルシウム微粒子を付着させたことを特徴とする吸湿性繊維構造物、及び繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて、パッドドライ法、コーティング法等により付着さることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩、特にアルギン酸カルシウム微粒子を付着させたことを特徴とする吸湿性繊維構造物、及び繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて、パッドドライ法、コーティング法等により付着さることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、吸湿性を付与した繊維構造物及びその製造方法に関し、特に、吸湿性を向上させ、かつぬれてもさらっとした感触を与える吸湿性かつべたつき感のない繊維構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、天然繊維、再生セルロース繊維、合成樹脂からの合成繊維等は、その優れた物理的および化学的特性を活かして、衣料用途や産業用途に広く利用されている。これらの繊維のうち、吸湿性が低い繊維、さらに吸湿性を改良させたい繊維には、吸湿性の改良加工処理を施して使用されている。
吸湿性改良加工処理方法としては、セルロースのカルボキシルメチル化処理のように繊維を化学的に変性する方法や繊維に吸湿成分を付与させる方法がある。吸湿成分を付着する方法としては、例えば、絹フィブロイン水溶液にポリカルボン酸重合体よりなる安定剤を添加した溶液を布帛に付与する方法(例えば、特許文献1参照。)、微粉体状改質シルクパウダーを布帛に固着させる方法(例えば、特許文献2参照。)、キトサンと超微粒子状酸化亜鉛をスポーツ衣料用布帛に付与する方法(例えば、特許文献3参照。)、ポリエステル系繊維にビニルカルボン酸及び/又はビニルスルホン酸を主体とするポリマーを付着させる方法(例えば、特許文献4参照。)、中空繊維の中空部にコラーゲンが固定及び/又は固着された吸水ポリマーのゲルを存在させる方法(例えば、特許文献5参照。)、アクリル樹脂やセルロース系からなる高吸放湿性有機微粒子を繊維布帛に付与させる方法(例えば、特許文献6参照。)等がある。
しかしながら、これらの技術によると、繊維への吸湿性の付与はある程度効果があるが、吸湿性の付与後の繊維にべたつきが生じ、さらっとした感触が得られないという問題があった。
【0003】
一方、アルギン酸は、海藻由来の糖質高分子で、繊維分野では紡糸糊、捺染剤、仕上げ剤などに用いられ、親水性が高く、人体に無害な高分子として多くの分野でその用途開発が行われてきている。特に、アルギン酸の多価金属塩は、繊維とすることにより十分な強度と良好な地合や感触を有する繊維として医療用用途等に用いられ(例えば、特許文献7参照。)、また、アルギン酸カルシウムからの繊維は、体液等の電解質水溶液の吸収性に優れ、医療用被覆剤等に用いられている(例えば、特許文献8参照。)。さらに、アルギン酸の多価金属塩を含有する合成樹脂組成物は、高い吸湿性と速やかな放湿性を兼ね備えた包装用材料、衣料用材料、合成皮革等に用いられている(例えば、特許文献9参照。)。
しかしながら、アルギン酸の多価金属塩を合成樹脂等に練り込んで使用すると、合成樹脂等から得られる繊維等に吸湿性を付与することはできるが、繊維にさらっとした感触が与えるには未だ十分ではないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−5275号公報
【特許文献2】
特開平5−78979号公報
【特許文献3】
特開平8−13340号公報
【特許文献4】
特開平9−217228号公報
【特許文献5】
特開平10−77577号公報
【特許文献6】
特開平11−247069号公報
【特許文献7】
特開昭61−174499号公報
【特許文献8】
特開平5−209318号公報
【特許文献9】
特開平9−12774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、繊維に十分な吸湿性を付与し、かつ繊維がべたつかないで、さらっとした感触を有する吸湿性繊維構造物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、繊維構造物表面にアルギン酸の多価金属塩を付着させることにより、繊維の吸湿性を向上させると同時に、ぬれた時にもべたつかず、さらっとした感触をした繊維構造物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第1発明によれば、繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩を付着させたことを特徴とする吸湿性繊維構造物が提供される。
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明におけるアルギン酸の多価金属塩が、アルギン酸カルシウム微粒子であることを特徴とする吸湿性繊維構造物が提供される。
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて付着さることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明におけるアルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂との重量比(アルギン酸の多価金属塩/バインダー樹脂)が0.5〜10であることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第5の発明によれば、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、パッドドライ法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする第3又は4の発明に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第6の発明によれば、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、コーティング法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする第3又は4の発明に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸湿性繊維構造物及びその製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0014】
1.繊維構造物
本発明の吸湿性繊維構造物に用いる繊維構造物は、1種類の繊維単独またはその繊維と他の繊維とを混合して作った混紡、交織繊維構造物であり、例えば、織物、編物又は不織布等であり、更に具体例としては、肌着、シャツ、シーツ、カバー、パジャマ等に用いる布帛である。
【0015】
本発明における繊維構造物の繊維としては、木綿、キュプラ、カポック等の種子毛繊維、亜麻、大麻、黄麻、苧麻、ケナフ、芭蕉布等の靱皮繊維、アバカ、サイザル等の葉脈繊維、椰子などの果実繊維、パルプ等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、テンセル等の精製セルロース等のセルロース系繊維、羊毛、シルク等の動物性繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、ポリオレフィン等の合成繊維等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上を混合しても用いることができる。
【0016】
2.アルギン酸の多価金属塩
アルギン酸とは、多糖類の1種であり、マンヌロン酸及びその異性体であるグルクロン酸(C5H9O5・COOH)の脱水重合体である。アルギン酸は通常、乾燥海藻の炭酸ナトリウム抽出液を塩酸で処理して得られる。本発明の吸湿性繊維構造物に用いるアルギン酸の多価金属塩は、アルギン酸を多価金属イオンで架橋した構造を有するものであり、アルギン酸とは異なり、水に対して不溶性である。また、アルギン酸の多価金属塩は、単に多価金属イオンで架橋しただけではゲル状を呈する場合があるが、本発明においては、微粒子形状に調製して用いるのが好ましい。微粒子の平均粒径は、0.1〜100μmが好ましく、さらっとした感触を得るためには10〜50μmが特に好ましい。
なお、微粒子の平均粒径はレーザー光散乱方式で測定する値である。
【0017】
アルギン酸の多価金属塩は、例えばアルギン酸とナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との一価金属塩の水溶液をスプレードライ法、エマルジョン法等により微細粒子とした後、多価金属イオンを含む水溶液中に浸漬させることにより得ることができる。また、前記アルギン酸の一価金属塩の水溶液あるいはそれを酸で処理したものを、多価金属イオンを有する水溶液中で撹拌後、不溶物を分取し、乾燥、粉砕させて微粒子体として用いることが好ましい。
【0018】
ここで、多価金属塩としては、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、水銀、ストロンチウム、ラジウム、鉛、銅、鉄、アルミニウム、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン等との金属塩が挙げられる。それらの内、アルギン酸カルシウム、アルギン酸亜鉛、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸バリウムが好ましく、アルギン酸カルシウムが特に好ましい。
【0019】
アルギン酸カルシウム微粒子は、水分呼吸性に優れ、また吸湿しても、形状及び寸法にほとんど差が生じないという特徴があり、粒状充填材として通常用いられるシリカゲル、ゼオライト、微結晶セルロースに比べ、高い水分呼吸性を有し、さらに、吸湿時における優れた寸法安定性を有している。
【0020】
本発明において、繊維構造物に付着させるアルギン酸の多価金属塩付着量は、繊維構造物に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。アルギン酸の多価金属塩の付着量が1重量%未満では、繊維構造物に吸湿性を付与させる効果がなく、50重量%を超えると効果が頭打ちになると共に生地重量が増えて風合的にもよくない。
【0021】
3.吸湿性繊維構造物の製造方法
本発明の吸湿性繊維構造物は、上記繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させて得られる。繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させる方法としては、一般的に使用されているパッドドライ法、コーティング法、スプレー法、糊剤法、捺染法などにより行うことができ、これらの方法に限定されないが、パッドドライ法、コーティング法が均一な処理が可能であるので、本発明の吸湿性繊維構造物の製造方法として好ましい。
【0022】
また、本発明の吸湿性繊維構造物の製造においては、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて繊維構造物に付着させる方法が好ましい。
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂バインダー、ポリエステル系樹脂バインダー、ウレタン系樹脂バインダー、シリコン系樹脂バインダー、メラミン樹脂バインダーなどの公知のバインダー樹脂を、使用する繊維構造物に応じて、選択して使用できる。特に、繊維構造物の吸湿性を阻害しないで、処理される繊維構造物に好適なバインダーとしては、アクリル系バインダー、ポリウレタン系バインダーが好ましい。アクリル系バインダーとしては、例えば、ライトエポックT−23M(共栄社化学製)等があり、また、ウレタン系バインダーとしては、例えば、パラゾールPN−14、PN−20(大原パラヂウム製)等が挙げられる。
【0023】
バインダー樹脂を用いる場合、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂との重量比(アルギン酸多価金属塩/バインダー樹脂)は、0.5〜10が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0である。該重量比が0.5未満では、効果が充分でなく、一方、10を超えると風合の硬化が著しく、かつ経済的でない。
【0024】
さらに、本発明においては、繊維構造物に吸湿性を付与するとき、必要に応じて、柔軟剤、乳化剤、帯電防止剤、溶剤、撥水剤、撥油剤、その他の繊維処理剤、抗菌剤、消泡剤等を配合してもよい。
【0025】
アルギン酸の多価金属塩を繊維構造物に付着させる上記パッドドライ法とは、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂を含む水溶液に繊維構造物を浸漬し、繊維構造物に溶液を均一に付着させた後に絞り(この操作をパッドする又はパッディングと呼ぶ)、次いで乾燥(この操作をドライする又はドライニングと呼ぶ)し、最後にベーキングする方法である。
パッドにおけるアルギン酸多価金属塩とバインダー樹脂の水溶液の濃度としては、アルギン酸の多価金属塩が5〜200g/リットルが好ましく、より好ましくは10〜100g/リットルであり、バインダー樹脂が5〜100g/リットルが好ましく、より好ましくは10〜50g/リットルである。それぞれの濃度が上記範囲未満では明らかな効果が認められず、上記範囲を超えると風合いの硬化が著しかったり、経済的でなかったりする。
浸漬後の繊維構造物の絞り率は、70〜120%が好ましく、より好ましくは80〜100%である。
また、ドライの乾燥条件としては、80〜120℃の温度で、1〜3分間行うのが繊維構造物へのアルギン酸多価金属塩の付着を促進するので好ましい。
さらに、ベーキング条件としては、140〜160℃の温度で、2〜3分間行うのが繊維構造物へのアルギン酸多価金属塩の付着を促進するので好ましい。
【0026】
また、アルギン酸の多価金属塩を繊維構造物に付着させる上記コーティング法とは、アルギン酸多価金属塩とバインダー樹脂、さらに必要に応じて、増粘剤を含む溶液を繊維構造物の表面に、ナイフコーティング法、ロータリースクリーンコーティング法、フラットスクリーンコーティング法、コンマコータコーティング法、ロールコーティング法等でコーティングし、次いで乾燥し、最後にベーキングする方法である。
コーティングにおけるアルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂の水溶液の濃度としては、パッドドライ法と同じであるが、必要に応じて、増粘剤を5〜100g/リットル加え、コーティング処理を容易にすることが好ましい。
ここで、増粘剤としては、従来公知のポリエーテル系、ポリアクリル酸系、カルボン酸系、ケイ酸系、酸・アルカリ系等の増粘剤が挙げられる。
また、コーティング後の乾燥条件及びベーキング条件は、パッドドライ法と同様の条件で実施することができる。
【0027】
4.吸湿性繊維構造物の用途
本発明の吸湿性繊維構造物は、吸湿性に優れると同時にぬれたときにもべたつかずさらっとした感触を与える繊維構造物であるので、主として、肌着、シーツ、カバー、パジャマ、シャツ、ブラウス、洋服、作業着、制服、手袋、ソックス等に利用される。
【0028】
【実施例】
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価試験方法は、以下の通りである。
(1)吸湿率:試料を35℃、90%RHの恒温恒湿器に15時間放置したときの重量(W1)と、絶乾重量(W0)を測定し、次式により算出した。
吸湿率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
(2)べたつき力:幅5cm×長さ15cmの試料を用い、試料の長さ方向の一方にフォースゲージをつなげ、他端に3g/cmの荷重を吊し、径60mmの金属ローラーにかけ、金属ローラーに0.5g/5cm幅の水を添加して、金属ローラーを荷重方向に3.0cm/sで回転させ、ローラーと試料との間に生じる摩擦抵抗力を引張量としてフォースゲージで測定した。
【0029】
実施例1
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)10g/リットル、及びアクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分13.5g/リットルを含有する水溶液に、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)を浸漬し、絞り率80%で絞った後、120℃×1分間乾燥し、続いて150℃×2分間ベーキングしてパッドドライ法で吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0030】
実施例2
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を30g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0031】
実施例3
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を50g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例4
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を100g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0033】
実施例5
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)10g/リットル、アクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分13.5g/リットル、及びポリエーテル系増粘剤(商品名:パラゾールV−10;大原パラジウム製)固形分40g/リットルを含有する水溶液を、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)の表面に厚さ0.05mmになるようにナイフコーティング処理した後、120℃×2分間乾燥し、続いて150℃×2分間ベーキングして、コーティング法で吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例6
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を100g/リットルに変更し、増粘剤の濃度を固形分20g/リットルに変更する以外は、実施例5と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例7
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)100g/リットル、アクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分20g/リットル及びポリエーテル系増粘剤(商品名:パラゾールV−10;大原パラジウム製)固形分20g/リットルを含有する水溶液を、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)の表面にスクリーンコーティング方式で処理した後、120℃×2分間乾燥し、続いて160℃×2分間ベーキングして、80℃にて湯洗、その後水洗して、120℃×2分間乾燥して、吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0036】
実施例8
綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)を用いる以外は、実施例5と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例9
綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)を用いる以外は、実施例6と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1〜2
アルギン酸カルシウム微粒子処理を行わない、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)及び綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1より明らかなように、アルギン酸カルシウム微粒子を付着させた繊維構造物は、アルギン酸カルシウム微粒子を付着させていない繊維構造物(比較例1及び2)に比較して、吸湿率が5〜50%上昇し、べたつき力が5〜60%低下して、さらっとした感触となっている。特に、高濃度にアルギン酸カルシウム微粒子を付着させた繊維構造物は、吸湿率が向上しているとともに、べたつき力が低下し、さらっとした感触が得られる(実施例6、9)ことがわかる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の吸湿性繊維構造物は、吸湿性に優れると同時にぬれたときにもべたつかずさらっとした感触を与える繊維構造物であるので、肌着、シャツ、シーツ、パジャマ等の用途に好適に用いることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、吸湿性を付与した繊維構造物及びその製造方法に関し、特に、吸湿性を向上させ、かつぬれてもさらっとした感触を与える吸湿性かつべたつき感のない繊維構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、天然繊維、再生セルロース繊維、合成樹脂からの合成繊維等は、その優れた物理的および化学的特性を活かして、衣料用途や産業用途に広く利用されている。これらの繊維のうち、吸湿性が低い繊維、さらに吸湿性を改良させたい繊維には、吸湿性の改良加工処理を施して使用されている。
吸湿性改良加工処理方法としては、セルロースのカルボキシルメチル化処理のように繊維を化学的に変性する方法や繊維に吸湿成分を付与させる方法がある。吸湿成分を付着する方法としては、例えば、絹フィブロイン水溶液にポリカルボン酸重合体よりなる安定剤を添加した溶液を布帛に付与する方法(例えば、特許文献1参照。)、微粉体状改質シルクパウダーを布帛に固着させる方法(例えば、特許文献2参照。)、キトサンと超微粒子状酸化亜鉛をスポーツ衣料用布帛に付与する方法(例えば、特許文献3参照。)、ポリエステル系繊維にビニルカルボン酸及び/又はビニルスルホン酸を主体とするポリマーを付着させる方法(例えば、特許文献4参照。)、中空繊維の中空部にコラーゲンが固定及び/又は固着された吸水ポリマーのゲルを存在させる方法(例えば、特許文献5参照。)、アクリル樹脂やセルロース系からなる高吸放湿性有機微粒子を繊維布帛に付与させる方法(例えば、特許文献6参照。)等がある。
しかしながら、これらの技術によると、繊維への吸湿性の付与はある程度効果があるが、吸湿性の付与後の繊維にべたつきが生じ、さらっとした感触が得られないという問題があった。
【0003】
一方、アルギン酸は、海藻由来の糖質高分子で、繊維分野では紡糸糊、捺染剤、仕上げ剤などに用いられ、親水性が高く、人体に無害な高分子として多くの分野でその用途開発が行われてきている。特に、アルギン酸の多価金属塩は、繊維とすることにより十分な強度と良好な地合や感触を有する繊維として医療用用途等に用いられ(例えば、特許文献7参照。)、また、アルギン酸カルシウムからの繊維は、体液等の電解質水溶液の吸収性に優れ、医療用被覆剤等に用いられている(例えば、特許文献8参照。)。さらに、アルギン酸の多価金属塩を含有する合成樹脂組成物は、高い吸湿性と速やかな放湿性を兼ね備えた包装用材料、衣料用材料、合成皮革等に用いられている(例えば、特許文献9参照。)。
しかしながら、アルギン酸の多価金属塩を合成樹脂等に練り込んで使用すると、合成樹脂等から得られる繊維等に吸湿性を付与することはできるが、繊維にさらっとした感触が与えるには未だ十分ではないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−5275号公報
【特許文献2】
特開平5−78979号公報
【特許文献3】
特開平8−13340号公報
【特許文献4】
特開平9−217228号公報
【特許文献5】
特開平10−77577号公報
【特許文献6】
特開平11−247069号公報
【特許文献7】
特開昭61−174499号公報
【特許文献8】
特開平5−209318号公報
【特許文献9】
特開平9−12774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、繊維に十分な吸湿性を付与し、かつ繊維がべたつかないで、さらっとした感触を有する吸湿性繊維構造物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、繊維構造物表面にアルギン酸の多価金属塩を付着させることにより、繊維の吸湿性を向上させると同時に、ぬれた時にもべたつかず、さらっとした感触をした繊維構造物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第1発明によれば、繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩を付着させたことを特徴とする吸湿性繊維構造物が提供される。
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明におけるアルギン酸の多価金属塩が、アルギン酸カルシウム微粒子であることを特徴とする吸湿性繊維構造物が提供される。
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて付着さることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明におけるアルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂との重量比(アルギン酸の多価金属塩/バインダー樹脂)が0.5〜10であることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第5の発明によれば、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、パッドドライ法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする第3又は4の発明に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第6の発明によれば、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、コーティング法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする第3又は4の発明に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸湿性繊維構造物及びその製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0014】
1.繊維構造物
本発明の吸湿性繊維構造物に用いる繊維構造物は、1種類の繊維単独またはその繊維と他の繊維とを混合して作った混紡、交織繊維構造物であり、例えば、織物、編物又は不織布等であり、更に具体例としては、肌着、シャツ、シーツ、カバー、パジャマ等に用いる布帛である。
【0015】
本発明における繊維構造物の繊維としては、木綿、キュプラ、カポック等の種子毛繊維、亜麻、大麻、黄麻、苧麻、ケナフ、芭蕉布等の靱皮繊維、アバカ、サイザル等の葉脈繊維、椰子などの果実繊維、パルプ等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、テンセル等の精製セルロース等のセルロース系繊維、羊毛、シルク等の動物性繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、ポリオレフィン等の合成繊維等が挙げられる。これらは、単独でも、2種類以上を混合しても用いることができる。
【0016】
2.アルギン酸の多価金属塩
アルギン酸とは、多糖類の1種であり、マンヌロン酸及びその異性体であるグルクロン酸(C5H9O5・COOH)の脱水重合体である。アルギン酸は通常、乾燥海藻の炭酸ナトリウム抽出液を塩酸で処理して得られる。本発明の吸湿性繊維構造物に用いるアルギン酸の多価金属塩は、アルギン酸を多価金属イオンで架橋した構造を有するものであり、アルギン酸とは異なり、水に対して不溶性である。また、アルギン酸の多価金属塩は、単に多価金属イオンで架橋しただけではゲル状を呈する場合があるが、本発明においては、微粒子形状に調製して用いるのが好ましい。微粒子の平均粒径は、0.1〜100μmが好ましく、さらっとした感触を得るためには10〜50μmが特に好ましい。
なお、微粒子の平均粒径はレーザー光散乱方式で測定する値である。
【0017】
アルギン酸の多価金属塩は、例えばアルギン酸とナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との一価金属塩の水溶液をスプレードライ法、エマルジョン法等により微細粒子とした後、多価金属イオンを含む水溶液中に浸漬させることにより得ることができる。また、前記アルギン酸の一価金属塩の水溶液あるいはそれを酸で処理したものを、多価金属イオンを有する水溶液中で撹拌後、不溶物を分取し、乾燥、粉砕させて微粒子体として用いることが好ましい。
【0018】
ここで、多価金属塩としては、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、バリウム、カドミウム、水銀、ストロンチウム、ラジウム、鉛、銅、鉄、アルミニウム、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン等との金属塩が挙げられる。それらの内、アルギン酸カルシウム、アルギン酸亜鉛、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸バリウムが好ましく、アルギン酸カルシウムが特に好ましい。
【0019】
アルギン酸カルシウム微粒子は、水分呼吸性に優れ、また吸湿しても、形状及び寸法にほとんど差が生じないという特徴があり、粒状充填材として通常用いられるシリカゲル、ゼオライト、微結晶セルロースに比べ、高い水分呼吸性を有し、さらに、吸湿時における優れた寸法安定性を有している。
【0020】
本発明において、繊維構造物に付着させるアルギン酸の多価金属塩付着量は、繊維構造物に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。アルギン酸の多価金属塩の付着量が1重量%未満では、繊維構造物に吸湿性を付与させる効果がなく、50重量%を超えると効果が頭打ちになると共に生地重量が増えて風合的にもよくない。
【0021】
3.吸湿性繊維構造物の製造方法
本発明の吸湿性繊維構造物は、上記繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させて得られる。繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させる方法としては、一般的に使用されているパッドドライ法、コーティング法、スプレー法、糊剤法、捺染法などにより行うことができ、これらの方法に限定されないが、パッドドライ法、コーティング法が均一な処理が可能であるので、本発明の吸湿性繊維構造物の製造方法として好ましい。
【0022】
また、本発明の吸湿性繊維構造物の製造においては、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて繊維構造物に付着させる方法が好ましい。
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂バインダー、ポリエステル系樹脂バインダー、ウレタン系樹脂バインダー、シリコン系樹脂バインダー、メラミン樹脂バインダーなどの公知のバインダー樹脂を、使用する繊維構造物に応じて、選択して使用できる。特に、繊維構造物の吸湿性を阻害しないで、処理される繊維構造物に好適なバインダーとしては、アクリル系バインダー、ポリウレタン系バインダーが好ましい。アクリル系バインダーとしては、例えば、ライトエポックT−23M(共栄社化学製)等があり、また、ウレタン系バインダーとしては、例えば、パラゾールPN−14、PN−20(大原パラヂウム製)等が挙げられる。
【0023】
バインダー樹脂を用いる場合、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂との重量比(アルギン酸多価金属塩/バインダー樹脂)は、0.5〜10が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0である。該重量比が0.5未満では、効果が充分でなく、一方、10を超えると風合の硬化が著しく、かつ経済的でない。
【0024】
さらに、本発明においては、繊維構造物に吸湿性を付与するとき、必要に応じて、柔軟剤、乳化剤、帯電防止剤、溶剤、撥水剤、撥油剤、その他の繊維処理剤、抗菌剤、消泡剤等を配合してもよい。
【0025】
アルギン酸の多価金属塩を繊維構造物に付着させる上記パッドドライ法とは、アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂を含む水溶液に繊維構造物を浸漬し、繊維構造物に溶液を均一に付着させた後に絞り(この操作をパッドする又はパッディングと呼ぶ)、次いで乾燥(この操作をドライする又はドライニングと呼ぶ)し、最後にベーキングする方法である。
パッドにおけるアルギン酸多価金属塩とバインダー樹脂の水溶液の濃度としては、アルギン酸の多価金属塩が5〜200g/リットルが好ましく、より好ましくは10〜100g/リットルであり、バインダー樹脂が5〜100g/リットルが好ましく、より好ましくは10〜50g/リットルである。それぞれの濃度が上記範囲未満では明らかな効果が認められず、上記範囲を超えると風合いの硬化が著しかったり、経済的でなかったりする。
浸漬後の繊維構造物の絞り率は、70〜120%が好ましく、より好ましくは80〜100%である。
また、ドライの乾燥条件としては、80〜120℃の温度で、1〜3分間行うのが繊維構造物へのアルギン酸多価金属塩の付着を促進するので好ましい。
さらに、ベーキング条件としては、140〜160℃の温度で、2〜3分間行うのが繊維構造物へのアルギン酸多価金属塩の付着を促進するので好ましい。
【0026】
また、アルギン酸の多価金属塩を繊維構造物に付着させる上記コーティング法とは、アルギン酸多価金属塩とバインダー樹脂、さらに必要に応じて、増粘剤を含む溶液を繊維構造物の表面に、ナイフコーティング法、ロータリースクリーンコーティング法、フラットスクリーンコーティング法、コンマコータコーティング法、ロールコーティング法等でコーティングし、次いで乾燥し、最後にベーキングする方法である。
コーティングにおけるアルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂の水溶液の濃度としては、パッドドライ法と同じであるが、必要に応じて、増粘剤を5〜100g/リットル加え、コーティング処理を容易にすることが好ましい。
ここで、増粘剤としては、従来公知のポリエーテル系、ポリアクリル酸系、カルボン酸系、ケイ酸系、酸・アルカリ系等の増粘剤が挙げられる。
また、コーティング後の乾燥条件及びベーキング条件は、パッドドライ法と同様の条件で実施することができる。
【0027】
4.吸湿性繊維構造物の用途
本発明の吸湿性繊維構造物は、吸湿性に優れると同時にぬれたときにもべたつかずさらっとした感触を与える繊維構造物であるので、主として、肌着、シーツ、カバー、パジャマ、シャツ、ブラウス、洋服、作業着、制服、手袋、ソックス等に利用される。
【0028】
【実施例】
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価試験方法は、以下の通りである。
(1)吸湿率:試料を35℃、90%RHの恒温恒湿器に15時間放置したときの重量(W1)と、絶乾重量(W0)を測定し、次式により算出した。
吸湿率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
(2)べたつき力:幅5cm×長さ15cmの試料を用い、試料の長さ方向の一方にフォースゲージをつなげ、他端に3g/cmの荷重を吊し、径60mmの金属ローラーにかけ、金属ローラーに0.5g/5cm幅の水を添加して、金属ローラーを荷重方向に3.0cm/sで回転させ、ローラーと試料との間に生じる摩擦抵抗力を引張量としてフォースゲージで測定した。
【0029】
実施例1
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)10g/リットル、及びアクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分13.5g/リットルを含有する水溶液に、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)を浸漬し、絞り率80%で絞った後、120℃×1分間乾燥し、続いて150℃×2分間ベーキングしてパッドドライ法で吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0030】
実施例2
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を30g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0031】
実施例3
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を50g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例4
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を100g/リットルに変更する以外は、実施例1と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0033】
実施例5
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)10g/リットル、アクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分13.5g/リットル、及びポリエーテル系増粘剤(商品名:パラゾールV−10;大原パラジウム製)固形分40g/リットルを含有する水溶液を、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)の表面に厚さ0.05mmになるようにナイフコーティング処理した後、120℃×2分間乾燥し、続いて150℃×2分間ベーキングして、コーティング法で吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例6
アルギン酸カルシウム微粒子の濃度を100g/リットルに変更し、増粘剤の濃度を固形分20g/リットルに変更する以外は、実施例5と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例7
アルギン酸カルシウム微粒子(商品名:フラビカファイン(S)タイプ、平均粒径:20μm;日清紡績製)100g/リットル、アクリル系バインダー樹脂(商品名:ライトエポックT−23M;共栄社化学製、固形分40%)固形分20g/リットル及びポリエーテル系増粘剤(商品名:パラゾールV−10;大原パラジウム製)固形分20g/リットルを含有する水溶液を、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)の表面にスクリーンコーティング方式で処理した後、120℃×2分間乾燥し、続いて160℃×2分間ベーキングして、80℃にて湯洗、その後水洗して、120℃×2分間乾燥して、吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0036】
実施例8
綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)を用いる以外は、実施例5と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例9
綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)を用いる以外は、実施例6と同様にして吸湿処理繊維構造物を得た。得られた繊維構造物の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1〜2
アルギン酸カルシウム微粒子処理を行わない、綿100%の50×40番平織物(経糸密度148本/インチ、緯糸密度70本/インチ)及び綿50%、ポリエステル50%の混紡を用いた48×48番平織物(経糸密度137本/インチ、緯糸密度76本/インチ)の吸湿率、及びべたつき力を評価した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1より明らかなように、アルギン酸カルシウム微粒子を付着させた繊維構造物は、アルギン酸カルシウム微粒子を付着させていない繊維構造物(比較例1及び2)に比較して、吸湿率が5〜50%上昇し、べたつき力が5〜60%低下して、さらっとした感触となっている。特に、高濃度にアルギン酸カルシウム微粒子を付着させた繊維構造物は、吸湿率が向上しているとともに、べたつき力が低下し、さらっとした感触が得られる(実施例6、9)ことがわかる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の吸湿性繊維構造物は、吸湿性に優れると同時にぬれたときにもべたつかずさらっとした感触を与える繊維構造物であるので、肌着、シャツ、シーツ、パジャマ等の用途に好適に用いることができる。
Claims (6)
- 繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩を付着させたことを特徴とする吸湿性繊維構造物。
- アルギン酸の多価金属塩がアルギン酸カルシウム微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の吸湿性繊維構造物。
- 繊維構造物に、アルギン酸の多価金属塩をバインダー樹脂を用いて付着させることを特徴とする吸湿性繊維構造物の製造方法。
- アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂との重量比(アルギン酸の多価金属塩/バインダー樹脂)が0.5〜10であることを特徴とする請求項3に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法。
- アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、パッドドライ法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする請求項3又は4に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法。
- アルギン酸の多価金属塩とバインダー樹脂とを含有した水溶液を用い、コーティング法で、繊維構造物にアルギン酸の多価金属塩を付着させることを特徴とする請求項3又は4に記載の吸湿性繊維構造物の製造方法。
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CN105568479A (zh) * | 2015-12-11 | 2016-05-11 | 桐乡市玉溪针织有限公司 | 具有抗菌保健功能的海洋生物纺织面料 |
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-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002346942A patent/JP2004176230A/ja active Pending
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