JP2004175675A - 新規なフッ素化非対称化合物、および該化合物を用いた電子写真感光体、電子写真装置。 - Google Patents
新規なフッ素化非対称化合物、および該化合物を用いた電子写真感光体、電子写真装置。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】下記式(1)で表されるフッ素化非対称化合物。
(式中、XはSまたはOであり、Ar1は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar2は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8以上からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar1=Ar2でない。)
【効果】本発明により得られる新規フッ素化非対称化合物は電子輸送性に優れ、該化合物を電子写真感光体に用いた場合には、樹脂への分散性が改善されつつ、かつ電気特性、繰り返し安定性にも優れた高耐久性の電子写真感光体が得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフッ素化非対称誘導体および、該化合物を用いた電子写真感光体、さらに詳しくは、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感光体、ならびに該感光体を備えた電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電子写真感光体(OPC)は、近年、無公害、低コスト、材料選択の自由度から感光体特性を様々に設計できるなどの観点から、広く実用化されている。OPCの感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを積層させた積層型の感光体、いわゆる機能分離型の感光体や、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に分散させた、いわゆる単層型の感光体などが提案されている。
これらの感光体に使用される電荷輸送剤にはキャリヤ移動度が高いことが要求されているが、キャリヤ移動度が高い電荷輸送剤のほとんどが正孔輸送性であるため、実用に供されているOPCは、機械的強度の観点から、最外層に電荷輸送層が設けられた負帯電プロセスの積層型感光体に限られている。しかし、負帯電プロセスのOPCは負極性コロナ放電を利用するため、正極性のそれに比べて不安定であり、かつオゾンの発生量が多いので感光体を劣化させる原因となり、また使用環境への悪影響などが問題となっている。
【0003】
このような問題点を解決するためには正帯電プロセスで使用できるOPCが有効である。そのためには、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが必要である。例えば特許文献1には、ジフェノキノン構造またはベンゾキノン構造を有する化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用することが提案されている。また、特許文献2には、ベンゼンテトラカルボン酸ジイミド化合物を電子写真感光体用の電子輸送剤として使用することが提案されている。
【0004】
しかしながら、一般にジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ベンゼンテトラカルボン酸ジイミド化合物などの従来の電子輸送剤は、結着樹脂との相溶性が低いため、析出する等の問題がある。また、感光層中に分散できる量が制限されてしまうために、ホッピング距離が長くなり、低電界での電子移動が生じ難い。従って、従来の電子輸送剤を含有する感光体は、電子輸送能に優れた感光体とすることが困難であり、これらに代わる電子輸送能を改良した材料が強く求められてきた。
【0005】
電子輸送材料が機能するためには、電荷発生材料で生成した電子キャリアを受容できること、分子内および分子間を電子キャリアが効率的に移動できること、デバイスの設計・生産に対応できる物性を有することが必須である。これらの要件を満たしうるのは芳香族化合物であり、電子吸引基を有する電子受容性化合物であって、分子内にπ共役系が大きくかつ非局在化しているものが望ましい。また、上述のとおり、加工的観点から有機溶剤に対する十分な溶解性と、成膜的観点から結着樹脂に対する十分な相溶性が必要である。そこで、例えばニトロ基やシアノ基、フッ素原子等を含有する化合物群等が考えられる。
【0006】
しかしながら、ニトロ基やシアノ基を分子内に含有する化合物は、その製造に危険な反応を伴うことが多い点、化合物自体の安全性の点、結着樹脂への分散性の悪さなどの点から実用的でない。また、フッ素原子を含有する化合物については、既に式(2)〜(4)に示すような化合物が知られているが(非特許文献1、非特許文献2)結晶構造がアモルファスに近いα型をとれないために、電子が効率的に移動できないことから、電子輸送能に優れた感光体とすることが困難である。
【特許文献1】
特開平1−206349号公報
【特許文献2】
特開平5−142812号公報
【非特許文献1】
Klimenko,L.S.et al Zh.Org.Khim.,15(1),152−7(1979)
【非特許文献2】
De Pasquale,Ralph J.et al J.Org.Chem.,32(10),3163−8(1967).
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記した技術的課題を解決し、有機電子写真感光体における電子輸送剤として好適な新規化合物と、該化合物を用いた従来よりも高感度の電子写真感光体とを提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、一般式(1)(化3)で示されるフッ素化非対称化合物が、樹脂への分散性が良好であり、かつ薄膜形成性や電子輸送性に優れており、電子写真感光体における電子輸送剤として使用することにより、高感度で高性能な素子を作製可能であることを見出し、本発明に至った。
【0009】
【化3】
【0010】
すなわち、本発明は、
▲1▼上記一般式(1)で表されるフッ素化非対称化合物であり、また、
[式中、XはSまたはOであり、Ar1は炭素原子とフッ素原子のみから構成される置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar2は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8以上からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar1=Ar2でない。ただし、式(2)〜(4)(化4)である場合を除く。]
【0011】
【化4】
【0012】
▲2▼XがSであることを特徴とする▲1▼記載のフッ素化非対称化合物
▲3▼Ar1は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数6〜36からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar2は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8〜36からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表すことを特徴とする▲1▼〜▲2▼記載のフッ素化非対称化合物
▲4▼導電性基体上に感光層が設けられた電子写真感光体において、該感光体層中に、上記化合物が含有されていることを特徴とする▲1▼〜▲3▼記載の電子写真感光体
▲5▼▲4▼記載の電子写真感光体を備えた電子写真装置
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
一般式(1)のAr1は炭素原子とフッ素原子のみから構成される置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar2は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8以上からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表す。従って、置換されていてもよい置換基も同様に炭素原子とフッ素原子のみから構成される置換基である。
【0015】
まず、Ar1において、炭素原子とフッ素原子のみによって構成される置換されていてもよいペルフルオロアリール基とは、アリール基の任意の一部が置換されていてもよいペルフルオロアリール基のことである。
より好ましくは、炭素数6〜36の置換されていてもよいペルフルオロアリール基である。例えばフッ素原子、置換されていてもよいペルフルオロアルキル基、置換されていてもよいペルフルオロアリール基等で置換されたペルフルオロアリール基を挙げることができる。
【0016】
具体的にはフッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ペルフルオロプロピル基、n−ペルフルオロブチル基、n−ペルフルオロペンチル基、n−ペルフルオロヘキシル基、n−ペルフルオロヘプチル基、n−ペルフルオロオクチル基、n−ペルフルオロノニル基またはn−ペルフルオロデシル基等の直鎖状のペルフルオロアルキル基、i―ペルフルオロプロピル基、sec−ペルフルオロブチル基、tert−ペルフルオロブチル基、1−ペルフルオロメチルブチル基、2−ペルフルオロメチルブチル基、ペルフルオロイソペンチル基、2,3−ペルフルオロジメチルプロピル基、ペルフルオロネオペンチル基、tert−ペルフルオロペンチル基等の分岐状のペルフルオロアルキル基、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロナフチル基、ノナフルオロビフェニリル基、ヘキサフルオロアズレニル基、ノナフルオロヘプタレニル基、ノナフルオロフェナントレニル基、ノナフルオロアントラセニル基、トリデカフルオロターフェニル基等のペルフルオロアリール基、トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロエチルテトラフルオロフェニル基、ペルフルオロプロピルテトラフルオロフェニル基、ビス−トリフルオロメチルトリフルオロフェニル基、トリ−トリフルオロメチルジフルオロフェニル基、トリフルオロメチルヘキサフルオロナフチル基、ペンタフルオロエチルヘキサフルオロナフチル基、ペルフルオロプロピルヘキサフルオロナフチル基、ビス−トリフルオロメチルペンタフルオロナフチル基、トリ−トリフルオロメチルテトラフルオロナフチル基、トリフルオロメチルドデカフルオロターフェニル基、ペンタフルオロエチルドデカフルオロターフェニル基、ペルフルオロプロピルドデカフルオロターフェニル基、ビス−トリフルオロメチルウンデカフルオロターフェニル基、トリ−トリフルオロメチルデカフルオロターフェニル基等の任意のペルフルオロアルキル基で置換されたペルフルオロアリール基、ペンタフルオロフェニル−トリフルオロメチル−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル−ペルフルオロプロピル−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル−ジ−トリフルオロメチル−テトラフルオロナフチル基、ペンタフルオロエチル−ペンタフルオロフェニル−ウンデカフルオロターフェニル基等の任意のペルフルオロアルキル基やペルフルオロアリール基で置換されたペルフルオロアリール基を挙げることができる。
【0017】
ここで、ペルフルオロアリール基としては、ペルフルオロフェニル基、ペルフルオロナフチル基、ペルフルオロビフェニリル基、ペルフルオロターフェニル基、ペルフルオロアズレニル基、ペルフルオロヘプタレニル基、ペルフルオロフェナントレニル基、ペルフルオロアントラセニル基等が挙げられる。
【0018】
次に、Ar2において、炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8以上からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基とは、アリール基の任意の一部が置換されていてもよい炭素数8以上からなるペルフルオロアリール基のことである。より好ましくは、炭素数8〜36の置換されていてもよいペルフルオロアリール基である。例えばフッ素原子、置換されていてもよいペルフルオロアルキル基、置換されていてもよいペルフルオロアリール基等で置換された炭素数8以上からなるペルフルオロアリール基を挙げることができる。具体的には上述のAr1に示した例の内、炭素数8以上からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基等が挙げられる。
【0019】
以下に、本発明の代表的な合成法について説明する。本発明のフッ素化非対称化合物の合成法は特に限定されるものではないが、通常の非対称フッ素化合物を合成する際に用いられている公知の方法に準じて合成することができる。具体的には、例えば、J.Chem.Soc.,1965,3372−3379(1965).に記載の方法により製造することができる。例示化合物(201)の合成ルートは下記に示したとおりである。(化5)
【0020】
【化5】
【0021】
ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)は、例えば、J.Amer.Chem.Soc.,81,4927−4931(1959).に記載の方法で製造することができる。具体的には、ペンタフルオロチオフェノールと酸化銅(I)をメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒中で還流させることにより得ることができる。
【0022】
ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)の使用量は、芳香族ハロゲン体に対して1〜3当量、好ましくは1.1〜2.5当量である。
【0023】
反応温度は、90〜200℃の範囲であり、好ましくは120〜180℃の範囲である。反応温度が180℃を超えると副生成物が増加し、目的とする化合物の収率が低下する。また、反応温度が90℃よりも低いと反応速度が遅く実用的でない。
【0024】
反応溶媒には極性有機溶媒を用いることが好ましい。極性有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−N−メチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。
【0025】
前記一般式(1)で示されるフッ素化非対称化合物の具体例を、下記(表1〜表42)に示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
【0038】
【表13】
【0039】
【表14】
【0040】
【表15】
【0041】
【表16】
【0042】
【表17】
【0043】
【表18】
【0044】
【表19】
【0045】
【表20】
【0046】
【表21】
【0047】
【表22】
【0048】
【表23】
【0049】
【表24】
【0050】
【表25】
【0051】
【表26】
【0052】
【表27】
【0053】
【表28】
【0054】
【表29】
【0055】
【表30】
【0056】
【表31】
【0057】
【表32】
【0058】
【表33】
【0059】
【表34】
【0060】
【表35】
【0061】
【表36】
【0062】
【表37】
【0063】
【表38】
【0064】
【表39】
【0065】
【表40】
【0066】
【表41】
【0067】
【表42】
【0068】
本発明の有機電子写真感光体の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の感光体の一実施例を示す概念図である。1は導電性基体、2は下引き層、3は感光層、4は保護層であり、下引き層2と保護層4は必要に応じて設けられる。感光層3は、電荷発生機能と電荷輸送機能を併せ持ち、一つの層で両方の機能を有する単層型や、電荷発生層と電荷輸送層とに分離した積層型がある。
【0069】
導電性基体1は、感光体の電極としての機能と同時に他の各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状のいずれでもよく、材質的にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属、あるいはガラス、樹脂などの上に導電処理を施したものでも良い。
【0070】
下引き層2は、必要に応じて設けることができ、樹脂を主成分とする層やアルマイト等の酸化皮膜などからなり、導電性基体から感光層への不要な電荷注入を阻止、基体表面の欠陥被覆、感光層の接着性向上等の目的で必要に応じて設けられる。下引き層用の樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。また、樹脂バインダー中には、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫化バリウム、硫化カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、金属酸化物微粒子等を含有してもよい。
【0071】
樹脂を主成分とする下引き層の場合、電子輸送性の付与、電荷トラップの低減等を目的として、本発明の新規なフッ素化非対称化合物を含有させることができる。含有量は、下引き層の固形分に対して、0.1〜60重量%であり、好ましくは、5〜40重量%である。
下引き層の膜厚は、下引き層の配合組成にも依存するが、繰り返し連続使用したときに残留電位が増大するなどの悪影響が出ない範囲で任意に設定できる。
【0072】
感光層3は、機能分離型の場合は、電荷発生層と電荷輸送層の主として2層からなり、単層型の場合は1層からなる。電荷発生層は、有機光導電性物質を真空蒸着または有機光導電性物質の粒子を樹脂バインダー中に分散させた材料を塗布して形成され、光を受容して電荷を発生する。また、その電荷発生効率が高いことと同時に発生した電荷の電荷輸送層への注入性が重要であり、電場依存性が少なく低電場でも注入の良いことが望ましい。
【0073】
電荷発生層は、電荷発生機能を有すればよいので、その膜厚は、電荷発生物質の光吸収係数より決まり、一般的には5μm以下であり、好適には1μm以下である。
電荷発生層は、電荷発生物質を主体としてこれに電荷輸送物質などを添加して使用することも可能である。電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料等を用いることができ、またこれらの顔料を組み合わせて用いてもよい。特にアゾ顔料としては、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料としては、N,N’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−3,4:9,10−ペリレンビス(カルボキシイミド)、フタロシアニン系顔料としては、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンが好ましく、更には、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、アモルファスチタニルフタロシアニン、特開平8−209023号公報に記載のCuKα:X線回折スペクトルにてブラック角2θが9.6°を最大ピークとするチタニルフタロシアニンが好ましい。
【0074】
電荷発生層用の樹脂バインダーとしては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0075】
電荷輸送層は樹脂バインダー中に電荷輸送物質を分散させた材料からなる塗膜であり、暗所では絶縁体層として感光体の電荷を保持し、光受容時には電荷発生層から注入される電荷を輸送する機能を発揮する。
電荷輸送物質としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、スチリル化合物、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の正孔輸送物質または、本発明の新規なフッ素化非対称化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン、スチルベンキノン等の電子輸送物質を使用することが可能である。
【0076】
電荷輸送層用の樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
電荷輸送層の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには、3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には10〜40μmである。
【0077】
単層型の感光層の場合は、主成分として、上記電荷発生層と電荷輸送層に用いられる電荷発生物質と電荷輸送物質および樹脂バインダーが用いられるものと、電荷発生物質と樹脂バインダーを用いるものがある。
単層型感光層の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには、3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には10〜40μmである。
【0078】
これらの感光層中には、耐環境性や有害な光に対する安定性を向上させる目的で、酸化防止剤や光安定剤などの劣化防止剤を含有させることもできる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体およびエーテル化化合物、エステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体、ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
【0079】
さらに、感光層中には、電子輸送性の付与、電荷トラップの低減等を目的として、電子受容物質、電子輸送物質である本発明の新規な非対称フッ素化合物を含有させることができる。含有量は、感光層の各層の固形分に対して、0.1〜90重量%であり、好ましくは5〜60重量%である。
【0080】
さらにまた、必要に応じ他の電子受容物質を併用することができる。これらの電子受容物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン、スチルベンキノンなどの化合物を挙げることができる。
【0081】
保護層4は、耐刷性を向上させること等を目的とし、必要に応じ設けることができ、樹脂バインダーを主成分とする層や、アモルファスカーボン等の無機薄膜からなる。また樹脂バインダー中には、導電性の向上や、摩擦係数の低減、潤滑性の付与等を目的として、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、金属酸化物微粒子、または4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子、フッ素系クシ型グラフト重合樹脂等を含有してもよい。また、電荷輸送性を付与する目的で、上記感光層に用いられる電荷輸送物質、電子受容物質や、本発明の新規なフッ素化非対称化合物を含有させることもできる。
【0082】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【実施例1】例示化合物No.201 1,2,3,4,5,6,8 −ヘプタフルオロ− 7 −ペンタフルオロフェニルスルファニル−ナフタレン(化6)の合成
第一ステップ
ペンタフルオロチオフェノール5.00g(0.025mol)、酸化銅(I)2.68g(0.0188mol)、エタノール100mlを装入した反応器を3hr還流させた。冷却後、濾過を行ない、固体を乾燥させて金属光沢のある桃色の固体を得た。収量:7.33g。
第二ステップ
公知の方法で調整した2−ブロモ−1,3,4,5,6,7,8−ヘプタフルオロ−ナフタレン(例えば、Gething Bら, J.Chem.Soc., 186−190 (1962).、Gerald M.Brookeら, J.Fluorine Chem., 229−242 (1990).の方法)2.96g、と、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)3.50g、DMF28mlを装入したした反応器を130℃で4hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を3回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、ヘキサンで再結晶精製し、無色固体を得た。収量:2.92g。
融点を測定したところ、118.3℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=452のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0083】
【化6】
【0084】
【実施例2】例示化合物No.401 3,4,5,6,2’,3’,4’,5’,6’ −ノナフルオロ− 2 −ペンタフルオロフェニルスルファニル−ビフェニル(化7)の合成
公知の方法で調整した6−ブロモ−2,3,4,5,2’,3’,4’,5’,6’−ノナフルオロ−ビフェニル(例えば、You−Xian (Eugene) Chenら, J. Am. Chem. Soc., 120, 6287−6305 (1998).の方法)5.00g、と、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)4.99g、DMF42mlを装入したした反応器を135℃で16hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を3回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、ヘキサンで再結晶精製し、無色固体を得た。収量:3.05g。
融点を測定したところ、80.0℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=514のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0085】
【化7】
【0086】
【実施例3】例示化合物No.701 2,3,5,6,2’,3’,5’,6’ −オクタフルオロ− 4 −ペンタフルオロフェニルスルファニル− 4’ −トリフルオロメチル−ビフェニル(化8)の合成
第一ステップ
1,4−ジブロモテトラフルオロベンゼン10.0g、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)10.0g、DMF100mlを装入したした反応器を130℃で1.5hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を2回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡褐色の固体を得た。得られた固体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、ヘキサンで再結晶精製し、無色固体の1−ブロモ−4−(ペンタフルオロフェニルチオ)テトラフルオロベンゼンを得た。収量:4.28g。
第二ステップ
乾燥させた300mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.486gを装入した。脱水THF20mlを加えて撹拌させながら、4−トリフルオロメチル−テトラフルオロブロモベンゼン4.16gを20min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)4.02gを装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン10mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
1−ブロモ−4−(ペンタフルオロフェニルチオ)テトラフルオロベンゼン3.50gを脱水トルエン50mlと共に反応器に装入し、90℃にて10hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液で洗浄して、水洗を3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、黄色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、IPAで再結晶精製し、無色固体を得た。収量:2.68g。
融点を測定したところ、63℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=564のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0087】
【化8】
【0088】
【実施例4】例示化合物No.1001 2,3,5,6,2’,4’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’ −トリデカフルオロ− 4 −ペンタフルオロフェニルスルファニル−[ 1,1’;3’,1’’ ]ターフェニル(化9)の合成
第一ステップ
乾燥させた300mlの3口フラスコに、窒素雰囲気下でマグネシウム1.150gを装入した。脱水THF20mlを加えて撹拌させながら、1−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン10.3gを30min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)12.9gを装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン10ml、脱水THF10mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン6.16gを脱水トルエン80mlと共に反応器に装入し、90℃にて6hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液で洗浄して、水洗を3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色固体の5−ブロモ−2,3,4,6,2’,3’,5’,6’−オクタフルオロ−ビフェニルを得た。収量:4.94g。
第二ステップ
乾燥させた300mlの3口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.669gを装入した。脱水THF20mlを加えて撹拌させながら、ブロモペンタフルオロブロモベンゼン6.47gを20min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)7.52gを装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン10mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
5−ブロモ−2,3,4,6,2’,3’,5’,6’−オクタフルオロ−ビフェニル4.94gを脱水トルエン80mlと共に反応器に装入し、90℃にて6hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液で洗浄して、水洗を3回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色固体の2,3,5,6,2’,4’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’−トリデカフルオロ−[1,1’;3’,1’’]ターフェニルを得た。収量:4.91g。
第三ステップ
−70℃、窒素雰囲気下、2,3,5,6,2’,4’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’−トリデカフルオロ−[1,1’;3’,1’’]ターフェニル4.24gの脱水エーテル15ml溶液に、n−ブチルリチウム(1.6Nヘキサン溶液)8.6mlを撹拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、そのまま1.0時間反応させた。次いで、−70℃下、臭素2.19gを滴下し、−70℃で1.0時間反応させた後、室温まで自然昇温させた。室温撹拌5時間後、反応液に水、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて撹拌後、エーテルで抽出した。水洗、飽和食塩水洗浄の後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。
濾液を濃縮し、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−ブロモ−2,3,5,6,2’,4’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’−トリデカフルオロ−[1,1’;3’,1’’]ターフェニル4.80gを得た。
第四ステップ
4−ブロモ−2,3,5,6,2’,4’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’−トリデカフルオロ−[1,1’;3’,1’’]ターフェニル2.40g、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)1.43g、DMF16mlを装入したした反応器を130℃で5hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を2回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、IPAで再結晶精製し、無色固体を得た。収量:1.34g。
なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=662のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0089】
【化9】
【0090】
【実施例5】例示化合物No.1101 2,3,4,5,6,2’,4’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’ −トリデカフルオロ− 5’ −ペンタフルオロフェニルスルファニル−[ 1,1’;3’,1’’ ]ターフェニル(化10)の合成
【0091】
第一ステップ
1,3,5−トリブロモトリフルオロベンゼン3.50g、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)3.5g、DMF100mlを装入したした反応器を100℃で4hr加熱・撹拌した。冷却後、濾過し、濾液を5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を2回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色液体の1−(ペンタフルオロフェニルチオ)−3,5−ジブロモトリフルオロベンゼンを得た。収量:2.98g。
第二ステップ
乾燥させた500mlの4口フラスコに窒素雰囲気下でマグネシウム0.92gを装入した。脱水THF40mlを加えて撹拌させながら、ブロモペンタフルオロベンゼン9.29gを40min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)10.79gを装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン20mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
1−(ペンタフルオロフェニルチオ)−3,5−ジブロモトリフルオロベンゼン7.49gを脱水トルエン100mlと共に反応器に装入し、90℃にて8hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液で洗浄して、水洗を2回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた固体を、IPAで再結晶精製し、無色固体を得た。収量:4.01g。
融点を測定したところ、108.0℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=662のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0092】
【化10】
【0093】
【実施例6】例示化合物No.1301 1,2,3,4,5,6,8 −ヘプタフルオロ− 7 −( 2,3,4,6− テトラフルオロ− 5 −ペンタフルオロフェニルスルファニル−フェニル)−ナフタレン(化11)の合成
第一ステップ
乾燥させた300mlの3口フラスコに、窒素雰囲気下でマグネシウム0.60gを装入した。脱水THF25mlを加えて撹拌させながら、2,3,4,6−テトラフルオロブロモベンゼン5.38gを30min掛けて滴下させ、室温にて1hr熟成させた。これに、臭化銅(I)6.74gを装入し、室温にて1hr熟成させた。さらに、脱水ジオキサン12.5mlを装入して室温にて1hr熟成させた。
公知の方法で調整した2−ブロモ−1,3,4,5,6,7,8−ヘプタフルオロ−ナフタレン(例えば、Gething Bら, J.Chem.Soc., 186−190 (1962).、Gerald M.Brookeら, J.Fluorine Chem., 229−242 (1990).の方法)5.65gを脱水トルエン100mlと共に反応器に装入し、90℃にて6hr反応させた。冷却後、トルエンを加えて不溶分を濾別し、濾液を5%HCl水溶液で洗浄して、水洗を4回行い、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色固体の1,2,3,4,5,6,8−ヘプタフルオロ−7−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−ナフタレンを得た。収量:2.80g。
第二ステップ
−70℃、窒素雰囲気下、1,2,3,4,5,6,8−ヘプタフルオロ−7−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−ナフタレン4.15gの脱水エーテル17ml溶液に、n−ブチルリチウム(1.6Nヘキサン溶液)9.7mlを撹拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、そのまま1.0時間反応させた。次いで、−70℃下、臭素2.56gを滴下し、−70℃で1.0時間反応させた後、室温まで自然昇温させた。室温撹拌5時間後、反応液に水、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて撹拌後、エーテルで抽出した。水洗、飽和食塩水洗浄の後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。
濾液を濃縮し、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2−(3−ブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロ−フェニル)−1,3,4,5,6,7,8−ヘプタフルオロ−ナフタレン2.08gを得た。
第三ステップ
2−(3−ブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロ−フェニル)−1,3,4,5,6,7,8−ヘプタフルオロ−ナフタレン2.08g、ペンタフルオロチオフェノキシド銅(I)1.40g、DMF16mlを装入したした反応器を130℃で6hr加熱・撹拌した。これを5%HCl水溶液で1回洗浄し、水洗を2回行なった後、Na2SO4を用いて乾燥した。濾液を濃縮して、淡褐色の液体を得た。
得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色固体を得た。収量:2.00g。
融点を測定したところ、112.0℃であった。なお、質量分析(EI−MS)において、M/z=600のピークが観測されたことより、目的物であると同定した。
【0094】
【化11】
【0095】
【実施例7】有機電子写真感光体の評価
α型TiO2フタロシアニン2g、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学:BH−3)2gをテトラヒドロフラン96gと共にボールミルで2時間分散した。この分散液をアルミニウム基板上に塗工、乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層を作製した。次に実施例6で合成した例示化合物No.401 10g、ポリカーボネート樹脂(帝人化成:パンライトL−1250)10gをジクロロメタン80gに溶解した。この塗液を電荷発生層上に塗工、乾燥して、膜厚20μmの電子輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を作製した。
電子写真感光体の電子写真特性は以下の方法で測定した。静電複写紙試験装置(川口電機製作所:EPA−8100)により、暗所にて表面電位+600Vになるように帯電させ、ハロゲンランプ光をフィルターにて780(nm)に分光した1.0(μW/cm2)の単色光を照射して、初期表面電位(V0 )、V0 と2秒間暗所に放置した時の表面電位(V2 )の比(暗減衰率:DDR 2=V2 /V0 )、光露光後に帯電量が初期の1/2まで減少する時間から半減露量感度(E1/2 )を算出し、光露光5秒後の表面電位から残留電位(VR3 )を算出した。
【0096】
【比較例1】有機電子写真感光体の評価
実施例7で使用した電子輸送材料(例示化合物No.401)を下記式(化12)で示されるジフェノキノン化合物(東京化成工業(株)製)に代えた以外は実施例2と同様に感光体を作製した。
その結果を下記(表43)に示す。
【0097】
【化12】
【0098】
【表43】
【0099】
【発明の効果】
本発明により得られる新規フッ素化非対称化合物は電子輸送性に優れ、該化合物を電子写真感光体に用いた場合には、樹脂への分散性が改善されつつ、かつ電気特性、繰り返し安定性にも優れた高耐久性の電子写真感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子写真感光体の模式的側面図である。
【符号の説明】
1 導電性基体
2 下引き層
3 感光層
4 保護層
Claims (5)
- XがSであることを特徴とする請求項1記載のフッ素化非対称化合物。
- Ar1は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数6〜36からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表し、Ar2は炭素原子とフッ素原子のみによって構成される炭素数8〜36からなる置換されていてもよいペルフルオロアリール基を表すことを特徴とする請求項1〜2記載のフッ素化非対称化合物。
- 導電性基体上に感光層が設けられた電子写真感光体において、該感光層中に、請求項1〜3記載の化合物が含有されていることを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項4記載の電子写真感光体を備えた電子写真装置。
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