JP2004175030A - タイヤ生カバーの製造方法 - Google Patents

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Yukio Endo
幸夫 遠藤
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Abstract

【課題】カーカスコードパスを均一化しタイヤのユニフォミティを向上できる。
【解決手段】縮径状態の成形ドラム上でカーカスプライを巻装することにより、両端にはみ出し部を有する直円筒状の巻回体を形成する。しかる後、成形ドラムを拡径することにより、前記はみ出し部が成形ドラムの端面に近づき円環板状に変形するはみ出し部折曲げ工程を行うとともに、この円環板状のはみ出し部を、吸引によって成形ドラムの端面に吸着させる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビードコア間のカーカスコードパスを均一化でき空気入りタイヤのユニフォミティを向上しうるタイヤ生カバーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ生カバーを成形する場合、図6(A)〜(C)に示すように、カーカスプライaを成形ドラムb上で巻回し、両端が成形ドラムbからはみ出す直円筒状の巻回体cを形成する。そして、この巻回体cのはみ出し部c1を、半径方向内方に絞り込んだ後、その外端側から挿入するビードコアdをカーカスプライaを介してドラムb外端面に当接させるとともに、この当接状態で、前記はみ出し部c1をビードコアdの廻りで折り返している。
【0003】
このとき、前記はみ出し部c1への絞り込みは、従来図7に示す如く、一端を同一円周上に枢着した起倒自在な複数の板バネ片f1を有する絞り込み治具fを用い、各板バネ片f1を起立状態から倒れ込ませることにより、その倒れ込み力等によって前記はみ出し部c1を小径に絞り込んでいる(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−260247号公報(図6−7)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記治具fを用いて絞り込む場合、絞り込み部分に皺が発生し易く、しかも板バネ片f1の長さには、厳密には、一枚毎にバラツキがある。その結果、ビードコアd、d間におけるカーカスコードパスが周方向で不均一化し、タイヤのユニフォミティを低下させるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、縮径状態の成形ドラム上でカーカスプライを直円筒状に巻回した後、この成形ドラムを拡径させることを基本として、カーカスプライのはみ出し部を、成形ドラムの端面に近づく円環板状に変形させうるなど、皺のない均一な絞り込みを可能とし、カーカスコードパスを均一化できタイヤのユニフォミティを向上しうるタイヤ生カバーの製造方法の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、成形ドラムの縮径状態で、少なくともカーカスプライを前記成形ドラム外周上の本体部の両端に該成形ドラムからはみ出すはみ出し部を有して巻装した直円筒状の巻回体を形成する巻回体形成工程と、
前記成形ドラムを拡径し、前記本体部を増径する拡径工程と、
前記拡径工程によって周縁部が前記本体部とともに増径することにより、前記はみ出し部が成形ドラムの端面に近づき円環板状に変形するはみ出し部折曲げ工程と、
前記円環板状のはみ出し部を、吸引により前記成形ドラムの端面に吸着するはみ出し部吸着工程と、
前記吸着されたはみ出し部に、ビードコアを沿わせるとともにこのビードコア廻りで前記カーカスプライを折り返す折り返し工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明では、前記成形ドラムは、ともに拡縮径移動する8〜24個に分割されたセグメントからなり、かつ前記拡径工程は、縮径状態の成形ドラムの直径D1と拡径状態の成形ドラムの直径D2との比D2/D1を1.06〜1.14としたことを特徴としている。
【0009】
又請求項3の発明では、前記ビードコアは、予めビードエーペックスゴムがその外周に配されたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本発明のタイヤ生カバーの製造方法を実施するタイヤフォーマの正面図である。
【0011】
図1において、タイヤフォーマ1は、所謂ツーステージ成形法に用いられる第1フォーマであって、少なくともカーカスプライaを外周面S1上で巻装して直円筒状の巻回体Aを形成する中央の成形ドラム2と、その両側に配置され前記巻回体Aのはみ出し部A2をビードコアdの廻りで折り返す巻き上げ手段3とを具える。
【0012】
前記成形ドラム2は、支軸5(図1に示す)に回転自在に支持される円筒状体であって、図2に示すように、周方向に分割された8〜24個(本例では12個)のセグメント6から形成される。このセグメント6は、例えばシリンダ等を用いた周知構造の縮径手段(図示しない)により、縮径状態Y1と拡径状態Y2との間を半径方向内外に移動可能に支持される。なお成形ドラム2では、前記縮径状態Y1における直径D1と、拡径状態Y2における直径D2との比D2/D1を、1.06〜1.14の範囲に設定している。
【0013】
又各セグメント6は、図3に示すように、その両側の端面S2は、前記支軸5の軸心と略直交する向きに配される。また端面S2と外周面S1との間は、円弧面を介して滑らかに連なり、前記外周面S1上に巻装されるカーカスプライaが成形ドラム2のエッジと接触することによる損傷を防止している。
【0014】
又セグメント6の前記端面S2には、バキューム孔7が穿設され、このバキューム孔7からの吸引によって前記カーカスプライaを該端面S2に密に吸着させることができる。なおバキューム孔7は、適宜の流路8を介して吸引ポンプ(図示しない)などのバキューム装置に接続される。
【0015】
又前記巻き上げ手段3は、前記支軸5に支持される円筒状の基体10を具え、この基体10の外周面には、その軸方向内側部分にブラダー11が保持されている。該ブラダー11は、空気バルブ(図示しない)に接続され、空気の充填により膨張しうるとともに、排気によって前記基体10の外周面に沿って折り畳まれる。
【0016】
次に、本発明のタイヤ生カバーの製造方法を説明する。この製造方法は、図4〜5に示すように、巻回体形成工程P1(図4(A))と、拡径工程P2(図4(B))と、はみ出し部折曲げ工程P3(図4(B))と、はみ出し部吸着工程P4(図4(C))と、折り返し工程P5(図5)とを含んで構成される。
【0017】
詳しくは、前記巻回体形成工程P1では、縮径状態Y1の前記成形ドラム2の外周面S1上に、少なくともカーカスプライaを巻装する。これにより、成形ドラム2の外周面S1上に配される本体部A1の両端に、該成形ドラム2からはみ出すはみ出し部A2を設けた直円筒状の巻回体Aを形成する。
【0018】
又前記拡径工程P2、及びはみ出し部折曲げ工程P3では、前記成形ドラム2を拡径状態Y2まで拡径し、前記本体部A1を増径させる。
【0019】
本例では、前記縮径状態Y1における成形ドラム2の直径D1を、従来、カーカスプライaを直円筒状の巻回体cに形成する際の成形ドラムbの直径D(図6(A)〜(C))と略等しく設定している。即ち本例では、本発明における巻回体Aを、従来的な巻回体cと略同径で形成しており、従って、拡径工程P2における本体部A1は、従来的な巻回体cよりも大径に増径されることとなる。
【0020】
ここで、前記拡径工程P2では、前記はみ出し部A2のドラム側周縁部Eが前記本体部A1とともに増径するため、前記はみ出し部A2は、半径方向内方に倒れ込むように絞り込まれるとともに、前記周縁部Eでは成形ドラム2の端面S2に近づき円環板状に変形していく。
【0021】
このように、巻回体Aにおける本体部A1を拡径することにより、従来的な絞り込み治具f(図7)を用いることなく、前記はみ出し部A2を半径方向内方に絞り込むことができ、ビードコアdの外端側からの挿入を可能とする。このとき、はみ出し部A2の前記周縁部Eは、皺が生じることなく円環板状に変形するが、ビードコアdと圧接する領域範囲におい、前記成形ドラム2の端面S2と確実に密着しない恐れがある。もし周縁部Eが端面S2から浮いた状態で、ビードコアdをセットした場合には、この浮いた部分で皺が発生してカーカスコードパスの均一化を高精度で達成することができなくなる。
【0022】
そこで前記周縁部Eを、成形ドラム2の端面S2と確実に密着させるために、はみ出し部吸着工程P4を行っている。この工程P4では、前記バキューム孔7を作動せしめ、前記周縁部Eすなわち円環板状のはみ出し部A2を、吸引によって前記端面S2に密に吸着する。これによって、前記はみ出し部A2の円環板状への変形がある程度不十分な場合にも、端面S2に確実に吸着でき、カーカスコードパスの均一化を高精度で達成することが可能となる。
【0023】
ここで、前記はみ出し部A2の円環板状への変形のために、前述の如く、成形ドラム2の拡縮径間での直径比D2/D1を、1.06〜1.14の範囲とするのが好ましく、1.06では、拡径量が過小となって、本発明の効果を充分に発揮することができなくなる。逆に比D2/D1が1.14を越えると、拡径量が過大となり、カーカスプライaにダメージを与える他、そのコード配列を乱す恐れを招き、さらには巻き上げ手段3が有効に機能せず、はみ出し部A2をビードコア廻りで正確に折り返すのを難しくさせる。又同じ理由で、前記成形ドラム2の拡縮径間での直径差D2−D1を30〜60mmとするのも好ましい。
【0024】
又前記折り返し工程P5は、従来と実質的に同構成であり、図4(C)、図5に示すように、前記端面S2に吸着されたはみ出し部A2に、ビードコアdを押付けて沿わせるとともに、前記巻き上げ手段3を作動せしめ、ブラダー11を膨張させることにより、前記はみ出し部A2をビードコアdの廻りで折り返す。なお本例では、ビードコアdの外周にビードエーペックスゴムgが予め一体に形成された場合を例示している。
【0025】
本発明の製造方法では、拡径状態Y2における成形ドラム2の直径D2を、従来、カーカスプライaを直円筒状の巻回体cに形成する際の成形ドラムbの直径D(図6(A)〜(C))と略等しく設定することもできる。即ち巻回体Aを、従来的な巻回体cよりも小径に形成し、拡径工程P2において本体部A1を、従来的な巻回体cと同径に増径させることもできる。又巻回体Aを構成する部材として、必要により、例えばリムずれ防止用のチェーファゴム、タイヤ充填空気を気密に保持するインナーライナゴム、サイドウォールゴム等を加えることができる。
【0026】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0027】
【実施例】
発明に係わる製造方法で形成したタイヤ生カバーを用いて、タイヤサイズ275/70R16のタイヤを試作するとともに、各試供タイヤのカーカスコードパスのバラツキ及びユニフォミティーを測定した。
【0028】
なお実施例では、成形ドラムの拡縮径間での直径比D2/D1を1.10、差D2−D1を45mmとして、拡径工程及びはみ出し部折曲げ工程を行った。又従来例では、図7の絞り込み治具を用いて絞り込みを行った以外は、実施例と同仕様である。
【0029】
カーカスコードパスのバラツキは、タイヤを解体し、ビードコア間のコードパスの最大と最小との差を求めた。又ユニフォミティーは、JASO C607に準拠し、RFV及びその一次成分を測定した。
【0030】
【表1】
Figure 2004175030
【0031】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、カーカスプライのはみ出し部を、成形ドラムの端面に近づく円環板状に変形させうるなど、皺のない均一な絞り込みを可能とし、カーカスコードパスを均一化できタイヤのユニフォミティを向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ生カバーの製造方法に使用しうる成形ドラムを示す正面図である。
【図2】その拡縮径状態を説明する断面図である。
【図3】成形ドラムを巻き上げ手段とともに示す断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、巻回体形成工程、拡径工程、はみ出し部折曲げ工程、及びはみ出し部吸着工程を説明する線図である。
【図5】折り返し工程を説明する断面図である。
【図6】従来のはみ出し部への絞り込みを説明する線図である。
【図7】その絞り込み治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 成形ドラム
6 セグメント
a カーカスプライ
A 巻回体
A1 本体部
A2 はみ出し部
E 周縁部
P1 巻回体形成工程
P2 拡径工程
P3 はみ出し部折曲げ工程
P4 はみ出し部吸着工程
P5 折り返し工程
S2 端面
Y1 縮径状態

Claims (3)

  1. 成形ドラムの縮径状態で、少なくともカーカスプライを前記成形ドラム外周上の本体部の両端に該成形ドラムからはみ出すはみ出し部を有して巻装した直円筒状の巻回体を形成する巻回体形成工程と、
    前記成形ドラムを拡径し、前記本体部を増径する拡径工程と、
    前記拡径工程によって周縁部が前記本体部とともに増径することにより、前記はみ出し部が成形ドラムの端面に近づき円環板状に変形するはみ出し部折曲げ工程と、
    前記円環板状のはみ出し部を、吸引により前記成形ドラムの端面に吸着するはみ出し部吸着工程と、
    前記吸着されたはみ出し部に、ビードコアを沿わせるとともにこのビードコア廻りで前記カーカスプライを折り返す折り返し工程とを含むことを特徴とするタイヤ生カバーの製造方法。
  2. 前記成形ドラムは、ともに拡縮径移動する8〜24個に分割されたセグメントからなり、かつ前記拡径工程は、縮径状態の成形ドラムの直径D1と拡径状態の成形ドラムの直径D2との比D2/D1を1.06〜1.14としたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ生カバーの製造方法。
  3. 前記ビードコアは、予めビードエーペックスゴムがその外周に配されたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ生カバーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013006391A (ja) * 2011-06-27 2013-01-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd カーカスプライのビードコア間のコードパスのバラツキ判定方法

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