JP2004173352A - モータ固定用マウント - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントを提供することにある。
【解決手段】本発明のマウント1は、モータ2の出力軸22を支持部材であるブラケット3の通孔32Aに貫通させて、モータ2をブラケット3に固定させる場合に、ブラケット3とモータ2との接合面に介在させるモータ固定用マウントであり、中央に出力軸22を挿通させる挿通孔11A、12Aを有し、かつ、ブラケット3およびモータ2の接合面のそれぞれに固定される2枚の連結板11、12と、この2枚の連結板11、12の間に、挿通孔11A、12Aに対して略同心状に配置される防振部材13とを備える。防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、前記熱伝導性化合物は、前記弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のマウント1は、モータ2の出力軸22を支持部材であるブラケット3の通孔32Aに貫通させて、モータ2をブラケット3に固定させる場合に、ブラケット3とモータ2との接合面に介在させるモータ固定用マウントであり、中央に出力軸22を挿通させる挿通孔11A、12Aを有し、かつ、ブラケット3およびモータ2の接合面のそれぞれに固定される2枚の連結板11、12と、この2枚の連結板11、12の間に、挿通孔11A、12Aに対して略同心状に配置される防振部材13とを備える。防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、前記熱伝導性化合物は、前記弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの出力軸を支持部材の通孔に貫通させて、モータを支持部材に固定させる場合に、支持部材とモータとの接合面に介在させるモータ固定用マウントに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、オフィス等のOA化に伴って、OA機器の振動や騒音が注目されるようになった。その一つの原因は、OA機器に内蔵されたモータが駆動したとき、モータの振動が機器のフレームに伝達することによるものであった。
この振動等の問題を解決するための方法として、モータとこのモータを支持する支持部材との間にモータ固定用マウントを介在させる手法が知られている。
【0003】
モータ固定用マウントとしては、例えば、中心にモータの出力軸を挿通させる挿通孔を有し、かつ、支持部材およびモータの接合面に固定される2枚の板材と、この2枚の板材の間に、挿通孔に対して同心状に配置されるリング状のゴム板とを備える構造のものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開平03−60857号公報 (第1頁)
【0005】
この特許文献1記載の技術によれば、このゴム板が、モータからの振動を吸収するので、モータの振動が機器のフレーム等にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振の効果が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータが駆動される際には、モータから熱が発生する。この熱は、モータ固定用マウントを介して、別の部材へ逃がすか、あるいはモータから直接空気中に放熱する等して、冷却する必要がある。
しかしながら、特許文献1記載の技術によるモータ固定用マウントにおいては、通常の防振に用いられるゴム材からなるゴム板は、熱伝導性が高くないので、支持部材への熱伝導による放熱性が低いという問題がある。
また、モータから空気中に放熱するために、モータ自体に放熱するための構造を設けることや、また、モータ自体を冷却するために冷却ファン等を別に設けることも考えられるが、構造が複雑になるため、製造コストの面で問題がある。
【0007】
本発明の目的は、モータの発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明のモータ固定用マウントは、モータの出力軸を支持部材の通孔に貫通させて、前記モータを前記支持部材に固定させる場合に、前記支持部材と前記モータとの接合面に介在させるモータ固定用マウントであって、中央に前記出力軸を挿通させる挿通孔を有し、かつ、前記支持部材およびモータの接合面のそれぞれに固定される2枚の連結板と、前記2枚の連結板の間に、前記挿通孔に対して略同心状に配置される防振部材とを備え、前記防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、前記熱伝導性化合物は、前記弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有していることを特徴とする。
【0009】
ここで、防振部材の弾性材としては、弾性を有し、モータの振動を吸収するものであればよい。具体的には、ゴム等があげられる。また、熱伝導性化合物としては、黒鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。
黒鉛が配合されている弾性材であるゴムとしては、例えば、ゴム100重量部に対して、黒鉛50〜200重量部を配合したもの等が挙げられる。
【0010】
以上において、前記弾性部材は、ゴムであり、前記熱伝導性化合物は、酸化マグネシウムを配合した熱伝導性シリコーンゴム組成物であることが好ましい。
熱伝導性シリコーンゴム組成物は、熱伝導性を向上させたシリコーンゴムの組成物をいい、例えば、特開平05−239358号公報に記載されているような熱伝導性シリコーンゴム組成物等を採用できる。
【0011】
特開平05−239358号公報の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものである。この酸化マグネシウムは、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られる。
【0012】
また、この熱伝導性シリコーンゴム組成物には、補強性充填剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の各種添加剤を随時付加的に配合してもよい。補強性充填剤としては、煙霧質シリカ、沈澱法シリカ、けいそう土など、耐熱性向上剤としては、カーボン、ベンガラ、酸化鉄、酸化セリウムなどが例示される。特にカーボンなどは、耐熱性向上剤だけでなく、補強性充填剤としても機能を有する。
【0013】
このような本発明によれば、防振部材が、モータから発生する振動を吸収するので、モータの振動が支持部材にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。
また、この防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物(例えば、熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータが駆動する際に発生する熱は、連結板、防振部材、連結板の順に伝達され、支持部材の方まで移動する。従って、支持部材、さらには、支持部材を介してこれを固定するフレーム等より、モータで発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータを効率的に冷却することができる。
さらに、モータ自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータを冷却することができる。
従って、モータから発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントとすることができる。
【0014】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記モータは、前記出力軸と同心状に前記接合面から突出する突出係止部を有し、前記防振部材は、前記モータ側の連結板の挿通孔の内周面に沿って設けられた圧着部を有し、前記圧着部の内径が、前記突出係止部の外径よりも小さいことが好ましい。
これによれば、圧着部の内径が、突出係止部の外径よりも小さいことにより、圧着部が弾性変形し、突出係止部を締め付けるようにして、圧着部と突出係止部とが嵌合するので、モータ側の連結板とモータとの位置決めを高精度に行うことができる。
【0015】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記圧着部は、前記モータと連結板とが接合する面を越えて突出される突出部を有することが好ましい。
ここで、例えば、モータの接合面が、平坦でなく、モータの出力軸が、接合面に対して、垂直に固定できない場合がある。
このような場合でも、本発明によれば、圧着部は、モータ側の連結板の接合面を越えて突出される突出部を有することにより、モータを連結板に位置決めする際に、突出部が押し潰された状態で連結板とモータとが固定されるから、つまり、押し潰された突出部を支点としてモータの姿勢を調整することができるので、モータの出力軸を連結板の接合面に対して垂直に固定することができる。
【0016】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記支持部材側の連結板には、前記支持部材の通孔内周面に当接して連結板を位置決めするための凸部が形成されていることが好ましい。
これによれば、支持部材側の連結板には、凸部が形成されていることにより、この凸部が、支持部材の通孔内周面に当接して、支持部材に対して連結板を位置決めする。従って、連結板と支持部材との位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、モータ2は、モータ固定用マウントであるマウント1を介して支持部材であるブラケット3に支持されている。
【0018】
ここで、モータ2は、円形箱状の本体21と、この本体21の中心から突出する出力軸22とを備えて構成されている。本体21は、出力軸22と同心状にマウント1との接合面から突出する円形の突出係止部21Aを有している。
ブラケット3は、OA機器等に内蔵されたモータ2を固定するためのものであり、金属板の折り曲げ加工によりL字形状に形成されている。つまりOA機器等のフレームに固定される固定部31と、この固定部31に垂直に設けられた取付部32とを備えて構成されている。取付部32には、円形の通孔32Aが形成されている。
【0019】
図2は、マウント1の側面断面図、図3は、マウント1の正面からみた図、図4は、マウント1の斜視図である。
マウント1は、図2、3、4にも示されるように、ブラケット3およびモータ2の接合面に固定されるモータ側連結板11とブラケット側連結板12の間に、配置されるリング状の防振部材13とを備えている。
【0020】
モータ側連結板11は、詳しくは図4に示されるように、モータ2(図1)の接合面に固定され、中央にモータ2の出力軸22を挿通させる挿通孔11Aを有する板状部材であり、正方形の対向する角部を小さく切り落とし、他の2つの対向する角部を大きく切り落とした形状である。
モータ側連結板11には、小さく切り落とした角部の周辺に、モータ2(図1)を固定するためのネジ孔11Bが形成されている。
【0021】
ブラケット側連結板12は、モータ側連結板11と同様にして、詳しくは図4に示されるように、ブラケット3(図1)の接合面に固定され、中央にモータ2の出力軸22を挿通させる挿通孔12Aを有する板状部材であり、正方形の対向する角部を小さく切り落とし、他の2つの対向する角部を大きく切り落とした形状である。
ブラケット側連結板12には、小さく切り落とした角部の周辺に、ブラケット3(図1)を固定するためのネジ孔12Bが形成されている。
【0022】
さらに、ブラケット側連結板12には、ブラケット3(図1)の通孔32Aの内周面に当接してブラケット側連結板12を位置決めするための凸部12Cが形成されている。
凸部12Cは、挿通孔12Aの周縁全周に、ブラケット3の通孔32A側に突出して形成されている。
【0023】
これら、モータ側連結板11およびブラケット側連結板12は、図4に示されるように、防振部材13を挟んで90度回転した位置で配置され、加硫接着することによって、一体化されている。そのため、対向するモータ側連結板11およびブラケット側連結板12によって、ネジ孔11Bおよび12Bが隠されないようになっており、ブラケット3やモータ2へのネジによる締結を容易にしている。
なお、本実施形態においては、加硫接着によって、モータ側連結板11およびブラケット側連結板12および、防振部材13を一体としたが、接着剤を使用しても良い。接着剤としては、特に制限はないが、熱伝導性を阻害しないものであることが好ましいことはもちろんである。
【0024】
一方、防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、熱伝導性化合物は、弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有している。具体的には、防振部材13は、特開平05−239358号公報に記載されているように、その弾性部材は、ゴムであり、熱伝導性化合物は、酸化マグネシウムを配合した熱伝導性シリコーンゴム組成物であるこの熱伝導性シリコーンゴム組成物は、熱伝導性を向上させたシリコーンゴムの組成物である。
【0025】
この熱伝導性シリコーンゴム組成物は、具体的には、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものである。この酸化マグネシウムは、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られる。
【0026】
この熱伝導性シリコーンゴム組成物をより具体的に説明すると、基本的には常温または加熱等によって硬化させることによりゴム弾性体となる(A)ポリオルガノシロキサン組成物に、(B)水溶性マグネシウム塩1当量に対し、アルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られた酸化マグネシウムを配合したものである。
【0027】
配合量は特に問わないが、ポリシロキサンベースポリマー100 重量部に対し、前述の酸化マグネシウム(MgO) は、10〜1000重量部、望ましくは 100〜600 重量部である。
【0028】
また、この熱伝導性シリコーンゴム組成物には、補強性充填剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の各種添加剤を随時付加的に配合してもよい。このようなものとしては、通常、煙霧質シリカ、沈澱法シリカ、けいそう土等の補強性充填剤、酸化アルミニウム、マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン等が例示される。
【0029】
防振部材13は、図2に示されるように、モータ側連結板11の挿通孔11Aの内周面に沿って設けられた圧着部13Aを有している。圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面と略同一平面上にまで形成されているものである。この圧着部13Aの内径は、突出係止部21Aの外径よりも小さい。
【0030】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)防振部材13が、モータ2から発生する振動を吸収するので、モータ2の振動がブラケット3にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。
また、この防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物(熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータ2が駆動する際に発生する熱は、モータ側連結板11、防振部材13、ブラケット側連結板12の順に伝達され、ブラケット3の方まで移動する。従って、ブラケット3、さらには、ブラケット3を介してこれを固定するフレーム等より、モータ2で発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータ2を効率的に冷却することができる。
さらに、モータ2自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータ2を冷却することができる。
従って、モータ2から発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータ2を効率的に冷却することができるマウント1とすることができる。
【0031】
(2)圧着部13Aの内径が、突出係止部21Aの外径よりも小さいことにより、圧着部13Aが弾性変形し、突出係止部21Aを締め付けるようにして、圧着部13Aと突出係止部21Aとが嵌合するので、モータ側連結板11とモータ2との位置決めを高精度に行うことができる。
【0032】
(3)ブラケット側連結板12には、凸部12Cが形成されていることにより、この凸部12Cが、ブラケットの通孔32Aの内周面に当接して、ブラケット3に対してブラケット側連結板12を位置決めする。従って、ブラケット側連結板12とブラケット3との位置決めを容易に行うことができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では既に説明した部分、部材と同一のものは同一符号を付してその説明を簡略する。
第1実施形態では、図2に示されるように、圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面と略同一平面上にまで形成されているものであったが、第2実施形態では、図5に示されるように、圧着部13Aは、モータ2とモータ側連結板11とが接合する面を越えて突出される突出部13Bを有する点が、異なっている。
【0034】
上述のような本実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて次のような効果がある。
(4)圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面を越えて突出される突出部13Bを有することにより、モータ2をモータ側連結板11に位置決めする際に、ねじ等で締め付けていくと、突出部13Bが押し潰された状態でモータ側連結板11とモータ2とが固定されるから、つまり、ねじ等の締め付け度合いによって、押し潰された突出部13Bを支点としてモータ2の姿勢を調整することができるので、モータ2の出力軸22をモータ側連結板11の接合面に対して垂直に固定することができる。
【0035】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、凸部12Cとしては、挿通孔12Aの周縁全周に、ブラケット3の通孔32A側に突出して形成されていたが、これに限られず、挿通孔12Aの周縁に数カ所、突起部として設けるようにしてもよい。
前記各実施形態では、防振部材13は、熱伝導性シリコーンゴム組成物を含んでおり、この熱伝導性シリコーンゴム組成物は、具体的には、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものであったが、これに限られず、ゴムに黒鉛等を配合したものとしてもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
[実施例]
以上の第1実施形態のように、マウント1を、モータ2およびブラケット3に介在させて固定するようにした。
【0037】
[比較例1]
実施例とは、マウントに用いられる防振部材を、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)からなるものにしている点のみが異なる。
[比較例2]
実施例とは、マウントに用いられる防振部材を、成形一般用シリコーンゴム(東芝シリコーン(株)製 シリコーンゴム:商品名 TSE221−7U)からなるものにしている点のみが異なる。
【0038】
[参考例]
マウントを介在させず、モータおよびブラケットを当接させた状態にした。
【0039】
[熱伝導性の評価]
以上の実施例、比較例1、参考例について、熱伝導の評価を行った。
まずモータを所定時間駆動させながら、モータの温度を測定した。結果を図6に示す。この図6に示されているように、実施例と比較例1を比較すると、測定当初のモータの温度は、略同様に約40度であるが、約10分経過後に差が現れ始める。そして、約20分以上経過すると、実施例では、モータの温度は、約70度付近で一定になる。これに対して、比較例1では、モータの温度は、約80度付近で一定になる。
従って、実施例の方が、比較例1よりも、モータからの熱を放出して効率的に、冷却ができていることがわかる。
【0040】
なお、参考例は、測定当初のモータの温度は、略同様に約35度であるが、その後約45度付近で一定になる。実施例は、比較例よりも、この参考例の温度に近いこともわかる。
【0041】
[防振性の評価]
実施例、比較例1、2について、公知の捩じり振動試験機により損失係数tanδを測定した。この損失係数tanδが、大きければ、防振性が高いといえる。測定手順としては、まず、実施例、比較例1、2についてサンプルを公知の捩じり振動試験機に固定する。その際、各サンプルの一方を捩じり振動試験機の加振モータにチャックし、他方を捩じり振動試験機のロードセルにチャックして、捩じり振動を各サンプルごとに負荷し、ロードセルで測定された応答トルクから損失係数tanδを測定する。この測定の際の温度は、室温(25℃)であり、捩り角度は、±1degであり、振動周波数は、10〜30Hzである。
以下の表1に測定結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
この表1によれば、実施例は、比較例1および比較例2よりも防振性が優れていることがわかる。
従って、以上の[熱伝導性の評価]および[防振性の評価]によれば、本発明に係るマウントは、防振部材中に熱伝導性化合物(酸化マグネシウム)が添加されていることにより、熱伝導性を向上させるとともに、優れた防振性(高い損失係数tanδ)を有するので、優れた熱伝導性の防振マウントとすることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、防振部材が、モータから発生する振動を吸収するので、モータの振動が支持部材に伝達することがなく、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。また、この防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物(例えば、熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータが駆動する際に発生する熱は、連結板、防振部材、連結板の順に伝達され、支持部材の方まで移動する。従って、支持部材、さらには、支持部材を介してこれを固定するフレーム等より、モータで発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータを効率的に冷却することができる。さらに、モータ自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータを冷却することができる。
従って、モータから発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のマウントをモータおよびブラケットに固定した状態を示す図である。
【図2】図1の実施形態におけるマウントの側面断面図である。
【図3】図1の実施形態におけるマウントの正面図である。
【図4】図1の実施形態におけるマウントの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態のマウントの側面断面図である。
【図6】熱伝導性の特性を評価するためのグラフである。
【符号の説明】
1 マウント
2 モータ
3 ブラケット
11 モータ側連結板
11A 挿通孔
12 ブラケット側連結板
12A 挿通孔
12C 凸部
13 防振部材
13A 圧着部
13B 突出部
21A 突出係止部
22 出力軸
32A 通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの出力軸を支持部材の通孔に貫通させて、モータを支持部材に固定させる場合に、支持部材とモータとの接合面に介在させるモータ固定用マウントに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、オフィス等のOA化に伴って、OA機器の振動や騒音が注目されるようになった。その一つの原因は、OA機器に内蔵されたモータが駆動したとき、モータの振動が機器のフレームに伝達することによるものであった。
この振動等の問題を解決するための方法として、モータとこのモータを支持する支持部材との間にモータ固定用マウントを介在させる手法が知られている。
【0003】
モータ固定用マウントとしては、例えば、中心にモータの出力軸を挿通させる挿通孔を有し、かつ、支持部材およびモータの接合面に固定される2枚の板材と、この2枚の板材の間に、挿通孔に対して同心状に配置されるリング状のゴム板とを備える構造のものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開平03−60857号公報 (第1頁)
【0005】
この特許文献1記載の技術によれば、このゴム板が、モータからの振動を吸収するので、モータの振動が機器のフレーム等にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振の効果が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータが駆動される際には、モータから熱が発生する。この熱は、モータ固定用マウントを介して、別の部材へ逃がすか、あるいはモータから直接空気中に放熱する等して、冷却する必要がある。
しかしながら、特許文献1記載の技術によるモータ固定用マウントにおいては、通常の防振に用いられるゴム材からなるゴム板は、熱伝導性が高くないので、支持部材への熱伝導による放熱性が低いという問題がある。
また、モータから空気中に放熱するために、モータ自体に放熱するための構造を設けることや、また、モータ自体を冷却するために冷却ファン等を別に設けることも考えられるが、構造が複雑になるため、製造コストの面で問題がある。
【0007】
本発明の目的は、モータの発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明のモータ固定用マウントは、モータの出力軸を支持部材の通孔に貫通させて、前記モータを前記支持部材に固定させる場合に、前記支持部材と前記モータとの接合面に介在させるモータ固定用マウントであって、中央に前記出力軸を挿通させる挿通孔を有し、かつ、前記支持部材およびモータの接合面のそれぞれに固定される2枚の連結板と、前記2枚の連結板の間に、前記挿通孔に対して略同心状に配置される防振部材とを備え、前記防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、前記熱伝導性化合物は、前記弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有していることを特徴とする。
【0009】
ここで、防振部材の弾性材としては、弾性を有し、モータの振動を吸収するものであればよい。具体的には、ゴム等があげられる。また、熱伝導性化合物としては、黒鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。
黒鉛が配合されている弾性材であるゴムとしては、例えば、ゴム100重量部に対して、黒鉛50〜200重量部を配合したもの等が挙げられる。
【0010】
以上において、前記弾性部材は、ゴムであり、前記熱伝導性化合物は、酸化マグネシウムを配合した熱伝導性シリコーンゴム組成物であることが好ましい。
熱伝導性シリコーンゴム組成物は、熱伝導性を向上させたシリコーンゴムの組成物をいい、例えば、特開平05−239358号公報に記載されているような熱伝導性シリコーンゴム組成物等を採用できる。
【0011】
特開平05−239358号公報の熱伝導性シリコーンゴム組成物は、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものである。この酸化マグネシウムは、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られる。
【0012】
また、この熱伝導性シリコーンゴム組成物には、補強性充填剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の各種添加剤を随時付加的に配合してもよい。補強性充填剤としては、煙霧質シリカ、沈澱法シリカ、けいそう土など、耐熱性向上剤としては、カーボン、ベンガラ、酸化鉄、酸化セリウムなどが例示される。特にカーボンなどは、耐熱性向上剤だけでなく、補強性充填剤としても機能を有する。
【0013】
このような本発明によれば、防振部材が、モータから発生する振動を吸収するので、モータの振動が支持部材にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。
また、この防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物(例えば、熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータが駆動する際に発生する熱は、連結板、防振部材、連結板の順に伝達され、支持部材の方まで移動する。従って、支持部材、さらには、支持部材を介してこれを固定するフレーム等より、モータで発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータを効率的に冷却することができる。
さらに、モータ自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータを冷却することができる。
従って、モータから発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントとすることができる。
【0014】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記モータは、前記出力軸と同心状に前記接合面から突出する突出係止部を有し、前記防振部材は、前記モータ側の連結板の挿通孔の内周面に沿って設けられた圧着部を有し、前記圧着部の内径が、前記突出係止部の外径よりも小さいことが好ましい。
これによれば、圧着部の内径が、突出係止部の外径よりも小さいことにより、圧着部が弾性変形し、突出係止部を締め付けるようにして、圧着部と突出係止部とが嵌合するので、モータ側の連結板とモータとの位置決めを高精度に行うことができる。
【0015】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記圧着部は、前記モータと連結板とが接合する面を越えて突出される突出部を有することが好ましい。
ここで、例えば、モータの接合面が、平坦でなく、モータの出力軸が、接合面に対して、垂直に固定できない場合がある。
このような場合でも、本発明によれば、圧着部は、モータ側の連結板の接合面を越えて突出される突出部を有することにより、モータを連結板に位置決めする際に、突出部が押し潰された状態で連結板とモータとが固定されるから、つまり、押し潰された突出部を支点としてモータの姿勢を調整することができるので、モータの出力軸を連結板の接合面に対して垂直に固定することができる。
【0016】
本発明のモータ固定用マウントでは、前記支持部材側の連結板には、前記支持部材の通孔内周面に当接して連結板を位置決めするための凸部が形成されていることが好ましい。
これによれば、支持部材側の連結板には、凸部が形成されていることにより、この凸部が、支持部材の通孔内周面に当接して、支持部材に対して連結板を位置決めする。従って、連結板と支持部材との位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、モータ2は、モータ固定用マウントであるマウント1を介して支持部材であるブラケット3に支持されている。
【0018】
ここで、モータ2は、円形箱状の本体21と、この本体21の中心から突出する出力軸22とを備えて構成されている。本体21は、出力軸22と同心状にマウント1との接合面から突出する円形の突出係止部21Aを有している。
ブラケット3は、OA機器等に内蔵されたモータ2を固定するためのものであり、金属板の折り曲げ加工によりL字形状に形成されている。つまりOA機器等のフレームに固定される固定部31と、この固定部31に垂直に設けられた取付部32とを備えて構成されている。取付部32には、円形の通孔32Aが形成されている。
【0019】
図2は、マウント1の側面断面図、図3は、マウント1の正面からみた図、図4は、マウント1の斜視図である。
マウント1は、図2、3、4にも示されるように、ブラケット3およびモータ2の接合面に固定されるモータ側連結板11とブラケット側連結板12の間に、配置されるリング状の防振部材13とを備えている。
【0020】
モータ側連結板11は、詳しくは図4に示されるように、モータ2(図1)の接合面に固定され、中央にモータ2の出力軸22を挿通させる挿通孔11Aを有する板状部材であり、正方形の対向する角部を小さく切り落とし、他の2つの対向する角部を大きく切り落とした形状である。
モータ側連結板11には、小さく切り落とした角部の周辺に、モータ2(図1)を固定するためのネジ孔11Bが形成されている。
【0021】
ブラケット側連結板12は、モータ側連結板11と同様にして、詳しくは図4に示されるように、ブラケット3(図1)の接合面に固定され、中央にモータ2の出力軸22を挿通させる挿通孔12Aを有する板状部材であり、正方形の対向する角部を小さく切り落とし、他の2つの対向する角部を大きく切り落とした形状である。
ブラケット側連結板12には、小さく切り落とした角部の周辺に、ブラケット3(図1)を固定するためのネジ孔12Bが形成されている。
【0022】
さらに、ブラケット側連結板12には、ブラケット3(図1)の通孔32Aの内周面に当接してブラケット側連結板12を位置決めするための凸部12Cが形成されている。
凸部12Cは、挿通孔12Aの周縁全周に、ブラケット3の通孔32A側に突出して形成されている。
【0023】
これら、モータ側連結板11およびブラケット側連結板12は、図4に示されるように、防振部材13を挟んで90度回転した位置で配置され、加硫接着することによって、一体化されている。そのため、対向するモータ側連結板11およびブラケット側連結板12によって、ネジ孔11Bおよび12Bが隠されないようになっており、ブラケット3やモータ2へのネジによる締結を容易にしている。
なお、本実施形態においては、加硫接着によって、モータ側連結板11およびブラケット側連結板12および、防振部材13を一体としたが、接着剤を使用しても良い。接着剤としては、特に制限はないが、熱伝導性を阻害しないものであることが好ましいことはもちろんである。
【0024】
一方、防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、熱伝導性化合物は、弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有している。具体的には、防振部材13は、特開平05−239358号公報に記載されているように、その弾性部材は、ゴムであり、熱伝導性化合物は、酸化マグネシウムを配合した熱伝導性シリコーンゴム組成物であるこの熱伝導性シリコーンゴム組成物は、熱伝導性を向上させたシリコーンゴムの組成物である。
【0025】
この熱伝導性シリコーンゴム組成物は、具体的には、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものである。この酸化マグネシウムは、水溶性マグネシウム塩1当量に対しアルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られる。
【0026】
この熱伝導性シリコーンゴム組成物をより具体的に説明すると、基本的には常温または加熱等によって硬化させることによりゴム弾性体となる(A)ポリオルガノシロキサン組成物に、(B)水溶性マグネシウム塩1当量に対し、アルカリ性物質を0.95当量以下で反応させ水酸化マグネシウムを合成し、造粒乾燥させたものを1100〜1600℃で焼成して得られた酸化マグネシウムを配合したものである。
【0027】
配合量は特に問わないが、ポリシロキサンベースポリマー100 重量部に対し、前述の酸化マグネシウム(MgO) は、10〜1000重量部、望ましくは 100〜600 重量部である。
【0028】
また、この熱伝導性シリコーンゴム組成物には、補強性充填剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の各種添加剤を随時付加的に配合してもよい。このようなものとしては、通常、煙霧質シリカ、沈澱法シリカ、けいそう土等の補強性充填剤、酸化アルミニウム、マイカ、クレイ、炭酸亜鉛、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリシロキサン等が例示される。
【0029】
防振部材13は、図2に示されるように、モータ側連結板11の挿通孔11Aの内周面に沿って設けられた圧着部13Aを有している。圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面と略同一平面上にまで形成されているものである。この圧着部13Aの内径は、突出係止部21Aの外径よりも小さい。
【0030】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)防振部材13が、モータ2から発生する振動を吸収するので、モータ2の振動がブラケット3にほとんど伝達されず、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。
また、この防振部材13は、弾性材に熱伝導性化合物(熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータ2が駆動する際に発生する熱は、モータ側連結板11、防振部材13、ブラケット側連結板12の順に伝達され、ブラケット3の方まで移動する。従って、ブラケット3、さらには、ブラケット3を介してこれを固定するフレーム等より、モータ2で発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータ2を効率的に冷却することができる。
さらに、モータ2自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータ2を冷却することができる。
従って、モータ2から発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータ2を効率的に冷却することができるマウント1とすることができる。
【0031】
(2)圧着部13Aの内径が、突出係止部21Aの外径よりも小さいことにより、圧着部13Aが弾性変形し、突出係止部21Aを締め付けるようにして、圧着部13Aと突出係止部21Aとが嵌合するので、モータ側連結板11とモータ2との位置決めを高精度に行うことができる。
【0032】
(3)ブラケット側連結板12には、凸部12Cが形成されていることにより、この凸部12Cが、ブラケットの通孔32Aの内周面に当接して、ブラケット3に対してブラケット側連結板12を位置決めする。従って、ブラケット側連結板12とブラケット3との位置決めを容易に行うことができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では既に説明した部分、部材と同一のものは同一符号を付してその説明を簡略する。
第1実施形態では、図2に示されるように、圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面と略同一平面上にまで形成されているものであったが、第2実施形態では、図5に示されるように、圧着部13Aは、モータ2とモータ側連結板11とが接合する面を越えて突出される突出部13Bを有する点が、異なっている。
【0034】
上述のような本実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて次のような効果がある。
(4)圧着部13Aは、モータ側連結板11の接合面を越えて突出される突出部13Bを有することにより、モータ2をモータ側連結板11に位置決めする際に、ねじ等で締め付けていくと、突出部13Bが押し潰された状態でモータ側連結板11とモータ2とが固定されるから、つまり、ねじ等の締め付け度合いによって、押し潰された突出部13Bを支点としてモータ2の姿勢を調整することができるので、モータ2の出力軸22をモータ側連結板11の接合面に対して垂直に固定することができる。
【0035】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、凸部12Cとしては、挿通孔12Aの周縁全周に、ブラケット3の通孔32A側に突出して形成されていたが、これに限られず、挿通孔12Aの周縁に数カ所、突起部として設けるようにしてもよい。
前記各実施形態では、防振部材13は、熱伝導性シリコーンゴム組成物を含んでおり、この熱伝導性シリコーンゴム組成物は、具体的には、特殊な製造方法で製造された酸化マグネシウムをシリコーンに配合させて得られるものであったが、これに限られず、ゴムに黒鉛等を配合したものとしてもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
[実施例]
以上の第1実施形態のように、マウント1を、モータ2およびブラケット3に介在させて固定するようにした。
【0037】
[比較例1]
実施例とは、マウントに用いられる防振部材を、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)からなるものにしている点のみが異なる。
[比較例2]
実施例とは、マウントに用いられる防振部材を、成形一般用シリコーンゴム(東芝シリコーン(株)製 シリコーンゴム:商品名 TSE221−7U)からなるものにしている点のみが異なる。
【0038】
[参考例]
マウントを介在させず、モータおよびブラケットを当接させた状態にした。
【0039】
[熱伝導性の評価]
以上の実施例、比較例1、参考例について、熱伝導の評価を行った。
まずモータを所定時間駆動させながら、モータの温度を測定した。結果を図6に示す。この図6に示されているように、実施例と比較例1を比較すると、測定当初のモータの温度は、略同様に約40度であるが、約10分経過後に差が現れ始める。そして、約20分以上経過すると、実施例では、モータの温度は、約70度付近で一定になる。これに対して、比較例1では、モータの温度は、約80度付近で一定になる。
従って、実施例の方が、比較例1よりも、モータからの熱を放出して効率的に、冷却ができていることがわかる。
【0040】
なお、参考例は、測定当初のモータの温度は、略同様に約35度であるが、その後約45度付近で一定になる。実施例は、比較例よりも、この参考例の温度に近いこともわかる。
【0041】
[防振性の評価]
実施例、比較例1、2について、公知の捩じり振動試験機により損失係数tanδを測定した。この損失係数tanδが、大きければ、防振性が高いといえる。測定手順としては、まず、実施例、比較例1、2についてサンプルを公知の捩じり振動試験機に固定する。その際、各サンプルの一方を捩じり振動試験機の加振モータにチャックし、他方を捩じり振動試験機のロードセルにチャックして、捩じり振動を各サンプルごとに負荷し、ロードセルで測定された応答トルクから損失係数tanδを測定する。この測定の際の温度は、室温(25℃)であり、捩り角度は、±1degであり、振動周波数は、10〜30Hzである。
以下の表1に測定結果を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
この表1によれば、実施例は、比較例1および比較例2よりも防振性が優れていることがわかる。
従って、以上の[熱伝導性の評価]および[防振性の評価]によれば、本発明に係るマウントは、防振部材中に熱伝導性化合物(酸化マグネシウム)が添加されていることにより、熱伝導性を向上させるとともに、優れた防振性(高い損失係数tanδ)を有するので、優れた熱伝導性の防振マウントとすることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、防振部材が、モータから発生する振動を吸収するので、モータの振動が支持部材に伝達することがなく、振動等が発生することが少なくなる、すなわち防振性を有する。また、この防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物(例えば、熱伝導性シリコーン化合物)を配合してなることにより、モータが駆動する際に発生する熱は、連結板、防振部材、連結板の順に伝達され、支持部材の方まで移動する。従って、支持部材、さらには、支持部材を介してこれを固定するフレーム等より、モータで発生した熱を放出することができるので、駆動後のモータを効率的に冷却することができる。さらに、モータ自体を冷却するための冷却ファン等を設ける必要がないので、簡単な構造でモータを冷却することができる。
従って、モータから発生する振動を吸収する防振性を有するとともに、簡単な構造で、駆動後のモータを効率的に冷却することができるモータ固定用マウントとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のマウントをモータおよびブラケットに固定した状態を示す図である。
【図2】図1の実施形態におけるマウントの側面断面図である。
【図3】図1の実施形態におけるマウントの正面図である。
【図4】図1の実施形態におけるマウントの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態のマウントの側面断面図である。
【図6】熱伝導性の特性を評価するためのグラフである。
【符号の説明】
1 マウント
2 モータ
3 ブラケット
11 モータ側連結板
11A 挿通孔
12 ブラケット側連結板
12A 挿通孔
12C 凸部
13 防振部材
13A 圧着部
13B 突出部
21A 突出係止部
22 出力軸
32A 通孔
Claims (5)
- モータの出力軸を支持部材の通孔に貫通させて、前記モータを前記支持部材に固定させる場合に、前記支持部材と前記モータとの接合面に介在させるモータ固定用マウントであって、
中央に前記出力軸を挿通させる挿通孔を有し、かつ、前記支持部材およびモータの接合面のそれぞれに固定される2枚の連結板と、
前記2枚の連結板の間に、前記挿通孔に対して略同心状に配置される防振部材とを備え、
前記防振部材は、弾性材に熱伝導性化合物を配合してなり、
前記熱伝導性化合物は、前記弾性部材の熱伝導度よりも高い熱伝導度を有していることを特徴とするモータ固定用マウント。 - 請求項1に記載のモータ固定用マウントにおいて、
前記弾性部材は、ゴムであり、
前記熱伝導性化合物は、酸化マグネシウムを配合した熱伝導性シリコーンゴム組成物であることを特徴とするモータ固定用マウント。 - 請求項1または請求項2に記載のモータ固定用マウントにおいて、
前記モータは、前記出力軸と同心状に前記接合面から突出する突出係止部を有し、
前記防振部材は、前記モータ側の連結板の挿通孔の内周面に沿って設けられた圧着部を有し、
前記圧着部の内径が、前記突出係止部の外径よりも小さいことを特徴とするモータ固定用マウント。 - 請求項3に記載のモータ固定用マウントにおいて、
前記圧着部は、前記モータと連結板とが接合する面を越えて突出される突出部を有することを特徴とするモータ固定用マウント。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ固定用マウントにおいて、
前記支持部材側の連結板には、前記支持部材の通孔内周面に当接して連結板を位置決めするための凸部が形成されていることを特徴とするモータ固定用マウント。
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