JP2004169157A - 銀メッキ層の処理方法及び銀メッキ層の処理液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)銀メッキ層の処理方法であって、銀メッキ層を、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物で処理することを特徴とする銀メッキ層の処理方法。(2)銀メッキ層の処理液であって、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物を含有することを特徴とする銀メッキ層の処理液。
【選択図】 なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属メッキ層の処理方法に関し、詳しくは、プラスチックや金属等の基材の表面に銀メッキ処理されて形成された銀メッキ層の腐食等による劣化を防止する処理方法に関する。更に詳しくは、銀鏡反応を利用した化学メッキ法によって形成された銀メッキ層に有効な処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の表面加工として、従来からクロムメッキが一般的に行われているが、クロムメッキは前処理に使用する鉛の規制により、環境面からの指摘があり、クロムメッキに変わる金属表面処理技術として銀鏡反応を利用した銀メッキ法が提案されている。この銀鏡反応を利用した銀メッキ法(化学メッキ法)は、電解メッキ法に比べ、装置への投資が少なく、基本的には金属から非金属までの各種材料に銀メッキ層を形成することができるという利点がる。
【0003】
しかしながら、銀メッキ層は、空気中の酸性ガスや用水中の塩素イオン等の影響によって、「シケ」と呼ばれる、いわゆる腐食が起こりやすいという欠点がある。この銀メッキ層の腐食の問題は、特に上記した銀鏡反応を利用した銀メッキ法で起こりやすい。
【0004】
また、銀鏡反応を利用して形成された銀メッキ層は、電解メッキ法に比べて銀粒子の密度が疎であり、銀粒子間の接着力が弱いという問題がある。特にこの問題は高湿下で顕著になる。
【0005】
銀メッキ層の補強、あるいは変色や腐食を防止するために、銀メッキ層にポリエステルやシリコーン等の樹脂をトップコート層として被覆することが知られている(特許文献1、2)。しかしながら、銀メッキ層を樹脂で被覆するだけでは、腐食は充分に防止できず、また銀メッキ層の強度も充分に向上させるまでには至ってなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−309774号公報(第6頁)
【特許文献2】
特開2002−256455号公報(第5頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、銀メッキ層の耐腐食性の向上及び強度を高める処理方法及びその処理液を提供することにある。本発明は、特に銀鏡反応を利用した銀メッキ層の腐食を有効に防止し、かつ強度の向上を図る処理方法及び処理液を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)銀メッキ層の処理方法であって、銀メッキ層を、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物で処理することを特徴とする銀メッキ層の処理方法。
(2)銀メッキ層の処理液であって、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物を含有することを特徴とする銀メッキ層の処理液。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、銀メッキが施される基材としては、プラスチック樹脂やガラス板のような絶縁性の基材、あるいは金属等の導電性の基材が挙げられる。これらの基材の表面には、予め、アンダーコート層を設けておくことが好ましい。アンダーコート層としては、例えば、特開平10−309774号公報に記載されている、アルコキシチタニウムエステル並びにエポキシ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含有する塗料からなるアンダーコート剤、特開2002−256455号公報に記載されている、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、2液硬化型ポリウレタン樹脂等からなるアンダーコート層が挙げられる。
【0010】
銀メッキに先立って、上記アンダーコー層の表面に、2〜3質量%程度の第二塩化すず溶液を塗布もしくは浸漬させて、すずをアンダーコート層表面に吸着させるのが好ましい。すずをアンダーコー層に吸着させた後、余剰の塩化第2すずを水洗除去するのが好ましい。また、上記すずの代わりにパラジウムを用いることができる。
【0011】
銀鏡反応を利用した銀メッキ法は、アンモニア性硝酸銀([Ag(NH3)2]+ OH−)溶液(トレンス試薬)と還元剤溶液とを基材上で混合されるように塗布することにより酸化還元反応を引き起こし、基材表面に銀(Ag)を析出させる方法である。前記還元剤溶液としては、グリオキサール等のアルデヒド基を有する有機化合物(R−CHO)、亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウムが好適に使用される。前記アンモニア性硝酸銀溶液とアルデヒド基を有する有機化合物とを銀鏡反応させる際の反応を以下に示す。
【0012】
2[Ag(NH3)2]+OH− + R−CHO→ 2Ag + R−CO2NH4 + H2O + 3NH3
【0013】
本発明は、上記のようにして形成された銀メッキ層の腐食防止及び強度の向上を、従来技術にはない新規な処理を施すことによってその改良を図るものである。即ち、銀と反応もしくは親和性のある有機化合物を含有する処理液で銀メッキ層を処理することである。以下に、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物(以降、単に有機化合物という)について詳細に説明する。
【0014】
上記有機化合物としては、▲1▼チオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物、及び▲2▼含窒素へテロ環化合物が挙げられる。▲1▼のチオン基もしくはメルカプト基を有する化合物について詳細に説明する。該化合物として、少なくとも1個のチオン基もしくはメルカプト基が、直接に、またはアルキレン基、アリーレン基あるいはアルケニレン基のような適当な連結基を介して含窒素ヘテロ環に結合した化合物が好ましい。これらの中でも、特に含窒素ヘテロ環にチオン基もしくはメルカプト基が2個以上結合した化合物が好ましい。
【0015】
上記の含窒素ヘテロ環にチオン基もしくはメルカプト基が2個以上結合した化合物としては、1個の含窒素ヘテロ環に2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した化合物、または1個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環の2個以上が、直接にもしくはアルキレン基、アリーレン基、アルキニレン基、あるいはエチレンジアミンのような適当な連結基を介して結合した化合物がある。
【0016】
上記の含窒素ヘテロ環としては、ピロール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、ピラゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等があり、これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、またベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
【0017】
係る化合物の具体例として、1個のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環化合物としては、例えば、
1)2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール
2)2−メルカプト−ベンツイミダゾール
3)2−メルカプト−1−ブチル−ベンツイミダゾール
4)1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン
5)2−メルカプト−4−フェニルチアゾール
6)3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン
7)3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン
8)2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール
9)3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン
10)1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン
11)3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール
12)3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール
13)3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール
14)3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール
15)2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール
16)2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール
17)2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール
18)2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール
19)5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール
20)3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン
21)2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン
22)2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン
23)2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン
等がある。
【0018】
2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した含窒素ヘテロ環化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物、及び下記化2、化3で示される化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】
式中、Rは水素原子、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素環基であり、これらの基は更にアルキル基等で置換されていても良い。
【0020】
上記の一般式(1)の具体化合物を表1に示す。尚、表1には一般式(1)におけるRのみを示した。
【0021】
【表1】
──────────────────────────────
化合物 一般式(1)におけるR
──────────────────────────────
24) H
25) SH
26) OH
27) CH3
28) C4H9
29) C6H5
30) OCH3
31) OC4H9
32) OC6H5
33) NH2
34) NHC4H9
35) NHC5H11
36) NHC6H5
37) N(C2H5)2
38) N(C4H9)2
39) N(CH2CH=CH2)2
───────────────────────────────
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
上記で例示した化合物の中でも、特に一般式(1)で表されるトリアジン化合物が好ましい。本発明の更に好ましい態様としては、一般式(1)のRがメルカプト基であるトリメルカプトトリアジン(トリアジントリチオール)と、表1のその他のいずれか1つ以上の化合物との組み合わせ、あるいは、一般式(1)のいずれかの化合物と2−メルカプトベンツイミダゾールもしくはその置換誘導体の組み合わせが挙げられる。特に前者の組み合わせが好ましい。これらの組み合わせによって、銀メッキ層の強度と耐腐食性が一段と向上する。
【0025】
次に、▲2▼の含窒素ヘテロ環化合物について説明する。該化合物としては、イミダゾール、ベンツイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール、テトラゾールが挙げられ、これらの化合物は任意の置換基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子等を有していてもよい。上記▲2▼の含窒素ヘテロ環化合物と前記した▲1▼のチオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物を併用しても良い。
【0026】
上記した本発明の有機化合物の中でも、▲1▼のチオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物が好ましい。
【0027】
上記した本発明の有機化合物は、適当な有機溶剤あるいはアルカリ水溶液に溶解して、水系の処理液として調製することができる。銀メッキ層の処理に際して、本発明の上記有機化合物を含有する処理液中に銀メッキされた基材を浸漬する方法、基材に形成された銀メッキ層に該処理液をスプレー噴霧あるいは塗布して処理する方法が採用される。該処理液中における上記有機化合物の濃度は、処理液1リットル当たり1〜200ミリモルが適当であり、10〜100ミリモルの範囲が好ましい。
【0028】
本発明において、上記有機化合物の処理と同時もしくはそれ以前に、銀の酸化剤または、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等)、臭化物(例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム等)、沃化物(沃化ナトリウム、沃化カリウム等)のような無機塩で処理することによって、銀メッキ層の強度の向上及び安定で優れた耐腐食性が得られる。これらの酸化剤あるいは無機塩は溶液として上記有機化合物での処理以前に銀メッキ層を処理し、連続して上記有機化合物含有処理液で処理するか、または上記有機化合物含有処理液に酸化剤あるいは無機塩を共存させて同時に処理することができる。このような酸化剤あるいは無機塩での処理を併用する際に用いられる上記有機化合物としては、2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が直接にもしくは連結基を介して含窒素ヘテロ環に結合した化合物が好ましい。その中でも特に一般式1のトリアジン化合物が好ましい。
【0029】
上記亜硫酸塩の処理液中の含有量は、処理液1リットル当たり1〜100g程度が適当であり、臭化物の含有量は処理液1リットル当たり1〜100gが適当であり、沃化物の含有量は処理液1リットル当たり1〜20gが適当である。上記酸化剤の含有量は、処理液1リットル当たり5〜300ミリモル程度が適当である。
【0030】
前記した金属の酸化剤としては、有機酸第2鉄塩が好ましく用いられる。有機酸第2鉄塩の好ましい例としてはアミノカルボン酸第2鉄塩、ホスホン酸第2鉄塩等が挙げられる。有機酸第2鉄塩は、錯塩の形で使用するのが普通であるが、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硝酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などと有機酸を用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させても良い。
【0031】
アミノポリカルボン酸第2鉄塩は、第2鉄イオンとアミノポリカルボン酸又は、その塩との錯体である。アミノポリカルボン酸、及びその塩としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EDTAジナトリウム塩、EDTAジアンモニウム塩、EDTAテトラ(トリメチルアンモニウム)塩、EDTAテトラカリウム塩、EDTAテトラナトリウム塩、EDTAトリナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ペンタナトリウム塩、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−トリ酢酸、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−トリ酢酸トリアンモニウム塩、プロピレンジアミンテトラ酢酸、プロピレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩、ニトロトリ酢酸トリナトリウム塩、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム塩、イミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸などが挙げられる。
【0032】
ホスホン酸第2鉄塩は、第2鉄イオンとホスホン酸又は、その塩との錯体である。ホスホン酸又はその塩の代表例としてはジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、シクロヘキサンジアミンテトラメチレンホスホン酸、トリエチレンテトラミンヘキサメチレンホスホン酸、グリコールエーテルジアミンテトラメチレンホスホン酸、1,2−ジアミノプロパンテトラメチレンホスホン酸、メチルイミノジメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オールテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などが挙げられる。
【0033】
本発明の上記有機化合物を含有する処理液には、ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体、スチレンと無水マレイン酸との共重合体のような水溶性のポリマー、アセチレングリコール及びその誘導体(例えば、ポリエチレンオキサイドの付加物)あるいはナフタレンのホルマリン縮合物のスルホン化物等を含有させることによって、処理液の保存安定性が向上する。本発明の処理液には更に、(ポリ)エチレングリコールや(ポリ)プロピレングリコールを含有させることができる。
【0034】
本発明の処理液のpHは、4〜10の範囲が好ましく、5〜9の範囲がより好ましい。
【0035】
本発明の処理液で銀メッキ層を処理した後、付着残留した処理液を水洗除去するのが好ましい。水洗後、更に、特開平10−309774号及び特開2002−256455号公報に記載のトップコート層を設けるのが好ましい。
【0036】
【実施例】
実施例1
基材としてABS樹脂板を用意した。この基材の表面にイソプロパノールをスプレー洗浄し、続いて、ベースコート剤として大橋化学社製のB−3を基材の表面にスプレー塗布してベースコート層を設けた。次に、ベースコート層の表面に、アンダーコート剤(大橋化学社製のU−1)をスプレー塗布してアンダーコート層を形成させた。
【0037】
次に、前記アンダーコート層の表面に、3質量%の第二塩化すず及び1質量%の塩酸を含有する第二塩化すず溶液をスプレー塗布して前処理を行った後、イオン交換水にてアンダーコート層の表面をスプレー洗浄した。続いて、トレンス試薬とグリオキサールとを双頭スプレーガン(アネスト岩田社製のRG−2)を用いてアンダーコート層の表面に同時にスプレー塗布して、銀鏡反応を利用した化学メッキ法を実施することによって、アンダーコート層の表面に約0.1μmの均一な厚さの銀メッキ層が形成された。その後、イオン交換水にて銀メッキ層の表面をスプレー洗浄した。
【0038】
次に、以下の処理液を作製した。
<処理液A>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物25) 4g
有機化合物 (表1の化合物34) 2g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5である。
【0039】
この処理液Aに、銀メッキ層を20秒間浸漬して処理した後、水洗、乾燥した。更に、銀メッキ層の表面に、トップコート剤(大橋化学社製のT−1)をスプレー塗布してトップコート層を設けた。
【0040】
比較として、上記の処理液Aによる処理を実施しない以外は全く同様にして、基材上にベースコート層、アンダーコート層、銀メッキ層及びトップコート層を設けた。
【0041】
上記のようにして作製した本発明と比較の銀メッキ層の強度、耐腐食性、及び紫外光照射による変色を、以下の試験方法で評価した。
<銀メッキ層の強度及び耐腐食性の試験方法>
銀メッキ層の表面にトップコート層の上から格子状の傷を付け、トップコート層の上から5質量%の食塩水に少量の酢酸と塩化第二銅を添加した水溶液を480時間噴霧して、銀メッキ層の剥離状態、及びくもり状態を観察した。
【0042】
<紫外光照射による変色試験>
紫外光を20Wで15cmの距離で72時間照射し、変色の状態を観察した。
【0043】
上記試験の結果、本発明の処理液Aで処理した銀メッキ層は、銀メッキ層の剥離はわずかにとどまり、また銀メッキ層も高い銀光沢を有しており、くもりの発生はなかった。また、紫外光照射による変色も全くなかった。一方、比較は、傷を付けたところから銀メッキ層が大きく剥がれ落ち、銀メッキ層もくもりが生じて銀光沢が低下していた。また、紫外光照射によってやや黄色に変色していた。
【0044】
実施例2
実施例1の基材をABS樹脂板からステンレス鋼板に代える以外は、実施例1と同様に試験した。試験結果、実施例1と同様な結果が得られた。
【0045】
実施例3
実施例1の処理液Aに代えて、以下の処理液B、C、D、あるいはEで処理する以外は、実施例1と同様に試験した。
【0046】
<処理液B>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物34) 2g
臭化カリウム 15g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5に調整する。
【0047】
<処理液C>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物34) 2g
沃化カリウム 5g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5に調整する。
【0048】
<処理液D>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物34) 2g
沃化カリウム 5g
臭化カリウム 15g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5に調整する。
【0049】
<処理液E>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物34) 2g
有機化合物(2−メルカプトベンツイミダゾール) 4g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5に調整する。
【0050】
<処理液F>
ジエチレングリコール 50g
水酸化ナトリウム 4g
有機化合物 (表1の化合物25) 4g
有機化合物(5−ニトロベンツイミダゾール ) 2g
リン酸2カリ 25g
リン酸(85%) 11g
ブタジエン・無水マレイン酸共重合体 4g
水で1リットルに調整する。pHは6.5に調整する。
【0051】
実施例1と同様に評価した結果、上記の処理液B、C、D、E及びFで処理したものは、実施例1の処理液Aで処理したものに比べて、耐腐食性でわずかに劣るものの、実施例1の比較に比べて大幅に、耐食性、強度、紫外光照射による変色は改良されていた。
【0052】
実施例3
実施例2の処理液B、C、D、E及びFで処理する前に、水1リットル中にEDTA鉄塩を100g含有する処理液で前処理する以外は、実施例2と同様にして試験した。実施例1と同様に評価した結果、EDTA鉄塩で前処理することによって耐食性、強度、紫外光照射による変色は一段と改良された。
【0053】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、銀メッキ層を本発明の処理液で処理することによって、銀メッキ層の強度及び耐腐食性が大幅に向上する。
Claims (9)
- 銀メッキ層の処理方法であって、銀メッキ層を、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物で処理することを特徴とする銀メッキ層の処理方法。
- 前記銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物が、チオン基もしくはメルカプト基を有する有機化合物、または含窒素ヘテロ環化合物である請求項1に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物が、チオン基もしくはメルカプト基を有する含窒素ヘテロ環化合物である請求項1に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記含窒素へテロ環化合物が、イミダゾール化合物、ベンツイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、チアジアゾール化合物、オキサジアゾール化合物、またはテトラゾール化合物である請求項2に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記チオン基もしくはメルカプト基を有する含窒素ヘテロ環化合物が、含窒素ヘテロ環に2個以上のチオン基もしくはメルカプト基が結合した化合物である請求項3に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物で処理するのと同時または前に銀の酸化剤で処理する請求項1に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物で処理するのと同時または前に亜硫酸塩、沃化物もしくは臭化物で処理する請求項1に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 前記酸化剤が有機酸第2鉄塩である請求項6に記載の銀メッキ層の処理方法。
- 銀メッキ層の処理液であって、銀と反応もしくは親和性を有する有機化合物を含有することを特徴とする銀メッキ層の処理液。
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