JP2004168038A - 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 駆動ICを比較的容易且つ確実に保護することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 保護基板30上に駆動IC120を囲む空間であるIC保持部151が厚さ方向に貫通して設けられた保持基板150を接合し、駆動IC120及び接続配線141,142をIC保持部151に充填されたポッティング剤160によって覆う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧電素子によって加圧することにより、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
そして、たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
また、このようなインクジェット式記録ヘッドは、圧電素子を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)等が必要である。この駆動ICは、圧力発生室が形成された流路形成基板に接合される接合基板、例えば、ヘッドチップを構造的に保持固定する固定部材上に搭載され、ワイヤボンディングによって各圧電素子と接続する構造が採用されている。そして、この駆動IC及びボンディングワイヤは、モールドによって覆うことにより保護されている(例えば、特許文献1参照)。
このような駆動IC等を覆うモールドの材料としては、一般的に樹脂材料等が用いられる。そして、未硬化状態の樹脂を駆動IC上に滴下し、それを硬化させることでモールドとしている。このようなモールドとして、未硬化状態で比較的粘度の低い材料を用いた場合、ボンディングワイヤ間等の細い隙間も確実に流れ込み、駆動IC及びボンディングワイヤを確実に覆うことができるが、不要な領域にまで流れ出してしまうという問題がある。一方、流れ出しを防止するために未硬化状態で比較的粘度の高い樹脂材料を用いた場合、モールド内に気泡が溜まり易いという問題や、取り扱いに手間がかかり製造効率が低下するという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外の液体を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
特開2000−135790号公報(第5−8,11,12,14図)
本発明は、このような事情に鑑み、駆動IC等が設けられた所定領域を比較的容易且つ確実に保護することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記圧電素子とボンディングワイヤからなる接続配線によって接続され当該圧電素子を駆動するための駆動ICを有すると共に、前記保護基板上に接合され前記駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられた保持基板を有し、前記駆動IC及び前記接続配線が前記IC保持部に充填されたポッティング剤によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、保持基板及びポッティング剤によって保護基板上に搭載された駆動IC等を確実に保護することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記IC保持部の長手方向両側面が、少なくとも前記保護基板側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する第1の傾斜面を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、保持基板の強度が向上し、ヘッドの寸法精度が向上する。
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記IC保持部の長手方向両側面が、前記第1の傾斜面と当該第1の傾斜面から連続して設けられて前記保護基板とは反対側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する第2の傾斜面とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、保持基板の強度が向上し、ヘッドの寸法精度が向上する。また、IC保持部へのポッティング剤の充填が容易となり製造効率が向上する。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記IC保持部の前記保護基板とは反対側の開口部が梁部で区切られて複数の開口で構成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、梁部によって保持基板の強度が確実に向上し、ヘッドの寸法精度をさらに向上することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記保持基板の側壁には前記IC保持部内に張り出すように形成された庇部を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、IC保持部に庇部があるので、ポッティング剤を充填する際に、ポッティング剤がしみ上がり外部にはみ出すのを防止することができる。
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記庇部が、前記IC保持部の前記保護基板とは反対側の開口部周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、ポッティング剤を充填する際に、ポッティング剤がしみ上がり外部にはみ出すのを保持基板の開口部で確実に防止することができる。
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記庇部が、前記開口縁部の全周に亘って設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第7の態様では、ポッティング剤のしみ上がりを確実に防止することができる。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、外部配線が引き出される領域の前記庇部の張り出し量が、他の領域よりも少ないことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第8の態様では、ポッティング剤のしみ上がりを防止し、且つ外部配線を良好に引き出すことができる。
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第9の態様では、耐久性及び信頼性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
本発明の第10の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板とを具備し、前記圧電素子とボンディングワイヤからなる接続配線によって接続され当該圧電素子を駆動するための駆動ICを有すると共に、前記保護基板上に接合され前記駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられた保持基板を有し、前記駆動IC及び前記接続配線が前記IC保持部に充填されたポッティング剤によって覆われている液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記保護基板上に前記保持基板を接合後、当該保持基板の前記IC保持部内に前記保護基板とは反対側の面の開口部から前記ポッティング剤を充填する工程と、前記ポッティング剤内に溜まった気泡を真空脱泡する工程と、前記ポッティング剤を硬化する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第10の態様では、気泡のないポッティング剤で駆動IC等を確実に保護できると共に、製造効率が著しく向上する。
本発明の第11の態様は、第10の態様において、前記ポッティング剤が、低応力性樹脂材料からなることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第11の態様では、ヘッドの温度変化によるポッティング剤の応力変化によって駆動IC等に悪影響を及ぼすことがない。
本発明の第12の態様は、第11の態様において、前記低応力性樹脂材料が、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第12の態様では、ポッティング剤として所定材料を用いることで、ヘッドの温度変化によるポッティング剤の応力変化による駆動IC等への悪影響を確実に防止できる。
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記ポッティング剤が、2液性の反応性ウレタン樹脂からなり、当該ポッティング剤となる2液を混合した後に、前記IC保持部内に充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第13の態様では、IC保持部内にポッティング剤を充填する際に、気泡の残留を少なくできると共に、硬化時間を短縮することができる。
本発明の第14の態様は、第10〜13の何れかの態様において、前記ポッティング剤を充填する工程では、前記保護基板とは反対側の面の開口部の長手方向両端部近傍から、それぞれ前記IC保持部内に前記ポッティング剤を充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第14の態様では、保護基板と保持基板との境界部分等の比較的気泡が溜まりやすい部分に確実にポッティング剤を充填することができる。
本発明の第15の態様は、第14の態様において、前記IC保持部の長手方向両側面が、少なくとも前記保護基板側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する傾斜面を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第15の態様では、保護基板と保持基板との境界部分等の比較的気泡が溜まりやすい部分に確実にポッティング剤を充填することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及びそのA−A’断面図であり、図3は、図2のB−B’断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が設けられている。
この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画されて幅方向に並設された圧力発生室12の列が2列設けられ、各列の圧力発生室12の長手方向外側には、各列の圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13がそれぞれ形成され、この連通部13は各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14の断面積は、圧力発生室12のそれより小さく形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
このような流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12を配列密度に合わせて最適な厚さを選択すればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよいが、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板として作用する。また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなり一端がインク供給路14に対向する領域まで延設されるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接合され、圧電素子300はこの圧電素子保持部31内に形成されている。本実施形態では、圧電素子保持部31内は完全に密封されてはいないが、圧電素子300は、圧電素子保持部31によって外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。勿論、圧電素子保持部31内は、密封状態となっていてもよい。なお、この圧電素子保持部31は、並設された圧電素子300の列毎に設けられている。また、この保護基板30には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が、各圧力発生室12の列毎に設けられている。これらのリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、弾性膜50に設けられた連通孔を介して流路形成基板10の連通部13と連通され、各圧力発生室12の列毎の共通のインク室となるリザーバ100をそれぞれ構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、その端部近傍が貫通孔33内で露出されている。このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、この保護基板30の表面、すなわち、流路形成基板10との接合面とは反対側の面には、圧電素子300を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)120が実装されている。具体的には、保護基板30上には、駆動IC120と図示しない外部配線との接続のための接続配線130が所定パターンで形成され、この接続配線130上に駆動IC120が搭載されている。例えば、本実施形態では、この駆動IC120は、ワイヤボンディングにより形成される第1の接続配線141によって接続配線130と接続されている。また、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、保護基板30の貫通孔33内にワイヤボンディングにより形成される第2の接続配線142によって駆動IC120と接続されている。なお、駆動IC120は保護基板30上に搭載することに限定されず、保持基板であるケースヘッド150(詳細は後述する)の内壁等に形成されていても良い。
また、このような保護基板30上には、リザーバ部32に対応する領域を含む周縁部を囲むように、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
さらに、本実施形態では、保護基板30上に駆動IC120を囲む空間であるIC保持部151を有する保持基板であるケースヘッド150が接合されている。本実施形態では、ケースヘッド150は、保護基板30上に設けられたコンプライアンス基板40に接合されている。このケースヘッド150は、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成され、IC保持部151はケースヘッド150を厚さ方向に貫通して設けられている。なお、ケースヘッド150の材料は、樹脂材料に限定されず、例えば、ニッケル、アルミニウム等の金属材料を用いてもよい。このような金属材料を用いることにより、寸法精度を向上でき、また、その応力による部材の剥離を防止することができる。
そして、このIC保持部151内には、例えば、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂等の低応力性樹脂材料からなるポッティング剤160が充填され、保護基板30上に設けられた駆動IC120及び第1、第2の接続配線141,142等が、ケースヘッド150によって囲まれると共にIC保持部151に充填されたポッティング剤160で完全に覆われている。
このように、本実施形態では、保護基板30上にIC保持部151を有するケースヘッド150を設け、IC保持部151内に充填したポッティング剤160によって駆動IC120等を覆うようにしたので、駆動IC120等をポッティング剤160によって確実に覆って保護することができ、駆動IC120及び第1、第2の接続配線141,142の耐環境性や、耐振動性を向上することができる。また、駆動IC120等は、ケースヘッド150によって囲まれているため、外的衝撃等による破壊も防止することができる。また、ポッティング剤160として低応力性樹脂材料を用いることにより、印刷によるヘッドの温度変化等によってポッティング剤160の応力変化が生じたとしても、駆動IC120及び第1、第2の接続配線141,142に悪影響を及ぼすことがない。
ここで、本実施形態では、IC保持部151の長手方向両側面152は、保護基板30側の開口部153が外側に向かって拡開するように傾斜する傾斜面となっている。すなわち、IC保持部151は、保護基板30側の開口部の面積が、保護基板30とは反対側の開口部154の面積よりも大きくなるように形成されている。さらに、本実施形態では、IC保持部151の保護基板30とは反対側の開口部154は、梁部155によって区切られて二つの開口154a,154bで構成されている。なお、この梁部155の側面は、本実施形態では、長手方向の側面と同様に、外側に向かって拡開するように傾斜する傾斜面で構成され、略三角形の断面形状を有する。
このように、IC保持部151の側面152を傾斜面とすることで、ケースヘッド150自体の強度が増加するため、ヘッドの寸法精度を向上することができる。また、梁部155を設けることにより、ケースヘッド150の強度が確実に増加するため、ヘッドの寸法精度をさらに向上することができる。
なお、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等の外部インク供給手段が、ケースヘッド150、コンプライアンス基板40及び保護基板30に設けられたインク導入口(図示なし)に接続され、インク供給手段からインク導入口を介してインクを取り込む。そして、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に駆動電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70とにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
図4〜図6は圧力発生室12の幅方向の断面図であり、以下、これら図4〜図6を参照して、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して弾性膜50を形成する。次いで、図4(b)に示すように、例えば、白金等からなる下電極膜60を弾性膜50上に形成後、所定形状にパターニングする。次いで、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属、あるいは導電性酸化物等からなる上電極膜80とを順次積層し、これらを同時にパターニングして圧電素子300を形成する。次に、図4(c)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニングする。以上が膜形成プロセスである。
このようにして膜形成を行った後、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板(流路形成基板10)の異方性エッチングを行い、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14を形成する。具体的には、まず、図4(d)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300側に保護基板30を接合する。なお、この保護基板30には、予め圧電素子保持部31、リザーバ部32等が設けられていると共に、その表面には接続配線130が形成されている。次に、図5(a)に示すように、前述したアルカリ溶液による異方性エッチングを行うことにより、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。なお、このように異方性エッチングを行う際には、保護基板30の表面を樹脂材料等からなる保護膜(図示なし)で覆った状態で行う。
次いで、図5(b)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接着剤等によって接合する。また、保護基板30上に封止膜41と固定板42とからなるコンプライアンス基板40を接合してリザーバ部32を封止する。
なお、上述した圧電素子300、圧力発生室12等は、一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に形成され、多数のチップを同時に形成する。すなわち、圧電素子300等の膜形成プロセス終了後、上述したように保護基板30を接合して圧力発生室12等を形成し、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板40を接合後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。
次いで、図5(c)に示すように、保護基板30上に駆動IC120を実装する。すなわち、接続配線130に駆動IC120を実装して両者を接続する第1の接続配線141をワイヤボンディングにより形成する。さらに、各圧電素子300から引き出されたリード電極90と駆動IC120とを接続する第2の接続配線142をワイヤボンディングにより形成する(図3参照)。
次に、図6(a)に示すように、保護基板30上に固定されているコンプライアンス基板40上にケースヘッド150を接合する。例えば、本実施形態では、ケースヘッド150を接着剤によってコンプライアンス基板40に接着した。次いで、図6(b)に示すように、IC保持部151の保護基板30とは反対側の開口部154から、例えば、ノズルニードル170によってポッティング剤160を充填する。
ここで、ポッティング剤160として用いられる材料としては、低応力性樹脂、例えば、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂等を用いることが好ましく、特に、未硬化状態での粘度が0.5〜5(Pa・s)程度と比較的低いものであることが好ましい。これにより、ポッティング剤160の充填が比較的容易となると共に、充填時にポッティング剤160内に溜まる気泡の量を抑えることができる。例えば、本実施形態では、ポッティング剤160として、2液性の反応性ウレタン樹脂を用いた。なお、ポッティング剤160として2液性のウレタン樹脂を用いる場合、予め2液を混合・脱泡してポッティング剤とした後、IC保持部151に充填するのが好ましい。これにより、IC保持部151にポッティング剤160を充填する際に、ポッティング剤160内に溜まる気泡の量をさらに抑えることができ、後述する脱泡工程の時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、IC保持部151の長手方向両側面152が傾斜面で構成されているため、ポッティング剤160は、IC保持部151の開口部154の長手方向両端部近傍のそれぞれから充填するのが好ましい。すなわち、IC保持部151の傾斜面と保護基板30との境界部分は、比較的気泡が溜まり易いが、開口部154の長手方向両端部から充填することで、ポッティング剤160を確実に充填でき、気泡が溜まる量を著しく減少させることができる。また、ポッティング剤160の充填時間を短縮することもできる。
その後は、ポッティング剤160内に溜まった気泡を真空脱泡する。すなわち、組み立てられたヘッド全体を所定の密封空間内に配置してこの空間を減圧することで、ポッティング剤160内に混入している気泡を除去する。そして、気泡を除去したポッティング剤160を硬化させることでインクジェット式記録ヘッドとする。なお、本実施形態では、ポッティング剤160として2液性の反応性ウレタン樹脂を用いているため、50〜80(℃)で、2〜3(h)保持することで、比較的短時間でポッティング剤160を硬化させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、保護基板30上にIC保持部151を有するケースヘッド150を接合し、IC保持部151内にポッティング剤160を充填するようにしたので、比較的粘度の低いポッティング剤を用いることができ、ポッティング剤によって駆動IC120等を確実に覆うことができる。また、比較的粘度の低いポッティング剤を用いることで、ポッティング剤内に気泡が溜まりにくくなるため、脱泡工程によって、ポッティング剤内に溜まっている気泡を比較的容易に除去することができる。
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。本実施形態は、ケースヘッド150のIC保持部151の変形例であり、図7に示すように、IC保持部151の長手方向両側面152が、保護基板30側の開口部153が外側に向かって拡開するように傾斜する第1の傾斜面152aと、この第1の傾斜面152aから連続して設けられて保護基板30とは反対側の開口部154が外側に向かって拡開するように傾斜する第2の傾斜面152bとを有する。すなわち、本実施形態のIC保持部151は、ケースヘッド150の両面の開口部153,154の面積がそれぞれ略同一の大きさとなるように形成され、且つ両開口部153,154からケースヘッド150の厚さ方向中央部に向かって開口面積が徐々に小さくなるように形成されている。そして、梁部155の側面の一部を、保護基板30の表面に対して略垂直な垂直面156で構成するようにした以外は実施形態1と同様である。
このような構成では、ポッティング剤160を充填する側の開口部154の面積を比較的大きくでき、IC保持部151内にポッティング剤160を充填し易くなり、製造効率を向上することができる。なお、勿論、本実施形態の構成においても、実施形態1と同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。本実施形態は、ケースヘッド150のIC保持部151の変形例であり、IC保持部151の保護基板30とは反対側の開口部154に梁部は設けられておらず、図8に示すように、ケースヘッド150の側壁に、IC保持部151内に張り出すように形成された庇部157を有する以外は、実施形態1と同様である。
庇部157は、本実施形態では、ケースヘッド150の開口縁部に全周に亘って設けられている。また、この庇部157は、その底面158が、例えば、ケースヘッド150の表面と平行、若しくは庇部157の先端側が下側(駆動IC120側)となるように傾斜するように形成されて、庇部157の底面158とIC保持部151の内面152との境界に角部が形成されているのが好ましい。また、庇部157の長さ(張り出し量)は、特に限定されないが、ポッティング剤160を容易に充填可能な大きさで開口部154が残る程度に比較的長く形成することが好ましい。
このような構成では、開口部154からIC保持部151内にポッティング剤160を充填する際、ケースヘッド150の表面へのポッティング剤160のはみ出しを防止することができる。詳しくは、IC保持部151内にポッティング剤160を充填して上述した脱泡工程を行うと、ポッティング剤160から気泡が抜けるときの勢いによって、ポッティング剤160がIC保持部151の内面152を伝わってしみ上がり、開口部151からケースヘッド150の外表面にまではみ出してしまう虞がある。しかしながら、本実施形態の構成では、庇部157によってポッティング剤160のしみ上がりを抑制して、ポッティング剤160がケースヘッド150の外表面まではみ出すのを防止することができる。これにより、ヘッドケース150を、例えば、インクカートリッジが装着されるカートリッジケース等に接着固定する際の歩留まりが向上し、製造コストの削減を図ることができる。
なお、本実施形態では、庇部157をIC保持部151の開口縁部に設けるようにしたが、これに限定されず、梁部157は、駆動IC120、第1及び第2の接続配線141,142等に接触しない位置であれば、ケースヘッド150の側壁、すなわち、IC保持部151の内面の何れの位置に設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、同一長さの庇部157を、ケースヘッド150の開口部154の縁部、全周に亘って設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、ケースヘッド150の開口部154から、駆動IC120に電気的に接続される、例えば、フレキシブルケーブル等の外部配線170が引き出される場合には、開口部154の縁部の一部に梁部157を設けるようにしてもよい。すなわち、図10(a)に示すように、外部配線170が引き出される領域を除く部分のみに庇部157を設けるようにしてもよいし、あるいは図10(b)に示すように、この外部配線170が引き出される領域の庇部157aの長さを、他の領域の庇部157bの長さよりも短くするようにしてもよい。
なお、本実施形態のように庇部157を設ける場合には、IC保持部151の全ての内面152は、保護基板30側の開口部154が外側に向かって拡開するように傾斜する傾斜面となっていることが好ましい。このような形状とすることで、ケースヘッド150を成型によって大量に容易に形成することができ、製造コストを削減することができる。
また、本実施形態の庇部157の形成される場所は、開口部154の近傍であることを述べたが、ケースヘッド150の内壁面であれば、開口部154の近傍に限定する必要は無い。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、ケースヘッド150に設けられたIC保持部151の長手方向両側面152が傾斜面のみで構成されているが、これに限定されず、例えば、IC保持部151の長手方向両側面152は、一部に保護基板30の表面に対して略垂直な垂直面を有していてもよいし、勿論、垂直面のみで構成されていてもよい。また、上述した実施形態1では、保護基板30とは反対側の開口部154を梁部155によって2つに区切るようにしたが、これに限定されず、例えば、複数の梁部を設け、開口部を3つ以上に区切るようにしてもよい。
また、勿論、梁部は設けなくてもよい。また、例えば、上述の実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
なお、このようなインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図11は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図11に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上に搬送されるようになっている。
また、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を一例として説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図。 実施形態1に係る記録ヘッドの断面図。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程の断面図。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程の断面図。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程の断面図。 実施形態2に係る記録ヘッドの断面図。 実施形態3に係る記録ヘッドの平面図及び断面図。 実施形態3に係る記録ヘッドの変形例の分解斜視図。 実施形態3に係る記録ヘッドの変形例の平面図及び断面図。 一実施形態に係る記録装置の概略図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 33 貫通孔、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 100 リザーバ、 120 駆動IC、 130 接続配線、 141 第1の接続配線、 142 第2の接続配線、 150 ケースヘッド、 151 IC保持部、 155 梁部、 157 庇部、 160 ポッティング剤、 170 外部配線、 300 圧電素子

Claims (15)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、
    前記圧電素子とボンディングワイヤからなる接続配線によって接続され当該圧電素子を駆動するための駆動ICを有すると共に、前記保護基板上に接合され前記駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられた保持基板を有し、前記駆動IC及び前記接続配線が前記IC保持部に充填されたポッティング剤によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1において、前記IC保持部の長手方向両側面が、少なくとも前記保護基板側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する第1の傾斜面を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項2において、前記IC保持部の長手方向両側面が、前記第1の傾斜面と当該第1の傾斜面から連続して設けられて前記保護基板とは反対側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する第2の傾斜面とを有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記IC保持部の前記保護基板とは反対側の開口部が梁部で区切られて複数の開口で構成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記保持基板の側壁には前記IC保持部内に張り出すように形成された庇部を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  6. 請求項5において、前記庇部が、前記IC保持部の前記保護基板とは反対側の開口部周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項6において、前記庇部が、前記開口縁部の全周に亘って設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  8. 請求項7において、外部配線が引き出される領域の前記庇部の張り出し量が、他の領域よりも少ないことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  9. 請求項1〜8の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  10. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板とを具備し、前記圧電素子とボンディングワイヤからなる接続配線によって接続され当該圧電素子を駆動するための駆動ICを有すると共に、前記保護基板上に接合され前記駆動ICを囲む空間であるIC保持部が厚さ方向に貫通して設けられた保持基板を有し、前記駆動IC及び前記接続配線が前記IC保持部に充填されたポッティング剤によって覆われている液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記保護基板上に前記保持基板を接合後、当該保持基板の前記IC保持部内に前記保護基板とは反対側の面の開口部から前記ポッティング剤を充填する工程と、前記ポッティング剤内に溜まった気泡を真空脱泡する工程と、前記ポッティング剤を硬化する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 請求項10において、前記ポッティング剤が、低応力性樹脂材料からなることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 請求項11において、前記低応力性樹脂材料が、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂であることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  13. 請求項12において、前記ポッティング剤が、2液性の反応性ウレタン樹脂からなり、当該ポッティング剤となる2液を混合した後に、前記IC保持部内に充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  14. 請求項10〜13の何れかにおいて、前記ポッティング剤を充填する工程では、前記保護基板とは反対側の面の開口部の長手方向両端部近傍から、それぞれ前記IC保持部内に前記ポッティング剤を充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  15. 請求項14において、前記IC保持部の長手方向両側面が、少なくとも前記保護基板側の開口部が外側に向かって拡開するように傾斜する傾斜面を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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